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時雨のお波 1 おトト


「なぁあ、五斗よぉ~」

「何ですか?」

「お前さ、この頃付き合いがとんと悪いんじゃないの?」

「だって新婚ですよ」

「ニャにが新婚だよ!こぶ付きの上に古年増、その上にもう二年だよ。大概にしなよッ、毛っ!」

「兄ぃー、それ以上言ったら猫パンチをお見舞いしますよ」

「やだねえ~、そんな怖い顔して。俺はお前のことを思うからこその親切心で言ってるのにさぁ〜」

「大きなお世話です!」

「そんな事で好いのかね?あんまり釣った魚に餌を上げていると、母屋を取られる処か、寝首まで掻かれるよ」

「何言ってるんですよッ、そう云う兄ぃはお陽さんのとこに転がり込んだから、元から母屋は無いじゃないですか!それでも、畳のヘリくらいは自分の物になったんですか

「ニャに~?バカ言ってんじゃないよ、あれはお陽が店付きの娘だったし、畳表はつい最近換えたよ」

「ゲッ、相も変わらず兄ぃには皮肉も通じないんだから、、、其れであっしに何が言いたいんですか?」

「だからね、餌なんかやらなくても、気が付きゃ太ってんのよ」

「誰が?」

「嫁だよ、お陽だよ。凄いぞーぉ、餌一つなくてもあれだけデカくなるんだから、ある意味大したもんだよ」

「それで?」

「だからね~、飛び切りのおトトがね~、居・る・の・よウシシ」

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
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毛が生えているんですか?


しっ、しぃーーーッ!デカい声出すんじゃないよ、もぉう~野暮天だよ」

「すいません」

「ほほ、素直でないの~、端からこういかなきゃいけませんてぇの」

「はいはい、そんで?」

「だからね、村外れに空き店があったろ?」

「ああ、この前往生した栗吉爺さんの店」

「その娘ってのがね、ひよっこり帰って来たわけよ」

「へぇえーー、爺さんに娘なんて居たんですか?」

「処が居たのよ、とんでもないのが」

「栗吉爺さんって、猫とは思えぬ不細工でしたよ、その娘って言ったら???不憫ですね、、、」

「バカだねえー『鳶(とんび)がカワセミ』産んだのよ」

「鷹(たか)でなくてカワセミ?」

「一々訂正しなくていいの、全く嫌みな男だよ」

「はいはい、どうせ嫌みですよ、それで」

「とにかく滅多にいないよぉ~あれだけのおトトは」

「今、カワセミだって」

「いいの、雰囲気がわかればいいんだから」

「わかりませんけど」

ぶー!まっ、いいや。俺が唐変木の五斗ちゃんを誘おうとしている処は、べっぴん処よ」

「まんまですけど、何かそそられますねえー」

「だろ?だろ?もうそそられちゃってよー、五斗ちゃ~ん」

「なんか良い匂いしていそう」

「してるよ、してるの、もう止めてーって

うひゃーーー、行く行く行きますッ、

連れてってーッ!


