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クルミ 3 寝床

前回

ミルクを飲んで布団に入った二人、どうやらクルミは寝ていなかったようだ。



はじまり、はじまり


挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります

nedoko.jpg



「ねえ、三吉起きてる?」


三吉はすっかり寝入っていた。クルミは返事がないので激しく揺さぶる。


うっ、うわあ~ッッ


チョット、チョット静かにしなさいョッ」

「へっ?だっておいら吃驚(びっくり)したのだもの」

「やあねぇ、大袈裟ねえ、ちょいと揺すっただけなのに」

舌をぺろりと出す。

「おいら頭がぐらんぐらんするよ~」

「へへ、やり過ぎたかしら」

「やり過ぎだよ」

「だって返事が無いから・・・」

「寝てるんだから当たり前だよ」

「まっ、いいわ」

「何だい、それだけなの?」

「話をしようと思ったのよ」

「いつでも出来るのに」

「いいの、あたいは気が短いの」

「はいはいわかりましたよ、それで何を話すの?」

「あんたってさ、校長先生が迎えに行く程だから特別なの?」

「知らないよ、きっと藤平おじちゃんに会いに来たついでじゃないの?」

「そうなの?あたいは紫狼兄様だったもの」

「へー、クルミは紫狼兄様だったの?」

「うん、あたいはね。でも他の兄ちゃんや姉ちゃん達も紫狼兄様だよ」

「じゃ、おいらだけだったの?」

「そうよ、だって校長先生はもの凄く忙しいのだもの」

「そうなの?」

「本当にあんたって何にも知らないのねッ」

「だって知らないもの」

「いいわ、えっへん!あたいが何でも教えてあげましょう」

偉そうな事を言う割に知っている事は僅かである。
参考になるのは宿舎のお献立とか、誕生会などの行事。茂吉はクルミに本格的な勉強をさせていない。

子供返りの最中だからだ、クルミは知らないので大いに不満である。ここに来てからは遊んでお昼寝して...と、そればかり。

皆のように勉強したいと言っても、取り合ってもらえずにいた。クルミは大変な誤解をしている。

何としても役に立ち、必要とされなくてはならないと思い詰めていた。そんな中、茂吉自らが三吉を迎えに行ったというのは、クルミにとっては一大事だった。

(もしかしたら、三吉が来たら自分はお払い箱になってここから追い出されてしまうかも知れない、、、)
恵み子と云っても、クルミがここに来たのは僅か四歳。本人は売られて来たと思っている。

茂吉が知れば驚いて目を剥(む)くような話なのだが、そんな考えを持つに到るにはクルミなりの理由がある。クルミには大好きな姉がいたが、その姉は親によって売られていた。

幼さ過ぎるクルミには衝撃的な出来事である。クルミの家は母と姉の三人暮らしで母親は狐宿で酒場を商っていた。

母親代わりにクルミの面倒を見ていたのが、歳の離れた姉の【コノミ】だった。優しい姉のコノミを誰よりも好きだった。

クルミにとっての母は、いつも酒臭い息で帰って寝穢(いぎたな)く寝ているか、部屋まで連れて来た男達とベタベタしている姿しか思い浮かばない、、、そんな母に何の愛情も感じていなかった。

そんな母親が突然、コノミを奉公にやってしまった。

クルミは寝ずに探した。悲しくて寂しくて堪らなく泣きながら探した。だが、人探しをするには余りに幼く、町外れに探しに行くのが精一杯だった。

そんな事を繰り返しては知り合いに見つかり、店に連れ戻される事を何度もしていた。泣きべそのクルミを見ても母親は無反応だった。

母親はコノミの行き先も教えてくれない。其れ処か忌々しそうに舌を鳴らす。そんな事を半年も続け、さすがに諦めるしかないと思い始めていた。

最後に『もう一度!』と探した場所にも姉はやはり居なかった...仕方なく帰ると昼間なのに客がいる。この店は一階が店舗、二階が住まいと云う建物で、出入りは店からしか出来ない。

