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第四章 藤平と三吉 三吉軍団1

さんさんと降り注ぐお日様のように、三吉と子猫達は明るく元気いっぱいである。
大きな声で歌っている


♪泣く子も笑う五ぉ黄様~

脇を固める藤平様♪

天翔(あまが)け猫のノン吉にぃ~

この世の理(ことわり)知る茂吉~♪



「よぉーし。今日は五黄城のお加奈姫のご病気見舞いと、父ぉちゃんからの密書を託された。今までにない大仕事であぁ~る」

「ニャぁに?」

「三吉兄ちゃん、ニャに言ってんの?」

「ニァぁ」

「何でもいいのぉ~お前達の出番は返事とかけ声なんだから。わかったあ?」

「わかったぁぁ~」

子猫達は一斉に返事をする。子猫達はしごく三吉には素直である。

「これから任務遂行の為に布陣を変える。
大将のおいらが魁!(さきがけ)次が小吉、次がお種、殿(しんがり)が島吉」

「兄ちゃん、しんがりってなぁに?」

「しんがりっていうのは、最後まで味方を敵兵から守って討ち死にするのょ」

もの凄いことを云う三吉。

「へぇ~ちゅごいなぁぁ」

「だろ。本当はおいらがやりたいけど、大将は討ち死にする訳いかないもの」

「あたいがやる」

「ニャアにゃぁ」

「お種や小吉はだめだょ。島吉みたいに大きくないし」

「おいら、しんがりして討ち死にするんだ」

島吉は大役を任されてごきげんになる。

「大将の命令には絶対に逆らってはいけないんだから」

「あぁーぃ」

「今回の作戦は、のけのけ作戦だ」

「ふぅーん」

「最初に、きゅうりイボイボ林を抜ける。それからとうもろこしヶ原を突っ切る。迷子になるなょぉ、最後が一番厳しい正念場だ!」

三吉は子猫達を見回す。

「ドキドキちゅるね」

「最後は底なしの稲穂沼だ!お前達には出来る!いいかぁ~わかったかぁぁ? よぉーし!えいえい


「ニャー!!」


子猫達も負けずに鬨(とき)の声を上げる。

「三吉軍、出発進行ぉぉ!」

三吉と子猫達はわざときゅうり畑に入り込み、新鮮なきゅうりの棘に大騒ぎしながら出て来る。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
kyuri.jpg

「敵の攻撃にひるむニャぁ!
とうもろこしヶ原の敵兵は背が高いから足下を矢のように素早く駈け抜ける。行くニャーッ!」

「にゃぁーっ!」

三吉の難しい言葉を理解しなくても十分に楽しんでいる。
あっという間にとうもろこし畑を走り抜けた。

「よぉーし。よくやったぁ~!ここいらで人数を確認する。呼ばれた者は返事をするんニャー」

「お種」

「はぁ~い」

「よーし、小吉」

「ニャぁー」

「いいぞぉ~、最後は殿の島吉!」

「はーい」

三吉は満足そうだ。

「いよいよ、正念場だ!覚悟はいいかぁ?稲穂沼には恐ろしいオタマジャクシ軍がうようよしている。そこを一気に駈け抜けなくてはならない。島吉は殿だから、お種や小吉を助けながら行かなくてはならない。
まず、魁のおいらが様子を探る。合図の後に稲穂沼に入れ!」

「わかったょ、兄ちゃん」

三吉は用心しながら緑豊かな水田に入って行く。ずぶずぶと踝(くるぶし)が埋まる。
意外に深いので驚く。力を入れて足を前に出す。その度にずぶずぶと足が沈んでしまう。次の足を出そうとしても泥の粘りがまとわりついて離れない。
どうにもできなくなってしまい、さっきの威勢はどこえやら。