「持ちの論でしょ~、今晩俺が板戸に石投げるから、こそっとお出でよ」

「へいへい、もう楽しみ~。それじゃちょいと、お陽さんに髭結(ひげゆ)いをしてもらおうかな~」

「馬鹿だねえ、お前みたいに祝言以外にすかした事のねえ奴がやってご覧よ?鋭いお陽が勘付くに決まってるわ。全く、俺まで足止め喰うわ」

「そしたら、風呂に入りますよ!」

「当然でしょー、そうそう干物臭いの連れてけないよ」

ぶーーわかりましたよ、そんじゃ待ってますよ~」

「あいよ、そんじゃな」

五斗吉は二年前、猛烈なアタックの末にお紺と結婚した(菰傘便り11)五黄も藤平も喜び、今ではお紺お加奈と仲良く三人で暮らしている。
世の吉はいそいそと家に帰る。

「おっ、客は居ねえな?」

「今、やっと終いになったとこだよー、けど昼からも予約で一杯だよ。何だろねぇ、この頃」

「そんじゃ悪いが俺もやってくれよ」

「何でよ?この前、髭やったばかりだろよ、どうしてよ?」

「やだねえー、耳毛はまだでしょうよ」

「何で耳毛まですんのよ」

「わからねえ奴だねえ、まったくどうも」

「どうせわかりませんよ、怪しいったらないよ!」

「これだからイヤだよ、女の浅知恵はさ」

「はいはい、あたいは浅くて底だらけ。そんで底なしの世の吉兄さんはよ?」

「もう、わかってるね~お陽は」

「バッカじゃなかろうか」

「致し方あるまいねえ、いいか?俺がよ、この色男の世の吉がよ」

「はいはい、そんで」

「見窄(すぼ)らしかったらどうよ?」

「どうって事ないでしょ」

「これだから底だらけはイヤだよ」

「そんで」

「お前ねえ~、云わば俺はここの歩く広告塔なのよ。ね?そんでもって俺が歩けばよ

『あら、世の吉さんっていつも綺麗な色だわ~、一体何処でなさったの?』

『お陽の髭結い床だよ』

『おっ、そこの粋な兄さん!洒落てるねえー、どこで染めなすった?』

『お陽の髭結い床よ』

と、まあ~こうなる訳よ。どうだ参ったか?」

「・・・・菰傘であんたが家のスットコドッコイだって知らない者は居ないけどねえ」

「旅のお方もいるだろが」

「そりゃまぁそうだけど・・・」

「いいから、チャッチャッとやってくれよ」

「わかったわよ、そんでどうしたいのよ」

「この耳毛をね、赤く染めて欲しいなあ~って」

「これを?」

「そうだよ、俺の橙(だいだい)色と合うと思わない?」

「なんか、今一じゃないの?」

「どーしてよ」

「あたいだったら、薄緑にするわ。品があって、綺麗だもの」

「もぉう~~~!さすがにお陽ちゃん!
いやーー、言葉も無いわ。いよっ、お見事!」

「あんたねえ、、、」

「恋女房ならではだね!もう其処いくと俺なんか、ヤボの骨頂だよ」

「ふふ、そんなに煽(おだ)てて・・・増々怪しいわ」

「またあ~、いいから愚図愚図してると昼飯抜きになるぞ、チャッチャッとやってくれ」

「あんたをしなきゃ、休めるのにさ」

「いいの、仕事は大切にね~」

「ふんだ」

世の吉はまんまとお陽を騙(だま)し、耳毛を綺麗に染めてもらった。
お陽が店で忙しいのをいいことにサッサと出掛けてしまう。


つづく

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時雨のお波 2 べ一

前回

世の吉から耳寄り情報を聞いた五斗吉はノリノリになる。世の吉はと言うとお陽を騙し耳毛を染めてもらい準備万端だ、菰傘の阿呆コンビは何処に行くのやら?


はじまり、はじまり



「お種~父ちゃんはよ?」

「いないょ、あたい達に飯は喰っとけってさ」

「なんて男だろッ、こんなちびを放っといてさ!」

「居ない方が清々するも~ん」

「お種ったら」

「だってー、いれば五月蝿いだけでしょ?あたいは、よ吉とひらがなのお勉強してる方が好いもの」

(よ吉は三吉が旅立った後に生まれた次男坊である。まだ赤ちゃん猫)

「まったく!呆れたスットコドッコイだよッ」

「母ちゃん、あたい味噌汁温めてくるよ」

「亭主より役に立つよ」

「父ちゃん、いらないね」

「本当だ」

「にゃははは」

「ははは」

「ニャ~ニャ~」

世の吉は浮き浮きしながら静かな通りを歩く。五斗の店の前に着くと、小粒の石を投げる。

ゴゾゴソ・・・

「兄ぃ・・・」

「早く来いよ」

「へい」

二人は疚(やま)しさもあるのか、何故か駆け出す。

兄いってばー何で駈けるんですよー!」

「あっ、そうか!汗かいたら臭くなっちまう、
お~いけねえいけねえ、汗臭いなんて近頃流行らねえ」

「こんな先でしたっけ?」

「いいから付いて来な」

「あれ?兄い、なんか耳毛が綺麗ですよ」

「ふふーん、わかる?」

「わかりますよ」

「お陽にね、やってもらったの」


汚ねえーッ、

そりゃあんまり汚ねえよ!



「何でよ?」

「あっしには『行くな』って言ってたのに、自分だけ、、、
狡(ずる)過ぎる」

ジロッ


ギョッ



「お、お陽がさ『練習したい』って言うから無理矢理されちゃったよ~云わば実験台だよ?ったく参ったよー」

「そうなんですか?」

「当たり前だの引っ込んでろだよ、俺が可愛い五斗ちゃんを裏切る訳ないでしょ?」

「そうですかね?」

もう~何言ってんの?只でさえ、男振りが好い俺がよ、そこまでやっちゃいけないだろ」

「・・・」

「だってそれじゃあ五斗があんまり可哀相だよ、だろ?」

「へぃ・・・」

「なら行こう!」

五斗吉は納得いかなかったが、舌を出す世の吉はサッサと行ってしまう。店が近づくにつれ、段々賑やかな太鼓の音が聞こえて来る。

「あれ?あれは佐吉の太鼓じゃねえか?あの野郎ー、油断がならねえッ」

お囃子(はやし)も混じっている。

ちっきしょー!一吉の野郎もいやがるッ、
おう、五斗!こうしちゃいられねえ、行くぞ!

「へっ?へいッ!」

騒々しい音が洩れている。赤提灯に【べ一】と書いてある、どうやらこれで『ベッピン』と読むらしい。

「お波ちゃ~ん、来たよ~」

後から暖簾(のれん)を掻き分けた五斗吉は驚いた、村中の男達が居るようだ。

「あら、世のさんいらしゃい。あら素敵なお方、お連れさんなの?」

「そんな代物じゃないよ、五斗って云う干物臭いの」


兄いッ


「うそ、うそ、五斗さんてこんな素敵な方だったの~?あたいお波です、宜しくご贔屓に」

「でへへ、そんな素敵なんてえ、、、」

「お波、こんなの放っといてさ、俺との約束どうなってるのよ~」

「もう知りませんよ」

「座敷は空いてねえのかよ」

「あいすいません、一杯なの」

「しょうがねえや、適当に座るわ」

「すみません、それじゃお銚子をお持ちしますね」

お波ちゃ~ん、こっち充てがないよ、なんか見繕ってよー」

「はぁーい!梅さん、ちょんの間、お待ちを」

「おい、ここに座んなよ」

「へい」

どうにも狭い店内に膝付き合わせて男達が呑んでいる。世の吉と五斗吉が座ると、押された端の亀爺が落っこちた。

ドタッ


いてえッ、何すんだ!


