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第八章 お蜜再び ガスと云う河童1


前回

思わぬ親切をメメから受けたお蓑であったが、苛立ちが治まることはない。
詰まらぬことでも、怒りだす。そんな行為が自分を追いつめているとも思わない、心はささくれるばかり、お蓑に明日はあるのだろうか。



はじまり、はじまり



足がそよ風に吹かれて乾くと不思議膏を薄く塗り、布切れをそっと巻いていく。時間は掛かったが、きちんと巻け気を良くして歩き出す。

注意して歩いたからか、痛みは感じなかった。歩き続けて行くうちに、川の様子が変わってくる。川幅も少しづつ狭まってきている。

浅瀬があった。お蓑は冷たい水が飲みたくなったので川に入る。十里も歩いていないのだから、先程の河童の縄張りが続いているのだろう。

浅瀬には黒い蜆が顔を覗かせている。大きいのも小さいのもある。

「これって、もしかして蜆かしら?お熊がよく作ってくれた蜆汁の元になる貝よね?」

今までみそ汁の一杯も作った事がないのだが、試してみたくなった。蜆を鍋に溢れるほど手で掬って、川岸に戻る。

座りの良さそうな石を並べてみる。違う気もするがよくわからない。枯れ木を集め、火打石でカンカン!と威勢良く打ち付けてみる。

火花は散るが一向に火が点かない。何度やっても出来ない・・・いい加減に疲れて座り込む。今までなら簡単に諦める処だが、どうしても蜆汁が飲みたかった。

「そうだ!お熊は薪に火を付けるのに、最初は燃えやすいものに火をつけていたわ、、、それに風よけもしないと!こんなふうに平じゃなくて・・・」

枯れ草を拾い、もう一度やってみると火が点いた。急いで枯れ木に燃え移す。火を消さないように注意しながら、鍋を置けるように工夫する。

鍋を置くと一安心した。膝を抱えジっと焚き火を見つめている。

ジィ-

その内に鍋が煮立ってくる。

グツグツ・グツグツ

「わーッ!どうしよう?どうしよう?」


挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
shigimigiru.jpg

鍋が勢いよく吹きこぼれた。焚き火の火も消えてしまう。がっかりした、、、鍋底に少しだけ白濁した蜆汁が残っていたので、笹の葉で作ったスプーンで掬(すく)ってみる。

「美味しいーッ!とっても美味しいわ~ぁ!五臓六腑に染み渡るわッ」

二回も掬うと無くなってしまった。

「もっと食べたいわ~、、、やり直してみよう!」

時間はたっぷりあるのだ。

今度は蜆を鍋に半分だけ入れる事にする。二度目の焚き火は上手く出来た。ジっと鍋を見ていると、貝がコトン・コトンと鍋の中で踊る度に口を開け、透きとおった湯が段々白濁してくる。

ワクワクして見ていると全ての蜆が口を開いた。白い汁に黒い蜆が美しく映える。出来立てを急いで口にもっていく!熱さと旨さで口が綻(ほころ)んでしまう。

ウ~ン!

そして試しに塩を入れてみた。旨味が増すと同時に味が締まった。蜆の身も残さず美味しく食べた。前のお蜜なら「出し殻」と云い、手も付けなかったのに今は違う。

汁一つ作るのにも大変な苦労をしたからこそ、中身を捨てるという勿体ない真似は出来なくなっていた。少しはお熊の苦労もわかった気がした。

いつも我が儘を言って食事を残していた事を思いだす。色々と工夫していてくれた、、、思い出すと悲しくなって来たので、振り払うように後片付けをした。ここに泊まる事にした。

だが、幾ら美味しい蜆汁も、三日もそれだけで過ごしているとさすがに飽きてきた。細くて撓(しな)る木を丸く輪にした物に、芒(すすき)の様な細い葉を適当に編むとそれを括(くく)りつけた。

不格好だが笊(ざる)になった。その笊擬(ざるもど)きで川を何度か掬っている内に川蝦や小魚も獲れた。

早速、鍋に入れて煮てみると蜆汁とは違う美味しさに溢れ、幸せな食事になる。御陰でこの場所から離れられなくなり、結局一週間も過ごしてしまった。

その日も川の恵みを獲る事に夢中になっていた。

「何を獲っているのかのぉ?」

ふいに声を掛けられて驚いて振り向く。かなりの年寄り河童が居る。頭の皿から見窄(みすぼ)らしい毛がヒョロヒョロ出ていて、柄も汚らしい薄斑(うすまだら)の緑色。

腰は曲がって藜(あかざ)の杖をついていた。お蓑は河童を見て失敗したと思った。少しの魚を獲るのなら許されると言っていた、メメの言葉が頭を過ぎる。


アッ!


