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クルミ 11 紙芝居屋

前回

三吉が学校に来て一年、いつの間にか二人は大の仲良しになっていた。

はじまり、はじまり


「三吉~、今日は町外れまで行こうょ」

「うん、そうしよう!雨がずっと降っていたから遊びに出れなくてつまらなかったものー」

クルミと三吉は駈けって行く、道々に何があるのか楽しくて仕方ない。

「あそこのお兄ちゃん、また怒られてるよ」

「本当だぁ~、あのおじちゃん、ガミガミ五月蝿いよね-」

道には八百屋、魚屋、豆腐屋、髭結(ひげゆ)い床、鍛冶屋と店がずらりと並んでいる。二人が言っていたのは酒屋の旦那と奉公人の話である。

『配達が遅い!』『釣り銭が足りない!』と、いつも奉公人を怒っている。クルミも三吉もあんまり可哀相になって奉公人の狸のい平に飴をあげたことがある。い平は泣いて喜んだ。

「後でまた飴玉あげなくちゃね!」

「うん!あ、そう言えばもう飴玉少なくなって来たょ、あたい黒飴買いた~い」

紫狼は二人に毎月おこずかいをくれる。

「ねぇ、三吉」

「なあに?」

「あんたの親って愚か者なの?」

「何でよ?」

「恵み子って、愚か者の親から生まれるのょ」

クルミは何処で聞いたのかわからないがそんな事を三吉に言う。

えーッ!おいらの父ちゃんも母ちゃんも愚か者じゃないよ」

「じゃ、三吉は恵み子じゃないわね」

「どうしてよ?」

「だってあたいの母親は愚か者だから、姉ちゃんもあたいも売られたのょ!」


ぇ゙え゙ー!!売られたのッ!?


「そうょ、親に売られたの…」


うっそーーッ!


「嘘じゃないわょッ、本当ょッ!」

「えぇ~~ッ!じゃおいらも売られたのかな...」

「わからないけど、売られた子は買ってもらった先で気に入られないと又、愚か者の親に戻されてしまうのょ」

「そうなの?」

「そうょ、だからあたい用心してるの。いつ戻されるかと思ってびくびくなのょ...」

「どうしてよ?おいらは戻されてもいいもん」

「あたい、絶対に嫌ょッ!ご飯だって食べさせて貰えないし、ぶたれるし...絶対に
イヤょッ!

「・・・くるみって可哀相なんだね...」

「・・・・」

「おいらの親なんてそんなことしないよ。ここに来る前だって鯛やお赤飯炊いて祝ってくれたし、お種って生意気だけど可愛い妹もいるし、それにおいらは大将だったから子分の島吉や小吉、それにお加奈もいたから毎日楽しかったよ」