「爺、威勢が良いな」

何をッ?世の吉ッ、表に出ろぃッ!

中からお波が急いでやって来る。

「もう亀さんたら~怒っちゃイヤですよ、それより呑んで下さいよ」

「だってお波ちゃーん、世の吉が、、、」

「ごめんなさいね、こんな手狭で。あたい皆さんに申し分けなくて、、、」

「いいんだよ、なっ?爺も我慢して座れるから」

「そうだよ、お波ちゃん、ほら、こうしてこうして」

亀爺さんが無理矢理、長椅子に座ると今度は端の五斗吉が飛ばされる。

あひゃー何すんだよー」

「五月蝿いね、五斗は黙ってなってぇの」

「あらあら、五斗さんにまで、、、あたい・・・」

「いいって、いいって、あっしは兄いの上に座りますから」

「ぶーー」

「さあ、兄い達も賑やかにやろうぜ!」

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一吉のお囃子、佐吉の太鼓が『デンデン』『ピーヒャララ』と騒がしい。


♪寄せてぇ返すはぁ波の常ぇえ~~♪

押してぇ引くのがぁ~恋の常ぇええ~~♪


酔っぱらい共が大合唱をしている、閉まっていた障子が開き、大きな白猫が顔を出す。

「お波、こっちにも酒を」

見ていた世の吉と五斗吉が驚いた。


つづく

時雨のお波 3 白猫の白ちゃん

前回

菰傘村のデレ助全員集合の[べ一]は大繁盛をしているようだ。


はじまり、はじまり


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ごッ、ご、ごぉおう、、、



五黄は気が付くと口に手をやって黙ってろと合図する。

「あら、もう呑んじまったんですか~、白さんは樽ごと持って来た方が好いみたいね」

「一人呑む酒は味気ない、お波がそばにいれば、もっと呑めるのにさ。そうだ、おい!世の、五斗こっちに来い、相手しな」

「へっ?へいッ!

「もう・・・」

二人は渋々座敷に入って行く。

「座んなよ」

「ごッ、ごぉ..」

「・・・」

「おい、世のよ~、オメエは冷たい奴だねえー!

「何ですよ~、薮から棒に」

「だってそうだろう?大したことじゃねえ時は、いそいそ来るくせにどうよ?
こういう時にいの一番に来る処かパッタリだ。
酷いと思わねえか?五斗」

へいっ!

「なに言ってるんですよー、あっしは本当にいい店だったらお連れしようと、、、なあ五斗」

「へっ?へいぃ...」

「どっちなんだよ」

へいッ

「まっいいさ。いいか?俺はここじゃ、『白吉』っつーう大工だからな」

「どうしてですよ?」

「わかんない奴だよ、俺と知って相手する女なんてつまんないだろよ」

「そりゃ~確かに、緊張しますしねー」

「そうだろう?まして小ちゃい時に里子に出されて苦労したと云うお波の事だ」

「そこまで、ご存知で?」

「ふふーん、聞いたのよ」

「ったく、油断もならねえッ

「何言ってんだ、そう言いたいのはこっちだよ」

お波が沢山銚子を運んで来た。

「あら白さん、世のさんとお知り合いなの?」

「ああ、こいつとは小さな時分からの幼なじみよ」

「あらまあ!そうなの?いいわねぇ~、幼なじみって」

「幼なって・・」

「・・・・・」


お波ちゃーーん、こっちもおくれぇーーえ


はあーい!白さん、すいませんねぇ」

「いいって事よ、行きなよ」

「あいすいません」

「そんでそんで?どう呼べばいいんですよ~、幼なじみを!

「ふふ、白吉だよ」

「そんなーッ!幾ら何でも、せめて兄いくらいにしときますよ」

「悪いね」

「もぉイヤだね~背中が見えないようにってんで、
仕込みに法被(はっぴ)なんか着ちまってー!
もおーッ、いやらしいったらないよ~!
五斗、呑んで呑んで呑みまくろうぜッ」


へい!


「ふふ、そう怒ると洒落た耳毛が台無しだよ」

大きなお世話です!大体兄いなんて『おんニャ』の心が見えるんだからつまんないでしょうよッ」

「何言ってんだよ、この野暮天。見ようとしないと見えないの」

「へいへい、そーなんですかって!」

「手練手管もお代のうち、楽しんでナンボよ」

毛っ!アホらしぃッ!五斗、飲みまくるぜ!!」


へーい!


