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クルミ 29 行く先

前回

テレとトチと兄弟だったキナ。クルミがそれを知るのはいつのことだろう?


つづく


「ふぁ~年寄りにはきついよ、引退したいでありんす・・・」

「あのぉ、、、おばあちゃん」

「へっ?誰だい、あんた」

突然声をかけられ驚いた婆猫はクルミを見ると怪訝な顔をする。

「何だい?どうして子供がこんなとこにいるんだい

「おばあちゃん、ここって東雲楼なの?」

「そうだよ、字が読めるのかえ?こんな難しいのに」

「あたい、この読み方だけは忘れないもの」

「ふーん。で、なんだい?あたしゃ忙しいでありんすよ」

「あのね、ここにコノミ姉ちゃんが居ると思うんだけど・・・」

「コノミ?うん?・・・あっ!セキレイちゃんの事かえ?」

「なあに、セキレイって?あたいはコノミ姉ちゃんを探しているのよ」

「コノミはセキレイって源氏名だったのよ。そういや、お前は柄がセキレイそっくりざます」

「あたい、妹だもの」

えーっ!?お前セキレイの妹?、、、」

この婆猫はとっくに引退して今は遣(や)り手婆になっているのだが遊女言葉が抜けない。気もいいし、女達には好かれているので店では重宝がられ結構忙しい。婆猫はクルミを連れ店裏に周ると小さい声で話し出す。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります

ikisaki.jpg

「あのね、セキレイはもうここには居ないよ」

えーーッ!?どうしてなのッ?
あたいは姉ちゃんに会いたくて、会いたくてこんなとこまで来たのにぃーーッ!!
うわぁあーーん!

「ちょいとッ、泣かないでな!悪い事じゃないんだからさッ、いいから泣かないで聞くでざます!!

宥められてもクルミは中々泣き止まなかったが構わずに話し出す。

「セキレイはね、ひかされたんだよ。今じゃ立派なご新造さんでありんすよ」

「どう言うこと?ご新造さんってなあに??」

話しによると、コノミは豆腐屋の富吉と云う猫に一目惚れされた。富吉は三日に上げずに通い詰め、到頭店を売るまでに至った。豆腐屋の元締めの貞と云う親分にこっぴどく怒られたが、何としてもコノミと所帯が持ちたいと泣いて頼んだ。

元々暖簾分けしてもらう程、腕のいい職人、このまま放り出すのも惜しい。結局、貞は根負けしコノミに懸かった大枚の木の皮銭をあっさり積み自由にさせ、相思相愛の富吉と一緒にさせたそうだ。

貞は富吉にこれ以上の遊び癖がついたらならねえと富吉の故郷の粒傘村に引っ越しをさせた。今では二人仲良く粒傘村で豆腐屋をやっているそうだ。

この世界では種族の違いに関係なく結婚する。
元から産まれて来る子は前世でなりたい種族に【魂納めの宮】で契約をしている。子供達の魂は種族を選び望みの種族の母親から産まれる。

母親が猫であれば猫の子に、狐であれば狐の子にと種族が同一なのは血肉を分ける母親だけだ。だから河童の母親から猫の子は産まれないし、間の子も産まれない。

母親とは血肉の縁であって、魂の縁ではない。父親も同様である。この世で血肉を分け与えるだけの儚い縁であるが故に尚一層深い繋がりになる。だから、この世界では同種族同士の結婚もあるし、違う事も間々有る。

クルミはその話しに驚いたが、姉が幸せに暮らしていると聞いて喜んだ。そして増々会いたくなり粒傘村に行こう!と決心し、婆猫に挨拶もそこそこにして駆け出した。

コノミに意地でも会うと思い定め、勢いよく駆け出したのはいいが、どちらに行けばいいのかもわからずに戸惑ってしまう。

粒傘村の場所を尋ねても、知らない者が多いい。猫宿は猫国一の繁華街だけあって他国からのおのぼりさんがとても多いからだ。その事に気が付いたクルミは「そうだ!古い店の者だったら知っているに違いないわ」と早速《創業三百年》と看板に書いてあった飴屋で粒傘村への行き方を訊ねる。

