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第六章 天翔猫 二人旅1


前回

五黄に猫にされた桃吉とひょんな事で知り合ったノン吉は、
猫に成り立ての桃吉を面白がった。
話を聴くうちに桃吉の純粋さを好ましく思った。
猫として生きて行くのに不安ばかりなのに、お加奈を一心に思う桃吉の魂に汚れは感じなかった。
ノン吉はそんな桃吉をはじめて旅に誘った。
どんな旅が二人を待っているのだろうか?
{第二章 しばしの別れ}

はじまり、はじまり



挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります

nonmomofutali.jpg


ノン吉と桃吉は走っている。
ノン吉が川沿いの大きな道を逸れてから大分走っているので到頭、桃吉は音を上げた。

「兄貴ぃ~、ノン吉兄貴~、ちょっと待って下さいよ~」

桃吉よりずっと前を走っていたノン吉は砂煙を立てて止まった。

「なんだよ、のっていたのに」

「すみません、ノリノリ中。でも疲れちゃって・・・少しだけ休んで下さいよ」

「仕方ないねえ」

「だってまだ、猫の素人なんですから、、、」

「変な事言うねぇ、まっ、確かに成り立てだものね!」

「ノン吉兄貴、喉が渇いちゃってがびがびです」

「がびがびなの?」

「はい、がびがびです」

桃吉は知っている。ノン吉のポケットには何でも入っている事を。

「仕方ないね、ほらよ」

ポケットから相当年期のある竹の水筒を出してくれた。
渡された水筒から水をゴクゴク飲む。

「ぬるいけど、おいしいぃー!」

「俺にも、『ぬるくておいしぃー』の頂戴」

「あっ、すみません。少ししか残っていません」

「大丈夫だよ」

ノン吉は、桃吉より長く水筒に口を付けている。

「ぷはー!『ぬるくておいしー』アハハ」

「あれえぇ!?どうしてそんなにお水が残っていたんですか?」

「ふふ、これはね、五黄の父ちゃんのお手製なの。『ごくごく水筒』っていうのさ」

「そのままの名前ですね」

「うん。俺が初めての旅に出る時に持たせてくれたものなのさ」

「わぁ~凄い年月経ってるんだ!」

「俺と同じ位にね」

「便利だなぁ」

「さてと、、俺も迂闊(うかつ)だったよ。桃のノロマを頭に入れてなかった」

「ひどいなぁ、これでも速く走ってるのに」

「これじゃ、暗くならない前に竜巻平原には着かないな」

「すみません」

「まっ、いいさ。もう二里ばかり先に湧き水が出てる池がある。そこを今日の宿にするか?」

「はい。俺何も知らないですからお任せします」

「その内にいろいろわかるさ」

ノン吉は走り出す。ノン吉はとてもしなやかな走り方をすると思った。
他の猫が走ってるのを見たのは世の吉と五斗吉位だが、あの二人の不細工な走り方とは全く違う。

四肢を思いっきり伸ばして走る姿は躍動感溢れ、男が見ても惚れ惚れするほどだ。(カッコイイー)見とれていた桃吉は慌てて追いかける。

「ノン吉兄貴ーっ!」

急いで追いかけるが、すでに姿も見えない。
ひぃひぃ言いながら、ノン吉が立っている場所にやっと辿(たど)り着く。

「あぁーしんどいっ!いつもこんなに走って行くのじゃ堪んない」

「ふふ。文句言うなよ、走るばっかじゃないからよ。それよかあの池から水汲(く)んで来な」

「はーい」

ノン吉は桃吉が辿り着く前に、すっかりテントを準備していた。
何やら悪い気がしながらも、バケツをもらって池に向かう。

「ひゃー、美しすぎるー!」

畳なら六畳程の広さの池だった。
湧き水がボコボコ砂を巻き上げ、湧いているのがよくわかる。
透き通った水が溢れて小さな流れを造っている、夕映えに栄えて魚が赤く映る。

「美し過ぎて言葉も出てこない」

「いつまでも、そうやってるとおまんまが食べれないよー」

「あっ、すみません」

慌ててバケツに水を汲んで行く。

ノン吉は手際良く鍋に水を入れると、その中に乾燥した玉蜀黍・お米・干しトマトを入れた。

「桃、水辛子とって来なよ」

「水辛子?なんですかそれ?」

「知らないのかよ」

「俺、恥ずかしいですけど、なんも知りません」

「仕方ないな。まっ、これが煮えるまでに時間があるから食える草を教えとくよ。今は春だから色んな山菜があるんだぜ」

「へぇー。俺、ワラビぐらいなら知っています」

「まっ、これから覚えていけば良いよ。旅烏には必要な知識だからよ」

「はい!」

「ほら、池の脇にたくさん生えてるだろ?これが水辛子だよ」

「なんか見た事あるような...」

「これは生だとちょいと辛いけど、口に入れた時の香りがおつなんだよ。夏になるとこの池にはジュンサイも採れるしね」

「なんか楽しみだなぁ~」

「へへ、いいだろう?」

「俺が人間だった頃、こんなきれいな湧き水なんて見た事ないです。何もかもここは美しくて感動ばかりしてます」







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第六章 天翔猫 二人旅2


前回

ノン吉に誘われるままに付いてきた桃吉だったが、旅は楽しかった。
人の時に見ていた筈なのに、ここの緑は違っていた。
心地よく吹く風にまで、歓迎されているように浮き浮きしてくるのが、不思議だった。
疲れたと文句を言いながら、なにか嬉しい。
踏みしめる地面さえ、柔らかく足を撫でる気がする。
やっと追いついた場所では、すでにノン吉が食事の準備を始めている。
旅慣れたノン吉に水辛子を教えられた桃吉だった。


はじまり、はじまり




「気に入ったの?」

「はい!もお、凄ぉ~く気に入っています!」

「早いね」

「俺自身も驚いていますッ。こんなんでいいのかぁなぁ?って思う程です!」

「いいんでないのー。それよか、早く摘みなよ」

ふた握り程の水辛子を摘むとノン吉が止めた。

「そんなもんでいいよ、辛いからよ」

「へーッ、そんなに辛いんですか?」

「少し食べてみなよ」

一口食べると辛みが舌に走った。(にがッ)

「本当だー!あっ、これ食べた事がある!ステーキの横に添えてある葉っぱだ」

「そう言えば、桃は生臭してたの?」

「えっ?なんですか、なまぐさって」

「肉食の事だよ」

「勿論してましたよー。俺、肉大好きでしたもん!あ?、、、でも、ここに来てから食べたいと思わなくなっているなぁ、、、何でだろ、、、不思議だなぁ」

「ふふ。ここは天の神々様の世界だから肉食なんて許されていないのさ」

「そうなんですか?」

「そうさ。食べていいのは野菜と魚だけだよ」

「へーッ、魚はいいんだ」

「だから、五斗は干物屋やってるじゃないか」

「そうですね」

「許されない事をしたから人国はこちらの世界から飛ばされたのよ」

「えッ?どういうことですか??」

「元々は天の神々様は、『人国』の他に今の俺達が居る『猫国』『狸国』『狐国』『河童国』等と人間が云う処の『十二支の国』をお創りになった」

「それって、あの十二支の事ですか?」

「そうさ、今では人を支える立場だから十二支。本当は其れぞれが国を為していたのさ。遠い遠い昔にはな、神々は初め、沢山の国を創られた。

そして肉食を禁じた。諸悪の根源とのお考えからだ。肉食をする為には相手を侵(おか)し、騙し、殺す。

肉を食らう為に相手国を侵し、相手を騙し、相手を殺して、その肉体を盗む。
そういう全てを含めて禁じたのだ。最初の内は其れぞれが守っていた。

処が禁じていた大原則を無視した国があった」

「人間ですね?」

「その通りだ。人国のアマとスサの兄弟王は、元々争い好きのどうしようもない者達だった。いつも不満を持ち、苛々(いらいら)していた。そして、事件は起きた」

「なんですか?」

「竜族の王であるヤマタを些細な事で喧嘩になり、殺した」

「え"っーーー!」

「竜族は元から数が少ない。妹のコウは哀しみのあまり、五体をバラバラに引きちぎり消えた、、、その他の竜族も行方不明だ」

「なんでそんなこと・・・」

「ヤマタは怒りの魂の侭(まま)、スサに取り憑いた。
スサは内なるヤマタの為に心が病み、そして怒りの感情しか持たなくなった。

挿絵参照  ↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります

susanou.jpg

いつしか、怒りの吐け口として肉食を始めた。それだけでも大罪なのに、人国は肉食を続ける為にとんでもない
方向に走り始めた。

手始めは戌国を奴隷にし、家来にした。そして当然の様に他国の侵略を始めた。

最初は親切ごかしに近寄り、信用した相手を言葉巧みに騙し、到頭自国の領土にしてしまった!民は奴隷になり、無惨にも食料となった」

「え"ぇ".....」

「それを知った陽の神様の怒りたるや凄まじく、まずは意気地なく人国の奴隷になった十二国を完全に潰された。

そして一番罪深い人国に取掛かろうとした時に、五黄様が死を賭して必死にお願いをしたそうだ。このまま人国をお潰しになれば、例え騙されたとはいえ確かに存在していた十二の種族が全て消える事になる。

せめてどのような形でも宜しいから存在くらいは許して欲しい。
陽の神様は五黄様の懇願を受け入れたが、十二の種族に未来はなかった。

人国に存在は許されても、それはもはや奴隷か食料にしか過ぎず、人国にしても、永遠に争っているがいい!と陽の神様から完全に見放された」

「悲し過ぎますね、、、」

「そうだな、だが自らが選んだのだ。仕方もない事だ。五黄様は陽の神様に行き過ぎがあれば、このように死をも覚悟されての諫言も辞さない。

陽の神様は逆にこの事を大変に喜ばれ、それからのご寵愛(ちょうあい)は驚く程だった。

黙って成り行きを見守って知らんぷりを決めこんでいた狸、狐、河童国の王達は、妖力を半分に減らされた上に五黄様に永遠に従うよう『理(ことわり)』に定められた。


【我の言葉は五黄の言葉】とな。」



「すッ、すごいですね!凄過ぎるッ!!」

「そうだな。だから人国に今でも好き自由に出入り出来るのは、原則として五黄様だけなのさ。

人国は飛ばされたとはいえ存在している訳だし、いつまた他の国に触手を延ばすかも知れないから、五黄様も注意はしているんだ」

「なんか俺、兄貴から聴く程、五黄様の偉大さが伝わってきますよ」

「だろう?だって本当の事なんだもん」




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第六章 天翔猫 ププのうー天1

前回

水辛子(クレソン)から生臭の話になり、この世界のことを知った。今も人国とは行き来がない事実に、桃吉は改めて、この世界の不思議に触れた気がした。
まだ間がないというのに、人でいた時に感じていた違和感がまるでない。
むしろ、呼吸する度に、この世界と交わって行く気がする。
桃色の毛も心なしかツヤツヤしたような、そんな桃吉だった。


