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大相撲 31 皆の助け  

前回



お蜜と子分たちの温かいやり取りに寂しさを感じるまま子・・・初めて己を振り返る。何も無いことに気がつくと涙が溢れてきた。慟哭(どうこく)をするしかなかった。そんなまま子に幼子が差し出す一粒の飴。心まで溶かす甘い飴にささくれた気持ちが癒される。



はじまり、はじまり



「まま子ーぉ!まま子ぉーっ!

お蜜は肩をパーンと叩いた。


まま子!


「はっ!な、何?」

「いやぁねぇ~、何回も呼んだのに聞こえなかったの?」

「あたし、ボーっとしていて、、、あたし...あたし...

うッ、ぅゎわああーーーーん!!

プライドも何もかも捨て大泣きをする。お蜜は黙って肩を抱いてくれる。泣き止むまでにかなりの時間が必要だったが辛抱強く待つ。

まま子はあんまり大泣きをしたものだから、子供のようにシャクリ上げている。お蜜は黙ってタオルを差し出す。

「あッ、あたしッ、ふぇッふえッ、ふぇッ」

「まま子、久しぶりに大泣きしたんじゃないの?」

「そおなのッ、ひぃぇッく、ひぃぇッく」

「泣くと、すっきりするわよ」

「そッ、おなのッ、ひぃぇッく、ひぃぇッく」

「ふふ、そおなのよ。あたしも経験してるからよくわかってるわ。だから落ち着くまで喋らなくていいの、こうしていよう」

「・・・・」

まま子は思い出した。

昔むか-し、天宮にいた頃はよくお蜜と喧嘩をしていた。泣いていると、いつの間にかお風がそばに来て慰めてくれた。喧嘩していたお蜜も心配してそばに来てくれた。『あの頃のあたしは泣き虫だった。いつも泣いてばかりだった、、、それなのに・・・』

「お蜜。あたし、天宮で泣いてばかりだった事を思い出したわ」

「そうだったわね。あんまり昔だから忘れていたけど、そう言えばそうだったわ」

「お蜜と喧嘩しては泣いていた」

「本当、すぐ泣くから【泣き河童】って言ってたわ」

「あたし、国に行ってから一度も泣いてなかった」

「無理してたのね?」

「あたし、誰にも負けない強い王になろうって・・・天宮に居た時みたいにすぐにメソメソしているような弱い河童じゃいけないって、、、

でも、それって他の者には迷惑な話しだったのかも知れない。自分がこう決めたのだから『従いなさい!』不満を言うなんて持っての他、『逆らう者は出て行け!』だもの、これじゃ民も嫌になるわね」

「迷惑この上ないか」

「本当だ。税を厳しくして、その銭で屋敷や町や村を綺麗にしたって気が付けば住民がいない。本末転倒だよ。どっちが大事だってんだ!馬鹿だよ、そんな事もわからなかったよ」

「自分の弱さを忘れると相手の弱さも忘れるのかな」

「そうなんだね。泣いていた頃は『優しい気持ち』も『相手を思いやる気持ち』も沢山あった。

それがどうよ?強い自分に酔っていたあたしはそんなことを少しも考えない、独りよがりに大変身してた。この先、どうしたらいいのかあたしにはわからない・・・」

「そうね、『もっと苦しんだ方が良いかもね』って、言いたいとこだけど、、、」

「ぇ・・・」

「どうやら、そうもいかないみたいね。あたしもまともになるのに何百年も掛かった。だけど、姉様が狐国を頑張って治めていてくれたから問題はなかった。

狸兵衛(りへい)もよ。あいつも苦しんだけど嫌われていたのはあくまでも狸七(りしち)だけ。だけど河童国はそうじゃない、嫌われてるのが王であるまま子なのよ」

「ぅぐッ」

「だから、河童の数が減っているんでしょ?一大事なのよ!あんたが一人、苦しんで考えて結論を出すのを待っていられる程、悠長な場合じゃないってことなのよ。

それに川太郎よ、あんただけでなく川太郎までという事は間違いなく、河童国の死活問題なのよ。だから端(はな)から五黄達が手助けするようになっているのだわ。

五黄達はあたし達から頼まない限りは余計な口は挟(はさ)まないわ。王の尊厳を知っているからよ。それなのにこうなっているというのは、そんな事をしてられないからよ。

いい?まま子!これは由々(ゆゆ)しき事なのよ。大相撲大会の時に川太郎が態々、事を起こしたというのは正しく天の配剤といえるわ。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
minnanotasuke.jpg

だからこそ、これだけの面々が顔を揃えられたのよ。そして狸兵衛やあたしが隠したい昔話を話した...それはあなたにとって決して無駄にはなっていないと思いたいわ」

「その通りよ」

「それによ、天翔猫(あまがけねこ)のノン吉がいて桃吉にオロにきゅー助よ。オロなんて特にそうだけど、河童国なんてどうでもいい筈なのに、見ず知らずのガスを救出する為にああして行ってくれるなんて、信じられる?信じられないわ!」

「そうなのよね」

「そうよ!あたしもノン吉に聞かされて、『川太郎って許せない!』って怒ったもの」

お蜜はノン吉から聞いたオロの河童になるまでの話や苦労を聞かせた(本編第七章参照)

