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クルミ 39 三杯のお茶

前回

お蜜が登場したことで事体は動くのであろうか。


はじまり、はじまり



お蜜は木平と共に学校にしばらく滞在をした。木平は畏れ多いいと恐縮していたが、宿舎の恵み子達とも仲良くなり、とても楽しい時を過ごす。三吉とは特に親しくなった。三吉は自分が離れてからの菰傘村の様子を聞く事が出来、たいそう喜んだ。

三吉がこの時、木平に手紙を渡したのは言うまでもない(短編・お種愛し)そしてお蜜は名残惜しむ木平と再会を約し粒傘村へと旅立つ。

「ここかしら?確かに旗が目印になっているわ」

富吉の店には大きな幟旗が揚がっている。貞の方針で『目立つが一番!』と、どんどん高く大きくなっていった。派手なのは猫国の者は大好きなので貞の読みは当たり!今では【九味豆腐きゅうみどうふ】の名前を知らぬ者は居ない。お蜜が豆腐屋の店先に降り立つ。

「いい店じゃない」

うわあッ!


ひゃぁああーーっ


村の者達は突然、空から降りて来たお蜜に腰を抜かし、富吉とコノミはお蜜に気が付くと慌てて店先に出て平伏す。

「富吉、久しぶり!」

「あっしを覚えていて下さったんですかッ!?

「あたしは子分の顔は忘れないよ」

富吉がお蜜に会ったのは都合二回程、貞に弟子入りした時と暖簾分けを許してもらい粒傘を後にする時だけで、それも部屋の端の方で平伏しているだけだったのに、、、富吉は感激してしまう。

「コノミっ、お蜜様だ!畏れ多い事だー!」

「はっ、はい、こッコノミでございますッ!」

「お前がコノミかえ?腹の子に触るよ、ほらお立ちよ」

「でっ、でも...」

お蜜はコノミ達を立たせると、そばでぼーっと突っ立っていたクルミに挨拶をする。

「ふふ、カワイイ恵み子だこと。あたしはお蜜だよ」

「あ、あたい初めて見たものだからビックリしちゃって・・・あたいクルミです!」

「あたしが来たのは貞から聞いたからだよ。さあ、あたしを外にこのまま立たせておくのかえ?空を飛びっぱなしで来たんだよ、喉がカラカラなんだ」

「申し訳もねえ事です!」

「気が付きませんでッ、ささ、汚い所ですが、クルミもご案内して」

「お蜜様、こちらにどうぞ」

クルミは直ぐに落ち着き、いつものおしゃまなクルミに戻る。さっそくお蜜の手を取ると店の奥に連れて行く。富吉が座布団を勧める。クルミが水を持って行こうとすると、コノミが止める。

「あれ?お蜜様にはお茶をお出しするんだよ」

「いいの、姉ちゃんはお湯を沸かしてよ」

クルミは台所に急いで行くと冷たい水をお蜜に差し出す、お蜜はごくごく一気に飲んだ。鉄瓶の前で中々湧かないお湯にコノミがイライラしている。

「姉ちゃん、此処に入れて」

「だって、まだ温いよ」

「いいの、それからそのまま湧かすのは止めないでよ」

「いいの?知らないよ」

コノミは温い湯を茶瓶に注ぐ、茶葉が少しづつ広がっていく。

「姉ちゃん、今度は熱いお湯を入れてね」

「はいよ」

クルミはお蜜にまた湯のみを差し出す。お蜜は温いながらも爽やかな香りと、ほんのり甘く感じるお茶を美味しそうに飲み干す。最後に濃いめで熱々のお茶をクルミは持って来た。