はじまり、はじまり



「でも、五黄様って面白い方ですよねー」

「本当だね」

そんな話をしている内に鍋は煮立って来た(グツグツ)水辛子をその中に入れると火から離して塩を入れる。もう一つの鉄鍋ではパンを焼いていた。

うっすらと焦げているパンを取り出すと美味しそうな香りに辺りが包まれる。(プワァ~ン)
食欲をそそる香りに桃吉は涎を垂らした。(タラーッ)

「きたないねぇー、アハハ!仕様もない奴だよ。涎を拭きな」

「えへへ」

初めて手作りの食事を振る舞ってもらい、幸せ一杯になった。

「いいー匂いぃ~!」

どこからともなく声がする。

「たまらんー、たまらーん!」

桃吉は驚いてびくびくしているが、ノン吉はニコニコしている。

「うーてんの分もあるよー、降りて来なよー。」

「だったら早く言うもんよー」

そう言った途端にノン吉達の前に姿を現したのは、烏のような嘴(くちばし)をしている山伏姿の生き物だった。


ぎょわ"ッ


「てて、てっ、天狗ぅーッ!?」



「誰よ?」烏天狗が睨(にら)む。

「ふふ、俺の弟分の桃吉だよ。こっちは烏天狗の『うーてん』だよ」

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
nonshef.jpg

お互いが挨拶をしてそれぞれが座って食事を始める。
ノン吉は黙って食べている二人を見てニヤニヤしている。

「あのう...俺は元人間で猫成り立てなんで、失礼があったら許して下さい」

「怒ってない。うーてん怒るのきらい。ノン吉のお食事大好きだから夢中だったの。こちらこそ失礼しましたぁ」

「ふふ。桃吉よ、このうーてんは烏天狗なんだ。普段は俺が行くって言っていた竜巻平原に住んでいるんだ」

「へー、そうなんですか」

「そろそろ、来る頃かなー?って思ってた」

「一緒に食事しようと思ってさっき見に行ったんだよ。だけど巣に居ないからさ」

「ぷぷっ、野暮用だったん。この前の鼻毛の話を『さーてん』にしたら大爆笑だった!今度の雷神さまのお誕生会で披露するんよぉー」

「やっぱ受けた?」

「受けた、受けた、凄かった!さーてんたら、ひっくり返って笑っていたよ」

「ひゃひゃ、苦心の作だもんねー」

「何の話ですかー?良ければ教えて下さいよ」

「桃吉も知ってる話だよ!五黄の父ちゃんが元鼻毛だっていう話」

「やめてぇーッ」

うーてんがげらげら笑い出す。

「余興で話すんなら最後にうーてんが、『どおりで毛が固いと思った』って言った方が尚受けるよ。なっ、桃吉!」

「あっ、それって世の吉兄貴が言ってたことですか?」

「あれで二度受けしたよー、あいつ妙な才能あるから」

「でもその話は内緒だって、、、」

「ふふ、あれは冗談なのよ」

「えーッ、法螺(ほら)だったの?」

「当ったり前だろが!本当に五黄様が元鼻毛だったら実際笑えないよッ」

「なんだぁー、俺本気にしてました」

「だめでしょ、ノン吉は相手選ばずの所構わずだよー」

「でもいいんですか?そんな嘘付いて」

「嘘じゃないよ、冗談だよ」

?・・・

「でも五黄様に聞いたって...」

「ふふ、全部作り話だよ」

「いいんですかッ」

桃吉が不満気に言うと二人同時に「いいんです。」

「冗談は心の栄養なのさ!この世界じゃ笑いが一番の娯楽さ」

「へー、そうなんだ」

「桃吉を連れて行く予定の一つに猫宿があるのよ。猫国一番の大都会。そこには常設の落語小屋の猫猫亭と河童亭があんのよ、お互い鎬(しのぎ)を削ってるから面白いよ」

「わぁー、なんかわくわくする!絶対に行きたーい」!

「ねぇノン吉、今日はうーてんの巣に泊まんなよ」

「だけど桃がいるからさ」

「大丈夫だよ。うーてん桃吉も泊まらせたいよー」

「そっか。それじゃこいつを先に連れて行ってよ。俺、片付けてから行くからさ」

「わかったよー」

うーてんは桃吉を見てニコリとする。
うーてんは人間の体に烏の頭と云う姿をしている。

特徴ある嘴は実際は固くない。固そうに見えるだけで喋っている時は人間の唇のようによく動く。頭に小さな赤い頭巾を被っているのが愛嬌になっている。

三十センチはありそうな一本歯の高下駄。履いてやっと桃吉と同じくらいの身長になる。
そして背中には濡れているような輝きを放っている薄青い大きな翼がある。

「ねえ、桃吉はお空飛んだ事あるの?」

「まったくの未経験です!飛行機にも乗った事ありません!」

キッパリ

「ぷぷ。今日は夜間飛行になるから真っ暗でつまんないよー」

ナンノコト?

うーてんは桃吉の後ろに周ると素早く両脇に手を入れて羽ばたき始めた。

「う"わ"ぁーッ、う"わ"ーーッ」

「じっとしててよ、暴れると手を離すよー」

「はいぃ~暴れませんです」

うーてんが力強く羽ばたく度に桃吉の体がぐいっと持ち上がって行く。

「すごい!すごーぃ!浮いてるーッ」

「面白いの?」

「面白いですッ!」

「何よりだよー。飛ぶのは疲れるけど楽しいよー」

うーてんは三十メートル程昇ると、グイっと力技で向きを北に変え桃吉の体も一緒に半回転する。焚き火のそばにノン吉が見える。

「下に兄貴が見えます!兄貴ぃーー!」

「うーてーん、桃を頼むぞー!」

「わかったよー」





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第六章 天翔猫 ププのうー天2

前回

桃吉は、うーてんに気に入られた。どうやら、巣に連れて行ってくれると云う。
羽ばたくうーてんに連れられ、飛んで行く桃吉、どこへ行くやら



うーてんが優雅にバサッバサッと羽ばたくと、す~いすい進む。
眼下に目をやると素晴らしい景色が拡がっている。


「わぁー!なんて綺麗なんだぁ~」


薄明かりの中に点在する湧き水の池、
キラキラと水面が月明かりに青白く反射する。まるでエメラルドを空から撒いたよう。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります

utenandmomo.jpg

「桃吉は見えるの?」

「もちろんです!猫ですもの。夜には自信があります」

「面白い事言うよ」

「あのぉ、、、うーてんの兄貴はもしかして見えないのですか?」

「『うーてん』って呼んでよー。」

「そんな!いいんですか?」

「もちろんだよー」

「へへ。それじゃ改めて訊きますけど、うーてんは夜は見ずらいんですか?」

「薄ボンヤリしか見えないの」

「もしかして、鳥目ですか?」

「大ぉ~当たりーぃ」

「じゃあ、どうやって家に帰るんですか?」

「帰巣本能だよー」

「?・・・・」

「ぷぷ。もう着くよー、ほら」

うーてんは竜巻平原の中にポツンと一本だけ生えている巨大な節くれだった山桜を指差した。長く張り出している枝に止まる。

「もうちょっとすると、うーてん家の桜が見れるよ」

「わぁー、見たいなぁ~この木は桜なんですねぇ」

「そーよ、山桜なの。うーてん毎年ここで皆を呼んでお花見するんだよー」

「わぁー、俺も来たいなぁ」

「いいよ!今年はノン吉と一緒においでよ」

「嬉しいなぁ~楽しみだなぁ~」

「ぷぷ。桃吉って可愛いね、子供みたい」

「へへ」

「巣に入ろうよ、ノン吉もその内来るからさ」

巣と云ってもしっかりした造りの山小屋である。真ん中に大きな山桜の木がそのまま大黒柱になっていて面白い。
小さな枝には葉が付いている。

「桃吉、ここに座るよー」

うーてんは絨毯の敷いてある場所を指差す。そこに、ふわふわとした白い物が置いてあるので避けて座ろうとする。

「そこにじゃないよ、雲の上に座るんだよ」

「へっ!?雲?あの空にあるモクモクしている雲?」

「ぷぷ。そうだよー、いいから座ってごらん」

桃吉はおっかなびっくりしながら端の方に座ろうとする。端に腰掛けたのに、雲が勝手に動いて真ん中に座っている。

「わあ~!座れた!俺は雲に座ってるーぅ」

感触は経験した事のないフンワリ感。浮いてるような座っているような、お尻に自分の体重が掛かっている感覚がない。試しに足を浮かせても、体重の重みがお尻に掛かってこない、不思議な感覚。

