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クルミ 21 月夜の晩 

前回

甘酒に酔い、いい気分で眠ってしまったクルミ。
どこで目が覚めることになるのやら?


はじまり、はじまり



二人は薮で足が擦り傷だらけになっても気にせず、走れるだけ走る。

兄貴ーーッ!ちょっとーッちょっと待ってよおっ!一休みしてよーッ」

テレは辺りを見回す。いい幸いに月夜の晩、猫っ子一人もいないので安心してその辺に座った。

はぁあーー!よく走ったなあーッ」

ふうーっ、こんなに駈けたの久しぶりだよ」

「駕篭の中は大丈夫かよ?」

トチが背中から駕篭を降ろすと、クルミが転がり出た。

「うぐぐ...」

「兄貴ー!此の子狐、辛そうだよぉ-ッ」

「あっ、そっか!ちびにはキツかったよな。外してやんな、どうせ何所にも逃げられやしないさ」

「はいよ」

「あ---ッ、苦しかった!おじちゃん、これも取ってよ」

「あっ、ごめんね。直ぐに取るからね」

トチは手足の縄を解く。

「痛かったぁぁ~ぎゅうって結ぶんだもの」

「そうかい?こっちのテレおじちゃんがやったんだよ」

「おい、余計な事言うんじゃないよ」

「ふーん、加減も知らないのね」

「ぶっほッ、何を言うこのクソガキ!」

ぁ~ぃ」

クルミは態とらしくトチの陰に隠れた。

「兄貴!こんな子狐にそんな大声出すものじゃないよッ、こんなに怯えてるよ。大丈夫だよ、おじちゃん二度とそんなことさせないからね」

「本当?」

「本当だよ、このトチおじちゃん信じてよ。だけど成る可くならお兄ちゃんって呼んで欲しいなあ~」

「ふぅーん。痛くしないのなら、呼んでも良いよ」

「絶対、守るから安心しなよ」

「阿呆くさッ、何をくだらねえ事言ってんだよばーか!行くぞ」

「どこに?」

「叩くよ。いいから、子狐ふん縛って駕篭に入れろ!」

「そんなことできないよッ!」

てめえ、兄貴に逆ろうってのかッ?」

「違うよ!違うけど、、、可哀相だよ」

「おめえがやらねえんなら俺がやるぞ」

「わかったよ」

クルミが恨めしそうにトチを見る。トチは『ごめんね』と言いながら軽く縛る。

「口にはもういいじゃないか?」

「黙っているんならいいけどよ」

「静かにしてるよな?」

クルミはトチを睨(にら)みながら頷(うなづ)く。

静かにするってよ!ほら駕篭に入れるからね」

そっと駕篭に入れる。

「ねぇ、なんか敷く物ないの?チクチクするの」

「あっ、ごめんよ!これならどうだい?綺麗じゃないけどお尻に敷いてな」

トチは着ていた半天を丸め駕篭の下に敷く。

「うん。ありがとう」

「へへ、気にすんなよ」

「おい行くぞー!」

テレはさっさと歩き出す。トチはテレと距離を詰めようとはしない、大分離れてしまっても気にしない。

「おーい、早く来いよー!」

わかってるよー!ったく五月蝿いんだから、、、そう言えば子狐ちゃんの名前は何て言うの?」

「・・・」

「平気だよ、五月蝿いのは先を歩いているから聞こえないよ」

「ほんとぉ?」

クルミは駕篭から顔を出さない。

「ほら、見てご覧な」

クルミは『そっ』と顔を出し、トチの言っている事が本当なので安心する。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
tukiyonoban.jpg


「ふぅぅ…、あたいはね、クルミって言うのよ」

「そうかい、良い名前だね!」

「お兄ちゃんは?」

「へへ、お兄ちゃんって言ってくれたね。おいらはトチ。あのおっかないのがおいらの兄貴のテレだよ」

「ふぅ-ん。ねえ、ここはどこなの?」

「えっ!どこかな-?でも、もう少しで戸の宿だよ」

戸の宿は本街道から、かなり外れている、とても寂れている宿(しゅく)である。猫宿から《卍宿》の【御係所】に行こうとする者達は汚い安宿には泊まらないし、風体の良くない者達の溜まり場になっているので避ける。本街道沿いには葛傘村があり、そこで宿をとる。値段も安く繁盛をしている。