こうして、お波の【べ一】は大繁盛をしていた。
ひと月も経った頃、五斗吉は一人、べ一にやって来た。

「こんばんわ、あれ早過ぎたかな?」

「あら、いらっしゃい!」

「まだなの?」

「そうじゃないの」

「だってガラガラなんてさ」

「仕方ないのよ、もう一月の上だもの」

「どうしてさ」

「そろそろ女将さん達が亭主を出さなくなる頃よ」

「そっか、なるほどね~」

「五斗さんは平気なの?」

「あっしは根は真面目だし、それにここには酒呑みに来るだけだし」

「あらそれだけだったの?少しがっかりしたわ、、、」

「えっ・・・」

「だって、五斗さん、いいえ五斗吉さん、あたい・・・・」

「どっ、どうしんだよ?途中で止めたりして」

「いや~ぁ、終いまで言わせるの?」

お波がしなだれかかる。

へっ?

「そんな、そんニャぁあ(ほげー)」

「今日はゆっくりしていってね」

ニャーーーい!うんうんうん、そうさせてもらうよ~」

でれーーーっとした五斗吉の鼻毛や髭はすっかり伸びてしまった。翌日、五斗吉はこそこそ、べ一に行くとそっとお波に何かを渡す。

「あらこんなに?女将さんにバレやしないの?」

「へへ、あっしのヘソクリだから気にしないでよ。それよりも楽しみにしているよ~」

「これならお大尽だわ。あたいこそ・・・ふふ」

五斗吉は旅行に誘われた。内緒事なので宿や鹿車の手配はお波がすることになっている。其のほうが万事都合が良いので、五斗吉は銭を渡すだけらしい。

カッコのいいとこを見せよう とヘソクリを洗いざらい持ち出して来た事は云うまでもない。

「『ふふ』って、もぉうーーーッ♡ そんじゃ行くわ」

「忘れちゃイヤよ、明日の朝早くよ」

「もちのろーーんだよ!じゃあね~」

でれでれ五斗吉は急いで帰ると何気ない顔で店を開ける。

「ふんふんふぅーん♪
寄せてぇ返すはぁ波のぉ常ぇえーーーっとくらよ」

「まあ!朝からご機嫌ですこと」

「へへ。あっそうそう、お紺、ついうっかり忘れていたけどよ」

「何ですよ」

「いやね、明日ね、遠出をしようと思ってるのさ。多分泊まりになるかなあ~なんて」

「あらどこに?」

「いやね、ほら干物もこの頃は決まりきった物ばかりだろ?」

「だって干物ですもの」

「だよねー、でもねそれじゃいけないって、、、ね?うんうん思うわけよ」

「へぇ~、お前さんは勉強家なんですね」

「まあね。それでね、何でも渋傘でさ」

「渋傘で?」

「中々評判の干物屋があるらしいのよ」

「そこのお品を食べてみようと云うことなんですか?」

「そうなのよ、好い案だと思わない?」

「ええ、それは好い事ですわよ。でも渋傘にそんな店があったかしら、、、」

へっほん、つい最近出来た店らしいよ」

「そうなんですか?そりゃそうですよね、あたいが商いを止めてもう三年経ちますもの」

「だろ?あっしと連れ添って二年だし」

「もおーー今日は何だか変ですよ」

「えっ?そんなことないよ~」

「それよりも早くお店出さないと」

「はいはい、はーい!っとくら」


つづく

時雨のお波 5 思案の為所

前回


五斗の秘め事は穴だらけのだだ漏れであった。
お加奈探偵には知恵者のお種がいる、唯ですむわけがにゃい。


はじまり、はじまり


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「どうしてよッ?」

「いい?ここは考えないといけないわよッ」

「どうすんの?」

「三吉兄ちゃん譲りのおつむを働かせてよ」

「任してよッ」

「あんた達は父ちゃんや爺ちゃん達にバレないように母ちゃんや婆ちゃんを基地に連れて来て」

「どうすんの?」

「いいから、絶対にバレないようにすんのよッ」

「よお~し、皆行っくぞーー!

お種は置き手紙をポケットに仕舞い、自分も駆け出す。お陽に幾ら言っても『忙しい!』と云って取り合ってくれない。事実、てんてこ舞いの忙しさである。

理由は云わずと知れた事、お種は仕方ないので基地に行く。
基地で待っていると豆腐屋のお三が島吉と一緒にやって来た。

「なんだよお、もうッそんなに引っ張ってーお放しな、島吉っ!

「母ちゃん、いいから、一大事なんだから早く早くーッ!

「何かあったのかい?」

「これからあんだよ」

「?」

お種はお三が一番なので安心した。お三は村ではお喋りで有名なので他の親達を説得してもらうのに助かったと思った。

「おばちゃーん」

「あら、お種ちゃんどうしたの?」

「ごめんね、おばちゃん、あたいが呼んだの」

「あらどうしたのさ?何かあったのかえ?」


お姉ちゃーーん!


