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大相撲 51 宇宙(そら)川

前回


ノン吉は川太郎の姿に言葉を失う、干物のように黒く枯れ切った体。弱々しい手を掴む五黄と狸兵衛の分厚い手。五黄に言われるまでもなく緊急なのがわかった。

ノン吉が変化も直さずに藤平に告げるやいなや、藤平自身も変化し矢のように飛んできた。(ここだけの話、ノン吉は藤平の変化を始めて見たので、怖くてビビったそうだ。二度と見たくないらしい。桃吉談)



はじまり、はじまり



「かっちゃん、わたしだよ」

「あッ、あっちゃん、、、久しぶりだね、俺会いたかった...」

「かっちゃん・・・わたしもだよ」

「そう言えば懐かしいなあ~、お前とかっちゃんと狸七は仲良しだったものな」

「そうですよ、わたしはかっちゃんと気が合いましたもの」

「気難し屋のあっちゃんは、かっちゃんと狸七とばかりで遊んでいたものね」

「そうですよ、でも兄様達はわたし達の事を三馬鹿とか言ってね」

「ふふ、そんな事言ったけか?」

「言ってました」

「そうだ、そうだった、言ってたよッ頭きたよね」

「そうです。『失礼にもほどがある!』なんてね。子供の頃からわたし達生意気でしたね」

「そ!俺達の弟様達は生意気だったからね~」

「ふふ」

「ははは」

「あはは、、、ははッ、、、はぁはぁはぁ...」

笑っていた川太郎の様子が急に変わり呼吸がまた荒くなり始める。

「かっちゃん、まま子を呼ぶよ。お前を救えるのはまま子だけだよ、いいね?」

「・・・・・・・・」

かっちゃん!わたしはもっともっと話しがしたいよッ」

かっちゃん、生きようとしておくれ!」

狸兵衛が藤平が叫ぶ。川太郎は力ないが確かに頷(うなづ)く、五黄はまま子を急いで連れて来る。五黄が腹のポケットから風呂桶のように大きな盥(たらい)を出す。

「まま子、宇宙川の水をここに満タンにしろ」

「えっ!どうして?」

「いいから、急いでやんな!

まま子は五黄に言われるままに呪文を唱える。すると空中からキラキラとした水が滝のように流れ出し、見る見る内に盥は一杯になった。

狸兵衛!あっちゃん!一緒にかっちゃんを」

「はい」

「わかった」

「かっちゃん、もうすぐ楽になるからね」

苦しそうに呻(うめ)く川太郎をそろそろと運んで盥の水に浸ける。

まま子は宇宙川の本当を知らない。どうして川太郎をその水に浸けるのか?

五黄は天宮に行った時、聞かされていたことがある。

もし王族が病いにおかされた時は、それは大概間違っていた行為に因る事が多いいのだが、救えぬ道がないわけではない。命があるならば宇宙川の水に浸すと罪科(つみとが)が流れる。

それで回復せねば、深すぎる罪故、命であがなうほかない。五黄は川太郎の心に幼い甘えがある事に気付いた。

『頑是(がんぜ)無い子供のような心のままにしてた行為ならば大人になれば良い事。救えなければ【己が命】を与えればよい』と、そこまで考えての決断だった。

キラキラとした盥の水は乾涸(ひから)びた川太郎にどんどん吸い込まれていく。黒く縮れた皮膚が水分を吸い込み伸びていく。

皮膚が伸びると汚い皮膚が剥(は)がれ落ちていく。剥がれた後の皮膚はキラキラと小さな星粒が光り、薄い緑色の皮膚と相まって、とても美しく見える。

あぁぁ、かっちゃん、、、」

藤平が思わず声を出す。


川太郎ぉーーッ!!


まま子が叫ぶ。

「かっちゃん、聞こえるね?目を開けてご覧」

五黄に言われ川太郎は水の中で目を開ける。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
soragawa.jpg


その目はどこまでも澄んで美しい。曾(かつ)てオロが嫌ったズルそうな目は全て水が流したようだ。川太郎が起き上がる。

背の高さはスラリとして藤平よりも大きくなっている。そしてふっくらして、薄い緑色に星の粒が混じっている自分の手を、腹を、足に目をやった。

ああッ!もとにッ、元に戻っている!それに苦しくない、息も楽だッ」


川太郎ぉおーーーッ!!