「そうだったの・・・」

「それなのに、ああして、いの一番に手を上げて行ってくれたのよ。なんていい子なんでしょう、、、他の子達もそうよ」

「狸兵衛が自慢していただけあるわね」

「いい、まま子!オロは元は【残り河童】なのよ。河童の本質はああなのよ。けっして冷淡でも意地悪でもないの。

屋敷に知らせに来たレレだってそうよ。ガスだって、、、こうなったのも、すべてあんたの不徳から来ている事なのッ!」

「ぅッ・・・・」

「そのことに今こそきちんと気付いて向き合うべきなの。そうする最後の機会を神様から与えてもらっているのよ。五黄や藤平にこれからについて、よくよく教えてもらってやり直すべきなのよ」

「あたしみたいな者に教えてくれるかしら?」

「頭を下げることが出来るまま子になれば、誰でも喜んで教えてくれるわ。そして馬鹿な川太郎と一から出直せるように姉弟で汗を流してみたらよ?」

「あたし、お蜜に言われて目が覚めたわ!その通りよ、愚図愚図してる場合じゃないものね」

「そうよ、喧嘩も泣くのも後にしよ」








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大相撲 32 水玉  

前回

泣きながら話すまま子、黙って聞くお蜜はどこまでも優しい。泣き止んだ時、毅然(きぜん)と諭(さと)される。このままでなるものかという王女のプライドがまま子を立ち直らせる。


はじまり、はじまり


「それなら、五黄のとこにすぐにでも行かないとね!」

「そうね、そうしましょう!また、張り切ってまま子を乗せて行くか?ふふ」

「お蜜、もういいよ。あんたに乗れたのはいい想い出にしとくよ」

「どうしてよ?」

「だって、、、のろいんだものー」

ブッホホホホ

「まっ、失礼しちゃうわ!」

「ごめんね、でもここから菰傘(こもかさ)に行くのにあれじゃあ大変だもの」

「そしたらどうするのよ?」

「ここら辺に川は?」

「三笹川だけよ」

「じゃ、井戸でいいわ」

「どうするのよ?」

「井戸から行けばいいさ」

お蜜に井戸まで案内をさせる。この井戸は豆腐に最適な美味しい水が出る、商売用の大きな井戸と屋敷用の井戸の二つがあった。

「あたしのサイズから言うとこっちの大きい井戸にしたいけど、、、遠慮しとこう」

「どうするのよ?まま子」

「ここから菰傘の鈴音川に行くのよ」

「どうやってよ」

「井戸も川も底の方では繋がっているのよ。あたしは世界中を『川から井戸へ、井戸から川に』と好き自由なのよ」

「あんたはいいけど、あたしは息が出来ないわよ」

「心配要らないわよ」

まま子は井戸の釣瓶(つるべ)から水を汲(く)む、一口だけ水を口に含む。含んだ水を『プゥーーッ』と吹き出すと『あぁ~ら』不思議!水が球体を作り出す。


挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
suiQ.jpg


見る見る内に膨(ふく)らんでいく水の玉は、屋敷の庇(ひさし)に届く程の大きさになった。仕事場から貞達が驚いて駆け寄って来る。

ひやぁーッ!何ですかッ!?」


水が玉になってるよーッ!


「蓮の上の水でげすなあ、コロコロしてるでげすよ」

まま子は感嘆している貞達に気が付くと振り返る。

「貞、さっきはご馳走様。忘れられない美味しい食事だったわ」

「とんでもないでげす」

「貞に徳に亀、そして村の者にもお礼をしたいわ。何かないかしら?」

「貞、まま子がこんな事を言うなんて滅多にないから、遠慮しないでいいな」

「へい!そしたら、そしたら、、、まま子池の中で流れていると云う【宙川(そらがわ)】のお水が欲しいでげす!」

まま子の国はまま子池にある。途方もない大きさの巨大湖である。池は水で覆われているのだが、まま子の屋敷や町や村は空気ですっぽり包まれ、外と変わらぬように息が出来る。

【宙川】は屋敷の中庭だけに存在する不思議な川である。ふいに川が出現している。何処から流れ来て、何処に流れ行くのか、まま子でさえ知らない。

「よく知ってるわね」

「へい。あっしの、ひいひいひい爺ちゃんの口伝の中に『まま子様のお屋敷には宙川という真に不思議な川がある』『その川には星が流れている』と、、、」

「キラキラしていて綺麗なのよ。わかったわ、後で届けるわね」

「ひゃあー!夢のようでげすよ~!それで豆腐を作るのがあっしの夢でげした」

「それなら、あたしの屋敷に来て豆腐を作ればいいじゃない?」

「ニャっ

困った顔をした貞を見たお蜜はニヤニヤしてる。

「あら、そうね~まま子の言う通りだわ!貞の支店が増えるわよ」

あッ、あっしは別にそこまでは...」

「それがいいでやんすよ!兄貴は豆腐作りに熱心ですもの」

調子に乗る徳と亀。

「兄貴、頑張ってくだせい!後はあっしらでやりますから」

ニャんだとぉおー??な、ニャにを言ってるんでげすッ!あっしはそこまではッ、、、」

お蜜もまま子も子分達も貞の話は無視して賑やかだ。

「伊佐の兄ぃはくじ引きでズルして、さっさと姐御の国に行っちまって帰って来ねえ」

「兄いは汚えッ!」

「ふふ。伊佐は狐国にたくさん支店をこさえて頑張っているわよ」

「ニャら、あっしが伊佐の代わりに狐国に行ってでげすねえ、それで伊佐をまま子様のお国に行かせるというのはどうでげすか?」

「駄目」

皆して言う、貞のまま子国行きは決定なのである。

「・・・ニャ?、ニャんで?、そんなのニャだぁー

一人騒いでいるとお蜜が怖い顔で睨(にら)む。

「さてと、貞!早いとこお出でよね。楽しみにしてるわよ」

貞は口を尖らしてブツブツ言っている。

「・・・宙川の水が欲しいニャんて言わニャきゃよかっだでげす・・・」

「何か言ったあ?」

「いいえッ、何も、、、その内...行かさせてもらいますぅ...」

「お蜜、問題が片付いたら貞を迎えに来るわ」

「いいわね、そうしてやって」


ぅゎわわぁーーーッ!
ご、勘弁をぉおーーーーッ!!