自分はここで生活しているように蜆や小魚を獲っている。言葉も無く突っ立っていた。

「どうしたのかの?わしに驚いたのかの?」

お蓑は濡れるのも構わず、年寄り河童に膝をついて謝った。

「すみません!勝手に魚を沢山、沢山獲りました。すぐにお暇しますのでお許し下さい!」







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自分で立ち上がることを覚えは始めたお蓑。
苦労が分かりだし、その分、己の手で掴む悦びを知る。

だからこそ、場合によっては他の者にも謝らなければならいと気がつくこともできる。

それならば、世の中、不謹慎な言動を垂れ溢し歩き回っている多くの者は何か?

人の形(なり)だけはしているのに。
お蓑以下が沢山いる。

ぴゆうさんのお友達の、蘭さんが遊びに来てくれました。最初ぴゆうさの、裏ブログ!って勘違いしました。あは、違ってた。ラーメン美味しくなったけど、食べれるだけで幸せと反省。今度の河童さんは、どんな河童さんなんでしょうか?いい人だといいのだけど。

こんにちは^^

ななななな何と!?v-405v-405
人間(じゃなくて猫だけど・・・あっ、元は狐か・笑)追い詰められれば、何だって出来るようになるんだねぇ・・・・v-405v-405

お蓑が蜆汁を・・・自分で・・・作って・・・飲んだ!!

はぁ・・・それだけでも凄い事だと思うよ、かーさんは(←誰がじゃ・笑)v-398

まだまだ沢山学ぶ事はあるだろうし、成長と言ってもまだ赤子並みなんだろうけど、それでも「謝る」という行為が出来るようになっただけでも凄い。
咄嗟に、メメから教わった言葉を思い出すことが出来たって事だけでも、私は凄い成長だと思う。

お蜜だったら、そんな諌言なんて右から左だっただろうからv-410

こんにちは^^
今日も、さすがです。m(_ _)m
読ませますねえ。(*^_^*)ノ
蜆汁・・・それだけで、こんなにも成長の感じらるお話。お蓑の様子を想像したり・・感情移入しはじめています。^^お蓑に。^^;
年寄り河童の登場、またまた、次回が楽しみです。(*^_^*)

ぽちしときました。

お蓑、やればできるじゃないですか。

あんな生活をしていたから、旅の生活には耐えられないのではと思っていましたが……。

こんにちは~^^

ほんと!毎回の登場人物に感心させられます♪^^

しかも、自炊を覚えたんですね~。衣食住の中でも大事なところですよね。
旅の途中で少しずつ、当たり前のことがわかって行くんですね。

でも、まだ危なっかしいところもあり、ハラハラさせられますね!

今度の河童は弱そうですね。どんな人物なんだろー?(=^^=)

お蓑の旅はまだまだ続きそうですが・・・。
ちょっとは、いろんなことを考えることが出来るように
なったのかしら?
毎回、ドキドキです~!
お年寄り河童さんは、何者かしら??

ちあ、いらっしゃーい!

こんにちはーv-411

お蓑となって、日々を過ごすうちに、今までの鎧みたいなものが取れてきたのかもね。

それは苦労しないとわからないこと。

メメに教えられた事が、ちゃんと心に沁みていたから、

ガスに声をかけられた時に、気がつく事ができた。

大きな一歩です。

v-391

むらななさん、いらっしゃーい!

こんにちはーv-411

げろろろv-399

とんでもないですよ、裏って・・・困ったのぅ~~

蘭はv-283猫国が大好きなので、いつも応援してくれます。

幸せな猫国なんです。


これ以上に相応しい河童はいません。

最高の河童と云えます。

v-391

蘭、いらっしゃーい!

こんにちはーv-411

おおーー、かーさんは喜んでくれたか。

けけ。

お蓑にとり、一番大事な事は素直な心です。

素直になったればこそ、わかってくるものもある。

これからです。

道は始まったばかりです。

v-410

マダム猫柳さん、いらっしゃーい!