「オタマジャクシ軍にやられて、動けないニャぁー!むっ、無ぅねぇぇ~~ん」

子猫達も三吉の異常に気づいてニャアにゃぁ大騒ぎをする。


「兄ちゃんが討ち死にしている」


「ニャぁー!」


「兄ぃちゃぁーん」



子猫達の大声に畑に居た大人達がよってくる。
何枚も先の水田で田植えをしていた者も大急ぎでやってくる。(ド-シタ、ドーシタ?)
三吉はあっという間に大人達に助けられ、大目玉をくらった。
しょげた子猫達はトボトボ歩きながら、泥だらけの三吉を気遣う。

「兄ちゃん、怒られちったね」

「あそこの沼はおいら達の手に余るなっ」

三吉は少しもへこたれない。

「ちょーだょ」

「仕方ないが作戦変更をする」

「まだやるのぉ?」

「やりたいとこだが、おいらは川で足を洗わなきゃならないし、疲れちゃったし、今日はご用があるし」

三吉はジャブジャブ足を洗いさっぱりすると元気になった。




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第四章 藤平と三吉 三吉軍団2



「五黄城までかけっこするぞぉー!」

「わぁーい」

「行くニャァ~」

「にぁあ!」

五黄屋敷に行くには橋を渡る。この村は大変に便が良く、行き来も多い。
三吉と子猫達は賑やかに歩いている。

♪にゃんニャコ~ニャンニャン♪


「荷鹿車が通るよー、危ないよーっ」


「あっ!弥吉兄ちゃんだぁ」

「兄ちゃーん」

「兄ニャ~ン」

「ニャニャア」

挿絵参照  絵をクリックすると大きくなります
sikashatoyakichi.jpg

三吉も子猫達も喜びいさんで近づく。弥吉と云われた四毛猫はニコニコしている。五黄の屋敷には、捨て子で拾われても大切に育てられるので、気立てのいい者が多いい。

大人に成るとたいがいは屋敷を出ていくが、そのまま手伝いをしながら住み着く者もいる。その内の一人が弥吉である。三吉達が来ると弥吉は荷鹿車を止める。

「あんまり近づいたら危ないって言ってるだろ?」

「えへへっ弥吉兄ちゃん、今度はいつ帰るの?」

弥吉はこの村の米や野菜などを運ぶ仕事をしている。

「十日も先かなぁ~、今回は荷が多いいもの。三吉はお加奈のお見舞いかい?」

「そだょ。おいら達、お加奈に飴玉やるの」

「そっかそっか。あ、お加奈の熱が下がったって、さっきお米ちゃんが言ってたよ」

「ホント?良かったぁぁ~。弥吉兄ちゃん、教えてくれてありがとう」

「いいってことよ、じゃあな」

弥吉は大鹿に声を掛ける、大鹿がノロノロ動き出す。三吉達は次の荷鹿車にも、次の荷鹿車にも声を掛けて見送る。

「いってらしゃぁぁーい!」

都合十台はあっただろうか、大変な量になる。

三吉と子猫達は、この時間をとても気に入っている。大鹿も見れるし、弥吉達がたまにお土産だよと言って、きな粉飴をくれるからだ。何よりお加奈が小さいので迎えに行くという日課も楽しい。

三吉や子猫達は五黄屋敷にいる子供達とは歳が離れすぎて遊んでもらえないのである。今はお加奈以外に小さい子がいない。三吉達は荷鹿車を見送ると駆け出した。

五黄屋敷は寺の山門のような立派な正門と普段使い用の門と二つある。普段使いの門は簡素でいつも開け放してある。
三吉達はいつもそこから出入りをする、そこはいつも賑やかで楽しい。
女達が川から引いた水場で野菜を洗っていたり、男達が荷車に荷を積んでいたりする。

藤平も忙しく男達や女達に指図をしている。
三吉と子猫達は、元気よく皆に挨拶をすると一目散に井戸に向かう。
橋から頑張って駈けって来るのは、喉をカラカラにして飲む井戸の冷たい水が美味しいからだ。

大人にせがんでポンプを上下してもらうと冷たい水がバシャバシャ出て来る。
ニャアニャア言って三吉と子猫達は喜んで飲む。
いつもなら、お加奈は子猫達の声を聞きつけて喜びいさんでかけて来る。