「気っ持ちいいー!凄くいいーー!」

「ぷぷ、それ便利なんだよ。千切って伸ばせるし」

うーてんは桃吉の雲を少し千切る。手で引っ張るとどんどん伸びる。あっという間に横になれる程の大きさになる。

「うーてんのお布団だよ。桃吉も端っこ伸ばしてみなよ」

「うヒャうヒャ、伸びる~、伸びる~」

二人して絨毯すれすれの高さを雲に乗って浮いている。誰かが山小屋のドアをノックする。

「俺だよ」

ドアを開けてノン吉が顔を出す。二人を見て笑う。

「楽しそうだね、俺も横になろうかな」

ノン吉は桃吉の雲を千切ると手慣れた手つきで伸ばして雲に座る。

「ア~気持ちいいー!やっぱ雲布団はいいよなぁ」

大きく伸びをするノン吉。それを見ていた桃吉も早速、真似る。うーてんも伸びをする。皆で『うーッ、うーッ』と言いながら伸びをしている。

「ノン吉は雲布団が好きなんだから持って行きなよ」

「でも三日と保たないもの。この前のは二日だもの、がっかりよ」

「新しいの取ればいいのに」

「できないもの」

「ノン吉には毎回雲取りの術を教えてんのに、なんであれだけは会得できないのか不思議だよ」

「だって飛ぶので勢一杯になるから、雲取りの術を掛ける暇がないし...そうだ!今度からは桃が一緒だから桃にさせよ~っと」

「だめだよー」

「なんでよ?」

「だって桃吉には、羽がないもの」

「羽がないとだめなの?」

「当然だよ。これは天狗の技なんだから、ノン吉には羽があるから教えられるのよ」

「そうだったっけ?」

「ぷぷ。ノン吉は忘れたの?『ノン吉は天狗じゃが天狗の術を知らない。お前達の全ての技をノン吉に伝授せよ。』おーてん、そう言ってたよ」

「あ、そっか。あんまり昔だから忘れてたよ(笑)」





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第六章 天翔猫 いけてる猫1

前回

うーてんの巣に来た桃吉は雲布団を知った、その座り心地は空に浮かぶように気持ちよかった。
ノン吉も混ざると、話題は雲布団から二人が知り合うきっかけになる話になった。
どうやら、ノン吉は天狗だと云うのだ、さて、どうなのだろう。



はじまり、はじまり



天狗は、『風神・雷神』の【兄弟神】に仕えている。
風神・雷神は、『陽の神と月の女神』の【夫婦神】と兄弟である。

風神・雷神は季節を支配している。この兄弟神に仕えているのが四天狗である。
『凍える冬』を担当する【大天狗・おーてん】『春の芽生え』担当の【鷺(さぎ)天狗・さーてん】

『夏の盛り』担当の【烏(からす)天狗・うーてん】『秋の実り』担当の【土竜(もぐら)天狗・ぐーてん】となっている。

其れぞれが沢山の小天狗達を抱えていて、おーてんは纏(まとめ)め役でもあり、上司でもある。


「ノン吉兄貴は、天狗なんですか!?猫だと思ってましたーぁ」


「馬鹿言うなよ、猫だよ」

「ぷぷ。桃吉は聞いたことないの?『天翔(あまがけ)猫のノン吉』って」

「知りません。俺、ここ来て間がないし」

「ノン吉はね、この世で翼を持つたった一人のおニャなのよ」

「へーッ!でも兄貴の背中には何もありませんよ」

「普段は隠してるのよ」

「能ある猫は羽隠すって...な?言うだろが」

ノン吉はしたり顔する。

「言いません」

「ぷぷ。うーてん楽しいよ~、今日はとても幸せ~」

「俺も楽しい」

「俺もでーす!ところで質問なんですけど、どーして兄貴は天狗になったんですか?」

「ぷぷ。聞くも涙、語るも涙の物語だよー」

「やめなよ、うーてん」

「桃吉聞きたいの?」

「聞きたいッ!聞きたいーッ!」

「じゃお話しするよ。今から、、、うーんと、、、九百年くらい前のことだよー」

「え"?きゅ、九百年って?・・・」

「そんな事で驚いてんの?面白いよー」

「桃は何でも驚くから、面白いよ」

「俺は普通です!」

「ぷぷ、まっ昔の話よ。その日はお天気のいい朝でした。大天狗のおーてんがね、いつもの散歩をしてました。バサッバサッて空飛んで、ちょうどコン森山の峠に差し掛かった時です。


『ふんぎゃー!』と言うもの凄い叫び声がしたかと思うと、、、」



挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります

outenandnon.jpg

「思うと?」

「なんと!」

「ニャーッ、早く先言ってぇー!」

「うーてん、意地悪しないで話してやんなよ」

「ぷぷ。桃吉をからかうの面白い」

「ニャーっ!ぁーん」

「ぷぷ、その先喋るよ。なんと凄い形相をした白黒猫が空から降ってきました!おーてんは驚いて落ちて行く猫を助けました。助けた猫の名がノン吉」

「俺だよ」

「ぷぷ。ノン吉は助けてもらったおーてんにお礼を言うどころかなんと!怒ったのでーす!」

「どぉーしてッ?」

「だって、そん時は飛んでいる気がしてたんだよ。途中で邪魔されたみたいでさ」

「おーてんは驚きました。助けたのに文句を言うのですから、おーてんって普段から凄く恐い顔してるよ。『顔は真っ赤か』で『目は金色』『でーんとした大きな鼻』だよ。普通なら怖がって泣いちゃうほどね。

震えながらお礼を言うのが普通なのに、この猫はワシを怖がらないばかりか、おまけに礼も言わない変な猫じゃなあ、、、ってね」

「それで、それで?」

「お前さんは変わってんのぉー!助けて怒られたの、ワシ初めてじゃー。だけどノン吉はせっかく飛んでるのに邪魔したってプンプンなのよ」

「兄貴って変」(チロッ)

「ぷぷ。おーてんはね、状況をわかっていないノン吉にね、親切に説明したらしいのあれは飛んでるんじゃなくて落ちてたんだよ。って、、、そしたら、益々怒るんだってー」

「どして?どーして?」

「だって、落ちてるって言うのだもの」

「おーてん、困っちゃって仕方なく話題を変えたらしいのなんで猫なのに飛びたいのか?って。そしたら凄い事言うのよ」

「なんて言ったの?」


「猫が飛んじゃ悪いか!って」


「生意気でしょ~?おっかないおーてんにケンカ腰で言ったんだよー。うーてん、そんな事絶対にできないよ」

「兄貴って凄いね」

「すごいよ。うーてん真似できないよ」

「へへ、そうかな」

「おーてん、益々困ってね。生意気な猫じゃ、、、だけど確かに猫が飛んで悪くはないのぉ。ほっほっ、お前はそんなに飛びたいのか?ってね。そしたら又また、生意気言うのよ、さっき飛んでいた!って」

「わぁ~、ウルトラ生意気ですね!」

「ぷぷ。おーてん、段々面白くなって笑っちゃったんだってそしたらノン吉は『男のロマン』を笑うなって、益々怒るんだってー」

「だって、ゲラゲラ笑うんだもの。こっちは真剣なのに」

「おーてん、その時久しぶりに人前で笑ったらしいの。おーてんの笑い顔ってそりゃもうすさまじく可笑しいのよ。笑ったら、逆に皆に笑われちゃうから、いつもしかめ面の恐い顔してるんだよ」

「俺、怒っていたけど、あんまりにもおーてんの顔が変だから、結局笑っちゃってさー」

「しばらく二人で大笑いしてたんだって。それでお互いが打ち解けて名乗り合って、それからおーてんもよくよく説明したらしいの。それでやっとノン吉は自分が落ちてた事に納得して、やっとお礼を言ったりしたそうだよ」

「最初からお礼くらい言えばいいのにね」

「本当だよ!ノン吉、ウルトラ生意気ね。ぷぷ」

「俺もあの頃は若かった、、、」

「百歳にはなってましたよ」(チラッ)

「うるニャイッ!」





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第六章 天翔猫 いけてる猫2



前回

桃吉は九百年前にノン吉が、こん森山の峠からした大ジャンプの話を聞いた。
運良く通りかかったおーてんに助けられたのが、どうやら天狗達と知り合うきっかけだったらしい。


はじまり、はじまり



「ぷぷ。それでおーてんに、飛ぶのなら羽がないと無理じゃよ。と言われたら、ノン吉が奮(ふる)ってるんだよー、ぷぷ。あん時みたいにやってよ」

うーてんがノン吉に合図するとノン吉はすくっと桃吉の前に立って

「俺にはこれがある!」

腕を横に広げた。

「わぁーッ!ムササビみたーい!」

「ぷぷ。誰だってそんなの見たら驚くよ。おーてんも凄く驚いて、どうしたらそんなに皮が延びるのか?って」

「そしたら?」

「だから、毎日毎日少しづつちょっとづつ、引っ張って延ばしたんだよ。でも中々延びなくてさー、油を塗ったりして、百年も掛けてやっとここまで延ばして大変だったんだよ。だからやっとの思いの初飛行だったって訳なのよ」

「おーてん、ノン吉の無駄な努力に感動したらしいよ。それだと確かに滑空はできるかもしれないが、高い場所とか木がなければどうにもならんじゃないかなって」

「それでもいいから飛んでみたい!これぞ男の生きる道・男のロマンだニャー」

「ぷぷ。そう答えたんだって」

「兄貴って底抜けのお馬鹿ですね」

「ニャッ?ニャにを言う、この若造め!!そこに高い木があれば登る。登れば降りなくてはならニャーイ!が、しかぁーし!自慢じゃないが降りるのは苦手ニャ」

「だったら、登らなきゃいいのに、、、」

ノン吉に猫パンチされた。

バチーン!

いでッー、涙


「うるニャーイっ!」


「ぷぷ。いい加減にしなさいよ、先を続けるよ。おーてんは、ノン吉の手助けしてあげたくなったんだって。
天狗ってそういうとこあるの、天狗の性だと思うよ。めったにないけどたまにはあるんだよ。

それで、おーてんはノン吉を連れて【風雷宮(ふうらいきゅう)】に行ったの。風雷宮には『風神様』と『雷神様』がいらっしゃるんだよ。

挿絵参照↓↓↓   絵をクリックすると大きくなります
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おーてんはあらすじを説明してノン吉が不憫だから、羽を付けてあげてくれってお頼みしたらしいの」

「へぇー、そしたら?」

「元からあるって」

「えッ??どう言うことですか?」

「いやね、風神様がお前と茂吉は【天授子(てんじゅし)】なのだ。茂吉には『理をあまねく知らしめる為』に【知恵】を授け、俺には『不心得を天に知らせるが為』に【翼】を授けた。ほら、夕飯食べる前に話しただろ?人国のこと」

「はい」

「神様達もそれなりに反省したらしいのよ。あそこまで酷くなる前に手を打たなくてはいけないって。

何よりも可愛い五黄の父ちゃんに、再び命がけの諫言をさせるのは不憫だって。
だから少しは下界の事情を知るべきだってね」

「神様なのに?」

「神様だからこそ、無頓着なのよ」

「へっ???」

「神様っていうのは小さなことはわからないのさ」

「どういう、、、」

「大きな裂け目になる前はさ、最初はほんの小さな綻(ほころ)びみたいなものなのよ。わからない程度の小さな綻びなのよ。

人国のアマとスサもたまたま肉食したのかもしれない。だが、すぐに止めれば良かったけど止めなかった。其れ処か好んだ。その内に下の者も真似する。

そうなると雪崩がうつように俺も!俺も!になってあの様よ。
神様もさすがに大雪崩になれば気が付くけど、小さな落石程度じゃ分からない訳よ。

それを俺に知らせて欲しいんだって、翼でそこら中を周ってね。
だけど、唯おれが闇雲に国を巡っていても仕方ないだろ?

