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クルミ 51 喧騒

前回

茂吉に諭され、謝罪の旅に出たお順。


はじまり、はじまり



お順は歩いた。
姿は燻(くす)んだ灰色の狐になったが、心が違う。腐り切った気持ちが無くなると空の青さまで違って見える。不思議なものだ。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
kensou.jpg


ふと目をやれば、楽しく語り合う親子連れ、額に汗して働く者、元気で愛想の良い商売人。今までは理由もなく嫌い『ふん』と鼻でせせら笑っていたが、今は全くそんな風に感じない。何もかもが新鮮に映る。

心の持ち様如何(いか)で、こうまで世間を見る目が違うものか。

「あたいは何を見て、今まで生きてきたのだろう...」

歩く道のりは楽しい。昔なら歩くのが嫌でさっさと駕篭を頼み、目的地に直行していた。今は心から自由になった身が嬉しい。

「尾に何もないとこんなに軽いのかしら?でもこれは飽くまでも今だけだし、それに何より、あたいにはこの世で済まさなければならない事だらけだよ...だけど体が軽くて幸せだわ」

卍宿から一週間程で猫宿に着く、お順は久しぶりに味わう喧噪に心を躍らせた。卍宿も賑やかだが猫宿の活況は又、別物だ。誰も彼も楽しそうに浮かれている。お順はそのざわめきを楽しむ。屋台で葱焼きを買って頬張りながら歩く。

「ここには東雲楼(しののめろう)があるのよね。あたいの所為でコノミに辛い思いをさせたのよね、、、見に行った事も訪ねた事もなかった、、、本当に酷い親だよ・・・」

項垂(うなだ)れながら歩いているとふと目についた看板がある。【茂吉様・紫狼様御用達】《バー・黒河童》と書いてあった!忘れる訳もないキナの店だ。

キナが狐宿を出てから勿論、お順とは音信不通である。世話になったキナに、最後まで悪口を利いていた自分が恥ずかしい。

今までの非礼を詫びようと考える。『クルミが世話になった事もきちんと礼も言おう、どんなに罵られても謝って許してもらおう!』と覚悟した。だが、重い気持ちである事に変わりなく、店の前で愚図愚図していた。

えっほ、えっほ、おーい!トチよ~、兄貴のとこで一休みしようぜ~」

「はいよー」

テレとトチはあれから駕篭かきに精を出している。恵み子様と関わりあいのある駕篭かき屋と云うので、ご利益があると云うのか、どこでも引張り蛸だ。

お陰で疲れたの草臥(くたび)れたのと愚痴を云う暇もない程の忙しさ。この日も朝からお客を乗せての帰り道、キナの店で一休みしようとした。

「あれ誰だろ?よう!どうしなすった?」

突然、テレに声を掛けられ、驚き振り返ると河童がいる!今更、逃げ出す訳にもいかないので諦める。

「誰だい?」

トチが声を掛ける。

「あの、、こちらはキナさんの店ですか?」

「そうだよ」

「あの、あたいは狐宿でお世話になったお順と云います。キナさんはいらしゃいますか?」

「えっ?お順って、もしかしてあのお順?・・・」

「あの、、、ご存知なのですか?」

テレとトチはもの凄い剣幕で怒りだす。

てめえかっ!ろくでなしの母親ってのはッ、何を今更のこのこと出てきやがった!クルミちゃんを酷い目に合わせやがって、
勘弁ならねえッ!

「おいらだって許しておくもんか!
この馬鹿狐!とっとと失せやがれーッ!

罵られた途端にお順は這いつくばる。平身低頭で顔も知らない河童に謝った。クルミの名前を呼ぶ以上は、何か関わりあいのある者だろう、それだけにこうなる事はわかっていた。

わかってはいたが辛かった...泪が自然と溢(あふ)れてくる。店の外で騒いでいるのでキナはドアを開けて覗いて見た。

この尼ぁああーーーッ!
何してやがるんだ!


「そうだよっ、おいら達にそんな見え透いた真似したって許せるものじゃねえやっ!」

普段は大人しいトチまで顔を赤くし、灰色の狐を罵倒している。キナは只事じゃないと割って入る。

「ちょいとッ、何してんだよ?店の前なんだよ、ほら猫垣が出来ているじゃないか、止めなよッ」

「だって兄貴ッ」

「ったくもう!『姉貴』だって言ってるだろよ、バカ野郎!さっ、いいからお狐さん、こちらにお出でな」

キナはとにかく、このままではみっともないので三人を店の中に引き入れた。

「さあ、いいから事情を話しなよ」

兄貴っ!

河童パンチをテレは食らう。

「ひぇっ、痛てぇええーっ!

「おめえはすっこんでろ」


ひぃいいーーー


「さっ、お狐さん!泣いてないで話してみな、どうせ、こいつらが余計な銭を頂こうとしたんじゃないの?中身はまだまだ雲助だから、悪い根性がすぐ出て来るんですよ」

キナは銭で揉めているのだろうと早合点した。お順は二人以上に罵られる事を覚悟して泣いている顔を上げて言う。

「キナさん、あたい・・・あたいね、姿は変わっているけどお順で..す」

言った途端、万感こもごも到り、次の言葉も出ずに泪だけが溢れてくる。

「ぇえっ!?ぇええーー?
お順って...綺麗なお狐だったはず・・・」

流石にキナは二人の気の早い弟達とは違う、、、今のお順をしげしげ見る。

「ふぅーん」







つづく









季節の変わり目だからなのか、更年期なのか
しつこい風邪にやられました。
まだ、体調が戻らないのでコメ欄は閉じました。
クルミもあと少し、気合を入れて頑張りたいと思います。
これからも宜しくお願いします。


ぴゆう

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