今日は藤平が三吉に声をかける。

「三吉、今日はお加奈のお見舞いかい?」

「はい、おじちゃん。でも今日はそれだけではないのです」

「何かな?」

「父から事ずかって来ました!」

「そうかい、何かはわからないが、先にお加奈のお見舞いを済ませておいで。お前には礼儀も教えていないのに関心するよ」

「おいら、猫見て判断するから」

「?・・・・・」





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第四章 藤平と三吉 三吉軍団3

藤平に許可をもらったので、一目散にお加奈の居る子供部屋に向かう。(ニャ~ぃ)
子供部屋に行くには大台所を通る。

「足をきれいにお拭きなさい」

優しい声でお米が三吉達に声を掛ける。まだ十五なのに良く屋敷の手伝いをする。とうに遊ぶのを卒業した屋敷の子供達の一人だ。お米に足を拭くのを手伝ってもらいながら、弥吉にお加奈の熱が下がった事を聞いたと伝える。何故かお米の顔が赤くなる(ポッ)三吉は目ざとくお米の変化を見ると囃し(はやし)立てる。

「お種ぇ、島吉ぃ~、小吉。今、お米姉ちゃんの顔が赤くなったのお前達見たかい?」

「あら何を言うの」

「赤ぁぁ~ぃ」

「まっかっかぁ~ぁ」

「ニャアニャア」子猫達まで囃し立てる。

「姉ちゃん、怪しいね」

「あゃちぃぃ」

「あやち~」

「ニャアぁ」

黙りそうもない子猫達を前にしてお米は途方に暮れている。

「こらぁ、またお米をからかってぇ」

怒りながら、ここ一番の古株のお滝がドスんドスんとやって来る。お滝は屋敷の家内を任されている、横幅と身長が同じに見える程肥えている。たまに藤平にも生意気を云うくらいの怖い者知らずである。お滝に怒られて、三吉と子猫達は舌を出している。

「お加奈のお目めが開いてるよ、行っておあげな、そのかし静かにおしよ」

「はーい」

三吉と子猫達は急いで子供部屋に行く。襖を開けるとお加奈が布団に横になっている。
明るい日差しが障子を透かして入っている。遮るように大きな衝立てが置いてある。目をパッチリ開けてこちらを見ている、小さなお加奈。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
okananomimai.jpg

世の吉に聞いて納得はしていても、母親に看病をしてもらえないお加奈が可哀相で三吉はお加奈を見ると叫んでいた。

「お加奈ー!」

「かニャぁぁー」

「かニャー」

「ニャア~」


返事をするお加奈。

「ニャアニャア」

「お加奈はもうお熱が下がったんだって。もう少しだけ寝ていようね」

「ニャア」

「お加奈が大好きな飴玉持って来たからね」

「あたい、お加奈のそばに居る」

「おいらも」

「ニャぁ~」

「そうだね、少しなら怒られないだろから。それにおいら藤平のおじちゃんに御用もあるから終わったら迎えに来るよ。お加奈、又来るからね」

三吉は襖を閉めると少し泣いた。わかってはいても、親が子供を捨てるのはいけないと思った。
貧乏でも絶対に一緒に暮らすべきだと三吉は一心にそう考えた。三吉は勇ましく、藤平の居る場所を探す。ウロウロ探している内に渡り廊下を渡って母屋に入った。高い天井に大きな柱、古くて威厳のある部屋に圧倒され、元気な三吉も心細くなっていく。

「あれ三吉、どうしたの?藤平様はお待ちだよ」

表の用を任されている草助だった。

「どこにいるの?おいら余りお屋敷が広いから迷っちまったの」

「泣かないだけ、えらかったよ。屋敷の子でも迷って泣くもの」

「へへ。でも、おいらも心細くて泣きそうだったよ」

「ふふ、さっおいでよ」

草助は厳めしい母屋を通り過ぎて、三吉の知らない渡り廊下を歩いて行く。着いた先は美しい洋館だった。重々しいドアを開けると明るいホールになっている。






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第四章 藤平と三吉 三吉の秘密1

高い天井にはシャンデリヤが下がっている。
驚いている三吉を引っ張るように手の込んだ寄木細工の廊下を歩いて、一番奥の部屋に連れて行く。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
toubeiyoukan.jpg