そこに茂吉よ。茂吉は【御係所(おかかりじょ)】というとこで色んな国民の係争を一手に引き受けている。
そして【身魂抜きの宮(みたまぬきのみや)】【魂納めの宮(たまおさめのみや)】も管轄している。

そこで、余りに係争が多いい国、身魂抜きをする国民が多ければ俺に知らせて、俺がその国を調べに行くという寸法なのよ」

「なんか、知らない言葉がたくさんあってこんがらがっちゃった」




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第六章 天翔猫 いけてる猫3

前回

おーてんは皮まで伸ばすほど、必死なノン吉に同情をして助けたくなった。
風雷宮に連れて行くと、風神様からノン吉と茂吉兄弟は【天授子】なのだと云われる。
茂吉は『理をあまねく知らしめる為』に【知恵】を授け、ノン吉は『不心得を天に知らせるが為』に【翼】を授けていると云われた。


はじまり、はじまり


「ふふ。それで雷神様は、俺には誰よりも速く飛べる翼を持たせてある。って、俺にしたらよくわからない訳さ。
雷神様が俺に背中が今までむずむずしていなかったか?って聞くから、

確かにそんな事が昔からあったけど、痒いなあ~ってそのくらいだったって言ったのよ。
それを聞いた風神様と雷神様は大笑いなさって、

『これは元々は我らが失態。ノン吉に知らせとけば良かったのお。』

『本当じゃ。出し入れ出来る翼じゃもの、わからぬも仕方もなし。ノン吉が使命は隠密行動じゃから、出し入れ出来る翼にしておいたのがいかんかった。可笑しいのお。』

『ほんに可笑しいのお。』

『ノン吉よ、お前が空を飛びたいと願っていたのは元から翼があるが為。なれどそれを知らぬノン吉に無駄な努力をさせたは、我らの誤りじゃ。済まぬのお』

『許せよ』

って風神様と雷神様が謝るんだもの驚いたよー!

『これからはノン吉が翼出よ!と念じれば翼が出てくる。翼消えよ!と念じれば翼が体内に沈む』

『おーてん、これに参れ』

今まで端っこで平伏していたおーてんを風神様がお呼びになって、

『件(くだん)の通りじゃ。ノン吉を連れてきたおーてんには礼を言わずばなるまいよ、ありがと。改めておーてんに頼む。ノン吉は【天掛け天狗】なり。

なれど飛ぶさえ知らぬ雛(ひな)に過ぎず。これよりノン吉に主ら天狗の術の全てを伝授せよ』」

「ぷぷ。それでうーてん達はノン吉と知り合いになったのよ」

「へぇーッ!何かすごい話ですねッ!で、、、兄貴っていい生徒でしたか?」

「あたぼうよ」

「ぷぷ。ウルトラ生意気な生徒だったよ」

「やっぱり、、、」

「ま、そんでどうやら俺も一人前になったのよ」

「ある日、おーてんがノン吉はこのことを知らせたい者がいるじゃろ?って。もちろん五黄の父ちゃんと藤平の父ちゃんには真っ先に知らせたい!ってさ。

ほら、なんだかんだ云ってノン吉は二人の父ぉーちゃん達が大好きだからね」

「よッ、よせやい!俺はその、、、一番世話になってるし・・・」

「ぷぷ、恥ずかしがっちゃってー。それで天狗達総出で五黄屋敷に行ったのよ」

「それはそれは大騒ぎだったでしょ?」

「すごかったよー!屋敷の者は大慌て!五黄様や藤平様のびっくり顔は忘れられないね」

「まっ、これまでの経緯を話してさ、それで今度は二人の父ちゃん達連れて風雷宮に行ったわけよ。そしたら、二人の神様もたいそうお喜びなさって、『これで駒が揃った』って、

皆で大挙して【天宮】に行くことになったのよ」

「うーてん、ワクワクしたよー」

「すッげーーっ!」

「風雷宮も美しかったけど、天宮もきれいだったなあ、、、」

「うーてんも大好き!お花だらけなんだもの。色とりどりの花畑がどこまでもどこまでも続いて。先の方に金色と銀色に輝く光があって、皆がそこに行くと二つの光が見る見る内に、変わっていったのには驚いた!

うーてん達は天宮に滅多に行けないし、呼ばれても平伏しているから、お声を聞くだけだったもの」

「驚いている俺達に陽の神様が話しだした。

『我らは元々形がない故、お前達にこうして会うときだけに人形(ひとがた)になる。風神、雷神も同じじゃ、これから見知りおかれよ』」

「おおびっくりだぁーッ!!」

「本当だよー。風神様は【薄い青色】雷神様は【深紅の色】陽の神様は【黄金色】月の女神様は【白銀色】の御髪だから、御並びになっていると凄~く奇麗だったよーッ」

「神様達は美しくて美しくて夢のようだった、、、」

「わあー!いいなぁ~」

「月の女神様が透き通るお声で『五黄や、息災か?』

五黄の父ちゃんは小さい声で『はい、おたあ様。』

藤平の父ちゃんにも聞いてさ、二人とも神妙だったね」

「なんかいいなあ~、そういうの」

「陽の神様が『お前達に会わせたい者がいるのじゃ』と、お手をすっと振ると、何もない場所から茂吉が現れた時はおったまげたよ。
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挿絵参照↑↑↑  絵をクリックすると大きくなります

藤平の父ちゃんが泣いて抱きついてさ!それにもたまげたね。
あいつは俺とあい前後してお屋敷を出ていたのよ。

藤平の父ちゃんの悲嘆には俺も驚いてなあ、、、
そんであいつを探しがてらと国中を探索してたのさ。

まさか天宮にあいつが居たなんてね」

「だから、そこら中ほっつき歩いていたんだ」

「へへ、その通りさ。聞けば茂吉はある日、陽の神様・月の女神様に呼ばれて、お屋敷を出たらしいのよ。それで神々様から直接ご指導を受けて勉強していたんだって」

「ひぇーッ!茂吉さんって凄いですね!」

「ぷぷ。ノン吉と大違いよー」

「ほっとけ」


陽の神様アップショット   菰傘村女猫有志の会たってのご要望につき
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第六章 天翔猫 いけてる猫4

前回

天宮に行ったノン吉や五黄や藤平は、行方知れずとなっていた茂吉と思わぬ再会を果たした。
藤平は普段の顔を捨てたかのように、茂吉との再会に涙した。
皆もその姿に、父の愛の深さを知る。
頑是無い子供のようにうれし泣きする藤平に、茂吉もただ泣いていた。


はじまり、はじまり



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「陽の神様は、五黄の父ちゃんと藤平の父ちゃんに俺と茂吉の事を話したのよ。俺と茂吉をね、『わざと屋敷の前に捨てて、二人を試した』って云われた。

最初、父ちゃん達は驚いていたけど、逆に喜んでもいた。俺達を育てる事ができて幸せでしたって・・・」

「皆、その言葉に泣けたねッ」

「続けて月の女神様がおしゃった。

『五黄と藤平を選んだ事に間違いはなかった。我らは嬉しく思う。この子らは正しく育たなくてはならず、また深い愛情を知らなければいけなかった。今の二人は立派に成長した。

それも五黄と藤平の御陰じゃ、これで我らの計り事が成されたも同じ事。』
それからが面白かったよ、『細かい事はこれから煮詰めれば宜しかろ』ってね」

「本当に楽しかった!」

「陽の神様がこれまでの皆を労おうってね。それで大宴会が始まったのよ。俺は、神々様達があんなに御陽気だなんて知らなかったよ。

歌ったり踊ったり、素晴らしく美味しい食べ物に蕩けるような美酒。月の女神様の歌声、陽の神様は楽器を弾かれて、風神様も雷神様もくるくる踊られて、、、夢のような時間だったね」

「何日も続いたね。もう一度行きたいよーー」

「いぃ~なぁ~」

「それで今に至ってるわけ。俺はとにかくお墨付きを戴いた風来坊だからさ、五黄の父ちゃんにも《人変わりの術》を習って人国もたまに偵察したりしてね。

茂吉は、今の形にするのに時間も多少掛かったけど、神様に頼んで【恵み子】を授けてもらったから何とかなってるのよ」

「恵み子?なんですか恵み子って?」

「この世界に神からもたらされた大切な子だよ。元々は茂吉が三つの役所を創った事に始まる。民の不満やいざこざ等の訴えを一手に引き受ける【御係所】

この御係所というのは、民に【理】を理解させる目的も担っている。肉食の禁止は、わかっているだろう?」

「はい」

「だがもう一つ、【小さな理】と云うのがある。これは俺達が円滑な生活をする為の約束みたいな事だよ」

「真面目に働け!とか、嘘をつくな!盗むな!とかですか?」

「そうさ、俺達はこの法律をきちんと守っていればいいんだ。だけど、そう上手くいかない。駆け引きで損した者は、相手が嘘をついたと言い張る。駆け引きも嘘をついた事になる。

病気で働けない者は、、、子を捨てるしかなかった親は、、、理に従わないのだから、罰を与えろという事になる。だけどそんな一方的な理を誰が納得する?

