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第七章 オロとキュー助 空から降って来た猫1

前回
 
ノン吉はぐーてんに教えられた場所で、桃吉の痕跡を見つける。
皿流し川の激しい流れは桃吉の生存を否定していた。
沈痛な面持ちの仲間とノン吉は、皿流し川をあてのないまま、
桃吉探しに飛び立つのであった。
そして、少し前に話は戻る。


はじまり、はじまり



桃吉はグルグル廻りながら、自分の愚かさを悔やんだ。
息をするのも苦しい中、あがいていると、ボーッと意識が遠のいてくる。

無くさないようにしていても、いつの間にか薄れていく.....
なす術(すべ)も無く、どれ程経ったのかもわからない。

轟音(ごうおん)に驚いて『ハッ!』とする。
音の方向に目をやると足下から黒いものが飛沫を立てながら競り上がってくる。

挿絵参照↓↓↓
momokichitobasaieru.jpg

ぐぅをぉぉーーーーーッ


恐怖を感じる間もなく、凄い勢いで竜巻から弾き飛ばされた。


「ふんぎゃぁぁーーーッ!」


木の葉のように皿流し川に落ちた。
体を冷たい水流が押し潰そうとする。

息をしようと、もがき捲(ま)くり、やっとのこと水面から手を出すと無闇矢鱈(むやみやたら)に動かした。
何かを掴んだ気がして爪に力を込めた!

確かな手応えを感じ、体が押し流されるのを何とか堪えた。渾身の力を振り絞り、水面から顔を出すと小さな岩を掴んでいた。

岩を抱きしめて体を寄せると、初めてまともに呼吸ができた。
水飛沫(みずしぶき)を浴びながらも、息が出来る事に少しだけ安心した。

フッと爪の力が一瞬抜けた途端、片方の右手が水流に押され岩から離れてしまった。
なんとか腕を岩に戻そうとするが、水流に押されて戻せない。

岩を掴んでいた左手がじきに痺れてくる。
すでにその岩を掴み続けるだけの気力も体力も残っていなかった。

左手が岩から離れた瞬間に意識を失った...
体は激しい水流に揉まれながら、濡れ雑巾のように川に沈んでいく。

その時、突然現れる二つの影。
桃吉の頭を抱えると激しい水流をものともせず、一気に川を横切って行く。

もう一つの影は桃吉の体を押すようにして、意識の無いフニャフニャの体を支えてる。
二つの影は達者な泳ぎで横切ると激しい水流から外れた小さな淵に出た。

そこには一見して分からないような洞穴があった。
水面ぎりぎりに開いている穴の前には葦がたくさん茂っていて、かき分けるとようやく顔を出すといった場所だった。

二つの影は意識の無い桃吉をその中に引きずり込んだ。
しばらくすると、桃吉の目が虚ろに開いた。

壁が蝋燭(ろうそく)の温かな色に染まっている。

「あれ?オロ~、この猫起きたみたいだよん」

「本当?どれどれ」

二人は、目を開けたままボーッとしている桃吉を覗き込んだ。

「おい!大丈夫かッ?しっかりしろよ!」

「へっ?」

「だめだよ!起きちゃだめだよ!」

「オロの言う通りだもん」

「はっ?ホッ?へっ?」

体を押し止められて横になり、体が動くとようやく目が覚めてくる。
急に血流が勢いよく体中を駆け巡ったせいなのか?頭がフラフラした。

「かッ、か、か河童がッ・・・!?」

「河童を見て驚く猫なんて初めてだね」

「本当だね」

「あのぉ...俺、助かったんですか?」

「だから喋ってんだろよ!」

「おかしな猫だね~キュッ(笑)」

目を見合わせて笑っている。

「俺はオロって言うんだ!こっちは獺(かわうそ)のきゅー助だよ」

桃吉は起き上がろうとした、

「いいから、寝てなよ」

手で布団に押し付けられた。

「でも...あの、俺は桃吉です。助けて頂いてありがとうございます」

「いいってことよ!なっ、きゅー助」

「そうだもん、気にすんなよ」

「俺、死んだなぁって...」

「うん。普通なら、あの世行きだよ」

「まさか、空から猫が降って来るなんて思わなかったもんね~」

「本当だよ」

「ありがとうございます。俺、名前は桃吉です・・・」

「それで?」

「俺は、、、ノン吉兄貴にぃ・・・あれぇ?わかんないなぁ、、、」

頭を振ったり叩いたりしてる。

バチンボコン

「止めなよ、無理しないでさ」

「なんか、頭がボーっとして、、、」

「当たり前だよ!あんな大竜巻に巻き込まれてその上、皿流し川の激流に揉まれたんだよ!生きてるのが不思議なんだよ!」

「そうだよ!無理しちゃいけなよ。寝てなきゃダメだもん」

「詳しい話は後でしようよ」

「うん、その方がいいよ!」

「はい・・・」





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第七章 オロとキュー助 空から降って来た猫2

前回

桃吉は大竜巻に巻き込まれ、皿流し川に飛ばされた。
なんとか岩を掴むが、それも一瞬、激しい流れに抵抗する力も尽きた時、ボロ雑巾のように皿流し川の藻くずと消えさろうとしていた。
そこに現れたオロとキュー助に助けられる。桃吉はなんとか礼だけは言ったものの、泥のように眠り続けるのであった。


はじまり、はじまり


挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
momokichinomezame.jpg


桃吉は悪い事に、環境や身体の激変が体力を消耗し免疫力を奪っていたようで、かなりの高熱を出し、中々寝床から起き上がれずにいた。

その間、オロときゅー助は献身的な看護をした。

結局、回復するのにひと月程かかってしまった。普通の食事を摂れるようになると、ようやく二人と会話が出来るようになった。

「俺、こんなにお世話になってしまって...何てお礼を言えば良いのかわからないです」

「気にすんなって言ってるのにさ」

「有り難うございます」

「ねえ、桃吉~普通に話しなよ。そんな風にかた苦しいと俺達、くすぐったいよ」

「じゃ、お言葉に甘えて、、、へへ。ところで俺ってどのくらい寝てましたか?」

「一ヶ月くらいかな」


「ひぇーッ!そんなに・・・」


「そうだよ」

「凄く疲れてたんじゃないの?」

「どうしよう、どーしょう!俺、どうしたら、、、?」

「何か心配事でもあるの?」

「俺、どーしよーぅぅ!」

「どうしたの?」

「なんか頭がぐるぐるして、良く思いだせないよ」

「何も?」

「全部じゃないよ。自分が元人間だった事はわかってる」


「えぇーっ?嘘~!」


「信じられないよ!どっから見ても猫だよ」




桃吉は人の頃の記憶は、ハッキリしているのだが、猫になってからは断片的にしか思い出せないでいる。
取り敢えず自分が憶えている事を二人に話した。

聞いてもオロやきゅー助がわかることは、『天翔猫のノン吉』と云う有名な猫の名前だけである。憶えている事と忘れてしまっている事の差が余りにもあって、二人にはよくわからなかった。