コンコン

「藤平様、草助です」

「お入り」

広さは二十畳程だろうか、とても明るい部屋だった。
窓には色とりどりの透き通ったガラスが嵌め込んである。
外の景色も見えて気持ちいい。
置いてある調度品の数々は、どれも珍しく美しかった。

「藤平の父ちゃん、あっ、いけないッ、藤平様。三吉をつれてきました」

「ふふ、ありがとう草助。それからこれをね」

草助は藤平からきれいな箱を預かるとドアを閉めた。

「三吉はお加奈に会って来たのかい?」

藤平は眼鏡を外し読んでいた本をテーブルに置いた。
これまた手の込んだ象眼細工のテーブルは、キラキラとして美しい。

「ここにお座り」

勧められた椅子は美しい花柄が刺繍されているゴブラン織りの長椅子。
おどおどして中々座れないでいる三吉を抱えるようにして座らせる。
満足げに三吉を見ている。

「どうしたんだい?借りて来た猫だよ」

「おいら、じゃなくて僕は・・・・」

「三吉や、おじちゃんはね、お前みたいな小さな子に、難しい口を利きなさいなんて言わないよ」

「えっ、そうなの?」

「当たり前だよ。そんなことはお米くらいの歳に成れば自然と出来る事なのだよ。そりゃたまには先ほどの草助のように幼いときの癖が出るくらいなもの。だからそんなことは気にすることもない。

今のお加奈に話しなさいと言っても、ニャアニャアと言うだけ。歳相応に覚えていけば良いことなんだよ。
無理に難しい言葉を使うことなどありはしない。今することは、毎日を楽しく遊ぶことが一番なのだからね」

「へーぇ、気が楽になったよ」

「お前はどこでそんな言葉を覚えるのかね?」

ニコニコしている。

「大人が言ってるのを覚えておくの。でも、いつでも使うとおかしいでしょ?だからどんな時に使う言葉かも一緒に覚えるの」

「ふふ、楽しい子だねえ、もう読み書きは出来るのかい?」

「う~んと、ひらがなやカタカナは出来るよ。だけど漢字は少しだけだよ」

「驚いたなぁ、まだお前は六つだろうに」

「お加奈が一年前位にもお熱出したでしょ、その時にお米姉ちゃんが皆にご本を読んでくれたの。すごく楽しかったから、もっと読んでって言ったの、でも忙しいから今度ねって。でもおいらはその先も知りたかったし、部屋にある他のご本も読みたかったの」

「へー、それで字を覚えたのかい」

「そうなの。今はお加奈を送りながら、ご本を借りてお家に帰るの。でもほとんどのご本を読んでしまったから、おいらは困っているの」

「子供部屋の本を全部読んだのかい?」

「そうだよ」

「へー、三吉はすごいねぇ」

「すごいかな?」

「ああ、大したものだよ」

「へへ、おいらおじちゃんに褒められちった」

「いいもの上げよう」

藤平は菓子箱から薄桃色したお饅頭を差し出した。三吉は受け取らなかった。

「どうしたのだよ?甘くておいしいよ」

「おいらだけかぃ?」

「違うとも、草助に半分持たせてあるから、ちび達は今頃食べているよ。自分だけ食べるのは嫌かい?」

「うん、嫌だ。それに、おいらだけ食べて皆のとこに戻ってみなよ、お種なんか甘いの好きだからすぐにわかるよ。
だからそんな卑怯なことをしたら、大将の威厳がなくなっちまうもの」

「三吉は大将なのかい?」

「そうだょ。今日はちびのお加奈が居なかったから戦をして来たんだ」

「誰としたんだい?」

「きゅうりイボイボ軍にとうもろこし畑のノッポ兵だょ。戦いはおいら達が優勢に進めていたんだけど、稲穂沼でオタマジャクシ軍のドロドロ攻撃にあって、魁(さきがけ)のおいらは討ち死にしちゃったんだ」