誰が守ろうとする?不満を持つ者を理解させるには、導く者が必要になる。
だけど普通の者に、そんな事はとてもできないから、神々から特別に恩恵を受けた子達にさせているんだ。

それが【恵み子】と呼ばれている子供達なんだよ。だけど恵み子がそのまま、すぐに大切な仕事ができるわけじゃない。恵み子に特別な教育をさせなくてはいけない。

だから茂吉は恵み子だけの特別な学校も創った。そして、その子達は卒業すると、全ての国の民の係争を専門に扱う【御係所】【身魂抜きの宮】【魂納めの宮】に配属されて、永遠にそこで働く事にしたわけよ」

「永遠に!?ひぇーッ、大変な仕事ですねーっ!俺、聞いてるだけでクラクラする」

「ああ、大変な仕事だよ。でも恵み子達以外では出来ない仕事でもあるしね」

「御係所って重要なんですよね?」

「そうだな。小さな喧嘩みたいなものでも、訴えがあれば真摯(しんし)に訊く。訊かれただけで相手の気が済む場合もあるし、何が何でも白黒付けろと迫られる場合も多々ある。

そういった小さな不満の種を一つづつ摘んでいけば、大きな裂け目にならずに済む。結果として御係所が未然に防ぐ事になる。これこそ神様が一番望んでいる事なんだわ」

「なんか聞く程大変さがわかります」

「俺は風来坊で良かったよ」

「ぷぷ、それよか明日は何するの?」

「何って、、、そうだ!さーてんと、ぐーてん呼んで竜巻遊びしようぜ。桃を紹介したいしさ」

「ぷぷ、それ大賛成だよ!」

うーてんは小さな窓を開けて大きな声を出す。

「弥八~、弥八~!」

「何の御用かなもし?」窓枠に一羽の『梟(ふくろう)』が止まった。

「軽八に、明日さーてんに遊びに来るようにって」

「軽八はわしと違って夜目が利きませんぞなもし」

「朝になってからでいいよ、わかった?」

「はぁい」可愛い返事をして飛んで行った。
今度は、床下に近い所に顔を近づける。壁に小さな穴がある。

「米八、起きてる?」

「あーい!部屋が賑やかだから起きてたよ」白い『おこじょ』が顔を出す。

「そっか。そしたら、ぐーてんに明日遊びに来てねって言って来てよ」

「あぁーい」

「ぷぷ、連絡おしまい」

「そんじゃ、夜も更けたし寝るかね?」

「はい」

桃吉は初めて雲の上で寝た。
ふわふわとした柔らかい感触は、ノン吉から聞いた天界に居るような感じがして心地よかった。







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第六章 天翔猫 お勝手トリオ1

前回

桃吉は三役所の役割、運営する茂吉と恵み子の話を聞いた。
今一、ぴんと来てない様子だが、そんなものなのかも知れない。
ノン吉は桃吉が追々、覚えていけばいいと思っている。
何しろ、先は長いのだ。



はじまり、はじまり



朝になり、桃吉はとても香ばしい匂いで目覚めた。

「わぁー、いい匂いだ」

「ぷぷ。ノン吉が胡桃(くるみ)ごろごろパンを作ってくれたよ」

「へへ、自分で作って言うのもなんだが、本当にいい匂いだなぁ~、これだからパン作りは楽しいのよ」

「桃吉、うーてんとお外の井戸で顔洗おう」

「はい」

爽やかな朝の風が吹いていた。

挿絵参照↓↓↓   絵をクリックすると大きくなります
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「ニャーアー」

「くわーぁー」

うーてんの家になっている山桜の木は、大きく二股に分かれていて、桃吉が見た事もない大樹である。そこからは竜巻平原が一望出来る。

桃吉は夜に連れられて来たので竜巻平原の全体がわからなかったが、朝陽に照らされる広大な平原は見る者を圧倒させる美しさがある。

南の方から吹く風に丈の低い草がさわさわと揺れている。

「ひゃーッ、気持ちいいー!緑の風に染まりそうニャー!」

「ぷぷ。桃吉、洒落たこと言うよ」

「だって、こっちはどこもかしこも俺には感動ですよ!」

「人国はそんなに酷いの?」

「こっちと比べる事すら間違ってますね。違いすぎる!うーてんは行った事ないんですか?」

「うーん...大昔にね。陽の神様が人国を飛ばす前にね、住んでいた時もあったよ」

「へぇー。あッ、そう言えば鞍馬山の天狗とか聞いた気がします」

「ぷぷ、いい加減なもんだね。うーてん、昔は武芸の達人だったの」

「えぇーッ!?」

「そんなにびっくりしないで。うーてん、今は刀を持たなくなって久しいの」

「どうしてですか?」

「厭になったの。人に武芸を教えた事もあったんだけど、、、」

「だけど?」

「奴らには武芸の本質を理解できないの」

「へ?」

「つまりは...人にとって刀は人切り包丁でしかないのよ。うーてんだって、こいつ!と見込んだ者に教えたけど無駄だった。刀は血に塗(まみ)れるものではないのよ。魂を切る道具であって肉体を切る道具ではないの」

「うへ?わかりません...」

「ぷぷ、桃吉はそんな事知らなくていいよ。だけど、おーてんは刀鍛冶だから、たまに刀を打ってるよ」

「なぜですか?」

「身魂抜きに使うのよ」

「あ、昨日もノン吉兄貴が魂抜きなんとかって、、、」

「桃吉、馬鹿ちん!本当に面白いね。それは身魂抜きの宮」

「なんか怖そーですねッ」

「確かにそうかも知れないね。だけど桃吉には全く関係ないね。関係があるとすれば、魂納めの宮だね」

「まだあるんですか?」

「あるんです!良い機会だから教えるけど、死んだ者が魂を抱えて向かう所なの」

「ふーん」

「そこで、役人は死んだ者の生きて来た道をこの世鏡で見るの」

「わーッ、えんま様みたいだぁ!」

「ふふ。普通に寿命を全うした者は何も畏(おそ)れる事はないし、怖くもないよ。だけど悪行をしてきた者は魂沈めされる」

「やっぱ怖ぁーいッ」

「悪い事をした者は必ず報いを受ける。考えようによれば、生きている内に御係所に訴えられ、裁きを受けて、きちんと償いをしていた方がいいんだよ」

「そうか!バレないからって、ほくそ笑んでいる事は無理なんだ!」

「その方が余程罪が重い。御係所で罰っせられても、多くは生き直しの機会を与えられる。だけどそうじゃなかった者は魂沈めをされ、生まれ変わる事もあの世に行く事も出来ずに沈められる。

長い年月の間に魂は形を留められなくなり、無になってしまう」

「こッ、怖ぁーーぃ!」

「この世で生きる修業を為した者には、ご褒美があると云う事なの。役人はそう云う者にあの世に行きたいか?それとも生まれ変わりたいか?と訊ねるの。

例えば、狸になりたいとかね...それから歳を訊かれて魂に記す。そして魂を預かる。
魂を渡した体は消える。まっ、本当はもっと色々な事情を考慮したり、故人によっても変わるけど、大体はそんなとこかな」

「あの世ってあるんですか?」

「うーてん、寿命がないも同じだから良く知らないけど素晴らしい所らしいよ」

「ふーん。なんか、俺すごい勉強になりました!」

「は、はい」

木の上からノン吉が大声で呼んでいる。

「パン焼けたよー!食べようよー!」

「はーい!」

大急ぎで顔を洗って家に戻った。

「うーてん、桜水が欲しいよ」

「はいよ」

うーてんは柱に差し込んである蛇口をひねる。勢いよく柱から水が出てくる(ジャージャー)
水差しはすぐに一杯になる。

「あれー?水道がある!」

「普通のお水じゃないよ」

「うーてん、桃吉に上げてよ」

「ぷぷ、おいしいよ」

うーてんはコップになみなみと注いだ。きれいに透き通っている。

「わぁ、桜のいい香りがする~~」

桃吉は飲んで驚いた!喉がごろごろと喜ぶ優しい甘さと、鼻に抜ける桜の香りに堪らなくなった。






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第六章 天翔猫 お勝手トリオ2

前回

うーてんから桃吉は、人国での過去を聞かされた。
桃吉にとって、知らない事の連続なのに、不思議と戸惑いはなかった。何よりもノン吉やうーてん達と、過ごしてる時間が楽しかった。



はじまり、はじまり




「おかわり下さーい!」

「ぷぷ、気に入ったの?」

「すっごいおいしいですッ!これ只のお水じゃないですね?」

「それはうーてんが桜の木から、もらっているお水なの」

「へぇー!」

挿絵参照  ↓↓↓   絵をクリックすると大きくなります
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「うーてん、桜の木に住まわせてもらっているので、普段から虫退治とか肥料とかいろいろお世話もしているの。そしたらある日うーてんに桜の木が言うのよ」

「なんて?」

「『わしはお前さんの御陰で楽しい。いつも賑やかで飽きない』って、うーてんはこちらこそ、住まわせてもらってありがとうございます。

すると桜の木が『わしは土から養分と水分を取っているんじゃが、わしらのような大木になると、余分にたくさんの水分を貯めておるのじゃが、

もうわしらみたいに齢を重ねると、そんなに沢山はいらんのじゃが、どうしても土から吸い取ってしまう。

どうせ蒸発してしまうものだから、お前に上げたいと思うのじゃがいらんかね?』
うーてんはそれから毎日もらってるの。

この【桜水】飲んでると病気にもならないし、いい事尽くめのお水なんだよ」

「へーぇ、ありがたいお水なんですね!」

「ぷぷ、その通りだよ」

三人で賑やかに朝食をとり、食後のコーヒーを飲んでいるとノックをする者がいる。(トントン・トントン)

挿絵参照  ↓↓↓   絵をクリックすると大きくなります
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「お久ぁ~の、さーてんですぅぅ」

「あっ、入ってよ」

うーてんに言われて【鷺(さぎ)天狗】の《さーてん》が入って来た。
さーてんは美しい真っ白な羽を持つ天狗だった。顔はうーてんと同じに嘴(くちばし)があるがうーてんより長い。