「だけどさ、桃吉が人間だったなんてね」

「不思議だね~、オロと同じだもんね」


「え"ーッ?オロって人間だったの!?」


「そうだよ。オロは自分から河童になったんだもんね~」

「話すと長くなるからいいよ」

「構わないから話してよぉぉ」

「話してやんなよ~」

オロは余り話したくなさそうだったが、桃吉はとても聞きたかった。
きゅー助に促(うなが)され仕方なく、ぽつりぽつり話し始めた。

「俺、本当に河童になって良かったのかな?って、、、」

「えッ!?なんでよ?」

「どうしてそんな事言うのよ。オロが河童にならなかったら、きゅー助友達いなかったもの。オロがそんなこと言うときゅー助悲しいもんぅ~、、、」

「あッ、ごめんよ、きゅー助!そんなつもりじゃなくてさ...」

「心に蟠り(わだかまり)があるのなら、きゅー助にちゃんと話して」

「俺もその方が良いと思うよ。俺だって元人間のオロと友達になれて嬉しいし、こんな俺でも話し相手くらいなら出来ると思うよ」

「ありがとう。うん、それじゃ久しぶりに話してみようかな」

「そうだよ、そうしなよー。」

「俺の家ってさ、すんごい貧乏でさ。だのに子供だけはたくさんいて俺は十二人兄弟の四番目なんだよ」

「へぇーッ!そんなにいたの?」

「上の兄ちゃんや姉ちゃんはとっくに奉公に出されててな、家にいた兄弟の中で俺が一番上で、後は弟や妹ばっかりだったよ。

そんで、父ちゃんは小作人だから、どんなに一生懸命働いても俺達が食べるのはカツカツだった。
とにかく俺ん家は貧乏だから、家の少しでも足しになると思って蜆売りして稼いでいたんだ。

毎日蜆を採りに行くんだけど、大人もそこの川では採っているし、俺なんか子供だからたいして採れやしないのさ。

それで其の年は特に小さい蜆しか採れなくて、、、だから少しも高く売れなくて、ガッカリしていたんだ。
いつものようにしょぼい蜆採っていたらさ、大人がこそこそ話していたんだよ。

何でも、この川の上流に人も寄らない沼があるんだってさ、そこにはびっくりする程、でかい蜆が採れるんだって。今年みたいに蜆の粒が、小さい年は採りに行きたいけど、行けないから残念だってさ」

「なんで行けないの?」

「俺もそう思ったから、つい盗み聞きしてたのも忘れて聞いちまったのよ」

「ふんふん」

「そしたら、大人達は驚いて、『あそこの沼には行っちゃいけないよ!』ってそればかりの繰返しさ。で、『行かないから教えてよ』って食い下がったのよ。

そしたらね、『あそこの沼には恐ろしい河童が出るんだ!』『尻小玉を抜かれるから絶対に行くな!!』ってね」





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第七章 オロとキュー助 オロの物語1

前回

桃吉が眠りから目覚めた時には、すでに一ヶ月が経っていた。
焦る桃吉、それでも何に焦っているのかすら、本人はわからなかった。
ただ、自分が人であったと云う事だけは、妙にはっきりしていた。
話の中でオロが人であった事を知る。
オロはキュー助と桃吉に勧められるまま、過去を話し始める。


はじまり、はじまり



「でも、オロは行ったんだ?」

「へへ、あたぼうよ」

「やっぱりだもんね」

「とにかくだね、そんなうまい話を聞いてまんまにする訳ないさ。だけども俺だって馬鹿じゃないから、河童対策していったんだよ」

「何よ、それ?」

「へへ。まっ、とにかく俺は朝早くこっそりと出かけた。いつもの蜆採りなら、すぐ下の弟の大助を連れて行くんだけど今回は違うだろ?何かあったらまずいから置いていった。

聞いた通りに川縁に沿ってどんどんと上流に向かったのよ。最初の沼に着いたのは一刻程してからだった。

俺が聞いていたのは、この沼ともうひと回りでかい沼が有って、其の二つの沼はどこかで繋がっているという事。それで、でかい沼の方がもっともっと大きい蜆が採れるらしい。

だけど其の沼に行くには、俺がいる沼をぐるりと一周しないといけないので大変だと聞いていた」

「そこに行ったの?」

「まあ~待ってなよ、話を続けるよ。
でも俺はそこの沼で採り始めたのよ。確かに良く採れたんだよ。

形も大きく、どっしりと重くてさ。嬉しくなって、持ちきれないかな?って程の量を採ってその日は帰ったわけよ。

大きいし、ずっしり重いし、その上『味がいい!』って言うんで馬鹿売れよ!忽ち(たちまち)に売れちゃったさ。
調子に乗った俺は次の日も又次の日も雨が降らない限りは毎日通ったのよ。

処がさ、あんまり採りすぎて大きいのが無くなっちゃったのよ。
その上、採りやすい場所も大概採り尽くしてたし、困っていたらデカイ沼の事を思い出したのさ。

時間は掛かるだろうけど、ここの沼より大きい蜆なら倍以上の値を付けたって楽に売れるって、、、そんな事考えたらもう居ても経ってもいられなくて大急ぎで、デカイ沼に向かったのよ。そこの沼に行くのは大変だったよー。

辛うじて道がある程度の薮(やぶ)だらけで、笊(ざる)だの篭(かご)だの背負っていたから、着くのに半刻は掛かった気がしたよ」

「大変だったねー!」

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります

oro.jpg

「ようやく着いて、ちょいと蜆を掬(すく)って見たら驚いたよ!見た事も無い程でかいのよー!
まるでお椀みたいによ。俺は飛び上がって喜んだよ。笊なんか要らないんだもの。

手で掴んで篭に入れれば良いんだからさ。
夢中になって蜆を掴んでは篭に入れてを繰り返していたのさ。

するとさ、声がするんだよ。
『おーい』ってね。声の方を振り返ると驚いたね!

沼の真ん中辺りに、俺くらいの小僧が垂直に立っている丸太ん棒に乗って釣り糸を垂れていたんだよ!
垂直に立ってる丸太ん棒に立ってたんだぜッ!

ユラユラと揺れてんだ。
俺が驚いて声も出さないでいると、『こっちの方がもっと大きいのが採れるぞー』って、、、

恐ろしくて鳥肌が立つなんていう生易しさでなくて、生まれて初めて全身の毛穴が開き、頭の毛が一気に逆立ったんだよー!一目散に逃げたよ。

逃げて逃げて、フラフラになりやっとの思いで小さい方の沼に辿(たど)り着いた。
そして何気にフッと其の沼を見ると、さっきの小僧が、同じように丸太ん棒に乗って釣り糸垂れてるじゃないかー!?

俺の足より速くこの沼に来るには獣道を行くしか無い訳よ。
獣しか通れない道を俺みたいな子供が通れるわけないのに、そんな事できるのは『河童』に違いない!もうたまげて死ぬ思いで逃げ帰ったのよ。

それからは俺も懲りてそこの沼には近寄らなかった。いつも通り、川でちっこい蜆採りをしていたんだよ。
その時は大助が熱を出していて一緒じゃなくてさ、一人で採っていたんだよ。

フッと気がつくと、いつの間にかそばで見かけない子供が蜆採りしてんのよ。あれ誰だっけ?だけど、どっかで見たような顔だなぁ、、、ってね。

俺の見えるとこには大人も居たから安心していたから、そんな子供の事はすぐに忘れて蜆採りに没頭していたんだよ。

その内に、『カリカリ』って音がするのよ。最初はわからなかったんだけど、子供がそばに近づくとそんな音がするんだよ。

俺が振り向くと、何故かいつの間にか子供は遠くに居て蜆採りしてるのよ。子供が近づくと『カリカリ』って音。
振り向く俺。

そしていつの間にか遠くにいる子供。
そんな事が何度か繰返されてた。何度も繰返しやっているから意地が焼けたんだろうね、、、そいつが俺に向かって


『固えケツだな!』


『取れやしない!』



って怒鳴ったと思ったら、川の中にバシャーンと潜って行ってしまったのよ。
俺は暫くボー然としていたよ。それから子供の顔を思い出した!

