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大山詣り(猫国バージョン) 世の吉ご一行

え~~、こんちご機嫌麗しく、老ニャくニャン女の皆みな様にこれから御披露いたしまするのがご存知、菰傘(こもかさ)のアホウ男猫達が、日頃の疲れを取ろうと大山詣りならぬ温泉三昧が顛末(てんまつ)記。

事の起こりは世の吉と義兄弟の貞吉。念願かなって狐国に赴任(ふにん)をするという(猫国相関図、参照)
大層めでたいので歓送会をやるから何が何でも来いとの誘い文。

喜んだ世の吉、誰かれ構わず手紙を見せびらかす。
「どうせ行くなら、一足伸ばしてガス病院にある名高い五黄様温泉につかるつもりよ~ん」

ナぁ~ンテ言うものだから俺も!俺も!と騒ぎ出す。

連れていかなきゃ金輪際、付き合わねえとすごまれたり、泣き落とされたり。到頭、【世の吉ご一行】が出来たというわけ。

日頃から気心知れた者同士。おまけに陽気もいいときたから、あっちでハメを外し、こっちでハメを外し、、、と賑やかなことこの上ない【世の吉ご一行】貞吉と涙の別れを惜しんだのも遠い昔のよう。

ガス病院で体の調子を診てもらったりの嬉しい歓迎にマタマタご一行は大はしゃぎ。そんな楽しい旅も後一日。明日は菰傘村だと旅の土産話に話が咲いたそんな夜更けの出来事。


堪忍ならねえッ


「全くだ!」

「この威張りん坊、どーぅにも腹が立つよッ」

「何かにつけて『オレ様のお陰』と言いやがる!」

「『連れて行け』なんて言わなきゃ良かったッ」

「こいつの酒癖の悪さは並じゃないよーッ」

大酒呑んでくだを巻きに巻いて、寝穢(いぎたな)く寝ている世の吉を囲んで皆がボヤいている。どうも世の吉、道中の間、散々威張っていたようだ。

何をしても『オレ様のおかげ様よ』の一言がある。最初は『そうだ~そうだ~』と頷(うなづ)く連中も度重なると煩(うるさ)くなる。

煩くなっても一向に止めない世の吉。当然のように皆の怒りを買ってしまった。

「ふはぁああ~~~ぁ」

大きな欠伸(あくび)をしてモソモソと世の吉が起きた。

「なんだよ、こんな所で寝ちまったよ~。ゥゥっ、寒いや~」

布団もかけずに寝ていた。

「何だよ皆~、冷てえぜッ、布団ぐらいかけてくれれ、、、れれぇッ??」

誰もいない。

おぉーーい!どこに行ったんだよ~、そろそろ朝飯じゃねえのかぁー?」

世の吉が部屋で騒いでいると

「もし、お客さん!」

「おっ、開けなよ」

「失礼します、、、?゛ぶっハッハッハぁーーッ

「何だ何だ?!顔を見るなり笑うとは何事だい!この世の吉様はいい男猫だと惚れてヨダレを垂らしたメス猫数あれど(そんな猫がいたら見てみたいもんだ)笑われたことなぞ金輪際ありゃあしねぇッ!」


でっもっ、ひっ、ひっ、あはっははははーーッ!


腹を抱えて笑い出す。ギャーギャー騒いでいるもんだから、宿の女将まで顔を出す。

「何を騒いでいるんだい!お客様にしつっ・・・
ギャハハハーーーッ

なんと女将まで笑い出す始末。世の吉は顔を真赤かにして怒っている。いつの間にか、主人も奉公人も混じって大笑いである。

ようやく収まったのは泣きながら主人が『鏡を見ろ』と、どうにか言えてからだ。世の吉は腹を立てながら覆(おお)いがかけてあった鏡を見た。


フんギャーーーーーッ!!