まま子は抱きついて泣いた。

最初は戸惑った川太郎だったが、まま子を強く抱きしめると
姉様ーッ!」と泣き出した。やっとこうした姉弟を見る事が出来た。

何故、諍(いさか)いをしていたのか?それは後々分かる事であろう。今はそんなことよりも、姉弟の抱き合う姿を見ていたいと思った。

後から『パチパチ』と拍手が聞こえて来た。

振り返るといつの間にかドアを開けていたノン吉やお蜜、オロにキュー助、ガスに大助、そしてセンたち河童達が泣きながら拍手をしていた。



つづく






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今回から挿絵のサイズを少し大きくしました。

今まで実際に描いているサイズはアップ出来ず、小さいので分かりづらいので悲しかったのですが、これからは少しは違うかなと思います。

のくにぴゆう
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大相撲 52 感激

前回


宇宙(そら)川の水により元の姿に戻った川太郎。まま子と抱き合う姿に誰もが喜ぶ。


はじまり、はじまり


「ノン吉、セロを呼んで来な」

「はい。セン!セロとキロを連れて来てくれ、それから、屋敷を囲んでいる河童達に『もう少し待っていろ』と伝えてくれ」

へいッ、わかりやしたー!」

セン達は急いで出て行く。

ガスと大助が走りよって川太郎に声を掛けた。

「あなたしゃまは真に川太郎しゃまですか?」

なんと!なんと不思議な、、、」

ガスと大助は不思議でならない。

大助は人国で医者をしていたので数々の医薬品を持ち込んだ。が、川太郎には全く効かなかった。その内にガスが来ると部屋に並べてある薬に興味を持つ。

ガスはこの薬の事を知りたがる。牢屋に閉じ込められていた大助はガスに薬の説明をする為、部屋に連れて来られた。

お互い医学の道に進んだ者同士、話しが合わぬ訳がない。

甲介に『大助は用済みだ!』と言われると『大助しゃんが居なければ何も出来んわしゃー!』と言い張って大助を庇(かば)っていた。

そんな二人がしげしげと川太郎を眺(なが)めている。無意識にまま子を弾き飛ばし、こんどは川太郎にへばりついて見ている。

医学への飽くなき探究心がそうさせるのか、全く遠慮がない。川太郎もあまりにジッと見つめられて困っている。

「兄様・・・」

「これ、ガス、それにお前が大助か?」

「はっ、はい!」

「はい」

「いい加減にしろよ、あの水で治ったんだよ」

ひぇッ、この盥(たらい)の中のおみじゅ(水)がッ?・・・」

ひゃーッ!不思議だー!あの干物ような川太郎様がッ、、、」

「干物のような大助に言われたくないよね」オロが言うやいなや、


しょーぉれぇーー!


ガスと大助はもの凄い勢いで盥の中に入り、一生懸命に体を曲げ、全身を水に浸かろうとしている。息を止めているのか、頬を膨らませて何やら必死の形相である。

「ちょっと、何してんのよ~」

お蜜がガスに言うが、目を瞑(つむ)って知らんぷり。

「大助、何してるのよ?」

オロが大助に言う、こちらも目を瞑り知らん顔。

「ほっときな、こいつらの我慢なんて続かないよ」

五黄は笑ってる。言う間もなく、ガスと大助は息が持たず


ぶッは~~~ッ!


だあーーーッ


勢いよく、水から上がるとぜいぜいしている。

「何してんのよ~、恥ずかしいわねッ」

「大助、何してたの?」

お蜜もオロも恥ずかしそう。

「だって、、、兄ちゃんの方がピチピチだから」

大助。

「ガしゅだって、川太郎しゃまみたいにピチピチになりたいッ!」

ガス。

ガスと大助の似た者同士はどうしようもないのである。大爆笑になった。

その時、セン達がセロとキロを抱えて連れて来た、二人とも気を失っている。

「おい~、何回気絶してるんだよ、こっちも似た者同士だよ、同じ顔をしてるもの」

ノン吉が笑う。


キロ!


セロ!


