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大相撲 41 大八車

前回


コロの精一杯のもてなしはそれぞれの心を打った。

オロときゅー助は狸国の民たちにこんな思いはさせないと・・・
セロとキロは自分たちの愚かさを思い知る。
ノン吉は何が何でも救うと決意を新たにさせた。



はじまり、はじまり



コロが落ち着くまで、皆は辛抱強く待った。

鍋の中は、数匹の魚とわずかばかりの米が踊っている。コロにすれば何日分にもなるであろう大切な食料を馳走している。赤々と燃える囲炉裏の火がいっそうコロを痛々しく見せる。

「コロや、悪いようにはせぬからその胸に閊(つか)えているものを話してみなさい。ここに居る者は信用出来る者ばかりだよ」

セロに言われコロは、ぽつぽつ話し始める。

「お袋とあっしの来た頃はここまでじゃなかったんです。まま子池との行き来もあったし、池もまだまだ綺麗でした。それなのに...年々すべてが酷くなるばかりで、、、今じゃ、こんな魚しか獲れないし、この米も配給なんですよ...」

「配給!?配給って、何日分なの?」

オロが訊く。

「へい。一年分です、、、」


え゛ッ!?


「ちょっと待ってよー!コロさん、このお鍋の中のお米の話なの?」

「はい。大事な大事なお客様ですから、これでも奮発しました!」

「これだけのお米がッ?一年分.....??

誰もが絶句した。一年分の米をすべて炊いたとしても鍋一杯の重湯ができるくらいであろう。

「いつの間にか、まま子池との行き来も無くなり、その内には目に見えて魚の質も大きさも落ちてきました。他国との売り買いも激減しました。

だってそうでしょう?こんな魚、誰が買うんですか、、、ダシにしかなりませんよ。

当然、川太郎様への税金も払えなくなりました。最初のうちは怒ってね、、、だけど怒られたって仕様がねえですよ、こんな魚しか獲れねえんですから。

あっしら河童は魚さえあれば生きていけます。だけどこんなのばっか食べてれば、力も出ませんよ、、、少しでも良いから『米粒が食いてえー!』って、【米食わせろ運動】が起きたんですよ。

そしたら、運動の首謀者達は捕まって吸い出し岩でカラカラにされちゃいました、、、でも、干物になった河童達の御陰で僅(わず)かばかりの米が配給されるようになりました。だけど、この米はこちらの物じゃないらしいんです」

「どういうの?」

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
daihachi.jpg

「へい。それがその少し前辺りから【何でも屋の甲介】がしょっちゅう出入りし始めていたんでけど、ある日、あの野郎がダイハチ車に米俵を沢山載んで来たんです。間もなく『川太郎様からのお情け米だ!』って米の配給が始まったんです。

だけど量も少ないし不味いんです。何か違う味がする気がしてね、、、それで、度々米を載んでは通る甲介に思い切って尋ねたんですよ。『この米は何処で穫れたものか?』って。

そしたらたまげましたよーッ、【人国】の米だって言うんです!」

そう言うとコロは黙り込んでしまった。ノン吉がコロに言う。

「コロ、お前ちっとも本音を話さないね。迷っているのかい?」

「えッ?あ、あっしは話してますよ...どうしてそんな事をおしゃるんですか、、、」

「だって、まるでお前は傍観者のような口振りだよ。違うだろ?積極的に関わっていたと云うより、お前が頭になってしていることが
あっただろう?ふふ、魂が俺に言ってるよ」


え゛ッ!?・・・」


「ノン吉様、コロに話しても宜しいでしょうか?コロにしてみれば正体を知っているのはこのセロめとキロだけです。言いたくともノン吉様達のご正体が分からぬ内には、明かせぬのも致し方ないと、、、」

「然(さ)もあらん。コロよ、俺はな、ノン吉。こいつはオロにキュー助だ」

「ノン吉って?【天翔猫あまがけねこのノン吉】様と同じ名前・・・でも河童だし、、、」

「ほら、驚くなよ」

サっ!』と手を顔の前で振ると猫のノン吉になった。


ぅゎわああーーーッ!!


コロは腰を抜かす程驚いた。

「あ~ッ、おいらも獺(かわうそ)に戻りたいなぁ~」

キュー助はのんびりと言う。

「お前は父ちゃんに変えられてるから、無理なの」

「ぶーッ」

「コロ、このお方は紛れも無い【天翔猫のノン吉】様よ。そして、お前オロ様の顔に見覚えはないかえ?」

腰を抜かしていたコロは、腰砕けの状態でズルズルとオロに近づくと顔をじっと見た。

じぃーーー


あ゛っ!


「俺の顔、覚えてた?」

「確かに、、、確かに見覚えがあります。でも・・・あっしが見たのはもっと、、、こんなにご立派な方じゃないしぃ、、、」

「少しは成長したのかな?」

オロは苦笑いをしている。

「オロ、帽子取ってみたら?」

「そうだね」

オロが帽子を取るとコロはまたまたビックリ!した。

頭の上の皿がキラキラと銀色に輝いている。それも眩(まぶ)しい輝きではなく、涼やかで目に優しい輝きで満ちている。コロは、久しく見ていなかった銀色の輝きに見とれた。





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大相撲 42 脱出

前回


鍋の中には一握りの米、痩せこけた魚。
切なくなるのは仕方ない・・・これが川太郎池の真実なのだから。

コロの本音を聞き出そうとノン吉が正体を明かす、オロは帽子を脱いだ。



はじまり、はじまり



「コロよ。このお方は、今や狸国の王【狸兵衛】様の弟様であられるオロ様よ。そしてきゅー助様じゃ。
この光こそ、真に王族の方が放つ光よ。わかるな?」

「はい。本当に...お心のままの美しい輝き、、、」

「コロ、われらがこの様に正体を明かしたのに免じて本当を教えてもらえるか?」

「はい、ノン吉様!コロめは嬉しくて胸が一杯です、、、いつか、いつか、必ずやお救いが来て下さるとコロは、、、コロは信じていました!」

「コロは俺達が来た理由もわかっているようだな」

「このコロ、伊達(だて)に川番をして来た訳ではありません。

キロ様のいつにないピリピリとした雰囲気、、、セロ様と暮らす為に舞い戻ったというのに少しも嬉しそうではありません。河童国の重鎮(じゅうちん)のお二方が『お供』と言った方々に逆に気を遣われているご様子。

そして、何よりもコロめにノン吉様が差し出された水筒です。河童の腹にポケットはありません。駄目もとで、一か八かで賭けてみました。例えこの命なくなったって惜しかありませんから」

「お前は・・やっぱりわかったの?」

「はい。でも、ここまでご立派な方々ばかりとは、、、嬉しい限りです!」

「それじゃ、まずはお前の話をね。それから俺達の話を聞いてもらおうか」

「はい。でも、何から話せば良いのか、、、」

そう言ったまま、コロは俯(うつむ)いてしまう。

「お前、国を出る者を手引きしてたんだろ?」


ぅぐッ・・・・


驚いたのはセロとキロもだった。ノン吉の思いもよらない言葉に驚いた。


なんと!?・・・」


知らなかった、、、」


「ふふ、考えれば直ぐに分かる事。

他国に流れた河童達はけっして着の身着のままじゃない。不思議にも財産を持って来ているのさ。
身一つならわかるけど、荷車ごとだよ。開道を通らなきゃ無理な話しよ」

「おっしゃる通りです。あっしがここの開道の担当になって随分になります。その間にどれほどの河童が逃げた事か、、、でも、皆好きで出て行く訳じゃねえんですよ。子河童達は何も知らずに嬉しそうにね...」

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
dasyuttu.jpg

コロは思い出すのか、詰まってしまう。

「でも、コロはどうして逃げなかったのかい?カナだってここを出る事を願っていたのだろう?」

セロが当然の疑問を言う。

「あっしが逃げたら後の者はどうするんですか?

