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夜矢 3 海流楼(かいるろう)

前回

酔いに任せて飛んだとて風は夜矢の元へと運んでいく、いつもと様子の違うノン吉を怪しむ桃吉。

理由を言いたいが言ってしまうと消えそうな、そんな気がするノン吉は鈴音川の辺りにいた。


はじまり、はじまり


「ノン」

「ぅぅ...」

「ノぉン」

「あっ?父ちゃん!ごめんよ、気付かなかった」

「桃吉が心配しているぞ」

「だって、あいつのそばにいると勘ぐって
五月蝿くて五月蝿くてよ~困った野郎だよー」

「ふふ、まっ遠からずではないように思うがな、お前のこんな様子は久しぶりだ」

「うん・・・金輪際と思っていたのによ、、、俺は駄目な猫だわ」

「今年で二十年目か、、、それに昨日は紅葉の十日だったもんな、それで又会っちまったんだな」

「ああ、そうなんだよ、でも今回はお蜜のとこで酒をたらふく呑んで、
ヘベレケぇ~』の
フラフラぁ~』になってさ、運任せ風任せにしてみたんだけどさ・・・」

「変えられねえよ」

「どうもそうみたいだ」

「お前が何をしても会うようになっている」

「俺・・・またか」

「それが宿命というものかな」

「俺はもうイヤだよっ、少しも慣れねえ」

「あの娘は慣れてほしいとは思ってないさ。だから、こうして会えるよう願い 【魂納め】をするのだものな」

なッ・・・何だって言うんだ!
ちきしょーッ!

「名前はよ」

「今度は『夜矢』だって」

「粋な名前だな、にしても何度目だ?」

「五度目にはなるなぁ、、、、、」

「これ以上、後引く女もいねえな」

「あいつ以外は考えられねえもん」

「そんで、どこにいるのよ?」

「また中(なか)にいるんだ」

「また?全く何の因果かねえ、、、仕様がねえ、俺が引いて来てやるか」

「父ちゃん、すまない・・・」

「ふふ、祝言挙げてやんな」

「うん!俺もそのつもりさ」

「よし、待ってな!」

五黄はさっそく外れ宿に来た、猫宿の賑わいにはほど遠いがそこそこ賑わっている。

五黄は『夜矢』のいる【海流楼】に向かった。いつもならあっちに『フラフラぁ~、こっちにフラフラぁ~』としたい処だが今回はそうはいかない、ノン吉の気持ちを知っているだけに急いだ。