「あっ、お加奈も来た!お紺おばちゃんも一緒だ」

「あれ?何事か始まるの?」


「ぉぉおーーい


こうして子供達に連れて来られた母と祖母達。普段は怒られる方が多いいのだが、今回は違う。

お種とお加奈は大いに張り切って、事情を説明する。最初は半信半疑だったが段々と頷(うなづ)いてくる。最後にお波の置き手紙を見せると女達の怒りは頂点に達す。

こんちきしょーッツツ!あの宿六ッ!
只じゃおかニャいっ!!



悔しぃーーいッ、勘弁ならないッ!


デレ助の髭、みんな毟ってやるッ


キィーーー!


開きにしてやるーーーッ!


お紺までいきり立ってる。

「姉ちゃん、母ちゃん怖いよ、、、」

「お紺おばちゃんとも思えないね、あたいがもうイッチョ頑張るか」

「やってやって」

「えっへん!おばちゃん達~、御静粛に!

「なんだよッ?子供は引っ込んどきなッ」

「まあまあ、おばちゃん達今の勢いで行って、父ちゃんや爺ちゃん達を怒るだけだったら、父ちゃん達は絶対に反省しないと思うよ。間違いない、、、」

「あらどうしてさ」

「あたい達は島吉と小吉で苦労したもの。ねえ?お加奈」

「そうだよ『ニャふん!』と言わせないと男って駄目なのよねえ~」

「わかってるわ」

「凄いねえー、さすがに恵み子様の妹だよ」

「へへ、それでは皆さん...」

ごしょごしょ

鳩首凝議(きゅうしゅぎょうぎ)して、一同納得すると其れぞれが胸に一物抱え、帰って行く。翌朝は珍しく濃い霧だった。目の良い猫達も戸惑う程の霧だったが、浮かれている男達にとっては眼中に無い。

「ねえ、お前さん、今日はこんなだから日延べしたら?」

えっ!?とっ、とんでもねえ、男がこうと決めたら行かなきゃなるめいよ!」

「まっ、そんな大仰な言い方して、ねえ~お加奈!」

「そうだよ、父ちゃん!川に嵌(は)まったらどうすんのよ?」

「泳げばいいさ!お加奈、父ちゃんはこう見えても元は漁師、泳ぎは達者なんだー。」

「へぇー達者なの?」

「ふふーん、まっ、いいって事よ!さてとそろそろ行くかな?」

「あらもう行くの?だって朝飯は?」

「いいってさ、途中の屋台で何か買うからよ」

「そんな急がなくても」

「べっ、別に急いでいるわけじゃないよ、おっほん

「まあ、そいなら握り飯は?」

「そっ、それも途中でね」

「あらそうなの?それじゃ気をつけていってらしゃい」

「父ちゃん、お土産忘れないでよ」

「はいはい、はいとくら!そんじゃ行ってくるよーーー

五斗吉はこれ以上何か言われるとばれそうなので逃げるように出て行く。お波に誰にも見られないよう、用心して来るように言われていたので笠をかぶり、コソコソ待ち合わせの店に向かう。

霧が深いので着いた時には笠も体毛もぐっしょりと濡れていた。五斗吉は周りの様子を伺いつつ店の戸を叩く。

「お波ちゃん、俺だよ、五斗ちゃんだよ」

「今、支度中なの」

「あれ?何か声が違うなあ~」

ごほん、ごほん

「ちょいと風邪気味なの、、、それより水車小屋で待っていて直ぐに行くから」

「うひひひ、そいじゃ待ってるよ~」

五斗吉は阿呆面をして水車小屋に向かう。暫(しばら)くすると又一人、コソコソと誰かが戸を叩く。

「お波ちゃん、お・待・た・せ~、一吉ちゃんだよ~開けてよ~」

一吉も水車小屋に向かった。
こうして村の鼻毛伸ばしが全て揃った。いいや、黄色いのが登場していない。
もう少し待っていよう、、、


つづく

時雨のお波 6 お仕置きタイム

前回

山神様達には隙はない、子猫軍がついている。さてどうなることやら?


はじまり、はじまり


「はぁはあッ、大変だあーッ!ちきしょーお陽の奴、俺が旅に出るって云うのに起こしもしねえ処か居もしねえよッ全くよ~、オトトが怒って逃げちまうよー」

世の吉は自分でも驚く程の足の速さで快調に跳ばした。

「へへ、韋駄天世の吉だね!『可愛い世のちゃんをお届けに参りましたぁ~』なーんてね!いひひひ」

店のそばに行くと用心して辺りを見回し、同じようにコソコソと戸を叩く。

「お波ちゃまぁ~!世のちゃんよぉお~~ヒラヒラと行きま蝶~よん、なんちってーうひひひ」

世の吉も水車小屋に向かう。

「うひひひ、霧が世間を憚(はばか)る俺達にはぴったりの小道具だよ、粋だね~。ひひ、お陰さまで誰にも会わねえ、もう堪んないね、お波はどんな顔をして来るのかね?

旅先じゃ、当然部屋は一緒!と、なるとやっぱり夫婦だわな~。『おい、お波』『なあに?お前さん』なんちってぇ~にゃーーッ、照れちまう」

・・・・付ける薬なし

鈴音川の川沿いを行くと水車小屋が見える。
世の吉は鼻歌を歌いながら戸を開けようと手を掛けたその時、霧を切り裂くように棒切れが唸る。

ビュン!