藤平は三吉のキラキラと動く目を見ながら感心するばかり。

「それは残念だったのぉ。だけど大将なのに魁なのかい?」

「今は猫手不足なの」




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第四章 藤平と三吉 三吉の秘密2


「あはは。そう言えば三吉は私に用があるのだろう?」

「あっ、そうだった!すっかり忘れていたょ。あのね、父ちゃんから云われたのは、ノン吉おじちゃんが旅に出ました」

「ノンが?仕方もない奴だね。旅に出るならひと言、言えばいいものを」


「それから、桃吉兄ちゃんを連れて行くって。あーっ!おいら大変なこと忘れてた!!


三吉は心底慌てて、今にも走り出しそうにしている。

「私に話してご覧よ、それから出かけてもいいだろう?」

「うぅン・・・でも、おいらがしたことは藤平のおじちゃんにすまないもの・・・」

「あれ?私にすまない話なら尚更聞かせておくれ」

「でもぉ・・・」

「怒ったりしないよ、おじちゃんは嘘は言わないよ」

「うん。わかったょ!おいらね、、、」

「ああ、遠慮しないで話しておくれ」

「おいら、前からお加奈の親を捜していたんだ」

「えっ!?」

「おじちゃん、ごめんょッ。
おいらは五黄のおじちゃんと藤平おじちゃんがお加奈の育ての父ちゃんだって知っているのに・・・

いけないのはわかっていたんだけど、今日みたいにお熱出して寝ているお加奈を見るとさ、お加奈には面倒みてくれる母ちゃんが居ないのが可哀相で、可哀相で仕方なかったんだょ。

おいらやお種、島吉や小吉にも母ちゃんがいるのに、一番小さいお加奈に母ちゃんがいない・・・わァーー!


三吉は泣きだした。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
toubeikomaru.jpg


ニャゃーン、ニャゃーン


目を真っ赤にし鼻水をすすり泣きながら話す。

「そいでね、おいらはね、いろんな大人に尋ねたり、桃吉兄ちゃんにも探してくれって・・・


ニャぁーーン、ニャぁーーン


ニャのにニャのにッ、父ちゃんの唐変木はお加奈の母ちゃん知っていてさ。あんなにおいらは訊いてたのに、ひどいんだよぉぉーッ!」

「あれあれ、三吉。お前という子は・・・なんとまあ、こんなに可愛い子に苦労をさせてしまったね。おじちゃん、三吉に心底謝るよ」

「おじちゃん、怒らないの?」

「怒るどころか三吉に申し訳なくてね・・・おじちゃんは大人の都合ばかり考えていた、とんだ愚か者だった。三吉に教えられたよ。お前は父ちゃんからお加奈の親のことを全て聞いたんだね?おじちゃんはお加奈の母親が、商いで自立することだけを考えていたのかもな。

一番大事なお加奈の心にまで目がいかなかった・・・何不自由のない暮らしをさせているという私の奢りが目を曇らせていた。何不自由のない処か一番大事なことを不自由にさせていた。お加奈に『母親』を・・・お紺には『幼子』を・・・商売人の前に母親なんだよな、お紺はお加奈の母親なんだよな。

何も行商なんかさせずともこの屋敷に住まわせても良かったし、村に店を出させてあげれば良かったことなのに。なんと愚かなことよ・・・」

「おじちゃん、大丈夫?」

「三吉や」

「なぁに?おじちゃん」

「きっとお加奈の母親に知らせをして、お加奈が母親と一緒に暮らせるようにするよ。これで馬鹿なおじちゃんを許してくれるかい?」

三吉の顔は、パっと明るくなった。

「いいともさ」

「ああ、良かった。私も心が晴れた気がするよ」

「おじちゃんもおいらと同じに心が痛かったんだよ」

「心が痛い?」

「うん。おいらはお加奈の親を探してあげれなくて、お加奈を見ていると心がチクチクしていたょ。おじちゃんは、おいらとは違うけどお加奈に母ちゃんを会わせてあげることが出来ない、そうしてあげたくてもね。何故なら、出来ない理由があるから。