川太郎とまま子が気絶している二人に駆け寄り、優しく抱える。

まま子も川太郎もこの親子にさせてきた苦労を想い、自然と泣けてきた。大粒の涙が頬をつたい、目を閉じている二人の顔に触れセロが気付く。

キロも気が付いた。二人の顔を見ると顔をクシャクシャにして、まま子と川太郎に抱きついた。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
kangeki.jpg


ぅおーぃッ!ぅおーいッ!まま子様ーッ、川太郎様ぁーッ!」

うわぁぁーん、うわあーん、まま子様ぁ~、川太郎様ーッ!」

皆、泣けた。いい眺(なが)めなのである。

「でも、どうして気絶してたの?」

キュー助が当然の質問をする。

「へい。あっしらが外に出た時、屋敷の周りを取り囲んでいた者達全員倒れていやしたよ」

センも不思議そうに答える。

「それはセロめが説明致します」

「あれは、、、」

「キロは黙りなさい!」

「いえ、あたしの方が説明は上手ですから」

「何ですとぉおッ!この親不孝者!不逞(ふてい)の息子のくせにーッ」

「まだ、父ちゃんはあたしの事をそうやってお責めになって、、、しつこ過ぎます」


何ですとぉおおーー!?


すぐに親子喧嘩を始めてしまう。

川太郎もまま子も、久しぶりに見るこの親子喧嘩に心が温まるのは何故だろうと思う。心の奥底に仕舞い込まれていた懐かしい光景、そして漸(ようや)く昔の自分達を思い出す。

「どっちでもいいから話してよ」

キュー助は焦(じ)れている、変なキュー助。

「それじゃ、セロめが」

「いいえ、キロが言います!」

「もぉーッ、キュー助に殴られたいの?」

「キロは、こりごりですから黙ります」

セロはキロに『ふふん』と鼻を鳴らすと得意げに話し出す。

「セロめの大大演説がものをいったのか、近在の河童共が大群衆になってお屋敷を取り囲みました。そしてノン吉様に言われた通り、河童一人逃がさぬようにしていました。

しかぁーしッ!な、な、何とッ!太陽のような、松明(たいまつ)の灯りの数十倍にもなるような、開いた番傘の何倍もの大きさの、それはそれは、それはまん丸いお盆のような、、、」

「どんどん小さくなってる...」

キロがぶつぶつ言う。『ぺちん!』と、キロの頬を叩いてキッ!とするセロ。怖いのである。

「それで、どうしたの?」

「はいッ、それが突然に空高く上がると、もぉーー辺りが明るくなってキロの顔が不気味にはっきり見える程でした」

「それで?」

「はい、それが『バラバラバラぁああーーーンッ』と
皿が砕け散るように落ちたのです」

「今度は皿だって...」

キロはもの凄く小さな声で突っ込みを入れた。


ぺちん!


やっぱり叩かれた。


ぶーーーッ


「それで皆、気を失っていたの?」

「はい、面目ございません」

セロもキロもしゅんとして項垂(うなだ)れる。




つづく




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今回はコメ欄をお休みにします。水曜日は開けますのでどうか宜しくお願いします。

のくにぴゆう

大相撲 53 どアホ四人組

前回

ガスと大助はちゃっかり宇宙(そら)川の水に浸かり、若返ろうとしたり。セロとキロの親子は太陽だか、番傘だか皿だかがバラバラバラーーっんとなって気絶していたり。なんのこっちゃ?

喧嘩をしている二人に心温まるまま子と川太郎、二人はそんな親子をひしと抱きしめる。


はじまり、はじまり


「何なんだろぅ...?」

キュー助、不思議でならない。

「そりゃ、甲介の一世一代の最後ッペじゃねえのかな」

「だって、あいつは猫なのに?」

ノン吉が言う。

「まっ、狸じゃなくて良かったなあ」

ははは~、わしだったら死者が出てるわな」

狸兵衛が言う。


あははは


「あいつは今頃、死にもの狂いで逃げているだろうよ。どうするかな~」

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります

doaho.jpg

「あのぉー、五黄」

「うん?何だい、まま子」

「あたしが言うのも何だけど、甲介の奴きっと利根川を越えると思うの」

「人間界に逃げ込むしかないものな」

「うん。あたしも甲介には騙されて馬鹿な物を大分買ったわ」

「俺もだよ、姉様」

あたしもよッ!

