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ある日の桃吉 1 必死


河童国の騒動以来、王族達は皆と連絡をし合う事に決めた。しかし、王族達がいつも国を留守にするわけにもいかず(五黄は別らしい)
ノン吉が連絡定期便の係となった。そして、オマケに桃吉も仰せつかった。
あれ以来、飛ぶことが少しは上達したのだろうか?
そんなある日の桃吉であった。


はじまり、はじまり



この頃の桃吉は空を飛ぶのが楽しくなってきている。
ノン吉の無駄のない飛行の美しさと比べるもないが、自分なりに満足をしている。
狸国への定期便も、ノン吉に言われなくても『サッサ』と出掛ける。

今日もバタバタと走りながら勢いをつけ空に駆け上がる。
どうもノン吉のようには出来ないので、一工夫も二工夫もした結果、駈けながら勢いをつけて飛び上がる。
すると羽が風を捉(とら)えやすく、巧くいく事に気付いたからだ。

ノン吉は桃吉が飛ぶ事を楽しむようになっているので、何も言わずに好きにさせてくれる。
その日もいい天気に誘われるように空を飛んでいた。

頬の毛を撫でる風に、『うっとり』しながら縁(よすが)の森上空に差し掛かる。
この森は【煤煙坊すすけむぼう】と【墨姫すみひめ】のデートコースになっているらしい。
桃吉は二人に会った頃を懐かしく思い出す。
(大相撲 34 小天狗カップル参照)

「いつまでもあのままっつーのもイカンよ、うん。二人の行く末を考えてやらニャーいかんニャ、うんうん。」

にゃんて生意気なことを考えたりもしている。
昼間見る針葉樹のとんがりは、どこまでも青々と美しい。

「あれ?何だ?白いぞ・・・」

挿絵参照 絵をクリックすると大きくなります
hitushi.jpg


針葉樹の天辺に白いモコモコが見える。
雲布団でも、落ちているのかと思った。

「煤煙坊が置き忘れたのかな?」

二人は、デートを木の天辺ですることもあって、座布団替わりに雲布団を使う。
置き忘れて【うーてん】や【さーてん】に気づかれたら大変!
回収してやろうと近づいたら驚いた!!

白い子猫が必死になってしがみついている。
声も出ないのだろう、震えている。
桃吉は怯えている子猫の気持がわかるので殊更明るい声で声を掛けた。

おぉーい!何してんの~?」

「・・・・・」

「まぁ、いいや~、そんじゃねえーーー!」


わぁッ、怖いのぉ-ッ、
た、たしけてぇええーー!



「声が出るじゃない」


「た、たしけてぇええーッ!!


「助けて上げるから、俺が掴みやすいようにできるかな?」

「・・・・」

「出来ないと無理だよ、そんじゃね~」


「ゎわあッ、イヤだぁ-!
行かないでぇぇえーーーッ!



「行かないから、言うこと聞いて」

「ゎっ、わかったぁあ

「いいかい?背中から掴むから、怖がんなよ。バタバタすると手を離しちゃうよ」

「ぅ、うん。絶対に離しちゃイヤだよッ」

桃吉はホバリングをしながら子猫を抱え、ゆっくり降りていく。


わあッわあーーーッ!