クルミは夜にはけっして階下には降りない。母親の嬌声や酔ってはしゃぐ大人達の声が耳を塞ぐ程嫌いだった。カウンターの前を通り過ぎようとした時、案の定、母親から声を掛けられた。客が居ると途端に優しげな声を出す。

「クルミちゃん、お客様にご挨拶は?」

無視すると後で叩かれるので心得ている。

「はーい!おじちゃん、こんにちは」

ニヤニヤしていた男狐が汚らしい手で頭を撫でる。一瞬、振り払おうとすると母親がもの凄く怖い目で見ている。目を瞑(つむ)ってじっと耐えた。

「へへ、いい子じゃねえかよ、おめえが言う程の我が儘じゃなさそうだぜ」

「あらそうかえ?あんたに気に入ってもらわないと一緒には暮らせないもの」

「へへ、こんなちびがいたって、俺は構わないよ」

「嬉しいー」

男狐に媚びる母親はゾッとする程女だった。クルミが邪魔になったのか、母親は二階に行ってなと命令する。始めからそうしたかったのでサッサと二階に駆け上がったが急いでいたのでつまづいた。

たぁぁーぃッ・・・」

爪先をふーふー言いながら擦っていると、聞くとはなしに二人の会話が耳に入る。


つづく
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非公開コメント

姐さん、おばんでやんす。
あ、ご心配なく・・・伽羅につられて寝てしまい、今起きましたの。
奴はまだ、鼾かいて寝てますがね(笑)

クルミちゃんも、要らぬ苦労を重ねている子なんだね。
なんでこんなに可哀想な仕打ちが・・・実の親だろうに。
なんだかね、すでに二人の会話の「続き」が見えたような気分さ。
はぁ、嫌だ、嫌だ!

コノミという姉さん狐、奉公て。
今頃、どうしているんだろうか。
クルミちゃん、再会できるといいにゃ。

何処の世も、生きるということは不条理との闘いだね。
抗えない運命ならば、逞しく育って欲しいと心から願うわ。

布団と二人の絆があらわれる良い絵だなあ、と思います。
どこかぬくもりと信頼を感じる絵で、家族というもののテーマにマッチしている絵になっていると思います。温かい絵ですね。

おはようございます

なんだろうね
この親狐
自分の娘を 奉公にだすなんて そうそうできることじゃない
なんか事情があるんだと思ったら 酒と男って。。。。

だいすきなお姉ちゃんがいなくなって
どんな思いでいたのか。。。。。
せつなくなります

子供が 人(狐か)を信じられなくなるのって
よほどのことがないと ないように思うから
これからは 幸せになってほしいなあ

できれば お姉ちゃんにも また会えるといいのだけれど。。。

おはようございます。
クルミちゃんは、苦労してきたんだね。
そして、そのトラウマが今も。
ここの生活がクルミちゃんにとって
素敵なもの、安心できるものとわかるといいですね。

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クルミちゃん、いろいろな事を考えてるのね・・・
小さい頃は、いろいろ考えなくっても
いい時期なのに・・・・
沢山、苦労してきたみたいで(;_;)
優しいお姉ちゃんと、
また再会できるといいんだけどなぁ。

しかし、ヒドイ母狐ですね。
でも・・・・ 
こういう人、人間界にも居そう・・・・・・・・・

クルミちゃん、現世でそういう生活を……。

そりゃあ心の傷にもなりますねえ。

クルミちゃん、そんな親には本気になって怒っていいんだよ。

だけど恨んではだめだよ。

「怒る」と「恨む」はまったく別のものなんだからね……(T_T)