「あたいと全然違うね...三吉の居た所っていいとこなのね」

「そうだよ、菰傘村っていうんだ。おいらの家は髭結いやってんだ」

「ふぅーん、、、あたいのとこは酒場ょ。いつもいつも酒臭い奴が来て嫌だった」

「ふーん」

「あたいはね、きっと追い出される気がしてるの」

「どうしてよ?」

「だってあたいは役に立ってないもの」

「なんでよ?」

「だってあたいはお熱出したり、病気したりして迷惑掛けたし、その上あんたが来たのょ」

「どうして、おいらが来ると追い出されるのよ?」

「あたいが役に立たないからあんたを態々、校長先生が迎えに行ったのょ。あたいなんか二年も先に来てるのに、きっと駄目だと思ったのよ。

だから今すぐじゃないとしても今にきっとあたいの親が来るわ。あたいを引き取りに来るわ、、、それでもって又売っちゃうのょッ、

今度はこんな良いとこじゃないわ...きっときっと姉ちゃんみたいに郭(くるわ)っていう酷いとこに決まってる」

「おいら、そんな事ないように言って上げるよ!」

「何言ってるのょ?あんただって役立たずなら帰されちゃうわょ!あ...でも、三吉は帰されても平気だったんだね...」

「だからクルミを帰さないように言って上げるよッ!」

「無理ょ・・・」

二人はそんな話をしながらいつものように道を曲がった。曲がった先にもっと賑やかな繁華街がある。

常設の紙芝居屋、見せ物屋があったりしていつも子供達が群れている。先ずはそこに行くのが二人の楽しみなのだ。

クルミが「あっ!」と声を出すと、急いで隠れる。「どうしたの?」三吉も一緒に隠れる。そっと覗く先には、クルミとよく似た柄の女狐がいた。母親お順である。


挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
kamishibaiya.jpg


「とうとう来たッ!」

「えっ?」

「さっき話してたあたいの親ょ」

「じゃ、クルミを迎えに来たのッ?」

「そうに決まってるわ。それにあの嫌な男狐もいる...」

母親のそばには風体の良くない男狐がいる。クルミは真剣な顔をして三吉に言う。

「三吉ッ、いい?」

「なにが?」

「あたいは逃げるわ」

えっ!どうしてよ?」

「あたいは絶対にあの親のとこには帰りたくないの!このままだと絶対に帰されちゃう・・・だから逃げるのッ」

「でも、でも、どこによ?」

「わかんない、わかんないけど・・・三吉は時間稼ぎしてょ」

「そんで?」

「あたいが居るふりをするの。だから学校に帰るのを遅くにするのょ。そうすればあたいは町から出る事くらい出来るもの。今日連れて帰られなければもう少し学校に居られるもの」

「わかった!そうすればクルミが帰されなくて済むものねッ」

「そうょ、見つからないようにしていれば大丈夫だもの。あたいは頑張って今日は野宿するわ!」

「そんなに頑張るの?」

「明日まで居るわけないもの。ねっ、そうでしょ?」

「うん、そうだよね。そしたらお銭がないとご飯も食べれないから、おいらのこずかい上げるよ。明日残ったら返してくれればいいからさ」

「あっ、ありがとう!あたいの分だけで足りると思うけど取り敢えず貰っとくね」

「うん、そうしなよ。そしたら明日ね!明日おいらここに迎えに来て上げるよ、そして一緒に学校に帰れば良いよ。親が帰ったかどうかも教えて上げられるからね!」

「ありがとう三吉、あたい頑張るね!」

クルミと三吉は紙芝居屋の前で待ち合わせをする事を決め、其れぞれに別れた。





つづく






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ぴゆう姐さん、おこんばんは^^
やはり売られたと思っていたんだね、クルミ。
役に立たないから返品されちゃうという理論か。
でもさぁ・・・子供ながらに、色々と考えるものだわにゃ。

野宿なんて私、生まれてこのかた、やったこともないわ。
そこまでしてでも、顔を合わせたくない親・・・ほんに、哀れよの。
それにしても、クルミとバカ狐って一目瞭然のボディカラーなんだね。
クルミも大人になったら、さぞかし色っぽい女になるんだろうね。

挿絵の左上、「アイスる屋」の幟に描かれた文字は、もしかして「あいすくりん」の「りん」?
ふふ・・・ちょっと気になってしもうたの^^

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のっ野宿するほど頑張るのか? とか
役に立たないと捨てられるっていうのが
スタンダードになってるクルミの不憫さとか
いろいろあるんだけど
とにかく 三吉、クルミの幼いながらにも
強い仲間意識を感じさせる会話にほっこりしてしまう(笑)

クルミちゃん
あなたは一番欲しかったであろう魂の仲間を
もう手に入れているんだよ。
それに気づいてないところがまた可愛いねぇ。

こんにちは。
クルミちゃん・・・いい子でいなくちゃって
ずっと思っていたのね。これは早く誤解をといて
あげなくっちゃぁ。そうしたら、もっともっと
幸せになれるはず。

↓お疲れ様。これも一時のこと、後になれば
あんなこともあったねと、笑い話になるはず。

やっぱり、幼児虐待は深刻な心の傷を残しますね……信じるべき人も信じられなくなるというのは恐ろしいです。

そんなクルミちゃんの不信感をどうにかできるのは、三吉くん、君だけだ!