お蜜が口を挟む。

「あいつには過ぎたるものを与えてしまった。もう少し、分を考えればよかった」

「この際だから利根の門を閉めるのはどうかしら?」

「それは構わないが、それをすると今現在に繋がっている人間界との道は閉ざされる事になる。そうすると大助が戻れなくなるぞ」

大助はそれを聞いて五黄の前に躍(おど)り出た。

五黄様!あたしは大助と申しますッ」

「ああ、オロの弟だろ?これでお前も想い残す事はないだろう、人間界に戻るが宜しかろ」

それを聞いてオロもガスもキュー助までも躍り出てきた。


五黄様ッ!


皆して口を揃える。

「どうしたんだよ?大助、言ってみな」

「はい、あたしは人間界には何の未練も執着もありません。兄ちゃんと離れるのは金輪際嫌です!!

それに初めてガスという親友が出来たんです。だから、絶対に戻りたくありませんッ!
絶対にイヤですッ!

「お前はオロみたいに残り河童じゃねえのに、、、」


お願いしますッッ!!


皆して大声を上げる。

「だけどこの世界に居るのなら人間のままじゃ駄目なんだよ、どうするの?」

「かッッ、河童がいいッ!

「ふふ。まま子、川太郎、国民が若干一人、増えるようだぞ」

「うれしや~」

「ありがたいこと」

「そうか、良し、わかった!それじゃ河童にしてやるよ」

「あのぉぉ、、、」

「何だ?大助」

「出来るのなら、兄ちゃん並みにピチピチに、、、」


わははははぁ~!


大爆笑になる。

「だって、弟の方がヨボヨボなんて、おかしいです!」

「仕様もねえなあー、年が年だから程々にしかならねよ」

「それでも今よりいいです」

「よし、いくよ」

「ちょっと、ちょっと待ったァーーーーガしゅもッ、ガしゅもー!」

「何だあ?ガスは河童だろうが」

「ガしゅも大助しゃんと一緒に『ピチピチ』の
ぴっちぴっち』にして下しゃーい!」

「ふふ。困った爺たちだねえ~」

「五黄しゃまには言われたくありましぇんッ」


ワハハハハー!


皆可笑しくて仕方ない。

「それじゃ、一辺にいくよ!」

五黄に『ふーっ』と、息を吹きかけられると大助は程々の爺河童に、ガスも程々若くなった。

わぁーーい!

ばんじゃーい!

喜んで騒いでる、この世界に良き河童が増えた。

「それでは、利根の門は後で閉めに行くとするか?」

「はい、それから川太郎」

「はい、姉様」

姉弟は五黄達に平伏(ひれふ)し深々と頭を下げる。

「此の度の事、われら姉弟の不徳が招いた結果、真に持って申し訳なく、、、」

「川太郎の命をお救い下され、此のまま子、幾重にもお礼申し上げまする」

「気にしてねえよ!なっ、それより頭を上げな。このまま終いにしてもいいが我らがここに居るのは良い機会と思い、色々な話しをしてみよう」

「はい」

「はい、お願いします」

「俺達が天宮に居た頃、『おもう様』『おたあ様』は本当に分け隔てなく育てて下された。そして我らに兄弟(姉妹)で治めよと国をお与え下された。

俺は藤平と、狸兵衛は狸七と、お風はお蜜と、そしてまま子と川太郎よ。だが、この河童国だけは他の国と根本的に違っていた。

なぜならば我らのように男兄弟でもなく姉妹でもない。違う葛藤が最初から存在をしていたのだ。そうであろう?川太郎」

「はい、俺は、俺は・・・何で俺だけ『兄様じゃないんだ?』って、ずっと思っていた。喧嘩は負ける事もあったけど頭じゃ負けない、それなのに・・・

どうして姉様を急に王として支えなきゃいけないのか?俺はどうしても納得出来なかった。これが五黄の兄様だったり、狸兵衛の兄様だったらそんな事は微塵(みじん)も思わなかった.....」

「まま子は川太郎の気持ちがわかっていたのだな?」

「はい、、、」

「だからといって、こうも暴走するかと思うが、、、まま子はお前に酷い事をしたな?」

「はい。『破裂』させられ『揚げ』られ、、、お陰で黒く縮んでしまいました」

「まま子はお前に己の力を見せたのよ」

「どういうことですか?」

「まま子なりに考えたのであろうよ。他国のように国造りをしなくてはならないのに、自分の言う事に一々反論し少しも協力しない、、、そんな処だったのではないか?」

「その通りです。俺は何でもかんでも逆らっていた」

「だから『あたしは王なのだから、お前をこうする事も出来るのよ』とな」

「やり過ぎました」

「ふふ。でもお前は妖力で川太郎を変えた訳ではなかったじゃないか」

「はい、妖力を使ったら元に戻せる自信がなかったし・・・」

「川太郎が泣いて謝ると思ったのだな?」

「はい。そうしたら治せばいいかなって」

「処がお前の予想外に川太郎は捻(ひね)くれ、まま子池と断絶した」

「はい」

「川太郎、お前はなぜまま子が王であるかわかっていなかったようだ。それが何より根本にある。思い出さないか?遠い昔、我らが此の国に参った時、兄弟(姉妹)で最初に行ったことがあるだろう」




