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クルミ 36 恵み子の証

前回


茂吉と紫狼は鏡に写るクルミの姿に涙する。



はじまり、はじまり



挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
megumikonoakashi.jpg


「あのような真似が出来るのは理知る恵み子なればこそ。情と理をもってなしているではないか」

「あぁ、本当に!」

「ええ、ええ!その通りです!」

「わたしは茂吉がキナと云う河童に『天の計らい』と言うた時はどきりとした。知っているのかと、、、」

「とんでもない事です。ですが冷静になって考えればわかることでした。あたしも紫狼も親馬鹿に成り下がっていました、、、クルミを恵み子にした事に自信も持てませんでした」

「そんな悩みがあるに我らに相談もしない、寂しいのお」

「・・・」

「我らは頑固親爺のそなた達の悩みを解決するには言の葉で言うても無理と思うた。故にクルミに旅をさせた。あの子は立派に成し遂げている、自ら恵み子であると証明した」

「はい、何より嬉しゅうございます」

「そしてお前達のもう一つの蟠(わだかま)りである肉親との覚悟の別れもクルミは心得ているようじゃ」

「そうなのですか!?」

「だからこそ、姉に会いたかったのであろう。姉にきちんと別れをしたかったのだろ。真に健気な恵み子よ」


クルミーーーッ!


「困った親馬鹿じゃ。お前達は今少し辛かろうが辛抱するように。その内に何やら便りがあるであろう。さあ三吉を起こすがいい、一緒に食事をしよう」

こうして茂吉達は風雷宮で素晴らしい食事をごちそうになり、学校に戻って行く。茂吉達は風神に、便りがあるまで辛抱するようにと云われていたが、クヌギ達と《この世鏡》にクルミの日々を映し、何かあれば直ぐに迎えに行こうと決めていた。親馬鹿は全く治らない。

そんな事を知らないクルミはとても元気だ。毎日コノミにくっ付いて離れない。コノミもクルミと一緒にいられる幸せを噛み締めている。

「本当に仲のいい姉妹だね」

「ふふ、あたいの自慢の妹だもの。どうよ?此のお耳と尻尾の綺麗なことったら!」

コノミが自慢するのがわかるほどクルミの毛の赤は美しい。

「あたいなんかとは桁が違う気がするもの」

「やだぁーあたいの毛は姉ちゃんと一緒よ!」

「そんなことないわよ、姉ながら惚れ惚れするわ」

「あたい、恥ずかしい~」

こんな会話を毎日している姉妹だった。富吉も呆れるが、コノミが幸せそうなので嬉しい。そんなコノミも、クルミから色々と話しを聞いているので、ことの重大さはわかっていた。

自分が晴れて自由の身になった時、元締めの貞に許しを得、狐宿の店に行った。クルミを引き取ろうと思ってのことだ。憎い母親の顔を見るのもイヤだったので、富吉から訊いてもらったが知らないの一点張り、、、

近所で訊くと確かに行方知れずとの事。その後も探したが皆目、行方がわからず、泣く泣く諦めたのだった...そんなクルミから『大きくなったら売られる筈だった』と聞くと腸が煮えくり返った。

母親が自分と同じ目にさせようとした事に狂いそうになる。そしてご飯も満足に食べれなかった事を聞くと、心が千切れた。耳から血が出そうなくらい話しを聞くのは辛かった...

でも、そんなクルミが高名な茂吉に引き取られ暮らしていた事を聞き、喜びもしたが不安にもなる。茂吉の事は知らないわけではない。猫宿に来てから『大相撲』の件も聞いていたので、どれ程の力あるお方と畏(おそ)れもした。
※大相撲参照※

だが、クルミから聞く茂吉に紫狼、他の恵み子達や友達の三吉の話しには泪が溢れる程に嬉しい事ばかり。クルミは地獄から救われていた。『もしやしてクルミは尊いお方達に心配を懸けているのでは?』と思い至る。

富吉とも相談をして、元締めの貞吉に長い手紙を送った。畏れ多くて直接手紙は出せない。それから三週間あまり、貞吉からの返事もなく、いつの間にか忘れていた。

コノミは日毎に大きくなっていくお腹の所為で、今までの様な自由も利かないので苛つく事が多いい。するとクルミは上手い具合にコノミを宥(なだ)めてしまうので富吉はクルミ様々である。ある日、クルミはコノミの大きなお腹に耳を当てていた。