貞は逃げて行く、皆笑っている。

「お蜜、貞が喜んで来てくれる【まま子池】にしないとね」

「そうね」

「徳、亀」

「へい!」

「なるべく、大きな盥(たらい)を持って来て」

まま子は二人に大きな盥を持って来させ、何やら呪文を唱える。空中からキラキラした水が滝のように流れ、大きな盥は直ぐに一杯になる。

「これが、【宙川】の水よ。貞に上げてね」

「ありがとうごぜえやす」

「ふふ。いい豆腐が出来るかどうか試してみて。あッ!忘れるとこだった。お美奈ちゃんという子猫と仲良しの子猫って誰かしら?」

「ああ、それなら伊佐の娘の美々ですよ」

「あっしの娘の美奈と大の仲良しですよ」

「あたし、美々ちゃんに優しい心を教えてもらったのよ。

美々ちゃんと美奈ちゃんの『友情に感謝を込めて、おっかない顔のおばちゃんから』って、これを上げて頂戴」

「へい!」

まま子はキラキラ光り輝く大粒のダイヤを二つ、亀の手に乗せた。

「それじゃあね、皆に宜しく。貞にもね」

「へい!まま子様もお気をつけて」

「お蜜、行こうか?」

「はいよ。お前達、達者でね」

「姐御も一緒にお帰りなので?」

「仕事が残ってるのよ、又こそっと帰って来るわよ」

「へへ、楽しみにしてます!それから伊佐の兄いに『亀と交代する番だ!』とキツく、キツーく言って下せえ」

「わかったよ」

まま子はお蜜の手を取り、きらきら輝く大きな水玉の中に入る。玉は『ふわりッ』と浮き井戸の中に入っていった。

姐御大好き貞は戻って来てショックを受けるだろう。すでにお蜜が旅立ってしまっていたのだから、、、不憫な貞・・・
ぷぷ







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大相撲 33 縁(よすが)の森   

前回

貞が喜んで来てくれる国にしなくてはと心に誓いながら、まま子はお蜜と共に水球に乗り、井戸の中に消えた。



はじまり、はじまり



話は少し前に戻る。

ノン吉に言われ、菰傘(こもかさ)村に向かって飛んでいる桃吉は暗くなって行く空を眺めながら『ひぃーいッひぃーッ、ぜえぜえ』と声を出している。

「ひぃッひぃッ、しんどいよぉぉ~ッ!こんなことなら、もう少し手羽を鍛えておけば良かったよ~」

ノン吉や桃吉の羽はうーてん達の羽と違い、トンボの羽に似て薄く丈夫である。ノン吉はその羽を思う存分いかし世界一の飛行速度を誇る。

桃吉は羽を貰ってから数える程しか飛んでいない。一人で飛ぶのは今回が初めてと云っていい程なので、まったくもって頼りない事甚(はなは)だしい。

ノン吉先生の教えを理解していれば、二百メートル程上空を飛び西風に乗れば、大して羽を動かさずに菰傘村まで飛んで行ける。

だがそんな事はすっかりこん忘れている。低い所をひたすら羽ばたいているから、疲れて仕様がないのだ。

あ゛ぁ゛~~~ッ、くらくらする~ぅ~羽の元がダルいの~ぉ、マッサージして欲しいぃ~ッ」

ぶつくさ独り言を言いながら、飛んでいる。

「初飛行はうーてんの家に行く時だったけなあ。今はこうして俺だけなんて、、、すげー事だわ!うん!すげーよ。

俺はすげぇえーーーのだ!俺って、かっこいいーーーーッ!『ニャ~☆』なんてメス猫にもてちゃうもんね~。うひひひ」

又はじまった、桃吉特有の自惚れである。変な猫。晩秋の日は短く夜は長い。暗くなっても桃吉に問題はない。深い針葉樹の森が見えてきた、先の尖ったシルエットが等間隔で綺麗に並んでいる。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
yosuganomori.jpg


きぃぃーーん!桃吉様のお通りだぁー!


ご機嫌だ。先の方に『ボーッ』っと仄(ほの)かな灯りが見える。

「あれ?この辺に誰か住んでるのかな?腹が減ったから、何か貰えないかな?喉も乾いたし、、、ちょっとだけの休憩ならいいかな~」

一瞬でもそんな事を考えるとお腹が『ぐぅーっ』と鳴り出し、途端に喉がひりひりしてくる。灯りの真上に来て降りようとした。

はたと考える。

「あれ?あれれ??どうするんだっけ?えーとえーと、、、飛び上がるのとは逆にすればいいんだから、、、兄貴はどうしてたっけ?あれ?あれれ??うーてんは、、、羽をこうしてたたむようなあ、、、

『ニ゛ャ゛ッ!』

ぎゃぁぁあ゛ああーーー!