クルミちゃんを離すでないぞ!

こんばんはー

 
 猫のお世話ご苦労様です。
 私は師匠一匹しか飼った事はありませんが、一匹でも甘えん坊の寂しがり屋のかまってちゃんだったので結構気を使う時がありましたよ~ 


 私も、見かけたら隠れるような人がいました。しかも沢山。
 寂れた街並みを、劣等感と嫌悪感で逃げ回った辛いあの夜を未だに忘れられません……猫の仲間達がいたら違ったかもにゃあv-292

こんにちは(^0^*)ノ

人間の子もニャンコもみんな
幼い子のうちは大変だよね~~!!!
もう全然、訪問とか気にしないでね~~(^^*)v

そっかあ~~・・・
クルミちゃん、ろくでなしの親の元で育ったから
なかなか大人に対する不信感が払しょくされないんだね(;m;)
可哀想に・・・・・・

早く、自分が売られたのではないことを
信じるに値する大人たちが居て、愛されているのだということを
わかる日が来ると良いね・・・

えー、なんでクルミの親が、こんな近くにいるんですか。会ったら、まずいじゃないですか!でも、なかなかクルミの心は、溶けないですね。あんなに愛されてるのになぁ…。早くみんなの気持ちが伝わればいいのに・・。自分から心を開かないと、入ってこないのかなぁ。いろんな事をクルミは誤解してますね。早く、わかってほしいなぁ。学校に帰った方が安全だと思うんですけど。大丈夫かなぁ・・・。

クルミの母は、何故ここにいるの?
母親から逃げなきゃならないクルミ・・・
不憫な子・・・。
そのことの悲しさを実感できない三吉は、
訳がわからないなりに、クルミを助けてあげようとする・・。
こんなに幼くても、しっかり絆があるんだ・・。

↓新米子猫のお世話、ご苦労さまです!
コメ辺、気にしないでね!
子猫時代はすぐに過ぎちゃう!
可愛い時期をしっかり付き合うべし!(笑)

これはもう見つかって一悶着ありそうな流れではありますが、そうなったとしてうまく解決するのか楽しみであります(`・ω・´)

しかし、子供ながらにクルミの中の負の感情はそう簡単には取り除けないんでしょうかねぇ…

llama姉さん、いらっしゃーい!

こんばんはー

大分落ち着きました。
へへ

子供って意外と考えているんだよね。
クルミの場合は狐宿での環境がそうさせていたからなぁ
仕方ないよね。

私もキャンプしかない。
三年ぶりの出会いなのにね、
馬鹿親はクルミに見られているのも知らないようです。
クルミにとっては嬉しくないでしょうね。

大当たりーーーー
大好きなアイスクリンでござーーる。
ぷぷ
姉さん、鋭いのぉ〜

おーちゃんは元気で暴れん坊
体温が高くて、肉球が柔らかくてかわゆいです。
すぐに汗をかくものだから、
ペタペタしている。
デれれです。
v-410

園長さん、いらっしゃーい!

こんばんはー


本当に会いたくないし、連れ帰られると思っているから必死なのよね。
三吉にだけ明かした本音。
クルミにとって三吉は大切な仲間ですね。
やっぱり子供は子供同士でしょうか

ああ、本当にそうですね。
居るべき場所に居ることもわかっていません。
気がついてくれるのはいつになるのやら
v-391


Mieさん、いらっしゃーい!