「お邪魔しまぁ~す。あれッ!だあれぇ?」

桃吉はさーてんの姿に驚いた。頭には頭巾の代わりに『簪(かんざし)』羽織は『レース』手足には『マニキュア』や『足輪』がキラキラ光っている。

「桃吉、これが鷺天狗のさーてんだよ。挨拶しな」

「あの..桃吉です。宜しくお願いします...」

「ふふ、あたしはさーてんよぉ」

「あの...女の方ですよね?」

「そんな分けないだろ。こんなにごッつい女がいるもんか!」

「いやねぇーッ、ノン吉って!『ごッつい』だって失礼しちゃうわ、もうッ!」

「ぷぷ。さーてんって天狗界一の変わり者だよ」

「ふん、少数派はいつも苦労してるのよッ」

「桃吉、さーてんはご覧の通りの変わり者だけど、凄くいい奴だよ」

「変わり者は余分よ。でも、桃吉ちゃん宜しくぅ」

「あの、、、さーてんさんは・・・」

「さーてんって呼んでよ」

「それじゃ、さーてんはどこに住んでいるんですか?」

「あたしはね、『まま子池』よ。今度遊びに来て頂戴」

「ありがとうございます」

「ぷぷ。さーてんがお家に誘うなんて怪じい・・・・・」

「何よっ!」

「大丈夫だよ。行かせねえよ」

「もう、取って食おうなんて言いやしないわょッ!」

「え"ーッ!肉食禁止って・・・」

「冗談だよ!馬鹿だねぇ~、桃吉はうぶなんだからカラかうのも程にしなよ」

「あたしって可哀想な女、、、。ただお家に誘っただけなのに...(ウッ)」

「誰が女なんだよ!」

さーてんは舌を出す。

「ぷぷ、いい加減にしなよ。それよりさーてん、ぐーてんに会わなかった?」

「あら!あのどん臭いのも呼んでいるのぉ?」

「もうッ、ぐーてんの事そんな言い方したらだめだって言ってるのに!」

「だって泥臭いのよぉ」

「土地を耕して肥えさせるのがお仕事なんだから当たり前でしょうが」

「ふーんだ。お風呂にも入らないからバッチイのょ」

「もぉーッ、そんな事ぐーてんに言わないでよ!ぐーてんが傷ついちゃうよ」

「ちったぁ~、わかった方がいいのよ」

ぐーてんが気に入らないのか(?)さーてんは文句ばかり言っている。
その時にドアをノックする音がした。

「こんちわ~!ぐーてん呼ばれて、まかり越しやした~」

「あッー、田舎臭いのが来たわ」

「黙ってて!ぐーてん、入ってよ~」

ドアを開け、のっそり土竜(もぐら)の顔をした天狗が入って来た。
ぐーてんは全体が茶色い土色をしている。顔はもぐらで愛嬌がある。

「へへ、ぐーてんお呼ばれ久しぶりでやんす。米八に言われて大急ぎで参りやんした」

桃吉の前で目が止まった。

「どなたさんでやんす?」

ノン吉が桃吉を紹介する。

「宜しくでやんす。ぐーてんでやんす」

ぐーてんはのっそりと話す。桃吉はその、のっそりとしたぐーてんを好ましく思った。

「あの、こちらこそ宜しくお願いします!」




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第六章 天翔猫 お勝手トリオ3

前回

うーてんから、桜水の由来を聞いた桃吉は、一層、桜水が美味しく貴重なものに思えた。
住まいにしている桜の古木と交流するうーてん、それをごく自然なことのように話す。
桃吉はこの世界が、益々好きになっていく。
突然、現れたさーてん。きらびやかなその姿に圧倒されつつ、男だと知って驚く。
のそりと入ってきたぐーてん。のんびりとした雰囲気を桃吉は好きになった。



はじまり、はじまり



「ぐーてん、あたしがあげたシャンプー使ってるの?」

「使ったでやんす。蚤(のみ)取りシャンプー」

「いつよ?」

「ひと月前でやんす」

「きゃーッ!もうッ!毎日使うのよッ!!」

「そんなに使ったら無くなっちまうでやんす」

「無くなったら、いくらでもあげるって言ってんのに、ケチンボなんだからッ」

「もう勘弁してやんなよ。さーてんは五月蝿いんだよ」

「あたしはね、同じ天狗仲間として一人だけ汚いのが嫌なのよ!」

「ぐーてんは汚くないよ」うーてんも庇(かば)う。

挿絵参照↓↓↓   絵をクリックすると大きくなります
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「いいえ!バッチイです!あたしがいくら言っても聞かないんだから」

「もう、うーてん嫌になっちゃうよ。さーてんはぐーてんにいつもこうなんだから...」

桃吉はあっけに取られてぼーッと見ていた。

「あ~、ぐーてんの大好物の胡桃パンの匂いがするでやんす~」

ぐーてんは、さーてんに文句を言われるのが慣れっこのようで気にもしていない。

「さすがにぐーてんは土竜(もぐら)だけあって鼻が利くな」

「へへ、唯一の取り柄でやんす」

「あら気が付かなかったわ」

「さーてんは香水つけすぎて、俺の胡桃パンの匂いも分からなかったんだよ」

「さーてんも、ノン吉の胡桃パン食べたーい!」

「ちゃんとお土産に用意してあるよ」

「ぷぷ、桃吉がびっくりしているよ」

「桃吉よ、こいつらいつもこうなんだよ。気にすんなよ」

「えっ?は、はいっ。仲が悪いのかと思いました(汗)」

「違うのよ、あたし達って昔からなの。気にしないで~、桃吉が誤解してるじゃない、ぐーてん謝りなさいよ!」

「へっ、すまんでやんす」

「うーてんいつも思うけど、大概悪いのは『さーてん』だと思うよ」

「いいじゃないの、細かい事言わないでよッ!」

「もういい加減にして竜巻遊びをしようぜ!その為に呼んだんだからよ。桃吉にやらせたいしよ」

「ノン吉は昔から気が短いでやんす。二人も止めるでやんす」

「うーてんはぐーてん庇っているのに・・・」

「だから、ぐーてんは鈍感だって言ってるのよ」

ノン吉は一向に収まらない口喧嘩に呆れ、桃吉を促して外に出た。

「兄貴、いいんですか?」

「いいんだよ。その内に俺達がいなくて慌てて外に出てくるから」

「いつも口喧嘩してるんですか?」

「あいつら仲良しだから。いつもアーして遊んでるだよ」

「えっ!あれ、遊びなんですか?」

「そうだよ。あいつらだって普段は子分達に命令したり、世界中を飛び回って忙しいんだよ。だからたまに会うとああして息抜きしてんのよ」

「子分って、、、昨日の梟(ふくろう)とか?」

「あれはうーてん家のお手伝いしている奴らだよ」

「違うんですか?」

「違うよ。あれでも其れぞれ万単位の子分達を抱えてるのよ」

「ひぇーッ!!」

「うーてんは、この世界の夏を担当しているのさ。あいつは春の終わりになると、夏の門を開けるんだ。

そりゃあ見物だぜ!開けた途端に緑の色が濃くなって、そよ風まで蒼いんだよ。

うーてんの御陰で一気に夏になるんだ」

「へぇー、なんかいい仕事ですね」

「だけど大変だぜ、季節の見極めっていうのはさ。やり直しがきかないからね。
子分達を世界中に派遣して情報を集める。それでやっと夏の日を決めるんだからね」

「毎年やってるんですか?」

「もちろんそうさ。冬をおーてんが張り切ったりすると厳しい冬になる。そうすると春が行き渡るのに時間が掛かるのよ。

当然植物の芽吹きも遅い。なのに急に盛りの夏にしたら大事な植物が枯れちゃうし」

「そりゃそうですね」

「そうさ、さーてんも同じだよ。あいつはあんなんだけど面倒見は凄くいい奴なんだ。

おーてんが芯まで凍らせた冬を、隅々まで春にさせ、土地に眠る種を起こし、芽吹かせるんだから四季の中で一番忙しいんだよ。

なのにあいつはとても忙しいのにあーやって、ぐーてんの事をかまってるんだからある意味大したもんだよ」

「ああ、蚤取りシャンプーですか?」

「ふふ、最初は普通のシャンプーをあげていたんだよ。だけど本当にぐーてんはお風呂嫌いだから、少ししか使わなくてもいいように、さーてんも考えて蚤取りシャンプーにしたんだと思うよ」

賑(にぎ)やかに家から三人が出てきた。


「なんでうーてん達、おっぽって行っちゃうのよー」


「そうよぉ~、振り返ったら居ないしぃ」


「ぐーてん、二人の口喧嘩見てたらいつの間にか寝ちゃった」


「ふふ、桃吉。なっ、いけてるだろ?こいつら!」

「はい、いけてます!」

二人が三天狗に謝ると、すぐに機嫌が直った。




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第六章 天翔猫 竜巻あそび1

前回

さーてんが来た途端に部屋がパッと明るく賑やかになった。
それはいいが、ぐーてんの登場により、雲行きが怪しくなる。
うーてんとさーてんは口喧嘩を始めた、気にもしないぐーてんは、胡桃パンを欲しがる。
到頭、ノン吉は桃吉を連れて外に行ってしまう。
三天狗はギャラリーが居なくなると大慌てで、二人の元にやってくる。
そんな三天狗は今日も楽しそうだ。
仲良しの三天狗とノン吉達はこれから、何をするのだろう?



はじまり、はじまり




「あのぉー、『竜巻遊び』ってなんですか?」

「ふふ。こればっかは、お三方が居ねえと出来ねえのよッ」

三天狗とノン吉が笑いながら広い原っぱに駈けて行く。


わーい!ニャハハハー、アハハハー!


慌てて桃吉もついて行く。

「早く来いよー、いいから初めてよー!」

「はぁいよぉーー!」

天狗達が円になって周り出す。中心に向かって、ばさっばさっと羽ばたく度に、幾つものつむじ風が巻き起こる。天狗達は少しづつ高くなりながら、風を送っている。

小さなつむじ風が、一つに纏(まと)まっていく。羽ばたきが速くなると、つむじ風は竜巻に変わった。高さが十メートルを超えた頃、天狗達は竜巻から弾かれるように降りて来た。

「今日の竜巻、凄くきれいに出来たね!」ノン吉は三人を褒める。

「意外に良い出来になったわよ」

「ぐーてんもそう思うでやんす」

竜巻は音もなく優雅に回転運動をしている。

「うーてん、花びらは?」

「あっ、今持ってくるよ」

「こうやって見ると綺麗なものね」

「ぐーてん、早く入りたいよ」

「だめでしょ、今日は桃吉からよ」

???