そうかぁ、
私も小学校の高学年から
母親の愛人と暮らしたから
クルミちゃんの気持ち、わかる気がする。

でも そんなこといったら
クルミちゃん 絶対怒るな(^_^;) 
自分はもう そんな事気にしてない、
乗り越えてるって。。。

その両刃の剣の切っ先を
他人と自分の前から降ろすには
三吉くんの力が必要になるんだろうな~
頼むよ、三吉♪

お布団の上の三吉と、クルミの絵が、なんとも可愛いです。
三吉は迷惑だろうけど、クルミは気になったらもう、朝までとか、待てないんでしょうね。
ちょっと気が強そうで、わがままなところがあるかな?と思ったクルミちゃんですが、
幼少にそんなことがあれば、いろいろ気を張ってしまう性格になっちゃいますよね。

まずは、子供返りを、と思う茂吉の気持ちが、しみじみわかります。

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クルミは、小さいのに
大人のいやな世界を見て育ったんですね・・。
ちょっと他の子と違うのも、うなずける・・。
お姉ちゃんはどこに行ったのかな?
育った環境って、人の性格にものすごく影響するもの。

なんだか・・・切ない子。
赤い耳と尻尾なんて、華やかな色なのに。
あ、よく見ると、クルミ、肉球も赤だった。
可愛い子だなぁ・・・。

恵の子って言っても色々なんですね・・・・。三吉のように親に愛されてる子ばかりではないんですね。そう考えると、三吉が藤平につれて来られてきて、気が気ではないんですね。そんな事考えなくても、周りの大人を見れれば、ここは安心ってわかるはずなんですが、それが、わからないクルミは、きっと大変事を経験してきたんでしょうね。この、固く閉ざした心を三吉が溶かしてくれるといいんですが・・。

こんにちは☆
クルミは僅か4才にして重い物を
心に抱えていたのですね。
大好きなコノミお姉ちゃんは奉公に
出され、母の愛情は受けられない・・・。
それどころか男を選ぼうとする母には
耐えられないものがあるよね。

人?の愛がわからないクルミは可哀想。
早く本当のことが分かって子供らしい気持ちが
かえってくるといいな。

おはようございま~す(^0^*)ノ

そっかあ・・・そんな訳があったのね・・・
色んな人がいて色んな親が居て・・・
良いヒトばかりじゃないし良い親ばかりでも無い世の中で
クルミちゃんは頑張って生きてきたんだね・・・
おねえちゃんのコノミちゃんは、どうなってしまったのか・・・

辛いお話だけど、続きが楽しみです・・・

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こんばんは……ぐふっ

 夏風邪に見事にやられちゃいました……
 熱中症もだけど、びゆさんも気を付けて……


 クルミさんもなかなか波乱万丈な幼少期を過ごしているのですね。
 私も、葛藤はありました。親が嫌いな事もあったけど、今は良い親の下に生まれたのだと思うようになってきました。例えどんな親であっても、いつかはわかり合え、いつかは共に感謝することができれば良いのですが……クルミさんは……v-292

llama姉さん、いらっしゃーい!

こんにちはー

ぷぷ
可愛いなぁ〜
ずっと母を見守っているから疲れてもいるだろう。

本当にいらぬ苦労だね
しなくていいことなのにね。

嫌でござろうが何卒お付き合いして下され。

これからですねぇ〜
物語は始まったばかり

全くその通り、歳を重ねてようやくわかった気がする。
この世は修行なんだわ。
v-391

LandMさん、いらっしゃーい!

こんにちはー

嬉しいなぁ〜

この二人がこうして枕を並べて寝ていることを知ってもらいたいと思いました。

ありがとうございます。
v-410

あゆみちゃん、いらっしゃーい!

こんにちはー

只の奉公じゃないのよねぇ〜
あゆみちゃんがもっと怒りそうだわ

この世の終わりのように感じていたでしょう
コノミはクルミにとり、愛情そのものであり生きる綱でした。

物語は始まったばかり、これからです。
v-410

Mieさん、いらっしゃーい!