あぁぁーーーーーーーーーーーーー

ふんぎゃぁぁあああーーーーーーッ


桃吉の羽はうーてんのような鳥の羽とは違うので空気を含む事がない。うーてん達は羽の空気を逃がしながら、ばさっばさっと優しく力を抜いて降りて行く。

桃吉のような虫の羽は降りる方向に頭を向け、羽ばたきを止めれば、自然と滑空するように降りて行く。
なのに、もたもたする内に羽を畳んでしまったものだから、真っ逆さまに墜ちていく。

得意である。針葉樹の葉にガサガサ当たり引っ掻き傷を沢山こさえ『ドサッ!』と地面に落ちた。

「いッ、痛いニャー、痛いニャー」

「あれ?河童だよ!」

「え?あら本当だわ」

桃吉が目指した灯りは小天狗達が熾(おこ)した焚(た)き火だ。

「へっ?誰なの?・・・・あれれれ!【煤煙坊すすけむぼう】に【墨姫すみひめ】だよ」

桃吉の目の前に居るのは二人の小天狗だった。

「どうして、河童が空から降って来るの?」

「どーして、二人で居るのよッ?」

・・・・・・

お互いが無言である。

「羽の生えてる河童なんて聞いたことないよ」

「不思議ねえ」

「えっ!俺?俺だよー桃吉だよ!あっ、そうだ!今は河童なんだ」

「何言ってるの?あんたは見るからに河童だよ!」

煤煙坊は疑っている。

「へへ、良いオス河童かな?」

「・・・・」

「このノーテンキ振りは桃吉そっくりだよ」

「本当ねえ、話し方も似ているし」

「ぶぅーーッ!どうせノーテンキですよーだ!」

「お墨ちゃん、どうやら桃吉に間違いないようだね?」

「そのようね」

「だけど、何で桃吉さんが河童になってるのよ?」

桃吉はこれまでの経緯をかいつまんで話した。

「それでもって兄貴に言われて、俺はさあ~菰傘村に用事があって・・・(?ちろッ)む・む・む・む・む、、、あっ!手なんか繋いでるう~」

煤煙坊と墨姫は『パッ!』と手を離し、もじもじしている。怪しい。
すごーーーーく怪しい

小天狗達のおよそ三分の一は女である。女だと言われないと見た目は全く同じなので分からない。名前に『姫』か『子』が付くのでそれで判断をする。

桃吉も全ての小天狗達の個体識別が出来ている訳ではないが、天狗達と仲良しなので大分覚えて来ている。

【煤煙坊】はうーてんの子分【墨姫】はさーてんの子分。比較的良く会うので桃吉とは顔見知りだ。

「何かあるもんねぇ~~~怪しいもんねぇーーー!」

桃吉、すり傷の事も腹減らしものど乾きも全て忘れている。気になって仕方ない。

「二人だけでぇえ~、そりも、こおーんなにこぉーんなに深ぁーーーい森で何してるのかなぁ~~~?なぁ~んて!」

「・・・・」

「いいよ、教えてくれなくても。うーてんとさーてんに言付けちゃうもおーん」


ダメーーーーッ!!


やめてぇーーー!








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大相撲 34 小天狗カップル

前回

桃吉が降りた(落っこちた)場所には小天狗の煤煙坊(すすけむぼう)と墨姫(すみひめ)がいた。何やらイチャイチャしている。手なんかも繋いだりしている。

怪しい・・・すごーーーく怪しい。さーてんとうーてんに言いつけると言った途端に大慌ての二人。なにがあるんだろうか?ニヤニヤ。


はじまり、はじまり


二人は大慌てである、桃吉はニヤニヤしている。猫が悪い。

「ならぁ~、内緒にしてもいいけどお~、、、も」

「わかったよ!桃吉にだけに言うんだから、内緒にしてよ!」

「うーてん様とさーてん様にばれたら、おーてん様のとこに左遷されてしまうわ!」

「へへ、だから教えてよ」

「えっへん!あのぉ...そのぉ...僕達、清い交際してんの。
わーーーッ、言っちゃった!恥ずかしーッ!

「イヤだわぁ~、煤煙さんたらそんなハッキリと!あたし恥ずかしいわぁ~」

はしゃいでイチャイチャしている。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
kotengcoupel.jpg

「・・・・あのぅー、お取込中何なんですけど、いいですか?話しても」

恥ずかしそうに黙り込む。

「別にいいんでないの?いい事じゃん、愛し合うのってさー!」

キャあ~~、そんな恥ずかすぃいいーッ!」

「桃吉、そんな赤ら様に、、、恥ずかしいだろろ

煤煙、変になっている。

「けけけけ。マタマタ照れちゃって~可愛いねえ~」

このバカップルと桃吉では永遠に話しが進みそうにないので、野暮だが何故二人がここにいたのかを説明しよう。
二人は昔から両思いであった。

お互いの気持ちを知ったのはつい最近なのであるが、どうしても隠して交際しなければならない理由がある。

何せ、うーてん達天狗は職場恋愛を固く禁じて風紀の乱れを戒めているのだ。さーてんは自分から風紀を乱していると思うのだが、何せ得手勝手な『お勝天狗(おかってんぐ)』である。

自分達の事は『高ぁーい棚に上げて』子分達には厳しいのである。そこで二人は仕事が終わると竜巻平原から離れた【縁よすがの森】に来てデートをしているのだった。桃吉は二人から聞くとすっかり同情した。

「不憫(ふびん)だーぁ!愛し合う二人の邪魔をする、うーてんとさーてんの魔天狗軍団。まるでロミオとジュリエットの物語のようだ~~~!いや、待てよ!