あっしの後釜につく河童なんてどうせ碌(ろく)でなしですよ。おっ母にはすまなかったが、あっしにそんな無責任はできませんよ。逃げれる者は逃げた方がいいんです!こんなとこに居たって夢も希望も有りはしないんですから」

えらい!コロはなんてまーあ、見上げたものよ!それに比べてこのキロの大馬鹿者ッ!この根性なしの馬鹿河童ッ!情けなくて皿も渇(か)れるわいッ。

セロめも同罪です。まま子様にお仕置き部屋に入れられるくらいなもので、『自分の勤めは果たしている』等という、、、
えぇーいッ!勘弁ならないッ!!

そう言った途端にセロは自分で自分に渾身(こんしん)のパンチをした。


カッパぁーーンチ!!


「う゛ぅぅーーーん...」



気絶した。


セローッ!


皆が驚き駆け寄るとセロは白目を剥(む)いている。


父ちゃん!あたしもーッ!


キロもセロの真似をした。

カッパぁーーンチ!


ん゛ングッ、ぅぅーん...」


キロも気絶した。ノン吉達は余りの事に唖然(あぜん)とする、呆れるほどの似た者親子である。

「仕様がねえなあ~。この似た者親子は放っといて、コロ、続きを話してくれ」

「でも、、、宜しいのですか?」

「平気だよ。この方が五月蝿くなくていいょ~」

「キュー助の言う通り!」

「それでは、、、。あっしは、もう一つやっている事が有りました。それは、昔にガス先生に言われました事で、、、」

「ん?それじゃ、『心ある河童』ってコロのことだったの?」

「そんなー、あっしだけでねえですよ。あっしらはそりゃ用心していたんですよ。成る可くガス先生の処にはご厄介ならない様に、、、

それなのに、ゲンの体があんまり酷くなっちまったもので、よくよくじゃなきゃ行かせないつもりだったんですけど、
あいつもそのまま戻って来なきゃいいものを・・・

子供は必ず届けるからって言ってあったのに、あの馬鹿ノコノコと戻って来やがって、その上ペラペラと誰彼構わず話しやがって、、、」

「それで、後をつけられたんだ」

「へい。あいつの所為でガス先生が、、、」

「知ってたの?」

「ええ。駕篭(かご)に入れられて居やしたけど、中から『ガスを離しぇええ~~!』って特徴のあるお声が、、、」

「やっぱり、、、それで他は?」

「ええ。その前には、、、あれ人なんですか?チラッと見ただけなんですけど、皿も甲羅もないヨボヨボしたのをキロ様が連れて来てました。あんな種族をあっしが見たのが確か二度目。前に見たのは、、、」

「それは、俺だよ」

え゛ッ!?だって、そんな、、、」






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大相撲 43 話し合い

前回

コロの秘密が明かされると、一行にはその切なさ、辛さが沁みた。変な沁み方をしたのはセロとキロ親子。自分達に河童パンチをして気絶をする。


はじまり、はじまり     


挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
hanashiai.jpg

オロは自分が河童になった謂(いわ)れを、コロにかいつまんで話した(本編第七章参照)

「それなら、ここに立ち寄って下さりゃ、少しはお力になれましたのに、、」

「だって知らなかったもの。それに帰りはこことは違うとこから出たしね」

「そうなんですか、、、」

「コロ。そんな辛い思いをしているのに、オロは来てくれたんだよ。河童国を救う為にな。

このキュー助しかり、ここには居ないが知らせに飛んだ桃吉。そして自分達の行いを反省し、少しは役に立とうとしているこの親子もなっ」

「ノン吉様、コロは幸せです。ここに残っている者の中にもまともな奴もいます。そいつらにもどうか手伝わせて下せい。

次に生まれ変わる時に『河童になりたくない!』なんて情けねえ根性の奴ばかりじゃありませんッ、お願いです!」

「よし、それなら急いでそいつらと連絡を取って来い。この様子だとキロの案内で屋敷に入るのは拙(まず)そうだからな」

「ああ、それならキロ様なんかてんで駄目ですよー。この方は川太郎様にえらく怒られて謹慎(きんしん)という事になってますもの」

「そうなの?なんだー、ひと言も言わないから」

「キロ様は、あのよぼよぼの人を本当に労(いたわ)りながら歩いてましたよ。荷物も沢山背負い込んで、あっしにダイハチ車を用意させて、その上に乗せて行きましたもの」

「大助ぇ.....」

オロは呟(つぶや)く。

「だけど、コロはよく平気で開道してキロを通したね?」

「へへ。誰が聞きますかよ、そんな命令」

「ふふ」

「それにね、これなんですけど、、、」

コロは命令書と思われる書状をノン吉に見せた。川太郎の印もちゃんと押してあるので、ノン吉が見ても何の不備も見当たらない。

「これがどうしたのよ?」

「へい、ちょいと翳(かざ)してみて下せえ」

「うん。うーん?なにも変わりが有る様に思えないけど」

「へい。それじゃあこちらと比べてくだせえよ」

コロはもう一枚の書状を差し出した。

「うーん、、、どうしてもわからないよ」

「これはね、ここが違うんですよ」

一枚にはよく見ると印を押した後に針程の穴が開いている。翳さぬとわからないほどだが、最初に見た書状にはそんな穴はない。

「どういうことだよ?」

「へい、あっしが川番をする時に川太郎様がひそひそと言ったんです。『お前に言うとく。川番は大事な仕事。もしやして俺を騙(かた)って命令する者がいるかもしれぬ。

だから用心に俺は印を押した後、必ず針を通す。いいか?必ずそれを確かめるんだ」

「なんと!用心がいいこと」

「川太郎様は、この頃姿も見せねえんです。その上、ここんとこの騒ぎ。人が連れて来られるわ、ガス先生が連れて来られるわ、、、

特に勘弁ならねえのが甲介とか言う奴ですよ。河童の真似して頭の毛を剃って、『俺は川太郎様から全権を委任された!』って、言い出して、

ろくでなしの【カン、ツリ、ゴリ】の三河童を子分にしての阿漕(あこぎ)さには、我慢も限界だったんですよッ」

「わかった。そしたらお前は屋敷内がわかるのか?」

もちろんですよ!あっしの仲間が何もかも心得ているんで、少しでも屋敷に手が加わればあっしの耳に入ります。ここに地図が有ります」

コロは床板をはがすと油紙に包まれた物を取り出した。その地図の詳しい事にはノン吉も驚いた。

間取りはもとより、屋敷の何もかも。そして使用人の数や居場所、警護の数に配置まで詳細に書かれている。何より素晴らしいのは味方は【白丸】敵は【赤丸】どちらにもつくという者は【灰色】と色分けされていたことだ。中々気が利く配色だ。

「これは、恐れ入ったよー」

「へへ、便利でしょう?」

「でも、何でこんなに詳しく、、、まだ何か有るね?」

へい!あっしらは【吸い出し岩】に入れられた者達を救いたくて、、、」

「相手に気取(けど)られない様にする為には連携が必要だものね」

「へい。仲間の当番の時にやるしかねえんです。あいつらは干物が一つ減ろうが増えようが知ったこっちゃねえから、今じゃ【吸い出し岩】のそばにゴロゴロしてるのは只の木彫りの河童干物ですよ」

