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クルミ 4 出会い

前回

どうやら三吉と気が合いそうなクルミ。この子の抱えるものとは何だろう?


はじまり、はじまり



「ねえあんたぁ~、半年振りなんだよ~、もうつれないんだからさあ」

「そう言うなよ、これでも急いで来てんだからよ」

「来たから許して上げるよ~」

「へへ。そういや、おめえのとこにはもう一人子供が居たんじゃねえの?」

「居たよ。居たけどあんな大きな子が居たら邪魔だろ?あたいらの二人の生活にはさ~」

「それじゃ、お前、その子はよ?」

「ちょうど良い口があったから、猫宿の東雲楼(しののめろう)にね!」

「えっ?だってあそこは郭だろ?」

「そうだよ~、最後に親孝行していったよ~」

「酷い事するよ、てめえの娘だろ?」

「いいじゃないか~。御陰で店は改装できるし、邪魔者は減ったし、良いこと尽くめだよ」

「だけどもう一人残っているじゃないか」

「ああ、あの子ね!コノミと一緒に『売るよ』って言ったら『小さ過ぎる。もう少し大きければ』って言うのよ。だから後少し育てて、頃合いを見計らって売るのよ」

「へーッ!お前も悪い母親だね」

「あたいだって親に売られたんだ、構いやしないよ」

クルミにはその言葉だけで充分だった。母親は男と暮らしたいが為にコノミ姉ちゃんをどこかに売ったのだ。クルミは『絶対に許さない!』と思った。

悲しくて、悔しくて寝れなかった、、、それでも四歳の子供。

いつの間にか枕を濡らし寝てしまう。目覚めると母親は居ない、どこかに泊まっているのだろう。馴れているので、もそもそ起き出し台所に行き食べ物を探すが何も無かった。母親が食事を作ってくれる事は無い。

姉が居た頃は色々と作ってくれたので三度三度の食事も食べれたがこの頃はそうもいかない。何か残り物を食べるしか無かった。カウンターの中を探したが何もない。

全くなければ、隣の酒場のママにねだりに行く。

隣のママと云うのは本当は男河童なのだが、おばちゃんと言わないと怒る。【おばちゃん】であって、決して【おじちゃん】ではないのだ。その日もやはり何も無かったので仕方なく店を出ると見知らぬ者が居た。

「あ、あの子だよ」

そう言ったのは【バー・黒河童】のママ、おかま河童のキナだった。

どうやらその見知らぬ者はクルミの事をキナに訊いていたようだ。鋭いクルミは警戒した。昨日の今日である、さっそく売られたのかと思う。そんなことを知らない紫狼はクルミを見つけ、ニコニコしながら近づいていく。

「こんにちは」

クルミは今まで狼族を見た事がない。だがキナが言った言葉でわかった。

「あたいには用は無いのぉ~?もー、つれない狼さん!ウフ」

紫狼はキナの方に優しく会釈をする。品のいい紫狼にキナも下品な言葉を掛けるのを止めた。そんな品格が紫狼には自然に備わっている。

「あたしは紫狼と言います」

「・・・・」

「ふふ、突然だから驚きますね。あたしは恵み子の紫狼と言います」

「いやだあー!クルミちゃん!このお方は恵み子様だよ~。さっさ」

キナはクルミを無理矢理に跪(ひざまず)かせると自分も平伏す。

「あぁ、何をなさってるのです、そんなことはいけません」

紫狼は急いで二人を立たせると膝に付いた砂を払う。キナは嬉しそうにクネクネする。

「すみませ~ん。あたい、男の方にそんなことされちゃ~」

『あたい』と女言葉を使うキナには髭がぽつぽつ生えている。

「女の方には親切にするのが狼族のモットーですから」

紫狼も粋な狼である。おかま心をわかっている。キナが喜ぶような事を紫狼が言うものだから、嬉しくて仕方ない。いつまでも黙り込んでいるクルミに 母親みたいに『挨拶をしろ』とせっつく。

クルミも日頃世話になっているキナに言われるので、仕方なく挨拶だけはした。

「こんにちは・・・」

そっぽを向いて挨拶をする。

「クルミちゃん、とても御機嫌が斜めのように思えますけど今日はご挨拶だけにしときますね」

大きな渦巻き模様の飴を差し出す。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
shiroukurumi.jpg