「姉ちゃん」

「なあに?クルミ」

「この子の名前、考えた?」

「ううん、そう云えば考え損ねてたよ」

「あたいの所為だね」

「そんなこと有る訳ないさ!あたいはお前がこうして側にいてくれて何よりも嬉しいよ」

「へへ。あたいね、お願いがあるの」

「今日の晩のおかずかい?何でも好きなの作ってあげるよ」

「違うよ、あたい姉ちゃんが作ってくれるものは何でも好きだもの」

「もう、可愛いんだから~」

クルミはこの愛らしい妹に頬ずりする。本当に仲良しの姉妹なのだ。惨く離したお順の罪は深い。

「あたいね、この子が女の子なら『クルミ』って名前にしてもらいたいの。男なら『三吉』って」

「どうしてさ?お前も子供もクルミじゃ、呼んだら二人して振り返るし、それに・・・あっ、そうか!お前は大きいから、おクルミで、この子はちびクルミって呼ぼうか?」

「違うょ...」

「変かねえ?もっと違う呼び名を考えようか?」

「姉ちゃん、そうじゃないの・・・あたい、このまま姉ちゃんと暮らせないの」

「どうしてよ!?何言っているのよッ!!
あたいはお前と離れるなんてもうイヤだよっ!!

「あたい嬉しいッ!ずっとこのまま暮らしていたい、、、だけどあたいは戻らなきゃいけないの」

どこによッ!?だってお前は売り買いされたわけじゃないんだから何も心配はいらないんだよっ!あたいと富吉で貞吉兄貴様によーくお願いしてるから

「違うの...姉ちゃん、あたいは【恵み子】なの」






つづく




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クルミ・・・健気などと言う言葉では表せないほどだわ。
自分の置かれた立場を、常に意識して前に進む。
それが、恵み子の恵み子たる所以、なのでしょうね。
コノミのお腹の子に自分の名を・・・。
もうね、この辺でね、鼻の奥がツーーーンとくらぁね。
よくできた制度(仕組み)だと思ったけれど、こういうのは辛いねぇ。
やはり物事には、メリット&デメリットがあるんだ。
せめて年に一度でも、会える仕組みは作れないのかなぁ。
なーんて事をつらつら思いつつ、サラッと読み終えてしまった。
ここは本当に楽しいにゃ~♪

あぁ、そうだ。
姐さん、この私を猫国にご招待くださるとな。
嬉しいねぇ。
どうせならば、猫にして迎えてほしいな。
んで、伽羅とは親子のまんまでな。
そちらでも、伽羅と一緒に暮らせるならば、本望じゃわ(笑)

ついに自覚のときが訪れましたね!

いよいよ帰る日が来たのですね……。

しかしそれは、また新たな物語の始まりなのでしょうね。

赤ちゃんは双子がいいなあ。そして名前は「クルミ」「三吉」と……。

クルミは、お姉さんにお別れするためにここに来たのですね。
知らず知らずに、ちゃんと自分が恵み子だということを悟っていたのかもしれませんよね。そうじゃなかったら、一緒に住むって言うはずですもん。
子供は何も指示されずに孵化するし、巣を飛び出すし、ちゃんと大人になる。
全部天の采配なのでしょう。
親の役目って、ただそれを優しく見守るだけなんでしょうね。

おはようございます。
親馬鹿ははね・・・しかたないよね。
だって愛おしいんだもの。

クルミちゃん、お姉ちゃんと生活ができてよかった。
ほんとうによかったです。いい想い出。

クルミちゃん、ずいぶん成長しちっゃたな。
たのもしいね。

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このコメントは管理人のみ閲覧できます

こんばんは~~♪
クルミちゃんお姉ちゃんと素敵な日々を過ごせてるんですね・・よかった。

この世鏡 で全部見えるなんて・・・こんなのがあったら便利ですね。
私も この世鏡があったら毎日誰を見て暮らすんだろう(。^p〇q^。)プッ

幸せな時間ですね。でも、その幸せな時間も終わろうとしていますね。クルミはほんと賢い子です。もう、離れ離れになりたくないはずなのに、子供のクルミが、大きな決断をしようとしています。どんなに辛く、悲しいことでしょうね。でも、悲しいけどきっと、お姉ちゃんもわかってくれると思います。出来たら、生まれてくる赤ちゃんと、面会してから帰ってほしいなぁ。