驚いて口を大きく開けたまま。

それもその筈、頭がすっかりツルピカツルリのピッカリンコ
一本の毛もない、毛なし猫になっている。

お見事である。

驚いた世の吉は宿の者を問いただす。どうも朝早く、『よく切れる剃刀(かみそり)はないか?』『早立ちをするから急いでくれ』との注文。

間もなく、一行はさっさと旅立った。

「1ニャン、眠りこけているが疲れが溜まっているから可哀想なので起きるまで寝かしといてくれ」

そう言われ、起きるまで待っていたそうだ。世の吉は合点がいく。

へっクションッ!こんちきしょうめ、このままじゃ寒くていけねえ、手ぬぐいの新しいの持ってきてくれ。

それと籠を頼むぜ!後は握り飯をちゃっちゃっと用意してくんな!」

あれだけ大笑いをしてきまりが悪い宿の者達は、急いで支度をして世の吉を送り出したことは言うまでもない。

その頃、一行はあと半日で村に着こうというのんびりモード。旅の余韻(よいん)を楽しむように茶屋で一服をしていた。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
kagokaki.jpg

「全く、あの野郎がいないだけで清々するよ~」

「梅爺さんの言うとおりだよ」

「こんなだったらもっと早いうちにお灸をすえとけば良かったよね」

「全くだ!」


ニャハハハ


大笑いをしている一行の眼前を酒手を弾みに弾んだ籠屋が矢のように走り抜けていった。



つづく






ポールの落語話に触発されまして、できたのがこの顛末記でございます。
古典落語に詳しい御方から文句もあろうかなと・・
まっ楽しければいいかなくらいの軽いお気持ちでお願いします。
コメントは次回に、やはり最後の落ちを読んでから頂こうかなと。
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大山詣り(猫国バージョン) してやったり

前回

堪忍袋の緒が切れたご一行に、頭の毛を剃られた世の吉、凹むかと思えばどうもそうでもない。何を考えているのか?籠を急ぎしたてて菰傘村に走らせる。


はじまり、はじまり


おぅ!今けえったぜ」

『ぬっ』と顔を出した世の吉。

「おやまぁ~随分とお早いお帰りだこと!半月の上も音沙汰なしで、よくもまぁぬけぬけといい加減にしておくれでないかいッ

うるせぇ!御託(ごたく)は後にしやがれのこんこんちきだ!」

「何だってぇ!何だよ、帰って早々、何の剣幕だよッ!

「いいから、つべこべ言わずに女房たちを連れて来やがれっ!つーの

「何でよ?」

「四の五の言ってねえでチャッチャッと呼んでこい」

いつもだったら顔を赤くして怒り出すのに、妙にドスが効いているもんだから、お陽も軽口をやめた。

「誰を呼ぶんだよ」

「お紺たちだよ。ほれ、俺と旅した奴らの連れ合いだよ」

そう言うとそのまま座敷に上がり胡座(あぐら)をかいてだんまり。様子がおかしい。

「変なの・・・」

お陽は言われるままに女房連中を連れてくる。

「兄さん、失礼します」

「おおよ」

「世のさん、何だえ?あたい達は忙しいんだよ~」

「すまねぇ。まっ、皆上がってくんねぇ」

「あら?そう言えば宿(やど)は?」

「あらそうよね」

「そうよ、うちの宿はどこよ?」

口々に亭主が一緒じゃないことを不信がる女房たち。目の据(す)わった世の吉が『ギロリ!』と睨(にら)んで皆を見回す。

不気味である。

皆、『ゾッ』として黙りこんだその時だ!!世の吉『ガバッ』っと土下座をし、


すッ!、すまねぇーーーッ!
堪忍してくれぇえええーーーッ!!



「どっ、どうしたんだよッ!お前さん!」

世の吉は体を震わせ泣いているようだ。

「すまねぇぇ...ウッ...すまね゛ぇ゛、、、」

「どーしたのよッ!?『すまねえすまねえ』ばかりじゃわかんないよ!
はっきりお言いよッ!

世の吉が顔を上げると滂沱(ぼうだ)の涙。





え゛!何?何?女房たちが驚く。


「あれは、、、今から十日も前だと思ってくんな。陽気がいいってんで『川太郎池に漕ぎ出そう!』ってね。陽気はいい、頬を撫でる風は凪(な)いでいる、そりゃー皆、いい心持ちでいたと思いねえ。

ところがだよ、それが一転俄(にわか)にかき曇り、恐ろしいような風が吹いてきた!
ザッパぁあああーーーんッ!!と、

波頭が山のようにそそり立って、船はまるで木の葉だよ。波に
ドォーンッ!』と叩きつけられ船はきりもみしながら池の底ッ!