ロミすすとすみェットだあーーー!

「どっちでも何でもいいよー!とにかく絶対に黙っててよね!」

「桃吉さん、内緒にしてね」

「だけどさあ~ずっーとこのままでいいわけなの?」

「いずれは結婚、、うわぁッ!言っちゃったあーーーッ!!

「イヤだぁ~~煤煙さんたらッ」

又、始まった。終わるまで待っていよう、暫時休憩。

「もぉーい・い・で・す・かー?」

「(あっ?)ゴホンッ、失礼した」

「ほほほほ」

「そういう気持ちなら、このままなのはいけないと思うよ」

「だけど、、、バレたら怖いし。それにどっちかが寒い大天狗様のとこに左遷されるよ」

「そうなった小天狗がいるの?」

「いないよ、俺達だけ。うっほん!『僕達だけ』愛に目覚めたの。ぎや~~~ッ、照れるーー!」

「けっ!言葉遣いまで変えちゃってぇ~~いいかっこしいなんだから」


ペチン!


煤煙坊に叩かれた。

「ぶぅーだ!けどさあ、それなら反対されるかわからないよ」

「でも、職場恋愛禁止だもの」

「だけど恋愛だけならなんだけど、結婚したいんでしょ?」

「うん、したい!なんちゃって~☆」

いつもの煤煙とは天狗が変わったようにはしゃいで可愛いのである。桃吉は微笑ましい二人の為に役に立とうと思った。そして、やっと大事な用を思い出した。

「ありゃーッ!すっかりこんと忘れてたーッ!」

「どうしたの?」

「俺、急いでいたの!」

「菰傘(こもかさ)村に行くのね?」

「だけど桃吉、ここは少しずれてるよ」

え゛ーーッ!?西に真っ直ぐ飛んでいたのに」

「まだ西風に乗るのを覚えてなかったんだね?」

「へへ、どうやらそのようで。あのさあ~俺、絶対に急がないといけないんだけど、自信がからきしなのよ。今まで飛んでみて沁みじみと感じるのよ」

「そりゃそうだよ、ノン吉様みたいに飛びたくて、飛びたくて自分の皮まで伸ばす程の強い御意志のお方と比べたら、桃吉なんておまけで羽を付けて貰ったようなものだもの。覚えの悪さは天下一品だし」


ぶーーッ!


「煤煙さんたら酷いわよ、そこまで言ったら」

「本当だよねえ~、可哀相だよねえ~、これでも努力はしてるんだから」

自分でかばってる。

「どんな努力か訊きたい処ですけど、話してる暇もないようですから我慢しときます」

「はいはい」

「では、あたしと墨ちゃんで行ってきましょうか?」

「いーえ!出来れば俺も連れて行って欲しいなぁ~~~なーんて!」

「だって折角のデートが、、、」

「いいじゃないの、煤煙さん。困っている時はお互い様よ」

「さすが~墨姫ちゃんは優しいーー!」

「あんまり墨ちゃんに馴れ馴れしくしないで下さいよッ!」

「あっ、ヤキモチ焼いてるぅぅ~!」

「そッ、そうではなくて、、、おほっん!わかりましたよ」

こうして二人は桃吉の手を取ると飛び上がった。







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大相撲 35 西風

前回

当てられっ放しの桃吉、ようやく用事を思い出す。どうやら西からそれていたらしい。二人の小天狗に頼み、五黄屋敷の上空まで連れて行ってもらうことにする。


はじまり、はじまり


ぐぃぐぃ上がっていく。


ひゃぁああーッ、たっかいなぁああー!


「桃吉ー!もっともっと高く上がるんだよーぉ!」

「そおーだったけ?」

「桃吉さ~ん!西風は『春の花の匂い』がしますょー。いいですかぁ~、今は河童だけど猫なんだから、よーく鼻で覚えて下さいよぉ~!」

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
nishikaze.jpg

くんくん

「ぁ~~あ、いい匂いがしてきたあー!」

「これが『西風』ですょー。西に向かう時は此の匂いを頼りにするんですょ」


はあーい!


「そしてもう少し上に行くと今度は東風が吹いています。東風は『青葉の匂い』です。そしてその上が南風で『潮の香り』がします。

一番上空に北風が吹いています。この風は『冷たい』のでそれだけで充分でーす」

「ふんふん」

「そして北風は北に向かって、南風は必ず南に!と決まっています。例えば菰傘(こもかさ)村からおーてん様のお住まいがある【極楽山脈】を目指す場合は北風に乗り、帰りは南風に乗る。というようになります。

わかりましたかぁ~?」

「ニャ~イ!ニャっ得でけましたあー!」

墨姫(すみひめ)坊が親切に教えてくれたので桃吉もどうやら理解したようだ。

「二人ともありがとねー!折角のおデート邪魔しちゃったしねえ~」

「わかっていればいいですッ!」

煤煙(すすけむ)、怖いのである。

「気にしないで下さいねぇ~」

墨姫は優しいのである。

「俺さぁ~、二人の幸せを願っているし、俺なりにお手伝いしちゃうもんね~」

「余計な事はしなくていいですッ。墨ちゃんとたまにこうして会えるだけでも幸せなんですから」

ニャーッ、いじらしいニャあ~!とても煤煙坊の口から出た言葉とは思えないニャぁ~」


ぶーー!