予想通り親切に教えてもらい、大雑把(おおざっぱ)な地図まで書いてくれた。気をよくしその店で黒飴を沢山買うとバックに仕舞い、人混みに紛れ小走りに猫宿を出ると東に向かう、、、

その頃キナの店では大騒ぎだった。

クルミに朝餉を食べさせようと二階に行くと既にもぬけの殻、寝腐っているテレとトチを無理矢理に起こす。寝ぼけ眼の二人は店の外にある蓮台を探すが、クルミの唯一の持ち物であるバックもない、、、二人はようやく焦りだす。

兄貴ぃー!クルミ姫がいないよーッ!!

「どうしてだあ?」

「お前達どういうことだよッ!あの子は猫宿なんて初めてなんだよ。こんな風紀の悪い所に居させられるもんじゃないよ、急いで探してお出で!そんなに遠くに行ってるもんか、きっと迷子になって泣いてるに決まっている。
あーッ、可哀相なクルミ~

キナは昔の哀れな狐の子のクルミしか知らない。大きくはなってはいても、キナにとってクルミは昔のまま。恵み子に成ってからのクルミは賢く強く、見違える程の変身を遂げていたのだが、キナはクルミとひと言も話していないのでわかってはいない。





つづく




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姐さん、おこんばんは♪
あらまぁ、なんとコノミは豆腐屋の職人に曳かれてたのか。
でも、ま、お客をとらず、幸せに暮らしていけるなら、それに超したこたぁないや。
あの、美味いと評判の豆腐かぁ・・・食べてみたいなぁ^^
わたしゃ、豆腐にゃ目がないんでね、涎がたれそうだよ。
なんにしても、幸せに暮らしている様子に、ホッとしました。
だかにゃ、問題はクルミだーねぇ。
一途と言えば聞こえはいいが、クルミは猪突猛進気味だね。

>母親が猫であれば猫の子に、狐であれば狐の子にと種族が同一なのは血肉を分ける母親だけだ。
そうなんだ。
生み分けがキチンとなされるんだね。
現代の人間界じゃ、倫理がどーの、理念がどーの騒いでますがね。
ちっとは、己の道を究めなさいなって・・・アフォ医者どもめ。

遣り手婆猫の、帯結び。
袂をくるりと巻いて、いかにも遣り手婆だ。
矢羽根柄の足袋の色あい。
衣紋を抜いた着物の着こなし。
姐さん、研究しとるねぇ。
タイムスリップでもして、取材してるんでねぇか?(笑)

おはようございます。

よかった・・・不幸せな幼少の分、
いっぱいいっぱい幸せになってほしい。
好かれて、嫁いで〜よかった。
幸せいっぱいのお豆腐、食べてみたいね。

コノミは、なんと結婚してたんですね。いやーびっくりです。良かった、良かった。これで、あとは、無事にクルミが会えればいいのですが、まだまだ先の事かなぁ。河童のトチとテレも、クルミがいなくなってしまって、ほんと心配でしょうね。キナだってきっと会って、しっかり育ってるクルミの姿みたいだろうなぁ。最後どんな風に話が終わって行くのか楽しみです。ハッピーエンドがいいなぁ。

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こんにちは~~♪
コノミちゃん 相思相愛の富吉さんと一緒になってお豆腐やさんなんですね~~♪
きっとクルミちゃんのことも気になってるでしょうから
早く逢わせてあげたい!!
種族の違う結婚でも 母親の方の種族で子供は生まれるのですね。
コノミちゃんのいる粒傘村はどんなところだろう?
次回が楽しみ~~~♪

キナたちの心配をよそに、着々と自分の目標に向かって突き進むクルミちゃん。
今回は、幸せになったお姉さんに会いに行くという事なので、ちょっと安心ですね。
ちゃんと、たどり着ければ、の話ですが^^;

ほっとしました。遊女上がりとはいえ、クルミちゃんの姉で苦労もつぶさに知っているコノミお姉ちゃんのことです、幸せな家庭を築いていることだろうと思います。

もしも幸せに暮らしていなかったら、宇奈月財閥の血の気の多い若い者を乱入(エキサイトしてまたわけのわからないことをいっているので以下二十行略(笑))