つづく



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昨日から熱ブーで、訪問もままならずスミマセン。
今日も下がらないので寝ています。

大相撲 54 民草の種

前回

程々に若返った爺河童二人、至極ごきげんだ。五黄は良い機会と姉弟で国を治めることの大切さを説く。


はじまり、はじまり


民草の種!!


藤平が声を出す。

「ああッ、そうだった!種を姉様と一緒に蒔(ま)きました!」

「それでどうした?」

「はい、土を耕し、畝(うね)を作り、種を蒔いて・・・でも、俺が水当番の時は良かったけど、姉様は忘れたりしたから、お陰で芽がしおれたりして、、、

俺、頭に来ちゃって、『姉様は水当番はしなくていい!』って怒って、、、それから、毎日欠かさず水をやっていた。

そしたら、何だか知らないけど、ひょろひょろの茎になっていくんだ。幾ら水をやってもやっても・・・それでイヤになって放りっぱなしにしたんだ。

水だって暫(しばら)くやらなかった。でも少し気になって畑に行ってみた。そしたら何か、茎がしっかりして、ひょろひょろじゃなくなっていた。

土だってカサカサに乾いていたのに、、、そしたらその時、姉様がこそこそやって来たから、俺は急いで隠れたんだ。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
tamigusanotane.jpg


姉様はこう歌っていた。

『♪喉がカぁーラ・カぁーラ♪
土はカぁーサ・カぁーサ♪しっかりぃ~♪根を張りぃ~♪太くならないとぉ、
お水は絶対やらないよぉお~~だ♪』」

川太郎は、まま子の真似をして歌う。

「うちと同じよ」

「わたしのとこもそうでした」

えっ!お蜜も?藤平も?」

「そうよ。姉様なんか、少しも水やりしないで」

「わたしだってそうです。兄様なんて本当に非協力で、、、まま子は水やりをしただけでも偉いですよ」

「本当よ!姉様なんてたったの一回もしなかったわよ。逆に『水のやり過ぎだ』とか言われて、その上枯れちゃったから、内緒で天宮にもう一回貰いに行ったもの」

「えっ!お蜜も?」

「藤平も?」

「そうですよ。あたしも【おもう様】に『水のやり過ぎ』って、、、兄様にばれたら、『ほら見ろ!』なんて偉そうに言われるから兄様に内緒で...」

えぇーーッ!狡(ずる)いよ~ッ、そしたら藤平もお蜜も二度目だったの?」

「そうです」


ずるいーッ!


「狸七もそうだって言ってましたよ。【おもう様】は、まま子と川太郎だけは立派に育てて、偉いって」

「ぇぇえーーーッ!それじゃ俺達だけだったの?」

「ふふ。川太郎、これでわかったろう?」

「何がですか?」

「わしら長子はそのように大雑把(ざっぱ)なのよ。

それに比べて弟や妹達はきちんと守るし、きれいにそつなくできるのよ。藤平もお蜜も駄目ならば、さっさと次の新しい種を貰いにいったわ。

まずこう考えたのだと思う。『きちんと水やりをしているのに育たないのは種が悪い』とな、そうだろ?」

「そうよ」

「わたしもそう思いました」

「けっして、われらに訊こうとはしない」

「えっ?だって、サボってたんでしょ?」

「狸兵衛、言ってやってくれ」

「おお。よいか、わしらは教えられなくてもどうすれば、丈夫な民草が育つのかわかっているのよ」

「どうしてよー」

「だから王なのだ」


え゛っ


「間違いも多少はあるが、そのように端(はな)からできておる。種に最初の時だけ水やりをすれば、それでよかったのよ、草と変わらんからの。まま子が水やりをしたのも土が乾き切ってからよ。そうであろうが」