「邪魔するよ」

あんらーーッ、大っきい旦那ッ!!」

「見た事ないわーぁ」

女達の喧(かまびす)しい声につられ婆狐が顔を出す。

「お出でなんし、ありゃ?まぁああーっ、五黄様でありんすよ~!
あれあれこんな薄汚い所へ」

「うん、その声は?、、、ああ鴬(うぐいす)のお鈴だ、何だよ、どうした?」

「鴬も婆になっちまって、恥ずかしいでありんすよ・・・」

「なぁに、昔の侭(まま)さ。だけど宿替えしたの?」

「まさかぁ~もうそんな歳じゃござせんよ。ここ、わっちの店なんで」

「へーー出世したねえ」

「それもこれも、五黄様がご贔屓下されたお陰でありんす、たんまり木の皮銭を頂戴しやしたもの」

「それで買ったのかい?」

「はい、わっちは郭以外は知りやしませんし、商いのいろはを今更覚えられないし。でも、郭なら何とかわかるでありんす」

「そうかい、知ってたらもっと早くに来たのによ」

「知らせはしたでありんす、梨の礫(つぶて)で.....」

「そうだったのか、俺もいろいろ野暮用が、、、」

「もういいでありんすよ、許すざますよ。それより、さっ、上がって、上がって」

お鈴がさっそく熱燗を用意する。

「旦那はお熱いのがお好き」

「ふふ、覚えていてくれたか」

「当たり前で、指を差し上げたいと心底想ったお方でありんす、受け取って欲しかった」

「ばか、そんなことできるかよ、ゾッコンなのはわかっていたよ」

「もぉう~旦那には手練手管は通じない、駆け引きなしのわっちの間夫(まぶ)でありんす・・・」

「お鈴は可愛い女さ」

「あぁ、まるであの頃のようで幸せでありんす、今日は帰っちゃ嫌ざます」

「ああ、そのつもりさ」

「嬉しい!お相手は一番の娘にしたいのだけど、ちょいと無理でおすから、二番のメジロにするざます」

「ばか、何を言ってるんだよ」

立とうとしたお鈴の袖を持つ。

「だって...わっちはもう婆でおすもの」

「お鈴、お前が望むなら若く戻そうよ」

「旦那ぁ、、、嬉しい...でも、いいざます」

「何故さ」

「わっちはいろんなものを見て来ました。そしてどうやら【魂納め】も望める歳に・・・これで終いにしとおす」

「寂しいなあ」

「いいえ、旦那、わっちは果報者、余生に郭の女将にもなれた、心底惚れた間夫にも会えた。これ以上女に求めるものはないざます」

「お前は昔から欲のない女だった」

「いいえ~欲深です、旦那を一時(いっとき)でも独り占めしたでありんす」

「ふふ、今日はゆるりと話そうぜ」

「ああ嬉しい!なら今日は貸し切りにするざます」

「そうしな、娘達も休ませておやり」

「はい、ありがとうございます」

広間に通されると着飾った娘達?が出迎える。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります

kairyurou.jpg

「何だよ~おしろいなんか塗ってよ、今日は休めってお鈴に言ったよ」

「でもぉ~あたい達、おささのお相手位はしたくてねぇ」

「ねえ~」

「お鈴、いいよ、二人で過ごそうよ」

「まあ!女将さん、いいなあ~」

「すごいだろ」

羨ましいわあー!


「あたい、妬けちゃうッ


あちきも!


「旦那、おささは飲んでやって下さいな、娘達が喜びますから」

「そうか、そんじゃ頂くよ」

五黄と楽しく過ごした時間は生涯忘られぬ思い出となったであろう。
手伝いの娘が血相を変えてやって来た。



つづく


付記

え〜〜郭の女達が着物を着ているので不思議に感じておられる思いますが、脱がせることがいいらしいです。

郭ならではでございます、粋な別世界と云えます。



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あらま姐さん、おこんばんは~m(__)m
ニャハハ、ここだけは忘れずに来るもんね~♪

うふん、あはん・・・な話だけじゃ済まないんだろーが、なにやら楽しみな展開。
五黄ちゃまが「身請け」に!?
しかも、お馴染みの「うふふん」が女将だってぇ、粋な巡り会わせ。
いいねぇ、話が複雑な方向へ繋がっていく感じが、たまんないわさ^^

挿絵の娘っ子たちの其々の着物柄、微妙に違う赤の色。
畳の織目まで・・・ビックリ たまげて 驚いたさね!

ちょっとだらしなく着こなした姿が、色っぽくていいわ。
そうそう、郭ではね、脱がせるために着せるんだって。
「あ~~~れ~~~!」の世界は、いつの世も殿方の好きなもの。
にゃははは~~~~~v-398

夜矢の一途さが、心に堪えた一幕だったにゃ。

うふふ。。。何やら今回はラブストーリー?
どこもかしこも、ピンクのハートが浮いてそう・・❤
何度も生まれ変わってもノン吉に会いに来る夜矢。
ステキなお話!

どんなお話になるか、展開が楽しみ!

なんか、、、五黄とお鈴のやり取りから、風と共に・・・の
レッド・バトラーを連想しちゃいました。

確かに、そこまで恋しい人と出会えたってだけで
お鈴は幸せですよね♪いいな~♡

そして、やっぱり宿命的な出会いなんですね!
それも何度も繰り返すだなんて、、、実際、人の世も
同じなんだろーと思います。

で、、やっぱり、、、脱がすのがいいんでしょうね~♡(≧▽≦)♡

「脱がせることがいい」という一文を読んだだけで、

廓通いが「粋」のカテゴリから「マニア」のカテゴリへ一気に移動!(^^;)

まあそれは冗談としても、

ノン吉くんの想いは叶うのでしょうか、叶わなかったら気の毒にすぎる……。

いろいろと背負ったものがあるだろうからさすがの五黄さまでもそう簡単にはいかないと思いますが、なんとかしてほしいものであります。

確かに遊郭などは脱がすことの美徳もありますしね。
ただ、脱がせ方にも趣がなければならないですからね。
その辺は難しいですけどね。
何事も優雅にすることが郭の基本ですね。