もし、豆腐屋の若旦那をコノミちゃんが信じることができたとしたら、そのときこそクルミちゃんの人間不信も解けて、自分がなにをしてきたのか理解すると思います。

だけど、豆腐屋の噂を聞きつけてあのバカ親がゆすりたかりにやってきてたらどうしよう……やっぱり緑の森の村の血の気の多い若いのを豆腐屋のガードに(またまたエキサイトしてきてわけのわからないことを以下三十行略)。

戻ってきたら、河童たちにも友達にも先生にも、たっぷり謝らなくちゃなあ、クルミちゃん……。

こんにちはー

 今からハワイに行ってまいります~
 お土産は空想マカデミアナッツにしようかな~ 


 すれ違いは悲し。
 私の人生もすれ違いだらけでありんす。しかも、すれ違ったまま二度と会えなくなったことも……世知辛いでありんすv-292

こんばんは~。

クルミのお姉ちゃんは幸せに暮らしていたのですねえ。
良かったけど、クルミの旅はどうなるのでしょう?
テレとトチを信じていたらもっと楽に事が運ぶだろうし、
キナとも再会を喜びあえたのにねえ。
クルミn下線の文
旅が安泰であると良いなあ。

子供は母親と同種にしか生まれないんだ。
母子の絆は強いけど父親はちょっと悲しい?

よかったなあ~~~

コノミ姉ちゃんが幸せになっていてくれて
本当に良かった(;m;)
そりゃあ、ともすれば非情な人間の世界と違って
猫国のことだから大丈夫だとは思ったけど
それでも廓だからね・・・・・
何が起こってても不思議ないから・・・・
良かったなあ~~~
しかも、変な金持ちでは無くて
誠のある豆腐屋の冨吉さんで本当に良かった(´Д⊂。・゜・。

それじゃあ、ひょっとして
クルミには甥っ子か姪っ子が出来てるのかもしれないね!
かわいい狐のちびっこが(^v^*)

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そうかぁ、
さすがはクルミちゃんのお姉さん、
ちゃんと堅気の人に嫁いだのね♪
小さいころからクルミちゃんの面倒をみていた
コノミちゃんは
きっとしっかりしたおかみさんになれるものね~

親がどんなにひどくても
ちゃんとお日様に向かって伸びていく枝のように
明るい方向へ育っているこの姉妹に
いっそうの幸せがくることは間違いないな、
人間の世界もそうであればいいのにって
つい思ってしまうなぁ。

コノミは、幸せになっていたのね。
よかった〜(^-^)!
ちよっと安心した〜。
でも、クルミはどうするのかな?

コメントしたつもりが、してなかった〜。ゴメンなさいね〜。
うっかり八兵衛のきらたるです〜σ(^_^;)

こんにちは^^

コノミは幸せに暮らしていることがわかってよかった^^

きっとコノミもクルミのことを心配しているはず、早く会わせてあげたいけど

もう少し冒険がつづくのかな^^

クルミ本人は物怖じせずにどんどん突き進んでいくのに

大人達は振り回されてドタバタしていて、ちょっと笑ってしまう^^


llama姉さん、いらっしゃーい!

こんばんはー

不幸ばかりでは余りにコノミが哀れなのでそうしました。
九味豆富はお蜜の九尾から貞が名前に頂いたもの。
今じゃ、世界規模で発展している豆富屋でございます。
本当、クルミは目的に向かって猪突猛進ですね。

分かりやすいでしょ
だから、茂吉たちには種族の数が如実にわかる。
好かれる猫族は増えていくばかり
河童のまま子、川太郎は頑張らないとならないのです。

これは元禄時代の遣り手婆を意識しとります。
お歯黒を描きたいくらいだった。
ぷぷ
着物は縞柄にしたかったのだけど、うるさくなるので止めました。
帯と袖をくるりとするのはお決まりだよね。
描いていても楽しかったです。
もちろん、ど大好きな忠臣蔵が根底にありますです。
キッパリンコ
v-391

Mieさん、いらっしゃーい!

