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クルミ 45 ふん!

前回

ガスに有無をも言わさずに連れて行かれる。何処に行くのやら?


はじまり、はじまり



せっかくガスと話せる機会だったのに、お順は反発心が先に立ち、ろくすっぽ話しもしなかった。ガスも無理に教える気もない。お蜜からクルミの話しを聞いているだけに、いつものお節介をする気にもなれなかった...それも仕方ないだろう。

一週間程で病院に着く。ガスは病院を預かる狸族の岩平(いわへい)の出迎えを受け、さっさと行ってしまう。お順が戸惑っていると一人の狐に声をかけられる。

「あなたがお順ですか?」

「はい。あの、、、ガス先生は?」

「先生は岩平先生のお部屋でお寛ぎです、あなたの宿舎にご案内しましょう」

「宿舎?あの、、、宿舎ってどういう事なんですか?」

「今日はとにかくお休みなさい、それからあたしは信竹(しんたけ)と云うものです」

こざっぱりした部屋に通され、ゆっくり休むように言い、信竹は去って行く。旅の疲れもあり、久しぶりの布団にゆっくり寝る事が出来た。お腹が空いて起きると枕元に握り飯と冷めたお茶がある。モソモソ食べると満腹になり又、寝てしまう。

翌朝、目覚めると厠(かわや)に行きたくなったので部屋を怖々、出てみる。ガス病院の賑やかさとは打って変わり『しぃーん』として物音一つしない、酷く静かだ。廊下を歩くお順の足音しか聞こえない。逃げられると一瞬思ったが、捕縛糸の事を思い出し諦める。長い廊下の突き当たりにドアがあった。そっと開けて中を覗き込む。

「おはよう」

「へっ?おっ、おはようございます」

突然、声を掛けられ驚いてしまったが、見れば昨日、ガスと話しをしていた岩平と信竹がいる。

「こちらにお座りなさい」

何を云われるのだろうと緊張をする。

「これから、あなたに病人のお世話をしてもらいます。ガス先生の元で看護はしていたようなので私達から教えることはないでしょう。それからあなたが看るのはお一人だけです、余命幾ばくもない病人です」

えーっ!?あたいがそんな大変なことを!?あたいにそんな重荷を押し付けられてもッ」

「確かに重荷でしょうが、あなたが背負うしかないのですよ」

「えっ?」

お順は岩平の言葉を不信に思うが、信竹に病棟に案内をされる。病棟に行く途中、中庭を通った。


あっ!ぁああーーッ!


目を丸くする。目前には鈴蘭百合の花畑が広がっていた。

「ここは病人の慰めの場所ですよ、それから、ここでは大まかな時間割があるだけで後は全て病人の自由に出来ます。あなたは病人の意向に添って行動をするようにして下さい」

「病人はいいでしょうけど、あたいの休憩はどうなっているんです?」

「それは看護する方とお決めください。病人の許しがなければいけません」

「そんなあ!」

「其れが決まりです

信竹は厳然と言い放つ。その言葉に逆らう事は絶対に許されないと云われたように感じる。此の病院は広く知られている卍宿病院とは違い、一般には知られていない病院だ。場所も【御係所】の程近くにあり、高い塀で囲まれている。

入院する者は決まって身より無く見舞いをする者もいない。それ故、知られる事も無いのであろう...通された部屋は個室だった。ベッドには顔色の悪い年寄り狐が寝ている。

「お順、此の者の面倒を親身になって看る事。これからは此の者と寝食を共にする」

ちょっとッ!なんであたいがこんな爺狐の面倒をそこまで看るんだ!寝るのまで一緒なんて病いがうつるよッ、ふるふるご免だよ!」

「看るのよ」

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
fn.jpg


そう云うとさっさと部屋を出て行ってしまった。お順は面白くもなさそうに部屋にある畳の上に横になる。此の部屋には小さな洗面台と畳みがあり付き添いの者が休むのには不自由ない。

「ふん、馬鹿馬鹿しいよ!やってられるかってーのッ!」

「すみませんが...げほげほ、お水を頂けませんか?」

「えっ」

声の方を振り向くと爺狐が、か細い声で頼んでいる。

「はいはい、わかったよ」

ぞんざいな返事をして、枕元にある吸い口で飲ませる。

「はあはあ...もうけっこうです、ありがとうございます」

爺狐の丁寧な物言いに少し気を良くした。

「いいって事よ、あんたの面倒看るのはどうやらあたいの仕事らしいからね」

「そうなんですか?ありがたいことです、こんな身よりもない年寄りにご親切な事です」

「まっ、寝てなよ。あたいはちょっくら訊いてくるからさ、いろいろと訊かなきゃ訳が分からないよ」

「それでは休ませて頂きます」

部屋を出ると取り敢えず、隣り部屋をあたってみる。信竹に訊くのは業腹だったので、同じ様な下働きの者に訊こうと思ったのだ。

「すみません、あたいは隣部屋の下働きになった者です」

「はいよ、ちょいとお待ち下せいよ」

顔を出したのは優しげな声とは裏腹な凄みのある猫だった。お順は少し驚いたが、尋ねる相手を選んでいる場合ではなかったので訊いてみる。

「なんでござんすか?」

「あの、あたいはお順と云います。隣部屋を任されたのですけど、何をどうしていいのか、さっぱりなものですから、、、信竹に訊くのもイヤでね」

「そいつは俺から云う訳はいかないな、信竹様に訊くんだな」

猫は邪険に云うとさっさと戸を閉めてしまった。

「なんだい!人が物を聞いてんのによッ、フン!






つづく





またまた、野暮用でござんす。
すみませんがコメント欄は閉じました。
来週は開けますので宜しくお願いします。


ぴゆう




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