「すごい事をやってのけたなあ~」

「へへ。でも、あっしらには干物になった者は救えないんです、、、どんなに水に浸けても元には戻らねえんですッ、、、

カイもロクもテクも・・・あいつら【米食わせろ運動】の首謀者だ!って、俺達の為に犠牲になって・・・」

「よし、それは後でなんとでもしてやるさ。任せな!」

本当ですかーーッ!?そいつは何よりですよおーッ!」

「うん、それに【大助】も心配だし、ゲンもな」

「【大助】って誰です?」

「オロの弟なんだ」

「そうだったんですか!?それじゃ兎に角、急ぎましょうよ」

「おい!セロ、キロ、いい加減に起きなッ






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大相撲 44 好かれるわけ

前回

聞かされる川太郎の用心深さに、そしてコロの企みにも驚く。やはり河童族は中々賢いと大いに感心した三河童達。


はじまり、はじまり


腫れた顔のセロとキロは、ふらふらするのか、頭と頬を押さえながら起きた。


いだぁーい


ズッキンズッキンしてるー


「ふふ、似た者親子だよ、全く。お前らに言っておく。屋敷の案内はコロに任せる」


えーッ!?あ、あたしは?」


「お前とセロは死にもの狂いで村や町の者を説得しろ。ここで立たねば『河童国は滅びる』とな。そして、いいか!必ず大挙して屋敷に来い。

屋敷の周りを取り囲んで騒ぎ立てろ!逃げようとする者をけっして誰も逃がすんじゃない!
どうだやれるな?

セロもキロも背筋をピンとして、口を真一文字にしてノン吉達に平伏(ひれふ)す。

わかりました!セロもキロめも見事やってのけまする。ノン吉様、オロ様、きゅー助様、なにとぞご無事で!コロッ!頑張るのじゃよ」

「へい!そしたら参りましょう」

「ねぇ~食べていかないの?」

「こらッ、きゅー助」

「ふふ、『腹が減っては、、、』と言うものな。コロ、済まないけど馳走してくれ」

「へい、喜んで!」

コロが手際良く皆の茶碗に盛ると、きれいに鍋の中は空になる。お代わりが出来る程の量はまるでない。

茶碗の中にはふやけて千切れ、少しばかりの形が残った魚の欠片と箸で掬(すく)っても、掬えない糊化(のりか)した飯粒。それでも体は温まった。力も沸いた。

「美味い飯だった、ありがとうな」

「そんな、、、ノン吉様・・・」

「お前の心が入った飯は、どんな豪勢な食事より美味かったよ」


ぅゎわわあーーーーーんッ


コロは泣いた。

「きゅー助、お腹ぽんぽんになったよキュッ」

「俺も美味かったあ~」

「あたしも」

「あたしもです!」

「コロ、それじゃ行こうか?」

「はい!」

コロとノン吉、オロときゅー助は出掛けた。

「あっ、いっけねえー!ちょいと姿を河童にするのを忘れてたよ。お前ら、先に歩いてなよ」

「はあーい」

三人の河童はスタスタ歩いて行く。ノン吉は急いで小屋に戻ると自分の姿を河童に戻した。

そしてポケットから信じられない程の沢山の食材を台所に置いた。その様子を見たセロとキロは、ひどく喜んだ。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
sukareruwake.jpg


二人にはノン吉の優しさが心底嬉しかった。コロの前でそんな事をすればコロは傷つく。だが、後で台所を見れば喜ぶだろう。猫族が愛され、好かれる理由は上の者からして違うのだと沁みじみ思った。

「どうぞ、お気をつけて、いってらしゃいませ」

「セロ、キロ頼むぞ!」

ノン吉は矢の様に走って行った。

キロ!わしらも愚図ぐすしてはおれんぞーッ」

はいッ、行きましょう!」

二人も急いで小屋を出ると駆け出した。手分けして町や村の広場で一世一代の演説をするつもりだ。もたもた歩いている三人にノン吉は直ぐに追付いた。

「しっかし河童ってのは、のろまだねえ~」

「へ?そうですか?」

「きゅー助、駈けって行きたいけどこのカッコじゃ無理だもの」

「俺だって、速足のつもりなんだけど・・・」

「仕様がねえなあー、そろそろ陽が落ちるぞ。なあ、コロ、河童達は夜も遅くまで起きているのか?」

「とんでもねえですよ。油がもったいねえから、陽が落ちたらお寝んねですよ」

「なら、今は皆して夕餉(ゆうげ)でもしているな?」

「はい。皆、家の中ですよ」

「よし!」

ノン吉は『クルッ』と廻って猫に戻る。そして『バサッ!』と羽を出す。


ふぇええーーーッ!!おったまげたあ!


「ふふ。屋敷まではまだ何里もありそうだ。急がないと時間がねえ。いいか?俺の足にオロときゅー助は掴まれ、コロは俺が手で抱える。こんなに重たいのは初めてだぜ、ふふ」

「大丈夫なの?きゅー助、ご飯食べなければよかったよ~」

「ばーか、そんなの関係ねえよ、ほら掴まれ。コロ、俺はお前の背中から手を廻すからな」

「へ、へいッ」

「飛ぶのは初めてだろうが、安心しろ」

「きゅー助は二回目だよ~」

「はいはい、きゅー助もしっかり掴まってな」

「はぁーい」

「何だか、わくわくする」

オロは興奮している。

行くぞーー

はーい!

揃って返事をする。ノン吉はもの凄い力で『バサバサッ!』と上空まで一気に飛ぶ。


う゛ゎわぁーーッ


ひゃー!


ひぃ~~


「ふふ、いいか?根性出せよ」


ひゃーーい!


ノン吉は高く高く上がると、凄いスピードで川太郎屋敷へと向かった。





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大相撲 45 幸せ~~

前回



目の前に山と積まれた食材にセロとキロは目を丸くした。コロにまで見せる思いやりのある姿に、猫国の本質を見た思いがする。

ノン吉の元、今からすることがきっと河童国のためになると心から思えた。二人は勇躍し一目散に走っていく。



はじまり、はじまり




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コロは背中にノン吉の温かさを感じて至極気持ち良かった。ノン吉の毛は短毛だが驚く程柔らかい。

『生きてて良かったーっ』と思った。

大変なのはオロときゅー助。もの凄い速さによる風圧と、ノン吉が羽ばたく度に空気が玉になってオロ達を襲う。


ひいーーッ


ぐるびぃー


オロもきゅー助も『二度とこんな思いはたくさんだ』と思う。その内に、騒いでいた二人は黙り込んでしまう。

足にしがみ付くのに必死で口を開けると力が入らないからだ。いくら温(ぬく)もり玉が腹に入っているとはいえ、水の中ではない。

予想外の空を飛んでいるのだ、二人は意識が朦朧(もうろう)として来る。

しっかりしろー!もう少しだぞッ」

オロ様ぁー!きゅー助様ぁーッ、あそこです!あそこまでの辛抱でーすッ!」

コロも二人を元気づけようと必死に声を出す。

「?・・・・」

コロの声に気が付き、きゅー助が目を開けた。黒く大きな屋敷のシルエットが見える、灯りもまばらで幽霊屋敷のよう。

「オロッ、オロッ、見て見てー!後少しだよぉーッ」

「あっ?ああ見えるよ、、、頑張ろぅぅ、がんばろッ・・・」


オロッ!しっかりしてー!