こんばんはー

だよね。
苦労だけをしているコノミなんて、できませんでした。
女郎の一番の憧れです。
好いたマブと所帯を持つ
♪チントンシャン
なんてね。

九味豆富はうんまいですよぅ
残念ながら配達をしてくれません。
v-392

むらななちゃん、いらっしゃーい!

こんばんはー

不幸ばかりでは余りに不憫なので

ですね。
三兄弟を巡りあわせてくれたのもクルミですものね。
いつか、会えるでしょう。
勿論ですよ
猫国でバッドエンドはあり得ないからね。
ぷぷ
v-410

りんだちゃん、いらっしゃーい!

こんばんはー

立派な御新造さんになっていると思います。
何が幸せって、好いて好かれて夫婦になるのが一番です。
貞もやる時はやるようです。
後、コノミの願いはそれだけですね。

はっきりと決まっています。
なのでこの世界では間の子はいません。

コノミの居る粒傘村は、ある人物と縁の深い村ですね。
がんばりやす!
v-392

limeさん、いらっしゃーい!

こんばんはー

本人にしたら目的地がはっきりして
気分も上げ上げでしょうね。
目的地につくまでどんな出会いがあるのやら
v-410

ポール、いらっしゃーい!

こんばんはー

それだけは間違いのないことだと思います。
遊女であったからこそ、わかる気遣いも在る。
客あしらいは天下一品でしょう。
商売人の嫁には最高かもね。

ぷぷ
久しぶりに見た宇奈月財閥
お嬢さん方は元気にしてますか?

まずは無理
尾に蜘蛛の糸が付いているもの
そんなに甘くないのだ。

全く其の通りだよね。
クルミは幸せだよね。
v-410

ゆうちゃん、いらっしゃーい!

こんばんはー

おお~~~
羨ましい〜
日本が寒いから尚更、楽しめるわね。

すれ違いが物語を作るみたいな感じかしらね。
へへ
v-410

うにゃままちゃん、いらっしゃーい!

こんばんはー

ですね。
出会いが普通でなかったとしても想い想われの相惚れ同士
幸せになっていると思います。

全くですね。
そこが物語でござーーる。
へへ
引っ張るぅ〜

これからもクルミには様々な出会いがあります。

悲しいというか、そんなもんでいいでしょ
けけ
だってお腹を痛め、身を削るのは母親だもの。
男親は何もしていないもん。
v-389

かじママちゃん、いらっしゃーい!

こんばんはー

今までの苦労を忘れるほど、幸せになりました。
郭の哀しみを以前、ノン吉の物語で書きましたが
やっぱり悲しいのは嫌でした。
なのでコノミには人並みの幸せを味わって欲しかった。
富吉には最高の女房だと思います。

ひょっとしたらそうかもです。
へへ
ヒッパレーーーー
v-441v-442

園長さん、いらっしゃーい!

こんばんはー

ですね。
あのままでは余りに悲しい。
コノミだけ不幸せでは不公平ですものね。

モチのロンでございます。
客あしらいは抜群だしね。
いい女将さんになっていると思います。

本当にねぇ
其の通りですよね、日陰に育ってもお日様を目指して育っていく。
そして立派な枝になって花や実をつける。
いいですよね。
すごくいいです。
v-410

きらたるちゃん、いらっしゃーい!

こんばんはー

やっと人並みの幸せを味わうことが出来ました。
池波正太郎先生によると
女は過去ではなく今なのだそうな
ホンマかいな
へへ

それこそ気にしないでぇな
懐かしい〜
水戸黄門様は第一シリーズが好きなぴゆうです。
v-410

どーちん、いらっしゃーい!

こんばんはー

そうなのですよ。
コノミだけ不幸せでは間尺に合わないというか
それはないだろうミタイナ

モチのロンでござる。
ニャハハハ

クルミは少し大胆になっていますよね。
怖いもの知らずに磨きがかかったような
v-410

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 のくにぴゆう

Author: のくにぴゆう
猫国の住民達の物語を書いています。
作者はコメを食べて生きてます。
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