「今度は熱いので気をつけて下さい」

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
sanbainoocha.jpg


お蜜はそんなクルミをじっと見ている、心底感心をしている様子だ。

「恐れ入ったね、どこで覚えたんだい?」

「あたい、紫狼兄ちゃんが急いで来たお客様にそうしているのを見てたから、真似したの」

「でも紫狼は端からお茶にしてたよ」

「えーっと、お蜜様はお空を飛んでいたから、普通より喉がカラカラだと思ったの。そしたらお茶より、まずはお水が飲みたいだろうと思ったの」

「すごいねえ~、その通りだよ!飛ぶのは喉が渇くのさ。竹筒の水なんか直ぐに飲んじまうもの」

二人の会話を聞いていたコノミが突然泣き出す。クルミは驚いて姉の元に駆け寄る。

「いいのよ、いいの平気なの、平気よ...」

「姉ちゃん、どうしたの?なんかあたい悪い事したの?」

「違うの、違うのよ・・・」

お蜜が二人のそばに来る。

「コノミ、わかったんだね?」

「はい、、、あたい...いつまでもこの子をあたいの知っているクルミとッ、、、」

「違うかえ?」

「ええ、あの頃の妹じゃない..立派に成長してました」

「姉ちゃん・・・」

「クルミ、あたいもわかったよ。あたいにあんな真似はお天道様がひっくり返ったって出来やしないよ、お前はそれを咄嗟(とっさ)に出来るのだもの・・・恵み子様ってのはお茶を入れる事一つとっても違うんだね」

「コノミ・・・」

富吉も心配そうにしている。

「あんた、あたい漸(ようや)くわかったよ」

「コノミ、あたしはね、この子が恵み子である前にお前の妹と云う事がどれほど大事で大切な事かを知ってるよ。それは茂吉も紫狼もよくわかっていることさ。風神様に諭されたって云うのもあるが、クルミの気持ちを知った上で愛する者と別れが出来るのを待っているのさ。いつまでも待っているってね、、、」


茂吉様がッ!?・・・」


「そうだよ、あいつらはクルミが居なくなって、そりゃ死にもの狂いで探したらしいのよ」

えっ!そうなの?」

「クルミ、後で会ったらよーく謝るんだよ『ご心配をかけました』ってね。もう茂吉なんかよれよれになっていたらしいよ」

「茂吉様がそんなに?・・・」

「おいッ、コノミ!」


あんたぁー!


ありがてえなあー!


「クルミは可愛がってもらっているんだね!」










つづく
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生涯一職人・・・いいやねぇ!
大好きだよ、その職人魂。
だから豆腐も美味い、これ、中り前の法則だね。

しかしまぁ、お蜜さまのイロッペ~こと♡
お顔もそうだが、お尻尾までも、色ッペ~わな~♪

クルミは可愛がってもらっているんだね・・・・・
「つづく」までの余白の長さに、姐さんの思い入れの深さを感じたよ。
人生、嬉しくもあり、切なくもあり。
理解できたことは、別れを意味するもの。

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おはようございます。

目立つが一番!って、大阪人のすきなことばね。
ふふふ・・・大阪でも大繁盛間違いなしだわ。

三杯のお茶・・・深いですね。
相手のことを思いいれる、その時に応じて対応する。
そんなことができるようになって、成長したなぁと思います。
いっしょに成長を見届けられる私は幸せ。

↓ やっぱりおばあちゃんに会いたい。小さい頃
見守ってくれた大切な人。

相変わらずお蜜さまは麗しいですね~♡
挿絵、今回もとっても素敵です!

クルミは幸せですね~
沢山の心配を受けて、
コノミちゃんも安心したかな?
そしてさすが恵み子、
お茶を淹れるにしても、全然違うのね!?
ワタクシ、今回 勉強になりました!

クルミの成長した姿は、コノミにとってほんとに驚きと、嬉しさでいっぱいでしょうね。これで、少し心の整理ができたかもしれないです。一緒にいることも、幸せな事かもしれないですが、クルミは恵の子。これは、仕方ないことです。離れていてもきっと、お互いを忘れることは出来ないと思います。しかし、お蜜派手な登場ですね。コノミがびっくりして、産気つかないかと心配してしまいましたよ。

コノミは妹のクルミが、知らない間にどんなに成長していたか、どれほどみんなに愛されているかに気付き、自分たちの運命にも納得したようですね。
みんな思いやりをもった、やさしい方達が幾重にも見守って下さっているので、ここまで来るともう安心かな?と思ってしまいます。

挿絵の中に「生涯一職人」をさりげなく飾ってあるのがいいですね。
相変わらず独特の雰囲気の挿絵が今回もきれいですね。お見事です。

石田三成の逸話ですね。そこまで知恵の回るクルミちゃん、いい恵み子になれますね。

知恵が回るといっても曽呂利新左衛門レベルまでいったら回りすぎですが……(^_^;)

コノミちゃんも覚悟を決めたようですね。

いよいよ別れのときですか。

みんなに幸あれ!