きゅー助は痺(しび)れてガチガチになった手を離し、オロの背中に手をやる。きゅー助の片手の力が抜け、ズルズルとノン吉の足からずれていく。

「きゅー助ッ、きゅー助!両手で持つんだ!
頑張れーッ!



ノン吉様ーッ、あそこに!あそこにッ!


コロは屋敷の裏庭と思われる場所を指差す、手入れが行き届いていた時にはさぞや美しい庭園だったのであろう。

今は空から見ても木や草が枯れ見る影もない。ノン吉は急いで急降下したい処だったが、足に掴まっている二人を思いやり、ゆっくり優しく降りて行く。

『そっ』と地面に着地した。三人とも直ぐには立てなかった。オロときゅー助は凍え、足首をずっと強く掴まれていたノン吉は足に感覚がない。

「皆様ッ!大丈夫ですかッ!?」

「ああ。、、、へっ、平気さッ」

「おッ、おいらも、へッ、へッ、へ平気だだよッ」


ぶるぶる


「おッれ、れ、れ、もももッ...」


プルプル


「ここは裏庭ですから誰も来やしません。少しお休みしてて下せえ、あっしは門番のセンを呼んできますから」

「大丈夫なの?」

「へい、あいつは今日は徹夜のはず。信用出来る仲間です」

「それじゃ、頼むよ。少し休まねえと俺達使いものにならねえものな」

ノン吉は足を擦りながら力の入らない足を見せる。コロは張り切って走っていった。

「ノン吉兄さん、桃吉はちゃんと出来たかな?」

「そだよね、心配だよね~」

「大丈夫だよ、あれでもやる時はやるんだから」

「そだよね!おいら改めて桃吉に感謝したの」

「どうして?」

「うん。だってこんなに短い間、空を飛んでいただけなのに、おいらったら、からきし意気地がないよ。

其れに比べて桃吉は何日もおーてんと空を飛んで来たもの。その上おいらを助けてくれたんだもん」

「そうだったよなー、あいつすげえよな」

「ふふ、そう言うお前達だって中々だよ。おまえら、本当にいい友達だな」

「へへ」

「俺、河童になって本当に良かった!大助に誇れる」

「そうだな。まずは大助を救いに行こう!」

「でも、ガス先生は?」

「オロ、あの爺は元から乾涸(ひから)びてんの。吸い出し岩に引っ付かれても変わんないよ」

「ぷぷ」

「おいら、会うの楽しみー!干物先生に、、、」


ははは


三人が休んでいると走りよって来る影。二人だけかと思っていたら、意外にも大勢がこそこそとノン吉達の元へとやってきた。コロが嬉しそうに挨拶をする。

「ノン吉様、思わぬ嬉しい事が有りました」

「どうしたのよ」

「めったに集まらない味方たちが、不思議なことに今日は全員揃っています」

「まさに天の計らい、やれってことだな」

コロは大きく頷くと一際大きい声を出す。


こちらが『天翔猫のノン吉』様、
狸国の弟様の『オロ』様に、同じく『きゅー助』様だ!



「へいッ!」

返事をした河童はとても大きな体をしていた。顔は何だか岩みたい。

「へへーぃ、お初にお目にかかりやす。センと云うケチな河童です」

センは言ったきり、黙り込む。コロに言われて来ているのだろうがノン吉達に心を開いてない様子。そんなセンの心が分かるノン吉は琴線に触れることを言う。

「ふふ、俺はノン吉だよ。センは大きくて立派な体をしてるね。力も強そうだー」

「え?そんなあ~、照れちまいやすよ、、、」

照れて笑う顔は中々愛嬌がある。センは一辺でノン吉が好きになった、単純である。コロは他の者達を紹介するとさっそくノン吉達に報告をする。





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大相撲 46 セン

前回


ノン吉達には中々きつい空の旅だったようだが、コロには生涯忘れ得ぬ思い出になったろう。
無事に城の裏庭に着くとコロは張り切って仲間を連れてきた。

一際大きなセン、心を許してない様子。そんなセンにノン吉は嬉しいことを言う、途端に破顔するセン。



はじまり、はじまり




挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
sen.jpg

「丁度、いい処でしたよ。なっ、セン!話してみなよ」

「へい。あのー、あっしらゲンの野郎が吸い出し岩に入れられそうなんで、救い出す手立てを考えていたところでやした、へい」

そこにいた十人程の河童達が頷(うなず)く。

「いつもならね、あっし達に任せっきりだから木彫りの人形を放り込んで『ひいーッ』とか『ぎゃぁあーッ』とか、声を出していればいいんですけど、

今回はあの甲介の野郎が『吸われる処を見てみてえ』なんて言い出しやがって、、、もしも吸い出し岩にゲンが吸い付かれたら、カイ達みてえに水に浸けても戻りゃしねえ...」

「わかった、それでいつなんだ?」

「へい、『飯食ったら直ぐに来る』って言ってやした」

「それで、ゲンは?」

「へい、牢屋にぃ、、、」

「そうか、ゲンは牢屋か?それからお前達はガス先生と人の事、知ってるか?」

「へっ?そいつは初耳ですよ、まだ他にもいるんですか?」

「そうか、、、甲介達がお前達に内緒で事を進められるのかい?」

「うーん・・・あっ!そう言えばつい最近、『組み替え』とかいって、あっしら達に休みをくれましたよ。その時かな、、、?」

「セン兄い!きっとそうですよッ。だって『屋敷に居残るんじゃねえ』って、カンの野郎、そりゃぁー偉そうに言ってたもの」

「その時に、大助もガスも連れて来られたな、、、それでお前達、コロも言ってたけど川太郎に最近、会ってるの?」

「とんでもねえですよ。全くお見かけしねえんで、もっぱら甲介の奴が命令するんですよ。その上、川太郎様が居られる奥には立ち入り禁止なんですよ」

「そうか、わかった。それで仲間はこれだけかい?」

「へい、あっしら十人ばかりしかいません。後は甲介に媚(こび)を売る者と日和見(ひよりみ)な奴らですよ。何とも情けねえ話しですよ」

「そんなことないよ。此所に居る者たちは『心清き選ばれし者達』だろ」

えっ?またあ~、そんなあ~、照れちまうよなあ~、なあ~、皆あ~」

センも他の者もそしてコロまで、恥ずかしそうに頭の皿を掻いている。

カリカリ

「ふふ。頭数じゃねえんだよ、気持ちが大事なのよ。数ばかりいたって、気持ちに揺らぎを持っているような者が居れば、いざという時には何の役にも立たねえのよ。そうだろ?」

「はあー、なるほど~。さすがにノン吉様だ!コロは一々感心しますよー。」

セン達はノン吉を信頼の目で見つめる。

「よしと!それじゃ段取りを決めるかな」

「どうするんで?」

ノン吉達を囲んでひそひそと密議が始まる。話しが終わるとノン吉は皆を見回す。

「いいか?俺に河童のど根性を見せてみな!!


へいッ!!任せて下せえ!


その場のオロもきゅー助も河童達の真似をして返事をした。やる気満々である。そして、ノン吉達はセンの案内で屋敷に入って行く。

「センさん、今まで何処に行ってたのかい?甲介様がさっきからお呼びだよ。あたしに許しも得ないで、役目をなんと思っているのかね?」

大きな石造りの玄関は薄暗く、その中からひょいと顔を出した者がいる。センを待っていてイライラしていたのだろう、細面の油断ならない目つきの河童である。

「ああ、すまねえな」

センがそのまま黙って行こうとすると河童が声をかけた。

「それだけかい?あたしゃお前の上司だよッ、何様のつもりだよ!あれ?何か見かけない顔が、、、あ゛っ!猫?猫がいるーーッ!

