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第十章 開道 大団円

前回

ノン吉達は許しを得て、桃吉を一目散に迎えに行く。



はじまり、はじまり



一方、桃吉を迎えに行ったノン吉達は信じられない程の速さで【刺抜とげぬき村】に着く。我先に!と、民家に辿り着くと夢にまで見た桃吉が横になっている。

驚く耳子や田平、ヒコ爺達にノン吉達は丁寧に礼をする。野次馬達がぞろぞろ集まり出すと覚一や六助が追い払う。ノン吉達は憔悴(しょうすい)し切ってる桃吉の顔を見て泪が止まらない。

抱きつきたいのと大声で名前を呼びたいのをぐっと堪え、寝ている桃吉を布団ごと運び出す。ノン吉はポケットからお紺を乗せて来た大きな篭(かご)を取り出すと、そこに布団ごと寝ている桃吉をそっと寝かす。

篭の取っ手に四方八方から縄を渡し、皆でその縄を持って飛び立つ。呆気にとられていた耳子達にノン吉は繰返し厚く礼を言うとニコニコして飛んで行く。

ノン吉の胸に去来するものは何であろうか?
一緒に旅をした時間の方が短く、離れていた時の方が長かった。最初に会った時は『桃色の面白い猫』くらいにしか思っていなかったのかも知れない。

旅をしたのも、単なる気まぐれの一つだったのだと思う。だが、竜巻に攫(さら)われ一生懸命に探しているうち、どうしてなのかはわからないが自分にとってかけがえの無い存在になっていた。

不思議な気もする。離れてしまえば忘れるものなのに、桃吉のことは『足が遅い』とか『顔の洗い方が変』とか、大したことないような事が次々と思い出され余計に胸を締め付けた。

どうせ俺達が必死になって探してたと聞いても、『何でですか?』とか言ってボケた口を利くだろうと思いながら、桃吉を天宮に運ぶノン吉であった。

天宮に運ばれても桃吉は寝ていた。
五黄に命は救われても、激しく消耗した体は元には戻ってはいない。そろそろと神々達の前に布団ごと運んで行く。

「父ちゃんに助けてもらいましたが、これじゃあ、いつ元気な桃に戻れるかわからない。元気な桃に戻して下さい!」

「ノン吉は余程この者が大切とみえる」

「うーてんも大切です!」

「あたしも!」

「おいらもでやんす!」

「あいわかった」

【陽の神様】が桃吉の前に立つと、口から黄金色の息を『ふあーっ』と吹きかけた。すると桃吉の憔悴した顔に生気が戻って来た。荒い呼吸も治まった。しばらくすると桃吉の目が開いた。

最初は薄ボンヤリしていた目の焦点が段々合って来る。自分を取り囲んでいる視線に気が付く、「ニャーあ!」一声鳴いて顔を布団で隠す。すっかりおニャである。皆が歓声を上げる。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
namidanosaikai.jpg


桃ーッ!桃吉!俺だよーッ!


久しぶりに聞くノン吉の声に桃吉は反応した。布団から飛び出すとノン吉に抱きついた。


兄貴いぃぃー!ニャぁーーーン!


桃吉いぃぃーーッ!!


見ていた天狗達もオロやきゅー助も桃吉とノン吉に抱きつく。まるで押しくら饅頭してるよう。


うわあぁーーん!


桃吉には状況が何だか分からなくても、会いたかった顔ばかり、、、嬉しくて仕方ない。ニャーニャー鳴くばかり。言葉も出て来ない程興奮している。

それを見ていた五黄や狸兵衛、茂吉や十字は神々様と一緒に微笑んでいる。茂吉はふと五黄に訊いてみた。

「父様。父様はどうして桃吉を猫になさったのですか?」

「へ?そう言われてもなあ、、、」

そばで聞いていた【陽の神様】が答えた。

「茂吉よ。五黄には答え辛いのでは」

「どうしてですか?」

「ほほ、そなたが答えるのが一番ではないのかの」

【月の女神様】が口を挟む。

「そうよな。茂吉、五黄は我らに内緒でしてるつもりだったのよ」

えっ!?どう言う事ですか!?」

五黄は居ずらいのかさっさとノン吉達の方に行ってしまう。


父様!


困った茂吉は五黄を連れて来ようとするが、【月の女神様】が優しく制す。

「良いのよ。五黄の好きにしたら良い」

「でも・・・」

「茂吉よ。我らが【人国】を飛ばしたのは知っておるの」

「はい、もちろんです」

「飛ばしたといっても何も【産海(うみ)】の向こうと云う意味ではない。今ある【人国】の世界は全く別の次元よ。我らの居るここの世界とは縁(えん)も縁(ゆかり)も無い世界。

そこに住む者達は我らとは異質の存在となり果てている。残念ながら、それほどに変わってしまった。もはや後戻り出来ぬ程にな」

「それほどまでに・・・」

「我らも意外だったが【人国】は我らから離れると不思議な現象が起きるようになった。【人国】で大きな出来事がある度に分離するのよ。

何かの爆発なのか、何もわからぬが、その度に別れて行く。今の【人国】の世界は薄い層が何重にも折り重なっているように存在する。

もはや、最初がどこなのかさえわからぬのよ。そしてその世界同士が主導権争いをしている。方や厚ぼったく膨(ふく)れていくなら、ペラペラと薄くなり消滅していく世界もある」


なんと!?