あの沼に居た河童だってね、、、

それと俺は沼に行く前に河童に『尻小玉』を取られないようにギヤマン(ガラス)の欠片を股引の股辺りに母ちゃんに、縫い止めてもらっていた事をすっかり忘れていたのを思い出したのよ」

「それじゃ、河童はオロの尻小玉抜こうとしたんだ?」

「そうなのよ!沼で失敗したから今度は直に取りに来たという訳。だけど尻にはギヤマンの欠片があって固くて諦めたのさ」

「その河童、残念だったね...」

「何、言ってんだよ!取られていたら俺はここに居ないよッ」

「本当だぁー!」

「まっ、俺はとにかく無事だったわけ」

「それなら、なんでオロは河童になってるのよ?」

「まだまだ、先が有るのよ」





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第七章 オロとキュー助 オロの物語2

前回
もう一つの沼で、大きな蜆がとれて喜んだのもつかの間、沼の主である河童が現れた。始めて味わう恐怖、無我夢中で逃げた、恐ろしさから二度と行くまいと心に誓ったオロだった。



はじまり、はじまり



「ふぅーん」

「それからの俺はさすがに懲りて川にも行かなかったんだけど、日銭の商いになるから止められないし、もう河童は出ないかな~なんて、思って早起きしたのよ。

そして戸を開けて外に出たら居たのよー!」

「だッ、誰がッ?」

「あの忘れもしない河童がよ!」

「どうしてー?」

「俺も驚いたが奴も驚いたらしい!俺の家まで来て、尻小玉取ろうとしやがる!って思って、相手が河童なのも忘れて殴り掛かったのよ。

河童は抵抗もしないで俺に『違うっ!そうじゃないッ!』って言うんだよ。
俺も少し冷静になって『それじゃ何しに来た?』って、、、

そいつは『キロ』って名前の河童で、あの双子沼に住んでるんだって。あの沼が双子沼っていうのも知らなかったよ。

それで何でもあいつは普段、二つの沼を繋ぐ川を通って行き来をしているんだけどこの前の大水で大きな岩がその川に落ちて来てしまってどうにも行き来が出来なくなって、ほとほと困り果てていたんだとさ。

それで俺の父ちゃんの噂を思いだしたらしいのよ」

「なあにそれ~?」

「俺の父ちゃんは近在に並ぶ者なしと云われる程の強力(ごうりき)なんだよ」

「へーッ!」

「そんでキロは俺の父ちゃんとは知らないで頼みに来たらしいのよ。
まあ、話を聞けば気の毒なんで、俺は父ちゃんに口添えをしてやった訳よ。

キロはえらい喜んで、俺の尻小玉を抜こうとした事をぺこぺこ謝って面白かったよー。
それから父ちゃんとキロと双子沼に行ったわけ」

「それで、それで?」

「キロを先頭にして歩いていくと、鬱蒼(うっそう)とした獣道(けものみち)に出たのよ。
父ちゃんと俺は怖々ついて行くと、どこにあったんだろう?と、いうような場所にゴンゴンと勢いよく流れる川があったんだ。

普通の人間には気が付かないようになっているらしいのよ。
其の川はさ、小さな川なのにけっこうな速さの流れでさ、キロが指差した場所には大きな岩が水流を押し分けるようにして真ん中にデーンと座って邪魔してるのよ。

父ちゃんはそれを見て、岩を退かすのはなんとか出来るかも知れないが、水があるから一人では無理だって言うわけよ」

「それでどーしたの?」

「キロは『水の心配は無用です』って言うと、川の上流に向かってサッと手を翳す(かざす)とピタッ!って川の水が止まったんだよ!!その時はオッどろいてさー、父ちゃんと二人口をあんぐり開けてたよ。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
kironotanomi.jpg


キロが急いでくれ!ってんで、父ちゃんは意気込んで大岩に取り付くと、『うゥゥーんうぅぅーん』唸り出した。顔が真っ赤になる程に力むと、ごそごそっと大岩が動き出し、すっかり大岩を退かした!さすがの父ちゃんもへたばっていたよ」

「わーッ、大変だったね!」

「キロはこれで双子沼を行き来できるって大喜びしてた」

「良かったね~」

「それで俺と父ちゃんが帰ろうとしたら、キロは『お礼がしたい』って言うのよ」

「へーぇ」

「キロが大きな蜆を差し出すのよ。俺が蜆ならいらないよって言うと『蜆じゃない』って、、、とにかくその『貝を開けてみろ』ってね。開けると白い軟膏が入っていたのよ。

その軟膏は【不思議膏】と云い、傷口に塗ると痛みが取れるんだって!俺達は半信半疑でそれをもらって帰ったのよ」

「いいのもらったね!」

「うん。確かに良く効く軟膏で、とても助かったよ」

「それで?」

「それから俺とキロは仲良くなったんだよ。色んな話もするようになって、俺の尻が固い理由を教えたらひっくり返って笑ってたよ」

「頭いいよね~」

「へへ。それで話している内に何となく河童がいいように感じてきたんだ」

「なんでぇ?」

「キロを見ていてさ、生き方が自由に思えたのよ。俺なんか小さな家にたくさんの家族とひっついて暮らしてて、
俺は寺子屋にも行けないで毎日蜆採り、、、わかってはいたけど嫌になっていたんだよ。

それである日、キロに『河童になりたい』って頼んだのよ。あいつは少しだけ悩んでいたけど、お前が望むなら叶えても良いけど少し時間が欲しいって」

「それで、それで?どーしたのぉー?」

「しばらくキロの姿が消えていたんだ。





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第七章 オロとキュー助 オロの物語3

前回
オロは目の前にいる河童に驚いた、こんな所まで追いかけて来たのかと、恐ろしさより怒りで一杯になった。
怒るオロにキロは謝り続け、自分の家に大岩が邪魔して帰れないと訴える。
優しいオロは気の毒になる、父親に助けて欲しいと頼むオロ。
そして、父親の強力により、大岩がどかされた。
一件落着すると、二人は仲良しになる、オロはそんなある日、河童になりたいとキロに告げた。



はじまり、はじまり



『やっぱ無理なのかな~』って、、、諦めかけてたら、キロが会いに来てくれたのよ。何でも自分の国の王様に頼みに行っていたらしいんだ」

「オロのことを?」

「そうなんだって。普通の河童には人間を河童に変えるなんて芸当は出来ないらしいのよ。
キロにいろいろと言われた。『どんなに会いたくても家族には会えなくなる』

『河童になったら人には二度と戻れない』とかね、、、
少しは気が引けたけど、どうしてもなりたいってキロに言った。

蜆採りも大助に任せたし、何より俺が居なければ、少しでも食い扶持が減って、いいと思ってたかね、、、」

「それが本音でしょ?」

「へへ、実はそうなんだ。
あの頃は腹一杯食べた事なんて一回もなくてさ、いつも腹を空かしていたんだ。

だから一人でも居なければ、少しは弟や妹に俺の分が回って、腹が満たされるくらいにはなるかなって、、、」

ウッ・・・・涙。

二人はオロの優しさに心打たれた。

「あのさ、俺が人間の頃なんだけど・・・」

「何?」

「河童軟膏!弦兵衛製薬の河童軟膏よ。今は『一家に一瓶』っていうほどの塗り薬があるんだ」

「へっ?『弦兵衛』って俺の父ちゃんの名前だよ!」

「それってなんか関係してるよー!」

「そういえばキロは、父ちゃんに軟膏の製法も教えたって言ってたよ」

「じゃあ、やっぱりオロの父ちゃんの会社だよ!」

「何よ?会社って」

挿絵参照↓↓↓   絵をクリックすると大きくなります
genbeibill.jpg


「とにかく、有名で大きな問屋みたいなものだよ」

「薬問屋かな?」

「まぁ、そんなもんだよ」

「じゃあ、皆、おまんまの心配しないくらいだったのかな?」

「当たり前だよー!其れどころか、ど偉い大金持ちになったんだよー。
だって、俺の居た時代までも続いてたし、その上に日本中の家の常備薬になっているんだもの、すごいよ!!」