ノン吉はまずったと思い、うるさい河童に当て身をくれた。一瞬だった。そいつは手もなく気絶する。

「おい、このぺらぺら野郎をどっかにふん縛っておけ」


へい!


がってんだ!


あっしが!


それなら、あっしが!


皆が我も我もと声をあげる。どうやら、かなり嫌われていた様子。

「この野郎は、カンの使い走りのネメの野郎ですよ。忌々しくて、いつかやってやろうと思っていやしたよ。あーぁ、気持ちいいわーー!

「そうか?そりゃ何よりだ、ふふ。これからもっと気持ちいいぞ!」

「へい!そしたら、ヨソ、おめえが連れて行け。猿轡(さるぐつわ)も忘れるなよ。俺達は地下の牢屋に行ってるから、後から急いで来い」

「へへ、わかりやした」

ヨソは憎々しげに気絶しているネメを横抱えをすると走り去った。

「ほほー、意外にみんなは力持ちだねえ」

「そりゃそうですよ。あっしら、先(せん)は相撲で鳴らした力士ばかりで」

「そうなの?俺も軽量級で今年優勝したよ」

オロがつい言ってしまう。

へえー!じゃ傘河童を倒しなさったの?」

「そいつはノン吉兄さんが飛ばしちまったよ」

「どう言う事ですか?」

「まあ、その話しは後にしようよ。今は違う楽しみが待っているだろ?」

ノン吉堪らなくなって話しを逸らそうとする。

「ああ、そうですね。でもあっしらも行きたかったですよー」

センは本当に相撲が好きなのである。川太郎池がこんな事になっていなければ当然、大相撲大会に出場していただろう。

「そうか、そしたら全部終わったら相撲をやればいいさ。父ちゃん達の最終戦はお預けだったしな」

「そりゃいいね!俺も何回しても楽しいもの」

オロも言う。

「きゅー助もやる~」

「本当ですか?そりゃ嬉しいなあー、体鍛えてて良かったあー」

「あっしもやろうかしら?」

コロまで言い出す。

「コロはセロとキロの爺級だな」

ノン吉は恍(とぼ)けてる。

ぶーーーッ


ははははは


皆、暢気(のんき)に笑い出す、センもコロも河童達も楽しかった。随分と笑っていなかった。笑う事すら忘れていた。

それがどうだろう?ノン吉達のそばに居るだけで楽しくて楽しくて浮かれて来る。

「さて、行くか!」

「ノン吉兄さん、猫のままじゃ又言われるよ」

「あっ、いけねえな」

ノン吉は『クルッ』と廻って河童になる。


ぉおおおーーッ!


驚く河童達。

「よーしッ、行くどー!


へえーい!





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あれから一年。
この日がこんなに哀しく辛い日になろうとは夢にも思っていませんでした。
衷心より亡くなられた方々に哀悼の意を捧げます。
そして一刻も早い復興を願ってやみません。

のくにぴゆう

大相撲 47 我慢

前回


セン達とも打ち解け、一つになった。後は火の玉か水玉にでもなって向かうだけだ。
やったるどーー




はじまり、はじまり    



セン達の勢いはすごかった。
我先に!とばかりドカドカと凄い音を立てながら地下までの階段を『アッ!』と言う間に何段も下りて牢屋に着いた。

「おめえ達、駈けっこじゃねえのによ」

「へへ、つい気分が浮かれちまって」

「まっ、いっか!楽しくいこうかね~」


へぇーい!


とてもこれから大変な事をする雰囲気ではないが、考えようによっては、緊張でガチガチになるよりリラックスしている方が何事巧くいく。ノン吉は河童達を見てそう思った。

「ノン吉様!あそこのドアの先に牢屋がありますッ」

「そうか、そしたら甲介のアホンダラを呼んで来い。俺達はここで待っているからよ」

「あのぅ、、、ゲンの奴は、、、?」

「どうせ、甲介が鍵を持っているんだろ?」

「へい、そうです」

「手下に開けさせればいいさ」

「へい!わかりやした」

河童二人が甲介の居る所に急いで駈けて行く。もの凄い勢いでネメを隠してきたヨソがやって来た。

「ヨソ、早いねえ~」

センが感心する。

「はあッ、はあッ、だって、あっしも参加してねえとッ」

「ふふ、参加する事に意義が有るものねえ~」

ノン吉はふざけてる。


げらげら


皆して大爆笑である。

元々、ノン吉の御陰で笑いの種が仕込まれてしまっている今の雰囲気、ちょっとした事で腹を抱えて笑い出す。

腹が捩(よじ)れるよぉーッ

ひぃぃいーーッ

腹が痛ぇえ~~!

ひぃっく、ひぃっくッ

ノン吉が「いい加減にしろ」怒っても聞く耳はない。


ノン吉様がおきょってるぅーッ


コロが余計な事を言うものだから、またまた大爆笑になる。あっちでゴロゴロ、こっちでゲラゲラ笑っている、仕様がない。

そうしているうちに甲介に知らせに行っていた河童が帰って来た。

「何?皆、どうしたのよ?」

ひぃいーひぃいッ」

センは話したくても声がでない、笑い過ぎて泣いてる。

「仕様がねえなあー、それで甲介の奴来るってか?」

ノン吉だけは平静である。

「へい!碌(ろく)でなしの三馬鹿も一緒ですッ」


ひぇーッ、三馬鹿だってぇ~


キュー助が一番、始末におえない。


ぐわッぁーー


ひぃーッ、止めてぇえー!


少しおさまりかけていたのに、三馬鹿という言葉に反応してまたまた大爆笑。リラックスし過ぎである。すると階段の上から偉ぶっている声がして来る。

「てめえは、何の取り柄もねえんだからよ、黙ってさっさとこの甲介様を案内すりゃいいんだよッ」

「すみません」

笑っていた河童達がその声を聞いた途端に顔色が変わる。

「ちきしょーッ・・・・」

「ふふ、ご登場だよ。いいか?手筈通りにな」


へいッ!


オロもキュー助もコロも他の者達も『ピッ!』と心張り棒が入った。ノン吉達はセン達の後に隠れる。

何も知らずに甲介と三河童のカン、ツリ、ゴリは反(そ)っくり返る様にしてやってきた。セン達はぐっと堪(こら)えて頭を下げる。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
gaman.jpg


「ふふーん、いい心掛けだな」

「セン、頭(ず)が高いよ。お前はでかいんだから、他の者よりもっと余計に頭を下げなきゃ」

カンがセンの頭をぐいぐいと下げさせる。ツリが頬をいやらしく叩く。

ペチンペチン

「すぃ、ゃやせん、、、」

センは悔しさを我慢するのに手を固く固く握りしめた。あんまり強く握るので爪が皮膚を突き破って血が滴(したた)る。

ノン吉は後からセンの手から滴る血を見ていた、オロもキュー助も見ていた。我慢も何も、手筈も何も、そんな事は頭からブッ飛んだ。

堪えられない我慢をしているセンを突き飛ばす様にして三人は甲介の前に躍り出た。

てッ、めぇええーーーッ!

堪忍ならねええーーー!