こんにちはーv-411

ありがとうございます。

大照れでござるv-402

蜆は、母から聞きました。

ちびの時、それは沢山獲って楽しかった思い出を。

お蓑にもわかって欲しかった。

作る大変さ。

経験して始めてわかること。

v-410

ポール、いらっしゃーい!

こんにちはーv-411

ほんの少しでも、成長しているね。

小さな一歩でも、歩かないと進まない。

昨日よりは今日。

ほら、進んでる。

v-410

ルビィさん、いらっしゃーい!

こんにちはーv-411

自炊と言えるほどでもないですけど、蜆汁らしいものはできてます。

本当に危なっかしいですね。

それでもいい、少しずつでいいんです。

ガスは最高の爺河童ですv-218

私も大好きな爺ちゃんです。

きらたるさん、いらっしゃーい!

こんにちはーv-411

ちびっとだけは考える事ができたかも。

ほんのちびっとだけ。

それでも、ないよりはマシ。

ガスは最高ですよ。

良い河童とはこんな河童かも。

v-410

お蓑さん、お熊さんの苦労がやっと分かったのですね。
「思い出すと悲しくなるので」という所で、なんとも切なくなりました。
河童さんに許してもらえるといいのですが…。

のりさん、いらっしゃーい!

こんにちはーv-411

怒るより、哀しくなる。

それが本当です、それほど、お熊は愛してくれました。

だけど、それだけです。

まだまだ、わかっていません。


ガスは最高の河童です。

これ以上の存在はあり得ません。

私も大好きなんです。

v-410

こんばんわー

 自炊ご苦労様です。
 私も、たまには料理をしますが大概焦げますよ。アイデンテイティとかポリシーとか、この方が香ばしくておいしいとか言い訳しても、鍋の底には黒い焦げ付きが早く洗っておくれと待っています……トホホ……

こんばんはー☆

お蓑さん、がんばり始めましたね!
お熊さんのやり方を、何だかんだできちんと見ていて、思い出してやってみるところ、すばらしいです(^ ^)。
少しでも何か知っているなら、やってやれないことはないんですよねvvv
突然出てきたお年寄りの河童さんにも、慌てはしたけど謝ることもできましたし。

そしてイラストのお蓑さん、ちょっと前にスパゲティをふきこぼしかけたわたしのポーズとおんなじで、ちょっとフィーリング感じました(笑)気をつけます…。

由ちゃん、いらっしゃーい!

こんばんはーv-411

ほっほほほ、焦げるとイヤだよねぇ~~

言い訳するのは私も大得意でござる。

へ理屈は得意分野だったりして。

v-391

だけどお蓑の蜆汁よりは、いけてると思うよ。

v-218

ゆささん、いらっしゃーい!

こんばんはーv-411

お蓑もお熊の仕様を見ていたと思います。

そんな一つ、一つが大事。

下げる頭を叩く奴はいない。

お蓑も下げる頭を持つことができました。

少しは進歩したかも。


おおー、スパが吹きこぼれると焦りますよね。

私もすぐに焦る口です。

ほっほほほほ。

v-389

こんばんは。

何かを学ぶ姿、素晴らしいことです。
少しづつ、少しづつ、大事なことを学んでいくのでしょうか…。
人間もそうですよね。
どんなに時間がかかっても、幸せを手に入れたれたらいいと、思います。
おみのさん、頑張って~。

河童の世界に身を任せながら、料理の難しさと美味しさを知ったお蓑
そんな行動が、お蓑を人間(猫?狐?)らしく成長させていくんだなぁ~と思いました。

そこに登場した老河童・・・この河童さんもやばい河童さんなのかなぁ・・・

いずきちさん、いらっしゃーい!

おはよーv-411

その通りだよね。

時間がかかって、学んだことは忘れない。

まして、自分の意志でしたことはね。

お蓑はこれから、もっと、もっと学ぶことになります。

v-410

レオ、いらっしゃーい!

おはよーv-411

初めて作った感動は、忘れられないもの。

そんな一つ、一つがお蓑を作っていくと思います。

ガスがどんな役割を担うか。

v-410

料理をつくる苦労、やってみなくちゃわかりませんよね。
なにもかも、そういう感じで、身をもって体験することが必要なんでしょうか。
たいへんだぁ……。

でもでも。ちゃんと謝ることができたのは、感動!
「進歩したね!」とうれしくなりました。

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パセリサラダさん、いらっしゃーい!