「その中で、翻弄(ほんろう)されているのが【十二族】よ。相も変わらずの意気地の無さは哀れを過ぎて、もはや無惨よ。

五黄はそんな世界を渡り歩いては、【十二族】の中で姿は変わっていても魂がまともな者。又は取り残されていた【四族】の者を救っているのよ。我らに内緒のつもりでコソコソとな」

「ほほ、可愛いのお」

「今までばれて無いと思っておったのよ」

「可笑しいのぉ」

「可笑しいわぁ」

けらけらと神々達は笑っている。敵わないのである。

「そうだったのですか!では、全てご存知だったのですか?」

「当然の事。知らぬでどうする」

「ほほ、可愛い五黄がする事よ」

「何の差し障りがあるでなし」

「【陽の神】がなさることは大胆苛烈故、取り残された【四族】の者も居た。その者達を救うは本来なら我らが仕事。なれど我ら、あの世界に干渉(かんしょう)するのも厭(いや)」

「厭って、、、【風神様】・・・」

「厭なものは厭」

「本にのお」

「我らも好きもあれば嫌いもある。出来る事もあれば、出来ぬ事もある。間違いもある。それが我らよ」

なんと!?神々様は全能かと、、、」

「ほほ、茂吉よ。『玉に疵(きず)』と言うなあ」

「はっ、はい!それが?」

「玉というのは大きな塊を削(けず)って作る。見た目には疵一つないように見えても実は違う。削っているのだから本当は疵だらけよ。

だが、見た目はそのようには見えぬ。我らも同じ。けっして全能でもない。しかし、我らにはその疵を隠す知恵があった。それがお前のしているような事よ。

我らの足らぬ処をそち達や五黄が補っているのよ。そう我らは考えておる。楽しいのお」

神々達は笑いながら大騒ぎしている五黄達の元へ行く。

茂吉は考えの及ばぬ事に呆然とした。狸兵衛も十字も言葉もなかった。残った三人は話し出す。

「なんとまぁ!あたしの様な者には到底理解できません」

「わしらの考え方とは桁(けた)が違うからなあ」

「五黄様はある意味、神々様と同じですね」

十字は感慨深げに言う。

「全く怖いようだな」

「父様はどれほどのお力をお持ちなのでしょうね?」

「五黄は半分は神のような者なのじゃな」

「あたし達は幸せですね」

「そうよなあ~。わしにもちゃんと、きゅー助やオロを寄越してくれた。狸七の事は確かに悲しい事だったが、幾総倍も良い心の者がいてくれる」

「狸兵衛様、これで安心ですね。私も鋼(はがね)作りを止めませんよ」

「そうですよ、十字さん。お互いの仕事を一生懸命にする事は神々様をお助けしている事なのですものね。なんか張り合いが出来てきました」

「本当ですね」

「わしらの神々様達は良いのお~」

「本当に。下々を煽(おだ)てるのが上手ですね」


ははは


ふふふ


三人も笑いながら大宴会を始めてる皆の元へ行く。


                           おわり



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ありがとうございましたぁ~~

goaisatu.jpg
挿絵参照↑↑↑  絵をクリックすると大きくなります


《ご挨拶》

今回で猫国往来記の本編が終了致しました。
振り返れば去年の一月、わくわくしながらアップしたことを思い出します。

それから一年と八ヶ月。
長かったような短かったような...まだ実感も湧かずにぼーっとしています。
ただ、週二回アップのペースを貫徹できた事に深い喜びを覚えます。

それも皆様の温かいコメントがあればこそでした。
登場人物達に対してのコメントの数々。
作者もいかほど励まされたことでしょうか。

猫国はとても長い物語。
まだまだ後が控えております。
『全てアップができるのかな~?』と、少し不安もありますが、彼らの楽しい世界に『触れて欲しい!』『癒されて欲しい!』という熱い気持ちは今だに衰えていません。

少しお休みを頂き、のんびり挿絵を描こうと思っています。
休んでいる間に猫国とは全く違う小説をアップをしようと考えていましたが、やはりそれでは休めないと思い、その小説はいつか別サイトを作った時にアップしよう思います。

皆様、長い間ご贔屓を賜りましたことをここに厚く御礼を申し上げますと共に、
皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げ、ひとまず終了の挨拶とさせて戴きます。

本当にありがとうございました。m(__)m

のくにぴゆう拝



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プロフィール

 のくにぴゆう

Author: のくにぴゆう
猫国の住民達の物語を書いています。
作者はコメを食べて生きてます。
コメくださ~~い!
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今まで紹介をしなかったのですが、それも変だなと 三ニャンを宜しくお願いします。

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