ノン吉は一瞬にして元の姿に戻った上に大変化した。オロもキュー助も三馬鹿達に掴み掛かった!!驚いたのは甲介達である。

いつものようにヘラヘラしていたら、忘れもしないノン吉が急に出て来たのである。気絶する程恐ろしく変化して。


ぎやぁあああーーーッ!
ごッ、ご勘弁をーーーーッッ!



腰の抜けた甲介は逃げようとしても立てずにあわあわと壁に縋(すが)り付く。その甲介をガツン!と一発ノン吉はぶん殴る。

「うぅぅ~~~ン、、、」

三馬鹿のカン、ツリ、ゴリは、オロとキュー助に殴り倒されていた。呆気にとられたのはセンやコロである。
何が何だか分からないうちに終わっている、気が付けば甲介達は気絶している。


すげえーッ!!


ノン吉は変化をなおし、ニャコニャコして振り返る。

「へへ、やっちまったよ~、センが我慢してるの見てたら堪んなくってよ~」

「ノン吉様、、、あっしは嬉じいぃぃーッ!

「どうして、大したもんだー!やっぱりあっしらとは桁が違うねーッ」

「コロは面白いね」

キュー助は楽しい。

「さてと。鍵を頂戴しな」

「へい!」

センは甲介のポケットから鍵束を取り出すと、まずはドアを開けて入る。暗い部屋がいくつも並んでいる。中から呻(うめ)き声が聞こえる。ノン吉は灯りを持って来させる。

パッ』と、明るくなると濡れて黒々とした石の壁、古びている牢屋の格子がどこまでも並んでいる。先には光も注さない。

その陰惨な風景にキュー助もコロもぞっとする。光りに反応して牢屋に居た者達が騒ぎ出す。


開けてくれえー!


助けてくれーッ!


「片っ端から開けてやれ!」

「へいッ!」

セン達は急いで手分けして牢屋を開ける。


大助ーーッ!大助ーーッ!兄ちゃんだよーーッ!


オロが叫んで廻る。


ガスーー!いたら返事しろーーーッ!


ノン吉が大声を出す。二人の元にコロが皮膚病が酷い河童を連れて来る。


つづく







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meruron2.jpg
Mi casa
メルロンちゃんが創っているステキな「さをり織り」を戴きました。
実物はもっと春のイメージできれいなんですよ。
アップするのが遅くなってしまって、ごめんなさい。
カメラが調子が悪く修理に出していました。
生姜の佃煮や金柑の甘露煮、とても美味しくて幸せです。
そしてお菓子も頂いたのに食べちゃいました。
へへ
他ブログにお引越しをされて間がないのですが、さをり織りは勿論、
お料理やワンニャンが楽しい、素敵なブログです。是非遊びに行って下さい。


muranana3:14
マスク&雑貨♪気ままにステッチ日記
むらななちゃんにまたまた、可愛らしいプレゼントを戴きました。
可愛いがま口は手作りなんですよ、いつも思うのですが、アップリケの配置が絶妙なのです。
それに手作りのクッキー、猫ちゃんのブローチ。
このブローチはむらななちゃんのリンク先のお品だそうです。
いつもありがとう。
私のバッグの中にはいつもむらななちゃんグッズが一緒です。
がま口はカード入れにしています。
ステキなホワイトデーになりましたぁーー
是非、皆様も遊びに行って下さい、可愛らしい小物で溢れています。

大相撲 48 城攻め

前回


いびられるセンを見ていて我慢できなくなり、ノン吉達は一発で甲介達をのシテしまう。感心するセン達に照れるのもいつものことだ。そして鍵を奪い、牢屋を開放した。連れてこられた一人の河童。



はじまり、はじまり



「ノン吉様だよ!」

「あ、ありがとうごぜえやすッ、、、命拾いしやしたッ、、、」

「ノン吉様!ゲンです、どうかお言葉を」

ノン吉はその痛々しい姿に声が詰まる。

(ゲンはガス病院で快方にむかっていた、だが川太郎池に子供を残していたのが心配で様子を見に行く。

そこで良くなったことを誰かれ構わずに話したことがガス誘拐の一因となってしまった。

ゲンはその後、甲介達に捕まり牢屋に入れられる。折角良くなった皮膚病は以前より酷い状態になっていた)

「ゲン、、、よく我慢したね、痛かったろうにね、、、」

ゲンはノン吉の優しい言葉に号泣した。ノン吉とコロやキュー助は労(いたわ)る様にそっと背中を撫でてやる。

「こんな忌々(いまいま)しい所から出してやるからな。それから他の者達にも訊くが、ガスや人を見なかったか?」

よれよれとセンに抱えられる様にして姿を現した者がいた。

「ノン吉様、こいつは俺の従兄弟のダシです。ダシ、ノン吉様に言ってみな」

「へいぃ、、、いつだったか忘れましたが『人』って言うんですか?あっしらみたいに皿も甲羅もねえ、よぼよぼとしたのを連れて来てやした」

大助だーーッ!!それでッ!?それで大助はどうしたのッ!まさかッ、まさかッ、もしやしてッもしやして吸い出し岩にぃいいーーーッ!

オロは気が狂いそうになっている。キュー助が急いで駆け寄る。

オロ!しっかりしろッ、まだその先を聞いてないだろッ」

「オロッ!大丈夫だよッ!大丈夫だからッ!
ぜっッたい大助は無事だよッ!

キュー助は倒れそうなオロを支える。

「・・・・」

「ダシ、その先を話してやってくれ」

「へっ、へい。あのぉ、、、そのお方は三日程ここに居ました。だけど、その内にゴリの野郎に連れて行かれました」

あの野郎ぉおーッ!引き摺(ず)って来いぃッ!」

「へいッ!」

どかどかとセンが勢いよくドアを開けて、周りを見回すと何故かゴリだけがひっくり返ったまま気を失っている。


あ゛ーーッ


センの声に驚いて皆がドアの方を見る。

「居ねえですッ!気絶してるゴリだけです!」

「ふん、逃げやがったな」

「追い掛けますッ!」

「いいさ、かまやしないよ。どうせ逃げられやしないのさ。それよりゴリとか云う、スットコドッコイを連れて来なよ」

「へいッ!」

センはゴリを抱える事も出来るのに『ガっサン!ゴっソン!』とわざと乱暴に引き摺って来た。ゴリはあっちに足がぶつかり、こっちに頭がぶつかり痛さで気が付く。

「ひぃッひぃッ、ご、ご、ご勘弁をーーッ、たしけてッ、たしけてぇッ」

「うるせいッ!!何が『たしけて~』だよッ!馬鹿やろうッ」

センはごちんと殴る。

「おい!お前は人を何処に連れて行った」

「へっ?」

「早く言わねえか、この野郎ーッ!

オロが言う前にキュー助が先に言う。

「おいッ、しゃべらないと吸い出し岩に引っ付けるぞ!」

コロが言う。

「わっ、わかりましたッ、あの、あのよぼよぼはガス先生のとこに、、、」


何だってえーッ?


これにはノン吉も驚いた。

「ノン吉兄さんッ!早くッ!早く行こうよッ!!

オロは居ても立ってもいられない。

「よーしッ、行くどーッ!

「ノン吉様!こいつは?」

「ああ、吸い出し岩のとこにでも放り込んでやりな」

ひゃぁああーーッ!そッ、そッ、それだけはッ、それだけはご勘弁をッ、ご勘弁して下さりませぇえーーッ!!

ゴリは土下座してそこら中を向きながら拝んでいる。

「何でそんなに厭がるのよ?てめえの命は惜しいかい?てめえはこのゲンを吸い出し岩に引っ付かせるのを見に来てたんじゃないのかい?」


ひいーーーッ!