「俺はいったい何をすればいいんですか?」

「ちょっと待ってなよ。うーてんが花びら持ってくるから」

「お待たせー」

「うーてん、花びら入れてよ」

「はいよ」

うーてんは竜巻に沢山の花びらを投入する。竜巻が花びらを巻き上げる。

パラパラパラ~

挿絵参照↓↓↓   絵をクリックすると大きくなります
tatumaki.jpg


「わあぁーッ、きれいだー!」

「桃吉行くぞ!」

ノン吉に手を引っ張られて竜巻に向かって行く。ノン吉はお構いなしに竜巻の中心に入って行く。


「ぐわ"ぁッ、わ"ぁ"ッ」



「口を閉じてないと花びらが入ってくるぞ!」

二人は花びらと一緒に、ゆっくりと回転しながら上空に上がっていく。
桃吉は夢を見ているようだった。

綺麗な色とりどりの花びらが舞って、その先には美しい緑の平原が見える。
目を天に向ければ真っ青に澄み切った青空。ぼっーとしていると、ふいに肩をノン吉に掴(つか)まれた。

「天辺まで来たから降りるぞ」

ノン吉はいつの間にか、七色に輝く素晴らしく大きな羽を出して飛んでいる。

「ふわぁ~ッ、俺、天国に行ったみた~い!」

「気に入ったようだね」

何度も何度も頷(うなづ)く。

「次はあたし達よー」

三人は仲良く手を繋いで竜巻の中に入って行く。くるくる回転しながら騒いでる。

「きゃぁーきゃぁー」

「面白いでやんすー」

「くわーくわー」

「ノン吉兄貴、本当にあの三人は仲良しなんですね」

「子供の頃から、ああして遊んでいたんだってさ」

「いいですね」

二人が話しているうちに、天狗達が仲良く帰ってくる。

「ふーっ。竜巻遊びは、やっぱ面白いね!」

「本当!ノン吉に久しぶりに言われてやったけどいいものね」

「ぐーてんもそう思うでやんすよ」

「よーし!これから皆で入って、パン食い競走しようぜ」

「わーい」

「これからパンを竜巻の中に一個だけ入れるから、それを皆で取りっこするんだ。
俺の合図でパンを離す、皆で三つ数えて取りに行く。捕まえた奴の勝ちだ!

途中で羽を出すのはだめだからね。今回は桃吉に合わせるから、皆わかったぁ?」

「わかったー!」

五人は竜巻の中で円になる。合図と共に大きな胡桃パンをノン吉が離す。
胡桃パンは、ゆらゆらしながら昇って行く。


「いーち、にーい、さーん、行くぞー!」


「わーッ!」


子供のように歓声を上げながら胡桃パンを皆で追いかける。
胡桃パンはあっちにふわふわ、こっちにフラフラと少しも行方が定まらない。

捕まえようとしたぐーてんが桃吉とぶつかったり、さーてんがノン吉の足を引っ張ったりする。うーてんがその隙に捕まえようとしたがすでに遅く、パンは天辺に到達してしまった。

パンが竜巻から外に放り出されると、うーてん達もその後を追いかけて放り出される。
竜巻の外でパンを取ったうーてんは残念そう。

「うーてん、後少しだったのに・・・」

五人はやり直す事に決めて竜巻の中に戻る。
夢中になって何度もしている内に竜巻の回転が弱くなっていった。

「このままだと消えちゃうから、もっと速くして大きいの作ろうよ」

うーてんは楽しくて仕方ない。
今度はノン吉も混じって羽ばたき始める。

さすがに『天翔け』のノン吉が入って作る竜巻は、三人だけで作るのとは桁が違う。
あっ、という間に高さが五十メートルもあるような巨大な竜巻になった。




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第六章 天翔猫 竜巻あそび2

前回

ノン吉の提案で、三天狗達と竜巻あそびに夢中になった桃吉は、楽しくて仕方なかった。
竜巻はどこまでも、ふわふわとゆっくり回る。花びらが舞いながら上に昇って行く様子は美しく、いつまでも飽きなかった。
三天狗は童のように、はしゃぐ姿は愛らしく、桃吉も知らずに童心に返っていた。




はじまり、はじまり





「わぁッー!凄い大きさだあーー!!」


桃吉は今までとは比べられない程の大きさに興奮する。

フガフガフガ


「ひゃーッ、でかい!でかいでやんすー!」


「やっぱ、ノン吉は羽ばたく速度が違うからすごいのが出来たわよ」

「へへ。ちっと張り切っちゃったかな?そう言えばもうお昼だぜ。なぁ、ご飯食べてからやんない?」

「さんせぇーい!!」

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dogyonabe.jpg

「ぐーてん、朝から何も食べてなかった」

「あたしもだわ、楽しいから忘れてたわ」

「うーてんもお腹ぺこぺこだよ」

「じゃ、今日は外で食べようよ」

ノン吉は竜巻の影響がない場所を選ぶと皆を呼ぶ。

「こっちにおいでよー」

石を組むとそこに火を熾(おこ)し始める。
ポケットから鍋を出し、うーてんに水を汲んで来るように言付ける。

水が一杯入った鍋に乾燥した野菜や米を入れようとする。

「ちょっと待ってぇー。あたし、お土産に泥鰌(どじょう)をたくさん持って来たのよ、忘れてたわよ」

「そしたら泥鰌鍋だな。まま子池の泥鰌は骨も柔らかいから美味しいぞー」

「ニャーぁ」

桃吉はすでに涎を垂らしている。(またタラシテる)

「ぐーてんも沢山、お野菜持って来ているでやんす」

「よーし、持って来てくれー!」

ノン吉はぐーてんが持って来た、ネギを見事な包丁さばきで千六本にしていく。

「牛蒡は笹掻きにしないとな」

皆、わくわくしながら見ている。

「ノン吉はお料理上手だよね」

「うーてん、ノン吉の作る料理、全部好き」

「俺は兄貴がこんなに何でも作れるなんて知らなかったです」

「ぐーてん、ノン吉のコーンポタージュ大好き!」

「きゃ~、あたしも好きよ~。」

ノン吉は忙しく泥鰌鍋を作っている。
酢を入れて作った熱湯を、よく洗った泥鰌にさっとかけて、ぬめりをとる。

今度は別の鍋に水を入れて沸騰させる、笊(ざる)に上げて置いた泥鰌を入れる。
灰汁を良く取りながら、笹掻きした牛蒡を入れる。

醤油と味醂を入れて味を決めると一煮立ちさせて蓋をした。
鍋の周りに皆が集まる。

「い~ぃ、匂いーぃ」

「堪んないよー」

「ニャーぁ」

「くわー」

「うるさいね。ほら蓋を取るから皆、邪魔だよ」

ノン吉は蓋を開け、千切りしたネギを入れる。

「はい、出来ましたよ。よそるから皆、並んで」

「はーい!」

素直に返事をして並ぶ。おわんにたっぷり盛られた泥鰌鍋にうっとりとする。

「頂きまーす」

「いっただきまぁーす!」

仲良く返事する処は子供のようである。

桃吉は、『美味しい泥鰌鍋』に『楽しい仲間』と一緒に食べる食事に心から満足した。

「美味しいわねぇ~」

さーてんが言うと揃って頷(うなづ)く。泥鰌鍋が空になると皆のお腹は満腹になっていた。

「ふわぁー。ぐーてんお腹ぽんぽこりんでやんす」

「あたしもこんなに食べたの久しぶり・・・」

さーてんもぐーてんも横になって寝てしまう。

うーてんと桃吉は、すでに鼾(いびき)を掻いている。

グゥ~スゥ~グゥ~

「しょうもねえなぁ~。でも、まッいいか、、、俺も少し寝るかな」

ノン吉は、だらしなく寝ている四人の間に入るとすぐに寝てしまった。
陽は高く、ほかほか暖かい。

巨大な竜巻からは、距離があるので強い風もここには来ない。
五人揃って、心地よい春風に頬を晒(さら)しながら気持ちよく寝ていた。

お日様が中天より傾いた午後の三時頃、桃吉が目を覚ました。

「ニァぁ~!良く寝たなぁ」

気持ちよく背伸びをしたり、うーてんが持って来た桜水をごくごく飲む。
周りの天狗達やノン吉はまだぐっすりと寝ている。

竜巻を作る為に普段より力を入れて羽ばたいただろうし、ノン吉は何度も桃吉を竜巻の上空から降ろしている。

桃吉はくるくる周って遊んでいただけだから、他の者とは疲れの度合いが全く違う。

「まだ皆寝てるね。疲れちゃったんだ・・・本当は年寄りの爺様ばかりだもんね、ふふ。あッ、そうだ!大竜巻を見に行こーっと」

皆を起こさないように静かに駆け出すと、恐れも無く大竜巻に近づく。




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第六章 天翔猫 竜巻あそび3

前回

竜巻遊びで沢山遊ぶと、お腹がペコペコになった。
お腹が空いたと誰かが云うと、ノン吉はさっそく、シェフに早変わりする。
さーてんが持参したまま子池の泥鰌、ぐーてん持参の野菜。桃吉は食べるのが始めてだったが、ノン吉が腕を振るった泥鰌鍋はとても美味しかった。何より、皆で食べることが格別だった。
お腹が一杯になった五人はゴロゴロと眠ってしまう。
だが、桃吉だけが先に目覚めた。
なんの警戒心もないまま、フラフラと大竜巻に近づいて行くのだった。