ようやくお姉ちゃんと出会えたクルミなのに、これからまだすべき事と将来がわかっているのでしょうか?
お姉ちゃんの子供に自分と同じ名前をつけてほしいという事は、もしかして違う世界へ旅立つのか? つかの間の喜びを存分に楽しんでいながら、もうすでにその姿を違う次元から眺めているようにも思えます。
クルミの旅はこの先どうなるのか?見当もつきません。

クルミ健気ですにゃあ。
ちゃんと自分が恵み子であることを自覚していて、
お姉ちゃんと別れなくちゃいけない事も分かっている。

色々な体験は無駄ではなかったのですね。

でももうしばらくコノミと一緒に居させてやりたいような・・・。

紫狼もだけど
もっ茂吉が、
皆から神様のように思われている茂吉が
風神様から頑固親爺と言われてることに
貧血起こしそうになりました(笑)

でもこれは風神様の愛情表現なのね。
この世界で上に立つのは
みんな 愛情深い方々ばかり(*^。^*)
だからクルミちゃんは どこにいても幸せになる。
幸せになった恵み子は
出会う人すべてを幸せにする。
この世界では
幸せがどういうことかわかるために
辛いことが起きるんだね。

・・・彼女にとって、それは幸せなのか。
あるいは不幸なのか。
自分の生き方は私ももう決めている節はありますが、
それを突き進むには経験と妥協と年月が結構いるものですけどね。
誰に否定されようとも大切にしないといけないものは誰にでもありますね。

あぁ〜、クルミは、やっぱり自分が恵み子だってことを、
こんなに自覚しているんだ・・・。
紫狼や、茂吉の目に狂いはなかったってことね。
さすがだな・・・。
でも、恵み子になるなら、お姉ちゃんとは、
お別れになっちゃうかな?
さみしいね。

こんにちは^^

クルミは恵みの子であることを自覚していたのか~

故に恵みの子なのだわ

クルミとの楽しい時間もあと僅かなのね


卒業式があるので、クローゼットと格闘し敗北しました。

たった2年で着られなくなるなんて・・・まっ当然の結果なのですが^^



llama姉さん、いらっしゃ~い!

こんにちはー

ですねぇ~
恵み子になる時、茂吉と契約をしますが
それは魂に刻まれたと言うべきなのでしょうか。

三吉が家族と別れてきたように、
幼いだけに辛いものがあります。

裁く立場にあるものは清廉潔白であるべきだと思います。
恵み子には一点の曇りないことを求めました。
故に地縁、血縁その他諸々の柵がない生活を送ること。
そうでなくては、裁かれるものがどうして納得できましょうか

嬉しいにゃ〜
頑張らねば

勿論でござる。
猫国では人の姿はご法度でございますからね。
菰傘村に家を建ててもらいましょう。
五黄に頼むか!
v-391

ポール、いらっしゃ~い!

こんにちはー

まだ帰らせないよぅ
もう少し、姉妹と一緒に居させたいものねぇ
一日一日が二人の大切な時間。

にゃっぱり鋭いのぉ〜
其のことに関してはもう一人、鋭いのがその内に出てきます。
ぷぷ
v-391

limeさん、いらっしゃ~い!

こんにちはー

悲しいことですけど事実です。
クルミは三吉がしたように
自分もしたかったのでしょう。
それが恵み子だと分かっていたと思います。

コノミには辛いことですが
それも恵み子の身内が乗り越えなくてはならない試練でもあります。
名誉でもありながら辛くもある。
コノミは自分の気持をどう納得させるのでしょう。
v-390

Mieさん、いらっしゃ~い!