クルミはとてもお腹が空いていたし、甘い物もずっと食べていなかったのでとても欲しかったが受け取らない。紫狼が不思議そうに首を傾(かし)げているとクルミの正直なお腹は『ぐぅうー』と鳴る。

キナはクルミのお腹の音を聞き、すかさず言う。

「あらッ!またあのメス、クルミにご飯も用意してなかったんだよッ!可哀相にッ」

「クルミちゃんは朝ご飯を食べていなかったのですか?」

「あの女狐は飯なんか作りゃしないのよッ!さっ、クルミ!あたいのとこでおまんま食べな」

「ありがとう、おばちゃん」

クルミがキナに付いて行こうとすると紫狼は慌ててクルミに飴を持たせた。

「美味しいから食べなさい」

「え?でもぉ・・・」

クルミは欲しいのである。欲しいけど、もじもじしている。

「クルミったらー、このお方は恵み子様なんだよ!そのお方が呉れるっていうのだから有り難く頂戴しなね」

「いいの?」

「いいですとも、貰って下さい」

「ありがとう!」

紫狼から受け取るクルミの手は細かった。四才の狐にしては小さく、そして余りにもその手はか細い。クルミを見ていて泪が溢れて来るのを止められなかった...


つづく

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むむむ・・・思った通りだったぜ。
あの女狐め、やっぱ娘を売ったんだな。
ほんに酷い女狐(もう親とは呼ばぬ)だこと。

当時のクルミは、相当汚れていたんだね。
お耳もシッポも、薄汚れた感じだ。
三度の御飯もろくに与えず、風呂にも入れてやらずかよ!?
怒りが沸々と湧いてくるわさ。

おかまバー・黒河童のママ、「キナ」ねぇ・・・ムフ
横顔がどことなく姐さんに似てると言ったら、怒るべかにゃ?ハハハ

こんな重たい「荷」を背負って、生きてきた4歳の子供。
紫狼じゃないが、考えただけで涙が溢れるわぃ。
これじゃ『恵み子』として破格の待遇を受けても、なかなか人を受け入れられないのは、当ったり前田のクラッカーだわ。
クルミの心が開くには、三吉の役割が大きい訳だね。

今後、どんな風に展開するやら・・・楽しみじゃ♪

おはようございます~~♪
本当に絵が繊細で素敵~~~
キナさんカラフルで楽しい~~♪
河童のペディキュア初めてみました~~(。^p〇q^。)プッ
姉は廓に売られちゃったんですね。
いつの日かクルミちゃんと再開なんてあったらいいな。

おはようございます。

クルミちゃんのお母さんも、悲しい経験をしていたのね。
なのに、子どもに同じことをしちゃうなんて・・・
悲しい。

クルミちゃんは、いい出会いをして、そして
世界が広がっていくのかと思うと嬉しいです。

かっぱのおじさ・・・いや、おばさんが、とってもいいですね。
(絵も、とってもいい味わい^^)
こういう人が、くるみちゃんのそばにいて、良かった。

母親は、なにかやむを得ない事情があったのかと思いきや、ただ金のためだったとは。
紫狼が現れたことに、ホッとしますが、くるみちゃんの、根本的な悲しみは、癒えないでしょうね。

こんにちは^^

育てられたように育ててしまうものなのね。

廓に売られたコノミが哀れだ。

薄汚れた小さくて細い体を見ても何とも思わない母親は親としてはもちろん

人(狐)としても酷すぎる。一番身近な大人がこれでは心閉ざしてもしかたないね。

クルミが母親に対して愛情がないのが救い。泣けてくる。

近くに優しいおばちゃんが居てくれて良かったよ。

何だか毎日雨で肌寒いよ~梅雨明けは来月になりそう。

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子供を廓に売るなんて・・・・ほんと許せない!そんな女になびく男も許せません!自分の子供なのに、なんでこんな事が出来るのか、まったくわからないです。こんな環境じゃ、クルミが心を閉ざしてしまうのもわかります。誰も信じられないでしょうね。クルミの手があまりにも細いって最後の文章、私も涙が出そうになりました・・・。クルミが人を信じられるように、三吉が頑張ってくれるように願ってます。育児放棄でクルミの母親は捕まらないのかな。出来たら、ちゃんと罰してほしい。