お加奈の母ちゃんには、子供を二度と捨てないような強い猫になって欲しかったから。おじちゃんは心をチクチクと痛くさせながらもお加奈の母ちゃんに「今は商売人に徹しなさい!厳しい世界を経験しなさい!お加奈の心配はいらないから!」って。そんなだったのかなぁって・・・」

「わたしは、もう何も言葉がないよ、その通りだよ。三吉・・・茂吉がお前が生まれた時に知らせてくれたのは間違いじゃなかったんだなぁ。三吉は茂吉を知っているかい?」

「うん、おいら歌ってるょ」

「歌?」


♪泣く子も笑う五ぉ黄様~

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第四章 藤平と三吉 三吉の秘密3


「久しぶりに聞いたなぁ」

「おじちゃんも知ってんの?」

「ああ。その歌は、ノン吉や茂吉の弟や妹達が考えた歌なのだよ。懐かしいこと」

「ふぅーん。おいらは弥吉兄ちゃんに教えてもらったょ」

「そうかい。処で茂吉が理(ことわり)を知るというのは何かわかるかな?」

「うぅーん・・・よくわからないょ」

「三吉にもわからない事があるんだね。やっと、おじちゃんが教えられる事があったよ、良かった事」

「えへへ」

「三吉や。理というのは難しいことではないんだよ。天の神々様は、大昔、私達に野菜とお魚以外は食べてはいけないとお決めになった。三吉は知っているね?」

「もちろん、知ってるょ、当たり前のことだょ」

「それが大きな意味での理なのだよ」

「ふぅーん」

「この世界の者は、なんであろうと全てがその大きな理の中で生きている」

「うん」

「それともう一つ、小さな理もある。お百姓が米や野菜を作る。漁師が魚を獲る。それを商う者もいる。
小吉の父親は鍛冶屋だし、島吉の父親は豆腐屋だ」

「おいらの父ちゃん、遊び猫」

挿絵参照↓↓↓  画面をクリックすると大きくなります
asobineko.jpg


「これ、そんなことを言うものではない。世の吉はたまには私の手伝いもするのだよ。今にきっと目覚めてくれると私は信じているよ。だって、三吉の父ちゃんだものね」

「えへへ、だといいね」

「さてと。皆は其れぞれの特性を活かした事をして働いてる。だが特性に関係なく、しなくてはならないこともある」

「なあに?」

「親になることだよ。親になって子を育てることなのだよ」

「でも、お加奈の母ちゃんはお加奈を捨てたょ。ここのお屋敷の子供は皆親に捨てられたょ」

「そうだね。だけど普通は世の吉とお陽のようにお前やお種を育てるものなのだよ。
小さな理というのは、『すべき事』『してはならない事』をいうのだよ。

正直に汗水流して働いて、親になれば子を育てる。だけど、残念なことにできない者もいる。どうしたらいいかな・・・三吉ならどうする?」

「えっーと・・・父ちゃんなら猫パンチするょ!」

「父ちゃんでなくて三吉は?」

「おいらなら・・おいらだって猫パンチする」

「そうかな?三吉はおじちゃんに猫パンチしたかな?」

「えっ!?だって、おじちゃんは悪い事してないもの」

「お加奈に親を会わせてあげなかったよ」

「それには、深ぁ~い理由があるもの」

「ふふ、それじゃお加奈の母親を猫パンチするかい?」

「それもできないよ、深ぁ~い理由があったから、仕方なくお加奈を捨てたのだもの」

「そうだよ、三吉。
嘘をついたり騙したりして人を欺く事は絶対に許されない。盗む事も同じだ。
そんな事は誰にでもわかることだね?猫パンチをしてかまやしない。

だけど、お加奈の親のようにどうにもならない事情があって、仕方なく預ける場合もある。道端に捨てた訳でない、私に預けたのだよ。
だけど、私はけっしてお紺にお加奈の親名乗りを許さなかった」