こんにちはー

だよね。
仕方ないよ、それが肉親の情だもの。
まして想い合ってきた姉妹ですものね。

全くその通りです。
悲しさと懐かしさだけでいた二人に
楽しい思い出が出来ました。
何より嬉しいことだと思います。

いつの間にか、成長をしているものですよね。
本当、頼もしくなりました。
へへ
v-410

りんだちゃん、いらっしゃ~い!

こんにちはー

やっと暮らせる喜びに満ち溢れた生活だと思います。

便利ですよね。
誰だろう?
あの世は見れるのかな
テレビみたいに映るとしたら楽しいかもしれない。
ぷぷ
v-410

むらななちゃん、いらっしゃ~い!

こんにちはー

本当に幸せな時間です。
二人共、待ち望んていたものねぇ

それが肉親の情だよね。
でもクルミは恵み子なのよね。
コノミだけのクルミではなくなっている。
この先、いつになるかわからないけど
尊い仕事につくための勉強が待っている。
知らなくてはならないことばかり
今はまだ幼いけど、本人はわかっているのよね。

そうであればいいけど・・・
v-390

園主さん、いらっしゃ~い!

こんにちはー

ですね。
クルミにとってかけがえの無い姉です。
せめて自分と同じ名を子につければ、寂しさも和らぐのではと考えたのでしょう。
愛らしく切ないことです。

旅というのなら、ある意味、旅なのでしょう。
すでに恵み子という終わりのない旅が始まっていると言えますね。
v-410

うにゃままちゃん、いらっしゃ~い!

こんにちはー

健気ですよね。
一生懸命なんだと思います。
姉と暮らしたい、でもそれでは自分の使命を全うできない。
子供だからこその思いっきりもあると思います。
それ程に茂吉達との暮らしは心地よいのかもしれません。

これからの糧になったと思います。

そうですよね、もう少し。
v-410

園長さん、いらっしゃ~い!

こんにちはー

ぷぷ
風神様もよく言いますよね。
自分たちも同じようなものなのにね。
お互いを思い合う、素敵な関係ですよね。

全くそうですね。
上に立つ者の愛情が溢れ、世界の隅々にまで行き渡っている。
恵みを戴いていると思います。

クルミが皆に残したものは良い思い出となりましょう。
又、会えるのは魂だけですものね。

そう思って頂けると幸せでござる。
v-410

LandMさん、いらっしゃ~い!

こんにちはー

使命を持った者は違うかもしれません。
己の幸不幸を考えるようでは
恵み子として生きていくのは無理でしょう。
地縁血縁を断つというのはキツイことです。
そんなことがあるから、めったに現れないし、何度も面会をします。
が、三吉がキッパリしていたようにクルミも同じなのかもしれません。
v-410

きらたるちゃん、いらっしゃ~い!

こんにちはー

自覚していましたね。
むしろ、今回のことで本人も自信がついたと言えます。

二人の親馬鹿ちゃん達は大喜びをしています。
風神様達のお陰様ですね。

悲しいけどめでたい門出でもありますね。
v-410

どーちん、いらっしゃ~い!

こんにちはー

わかっていましたね。
三吉のようにお別れをしたかったのでしょう。
健気な娘です。

ニャハハハ
それ、わかるぅ〜
なんだろね、ハッキリ言って不愉快だよね。
めったに着ないけど、着ることがある。
使うときにそれじゃ腹立つわ〜
v-412

そうだった・・・

そうだったね・・・・・
幸せな再会をしたけど
2人は別れなければいけなかったんだよね・・・
切ないけど、それが猫国の摂理だから仕方ないよね・・・・・

この先はどうなるのかな???
コノミねえちゃん、悲しいだろうな・・・・・
クルミも切ないだろうな・・・・・・・・

かじママちゃん、いらっしゃ~い!

こんにちはー

そうなのですよね。
キチンとお別れをしたいが為に会いに来た。
変な話ですけど、それが正直なクルミの気持ちでしょう。
それも恵み子の試練なのでしょう。

コノミがどう気持ちの折り合いをつけるのか。
難しいでしょうが
やはりクルミの姉様です。
きっとわかってくれると思います。
v-409
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 のくにぴゆう

Author: のくにぴゆう
猫国の住民達の物語を書いています。
作者はコメを食べて生きてます。
コメくださ~~い!
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