「大丈夫だよ。ほら、地面はすぐそこだよ」

「うん」

着地して子猫を降ろすと、その子は腰を抜かしてしまったのか立つ事が出来ない。

「そのまま座んなよ。無理して立とうとしなくても、その内に治るよ」

「そ、そうなのッ?おいらこんなの初めてだから、びっくりしちゃって」

「俺だって、あんな高い木の上にいる子猫を見るのは初めてでびっくりだよ」

「・・・・・・・・」

「お前、名前は?」

「おいら和吉って言うの」

「ふーん、幾つなの?」

「おいら八つ」

「八つなの?もっと大きいかと思ったよ」

「おいらそんな事言われたの初めて、、、兄ちゃん助けてくれてありがとう!」

「いいさ、俺は桃吉って言うんだ」

「桃吉兄ちゃん、羽があるの?」

「うん、便利なんだ」

「あまかけ猫のノン吉みたい」

「俺はその弟分なのさ」

「へぇ~いいなあ~、空を飛ぶのってどんななの?」

「そうねえ、この頃やっと楽しくなって来たけど、最初はもう大変だったよ」

「そうなの?」

「兄貴みたいな体力も筋力も無い俺はさあ、羽ばたくだけで疲れてたわけ。あんまり上達しないから、うーてん達にも見捨てられたのよ」

「厳しいね」

「冷たいったらないのよ。だけど兄貴だけは根気よく教えてくれたよ」

「ふーん」

「でね、あるきっかけでうーてんが相撲を教えてくれるようになったのよ。
それがさあ~、
四股(しこ)だの鉄砲だのばっかり!だけどその御陰で体力も筋力もついたの。
気がついたら、飛べるように成っていた訳なのさ~」

「へえ~わかんないもんだね」

「だろ?関係ない様に思えても実はそうじゃないのよ、何れ我が身の為なのよ。うんうん」

「ふーーん」

「そういや、和吉は何であんな高い木に昇ったのさ、まさか飛びたかったの?」

「違ぅ、、、、、見たかったの、、、そうじゃない・・・・・
そうじゃなくて......」

「言葉に出来ない事ってあるよね?最初の目的がどうであってもさ」

「・・・」

桃吉は小さな子猫が何かを抱えているのが堪(たま)らなく思った。
子猫が助けを欲しているように思えた。

桃吉は忘れていた昔を思い出すように話し始める。
それが何かの役に立てるとも思えなかったが、木の天辺で泣いて震えている姿が昔の自分に重なる。


つづく
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ある日の桃吉 2 過去

前回

桃吉は縁(よすが)の森上空を気持よく飛んでいた、ふと見ると白いモコモコが見える。小天狗たちが残した雲布団かと近づく、ところが白い子猫が必死に掴まっている。このままでは危険なので、優しく声をかけ、降ろしてやる。


はじまり、はじまり


挿絵参照 絵をクリックすると大きくなります
momwakichi.jpg


「俺も下手で木にもよく引っ掛かって、どうにも出来ないで震えていたなあ~」

「そうなの?おいらみたい」

「和吉を見ていて思い出しちゃった。俺の昔話しを聞いてくれる?」

「うん」

「俺なんか、、、俺って昔は人だったんだ」

「人?人って飛ばされた悪い国のこと?」

「そうなのよ。何でも俺は【残り猫】って云うボケ茄子らしいけどね」

「桃吉兄ちゃん面白いね!」

「俺はね、人でいる頃とても孤独だったんだよ」

「家族はいたんでしょ?」

「いたさあ~。だけどね、俺の弟がもの凄く優秀でさ、俺なんか親にしてみたら、どうでもいい存在だったらしいよ」

「そんな...」

「そうなのよ、例えば学校から帰るじゃん?すると家族が誰もいないのよ。
すると置き手紙があってね『旅行に行きますから、留守番をするように。ご飯は適当に買って食べなさい』って」


ひどーい!


「そして三日もするとニコニコ顏の弟と両親が帰って来るわけさ」

「そんなぁ.....」

「俺は思ったよ。『ああ、この人たちは俺が居なくても家族として成り立っているんだな。じゃあ俺って何?』ってね、、、」

「かわいそぅ...」

「高校を卒業すると家を出たよ。大学も親には頼らなかった。それからずっと一人で生きていた」

「寂しいね...」

「それが寂しいなんて思う事も無かったのよ。慣れちゃっていたんだな。
愛されない事や、孤独にもね.....