後から棒切れでしたたかに殴られた。


ガッ、ッツーーーん!!



う゛ッ!!


まさに目から火花が散ったことだろう...暫(しばら)くして目を覚ます。

痛ぁーーーいッ


「起きたかね?」

「な、ニャオーー!?誰だこの野郎!あったたた、
痛ぇえーーーッ!

「痛いとよ」

「感覚が無くなっちゃいなかったね」

「もっと叩けばいいのに」

「本当だよ!もう一回やれば減らず口も無くなるかしら?」

「なッ・・・・・」

段々、目の焦点が合ってくると漸(ようや)くこの場の事態に気付く。


「ぅわぁああーーーーッ


「やっと気が付いた?父ちゃん」

「あ゛っひゃ、ひゃッ、おひゃね、、、、、」

「母ちゃーん!父ちゃんあたいの事『おひゃね』だってぇー!」

「じゃ、あたいは『おひょう』だね?にゃははは~」


あはははは


大爆笑である。その声で周りのイヤ~な視線に気付く。

「あ゛っ......」

「世のさん、あんたもねえ~やっぱり」

「お金婆さん、こッ、これにはじッ、事情がッ、、、、、」

「無駄だよ、世の吉」

「あっ?梅爺!爺さんまで?」

「爺だけじゃないよ」

「世の兄ぃ・・・」

「へへ」

「てめえー、伝も?あっ!一の野郎・・・うへぇーーー」

みんな!おネンネしているデレ助達も起こしてやんな」

「ふふ、今日のお水は冷たいよ~~」


そぉれッと!!


気絶から覚めない連中は子供達が川から運んで来た冷たい水を山神様達に掛けられた。


ひゃやーーーッ


ぅうわぁあーーー!


あッぷうーーッ


目かしこんでいた男達は惨めな濡れ猫になった、この姿にまたまた大爆笑になる。

「さあ、これで揃ったね」

やいッ、お陽!何をしやがるッ!俺にまで水を掛けるこたあねえだろッ!それにこの縄を取りやがれッ」

バッ、チーーーン


ふんぎゃやあーーッ


「五月蝿いよッ、このデレ吉ッ!もう一辺そんな口聞いたら、只じゃ済まないよ。そんなに濡れたきゃ川に沈めてやるよ」

「ひぃーーーッ」

「さっ、ここじゃ狭いよ、霧も晴れたようだしお天道様に見てもらおうよ」

「わあ、そんな引っ張らないでえ~」

「いたいよーぉッ」

「五月蝿いよ、このエロ豆腐」

「お三...」

「ふん!」

其れぞれが亭主を引っ立てて、村の広場に連れて行く。その頃には嘘のように霧も晴れ、大層な行列は否が応でも目立ってしまう。

興味津々に知らない者まで付いてくる。子供達が先触れをして村中を周ったものだから、あっという間に集まって来た。

二十人程の濡れ猫達は見るも哀れ...お陽達はニヤニヤしている。


挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります

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あれーーッ!みんなどうしたんだい?へへへ」

「あら弥吉ちゃん、どうもこうもないよ。

このデレ助共はね、お波とか云うメス猫と二人旅を洒落込もうとしたヘッポコなんだよ」

「え?兄い達、皆ですか?あっ!爺ちゃん達・・・ひゃー馬鹿だなあ~」

「てめえッ、うるせえぞッ!黙りやがれ!」

「あんたこそ、黙んなさいよ」


ばっちーん


「お紺・・・」

「開きにするよ」

「ぅ゛・・・・」

「五斗の兄ぃもざまあないねえ~。だけど、、、じゃ皆のせられて?ははーん、俺は引っ掛からないで良かったあ~」

「なんだってッ?弥吉ちゃんにも?」

「へい、あの女、俺の塒(ねぐら)に来て『旅に行こう』って」

何をーーッ、弥吉の塒に行っただとーッ?俺んちには来てくんなかったッ」

「黙ってないと金棒で殴るよ」

「お道ちゃん、怒んないで~」

「ふん!こいつはテメエが鍛えた金棒だもの、一辺は味わっとくかえ?」


ひぃッーーー


其れぞれの女房達の怖いこと、怖いこと、この上ない。

「じゃあ弥吉ちゃんは誘いに乗らなかったんだ?」

「そりゃそうだよ、そんな事をしたらお米ちゃんに申し分けないし」

「えらいっ!偉いよ!なんて身持ちの固い好い男だろ!羨ましいねえ~、お米ちゃんがさ~」

「へへ」

「其れに比べて、どうだろねえ、このデレ助共は!あんたら揃いも揃って、昨日からあたいらに一芝居打たれてるのも気が付きゃしないッ、これじゃ手も無く泥棒猫に騙されるわけよねえ」

「何言ってやがるッ、お波を何処に隠した!」

「まだそんな事言ってるよ!お種、泥棒猫の置き手紙を読んでやんな」

「はーい」

大声でお種が読んだ内容に驚いた男共はへそくりをすっかりお波に渡していたから、悔しがって泣きだす始末である。それを見てまたまた大爆笑になった。



つづく


時雨のお波 7 菰傘村の菰笠猫

前回

市中引き回しの晒し者だけってのもねぇ〜


はじまり、はじまり


さあ皆!この鼻毛伸ばしのデレ助共をこの侭ってのもねぇ」


勘弁してえーーッ!二度としないからぁあッ!