「ほほほほほ」

二人は西風に乗ると殆ど羽ばたくこともない。そろそろ夜が明け頃、桃吉はすっかり、うとうとしていた。

「桃吉、もう着くよー」

「ニャ?あっ、ごめーん!なんか寝ちゃったみたい」

「いいよ、気にすんなよ」

「桃吉さんて本当にあたし達を信頼してくれているのですね」

「何でよ~?当たり前じゃない!」

「でも、怖くないのですか?」

「だって俺、おーてんに連れられて何日も飛んでいた時あったしさ~」

「そうでしたね。あの時は立派でしたょ」

「へへ。御陰でこんなに綺麗な羽を貰ったけど、俺には過ぎたるものかしら~?」

「そんなことないよ。さっきはあんな事言ったけど、俺達小天狗だって桃吉が空を飛べるようになったの喜んでるんだよ」

「そうなの?俺、てっきり『嫌われているのかな~?』なんて、、、」

「どうしてそんな事を思うのよ?」

「だって飛ぶの下手だし、【うーてん】も【さーてん】も【ぐーてん】も俺に飛び方を教えるの止めちゃうしさあー」

「いやだぁ~皆様、ノン吉様に遠慮なされたのですょ」

「ニャ?どう言う意味なの?」

「それは【ノン吉】様が桃吉さんを心底可愛がってらしているからですょ。ノン吉様は桃吉さんをご自分の弟様として立派にされたいのだと思いますょ。

天狗様達はそれをおわかりですから、遠慮されているだけですょ」

「そーなのッ??俺、嫌われちゃったかと思ってたよー!」

「とんでもないことですょ!皆様方は桃吉さんを大好きですょ」

「へへ、良かったあ~!」

「あッ!そう言えば、俺達つうか五黄様達、猫宿を黙って消えちゃったんだ。うーてん、怒ってるよお~」

「怒ってましたよ」

「やっぱり?どうしょーぅかなあ、、、」

「大丈夫ですよ。あたしだけ『桃吉に会った』と、いう事にしておいて、『大変な事件が起きたので猫宿を引き上げた』と言っておきますよ」

「ありがとう!煤煙、それに墨姫。事件が起きているのは本当だから、後で兄貴と俺で話しに行くって言っておいてよ」

「わかりました」

「さっ、桃吉さん!もう五黄様のお屋敷が見えますょ。手を離しますからそのままの姿勢で羽を広げて下さい」

「よぉーし!おっ、いい感じぃ~!」

「そのまま頭を目指す方向に向けて!そうです、いいですかーー!いち、二の三で離しますよー!」

「よおーしッ、行くどぉーおお!

煤煙と墨姫が『ぱっ』と手を離すと桃吉は五黄屋敷に向けもの凄い勢いで滑空して行く。

「墨ちゃん、とんだデートになっちゃったねー」

「とても楽しかったわ~。桃吉さんて可愛い猫ね」

「本当だね!だから皆好きなんだね!」

「そうね。恍(とぼ)けていて、自分の力にまるで気が付いていなくて、、、いい猫ね!」

「桃吉と知りあってからのノン吉様はお猫が変わったもんなぁ~」

「とてもお優しくなられて」

「きっと桃吉のスットボケがノン吉様の本当を引き出したんだと思うなぁ」

「さすがに煤煙さんね」

「もーー墨ちゃんたらーー」

煤煙坊と墨姫坊は上空で投げ♡キッスをしながら、其れぞれの主人の元に帰って行った。
ラブリーな小天狗に幸あれ!
ニャぁ~~あ☆






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大相撲 36 五黄屋敷

前回


煤煙(すすけむ)坊と墨姫(すみひめ)坊に連れられ、五黄屋敷の上空にたどり着いた。東西南北の風も詳しく教えてもらい桃吉はご機嫌だ。ヤル気満々で二人の元から勢い良く飛び出した。


はじまり、はじまり


調子良く飛び出したはいいが、小天狗達が手を離した処は二百メートルも上空。滑空するスピードは経験のない速さで顔がぶるぶる震え、息もつまるよう。

薄い羽は風の圧力で千切れそうになる。声を出して叫びたいが口も開けられない、見る見るうちに地面が近づいてくる。

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gouyashiki.jpg


【ドッ】カッーーーン!!


【ばり】ぃーん!


【ガッ】しゃーん!