こんにちはー

ですね。
これからはクルミの身の上話になります。

茂吉も紫狼もそして恵み子達も全力で愛しています。
応援してやって下さい。
v-410

★すももママ★ちゃん、いらっしゃーい!

こんにちはー

本当にそうだよね。
子供なんだから、何も考えなくていいのにね。

物語は始まったばかり、これからです。
応援をして下さいね。

残念ながらザラにいますね。
育児放棄なんて、信じられませんよ。
v-412

ポール、いらっしゃーい!

こんにちはー

この傷は塞がることはないのよね。
小さくなっても治りはしない。

あのままならば恨みしかなかったろうなぁ〜
これからです。
v-410

園長さん、いらっしゃーい!

こんにちはー

・・・・
なんとまぁ
以前から園長さんは深みがあるお方と思っていたけど
やはり色々なご苦労があってこそだったのですねぇ。
いつもありがとうございます。

いえいえ
恵み子だとしてもまだ六歳の子供です。

三吉もいろんな世界があることを知るきっかけになります。
何事も勉強です。
v-410

limeさん、いらっしゃーい!

こんにちはー

子どもたちを描くのは楽しいです。
へへ

初めての友達、接し方もよくわからないのでしょう。
大人とは違うのにね。
付き合い方も少しづつ学ばないと
今に三吉が何気なーーく教えてくれると思います。

茂吉の気持ちを理解しているのか、どうだろう。
v-391

きらたるちゃん、いらっしゃーい!

こんにちはー

本当、見たくない世界ですよね。
コノミが居たからまともに育っていたのです
コノミも又、クルミを頼りにしていました。
そんな二人を引き離すのだから、罪深い話です。

ですねぇ〜
この美しさは茂吉や紫狼の賜物なんですよ。
ぷぷ
v-410

むらななちゃん、いらっしゃーい!

こんにちはー

その通り、
十人十色になります。

なんでかなぁと思います。
でもそう考えるしかない程の経験をしていました。
同年代の三吉ならば話せることって
あると思います。
v-410

うにゃままちゃん、いらっしゃーい!

こんにちはー

全くそうだよね。
考えなくていいことを考えるようになる。
子供にお腹を空かせる生活をさせちゃいけないよね。

愛情はね、コノミが沢山くれたのね。
一人でも愛してくれる者が居たのが救いだな
大事なことだよね。
v-410

かじママちゃん、いらっしゃーい!

こんにちはー

コノミが居た時は、まだ幸せでした。
酷いことをする親です。

本当、人、それぞれ。
良い人あれば悪い人ある。
クルミは教えられることなく覚えてきました。

まだまだ、これからでございます。
v-410

ゆうちゃん、いらっしゃーい!

もう、熱気がすごいのよ。
窓近くに座っているのだけど、あぢぃ~
堪んないよ。
お互い、気をつけよう。

クルミには悲しい物語がありますね。

本当にねぇ〜
どうなるのでしょう。
こんな馬鹿親と
分かり合える日があるのでしょうか?
v-390

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こんばんは~~♪
うわぁ~~眠たい!!という三吉くんの表情がよく出てる~~~♪
クルミちゃん遠慮しないで夜中でも三吉君に我がままがいえるのがなんかほっとしました。って三吉くんはエライ迷惑ですね(。^p〇q^。)プッ
それにしてもこんな小さいのに しないでもいい経験値は大ですね。
これからどんな子になって行くんだろう??
ぴゆうさん幸せにしてあげて~~~~♪

りんだちゃん、いらっしゃーい!

こんばんはー

ありがとニャン
子供たちを描くのは楽しいのです。

気になって仕方ないのよね。
ぷぷ

しなくてよい苦労と言うけど本当だよね。
子供にこんな思いをさせてはいけません。

は~~い、もちろんわかっておりやす!
へへ
v-392
プロフィール

 のくにぴゆう

Author: のくにぴゆう
猫国の住民達の物語を書いています。
作者はコメを食べて生きてます。
コメくださ~~い!
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