「?よくわかんないけど、あれから皆良い暮らしが出来たのかな~?」

「うん、間違いないよ!」

「そうか、そうだったのかー!そりゃ良かったなあ~。長年抱えていた痼り(しこり)が消えたよ」

「良かったね!桃吉から良い事聞いたね」

「うん、お前を助けて本当に良かったよ!」

「俺の話が役に立つなんて思わなかった。でもまさか、弦兵衛製薬の成り立ちが聞けるなんてね」

「本当に俺ん家なのかな?」

「絶対に間違いないよ!」

「そーか!まっ、いいか」

「そうだよ、良かったんだからいいじゃん!」

「そうだよなッ。今更、気にしても仕方ないしな」

「それで、オロはどうやって河童になったのよ?」

「あっ!そうそう、すっかり忘れていたよ。
俺はさ、キロに『川太郎池』に連れていかれたのよ。遠い道程でさ~、大変だったよ。

俺は人のままだったから、誰にも見つからないように、夜にしか行動できなくてさ。
川を上ったり、下ったりで、、、どこをどう行ったかも覚えてないよ」

「大変なんだー!」

「そうなんだよ。何月も掛かってようやく川太郎池に着いたんだよ。
池ったって大きな湖なんだ。薮を掻き分け掻き分け、やっと着くとキロが池に向かって挨拶するんだ。

そしたら池の水が左右に分かれて一本道が現れたんだよ!
びっくりしてるとキロに促されてその道を恐る恐る歩き出したんだ。

二里くらい歩くと大きなお屋敷が見えて来た。
キロに『あそこが川太郎様のお屋敷だ』って言われて、、、なんか緊張してきたんだ。

屋敷には門番や召使いなんてのがゾロゾロ居てさー、
それが皆、河童なもんで変な感じがしたよ。

キロと一緒に屋敷の奥に通されると、召使いに身支度を整えるように言われて、久しぶりに風呂に入って旅の垢を落とすと、爽やかな気分になったよ。

それから召使いに案内されて本命の川太郎に会ったんだよ。
キロに川太郎が『顔を上げても良い』と許可されるまでは決して顔を上げるな!って言われていたからずーっと平伏していたよ。

しばらくそのままにしていると部屋に川太郎が入って来たんだ」

「威張ってるね」

「本当だよぉ」

「仕方ないさ。そして川太郎が話し出した。『キロに大体の話は聞いている。遠路、遥々(はるばる)来たお前には残念だが、お前が望むような河童にする事は出来ぬ』」


「なんだってーッ!?」


「どうしてよー?」





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第七章 オロとキュー助 オロの物語4

前回

桃吉から、その後の実家は大会社になり大金持ちになったと聞かされた。
オロは長年の肩の荷が下りた気がした。そして、自分が河童になる為にされた哀しい過去を話しだす。



はじまり、はじまり



「まぁ、聞きなよ。俺もさ、今のきゅー助や桃吉みたいに怒った。怒った勢いで顔を上げたら、黒ずんでて珍ちくりんの河童がピッカピッカの金の椅子に座ってんのさー!想像していた川太郎と余りにも違うから逆に驚いよ!」

「ちんちくりんなの??」

「なんか川太郎なんて云うから、よっぽど大きくて立派な河童かと思っていたよー!」

「俺だってそうよ。黒ずんで小さい癖に目だけは変な光を帯びてるし、その目はとても油断の成らない嫌な目だったよ、、、それで俺は『出来ないのなら、初めから出来ないって言って欲しかった!

大体、こんな大変な思いをしてまでここには来なかった』ってね」

「当たり前だよーッ」

「そーだよ!」

「そしたら、川太郎が『キロに話を聞いた時、お前はもしかしたら【残り河童】かもしれないと思った』ってね」

「何よ?残り河童って」

「なんでも、この世界から、人間界が弾(はじ)き飛ばされた事に気付かないで、そのまま暮らしていた、この世界の生き残りなんだってよ」

「それがオロなの?」

「川太郎はそういう馬鹿を救う為にキロを人国に置いてあるって、、、」

「そうなの?」

「そういう名目でキロを人国に居させているんだと、その時は信じたけど・・・。
今考えると違うと思うね。

とにかく、俺が残り河童なら、元々は河童なんだから戻せる。だけど唯の人間が、吸い出し岩に取り付けば死ぬって言うのさ」

「何よ、その吸い出し岩って?」

「きゅー助聞いた事ある。河童の宝に悪い物を全て吸い出す力を持っている岩があるって」

「それだよ。川太郎に云わせると『人間は悪いものの一つだから吸い出せる』ってのよ。
だけど俺が人間なら何もかも吸われ、乾涸(ひから)びて死ぬって」

「怖いよぉーーーッ」

「俺も少しは迷ったけど、ここまで来てやらないで帰るなんて男が廃(すた)ると思ったのよ」

「偉いッ!オロは男だねーッ」

「へへ、それで矢でも鉄砲でも持って来やがれー!って息巻いたのよ」

「オロって面白いね~」

「違いない(キュッ)」

「川太郎はニヤニヤして、『久しぶりに面白い見物じゃ』って言うのよ」

「オロの命が掛かっていることなのにッ!?」

「きゅー助、頭に来る!!」

「そうだろ?目を細めて『くっく』って笑うのよッ、ぞーっとしたよ。
それから俺はその部屋から地下室に連れていかれたのよ」

「地下室?なんかやばそーッ」

「周囲が濡れてびしょびしょしていて暗い部屋だったよ。案内されて戸を開けるとキロに勢いよく背中を押されたんだ


ドン!


突んのめるようにして部屋の真ん中に入ったら、目の前に大きなヌルッとした岩があった。
よく見るとその岩がブニャブニャしながら動いているんだよーッ!