「何とか言えよッ」


ひぃぇえーーーッ!


「セン、連れて行きな。こいつが『チューチュー』吸われるのを皆で眺めるがいいさ」

「へえ~~い!」

センはにやついてる。


ひゃーッ!ひゃぁあーーーッ、やめてッ、やめてーッ!


ゴリは半べそだ。

「ノン吉兄さん!やめて!お願いだから、やめて。俺と同じ思いを・・・させないで...」

オロが止めた。止めたオロも何故なのかわからない。大助に酷い事をしたゴリを庇(かば)う事になるのに思わずそう言ってしまった。言ってから下を向くと黙ってしまう。

キュー助はそんなオロの手をそっと握る。(オロの気持ち、わかるよ...)ノン吉はそんな二人を見て嬉しくなった。

「桃は幸せだな。オロとキュー助、いい奴らじゃねえかよ。俺はむちゃくちゃ気分がいいぞーー!
ニャ~~~!
よし、オロに免じてこのアホンダラは助けてやる。セン!そこらに放り込んでおきな」

「へーい」

「ノン吉兄さん、、、ありがとう」

「ばか、礼なんか言うなよ、俺こそ嬉しいよ。なぜってよ、お前の心が嬉しいのさ」

ノン吉は茂吉と同じ様に魂も心も見える。オロとキュー助の魂は光り輝き癒される輝きに満ち溢れている。

「閉じ込めやした!」

「それじゃ、ガスと大助を救出するどー!えいッ、えいッ


おーーーッ!


オロもキュー助もコロもセンも、他の河童達も拳を振り上げる。センを先頭にし、階段を駆け上がると外から大きな声が聞こえる。


ぐゎわわわぁぁーーーん


その声は屋敷中に反響して何が起きているのかわからない、耳を澄ますと少しは聞き取れた。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
shirozeme.jpg

うわーーーッ


やってやるぅーーッ


キロ様に従えーッ!


セロ様ーーッ!


ノン吉はその声を聞いて『にやり』とする。

「ふふ、ようやく来たようだな」

「ノン吉様、何が起きているんですか?」

センは訳も分からずに心配してる。

「ふふ、セロとキロだよ」

「えっ?セロ様って?まま子様の爺やの方?」

「そうだよ」

「どうして?」

「あのな、俺が来ているだけでも想像つくだろうけど、これはもう川太郎池だけの問題じゃないのさ。今に五黄の父ちゃん、そして多分まま子も来る」

え゛っ、そうなんですかッ!?」

「ああ、それでどんな形で決着がつくかは知らないがお前達の苦労は報われるよ、安心しな」

「ありがてえ!有り難くてたまらねえ、だからセロ様もいらしゃっているんですか」

「そうよ。キロと一緒になって河童達を奮い立たせたんだよ。さすがに長生きしてる爺さん達よ、その気にさせるのが巧いや」

「ノン吉兄さんの方が爺さんなのに」

オロが言う。

「いいの、見た目からして俺の方がピチピチしてるんだから」

「はははは」

「そんじゃ、もう一回!えいえい


おーッ!


ノン吉も中々である、セン達を十分その気にさせている。勇気百倍の河童達は屋敷の奥へと駈けて行く。



つづく



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大相撲 49 ガスと大助

前回


セロとキロの大演説のお陰で民衆は蜂起した、これでよしとニヤつくノン吉。そしてオロの優しさが皆の奮起を一層呼ぶ。急いで奥に向かう顔はどこまでも明るい。



はじまり、はじまり    



この屋敷は和洋折衷(せっちゅう)である。

玄関と広間は洋風で天井が高く、大きなシャンデリアがつり下がっている。川太郎が居る奥に行くには広間に出て二階に上がり、大きな樫のドアを開ける。

そして長い廊下を通って行くとやっと奥に辿り着く。先頭のセンが鍵を開けられずに困っている。

「ほらよ」

ノン吉は手もなくドアごと外してしまう。その馬鹿力と一瞬の出来事に皆、唖(あ)然とする。


行っくどーッ!


へえーーいッ!!


今度はノン吉を先頭にして長い廊下を駈けて行く。


ドタドターッ、ドタドターッ


一番奥の部屋に辿り着くとノン吉は鍵も何もお構いなしにドアを蹴破る。


ガッ、シャヤヤーーン


もの凄い勢いで部屋に入って行くと部屋に居た者達が驚いて腰を抜かしていた。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
gasdaisuke.jpg


しゃぁッーッ!何しゃぁああーッ!


ガシゅぅしぇんしぇぇーいッ


二つの影がお互い抱き合って震えている。

ガス!助けに来たぞーッ」

ノン吉が声をかける。

あっ!ノン吉しゃまぁーッ!大助しゃん、ノン吉しゃまですよッ怖くないですよッ、だから目を開けて」

何ぃーい?そのよぼよぼが大助?」

後の方にいたオロとキュー助がセン達を掻き分けて前に出る。


大助ぇええーーーッ!


オロが泣きながら大助に抱きつく。

大助は最初訳も分からなかったが、確かに聞き覚えのある懐かしい声。遠い幼い日、自分を呼んでくれた優しい兄の声。

「兄さん?兄さんなの?兄ちゃぁああーーんッ!


大助ぇえーッ、大助ぇえーッ!


キュー助もノン吉もコロも事情の知らないセン達も泣いた。ガスは大助から聞いていたのだろう
およょーん、およょーん」と大泣きしている。

余りにも長い間、会えなかった兄弟。

オロは家族の為に河童になり、大助は兄に会いたくて今まで生きてきた。

キュー助は抱き合って泣く兄弟を見ていて少しだけ寂しくもあったが、それよりもオロの泣いて喜ぶ顔を見て嬉しかった。

ノン吉はそんなキュー助の肩を抱くと微笑んだ。

「キュー助の友達が増えたな」

「えっ?そっか!そだよね~、キュッ」

「そうさ、大助もオロと同じくらい良い友達になるのさ」

「うん、ありがとう!ノン吉兄さん、キュッ」

「ふふ。さてと、、、ガス、いい加減に泣いてないで話しがあるだろ?」

「ふへ?だってだって、オロしゃんと大助しゃんの泪の再会でしゅ、ガスは嬉しゅくて嬉しゅくて、、、」

「ガスはいいねえ~、幾つになっても若くて」

「当然でしゅ。ノン吉様よりずぅーーーん!と、若いでしゅ」

「ふん、皆して俺が年寄りみたいな事言って」

「だって、本当だものね~キュッ」

キュー助が笑って舌を出す。その場に居た者達が笑う、オロと大助も笑う。

「ガスはここで何してたのよ?」

「川太郎しゃまを大助しゃんと一緒に看てました」

見るとその部屋には様々な医薬品に漢方薬、すり鉢、やげん等があってちょっとした研究室のようだ。

「川太郎は?」

「はい、隣のお部屋でしゅ」

「よし行くか!」

ノン吉が隣の部屋に行こうとすると、ガスが思わぬ早さでノン吉の前に立ち塞(ふさ)がる。

「ガス、どうしたのよ?」

「ノン吉しゃま、どこに?」

「どこにって、あの野郎にな」

「そりはなりましぇん

「何言ってるのよ」

「あのお方は今や死の病いに取り憑かれておりましゅる。ガスも大助しゃんも手を尽くし、お救いしようとしましたが無理で御在ましゅた。

何卒、安らかなご最後を...」

「?゛死ぬってことか?」

「はい、王族なのに真に持って不思議で御在ましゅ。ですが確かにあれは死の病いでござりましゅる。なじぇ(何故)そうなったのか...原因が皆目、見当も付きましぇん、、、」

「そうか、、、やはりな」

「ノン吉しゃまはおわかりなので?」

「狸七(りしち)と同じなのかもな」

え゛っ!それじゃ川太郎しゃまは普通の河童にッ!?」

その時、隣の部屋が開いた。

「そのようだな」

五黄が答えた。


あっ、父ちゃん!