お久しぶりのお蜜さまなような。
挿絵付きでうれしいですね。
相変わらずの尻尾の美しさでとても良いです。
(*^-^*)

挿絵のお蜜さん、ますます綺麗になられて^^
今日はどのシーンもキラキラ光っている感じがします。
自然な会話や仕草から、クルミの成長を感じられて、コノミは納得したのでしょうね。
茂吉やみんなの優しさを充分納得した上で、クルミを送り出す気持ちになれることは、一番幸せなことですもん。
お蜜さんの狙いは、そこなんでしょうね。

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さすがお蜜さま、
絵もキラキラと輝いているわ~

賢いクルミちゃんもさることながら
お茶の出し方で
妹の力量を知るコノミちゃんも
さすがにクルミちゃんのお姉さんだなぁって
思います。

それにしても良い姉妹だわ。。。

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お蜜さん、相変わらず綺麗だなぁ〜!
クルミは、なんて成長したのだろう!
そっか、お茶のだし方ひとつも、相手を思いやって。
さすが、恵み子だなぁ・・・。
見習わなければ・・・。

こんにちは~。

お蜜様美しいですねえ。

クルミの成長は素晴らしいですね。
冷たい水から温かいお茶、熱いお茶と
順を追って勧める心遣い。
知らぬ間に恵み子になっていて。

コノミもこの時やっとクルミの成長と別れを
感じたのですね。納得出来る思いを・・・。
切ないけれど喜びでもあるのですね。

こんにちは^^

いよいよ別れの時が近づいているのかな。

お密様ったら、きらきらと輝いて美しいこと~  惚れ惚れ^^

母親は最悪だけど、姉妹に恵まれてよかったよ。

コノミにも目一杯幸せになってもらいたいものです。

ちらちらと桜が咲き始めました。

相変わらず風が強いので体感温度はまだまだ低めですが

北国の春はまとめてやってくるのです。

llama姉さん、いらっしゃ~い!

こんにちはー

いいでしょ
貞吉のモットーでございます。
富吉が独立する時、貰ったものだそうです。
富に言わせると家宝らしいです。
ぷぷ

相変わらず、いい女狐でございます。

コノミの気持ちを思えば、言葉で納得をさせるのは酷いとお蜜は考えたと思います。
お蜜も伊達に長生きはしていない。
恵み子ならば、きっとクルミはそうするであろうとふんだのでしょう。
そして恵み子の姉ならばわかるともね。
それにしても、別れは辛いことです。
v-409

Mieさん、いらっしゃ~い!

こんにちはー

ぷぷ
貞吉の商売上手を褒めてあげますかね。

見届けてくださいね。
こうして皆さんの優しい愛情が猫国を豊かにしてくれる。
ありがたいことだ。

ナンテ羨ましいことでしょう。
旦那もお婆ちゃん子ですわ
私が唯一もっているお婆ちゃんの思い出は金平糖を貰ったことです。
へへ
v-410

★すももママ★ちゃん、いらっしゃ~い!

ありがとニャン。
室内って相変わらず難しいです。

国の運営も上手くいっているようです。
お蜜はお風の目の届かない所によく気がつくので
今までサボっていた家臣たちも必死に働いているそうです。
トップが率先しているので文句もないようですよ。
ぷぷ

おおーー
それは何よりでございます。
お茶を淹れるというのは、単純な行為です。
単純だからこそダイレクトに相手に伝わります。
出先で美味しいお茶を頂くと本当に嬉しいもの。
心遣いを感じますものね。
v-410

むらななちゃん、いらっしゃ~い!

こんにちはー

だよねぇ〜
コノミもやはり苦労人だけに尚更、わかるのよね。
クルミの成長は嬉しくもあり・・・
複雑ですよね。
思い合っていることに変わりはないのですもの。
いい姉妹です。

ぷぷ
そりゃそうだ。
気をつけないといけませんね。
v-391

園主さん、いらっしゃ~い!