金輪際いたしませぇーーんッ


「わしが悪かった、歳に免じてくれぇーッ


年寄りは勘弁してくれよぉぉッ


汚ねえぞッ、三馬鹿爺ぃッ!


うるニャイわいッ!わしらは可愛いぷりちぃ爺ちゃん達だ!これからは縁側で大人しく昼寝だけしてるから勘弁してくれ~~」

「婆ちゃん達、どうするの?」

「どうもこうもないよ、こんな皺垂れ爺『色に歳無し』って言ってたのは何処のどいつですかってんだ!ねえお銀ちゃん」

「今更、縁側で昼寝が聞いて呆れるわッ!お陽ちゃん、年寄りだからって遠慮は無用だよ」

「それじゃ、どうしようかねえ~」

「開きにしてやる!」お紺。


ひゃややあーーーーッ


「それよりドロドロに煮て、豆腐にするのはどうだい?」お三。


いゃややあ---ー―ッ


「いいや、焼(く)べて鋳型に嵌(は)めてやろうよ」お道。


ひや゛ぁ゛あ゛あ゛ーーーーッッ


「ねぇ、母ちゃん」

「何だい?お種」

「この前、父ちゃんがツルツルになって面白かったけど、あれにすれば?」


ニャンだとぉおおーーー!?やっと伸びてきたんだぞおーーッ!この糞ガキーッ」


「父ちゃんが糞ガキだって」

何だってッ!あたいの可愛い娘に向かって糞ガキだとぉッ?ふ-ん、、、あんたは今日只今(こんにちただいま)から宿なしだよ」

ひゃーーーッ!ご勘弁を~ッ!お種ちゃ~ん、父ちゃんが悪かったァ~」

フン!!

世の吉は観念をしたようだが、他のにゃ郎共は声を限りと泣き叫ぶ。


ごめんニャさーい、ごめんニャさーい


「それだけはご勘弁をーーーッ

「頼むから、そのような非道だけは」

「外を歩けねえ」


五月蝿いよ!スケベ猫!


「そしたら、【開き】か【ドロドロ】か【鋳型】か【ツルツル】、どれがいいかねえ~」

「選ばせたらよ」

「そりゃいいねぇ、さすがお道。亭主を鋳型に嵌めたいかえ~?」

「勿論よぉ、鋳型にギュウギュウ嵌めてチロチロじっくり焼いてやる」


お道ぃーーい!止めてくれよーーッ!


「ならどれがいいのよ?」


え゛


「.....っ・・」


ツルツルだってえーー


「ちよっとまっ、待ってくれーッ、俺は『つ』って言っただけだあー(泣)」

「さっ、さっぱりとやっておくれ」

「はいよ、これぞ腕の見世処だよ、お種カミソリ持っといで」

「はーい」


ひゃーー、勘弁してぇえーーッ!


「耳の一つや二つ無くなったって構わないよ」


ぎゃや--―!!


「じっとしないとそうなるよ」

お陽の腕は冴え渡り、あっという間にぞりぞりと鍛冶屋の健吉を坊主猫にしてしまう、お後も抵抗空しく全て坊主猫になった。それからのにゃ郎達は毛が生えるまで菰笠(こもかさ)を被っていたそうだ。まさに菰傘村である。

これには当然のように後がある。

何故ならば『大工の白ちゃん』こと五黄が出て来ない。白ちゃんも世の吉達と同じように鼻毛を抜かれきっていた。白ちゃんはその日、お波を驚かせようと店の裏から入ろうとした。

処が自分より先に店に入る者の姿が見えた、その者らは何故か頬かむりをしている。そして子連れでもある。
白ちゃんは二人が店に入るのをじっと見ていた。幸いにも深い霧が白ちゃんの真っ白な姿を隠す、気付かれないよう用心して近づきそっと障子越しに中の様子を伺う。

「む・・・・」

店の中にはお陽とお種がいて顏を見合わせニヤニヤしている。

トントン

「お波ちゃ~ん、俺だよ五斗ちゃんだよ~」

お波に成り代わって受け答えするお陽に五黄白ちゃんはたまげた。五黄白ちゃんは「ニャっ!!」と一言洩らし掻き消えた。
           
           
           ?