ひどい

ひどい・・・・・
こんなやつ親でもなんでもない・・・
本当にひどいお話だけど
ぴゆうさんの猫国だもの・・・
きっと、いえ絶対!!!良い方向に行くはず・・・
コノミちゃんも苦界から助けてあげて欲しい・・・・・

よくよく考えたら不穏当なコメントだったため消します(汗)

で、書き直しますけど、この幼い少女にのしかかった過酷な運命と、このひどいにもほどがある母親を、「業」とかそれに類する言葉で語ってしまうのには、わたしは賛成できません。

この母親も、幼いときに親に売られてこの世界へ入ってきた、ということは、そのさらに母親も、また売られた娘の娘も、同様の運命をたどった、そしてたどるであろう蓋然性が高い、ということが想像できます。

これは、個人の行いや魂がどうこう、というよりも、社会自体に矛盾が、こういったスパイラルを生み出す構造があるのでは、と思えてなりません。

「売る/売られる」というシステム自体を放置し、個々人を「魂沈め」で罰するだけでは、売られた少女は救われないのではないか、わたしはそう考えるのです。そういう風に以外には考えられないのです。

やっぱりこれについて考え出すと、冷静になれずに怒りしか湧いてこないであります。

うむむ。

こんばんはー


 親からの悲しい連鎖はこの世の中にも多くて辛いですね。
 悲しみが悲しみを、苦しみが苦しみを生んで、その脈々たる流れに溺れてしまう犠牲者が沢山いるのがこの世界の現実。この世界を真の地獄だと思った事も少なくはありません……なので、クルミさんがそこから離された事は単純に考えると幸せな事であるように感じられます。単純に考えると……ですが。

 
 夏風邪等体調には気をつけてくださいね~
 私はまだマシでしたがホント大切な夏の日が悲しい事にv-291

世の中・・ひどい母親もいたもんだ・・。
実際、最近のニュースのネタにも、こんな話は山とあるけど・・。
当時のクルミは、今とは別人のようにみずぼらしいね・・。
このクルミの心が、どんなふうに変化していくのか・・・。
話の進行が気になる・・。

人生と言うのは理不尽というもので、はじめからスタートラインが違うのは否めないですよね。それでもそこから大金持ちになったり、成り上がったりするから面白いのですが。これほど面白いものはないですが。。。・・・スタートラインは性格形成には影響が及びますね。

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こんばんは。
クルミの母親は最低ですね。
自分が売られたから子供も売る。
男と暮らしたいがために、邪魔な
娘をお金にかえて自分と男のために遣う。
子供のためにご飯も作らない・・・。
母の愛情なんか微塵もないのね。そんな
ことを知ってしまったクルミの心は
どれほど深く傷ついたことやら。
これでは人?を信じられなくなりますね。
キナさんがいてくれたからまだ救われていたのかも。

これからどんな風に変わって行くのか楽しみですにゃ。


llama姉さん、いらっしゃーい!

こんにちはー

全く酷い女だと思います。
腹を痛めた子にすることでしようかね。

栄養失調でしたし、薄汚れていました。
キナがいたとしても育ち盛り、無理もないかと

ぷぷ
最初はむっとしたが、考えてみれば描く人物は自分に似るというものなぁ
まま子も似ている気もする。


紫郎も驚いたでしょう。
ですね。
悲しいかな、そんな子もいるのです。
三吉とは本音が言える友達になると思います。

ありがとやんす。
v-410

りんだちゃん、いらっしゃーい!

こんにちはー

ありがとやんす。
一応、スワンはクルミの母の店。
雑草を刈りもしない、だらしない性格を物語っています。

ぷぷ
やっぱり気がついたぁ〜
だから楽しい。

ひどい親ですよ。
そうなれたらいいですよね。
v-410

Mieさん、いらっしゃーい!

こんにちはー

そうされたからそうする。
言い訳にもなりません。
本当にそうであったとしてもね。

本当にそうですよね。
出会うべくして出会う。
クルミの狐生は始まったばかりです。
v-410

limeさん、いらっしゃーい!

こんにちはー

ぷぷ
まま子程じゃないけど、キョーレツなキャラです。

キナはとても良い河童でございます。

浅はかな馬鹿女でございます。
何が大切で何が必要か、まるでわかっていない。
子供たちと過ごす時間。
生涯の内、僅かな時間なのに、その大切な時間を自ら捨てている。

ですね。
傷として残るのかも
v-390

どーちん、いらっしゃーい!