こんにちはー

ですねぇ~
複雑だった気持ちもクルミが本当に愛されることが分って
とても幸せになったと思います。
これから自分が為すべきことはクルミを気持ちよく送り出すこと。
そんな心境になったと思います。

あれは貞吉が暖簾分けをする子分にあげるらしいです。
富吉に言わせると家宝なんだそうです。
ぷぷ
v-410

ポール、いらっしゃ~い!

こんにちはー

やはりお分かりで
そうなんですよ、けっこう三成の逸話は好きなのが多くて興味深い人物です。
曽呂利新左衛門は知りませんでした。
落語の始祖なんですね、すごく勉強になりました。
こう云う人物こそ、大河ドラマでやって欲しいです。

ですね。
言葉で言わなくてもわかることがあるミタイナ

おお~~~ポールも幸せになぁれ!
v-410

LandMさん、いらっしゃ~い!

こんにちはー

たまには顔を出させないとね。
忘れちゃいますよね。
ぷぷ

九尾を描く時は楽しいです。
キラキラさせるのが好きなもので、へへ
v-410

limeさん、いらっしゃ~い!

こんにちはー

嬉しいでござるなぁ〜
ですね。
自分の目の前にいるクルミがクルミであってクルミでない。
いつの間にか、こんなにも成長をしていた。
其のことに気がつく、コノミは素晴らしい姉ですよ。

お蜜も思案したと思います。
クルミという幼いながらも恵み子になった子狐。
興味もあったし、試したくなったのかもしれません。
恵み子ならば、突然現れた賓客を動じることなく持て成すことが出来る。
そして見事してのけた。
流石のお蜜も納得しますよね。
v-410

園長さん、いらっしゃ~い!

こんにちはー

ぷぷ
益々、いい女王様になっているようです。

全くその通りですよね。
何処で読んだかも忘れたのですけど、こんな話がありました。
お公家たちが作法の家元を試す話でした。
普通のご飯より箸先を汚しやすいものを選んだ。
湯漬けと箸一膳。
これならびちゃびちゃして食べづらい
家元だと言うのなら綺麗に食べるに違いないとね。
結果はお椀は綺麗に空、箸先は、ほんの少し濡れた程度でした。
綺麗に食べる家元も凄いが、箸先に気がつくお公家たちも凄いと読んで思いました。

コノミもやはり素晴らしい姉なのですよね。
v-410

きらたるちゃん、いらっしゃ~い!

こんにちはー

お蜜は生き方を変え、自信を持った。
内からの輝きで益々、キラキラしています。

お茶一つでも違うものなのですよね。
僅かなことなのにね。
この話のエピに使った石田三成の逸話
佐吉の心遣いをわかる秀吉も凄かった。
クルミもコノミもお互い素晴らしいです。
v-410

うにゃままちゃん、いらっしゃ~い!

こんにちはー

生き方が自信となり、魂が磨かれた。
今のお蜜には狐国に無くてはならない存在になりました。
頑張っているからこその輝きでしょうね。

ですね。
相手を思いやる気持ちがなくては出来ないことです。
咄嗟にそれができるほど、クルミは成長をしていました。

悲しくて辛いけど、この事で納得もできた。
コノミは素晴らしい姉です。
流石、恵み子の姉と褒めたくなります。
v-410

どーちん、いらっしゃ~い!

こんにちはー

辛いけどそうなのよぇ〜

内から輝いているからピカピカしているのだ。
ぷぷ

それが救いだよね。
今で言う毒親の下で思い合い助けあってきた姉妹。
だからこそ繋がりも太く深い。
分かり合えるとお蜜も思ったのでしょうね。

寒そう〜
しかし、脂分というのは防寒にもならんし
何だろうね?
夏場は暑いし、歩けば重いし・・・・
いい加減、飽きているのに捨てるに捨てられない。
不愉快だわさ。

桜ーーーーーー
今回は千鳥ヶ淵に花見に行きましたーーー
凄い混んでいたけど、楽しかったでござる。
どーちん地方のお花見、いいなぁ〜
v-252

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 のくにぴゆう

Author: のくにぴゆう
猫国の住民達の物語を書いています。
作者はコメを食べて生きてます。
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