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
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翌日の五黄屋敷では藤平が昨日の騒ぎを草助から聞いていた。

「ふふ。そうか、そしたら見物だったねえ」

「そりゃあんな面白い物は二度と見れないですね」

「なんだ私も呼んでくれりゃ良かったのに」

「ああ本当に」

「ふふ、暫(しばら)くは大人しくするしかないだろうよ」

「あれ、五黄父さんは?」

「草助、お前も猫が悪いよ。白ちゃんは尻に帆掛けて、とっくに狸国に逃げたよ」

「やっぱり?父さんは大工の白ちゃんですからねー」

「何が白ちゃんだよねえ。お陽に白ちゃんまで坊主にされたら、猫国は他国の笑い者だよ」

「本当ですよ」


あはははは


にゃははは、でもあの女をこのままにしておくんですか?お手配をなさらないのですか?」

「何故かな」

「だって、とんでもないメス猫です」

「私は偉い先生と思うよ」

「どうしてです?」

「ふふ、だってそうだろう?『おニャごに騙されるでない』と幾ら私が教えていたとしても、誰も身に沁みはしない。だが今回の件で世の吉達にしても白ちゃんにしても少しは懲りるであろう。

それは教えてくれたお波先生の腕が良かったと云うもの。へそくり位、授業料と思えば安いではないか?ふふ」

「なるほどそう云うものですか」

「浮世とはあの様な者がいるから、味わいがある」




つづく




どうしよう・・
先週、あるブログで私に楽しみにしてとわざわざ書いてくださったリン友さんがいらしたのですよ。
今週になって訪問をしたのですが、わからないのです。
もう焦りまくって訪問をしまくったのですが、わかりません。
せっかく書いて頂いた記事にコメントをしてないという不手際。
なんと情けない奴。
週一で顔を出すものですから、ブログ名自体も失念しているという有様。
どうか馬鹿なぴゆうをお許し頂き、鍵でお知らせ頂けないでしょうか。
本当に申し訳なくて泣きそうです。
教えてください。
m(_ _;)m

時雨のお波 8 その後

前回

菰傘村ではどうやら騒ぎも収まった、さて原因を作ったお波はどうしているのだろう?


はじまり、はじまり


彼女は機嫌よう旅をしていた。
商売用の厚化粧をせず、すっぴんでいると生まれ変わったように感じる。懐は温かいから豪気な旅で、浮かれ気分に足も伸びる。

辿り着いた先は卍宿(まんじじゅく)
一度でも稼いだ宿や村には行けない。
行ける場所と云えば故郷の粒傘村かここくらいなのもの。
宿をとると街に出る、中々賑わいもある。

『ここならまた一稼ぎも面白い』なんて考えたところでバッタリ出会う。
忘れもしない幼馴染のお襟(えり)だ。


あらッ!


あらッ!


二人が出会うのはどのくらいだろうか、、、
家出をして以来、会うこともなかった。

絵に描いたような転落猫生、今では一端のお姐さん。

方や、お襟(えり)は何をしていたのだろう?
薬種問屋のお嬢様に生まれたが、彼女は婿を取るだけのお嬢様生活を由とはしなかった。年頃になると降るような縁談を蹴り、泣く親を説得して卍宿にある薬の学校に通う。

お襟は薬種問屋の娘ではあったが、薬が高価なことが許せなかった。
高ければ効くとわかっていても貧乏人には手がでない。薬屋も商売、赤字を出してまで売るはずもない。薬草もそんなには採れない。

どうしたらいいのか?

そう、病気にならなければいいのだ。簡単なことだがそれが一番難しい。『どうすればいいのか?』『どうしたら病にならないのか?』まずは【医学】を、そして【薬】を、そして【料理】の勉強と考えた。

お襟が考えたのは《医食同源》だ。
食べる事で病気の予防をする。美味しくて体に良い料理の店を開くことにした。その夢の第一歩を叶えた矢先だった。

そんな熱い夢を語るお襟。お波は聞くとはなしに聞いていた。

「きっと笑顔になるわ!そんな皆の顔が見たいの!」

「ふぅ~ん・・・・」

お波は何も騙さなくても小料理屋をやれるだけの才覚はあった。料理の腕は中々のもので、何より包丁さばきが旨い(前世に関係があるのかないのかは定かではない)

お襟と別れた後、お波は考える。
そろそろ考えていい時期だったのかもしれない。
騙して騙して、、、、、この先に一体何があるのか...?年老いていくだけでいいのだろうか、、、旅烏(からす)もいい加減、疲れたし・・・

思い立ったがナントヤラ。
お波はお襟を追いかけ、食事をしようと誘う。そして、自分の今迄を包み隠さず打ち明けた。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
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お襟は最初戸惑い呆れたが、自分の夢を叶えられるパートナーにこれほど相応しい友はいないと思った。何より商売に長けているのだ。そうなると二人の話は止まらない。


その後・・・


粒傘村には流行りの料理屋がある。

体にいいものを食べさせる医食同源の店だ。味も抜群に美味いらしい。名前は【紅蓮屋
相変わらず男猫客が多いのは言うまでもない。



おわり





これにて【時雨のお波】は終わりとなります。
最初、お預かりした二人のおにゃごをどうしようかと悩みましたが、
幸せにすることがまず一番、お後は菰傘村のにゃ郎共の登場させればいいかなと
猫国ならではの幸せに二人はなってくれたかと思っています。
生みの親のポールに気に入ってもらえたらいいな。。

プロフィール

 のくにぴゆう

Author: のくにぴゆう
猫国の住民達の物語を書いています。
作者はコメを食べて生きてます。
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