はじまり、はじまり





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ootatumaki.jpg

「ふわぁーッ!そばで見ると凄い迫力だなぁ」

大竜巻は悠然と回転運動をしている。音が殆ど感じられないので、一瞬止まっているように見える不思議な感覚に桃吉は、迷いが生じた。

「ちょっと試してみようかな~、大分遊ぶのにも慣れたからいけるかも知れない!」

自分が普通の猫である事を忘れ、暢気(のんき)に大竜巻の中心に入ってしまった。


「うわッ、うわッ、うわーーーッ!!」


前の竜巻とは全く違う、凄まじい回転速度。体に当たる風の衝撃に声も出ない。
運の悪い事に桃吉が大竜巻の中心に入った事により、大竜巻の軸がぶれた。

最初はゆっくりとした速度で動き出す。
ノン吉達が寝ている方向なら良かったが、正反対の方角に進む。

進む度に巻き上げる草はもの凄い量、桃吉は息も絶え絶えになる。
大竜巻は勢いを増して走り出す。あっ、という間に竜巻平原を越えて行ってしまった。

ノン吉達が起きた頃、辺りはすっかり暗くなっていた。

「やぁー、えらい寝ちまったよ」

「うーてん、熟睡してたよ」

「あたしなんか夢も見なかったわよ」

「ぐーてん、土の中じゃないのに、熟睡出来たの久しぶりでやんす」

背伸びをしたりして眠気を覚ますとノン吉は、皆に桜水をコップに注いでやる。

「喉乾いたから桜水飲もうよ」

「あれ、桃吉は?」

「厠(かわや)にでも行ってるんじゃないの?」

「あいつ、はしゃいでいたから疲れたろうね」

「ぷぷ、桃吉ってかわいいね」

「だろう?素直に喜ぶし、驚くし、一緒にいると面白いのよ」

「ノン吉がうーてん家に、誰か連れて来るの初めてだもんね」

「そうかな?」

「そーだよ」

「それに、ぐーてんやさーてんに紹介するなんてのもね」

「何だかあたし、、、ちょっと気になるから見てくるわ」

「なんでよ?」

「だって、なんか嫌な気がするのよ」

「嘘だよ」

「いいから、皆もついて来て」

さーてんの真剣さに皆も半信半疑だったのが慌ててついて行く。


「ちょっとー!大竜巻がないわよッ!」



「あ"っ」




誰も声も出ない。暫く沈黙が続いてノン吉が口火を切る。

「あいつ、、、もしかして、、、一人で勝手に大竜巻の中に入っちまったのか?」

「違いない!大竜巻の軸がぶれたんだよ」

「うっかりして、竜巻の足を止めておかなかった!」

「作ったまんまにして置いたでやんす」

さーてんとうーてんが羽ばたき出す。

「お前等は夜目が利かねえから無理だよ、俺が行く。ぐーてんは利く鼻で桃吉の匂いを追ってくれ!」

「わかったでやんす」

ぐーてんは普段のおっとりした仮面を脱いで、凄い勢いで大竜巻の通過した跡を追う。

「あたし達はそれじゃ、子分達を使うわ」

「そうするよ」

「じゃ、俺も行ってくるわ!」

ノン吉は大竜巻の通過した後を上空から追いかける。
さーてんとうーてんは近場にいる子分を呼び出し、大竜巻と中に閉じ込められている桃吉の特徴を言って探すように指令を出す。イライラしながら、二人の帰りを待つ。

「遅いわね」

「うーてん、どきどきするよ。あの竜巻、大きかったから、きっと凄い回転速度だった筈だよ。桃吉、ちゃんと息出来たのかな、、、」

「変な事言わないでよ!」

「だって...」

その時、窓をノックする者がいる。びくっとした二人が振り返るとうーてんの子分の煤煙坊(すすけむぼう)がいる。体長は三十センチ程の小さな小天狗である。


「御注進、御注進」


「びっくりしたよ。もう少し静かに言いなさい」

「うーてん様、調べて参りました」

「どうだったの?」

「へい、どうやらあの大竜巻は河童流れと云われる急流の皿流し川を越えちまったようです」


「なんだってぇーッ!」


二人とも絶句する。絶望的だった・・・
竜巻が因りにもよって川を越えたという事は、越える時に大量の川の水を吸い上げる。

それは巨大な水柱と化すのである。桃吉がかろうじて呼吸が出来ていたとしても、川の水が吸い上げられた事によって息が出来ずに溺れる事になる。

ノン吉に伝える言葉が見つからなかった。

「どーしよーッ、うーてんわかんないよー!さーてん考えてよー。」

「あたしだって、何て言えば良いのよ!?」

「ノン吉の大事な弟分なのに・・・」

「・・・・・」

二人は結局、煤煙坊から伝えさせることにした。
暗い沈黙を続けていた二人は桃吉の楽しそうに笑っていた顔を心に浮かべていた。

ドアを開けて、ぐーてんが泥だらけで入って来た。





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第六章 天翔猫 竜巻あそび4

前回

心地よい午睡から目が覚めた四人を待ち受けていたものは、桃吉の失踪だった。
黒々とした大竜巻の後を見て、暢気な桃吉が巻き込まれた事を知る。
手分けして必死に探す四人。




はじまり、はじまり





「わあ」

「きゃーッ」

「驚かして悪いでやんす」

「ぐーてん。なんで土くらい払って来ないのよ!お掃除大変でしょッ」

「いいから、そんな事どうでもいいから、ぐーてんどうだったの?」

「ごめんでやんす。土払ってくるでやんす」

「もぉー、そんな事どーでもいいから教えてよッ!」

「そんじゃ、話すでやんす。ぐーてん、桃吉の匂いだけを便りに追ってみたでやんす。敢えて竜巻は無視したでやんす。

大竜巻は皿流し川を越えて益々巨大化したようでやんした。そのまま大きな痕跡を残して対岸に渡ったようでやんした。対岸に渡ってみると桃吉の匂いはそこで消えたでやんす」

「きゃーッ、やっぱりよーッ!」

「さーてん、まだ続きを聞くでやんす!それでしばらくは対岸の匂いを嗅いでいたでやんす。
鼻を空に向けていたら一瞬桃吉の匂いがしたんでやんす。

それは川下からだったような気がしたでやんす、急いで川下を探したでやんす。
近づくに連れて匂いが段々強くなっていったでやんす。確信を持って探してると匂いの元に辿り着いたんでやんす。

そばに近づいたら小さな岩でやんした、桃吉でなかったでやんす」

「なんと!?」

「小さな岩ってどういう事よ?」

「ぐーてん、目が悪いからよくわからないでやんすが、桃吉の死体ではないでやんす」

「ぐーてんありがとう。陽が高くなったら今度はさーてんとうーてんの出番だよ」

「そうよね、そうよ。あたし達の目で探すわ!ぐーてんは少し休んだほうがいいわ」

さーてんが甲斐甲斐しく、ぐーてんにお茶を上げ、うーてんは濡れて泥だらけのぐーてんの為に、お風呂の用意をし始めた。

それから三時間程も経つと空も白々と明け始めた。
まんじりともしないで三人は長い時間を過ごしていた。

ドアが疲れた訪問者を部屋に誘(いざな)う。
疲れた切った顔をしたノン吉が、羽を仕舞うのも忘れて戻って来た。

その姿を見て三人は言葉を無くした。今まで見た事も無いノン吉の哀れな姿だった・・・

「ノン吉・・・」

「うーてん・・・さーてん、ぐーてん・・居ないよ、、、桃がいないよ、、、」

三人はノン吉を抱え込むようにしてソファーに座らせ、夜露に濡れた体や羽を拭いたりして、忙しく世話をした。落ち着いたノン吉に、煤煙坊やぐーてんからの報告を知らせると、ノン吉も少しだけ元気を取り戻した。

「今から、ぐーてんに案内をしてもらってその場所に行ってみよう!」

三人は大きく頷(うなず)き、ぐーてんを先頭に飛び立った。もの凄いスピードで飛んで行く。
目が良くないぐーてんは鼻を始終くんくん利かせて飛んだ。

空は朝焼けで空気が薄ピンクに染まっている。
眼下には、移動しながらそこら中の木や草を巻き込んで、巨大化していった大竜巻の痕跡がありあり残っている。

ノン吉達は凄まじい物を作ってしまった後悔と、巻き込まれた桃吉の事を思い暗澹(あんたん)たる気持ちになった。責めてもの救いは皿流し川の周辺には、村も何もない事が慰めだ。

ぐーてんは僅(わず)かな匂いを便りに川下を下っていく。

「あッ、あっ、あそこだよ!」

指差した場所は小さな岩だった。とても小さな岩なので、ノン吉だけが降りた。

「・・・うん、、、あれ?」

鋭い爪痕(つめあと)と薄桃色した毛が何本か岩に張り付いている。

挿絵参照↓↓↓   絵をクリックすると大きくなります
momoinai.jpg


「桃吉・・・お前、この川に、、、」

心配そうに上空でホバリングしている三人に向かって叫んだ。

「桃吉の爪痕と毛があったよー」

三人のそばに飛んで行く。

「桃が川に入ったのは確かなようだよ」

「うーてん、考えたんだけど。多分、桃吉は大竜巻が水を吸い上げた時に天辺から放り出されたと思う」

「俺もそう思うよ」

「元気だしてよ!ここまでは生きていたのよ、きっと生きているわよ!」

「さーてん、無理な事言うなよ。あいつが大竜巻の中でなんとか生きていたとしても放り出された先がこの川だぜ・・・河童でさえ溺れる、、、」

目の前には、木の葉さえ浮く事が出来ずにゴンゴン流れていく急流。
白く煙るように岩に当たる川の水が、桃吉の生存は絶望だと嫌が応にも突きつける。

「皆、ここまでありがとう。死んだとしたら、桃は一人迷っているに違いない。この世界に不案内な桃をせめて魂納めの宮に連れて行ってやりたい」

「何言ってるの!絶対に生きてるよ!諦めないでッ!うーてんも探すから!」

「あたしも!」

「ぐーてんもお役にまだまだ立てるでやんす!」

「だってよぉ・・・」

「ノン吉は忘れてる!桃吉は、うーてん達にも大事なお友達なんだよッ」

二人も大きく頷く。

「いいのかよぉ」

「あったり前でしょうが!何でも良いから探してみようよッ!」

「そうでやんす!この川には違いないでやんすから」

「ノン吉、行こうよ!」

「わかった、探してみよう!」

勢いよく飛び立ち、皿流し川を下って行った。






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