恐ろしくなって振り返るとすでに戸は閉まってて開かない。

小窓からキロと川太郎が覗いて、川太郎が『早くその岩に抱きつけ!』って言うんだ。俺が『イヤだッ!』っていうと今度はキロが『早く見せてくれ~』って、、、」

「ニャッ、何て言う奴らだ!!」

「信じらんない!キロって友達じゃなかったの!?」

「そんな代物じゃない!あいつは俺の尻小玉が欲しかっただけの野郎よ。
どっちにも転ぶ最低の奴さ!」


「きゅー助、許せないもん!!」


「俺だってッ!」



挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
kyofunoiwa.jpg

「まっ、そう興奮するなよッ、過ぎた昔の話さ。話を続けるぜ。
それで俺は怖くて気が付かなかったんだけど、いつの間にか吸い出し岩に足を掴まれていたんだ。

気付いて俺がぎゃーぎゃーと泣き叫んでいるのにあいつらは笑ってるんだよ。
『ケラケラ』ってね、、、


俺は笑い声を聞いてる内に自分は死ぬのかな?それもこんな形でって・・・
だけど悲しんでいる間もなく、吸い出し岩は俺の足から何かを吸い出し始めたのよ。

足の底がピタッと岩に吸い付いたみたいで全く足が動かないし、何よりも血が吸われてるようでフラフラするんだ。その内に俺の意識はなくなったんだ、、、

どのくらい経ったのかわからないけど、気が付くとまだその部屋に居た。
気持ち悪い吸い出し岩は白くなって隅の方あった。

最初は違う岩と思った程、様代わりしてたんだ。
初めに見た岩は黒々としていたのに、まるで色が抜けたような白なんだよ。

俺は急いで部屋から出ようとした。足下から生臭い嫌な匂いもするので気持ち悪かったしね。戸には閂(かんぬき)も掛かってなく、難なく出れたんだ。

ホッとすると俺は又、気を失ったんだ。





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第七章 オロとキュー助 オロの物語5

前回
オロはドンッと背中を押された時、目の前の光景に絶望した。
自分が望んだ事とはいえ、キロや川太郎のあまりの仕打ちに、心も身体も傷つく。
吸い出し岩が襲いかかって来ても、抵抗する気力さえなく、叫ぶだけだった。
失神から気がついたオロは、フラフラの身体を引き摺るようにして、外にようやく出た。



はじまり、はじまり



目を覚ますと俺の前にキロが居た。俺を見てニヤニヤして、『お前は河童だったんだな、初めて見たよ。
残り河童なんて本当にいたんだな~、人間だと思ってたのに。

川太郎様の内緒の楽しみの為に人攫(ひとさら)いをして、見せ物にしたけど、乾涸(ひから)びないで河童になるなんてお前が初めてだったから、良いものを見せてもらったよ。

服を脱ぐように人の皮を岩が吸い取っていく様子は凄いのなんのって面白かったよ~。
吸われる人間の皮の下から河童の姿のお前が出てきて、その内に岩が、今度は吸い取った人間の皮をどろどろと吐き出すんだ。

変な匂いで気持ち悪くなったよ。
それからお前は【オロ】って名前を川太郎様から頂いたよ。

川太郎様はえらくご満悦で、特別にお前のような奴に名前を賜(たまわ)ったのよ。
滅多に無い事だから、有り難く思え。

俺はこれから人国に戻るからお前とはもう会うことも無いだろうが、このまま別れては寝覚めも悪い。どうせ吸い出し岩に何もかも吸われているだろう。

俺からの餞別(せんべつ)代わりにこの【温(ぬく)もり玉】をやる。河童には無くてはならない物だから、こいつを飲んでどこにでも行きな!』ってよ。」


「見せ物にするつもりだったのー!?」


「酷過ぎるよーッ!」


「そういう事さ、鼻から河童にするつもりなんてキロにはなかったのよ。川太郎の楽しみの為に、旨い事言って俺を連れて来ただけだったのさ」

「こわッー」

「オロが残り河童で良かったよー!」

「俺もそう思ったよ。そうでなければ吸い出し岩に吸われて乾涸びていたからね」

「だけど、それからどうしたの?」

「俺は無理矢理にキロに温もり玉を飲まされたんだ。不思議な事にそれを飲んだら、腹がぽかぽか暖まりだしたんだ。ここに来るまでに、散々冷たい水の中へ潜ったり、泳いだりしていたから、体が冷えきっていたんだな」

「だけど、それだけなの?」

「そんなのあんまりだよ、、、」

「それだけだよ。あれ以来キロには二度と会っていない。俺はどうしていいのかわからなくて、取り敢えず川太郎に会いにいったんだ。俺はオロですって言ったのに、あいつは俺の名前さえ忘れていたよ。

だから、あんたに名前を付けてもらった元人間の河童だって言った。そしたら、『もうお前には興味も無い、どこにでも消え失せろ!』って。」


「なんなのよーッ!!」


「俺、ニャッ、殴ってやるぅーッ!」


桃吉もきゅー助も鼻息が荒い。

「それが河童なのよ。心底冷たい性質なんだよ、他の河童も同様だよ。俺が何か食べ物を下さいって言えば『自分で工面しろ』って、、、寝る場所もないから尋ねれば、『お前が寝る場所はここには無い』って」

「?かける言葉も無いょ、、、」

「オロが不憫だよー」

「結局、俺は川太郎池を追い出された。だけど俺は右も左もわからないから、どこにも行けずに川太郎池の周りをうろついていたんだ。何日も経っていくうちに俺は、腹ぺこでフラフラになっていた。


♪ヒョイとひょいとヒョイとな~♪
銭さえあれば何でも買える~♪
何でも屋の甲介が~♪揃えられない物はない~♪
ヒョイとひょいとヒョイとな~♪


歌いながら歩いてる猫に出会ったんだ。
そいつはたまたま商売に来た『何でも屋の甲介』という猫だった。

俺はあいつにこの世界の事を色々と教わったんだよ。
甲介って全身が灰色でさ、首にバンダナとか云う赤い襟巻(えりま)きしていて、おしゃれな猫だったな~。大きな背負い篭に色んな物が入っていた。

俺は冷たい河童以外の者に会うのは初めてだったから、すがり付いて泣いたんだよ。
今は急ぎだから詳しい話は後で。

ちょいと商売を済ませて来るから、ここで待ってな。ただ待ってるのも辛いだろうからこれでも食べてな!って、美味しいふわふわしたパンと云うのをくれたんだよ」

挿絵参照↓↓↓   絵をクリックすると大きくなります
takibi.jpg

「良かったねぇ」

「甲介って良い猫だね」

「俺は嬉しくて泣きながら食べたよ」

「本当だよね」

「パンを食べ終わって俺は少しうとうとしていたんだ」

「久しぶりのごはんだものね」

「そうなんだ。いつの間にか寝ていたみたいで夜になっていた。
目を開けると暖かい焚き火が映った。





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第七章 オロとキュー助 オロの物語6

前回

惨い目に合ったオロは、目の前にいるキロにむりやり温もり玉を飲まされた。
河童にとってなくてはならないものだったが、それと同時に企みも聞かされる。
キロは言いたいこと告げて、さっさと行ってしまった。
疲れきった身体、慣れない身体に戸惑いながら、河童国に馴染もうとしたが、川太郎はオロの存在さえ忘れていた、他の河童にも冷たくされ、追い出された。だがオロは充てなく彷徨うしかなかった。
そんな時に甲介に出会った。


はじまり、はじまり



ボーっと焚き火を見ていたら、甲介が俺に気が付いてニコニコして笑いかけたんだ。
『河童どん大丈夫か?』って。俺は優しくされて嬉しくて言葉も無く泣いていた。

甲介は俺に温かい食事をくれた。とても美味しくて何杯も食べたよ。
嫌な顔一つしないで『何杯も食べろ』って言ってくれた。

腹が一杯になると今度は温かいお茶をすすめられてやっと落ち着いた。
俺は今までの事を全部話したんだ、、、甲介は何度も頷(うなづ)いていたよ。

話が終わると、これからどうしたいのか?と訊かれた。
俺は河童として生きるしかないのなら、それなりにこの世界を知りたい!