そんなだから、人と関わりあうなんて金輪際、無理だった。
食べていかなきゃいけないから、働いていたけど友達もいなかった、、、」

「え?そうなの?今の桃吉兄ちゃんと違うね」

「ゾっとするよ、『よく耐えていたなあ~』って褒めてあげたいよ、不憫(ふびん)な桃吉ちゃんをね。
今思うと俺は暗くてつまんない奴だったし、捻(ひね)くれていたんだと思う。

だけどそんな奴でもきっかけさえあれば変わることが出来るんだ。
と云うより頑(かたくな)になっていたコチコチの殻(から)を壊せるんだ」

「それってなあに?」

「意外と気が付いてないけど、『自分はこうだ!自分は出来ない!』って、知らず知らずに固い殻を作っていたりするんだよ」

「そうなの?」

「俺はそうだった。そんな人付き合いも間々ならない俺がよ、五黄様に出会って、世の吉兄貴にここに連れられて来てから、俺のそばにはいつも誰かがいてくれた。

かまってくれるなんて云うもんじゃない、お節介の塊(かたまり)みたいなんだ。

少しでも一人でいると、『どうした?腹が減っているのか?何か悲しいのか?』って、、、
ボーッとしても居られないくらいなのさ。

へへ、お陰で俺は皆と話す事も怖くなくなったし、自分の気持を伝える事も出来るようになっていた。
今じゃ、数え切れないくらい友達が出来た。

ノン吉兄貴だって、オロ、きゅー助、うーてん、さーてん、ぐーてん、小天狗達に尊敬する王族の方達とは、家族のようなんだ。
だから今は幸せなんだよ、
ものすごぉーーくね!

「いいね、桃吉兄ちゃんは」

「今の俺は罰当たりな程幸せ者だよ。だって羽まであるんだもの」

「本当だね!」

「和吉は、何か悩みがあったんだろ?」

「ぅ、うん。本当はそうなの.....」

「ちびの時は家族や、友達、村の中だけが世界なんだよ」

「うん」

「だけどね、違うんだ、わかるよね?」

「うん」

「いろんな事があるんだよ、これからの和吉にはさ」

「おいら、和吉なんて呼んでもらえないの。『弱吉』って、、、すぐ泣くし・・・」

「どうしてさ?弱虫にあんな高いとこ昇れやしないよ」

「だって、と吉がおいらみたいな『泣き虫毛虫の弱虫はいない』って。おいらが『違う!!』って言ったらそんなに言うなら、やってみろって」

「何をさ?」

「一番高い木の天辺から、と吉の家の庭に置いてある旗の色を見て、当てろって」

「それで昇ったのかよ?」

「うん。でも、昇れたけど、顏も上げれなかったし、降りれなかったもの。
それに・・・どうでもよくなって来たから、このまま手を『離しちゃえぃ!』って・・・
だけどそれも怖くて出来ないの」

「出来なくてよかったよ!そうだったら俺と会えなかったじゃん」

「そっか!」

「出来なくて良かったじゃん」

「うん!桃吉兄ちゃんに会えたもんね」

「和吉は頑張って木に昇ったから、新しい友達が出来た」

「おいらの友達になってくれるの?」

「もちろんさ~。和吉がよかったらね」


おいら嬉しいッ!



つづく




ニャハハハ
明日、アップ予定だったのに今日になっちゃった!
予約投稿を間違えてしもた。
ホッホホホホ
きらたるちゃん、さっそくありがとう〜
へへ

ある日の桃吉 3 これから

前回

桃吉は和吉の姿に昔の自分を見た、励ますつもりで過去を話したのに
その事が心の奥底にあった蟠(わだかま)りを拭い去ったようだった。

善行は他者のためではない、自分の為でもある。
にこやかに笑う猫国の面々の顔が心に浮かぶ。


はじまり、はじまり



よし!そしたら意地悪と吉を【ニャフン(ぎゃふん)】と言わせないとね!」

「どうするの?」

「俺と一緒に空を飛んで、どんな色の旗か見てみようよ」

「駄目だょッ怖いもの」

「さっきはちゃんと掴まってたろ?暴れなかったし、大丈夫だったろ?」

「ぅん、、、」

「試してみない?どうせならさ~」

桃吉はワザぁ~と何気な~く言う。

うん!おいら出来るかもしれない!」

「出来るさー、天辺(てっぺん)に昇るまで目を開けているのも楽しいぞ!やってみよう」


うん!


桃吉は和吉を後から抱えると走り出す。

和吉ぃーーッ!行っくどーぉおおーーッ!