偶然あった、夜矢だと思ってましたが、どうやら運命の糸があるようですね。祝言!のん吉は結婚するんですか。ますます、色んな事が気になってしまいます。しかし、五黄様もいろいろと遊んでらっしゃるんですね。ちびっと、がっかりした私です。にしても、3人娘の化粧が怖いです。

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こんにちは(^-^*)

色々、因果や運命、宿命
めぐってるものがあるようですね・・・
廓のお話は、なんにしても切なく哀しいものがつきまとう・・・
胸が痛みます・・・・・・
みんなが
幸せになれますように・・・・・・

やはり五黄様は、本当にモテモテの、いい男なのですね^^
五黄様に優しい言葉をかけてもらえて、お鈴さんは幸せ者ですね。
きっと粋な女性なんでしょう。

郭かあ~、華やかそう^^
ここに夜矢がいるのですよね。
さて、どんな話になるのやら。

この数日ですっかり春めきましたね。
恋の、季節・・・かな。

こんばんはー

 若さを断る鴬さんは深みがありますね。
 年老いたから恥ずかしいとは自分で言っているけど、それを受け入れて美徳としているように感じられます。皺ができると言う事、シミが出来る事を過剰に気にする人もいますが、やはりそれも自己であって、決して悪いことでは無いのではと思います。尤も、今の年齢ではそこまで悟ったような生き方は出来そうにもありませんがv-290

 暖かくなってきましたね~
 しかし体調には注意です。

ぴゆうさん。
こんばんは♪

なんと!
そういう事だったんですか?
びっくりしました。
輪廻転生と言うことでしょうか?
ぴゆうさんのお話は二転三転?一筋縄ではいかないところが
面白いですねぇ~
そうなのかぁ~
ノン吉と夜矢が出会うべくして出会うって、
前回コメントしたのは、
運命みたい感じと思ったのですが、
こういう事だったとは!
うふふ。
どんな祝儀なんだろう。。。楽しみです♪

五黄様と鴬さん。
昔からのお知り合いだったのですね。
今日はいろんな思い出話に花が咲きそうですね☆

ああ、やっぱり 以前からの縁があるのね。
何度も同じような境遇に生まれるのは
哀れではあるけど
また巡り合って幸せになれるなら 
それはそれで素敵なことかもね。

いや、でも今度は桃吉という存在もあるし
もしかして輪廻を切って違う展開ってこともあるのではっ

llama姉さん、いらっしゃーい!

こんにちはー

ぷぷ
嬉しいノォ〜

五黄は今だ現役の遊びニャン、
通りで忙しいはずでございますよ。

夜の鶯
泣いて泣かせて
チントンシャン♪みたいな〜

にゃ~~~
嬉しいどーー
娘たちを着飾るのは楽しかったです。
そーーなんです!
やっぱり分ってくれやしたね!
襟を抜くのが女郎らしくていいでしょ。
へへ

これからですねぇ。
v-410

きらたるちゃん、いらっしゃーい!

こんにちはー

夜矢とは
闇夜でもノン吉の心を射抜くが為の名でござる。
ニャハハハ

ありがとう〜
がんばりやす!
v-91

ルビィちゃん、いらっしゃーい!

こんにちはー

レッドと女郎屋の女将さんのことでしょうか?

スカーレットと別れた後、傷心のレッドはきっとあの女将さんの元へ行ったのでしょうね。
今ならわかります、
ちびの時は何で別れるのよと頭にきましたが、そうじゃないのですね。
居づらい家にしたのはスカーレットなのですよね。
子供のように我儘なだけ、それ以上でも以下でもない。

五黄が愛する女達の一人なのでしょうが
お鈴の性根がいいですね。

袖すり合うも他生の縁と言いますものね。

猫国ニャラではでござりまする。
ニャハハハ
v-401

ポール、いらっしゃーい!

こんにちはー

ぷぷ
喜んでもらってよかったノォ〜
ニャハハハ

はて?にゃんのことかしらん。
けけ

男女のことはわからぬことばかりと答えそうですよ。
v-16

LandMさん、いらっしゃーい!