だけど誰もが不親切で何も教えてくれない。だからこの世界が知りたいって、、、
甲介はオロどんが言うのはもっともだ!知ってる事は教えるよって。

少しは教わる事が出来た」

「ふぅーん」

「だけど甲介が急に声を細めて言うんだ。『オロどんに忠告しておくが、川太郎様とキロがしてる事はけっして余人に漏らしてはいけない』

何でだ?って尋ねると、奴らがしてる行いは大変な悪行だって!
『こんな事が五黄様のお耳にでも入ったら只では済まない!まま子様だってどれほどお怒りになるか知れたものじゃない。

とにかく黙ってろ』ってね。進言する時は、この何でも屋の甲介がすることだから、解ったか?って、何度も念押ししてたよ。

俺にとってはどうでも良い話だから生半可に返事していたよ。
あいつは良い話を聞かせてもらったお礼にパンをやるよってね。

オロどんはまま子様を尋ねた方が良いから、とにかくこの道を真っ直ぐ行き、誰かに会ったら、まま子池はどこだって訊けば教えてくれる。

それじゃ、俺は用があるからここでおさらばだ、そう言ってさっさと行っちまった」

「なんか、、、親切だったのかなぁ?その甲介とかいう猫」

「さぁな。俺から何か聞けると思ったのか、ただの気まぐれだったのかは今になってもわからないけど、俺にとってはそれでも十分だったよ。

朝になると真っ直ぐ歩き出した。

たまには川に入って水浴びをしたり、、、その内には魚も獲れるようになったよ。
覚悟が座ったせいか泣かなくなった。歩いて、歩いてどこまでも行った。

色んな村にも行った。川で獲った魚を売って金も稼いだ。初めてこの世界の銭をもらって俺は本当に驚いた!何も知らない河童だと思って馬鹿にしてる!って怒ったんだよ」

挿絵参照↓↓↓    絵をクリックすると大きくなります
dongurisen.jpg

「人の世界と違うの?」

「大違いだよ!俺は最初信じられなくて、その村の長老に説明を受けるまで納得しないでいたくらいだもの」

「なぁ~によ、団栗銭(どんぐりせん)がおかしいの?」

「きゅー助はこの世界しか知らないから無理もないけど、、、人の世界では銭は団栗じゃないんだよ」

「なに?何?俺は意味が全くわからないけど」

「ここではさ、団栗が銭になっているんだ」

「えーーッ!?何それッ!」

「そうなんだよ。もっとも特別に狸国で栽培されて狸国の印が入った金の団栗なんだけどね」

「でも、それだけならそんなに不思議ではないよね?」

「凄いのが、その団栗餞は貯めたまんまに置いておくと粒になっちまう事なんだ」

「どういうことよ?」

「流通していれば何の問題もないけど、貯めたまんまにしとけないんだ。商人なんか、一年に一度は蔵に貯めた団栗銭を隣の蔵に移動させるんだよ」

「めんどくさいねぇ~」

「ああ、めんどくさい。まッ、一個の団栗餞が百個程の金の砂粒に成るだけなんだけどね。
狸国経営の両替屋もあるけど、そこに持って行くのも面倒だな。

砂粒になっても使えるけど何せ粒だ。一粒は軽いけど多くなるとやっかいだよ。
安い物はいいけど高い物を買う時は重くて大変だからな」

「だってそれじゃ困る事もあるんじゃないの?」

「それが、そんなにはないさ」

「えッ!そうなの?」

「べらぼうに高い物なんて無いんだわ。安すぎる物も無いけど、高すぎる物も無い、、、それに皆、必要な物しか買わないし、値段は一定してるな」

「ふぅーん」

「だから皆さ、銭が入ると品物にするんだ。職人達はしのぎを削っている。いい物を作ろうとしてさ」

「へーーぇ、そんなにすごいの?」





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第七章 オロとキュー助 オロの物語7

前回

甲介の気まぐれに助けられたオロは、河童として生きていく覚悟が出来た。まま子池を目指せと教えられ、彷徨(さまよ)う内に魚も獲れるようになり、稼ぐ事も出来るようになる。渡された団栗(どんぐり)銭に驚きもしたが、説明を聞くと納得した。今までの世界と違う事が多かったが、いつしか馴染んでいるオロがいた。


はじまり、はじまり



「ああ。そりゃ、おったまげるぐらいに凝っているんだ!このずだ袋だって、並じゃないんだぜ。とっても丈夫だし、織りが細かいし、もう何年も使っているけど、ピンシャンしてる!」

「気がつかなかったなぁ~」

「皆、高い物だからちょっとやそっとじゃ捨てないのさ。傷んだりしたら、ちゃんと修理してとても大事にする。だから職人もきちんと修理してくれるんだ」

「いい事だね。俺が人の頃は『使い捨て』とか言ってさ、新しいものだけに価値があるみたいな風潮だったよ。
だからすぐに捨てるから、安手の物だし・・・心なんか籠っていないし・・・そこまでいい物なんて見た事もなかった気がする、、、」

「こっちじゃ、何事も丁寧だよ。皆、誇りを持って仕事をしてる」

「へぇ~、そういうの好きかも~だけどさ、もし病気になったりしたら、お金かかるでしょ?手元にお金がないと困るでしょ?」

「病いになって医者に診てもらったって高くないんだ。『困った時はお互い様』みたいな助け合いがあるから、銭が払えなくても安心なんだ。酷くなれば入院とか云う病人だけが行ける場所もあるんだ」

「へぇー、こっちにも病院があるの?」

「うん。有名なのは、【卍宿病院】と【ガス病院】だよ」

「ふぅーん、すごいね~」

「だろ?俺もスゴいと思うよ」

「ねぇねぇ~、そんなにスゴいの~?」

「ああ、きゅー助、ここの世界はいいとこなんだ」

「きゅーー助もそう思うよ(キュッ)」

「ニャハハ!きゅー助は面白いね~」

「まっ、そんなこんなでさ、団栗銭は滞る事なくいつも流通しているんだ。それと【木の皮銭】と云うのもある。それも同じような物なんだ。俺は一度も触った事もないけどね」

「なんか、凄い仕組みだね!」

「要するに、銭は使うもので貯めるものじゃないって事なんじゃないのかな。銭に支配される事が、馬鹿馬鹿しい事だよって云われてるように俺は感じたよ」

「ふぅーん」

「悪事をしていればその内にお係所に訴えられる。でも、普通に働いて暮らしていれば最高の世界だね!悪い奴には住みにくい世界なんだ」

「ふーん。俺なんか悪い事もしてないけど、金にも縁がなかったな。こっちでもきっと同じだよ」

「へへっ、桃吉はあっさりしてるね」

「あっさりしすぎているかな?」

「そんなことないよ。それが桃吉なんだもの」

「きゅー助は?」

「きゅー助はあっさりし過ぎ。と云うより無関心だね」

「だってきゅー助、団栗銭なんて要らないもの!たまに落語が見れる粒銭があればいいもん(キュッ)」

「聞いたろう?これだからきゅー助は可愛いんだ!」

「本当だね~。あのさ、オロときゅー助はどこで友達になったの?」

「それはね、俺が河童に成って五年もした頃だった、、、大分この世界にも慣れて色んな国や村にも行った」

「どんなとこ行ったの?」

「たとえば狐国の青尾村。村の狐達はよく働いていたけど、ちょっとした事で直ぐに喧嘩になっていた。まるで娯楽みたいに喧嘩してたな。だけど不思議と御係所に行くような深刻な争いにはならないみたいだった」