「ねえ、あたいの事どこに連れて行くの?」

「えっ?・・・・しのあのそののめだよ」

「なぁに?よくわかんないよ」

「うん、、、それよかクルミちゃんは幾つなの?」

「あたいはね、三吉と同じ七歳だよ」

「へー、三吉ってクルミちゃんの友達なの?」

「そうよ、あたいはね、お友達は三吉だけなの」

「そうか、そういやおいらにも里に一人だけいたけど全然会ってないなあ」

「ふぅーん。ねえ、お兄ちゃん【猫宿】って知ってる?」

「えっ!?知ってるも何も今そこに向かってるんだよ!」

「そうなの?そしたら東雲楼(しののめろう)とかいうのは...」

「そこだよ、そこに行くんだよ」

本当ッ!?本当なの!?そしたらあたい、コノミ姉ちゃんに会えるわー--!」

トチは驚き、立ち止まる。そそくさと駕篭からクルミを出し、手足の縄を解く。

「あら?どうしたの?こんなことしたら怒られるよ」

「いいんだよ。お前、姉ちゃんが東雲楼にいるって本当なのか?」

「本当よ、あたい何度もこの耳で聞いたもの」

「そうか、、、可哀相にな...」

「売られたのよ、姉ちゃん」

「売られたのか.....」

「あたいも売られた」

えっ?どう言う事だよ」

「あのね、あたいも売られてあそこに居たの。だけどね、とてもあそこが好きだったったの。だけどね、あたい役立たずだから、大嫌いな親元に戻されるとこだったの。でも良かったぁ-あ!姉ちゃんに会えるものー!」

「良かねえよ、とんでもねえ話しだ!二度も売り買いされるなんて!こんなちびにそんな辛い真似をさせる訳にはいかねえよッ!」

「どうしたの?」

「おいら、そんな可哀相な話し聞いた事ねえよ!絶対に東雲楼になんか行かせねえ!!

「どうしてよ?あたい姉ちゃんに会いたいッ会いたいッ---!
うわぁーーーん!





つづく









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姐さん、どーもですm(__)m
ふむふむ・・・そう言うことに・・・って、また予想が当たった。
明日から予想屋でも始めるか(笑)
でもにゃ、これはちょっとにゃ、雲行きが怪しいぞ~^^

トチ、とってもいい奴じゃん!
どんなクズ野郎でも、チンピラでも、土性骨の揺るがない男って好き♡
トチは東雲楼には行かないんだろーなぁ。

クルミちゃんが、お姉ちゃんに会いたい気持ちは判るな。
でも、ここはグッと我慢・・・さ、逃げろ~~~~~!
ほら、泣いたらテレに見つかっちゃうよ!

薄が原を照らす満月。
朧月なのが、オサレで素敵だ♪

おはようございます。
そして、ありがとうございます。
悪いやつらだと思っていたら、
心の美しそうな人がいて、ほっ。
こんな展開にしてくれてうれしい。
突然悪い人に変貌しませんように。

またややこしいことに……。

お姉ちゃんに逢ったら逢ったで悲しくなるだけですよねクルミちゃんもコノミちゃんも……。

とにかく、こんな子供たちをこれ以上不幸な目に遭わせてはいかんので、

クルミちゃんもコノミちゃんも、この不良ガッパふたりも、収まるところに収めてほしいものであります。

うむむ。

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なんだ、弟河童のトチ、とってもいい人じゃないの。なんで、こんな優しいのに人さらいなんかするのかなぁ。お兄さんのせい?兄弟だからかなぁ。なんだか悲しくなってきてしまいました。行き先が東雲楼と知って、そりゃクルミは行きたくなるか。でも、お姉ちゃんいるかな・・・。いて、再会できると嬉しいけど、お姉ちゃんは売られた身。どうすることも出来ないかも。どうか、ハッピーエンドに終わりますように。