これは正に男の作法なのでしょうね。
そこまでは分かりませんノゥ〜
世の吉にでも説明をさせたいところです。

v-16「世の、郭のほれ、いろいろを説明してやってよ」

v-283「へい、あっしで出来ることならLandMさんを喜んでお連れいたしやすよ」

v-16「説明しろって言ってるの!連れて行けとは言ってないよ!」

v-283「何を言ってんですよ!手取り足取り微に入り細に入りご説明するニャー行かないとね」

v-16「ふん!で何よ、その手は?」

v-283「如何せん、先立つモノがね〜」

v-16「・・・・全く・・・」

そして世の吉に手を取られ、LandMさんは旅立ったァ〜
v-389

むらななちゃん、いらっしゃーい!

こんにちはー

偶然ではないのですねぇ〜
しっかりと繋がっています。
ぷぷ

五黄は遊びニャンですよぅ〜
現役バリバリらしいです。

顔色が悪いのは理由がありますね。
へへ
v-410

かじママちゃん、いらっしゃーい!

こんにちはー

この場合は因果がピッタリきますねぇ〜
一つの因子があった、そして果実がなったミタイナ感じです。

切ない物語になりそうですが、
きっと最後に納得してくれるかなぁ〜

皆、今生だけで考えていないのです。
来世を考え、行動をしているようです。
v-410

limeさん、いらっしゃーい!

こんにちはー

ですね、何もかも包み込むようなそんな女性なのかもしれません。
五黄も昔馴染みに会うとホッとするのでしょうね。

郭って哀しみを孕んでいるのに何故か華やか
とても不思議な別世界ですよね。
頑張りやす!

昨日は煙霧だとか言いましたけど、空が黄色で怖かったですよ。
今日は一転していい天気、こんな日が一番ですよ。
v-410

ゆうちゃん、いらっしゃーい!

こんにちはー

猫国ならではだと思います。
望めば来世があるから、今生を精一杯生きてお勤めを果たそうとする。
だから無理に若返ることも望まないのかもしれません。

私達にはそんな指針もない。
死が不安でしかないから、老いることに恐れを抱くのだと思います。
若く美しい時はあまりに少ない。
若さを堪能して下さいね。

本当だよね、大事にしますわ。
ゆうちゃんも無理しないように。
v-410

さやいちちゃん、いらっしゃーい!

こんにちはー

この世界は三役所のお陰でハッキリしています。
誰でも望めば転生ができます。

ありがとうござ〜る
嬉しいです。

最後にもっと納得してくれるかなぁ〜
へへ

五黄の馴染みと言うのでしょうか
鶯も忘れていた昔を思い出すのでしょうね。
そんな男がいることって大切です。
だって春だものぉ〜
ニャハハハ
v-410

園長さん、いらっしゃーい!

こんにちはー

そうですねぇ~
どうやら切れない縁のようです。

幸せになるのは努力もしないとね。
へへ
最後に納得してもらえるかなぁ〜

ある意味、特殊だからなぁ〜
ぷぷ
言えないよう〜
v-392

あれれ?
ノン吉と夜矢は、以前から巡り合ってた相手なの???
偶然の出会いではなかったようですね~
今後の展開が楽しみだわ^^

五黄さまも、昔馴染みと会った様で^m^
相変わらずモテモテで、
個人的にすごくうらやましいです♪

挿絵の娘さん達、お蜜とかに比べると
やや器量が・・・ 落ちる様ですな^m^
でも今回の挿絵も、細かい所まで素晴らしいです!

★すももママ★ちゃん、いらっしゃーい!

こんばんはー

そうなのですねぇ〜
それ以上は言えニャイ!

鶯にとって嬉しい再会になりました。
年老いて容色が変わるのは寂しいもの、
なのに昔と変わらずに接してくれる。
嬉しいですよね。

すももママちゃんが羨ましい?
ありえないでしょう。
♡モテモテ街道を一直線だと思われる。

へへ
そのつもりで描きました。
ありがとうでござーーる。
いい物を着せたかったのです。
ニャハハハ
v-410
プロフィール

 のくにぴゆう

Author: のくにぴゆう
猫国の住民達の物語を書いています。
作者はコメを食べて生きてます。
コメくださ~~い!
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