五黄を突き飛ばす様にしてお蜜が前に出てきた。


ガスぅうーーーッ!


あっ!お蜜しゃまぁあ~~~ッ!!


二人が抱き合って泣いている。ちょっとカッコいい事言っていたガスなのに、お蜜の顔を見た途端に子供の様に泣いている。

「お蜜しゃまぁぁ~、ガスはお蜜しゃまの大切な眼鏡をヲーーーッ」

「いいのよ、いいのよ!そのガスの機転でわかったのだもの」

「わぁ~ん!怒らないでしゅか?」

「怒る訳ないでしょ」

「しょんなら、褒めてくだしゃーいッ!」

やってられないのである。この二人は放っておこう。

「父ちゃん、いつ来たの?」

「今だよ。ノン吉おいで、他の者は遠慮しな」

「五黄様!桃吉は?」

オロが言う。

「ふふ、ちゃんと知らせて来たよ。又、落っこちて来たけどな」

「え゛っ!大丈夫なのー?」

キュー助が言う。

「あいつは天宮から落ちたとしても死なねえよ」

「ノン吉」

「はい」

五黄はノン吉と部屋に入るとバタン!とドアを閉めた。


つづく






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大相撲 50 川太郎の病

前回


大助と感動の再会を果たしたオロ。ガスと大助の二人は川太郎を診ていたという。川太郎の病とは?五黄がノン吉を部屋に招き入れた。


はじまり、はじまり


「あっ?あたしもーッ!」

「お蜜しゃま、待ちましょうよ」

「?そうね、、、うん、そうするわ」

川太郎の寝室は凡(およ)そ百畳はあるかもしれない。

薄暗い部屋の真ん中に布団が『ぽつん』と一つ。白絹の布団に黒々と縮れてる川太郎が寝ている。ガリガリに痩せ水気のない干物のよう。

枕辺にまま子と狸兵衛が居る。

「声を掛けてやんな」

五黄がまま子に言う。

「うん。川太郎、、、川太郎!」

呼吸は荒く『ぅぅうん、、、ぅッ、ぅぅん、、、』と、魘(うな)されているのか、苦しそう。だが、まま子の声に反応して目を開けた。

「だッ、れッ、だ、、、」

「まま子よ」

「姉さん、、、?か、、、俺が死ぬのを見に来たのか、、、」

川太郎は目を瞑(つむ)る。

ばかッ!そんな訳ないでしょッ!」

「・・・ぅッ、、、ぅぅん.....」

川太郎の病いは体だけではない、心の病いが川太郎を蝕(むしば)んでいる。五黄は苦しそうにしている川太郎の額に手をやる。すると川太郎の息が少し楽になって来る。

「かっちゃん、久しぶりだな」

五黄は昔からの呼び方で川太郎を呼ぶ。

「兄さまッ、、、ごッおぅッの五黄の兄様なの?、、、」

まま子には冷淡に答えるが五黄には素直になる、天宮に居た時と同じ様に五黄を呼ぶ声は昔のままだ。

五黄を慕っていた川太郎と変わってはいなかった。五黄は狸兵衛を見る、狸兵衛も同じ気持ちだった。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
kawatarounoyamai.jpg

「ふふ、狸兵衛もいるぞ」

「本当なの?狸兵衛の兄様も?」

「ああ、そうだよ」

「かっちゃん、久しいの~」

「ぁああ、本当だッ、、、本当に兄様達だぁぁ、、、」

川太郎の目から涙がポロリと一粒。干物のように乾ききった体にまだ水分があったのだろうか。

「ぁっちゃんは、、、?」

「会いたいのか?」

「うん」

「ノン吉、藤平を連れて来てやってくれ」

「わかった!」

ノン吉は自分が呼ばれた理由がわかった。

隣の部屋で『藤平を連れて来い』と言われても聞かなかったろう。だが、川太郎の姿を見て納得した。そして黙って部屋を出て行く。

「かっちゃん。お前、自分がどうしてこうなったのか知っているのかい?」

「知ってる...」

「それなら、訳を教えてくれないか?」

「兄様には話したい、、、でも姉様に聞かせるのはイヤだ」

「そうか。まま子、かっちゃんの願いだ、部屋を出てけ」

「いやよッ」

「まま子、今は堪(こら)えなさい」

まま子は狸兵衛に体を押されて部屋を出されてしまった。

「まま子はもう居ないよ」

「そぅ、、、、、」

五黄も狸兵衛も黙っていた。

「兄様達に会いたかった、、、とってもとっても会いたかった...藤平も狸七もいいなぁぁ、、、狸七は馬鹿だよね」

「どうして?」

「だって、狸兵衛兄様に逆らうのだもの、、、狸七は馬鹿だよょ.....」

「かっちゃんは、狸七の事を知っていたのかい?」

「知ってた...甲介の奴がぺらぺら話していたょ...」

「そうか。でも、今は二人の弟が出来たよ」

「ぅン...いいなぁぁ、、、オロとキュー助だろ」

「よく知ってるな」

「だって、兄様達は俺の事なんか気にもしてなかったろうけど、俺はいつも、いつも気になっていたもの...」

「気にしていてくれたのか?ありがとうな」

「ううん、いいんだよ...俺の勝手だもの...」

「なあ、かっちゃんよ。俺はお前を救いたい!今のお前は苦しそうだ、いいだろう?」

「どうして、、、?俺がこうなったのは報いなんだよ、仕方ないの...」

「かっちゃん、わしはお前まで失いたくはない!狸七は事切れていて救いようがなかったのよ。頼む!生きようとしてくれ!」

「兄様達は昔と一つも変わらないね、、、俺の事を思ってくれる...俺がどんなに悪い事をしてたのか、訊かなくていいの?...」

「いいさ。お前はもうわかっているのだろう?」

「兄様、、、俺はどうすればいいのかな、、、」

「かっちゃんはどうしたいの?」

「・・・・俺...もし、、、許されるなら...国を建て直したい、、、それに...姉様とも、、、こんな国にしたのは俺なんだけど、、、許されるならッ許されるものなら・・・・・・・」

「かっちゃん、まま子もそう思ってここに来たんだよ。お前に許してもらおうと思ってね。そしてもう一度、姉弟で国を建て直そうとね」

「兄様、、、本当なの?」

「本当だよ」

「狸兵衛兄様ッ」

「五黄の言う通りだよ。わしらが今までかっちゃんに嘘をついた事があるかい?」

「ないッ、一回もないッ」

その時、部屋のドアが開く、そっと藤平だけが入って来た。

「兄様」

「かっちゃんがお前に会いたいとさ」

藤平は信じられない程の超特急でノン吉に連れて来られた、ノン吉は変化して飛んで来た。藤平もノン吉から事情を聞くと変化した。

そして矢の様に飛んで来たのだった。


つづく





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プロフィール

 のくにぴゆう

Author: のくにぴゆう
猫国の住民達の物語を書いています。
作者はコメを食べて生きてます。
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