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クルミ 26 帝子と夢子

前回

紫狼はガスに二人を任せると安心して帰る。校長室には憔悴しきった茂吉が居た。睡眠も満足に取れないようだ。


はじまり、はじまり


二人が話をしている校長室の窓際に何やら黒い影がモゾモゾしている。そのうち、その黒い影は人形(ひとがた)になり窓を開けようとしているが、開け方がわからないらしく苦労をしている様子。

すると今度は窓を遠慮がちにノックする(コン..コン...)ノックする度にバラバラと手が崩れる....不気味だ。紫狼が気が付き急いで窓を開けた。

「どうしたのです帝子、随分と久しぶりだこと。父様先生、帝子です」

茂吉は珍しい名前を聞くと、項垂れていた頭を上げる。

「おお、さっ、入りなさい」

「帝子、入りなさい」

「はい、それでは取り敢えず夢子と私だけにしておきます」

黒く、もぞもぞ動いていた人形がバラバラ崩れ落ちる。窓には二匹の蟻が居た。一匹はとても大きい蟻で帝子と云う女王蟻、もう一匹は娘の夢子だ。二匹の蟻はそそくさ駈けるように二人の前に行くと、丁寧にお辞儀をする。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
teikoyumeko.jpg


「お久しぶりのお目もじ、この帝子、嬉しゅうございます」

茂吉も少し元気になってこの小さな訪問者と話す。

「ふふ、お前達の仕事ぶりには頭が下がりますよ、お前が離れても平気なのかい?」

「はい、帝子の引退も近い気が致します」

「なんと!そう言えば、もうどの位経つかね?」

「はい、九百年にあいなります」

「ああ、そうだね。あたしが御係所を始めて、そのままお前に頼んだのだものね」

茂吉と帝子の付き合いは古い。茂吉が御係所を始めると天の神から【捕縛蜘蛛の紋次】【知らせ蜻蛉の紙次】【記憶天道虫の丸子】【牢獄蟻の帝子】達を、僕(しもべ)にせよと下された。

紋次は何度も度々出ているので説明はいらないが、知らせ蜻蛉の紙次と記憶天道虫の丸子は、いつも茂吉のテーブルの上にオブジェのように、じっとしている。

知らせ蜻蛉は名前通りに茂吉の手紙の専用配達虫。記憶天道虫の丸子はその丸い体の中に信じられない程の情報を蓄えている。

茂吉が関係をする有りとあらゆる事を全て記憶しているので、茂吉は何かある度に丸子に向かって話し、記憶させ忘れると聞き出す、、、便利なのである。

この者達 には其れぞれに兄弟や子分達が沢山いる。群を抜いているのが、牢獄蟻の帝子である。帝子には数が分からない程多くの兄弟子供達がいて、普段はその子供達と暗い地下の穴蔵で牢になっている。

それは蠢(うごめ)く蟻で出来た牢なのだ!その凄まじさ恐ろしさは見たもの誰もが震え上がる。御係所の施設の一つにこの蟻牢がある。罪深き者と判断された者はこの牢獄に入れられ入れられたが最後、絶対に脱獄はできない。

こんな逸話が残っている...脱獄を企てた者が食事を差し入れた看守を人質にして帝子達に牢を開けろと迫った。元から牢自体が開けるも閉じるも小さな蟻達が集団で手足を繋げてしている事、食事を差し入れる時もその場所だけ手を離し看守が通れるだけを開けるのだった。

帝子達に迫った罪人はとんでもない目に合った。蟻達が一斉に罪人目掛けて蟻酸を尻から出すと、罪人の皮膚は焼け爛(ただ)れ火ぶくれとなり見るも無惨な姿になったと云う。恐いのである。

「帝子、引退してどうするの?」

「はい、帝子は茂吉様のお側に居とうございます。そして茂吉様と他の仲間達と暮らしたいと思います」

「ふふ、帝子は可愛いこと。帝子がそうしたければそうしなさい」

「ありがとう御在ます、帝子の夢が叶います」

「でも帝子が居ないと牢の方はどうなるのですか?」

紫狼が訊く。

「帝子はその為に夢子を連れて来たのだろう」

「はい、私の仕事は夢子に継がせたく、茂吉様にそのお許しを頂きたいと思い、連れ参った次第でございます。夢子、さっ、ご挨拶を」

帝子のそばに控えめにいた夢子は、茂吉や紫狼に向かって深々お辞儀する。

「夢子でございまする。真に不束者(ふつつかもの)では御在ますが、母に負けぬよう精進し相務める所存、どうかお許し下さいますよう」

「ふふ、ありがとう、夢子。どうか宜しくお願いします」

「はい!」

夢子は平伏している。

「帝子は良い娘御を持ったものよ」

「はい、帝子の自慢の娘で御在ます」

「さもあらん。夢子、この毛はあたしの髭(ひげ)の毛です。指揮棒にして使って下さい」

「なんと幸せなこと!さっ、夢子頂きなさい」

帝子は嬉しそう。

「はい、ありがとう御在ます!」

茂吉は自分の髭を一本抜くと夢子に差し出す、夢子は押し頂いて畏まる。夢子は早速、茂吉の髭を持ち窓枠に立つと指揮棒の髭を振る。

ざわざわとしながら蟻達は人形になると夢子を手の上に乗せる。夢子は振り返りお辞儀をすると人形の蟻達もお辞儀をする。そしてザワザワ音をさせながら去って行った。





つづく








今年最後のアップとなりました。
いろいろとあったような無かったような
思うに夏の暑さと冬の寒さが過激になってきた気がします。
のんびりと陽を楽しむ春や秋が短いのは寂しい限り

クルミは来年も続きます。
どうかのんびりとお付き合いを頂けたらと思います。
来年もどうか宜しくお願いします。
m(_ _)m

ぴゆう
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