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クルミ 43 木平とコン竹

前回

裏卍病院で罪人は一体、何をするのだろう。

はじまり、はじまり


そこで身より無く余命も無い者達の世話をする事となる。一対一で世話をする。シーツや包帯の交換から、食事の介助、下の世話に至るまで片時も離れてはならない。自分の時間が取れるのは食事と僅かばかりの休憩だけだ。

相手を選り好みする事も逃げ出す事も出来ない。尾には紋次の糸が付いているので無理な話だ。何故、茂吉はそう云った仕組みにしたのか?罪人と病人は一見何の関わりもないように見えるが、実はそうではない。

ここに茂吉たる所以(ゆえん)がある。

病人達は罪人達の所業により不幸な生き方をさせられる羽目になった者達なのだ。罪人はその病人達を看護していく内に何も知らない病人の口から聞く事となり、罪人はここで初めて己の罪深さを知ることとなる。

病人達は其れぞれに生きた証を残そうとする、、、それは物であったり、言葉であったり様々だ。何も無ければ決して相まみえなかった者達が、お互いの心に何かを伝え合う。

罪人は看取る事により幾ばくかの罪滅ぼしとなり、看護を受けた病人も罪人の心に生きた証を残す事となる。与さ松には因縁深き病人がいる。その者と明日にでも引き合わせる事となった。

茂吉はもう一冊、クヌギから違う資料を渡され、しばらく考えていたがガスへの手紙を書き、知らせ蜻蛉(とんぼ)の紙次に託す。ガスは手紙を受け取ると大助と相談をする。

「まずはこん竹を呼んでみましゅか?」

「それがいいと思います。話をしてみましょう」

こん竹はガスに呼ばれ、部屋にヘコヘコしながらやって来る。

「へい、お呼びですか?」

「仕事はどうでしゅ?」

「慣れましたか?」

「へい、あっしも最初はキツくて根をあげやしたが、今ではすっかり板に付きやした。体のだらけ錆(さび)もきれいに取れたみてえで、へい。今は患者様達のお役に立てるのがあっしの生き甲斐です!」

こん竹が変わったのには訳がある、きっかけとなる友達が出来たのだ。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
mokubeikontake.jpg

「しかし木平さんは良い狸振りですねえー、オスのあっしが見ても惚れ惚れしますよ」

「嫌だすよ、わすも大分に歳を取りますたよ」

「さぞや、メスを泣かしたんでしょうねぇ~」

「それは言えねえだす!」

「やっぱりねえ~、今だってブイブイ泣かせてるんでしょうね~」

「・・・・」

「あ!すいやせんッ!あっしはこれだからいけねえ、つい調子に乗っちまって、、、すまねえこって」

「いいんだすよ、わすの方がいけねえんだす」

「まっ、これを機会にあっしとも仲良くして下せえ」

「こつらこそ。わすは年に一度はこちらにご厄介にまいります。薬を仕入れたり、体を休めさせてもらっているだすよ」

「知っていやすよ。お見かけはしていたんですが、こうして話しが出来るのは初めてですよ」

「そうだすか?」

「一度、お話しをしてみたくてね」

「わすなんか大して面白い話しが出来るわけじゃないだすよ」

「でも国中を旅されてるんでしょ?あっしは旅の話を聞きたくて、、、あっしも昔は旅烏だったから」

「そうなんだすか?」

「見てくだせいよ、これは捕縛蜘蛛の糸ですよ、あっしらが逃げ出したら直ぐに分かるようになっているんですよ」

「何で又?」

こん竹は今までの経緯を全てを話す。木平は思いがけず、クルミが一人旅をするきっかけを知った。

「そうだったんだすか?」

「あっしらは・・紫狼様に命を救われたんですよ。それなのに、『いつ魂沈めをされて命を取られたって構うもんか!』って粋がっていたんですよ。

ところが可笑しいじゃありませんか、ここに来てから三度のおまんまが旨くて仕方ねえんです!酒もねえのにね。考えてみりゃそりゃそうですよ、

前は働くのが嫌でぐうたらして暮らしてましたから腹が本当に減って食べてるわけじゃねえから、美味いわけねえんですよ!

処がここに来たら、畑仕事だ、釜焚きだのと休む暇もねえ。へたすりゃ、おまんまだって食いそこねる。でも、そうやって汗水流して働いて食う飯の美味い事つったら、握り飯に梅干し一粒だって、天下一品ですよ!

こんな暮らしをしていたら不思議と命が惜しくなって来やがった。病人に優しい口を聞いてもらったり、感謝されているとこんなあっしでも『何かのお役に立てるのかな?』って。そんな罰当たりな、いい気な考えをするようになってきやしたよ。木平さん、笑ってくだせえよ」

「こん竹さんもわすと同ずで生き直しをなさっているんだすよ」

「えっ?どう言うことですか?」

「こんな事を話すのはあなたで二人目だすよ。わすの話をなんだか聞いて欲しくなりますたよ。聞いてもらえるだすか?」

「あっしで良けりゃ、話して下せえ」

木平は長い話をした、、、自分の事もそしてクルミの事も話した。こん竹は如何に自分の心ない行動が小さな子狐を苦しめていたか、その事にやっとに気が付き涙を流し詫びる。

「今のクルミちゃんは尊い恵み子様だす。謝りたいと云ってそうそう簡単に会うことが出来る様なお方ではありませんよ」

「あっしはどうしたらいいんですかッ?どうしたら詫びれるんですかっ?」

「今の様な生き方を続けるしかねえだす」

「でも・・・・」

「それすかないんだすよ...」

木平の答えに納得は出来なかったが心に沁み、奥底に何かを残す。その言葉は日が経つ程に広がり、いつの間にか満たされる。

鹿威(ししおど)しの最後の一滴が、水を流すきっかけのように、心にこびり付いた諸々の悪が流され、善良な働き者に変えた。

そうなると、一向に気持ちを変えないお順といられる訳も無く、到頭、部屋を別にしてもらい今ではまるで口を利こうともしない。

それが今のこん竹だ。






つづく


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