こんばんはーv-411

体験しないとわからないこと。

殆どだと思います。

蜆汁一つでも、お熊の苦労がわかったり。

間違えば、謝る。

本の少し、進歩しました。

本当に少しね。

v-391

お蓑になって はじめて作ってみた食事。
そりゃぁ 美味しかっただろうなぁ。。。
しじみ汁の美味しさが伝わるよ。

それに藜の杖!
昔は本当にアカザを杖に使っていたって
「食べられる野草」の本に書いてあったっけ。
そんな描写を見つけて なんか感激♪

園長さん、いらっしゃーい!

こんばんはーv-411

美味しさが伝わったかしら。

五臓六腑に沁み渡ったもんね。

ププ。

藜はねぇ。

年寄りが中風避けに使ったと云う話と、とても軽いということで使用しました。

植物は素晴らしい。

園長さんとはシンパシーを感じるよ。

v-410

少しずつですけど、ちゃんと成長していきますね。
自炊と謝罪のスキルをゲットできたのかな?
お蓑さんにはこれからも純粋な心を磨いていってほしいです。

あと、なぜかイラストのメガネのずれっぷりにグッときました(笑)

マキちゃん、いらっしゃーい!

こんばんはーv-411

だねぇ、どこまでかと言われると自信はないけど、

ほんの少しでも、進んだような。

一歩進んで、二歩下がると思えば間違いないような・・・

v-391

グッと来たの、けけ、そりゃいい。

v-218

こんばんは^^

 お蓑の初めての自炊~サバイバルだね。i-179

猫国は一年中、気候が温暖なんっだっけ?(ちゃんと読み返してね~)んっ!!空耳??

こっちはめっきり寒くなって、野宿は危険かもです。i-282

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どーちん、いらっしゃーい!

こんばんはーv-411

菰傘村だけだよん。

温暖なのは、五黄のおかげなんだに。

お蓑の自炊サバイバルも、板につくまでいくかどうか。

まあ、お熊の大変さを学んだことが大事かな。

v-410

いつもは捨ててたものもありがたく食べるようにってぇ。。。
いつも当たり前のことって当たり前なんかじゃないんですよね。
ってしみじみ思ってしまいました。

HannaChopiさん、いらっしゃーい!

おはよーv-411

自分で苦労して、初めてわかることの多いいこと。

よく親に言われました。

スーパーに行っても、客だと思って威張るなんて、とんでもない。

売って戴いているから、買えるんだ。

幾ら金があっても、売ってもらえなければ、買えないんだ。

立場が違うだけなんだ、とね。

お蓑も作ってみて初めてわかる。

そんなことが大事だと思います。

v-410

おはよ

さてさて、この年寄りカッパの正体は?
そして、お蓑ちゃんの運命は?

かぶちゃん、いらっしゃーい!

こんにちはーv-411

後少しで追いつくね。

ププ、嬉しいこと。

お蓑は運が良い。

そんなものかもしれません。

良い出会いをしたようです。

v-410

こんばんは

少しご無沙汰してしまいましたi-201
ポチ逃げで申し訳ありません。

お蓑さん頑張ってるじゃないですか^^
そうやってドンドン成長するんでしょうね。

さあ!また新しいキャラ登場ですね、楽しみ^^

 こんばんは。
うん 凄く嬉しい。
お蜜さんが お蓑さんが うーん どっちで呼ぶのがいいのか解らないが…
とにかく 彼女が 色々と感じて 彼女の中に 色々と染み込んでいくのが解る。
彼女の成長が こんなに嬉しく感じて 応援したくなるのは きっと 彼女が真直ぐだから。
無知の知を理解できれば 謙虚にもなれるし 他から 素直に学べる。
よかった 彼女は きっと 立派な 人の上に立つに相応しく成長できる。

ウゾちゃん、いらっしゃーい!

こんにちはーv-411

今はお蓑がふさわしいね。
お蓑はこれから耳に目に痛いことばかりでしょう。
それでも乗り越えられると信じたいね。
これからだね。

ウゾちゃんにそんなに応援してもらえたら、
お蓑も欣喜雀躍だろう。
内緒にしとこう。
v-391
プロフィール

 のくにぴゆう

Author: のくにぴゆう
猫国の住民達の物語を書いています。
作者はコメを食べて生きてます。
コメくださ~~い!
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