「うん、そうだったわ」

「お前達はわしらにはけっして尋ねなかった。『どうして茎がひょろひょろするのか?』とな。そして【天宮】で教えられた筈、わしらに『何故訊かなかったのか?』と」

「その通りです」

「そうだったわ」

「お前達は元より秀でた才覚が備わっておる。それ故、他者の言う事を軽んじる傾向がある。己の才覚に頼り、突っ走るのよ。

民草の種を何故、『兄弟姉妹で育てよ』と【おもう様】と【おたあ様】が言うたのかはここにある。そして、お前達は其れぞれの分を弁(わきま)えるという事を知った。

己の出来る事、出来ぬ事があることをな。長子が何故、国の王なのか?何故、妖力も己達より強いのか?違いに気付いたのではないか」

「ありがとう。狸兵衛、それで少しはお蜜も藤平もわかったのだな」

「そうね、すっかり納得した訳ではなかったけど、自分は姉様には敵わないと思った事は事実よ。だけどあたしの方が優れている処もあるわ。

あたしが久しぶりに帰ったら、狐国なんて収支も何もかもぐちゃぐちゃになっているし、変な輩は出入りしているしさ。勿論、あたしが一掃してやったけどね。お陰で今はキチンとしているわ」

「ふふ、藤平は?」

「わたしだってそうです。兄様はここに道路があって、村はここと、ここと、なんて勝手に決めるのはいいですけど、

それには国の主要道路は何本作って、枝の道は、他国との境に繋がるようにとか、もう細かい事の方が大変なのに後は知らんぷりなんですから、本当に腹が立ちましたよ。

でもいざという時、兄様は全て責任を取って下さいます。わたしが行き過ぎて間違っていれば教えてもくれます。

愚痴も猫一倍聞いてくれます。その内にわかりましたよ。『ああ、これが兄様と弟の違いなのだな』って、、、

兄様は『わたしの几帳面(きちょうめん)な性格をいかす仕事をさせてくれているんだ。だからわたしには妖力なんて必要ないのだ』とね。

最初はどうして兄様のように強い妖力がないのかと天の神様達を恨みましたもの。でも、わたしにはその能力がない変わりに違うものが与えられているってね。

色々な事がある度、兄様の凄さにも触れ漸(ようや)く納得できたのですよ。それだって、たまには
わたしのお陰さまだー!』って空に向かって叫びますもの」

「知らなかった・・・・」

川太郎は呟(つぶや)く。

「だって、今までこんなに話す事なんてなかったじゃない」

「そうですよ、わたしだって初めてですよ」

「川太郎よ、藤平もお蜜も自分達なりに葛藤があって今はこうしている。わかるな?」

「はい!」

「お前は己の王であるまま子を理解しようとはせなんだ、まま子も然りよ。まま子は姉である前に王であろうとした。

川太郎は弟である前に男であった。姉を何故、王としなくてはならないのか。そんな瑣末(さまつ)な事に囚(とら)われていたからこそ、

二人で立派に国を運営出来たものをみすみす別れ、足らぬ者が足らぬことをしていたから、国はこのようになったのよ。最初の民草はすでに違う種族に殆どがなっているらしい。

しかし、これからよ。全て居なくなった訳ではないのだからな。それに一人、ここに河童になった者もいるではないか」




つづく






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風邪も大分良くなりました、熱が下がると楽でございます。
ご心配をおかけしました。

のくにぴゆう

大相撲 55 大団円

前回


民草の種を育てた意味を知るとようやく川太郎も得心できた。


はじまり、はじまり



「はい、俺は本当に間違っていました。いじけて此の池に閉じこもり、己の能力を過信し、間違った事をしているのに恥もせず、、、

キロにもイヤな事を押し付けていました。オロにはすまなかった...それに大助にも、ガスにもすまなかった...そして国民に...本当に、本当に申し訳ない事をしてしまった、、、」

あっあたしもです!謝らない川太郎に腹を一方的に立てて、川太郎池に銭をやらずにいて、こんなに国民に苦しい思いをさせてしまった。

セロに『河童の数が減った!』と、言われるまで気が付かない程の愚か者でした。情けないです、、、」

「いいさ。まま子も川太郎も、もう一度やり直せばいいのさ」

「そうよ、わかってくれるわよ!」

そうですとも!

「セロは死ぬ程嬉しいですッ!