「狸国にも行ったの?」

「うん、行ったよ。あそこでは刺抜き村と噛み切り村に行ったな。狸ってどこのお家も、人間の頃の俺ん家みたいに子沢山の家が多かったね。

それから特に相撲が盛んだったなー。どの村でも広場には必ず土俵があってさ、男も女も相撲に興じていたなあ、、、

一年毎に全国大会があって、五年毎に世界大会があるんだって」

「へーッ?面白そうだね~!」

「世界王者は今は五黄様。いつも狸兵衛様と決勝戦で試合するんだ。大相撲のある年はどこに行っても皆、浮かれて楽しいよ。今年は何処の国でやるんだっけ?」

「きっと猫宿じゃないの?」

「そうだ!今年は猫宿でやるんだ。俺も今年は軽量級に参加してみようかな?」

「色んな階級があるの?」

「そうだよ、俺みたいに軽い奴の出る階級もある。だけど何と云っても楽しいのは、大取りの【五黄様と狸兵衛様】それに【まま子様とお風様】が特別に出場して戦うんだ。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
oosumou.jpg


普段お目にかかれないような方々もたくさんお出でになって、そりゃもう華やかで楽しいんだよー!」

「それじゃ、俺の知ってる猫も来るのかな?」

「それって天翔猫(あまがけねこ)のノン吉様のことかな?参加はしないみたいだけど、落語は必ず見に来ていたよ」

「本当に!?」



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第七章 オロとキュー助 オロの物語8

前回

オロが話す、一つ一つに感慨を受ける。
団栗銭のことを知ると、自分は本当に何も知らないままだったと思う。
大相撲の話に、五黄やノン吉の名前が出て来ると、靄(もや)がかかる記憶が晴れるかもしれないと小さな希望を見つけた気がする桃吉であった。


はじまり、はじまり



「本当だよ。それに天狗様達も相撲をなさるから余計に面白いよ」

「なんか俺知ってるぽいなぁ・・・うーてんって天狗の名前かな?」

「烏天狗のうーてん様の名前だよ!」

「なんか思い出せそうな、、、えぇーいッ、しっかりしろーッ!桃吉ぃーーッ!」

「無理しなくていいよ。絶対に思い出すよ」

「そーかなぁ、、、」

「そーだよ。よしんば、思い出せなくたって俺達が付いてるんだ!」

「そーだもん!そーだもん!オロときゅー助はいつまでも友達だよ(キュッ)」

「ありがとう。俺、、、嬉しいよ~」

「それじゃ、今に猫宿に行ってみようよ!」

「うん!俺も行けば、何か思い出せそうな気がする」

「そーだよ!桃吉を知ってる猫もいるかもよ」

「なんかわくわくするニャ~」

「そしたら、桃吉は体力つけなきゃいけないし、俺達も旅費稼ぎしないとね」

「きゅー助、一杯魚を獲るよ」

「秋までに沢山稼いで猫宿に出発だあー!」


「えぃえぃおーッ!!」


二人と桃吉はとても気が合うようだ。

桃吉は猫宿に行くことで頭が一杯になってしまい、オロときゅー助の出会いを聞き逃してしまったようだが、二人はとても深い絆で結ばれている。

オロが色んな国や村を放浪していたのも好きでしていたことではない。
自分の居場所を探していたのだった、、、

この世界は現在四カ国、四族だけにはなっているが国を必要としない程度の少数で村を作っている【狼族】や【熊族】に【獺(かわうそ)族】がいる。

その他にも色々な種族が混在していて、この世界を賑やかに彩っている。
狼族は代々、優秀な狼を輩出している。

【恵み子】の数も多く、狼族はどこの国でも大がい教師か医者を生業にしている者が多い。
この世界では職人がとても尊敬をされている。

男女を問わず、名工になろうと努力している。銭がとても不安定だからこそ、品物で持っていようとする。
先祖代々伝わる品物などは、特に名工の作品が多い。

五黄は茂吉の意を汲み、無料で勉強ができるよう卍宿に、職人の学校を作っている。
種族を問わず皆、通う。そして優秀な者は名工のいる村に修行に行き、研鑽(けんさん)を重ねる。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
gingoroukuma.jpg


熊族の場合だけは少し異なる。体格も良く、五黄並みの者がごろごろいる。
とても器用で大工を家業にしている。大工になりたい者は熊族の鉋(かんな)村で厳しい修行をする。菰傘村のかつ吉もそこで修行をした。

いっぱしになると【熊】と 染め抜かれた紺の法被(はっぴ)を着て大工仕事に行く。
有名な左の甚五郎熊は鉋村で、修行をした伝説の名工である。

オロは旅をしながら色んな種族の者に出会った。
概(おおむ)ね河童以外は、割と親切な者が多い。不思議にも種族の違いを意識する事無く生活してるようだった。国は大まかに別れてはいるが、種族で分かれているというよりも性格の違いで住み分けしているように思った。

オロは川で魚を獲りながら旅をしていた。
どこの川にも先客の河童が居て、魚獲りも隙を見計らってするような事が多かった。

川の主が寝てる隙に素早く確実に魚をつかまえている内に、オロは知らずに水練が達者になっていた。川の主が気が付いて追いかけて来ても、全く追いつけない程にオロの泳ぎは速く、一度も捕まったことがなかった。

本人は知らないが、いつしか河童達の間では、『魚のように速くて真っ青な河童がこの世界に居る』と噂される存在になっていた。

オロは旅に疲れていた。
話をする者はいても、自分が河童なので、やはり相手に警戒をされる。

河童は油断出来ない種族らしい。どこに行っても余り歓迎はされない。
オロは情けなく悲しかった、、、

同じ種族同士でも相容れない。どんな川にも十里置きくらいに河童が一人で住んでいて、同じ川に住んでいてもお互い知らんぷりしている。

オロは最初知らずに声を掛けた。相手の河童は怒ってオロを険もほろろに追い出す!
何度か違う川でやっても同じことだった、、、しみじみと厭な種族だと思った。

何でも屋の甲介が、まま子池に行けばいいと云っていたが、とっくに行くのを止めていた。



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第七章 オロとキュー助 ともだち1

前回

世界中を放浪しながら、逞しく生きていたオロだったが、河童であることに疲れてもいた。
どこに行っても、警戒されてしまう。たまに気が合う者がいたとしても、本当に打ち解ける事はなかった。
そして、その日も歩き続けていた。



はじまり、はじまり



どうせ同じに決まってる、行けば行ったで嫌な目に合うに決まっている。
オロは行かない事に決めて旅をしていた。

その日も目的無く歩いていた。何里も歩いているのに小さな川も村もなく、いい加減、喉も頭の皿もカラカラに乾いて辛かった。

ふいに遠くから水の音が聞こえた。急いで駈けって行くと目の前に川があった。
恐ろしい程の速さの水流が岩にゴンゴンぶつかりながら流れていた。

オロでさえ見たことがなかった。
この川が噂に聞いていた河童流れと云われている【皿流し川】だった。

オロは水が飲めそうな場所を探して川淵を歩いた。
五月蝿いような水音に混じって、誰かが泣いている声が聞こえた。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
deai.jpg


「えッ?」

一瞬、聞き間違いかと思ったが、耳を澄ましていると確かに、か細い声が聞こえる。

「キュンキュン」

声の方に目をやると黒くて小さな固まりがある。
そろそろ近づくと小さな子供の獺が泣いていた。

「キューン、キューン」

その子は艶つやした美しい黒い毛並みをしていた。声を掛けると涙で一杯にした円(つぶ)らな瞳をオロに向けた。オロはこの頼り気な愛らしい獺の子を一辺で好きになった。

その子に優しく名を尋ねる。その子は【きゅー助】と答えた。母親に連れられ、この川に来たそうだ。いつもの母親なら皿流し川も平気だったのだろうが、母親はきゅー助に魚を寄越しては、魚を獲りに行くのを繰り返していたらしい。

