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クルミ 40 祝い鯉

前回

クルミの成長に納得をするコノミだった。


はじまり、はじまり



「そうさ、あいつら風神様に散々親馬鹿って云われたらしいよ」

「お蜜様、あたい達姉妹には親はあっても無いが同然でした。いえ、いっそ居ない方がまだ良かった...居なければ恋しく思う事も出来ました。だけどあたい達には生みっぱなしの親がいた、、、

あたい達は愛されることもなく、また愛した記憶も無い、そんな親子でした。あたいはそんな親には希望も持たなかったし、愛情もなかった、、、だけどこの子だけにはそんな辛い思いをさせたくなかった...役不足だけどあたいが親になろうとしました。

あたいは大きくなったらこの子とあの安酒場を出ようと決心してました。なのにあいつに突然、売り飛ばされた。クルミに別れを言う暇さえ許されなかった、、、そして富吉と出会い、貞兄貴様のご好意を受けるまでのあたいは地獄でした。

でも地獄にいたあたいでも、『いつかクルミに会う!会って一緒に暮らす!』という希望だけは捨てなかった。ひかされた後、我が儘云ってこの子に会いにいった時、既にこの子は行方不明...死にたかった。だけど富吉に止められて『必ず会えるよ!』って、、、『生きてりゃ会えないわけねえ!』って...ゥッ...」

コノミは涙で言葉が詰まって出て来ない。

「コノミ・・・」

富吉も泣いている、お蜜もクルミも泣いていた。外で立ち聞きしていた村の者達も泣いている。

「姉ちゃ...ん」

コノミは下げていた頭を思いっきり上げた。

平気だよ!あたいね、お蜜様の話を伺ってよくわかったんだよ。あたいがこの子と暮らしてもあんな真似は教えられるものじゃない、それに何よりもクルミに親が出来たんだって。

あたい嬉しい!よれよれになるほどクルミを心配してくれる親がこの子を育てていてくれたんだって、こんなありがたい話なんてありはしないよ、ねっ!お前さん」

「ああ、本当だよ!クルミちゃんは幸せなんだな」

「姉ちゃん」

「あたい、お前が幸せなら、もう何にも言わないよ」


姉ちゃぁあーーん!


クルミとコノミはしっかり抱き合った。お蜜はそんな二人を見ながら富吉に言う。

「あの子の迎えは心配いらないよ、明日にでも茂吉が来るからね。それから富吉、クルミが旅立った後、コノミはがっかりすると思うよ、今は強がり言っているけどね。だけどコノミには今お腹に子達がいる。きっとあの子達が立ち直らせてくれるよ。それまでお前も辛いだろうが辛抱しておくれ」

「とんでもねえ、あっしには過ぎた女房です!何を言われても平気ですよ」

「お前、いーい男だねえ~、惚れちまいそうだよ」

「へへ」

「それじゃ、あたしは行くよ」

「本当にありがとうごぜえやしたっ!」

「いいってことさ」

お蜜はそっと外に出ると、立ち聞きしていた村の者達にコノミ達をあたたかく見守ってほしいと頼み、空高く飛んで行く。

クルミは旅立ちの日を翌日に決める。姉がわかってくれたのに、自分がグズグスと滞在していれば、姉のやせ我慢が保たないだろうと思ったからだ。クルミはコノミに愛されている事がとても誇らしかった。

「姉ちゃん、あたいお願いがあるの」

「なんだろ?もう驚く事は無しにしてくれよ」

「違うの、あたいね、旅立つ前にお赤飯と鯛の尾頭付きを食べて行きたいの」

「何だあ~、そんなことかい?目出たいことなんだものね!クルミの門出だもの、わかったよ!」

コノミはさっそく富吉に伝えると富吉は急いで魚屋に走った。しばらくすると尾を下げ帰って来る。

「ちきしょぅっ」

「どうしたんだい?鯛はよ?」

「この辺は【産海(うみ)】が遠いいだろ?だから無いんだってよッ、どうしよーっ」

「うーーん!そしたら鯉は?鯉だって目出たいよ!鯉のぼりなんてあるし」

「そっか!鯉なら、かな平さんに頼めば見事なの釣って来てくれるよ!よし行ってくらあ~」

かな平とは木平の恩狸の稲子の亭主である。中々のつり名狸で通っている。かな平は喜んで引き受けると仕事そっちのけでさっさと出掛けた。

「稲子さん、悪いね、かなさんに無理言っちまって」

「何言ってんの!水臭いよ。あの宿六、いい幸いなんだよ、ここんとこ『行きてえよー』って、愚痴っていたんだもの。それにお役に立てるんだもの、あたいだって嬉しいよ!」

そして、かな平は見事な鯉を釣って来るとニガ玉を手際よく取り、下処理を済ませてから富吉の家に持って来た。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
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「コノミちゃん、ニガ玉取ってあるからやりやすいよ」

「わあー、大きな鯉!クルミ~、見てご覧!こんなに凄いの釣って来てくれたよ」

「うわぁ~!見たこと無いね!鯛より、鯉の方があたいに相応しいね」

「ふふ、凄いこと言うよ。確かにクルミちゃんには相応しいかもね、それじゃ」

「ありがとうございました!稲子さんに宜しく」

「はいよ」

富吉はかな平の後を追いかけて行く。かな平を労いがてら、飲みに行くつもりだ。富吉はコノミに『最後の晩だから二人だけで昔話をして過ごしな』と言ってあった。

コノミはさっそく鯉を腹開きにし、塩を振る。下処理をかな平がしていてくれたのでとても楽だ。クルミは楽しそうにそばで見ている。火を熾(おこ)し炙(あぶ)り始めると鯉の腹から油が滴る、その度に煙がボワッと立ち上がる。

「わあ!もくもくだあ~」

「すごい油だね、きっと美味しいよ!楽しみだねー」

「ねえ、富吉兄ちゃんが帰って来ないよ」

「いいのさ、今晩はあたいとクルミだけで過ごすのさ」

「どうして?この鯉、きっと美味しいのに」

「その内、酔っぱらって帰って来るよ。それよりもう出来たよ、開いたから出来るのが早くていいね」

「なんか、尾頭付きだけど干物みたいだ」

「はは、本当だね!だけど新鮮だし、美味しいからいいよね」

「うん!」

この晩のお菜は、大根のみそ汁、こしあぶらのお浸しだ。こしあぶらはクルミと遊びながら採りに行ったので沢山ある。ひょろっとした木は良く曲がるので採りやすく、天ぷらにしたり、ごま和えにしたり楽しんだ。











つづく








今回はコメント欄を閉じました。ちょっと野暮用でコメ返が出来そうにないのです、スミマセン。
来週は開けますので宜しくお願いします。


ぴゆう




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