「でも・・おじちゃんも正しかったし、わかんないょぉーッ」

「そんなことはない。お前はいかに子にとって母親が大事なのかを教えてくれた。それも、いろんな人にお加奈の親を探してもらおうとしたり、世の吉の口から聞く事になったのも天の神々様のお計らいだろう。
そして私のような者の目を開けさせてくれたのだよ」





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第四章 藤平と三吉 三吉の秘密4

「えぇ~そうなのかなぁぁ?」

「そうだよ、お前は一度も猫パンチをしてはいないだろう」

「うん。猫パンチはしてないけど、皆で父ちゃんに噛み付いたょ。
父ちゃんはげ斑(まだら)になっちった(ニャヒヒ)」

「あれま、世の吉も災難だったこと(笑)
それにしても、お前の努力の御陰でお加奈は親と暮らせる事になる」

「えへッ、そうかなぁ?」

「それはね、三吉。お前だから出来たことなのだよ。

お前は本も読んだのだろうが、自然にこの世の『大きな理』そして私達がなすべき『小さな理』も知っている。何よりも小さくても大事な理が曲がっていれば正しい方向に、情と理を持ってなそうとする。

お前は姿は六つの幼子に違いはないが、間違いなく『この世の理知る恵み子』なのだよ。
はじめてだねぇ、、、この村にいるのは」

「なんだい?おじちゃん、そのめぐみ子って」

「めったに生まれないのだよ。
この世に神々様が授けて下さるのだよ。私たちに理を知らしめる為にね」

「よくわかんないぃ」

「まっ、いいさ、今日はもうお帰り。お饅頭がまだあるから、これを持って行きなさい」

藤平は先ほどの小箱ごと三吉に持たせた。

「ちゃんと子供部屋に戻れるかい?」

「大丈夫だょ、おいら一回通れば覚えられるょ。じぁね、お饅頭ありがとう!」

いとも簡単にドアを開けて出て行った。

(!)驚く藤平。

「おどろいたね、ドアを一人で開けたよ!草助の開け方を見ていたのだよ。草助だって、今だにわからなくなる時もあるのに・・」

藤平はこの洋館に居るといつもの張り詰めた気持ちが緩むのか、よく独り言を云う。五黄がプレゼントしてくれたこの洋館は、今では藤平の隠れ家のようになっている。

藤平は一人でいる時は五黄を兄さまと呼ぶ。五黄は藤平の事をあっちゃんと呼ぶ。
なんでも幼い頃、ニャアではなく、あーあーと泣いていたからだそうで、藤平をあっちゃんと呼ぶのは、今となっては五黄だけの呼び方である。

「そう言えば、桃吉って誰だろう?三吉に聞きそびれてしまったよ。後で世の吉夫婦を呼ばなくてはならないから、その時にでも聞けばいいかな。ノン吉も困った坊主だよ、頼む事があったのに・・・

それに兄さまは何処においでかな?どうして、あーもふらふらできるのかね。全くあてにならないよ」

藤平は独り言をつぶやくと、応接室を後にした。
お気に入りの書斎には煎れたばかりのコーヒーが待っている。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
toubeishitorigoto.jpg


藤平のコーヒー通は有名で専門書も何冊か執筆している程である。
菰傘には当然、コーヒー豆の農園もある。
藤平がそうなので猫国の住民達も自然とコーヒー好きが多い。今ではそこかしこにCoffee専門店がある。

菰傘の藤平珈琲豆農園では、キリニャンジャロ・ニャカ・ニャンダロン等、多数の豆を産出している。
お薦めは『藤平ブラック』キレのいい苦みと濃くが大評判である。

ノン吉のお気に入りは『父ちゃんブレンド』
毎月、藤平自らがブレンドをする。
不思議と藤平がブレンドをすると三流の豆でも天下一品のコーヒーに変身してしまう。

「さて、今回のブレンドはどうかな?」





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