こんにちはー

そうされたから何て言い訳、よく聞くけどそれでいいのかね。
コノミにとって迷惑なだけだね。

最低の女だと思いますよ。

大嫌いは大好きの裏返し。
子が母親を慕わぬわけがない、その母親を嫌いにさせたのは馬鹿女です。
罪深いことです。

キナが居てよかったです。

梅雨明けしてないのにびっくり!
でも過ごしやすいかもしれない。
v-392

むらななちゃん、いらっしゃーい!

こんにちはー

いるんだよね。
こんな狐でなしがさ。

今なんかだとパチンコに行って子殺しするのがいるじゃない。
あれ、わざとだと思う。
人殺しにならないもんね。

育ち盛りなのに食べたないもの。
紫郎も辛かったでしょう。

いい友達が出来たことも心のケアになりますよね。

任せてくだはい。
v-392

かじママちゃん、いらっしゃーい!

こんにちはー

全くその通りだよね。

真っ当な道を行かせるのは得意でやんす。

コノミもねぇ。
不幸な子が居るのは嫌ですよね。
v-390

ポール、いらっしゃーい!

こんにちはー

コメ返を書いたばかりであった・・・
じゃ私めも書きなおして

確かにその通りですが、何やら理想論を語っているような気がする。
例えば、皆、品行方正でいい人たちばかり、勿論、楽しい事ばかりの世界。
それもいいだろうが、きっと物語の二、三編も書けば終わってしまう。

この世界を創る時、私が考えたのは嘘つきや悪いものが得をしない世界。
または、悪いことをするが良いこともする。
グレーゾーンがある世界。
でも最後には御係り所や魂納めの宮で審判を下される。
そうでなければ人の世界と変わらなくなる。
それは嫌だった。

今回の物語は親子を題材にしています。
悲しすぎる物語ではありますが、
猫国でございます。
魂沈めだけで終わるか、どうか見守って下さい。

しかし、ポールは良い人だねぇ〜
v-410

ゆうちゃん、いらっしゃーい!

こんにちはー

ですねぇ。
負の連鎖と言うのでしょうか。
でも、連鎖と云うのは最初に始めたものが居る。
それがクルミの祖母であると
クルミの母親は言っていますが、さてどうでしょう?
こういう輩は得てして自分の都合のいいように言うものです。
信じてはいけません。

悲しいことになりましたよ。
全く!よりにもよって大雨になりました。
三時間も船で待たされて、花火は三十分だけでした。
ブーーーーー
v-412

きらたるちゃん、いらっしゃーい!

こんにちはー

山ほどあるよね。
なんて嫌な世の中でしょう。

栄養失調です。
風呂にも入れず、不衛生でした。

小さいながらも色々と考えているようです。
v-410

LandMさん、いらっしゃーい!

こんにちはー

この苦労はきっとクルミの役に立ってくれると思います。
ですが、反面
しなくていい苦労だと思います。

三吉のような子もいれば、クルミのような不幸な子もいる。
恵み子もいろいろです。
v-410

うにゃままちゃん、いらっしゃーい!

こんにちはー

本当、最低です。

何で生んだのよと言いたいでしょう。
母性がないのかなぁ

クルミはコノミが居たから、生きていられた。
愛情も沢山もらえた。
母のような姉が居たのが救いです。
キナにも救われました。

気長にお付き合い下さいませ。
v-410

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クルミちゃん 本当に小さい、
耳がとても大きく見えるのが哀しいな。

クルミちゃんのお母さんも売られたんだね、
不幸は連鎖する、
それが連鎖しているものだと意識しない限り。 

とめようとするのは引き潮に逆らって
岸に戻るくらい大変だけど
反骨心のあるクルミちゃんはやるね♪
出来れば将来
優しいお姉ちゃんも助けてあげてほしいな。

園長さん、いらっしゃーい!

こんばんはー

ですね。
痩せて汚くて、悲しいことです。

この母親はとんでもない狐です。
我さえ良ければ、何でも言います。

とても幼くて、この頃は受け入れるくらいしか出来なかった。
それでも姉を探したりと精一杯でした。
これからです、どうか見守って下さいませ。
v-410

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 のくにぴゆう

Author: のくにぴゆう
猫国の住民達の物語を書いています。
作者はコメを食べて生きてます。
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