三度目当たりに母親は、きゅー助の幼い顔を見ながら言ったそうだ、、、
『もう、後一回で止めとくよ。なんだか今日は泳ぐのに酷く疲れるからね・・・』

それっきり母親の姿は見えなくなった。ずーッと待っているのに母親はきゅー助の元に帰って来ない、、、
きゅー助は、あまりにも心細くなって泣いていた時にオロに声を掛けられたそうな。

オロは話を聞くと幼げなきゅー助が不憫になった。
ここに来てから、ついぞ味わった事のない感情に揺り動かされた。

元々オロは、兄弟の食い扶持を増やす為に、河童になろうとした優しい心の持ち主である。きゅー助の母親を助けてあげたい!と思うのに何の躊躇(ちゅうちょ)もなかった。

オロはきゅー助に、『母ちゃんを探して来てあげるよ!』と言った。
しかし、きゅー助は幼いながら気丈だった。しゃくり上げながら一生懸命に話す。

「おいらはすごく嬉しいけど、この川はとても危ない川なんだよ。兄ちゃんみたいな河童でも溺れちゃうとこなんだ。母ちゃんみたいになったら嫌だから止めておくれ、、、」

オロは、きゅー助が自分の大事な母親の事がひどく心配な筈なのに、オロのことを気遣ってくれる言葉に堪らなくなった。小さなきゅー助の気持ちが嬉しかった。

きゅー助に止められて、仕方なくしているオロに、きゅー助は話し出した。
自分は覚えてないが赤ちゃんの時には、とても穏やかな川に住んでいたが、父親が亡くなるとその川を追い出されてしまったらしい。

母親は幼いきゅー助を連れ、いろんな川に住まいを求めたが、どこでも断られて仕方なく、誰も住まないこの川に身を落ち着けたと。きゅー助はそんな母親に何度も繰り返し言われてたそうだ。

『もしも母が川から上がって来ないような事になっても、決してこの川に入ってはならない!幼いきゅー助ではこの川を泳ぎ切るだけの力はないのだから、その時は私の事は諦めなさい。

幼いお前が無理をして万が一の事でもあったら、亡くなった父親に、母は顔向けが出来ないから、、、
そんな親不孝はしないように。小さな淵に居るオトトなら幼いお前でも何とか獲れる。

一人になったら寂しいだろうが、辛抱して立派な大人になっておくれ』と・・・

オロは感動して泪が止まらなかった。
きゅー助の母親の覚悟が伝わって来て心が痛んだ。

オロの母親は口を開けば生活が苦しいと愚痴を零(こぼ)して、何かにつけては稼ぎの無い父親を責めていた。そんな自分の母親との余りの違いに悲しくなった。

きゅー助は体は小さくても、心はすでに立派に成長している。





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第七章 オロとキュー助 ともだち2

前回

幼いキュー助の母を助けようと、激流の皿流し川に飛び込もうとしたオロを、キュー助は泣き泣き止めた。
そして、母に云われ続けた教えを話す。会ったばかりのオロを心配するキュー助に心を打たれた。
久しく忘れていた感情に揺り動かされるオロであった。


はじまり、はじまり



オロは自分と同じように住む所を探して、放浪した母子の苦労が身に沁みてわかっていた。

自分は辛い旅をして行く内に温かい心を無くしていたのに、 この母親は幼い我が子に生きる道をきちんと教えて逝った、、、

自分のように一人で旅をするより、子連れで旅をしていた方が余程大変だったに違いないのに、拗(す)ねもせずに優しい子供を育ててる。

オロはキュー助親子に教えてもらった気がした。

「キュー助!俺はオロって言うんだ。お前が良ければ俺の友達になってくれないか?」

「うん!」

オロは、幼いキュー助にわかるように今までの自分の話をした。
キュー助はオロを自分が住んでいる小さな淵にある穴蔵に案内してくれた。

そうして二人の生活が始まり、兄弟以上に仲良くなっていった。

オロは普通の河童と違って保護色ではない。普通の河童は周りに自分の体の色を合わせる事ができるのだが、オロは吸い出し岩に大切な色素まで殆ど吸われてしまったようで薄緑色をしている。

頭の皿や背中の甲羅は緑のガラスのように透き通っている。

そんなオロに対して、キュー助のツヤツヤと黒く美しい毛並みは、まるで宝石のように輝いている。触ると堪らなく滑らかである。オロはキュー助を撫でているのが大好きだった。

オロがキュー助と暮らして二、三日経った頃、母親の遺体が流れ着いた。
死んでもキュー助が心配だったのだろう・・・

流れに逆らって我が子に会いに来たように思えた。

オロとキュー助は大切な母親の遺体を風露草が咲き誇る場所に埋めた。
オロは知らなかった、此の世界では死体を埋葬しない。

命が尽きれば、魂は四十九日の間に魂納めの宮に向かうことになる。肉体はその時に消えてしまう。
此の世界の定めを知らないオロにしてみれば、そうするしかなかったのである。

キュー助に至っては、何もわからずにオロと一緒に小さな手で母を埋めてあげた。
だがそれは良かったのかも知れない。此の場所は二人の心の拠り所になったのだから、、、

キュー助は母親の墓に向かって、まるで母が生きているかのように話しかけオロを紹介した。
オロもきちんと母親に挨拶をした。それからの二人は力を合わせて仲良く暮らした。

オロが毎日獲る岩魚や川蝦(えび)を、きゅー助が亡き母の見よう見真似で覚えたやり方で魚を開いたり薫製(くんせい)を作る。一定の量になると仲良く遠出して渋傘村に売りに行く。

何度も売りに行っていると知り合いもできて来る。
猫族は気の良い者が多いので、二人に親切に接してくれる。

この村には狼族の【詩狼(しろう)】という寺子屋の教師がいた。
薫製を売ったのがきっかけで詩狼と話すようになった。詩狼からこの世界の仕組み等、様々な事を教わった。

大工の織熊(おりくま)からは壁塗りの方法などを教わり、親切な織熊は必要な道具もくれた。
それからは住まいを快適にする事に熱心に取り組んだ。

壁に白い粘土を塗ったり、棚を作ったりして少しづつ時間を掛けて仕上げていき、今では立派な住まいになっている。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
Qsuke.jpg

実の兄弟以上の信頼の絆で結ばれているオロとキュー助。
キュー助はアッという間に大きく成長したが、甘えん坊は変わらない。

オロはとても変わった寝方をする。眠たくなると両手を広げて後ろに倒れる。
倒れると甲羅が下になって激しく上下する。(ゴロンゴロン)

暫くしているとハンモックのようにゆらゆらと揺れ出す。オロはそうなると手足を縮めて気持ち良さそうに眠る。

こんな寝方をする河童はオロ以外にいない。
オロは河童の寝方も知らないので自分で考えたそうだ。

最初は驚いていたキュー助だったが、いつしか幼いキュー助はゆらゆらと揺れている
オロのお腹の上に乗って丸くなって寝るのだった。

二人はこうしてお互いの体温であたため合って暮らして来た。
今でもたまに、キュー助はオロのお腹の上に乗ろうとする。

『重たい~』と文句を言われても知らんぷりして寝てしまう。
オロもそんなキュー助が可愛くて仕方ないのだ。

桃吉は、二人の昔話を聞いたら、さぞや感動して大泣きする事だろう、、、




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プロフィール

 のくにぴゆう

Author: のくにぴゆう
猫国の住民達の物語を書いています。
作者はコメを食べて生きてます。
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今まで紹介をしなかったのですが、それも変だなと 三ニャンを宜しくお願いします。

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息子のちーです。 chiko1.jpg

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