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本物のチンピラなのかと思ったら、
なんと、優しさも少しは残っていそうなのがいてよかった・・。
でも、クルミはとことん不幸な子なんだと思う・・。
そろそろ助けがこないかしら?
世の中、うまいことばかりは無いのだろうけれど・・。
それにしても、不憫でならないよ~(=;ェ;=) シクシク

こんばんはー

 お久しぶりーな感じですいません~
 元気に働いておりました。夜寝るのが早かったけど……

 クルミさんも色々縁がありますね……
 夜空の下と言うのは孤独な事が多かった私です。善にも悪にも出会わぬ、悲しみと孤独……しかし、不思議とそこには灯りがあって、夢の世界に似た不思議な暖かみを風の中に感じたものです。そして、そこでは希望の匂いがしました。あのとき、それを嗅ぎとったから今の私があるのかもしれませんv-291

あらあら、どうしよう。。。
トチが思いがけず単純でよいカッパ
だったのはいいけれど
東雲楼に行くのと 逃げるのと
どちらが次の良い展開につながるんだろうと考えちゃう。
でも すごろくが どの道を通っても
ついには「上がり」にたどりつくように
どの道もかならず茂吉や五黄さまに続いているね。
クルミちゃんは勇敢な女の子だから
きっと今までなかった道だって作り出しちゃうはず♪

こんにちは(^^*)ノ

河童の兄弟が実はそんなに悪い奴らじゃなくて良かった・・・
きっといい方向に行くね(^-^*)

それにしても可哀想なクルミ・・・
早くコノミ姉ちゃんも一緒に
姉妹で幸せになって欲しいな・・・

こんばんにゃ。

クルミは勘違いしたまま、姉のいるところへ
行きたいなどと言う。悲しいよ・・・。

トレとトチ2人とも悪い奴だと思っていたけど、
トチは本当は優しい心の持ち主なんだね。
クルミの悲しい話を聞いてトチはどう動くのかな?
きっと良い方に行くのだよね。

寒いけど風邪引かないように気をつけてね。

あれれれ。奇妙なズレが出てきましたね。
トチの優しさが、逆にクルミを悲しませたかな?
でも、トチの気持ちはきっと、救いになりますよね。
トチの人生も、クルミとの出会いでなにか変ってくるような…そんな予感がします。

こんにちは~~♪
トチも懐かれると可愛くなりますよね。
くるみちゃん味方が出来たようで よかったね。
夜空がとっても綺麗な挿絵ですね。
ほわ~~んとしたお月様と雲が優しげです。
暗雲垂れこめた展開にならないといいけど・・・・

管理人のみ閲覧できます

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運命のめぐり合わせといいますか
こんな偶然もあるものですねぇ


そして私は毎回クルミがエロいことをされるのではないかとハァハァハラハラしております

おはよう^^

ほー。トチはいい奴だったのか。

クルミはコノミと会うことが出来るのか、助け出すことができるのか

楽しみだよ^^


ピースケ(セキセイインコ)は他界するし、車はエンストするしで

何だか色々残念な数日でした。

ずいぶん荒れた天気だね。用心してね。

llama姉さん、いらっしゃーい!

こんにちはー

ぷぷ
猫国専用の予想屋だね。

気の弱い弟キャラみたいな
流されやすいのがダメな所かもしれません。
それでも、自分なりの正義はあるようです。

まだ子狐ですものねぇ。
会いたくなったら我慢できないよねぇ
テレはどうするのかなぁ

大好きなんだよねぇ
澄んでいる空気、うら寂しい朧月夜
こんな場所に一度行ってみたいもんだ。
ニャンて考えながら描いてました。
へへ
v-410

Mieさん、いらっしゃーい!

こんにちはー

とんでもござんせん。
此方の方が照れまするよ。
へへ

朱に染まりきらない奴もいたりする。
綺麗な処がトチにはありました。

猫国の悪い奴って、生地の表裏のようなもの
簡単に良い奴になりますよ。
そうでなきゃダメでしょう。
v-410

ポール、いらっしゃーい!

こんにちはー

少しはややこしくならないとなぁ
しかし、ポールにややこしいとは言ってもらいたくねぇべさ
どの口が言うとv-8
ぷぷ

いつかは収めないといけませんよねぇ
でもまだですね。
へへ
v-389

むらななちゃん、いらっしゃーい!