【メリメリッ!】


「ふんぎゃぁああーーッ!ぎゃぁあああああーーー!ッ!」



突然、桃吉が降って来た先には五黄が寝ていた、桃吉は勢いよく五黄の腹に落ちた。屋敷の者が余りの音に驚いて駆けつけると二人が重なり合って気絶している。

あれーッ!河童がッ!?」

あ゛っ、五黄様がぁーッ!!」

二人をやっとこさ瓦礫(がれき)から救い出す。

「大丈夫ですか、兄様!此の河童、、、?おおッ、桃吉だ!これ桃吉!」

目を開けたが、自分達に一体何が起きたのかわからないらしく目の焦点が定まらない。

「五黄、しっかりしろ!俺が分かるかッ!」

狸兵衛が五黄に声をかける。

「桃吉、桃吉、しっかりしなさい。ここは五黄屋敷ですょ」

お風も心配そうに声をかけた。

「ニャーッ、お風様だあ~~」

「藤平、桃吉が気が付きました」

「おお、良かった。桃吉、わたしがわかるかい?」

「藤平様、、、やっと着いたあぁ...」

「藤平、五黄も気が付いたみたいだ」

「兄様、大丈夫ですか?」

「ふあ?ここはどこだあ?」

「兄様のお寝間ですよ」

五黄は頭を押さえながらむっくり半身起き上がる。

「無理なさらないで下さい。どうやら桃吉が屋根を突き破って落ちてきたようです」

「へっ?それで俺の腹の上に?」

「はい、そのようです」

「困った野郎だぜ~」

五黄は立ち上がる。

「兄様、無理をなさっちゃ駄目ですよ!」

「平気だよ。俺はこの位じゃなんともないよ、丈夫なんだわさ」

五黄が桃吉の側に行くが桃吉は又気を失っている。

「これじゃ、話は聞けねえな~」

「五黄、桃吉を布団に寝かせましょう」

お風が心配をしている。

「わしがやろう」

狸兵衛(りへい)が軽々と抱き上げ、レレが寝ている広間に取りあえず運んだ。

「こいつが目覚めるまでここにいるかな」

「兄様は休んだ方がいいですよ。ここはわたしが看ています」

二人でどちらが看るの看ないのと言っている内にすっかり朝になる。眩(まぶ)しい陽が穴の開いた屋根から部屋に差し込む。各部屋の襖(ふすま)も開いているので、どこからも明るい陽が見える。

「あっちゃん、いいねえ~屋根が開いてるの」

「本当ですねー」

「ほほ、明るくていいわ」

「中々いいもんだ」

王族達は実にノンビリしたものだ。屋敷の者達は瓦礫を片付けるので大忙しである。レレはすっかり回復しているので、桃吉に冷たいタオルを当てたり甲斐甲斐(かいがい)しく世話をしている。五黄は桃吉を元の猫の姿に戻す。