河童漁師に助けられたのが俺、一ニャンだった・・・」


ええーーーッ!?


「嘘だよ!いやだねぇッ!」

「そうだよぉッ!そんなてんごは止しとくれッ!」

世の吉は下げた頭のまま、深くかぶっていた手ぬぐいを外す。

「詑びにもならねえが気が済まねえから...これこの通り、、、」

世の吉の坊主頭が『キラリ!』と光る。


フンギャぁぁあああーーーーーッ!!!


大騒ぎである。


お前さぁあーーーん!


あんたぁああーッ!


あっちでもこっちでも大泣きである。お紺が泣きながら言う。

「まさか二度目の亭主にまで先ただれるとは、、、この身は呪われているに違いないーッ、尾の毛を剃って一生弔って過ごすわぁあウワァーン

「あたいも!」

「あたいもだよ!『来世もお前と』って誓い合ったんだ!」

「うんうん。それがいい、それがいいよ」

世の吉は笑いを堪えるのに一苦労、いや大苦労。

「さっ、お陽。ああ言ってんだ、さっさと皆の尾の毛をね」

「皆、、、いいのかえ?」

「早いとこやっておくれ!」

そうして皆の尾の毛がすっかり『ツルリんこ』と剃り上がった。ツルツルの尾っぽを抱いて皆、泣いている。

挿絵参照↓↓↓ 絵をクリックすると大きくなります
oonaki.jpg


こんち只今~~!お陽さんに言わなきゃっ、ん?」

村に着いた一行は、置いてきた世の吉のことをお陽に言わなきゃならねえと雁首(がんくび)揃えて顔を出した。目と目が合う女房達。


フンギャぁああッーーー!


お前さぁあーんッ!


あんたぁーーあッ!!


首っ玉にかじりついて喜んでいる。世の吉旦那が後ろも見ないで逃げ出したのは言うまでもない。事情を知った旦那連中が怒りまくって大騒ぎになった。

そこに通りかかった藤平。事情を聞くと一言。
 

「皆の者が無事のお帰り、おめでたい。まこと、

 
 尾毛がなくておめでたい
                    
                     
 お怪我なくておめでたい
 


チャン♪チャン♪




蛇足


馬鹿馬鹿しくて阿呆らしいがその後を書いとこう。一時は腹を立てた男連中、よくよく考えれば女房がこれほどまでに好いていてくれたと気がついて、冷たいすきま風が吹いていた夫婦仲もピッタリおさまる。

尾に毛が無いのも妙に色っぽく見えてくる。ニャ~ンてことで皆夫々に仲良く帰る。収まらないのがお陽。とんだ猿芝居の片棒を担がされ面目丸つぶれ。

その後世の吉の顔が、ぶんぶくれになったことだけは報告をしておこう。

この元は落語の大山詣りでございます。

最後の決めセリフ「お怪我なくておめでたい」が私にはどうも尾の毛と聞こえる。ならばとこんなのはどうかしら?と、猫国バージョンで書いてみました。

これから大山詣りを聞く機会がございましたら、猫国バージョンを思い出してくださいね。

ぷぷ




megane5:18
マスク&雑貨♪気ままにステッチ日記のむらななちゃんの作品です。
妹とお揃いなんですよ。
注文以上の可愛らしいメガネケースなのでござる。
バッグの中でもかさばらなくて最高です。
素敵な作品をぜひ見に行って下さいねぇ~


llama5:18
aunt llama's photoのllama姉さんに頂きましたァ~
妹にも頂きましたの。ありがとにゃーー
マッシュポテトは大好きなので楽しみでござーーる。
llama姉さんのブログは季節の花や珍しいお花で一杯です。
そして愛らしい伽羅姫のお姿をぜひ見に行って下さい。
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 のくにぴゆう

Author: のくにぴゆう
猫国の住民達の物語を書いています。
作者はコメを食べて生きてます。
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今まで紹介をしなかったのですが、それも変だなと 三ニャンを宜しくお願いします。

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