キロもですッ!


あっしらもです!こんな風にまま子様と川太郎様ののお姿が見れるなんて夢のようですッ」

他の河童達もうんうん頷(うなづ)いている。


遅くなりましたゎッ!


お風がぷりぷりして入って来た。皆、呆気にとられている。

「あら、姉様!」

「わたくしだけ、置いてけぼりなんですのょッ。ノン吉は藤平とサッサと行ってしまって、わたくしには声も掛けないのです!

失礼ですわょッ、お陰でわたくし大変でしたゎッ」

「俺、お風に言うの忘れてたわ」

「わたしも忘れていました。何せ久しぶりの変化でしたので、、、」

「わたくしだって、まま子や川太郎の事はとても心配していますのにッ、酷いですわッ!

「お風ー、ありがとう!あたし達って幸せね」

「お風の姉様、ありがとう。俺、大丈夫だから」

「それなら良うございました~わたくし安心致しましたわぁ」

「お風、お前何か持って来ているんだろ?」

「あら、知りませんわょ」

「ふふ。何だか外が騒がしいよ」

「ほほ。ほんの少しおささをお持ちしましたの。【金狐きんこ酒】をね。お目出度い門出におささは欠かせませぬもの」

「流石に王だけある!わかってる。さあ、皆で呑みに行こうぜ!」

五黄の命令で皆は外に出た。ほんの少しどころではない、屋敷の玄関は酒樽が積み上げられていて壮観である。

「はーい!皆、並んで並んでぇー、ちょっと~ちゃんと配るから、そんなに焦らないでよー」

桃吉とレレが樽の前で皆に酒を注いでいる。

「あっ!桃~、来てたのか?」

ノン吉が言う。


あたぼーですッ!


桃吉、ふてくされている。


桃吉がいるーーッ!


オロとキュー助。

「居ちゃ悪いですか?」

「あーぁ、怒ってるよ~」

「だって、俺が寝てる隙にノン吉兄貴も藤平様も出掛けちゃってさーッ!ねッ、レレちゃん」

「そうですよ、ひどいですよね。お風様に連れて来てもらって良かったです」

「そうだよぉ、ねぇえ~~」

二人で顔を見合わせている。

「よく飛べたなあ~、屋根から落っこちたんだろ?」

ゲッ


フンだッ!


「そんなに桃吉怒らないでよ~~ほら、大助だよ!」

オロは大助を紹介する。

え゛ーーッ?河童じゃーん!」

「はい。先程、河童にしていただきました」

「なんだあー、ヨボヨボ大助に会いたかったあ~」

「嫌ですッ、もうヨボヨボは!」


あははははー


笑いが絶えない。
其れぞれに酒が行き渡ると五黄が『えっへん!』と咳き払いをし、酒樽を二つ並べその上に乗る。皆に向かって挨拶をした。まま子と川太郎は前に出て項垂(うなだ)れている。

「河童国の者よ、聞くがいい。ここにお前達の真(しん)に求めたる王が居る。まま子と川太郎よ。姉弟は今までの事を水に流し、協力し合って此の国を守立てて行こうと誓っている。

なれど、此の国は王族姉弟だけで立てるものではない。お前達、民が居てこそ国と呼べる。二人は反省もし後悔もしている。許してやってはくれぬか?」


へいッ!


その時、大勢の河童達は一斉に平伏(ひれふ)す。皆、泣いた。皆、ただ、だだ泣いている。

「そうか、、、許してくれるのか、、、まま子!川太郎!良かったのー!まことに今日は目出たい!」


よぉーし!飲みまくるよーッ!


お蜜が元気よく声を掛けた。


わぁあーーーいッ!


挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
daienkai.jpg

皆、大喜びだ。そして大宴会が始まった。宴会の中にまま子、川太郎が入り、王族達も他の者達も入ると大宴会は最高潮に達した。

陽が昇れば、沢山の食事が出る。その内には、歌有り、太鼓有り、踊り有りと賑やかこの上ない。センの希望を入れて相撲大会も開いた。

五黄も狸兵衛も酔っぱらいながら相撲を取るものだから、直ぐにへたばる。

「ねえ、川太郎」

「なあに?姉様」

「あたし達って本当に幸せね!」

「本当ですね、姉様!これからは川太郎、一心に姉様をお支えしたいと思います。生意気も言いましょう、喧嘩もありましょう。なれどどうぞ宜しくお願いします」

「こちらこそ、足らぬ姉じゃが宜しくお願いします」

まま子と川太郎姉弟はこれで心配はいらないであろう。

「オロ~、良かったねー!(キュッ)」

「うんッ!俺夢みたいだよ~」

「きゅー助、少し寂しいけど...我慢するもんッ!」

「え?何を?」

「だって、オロは大助と暮らすもの...だけどきゅー助、ヒコも田平もいるから平気だもん、心配いらないもん」

平気でないから言うのである。

「馬鹿だなあ~、あれご覧よ!」

オロが指差す先にはガスと変な踊りをしている大助が見える。


カッパレ♪かっぽれ♪


あらぁ~エッサッさぁ~♪


ズンズンチャ~カ♪ズンズンチャカ♪



「大助はね、『ガスと一緒に医学の道を究めたい!』って言ってたよ」

「そうなの?」

「それにガスが『大助しゃんは連傘にしゅむ(住む)んでしゅ!』ってきかないのよー」

「二人とも、いい味出してるものね~」

「おまけに大助の奴ったら、『たまには兄ちゃん、遊びに来てねー』だって!」

「ぷぷぷ、可笑しい~(キュッ!)」

その頃、お風とお蜜は鹿車に乗ってこちらに向かっているお熊、お勢、こん吉を迎えに空を飛んでる。

「姉様ー!」

「なんですの~?」

「お熊達、怒ってるわよぉー」

「だって、三人も尾に乗せたら飛べませんわ~ぁ」

「レレは『一生の思い出っ』て喜んでいたわよー」

「ふふ。レレは軽くて助かりましたわ~」

「あっ、あれがそうよー!」

三人の狐達が馴れぬ鹿車に乗って揺られているのが小さく見える。

「暢気(のんき)な婆やと爺や。可愛いですわ~」

「あたし達のお宝ね!」

「その通りですわねぇ~」

狐国も又、心配ないようだ。そんな賑やかな川太郎池の様子を天空より見ていた者達がいた。

「あれ、この調子だと、ここには来ぬのかのお~」

「五黄が治めてしまいましたから」

「つまらぬわ~」

「ほんに」

「でも、まま子と川太郎は後で来そうですよ」

「そのようじゃ なれどつまらぬわ~」

「ほんに~」

天宮から覗いていた《陽の神》と《月の女神》そして《風神》と《雷神》であった。


附記

川太郎は真摯(しんし)にオロと大助に謝罪をした。二人は笑いながら言ったという。

「こうして兄弟揃って河童になれました。これからどうぞ宜しくお願いします」

その天真爛漫な顔、徳をもって怨みに報いたというとこか。川太郎はまた一つ教えられたようだ。

後にまま子と川太郎の二人は天宮に行き、神々に詫び教えを乞い、国を再建する事に全力を注ぐ。

川太郎に干物にされていた河童達は【宇宙川(そらがわ)】の水を飲み、元の姿に戻って元気にしている。

五黄とまま子に因り利根川の門は閉められた。甲介達の行方は不明のままである。



おわり




《ご挨拶》

これにて大相撲は終了致しました。
今の気持ちは嬉しさと寂しさがない混ぜになったよう...
不思議な感じです。
今から九ヶ月前に長い本編を終えた時とはまた違う感慨があります。
途中でお休みをしたり、体調を崩したりと、予定外の事もありましたが何とか続けられました。
それは間違いなく皆々様との楽しい交流やあたたかい応援が支えになり、パワーをたくさん頂いていたからだと思います。
幸せ者です。

次回からは短編と中編を中心にしたいと思います。

猫国は途半、まだお後が控えております(ぷぷ)
ですが長編を続けてアップしていたのでかなり疲れましたので、
また少しお休みを頂き、のんび~りしたいと思います。
尚、
ランキングを休まないと義理が立たず申し訳なくて休めませんので、再開迄は休止に致します。
訪問やコメが出来ないことが多々あると思いますが、どうか堪忍して下さいませね。

これからも末永く、ご贔屓下さいますよう衷心よりお願い申し上げます。
そして皆々様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げ、
ひとまず終了のご挨拶とさせて戴きます。

本当にありがとうございました。m(__)m


のくにぴゆう拝




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猫国の住民達の物語を書いています。
作者はコメを食べて生きてます。
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