こんばんはー

ですね。
そんな心根を考えると切ないです。
役に立っていないって何でしょう。
子供は大人の役に立たないといけないのでしょうか
そんな風にあの親は教えたことになりますね。
コノミという姉を売って得た銭
さぞや馬鹿親の利益になったのでしょう。

だよねぇ~
もう大馬鹿親だわ
かわゆくて、かわゆくて
大分落ち着きました。
v-410

ポール、いらっしゃーい!

こんばんはー

恵み子達と暮らして三年。
傷も多少は癒やされていたと思うけど
本当のところはわからないよね。
深い傷だものね。

三吉も頑張ると思います。
v-410

ゆうちゃん、いらっしゃーい!

こんばんはー

振り回されています。
とにかく目が離せない。
紐で繋いでいるわけもいかないし、
甘々なんですわ。
それでも大分、落ち着きました。

ゆうちゃんにもそんな辛い過去があったのですか。
避ける相手がいるというだけで、
町中に出るのも嫌になるよね。
v-409

かじママちゃん、いらっしゃーい!

こんばんはー

ありがとうござーーる。
にゃんこは難しいです。
ワンコのお子ちゃまはわかるのですけど、性格が全然違うのでビックリします。
自己主張が激しいのです。
それでも大分落ち着いてきました。

根本に不信があるって不幸なことです。
でも、この三年間で大分違っていると思いたい
茂吉と紫狼達恵み子がどれほど愛情をかけてきたか
クルミにその愛はきっと沁みているはずです。
v-410

むらななちゃん、いらっしゃーい!

こんばんはー

全く以てその通りです。

けっこう硬くて大きな氷なのでしょうね。
それでも温かい空気で暖められ、沢山溶けているはず
でも、何かあるとその溶けたものが瞬く間に凍りついて
クルミの心を守る鉄壁になるのかもしれない。
そして、今までもらった愛情は無駄ではなかった思います。

そうなのにねぇ〜
クルミの判断は吉と出るか?
v-391

きらたるちゃん、いらっしゃーい!

こんばんはー

クルミにとって母親は天敵以上でしょうね。
哀れな親子です。
三吉は対照的に愛情一杯の中で育ちました。
クルミの話はとても理解できないこと、
でもそれも経験です。

いつの間にか、二人は強い絆で結ばれたのでしょうね。

今日も庭で冒険をして、走り回っている。
ちーが何となく、見張り番をしてくれているような
仲良くまでいかないけど、とてもホッとしています。
全くだ!
v-410

大阪ちゃん、いらっしゃーい!

こんばんはー

どのような流れになるか、クルミに吉とでるか?
それとも

三年の間に培われたものがきっと心のなかで育っているはず
そう思いたいです。
v-410

子どもに力はないですからね。
親の言うようにしなければならないところに無情を感じますね。
子どもは親の選択権はありませんからね。

責任・・・というのを背負うのが大人ってものですが。
なかなかそういう上手くいかないものですからね。

おはようございます~~♪
くるみちゃんもやっと三吉君に心の内をすっかり話せるようになってますね。
よかった~~♪
でも子供にとって一番の母親が 母親らしくないというのは大変なことですね。
これからくるみちゃんの心の傷が癒せるのか 
母親が悔い改めることが出来るのか楽しみ楽しみ~~♪

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LandMさん、いらっしゃーい!

こんにちはー

全くその通りですね。
どの親が良いと選べるわけではない。
この世界でも親の種族は選べますが後はお任せになります。

背負うには覚悟が居るのでしょう。
重いと投げ出す者いれば、
当たり前のように歩く者も居る。
いろいろですね。
v-410

りんだちゃん、いらっしゃーい!

こんにちはー

二人は気も合うし、いつの間にか大の仲良しになっているようです。

クルミの不幸はそこに始まりますね。
暗闇をそのままにして良い訳はありません。
暗闇の原因を解き明かさなくては真の明るさは取り戻せません。
これからです。
v-410
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 のくにぴゆう

Author: のくにぴゆう
猫国の住民達の物語を書いています。
作者はコメを食べて生きてます。
コメくださ~~い!
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