わぁーーーい

バサッバサッ』と音を立てながら、体が浮いていく。
和吉は大はしゃぎだ。

ほぉ~ら、行っくどぉおーーッ!


うゎぁああーーー!


羽が羽撃く(はばた)く度に『スぅーー』っと上空に昇っていく、和吉の目はまん丸になっている。
上空でホバリングをする。

挿絵参照 絵をクリックすると大きくなります
sorakara.jpg

「見てご覧、どこがと吉の家だい?」

「桃吉兄ちゃん、あれーッ

「あれかあ~?あんなに小ちゃい緑の旗なんて天辺からだって見える分けねえよ。ったく、意地が悪いねえ」

「本当だよ、と吉ってとっても意地悪だよ」

「おっ?あれご覧よ、あの布団のシミ」

あっ!きっと、と吉のおねしょだ!」

「違いない。いいもん見ちゃったねえ~」

「うん、よぉーし言ってやるッ!」

「よしその意気だ!俺に後で教えてくれよ」

「うん、絶対に教えるよ」

桃吉は、元気になった和吉を地面に降ろす。和吉は今にも駈けって行きそう。

「和吉、一つだけ教えてやる」

「なあに?」

「と吉を子分にしたいかい?」

したい!

「だったら皆の前で緑の旗の事は言ってもいいけど、おねしょの事はと吉にだけ言うんだ」

「何でよ?皆の前で言ってやりたいよー、ニャフンとさせたいもの」

「だけどそんな事したら、意地悪な奴って言うのは懲りないで恨むんだよ。そしたらまた意地悪されて損だろ?」

「あっ、そっかぁ、、、」

「だからね、『俺は知ってるけど誰にも言わないよ』って、耳元で言うのさ。そしたら和吉に感謝すると思うよ。うん間違いない。
そう云う奴は威張っているから、変にプライドだけは高いんだ。
凹ませるより、貸しを作る方がいいのさ」

「プライドって何?」

「大生意気な奴の事さ」

「ふぅーん。それなら、おいらやってみる!」

「そうしな。だけど威張ったり、意地悪になるなよ。そんなことする和吉になったら俺は友達止めるよ」

「いやだょ~、おいらの友達でいて」

「よし。それなら今の優しくて、強い和吉でいてくれよな!また会おうぜ~」

「会いに来てくれるの?」

「もちろんさ!お前の村はわかっているしな」

「おいら家は手拭屋なの、絶対に遊びに来てね!」

「ああ、そしたら行くよ」

あッ、桃吉兄ちゃん待ってー、これ持っていって!」

「何さ?」

「これおいらに母ちゃんが名前入れて染めてくれたの。ほら、【和吉】って染めてあるでしょ?」

和吉が差し出した手拭には、甕覗(かめのぞき)色に和吉の字が大きく染めてある。

「これ桃吉兄ちゃんに上げる」

「いいのかよ?大切な物だろ」

「いいの、家にまだあるもの。それに桃吉兄ちゃんに持っていて欲しいの」

くぅーーッ、きゃわいい奴だね~、こりゃどうも!そんじゃ遠慮なく貰っていくよ。ありがとうな」

桃吉は手拭を首に巻くとニコッとして和吉に微笑む。

「似合う~?」

「似合うよ!おいらもこれからはそうする」

「そうしな。友達の証だな!」

「うん、おいら嬉しい!」

「そしたら又な」

「兄ちゃん、きっと会いに来てね」

「ああ、きっとさ。そんじゃな~~~」

ありがとう!兄ちゃーーーん!


和吉は桃吉の姿が、遠く空の彼方に行くまで手を振って見送った。
見えなくなると、村に向かって一目散に駆け出して行く。

和吉はこの日の出会いを一生忘れないだろう。
桃吉も又ノン吉に今日の楽しい出来事を身振り手振りを交えて話すのだろう。

そんなある日の桃吉だった。


おわり

プロフィール

 のくにぴゆう

Author: のくにぴゆう
猫国の住民達の物語を書いています。
作者はコメを食べて生きてます。
コメくださ~~い!
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今まで紹介をしなかったのですが、それも変だなと 三ニャンを宜しくお願いします。

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