こんにちはー

小心者で流されやすい。
それでもコレだけはという芯がある。
そんな感じかしら

テレはトチと二人での生活を大事と思っている。
其のためには「四の五の言ってらんねぇ〜」
そんな性格かな
悪くも良くもなれる中途半端な感じですね。

そりゃ何としても会いたいのがクルミてしょうね。
でも猫国です。
ハラハラもありましょうが、バッドエンドにはしないぞよ。
v-392

きらたるちゃん、いらっしゃーい!

こんにちはー

トチの琴線に触れたのでしょうね。
子狐が苦労をしているのに、心痛めるのが普通ですよね。

確かにそうもいえます。
不幸を転じることができるか
クルミ次第です。

応援してやってください。
きっと頑張ってくれると思います。
v-410

ゆうちゃん、いらっしゃーい!

こんにちはー

それはいいことだよ。
睡眠はとても大切だもの。

おおーー
ポエムでございますなぁ
どこまでも続くススキの原っぱ
ぼーっと浮かぶ月
一人佇む
寂しい風景なのに本人には暖かく感じる
行ってみたいなそんなとこ。
v-410

園長さん、いらっしゃーい!

こんにちはー

流石に鋭いですなぁ

どの道を通っても
終点はあります。
選んだ道が険しそうに見えても
多分、歩く者次第。
悲観にくれ、我が身の不幸を嘆き、泣いてばかりでは何も解決しません。

クルミはどうするか
どーか見守ってやってください。
v-410

かじママちゃん、いらっしゃーい!

こんにちはー

きっとね。
色々あるけどきっとそうなる。
だって猫国ですもの。

ですねぇ。
二人暮らせる日が来るのでしょうか。
v-390

うにゃままちゃん、いらっしゃーい!

こんにちはー

ですね。
思いかけずコノミのいる東雲楼の言葉に堪らなくなったのでしょうね。

トチも余りに頑是ない子狐だったので
仏心になったのでしょうね。
それもなければ鬼ですわ
どうなるのでしょうか

ありがとニャン。
もう大分良くなりました。
でも今年の風邪はしつこい。
対抗するには免疫力アップだよ。
v-391

limeさん、いらっしゃーい!

こんにちはー

出てきました。

芯から悪い奴はいないと思いたい。
それは居たとしてもほんの一握りと

トチが持つ、情がいい方向へ
導く助けになればいいですね。
v-410

りんだちゃん、いらっしゃーい!

こんにちはー

可愛らしい子狐ですものね。
ほだされちゃいました。
間違いなく味方になってくれると思います。

夜空っていいですよね。
朧月夜は大好きな絵の一つになります。

きっと明るい明日が待っていますよ。
v-410

大阪ちゃん、いらっしゃーい!

こんにちはー

あるんですねぇ
世間は広いようで狭い。
偶然なのか必然なのか
後にならないとわからないことってありますね。

ゴルラぁーーー
エロ無しだい!
v-412

どーちん、いらっしゃーい!

こんにちはー

可哀想なクルミにほだされて、
良い奴として頑張れるかも
守るものができたのかもね。

なんと!
心よりご冥福をお祈りいたしますv-421
悲しいなぁ・・・
大事にしていたろうに
鳥も可愛いのよねぇ〜
私もキボウシインコを飼っていたことがある。
チャリンコのハンドルに掴まらせて散歩をしました。
いい思い出だなぁ
v-410

売られるというのは実感すると思った以上に精神的ダメージがきますからね。
その辺は確かに子どもだと色々後遺症になったりするんですよね。
無理はしないように折り合いをつけていくことが大切なのですが。。。
彼女の将来がどうなるかは、またこれからですね。

LandMさん、いらっしゃーい!

こんばんはー

本当にそうでしょうね。
クルミの記憶から絶対に消せないことなのでしょう。
今となっては茂吉達と暮らしたことで
古傷が癒えてますよう
祈るしかないです。
v-390
プロフィール

 のくにぴゆう

Author: のくにぴゆう
猫国の住民達の物語を書いています。
作者はコメを食べて生きてます。
コメくださ~~い!
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今まで紹介をしなかったのですが、それも変だなと 三ニャンを宜しくお願いします。

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