               ♢



さて、お蜜とまま子はどうしているのだろう。

水球に乗った二人は井戸の中に『スッポン!』と入る、お蜜は余りの驚きに声も出ない。最初は真っ暗に感じた。まま子にしがみ付いて目を瞑(つむ)る。

「お蜜、今は井戸をどこまでも下がっているのよ、その内に地下を流れる水流に出るの。面白いから見てみなよ」

恐る恐る目を開ける。最初は暗さに慣れなかったのでよく見えなかったが、その内に目が慣れてきた。


うゎぁああー!すごく綺麗!!」


お蜜が見ているのは丁度、水中眼鏡で見る水の中の世界だ。もっとも、お蜜自身が球形のガラスボールの中にいるようなものだから、その迫力と美しさは想像もできない。

「気に入った?」

「うん!こんなの見た事ないゎッ、綺麗なのねえー!」

「ほら、蝦(えび)がいるよ」

真っ白な蝦が前を横切る。

「蝦が白いわッ!」

「ここはね、お陽様が当たらない地の底を流れている川なのよ。だから、ここにいる魚も蝦もこうして真っ白なのよ」

「へぇ~え。あっ、魚ッ!本当だ!真っ白だわッ!」

「ここは音もない静かな世界なのよ。」

確かに音もない静かな世界が広がっている。

「まま子、この川ってどこにでも続いているの?」

「そうよ。本流はまだ先になるけど、この川を通れば何処にでも行けるわ」

「そしたら、狐国に来るのも簡単ね?」

「そうね」

「あんたは行こうと思えばどこにでも簡単に行ける。それなのに、もったいなかったわね」

「そうよね。これからは五黄みたいに出掛けるわ」

「これが終わったら、狐国に一番に遊びに来なよ」

「うん、ありがとう!」

視界に明るい陽が差し込んでいる場所が見えてくる。まるでそこだけにスポットライトが当たっているようだ。








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大相撲 37 まま子の頼み

前回


桃吉の派手な到着で屋根には大穴、五黄はクッションになった。騒いでいるうちに朝になり、お日様が大穴から入ってくる。

五黄達はいいもんだ等と至極のんびりしている。その頃、まま子達は屋敷に向かっていた。


はじまり、はじまり


「あれが鈴音川よ。これから上昇するわよー」

水球は勢いよくスポットライトの中を昇り始める。
ボぉン!』と勢いよく川から陸に上がると忽(たちま)ち水球が弾け、跡形もなくなった。

あーぁッ!びっくりしたぁ~あれ?水の玉がなくなった!?」

「ふふ、足下にあるでしょ」

「あら!もう水溜まりになったの?」

「そうよ。さてと、屋敷に行こうか?」

「うん、そうしよ」

二人は歩き始める、屋敷に近づくと何やら騒がしい。

「あら?あんなに、、、」

「どうしたのかしら?大屋根に穴よッ!」

急いで駈けつけると村の者達も総出で片付けをしている。


「そーら!もっと引っ張れーーッ」


「せぇーの!どっこらしょッ!」



村の者に声をかけた。

「どうしたのよ?すごいわねッ!」

「へい。桃吉さんが空から降ってきたそうですよ」

「それでなの!?」

「へい。すげーえ大穴ですよ」

「それで?それで桃吉は大丈夫なの!?」

「知りませ~ん」

急いで母屋に向かう途中、お熊やお勢、こん吉に会う。

あれ!!お嬢ッー!」

「あら、お熊!桃吉は大丈夫なの?」

「もぅう~あたしらを置いてけぼりにしてお風様だけ帰して、、、お熊だって荳傘(まめかさ)には行きたいのにひどいですよー」

「もぉ!その事は後で幾らでも謝るから、それより桃吉はッ!?」

「はい、まだ寝てなさりますよ」

「あっ、そうなの?まま子行きましょう」

「うん」

お蜜とまま子は『サッサ』と行ってしまった。

「あれ?行っちゃったよ」

「お熊さん!お蜜様は随分と成長されたんだね?」

「あたしらは用なしですかね?」

「『居たのかい?』って言われるくらいになれば、あたしらも本望ですよ」

「こん吉さん、お勢さん、これからは三人で仲良く愚痴を言い合って生きていきましょうよ」

二人が息せき切って部屋に入る、寝ている桃吉の側には五黄達がいる。意外にも皆の声は明るい、レレが桃吉の看病をしている。

「桃吉は?」

「ああ、お蜜にまま子か。大丈夫だよ」

「一体これはどうしたことなの?」

「こいつは相変わらず飛ぶのも降りるのも、下手だぞ」

「そうみたいね。屋根にも大きな穴あけて」

「すっかり陽が入って明るくなってね」

藤平も苦笑をしている。

その時だった、突然まま子が皆の前に突っ伏し土下座をした。

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mamakonotanomi.jpg


五黄!藤平!狸兵衛!お風!そしてお蜜!


「どうしたのさ、まま子」

お蜜が土下座するまま子に驚いて立たせようとするが、まま子はきかない。

「お蜜!いいからッ!いいから聞いて、、、」

お風に目で止められたお蜜はその場に座る。

「どうか、河童国をお救い下さい!まま子はとんでもない愚か者でした。まま子にはこの先の知恵も浮かびません、、、途方に暮れています。どうか教えて下さい!」

まま子は一気に言うと突っ伏したままである。暫(しばら)くすると我慢出来なくなったお蜜が声をあげる。

ちょっとぉ~この矜持(きょうじ)だけは高い、まま子がこんな事までして頼んでいるのよッ、
何とか言ったらどうなのよー!

「そう、怒るなよ。あんまり珍しいから驚いたのさ。まま子、顔を上げてこっちを向きな」

まま子は顔を上げた、少し泣いているようだ、お蜜はまま子にタオルを優しく差し出す。そんな二人を五黄達は微笑んで見ている。

「まま子。お前は少しの間で変わったな、、、さすが河童国の王だけあるわ」

「えっ?でも、、、、、あたし......」

「まま子よ、俺もそうだが狸兵衛(りへい)もお風も一人では立てぬ。

藤平やお蜜、そして今はオロやきゅー助、これらが居て初めて立てるのよ。そして支えてくれる民が居て初めて国になるのよ、わかるよな?」

「ええ」

「お前も川太郎も一人で立てると思ったのがそもそもの間違い。

二人で足らぬ処を補い、考え、協力しあえば何の問題も起きぬ。なれど足らぬ者同士が別々に考えてする事なぞ、碌(ろく)な事ではないわ」

「言葉もないわ、、、、、その結果がこれなのよね....」

「俺はな、今更ではあるが、ここまでなる前にお前に気付いて欲しかった。

何故、一部の河童が故国を出て猫国に永住を望むのか?まま子に文句を言われるのを待っていたのよ。我が国民(くにたみ)を返せとな」

「・・・・」

「きっかけさえあれば、国を捨てた河童と河童国に居る河童との違いはどこにあるのか、俺はまま子に考えて欲しいと言えた。

俺は成る可く河童が猫国に流出するのを止める為、『真に良き河童でなければ猫国に永住出来ぬ』と定めた。さすれば、少しは減るかと考えたのだが馬鹿な事よ。

選別しようと俺が魂を見ても驚く程良き河童ばかり。
【慈愛】【正直】【勤勉】とこれこそが河童の本質よ。俺は良い河童が来れば来る程悲しくなったよ。

なぜ気付かない』ってね。その内には高名な【ガス】まで来た、俺は覚悟をした。






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大相撲 38 天宮にて

前回

まま子は皆の前で土下座をした。プライドも捨て知恵を乞うその姿には、なんとしても河童国を元に戻そうとする女王の気概があった。五黄は今のまま子にならと心の中を話しだす。


はじまり、はじまり



『まま子も川太郎も己で気付くしかない。それが必要なのだ。自らが気付いてこそ、【塞(ふさが)っていた耳】も聴く耳になる』と、な。

そうしている内に俺も色々あったから、忘れていた。大分経ってから、何の気なしにまま子池に遊びに行った時があった。

愕然(あぜん)としたよ。

『河童の数が少ない!』町は綺麗なのに『活気がない!』猫国の河童達はあんだけ居るのによ。俺は寒気がした。

『知らぬうちに静かに何かが起きている、、、』と、な。俺はどうすればいいのかわからなくなり天宮に行った」

「天宮に!?・・・」

その場に居た者全員が驚いた。

「ああ、そうよ。俺は『このままでは河童がいなくなってしまう』とな、、、」

「おもう様はッ!!おたあ様はッ??なんておしゃったのッ!?」

まま子が声をあげる、五黄がグッと背筋を伸ばす。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
tengunite.jpg


「『いかにまま子でも気付くであろうな』

どうしたらいいのですか?俺に出来る事はないのですか?

『五黄はすでにやれる事はしておるであろう。』

『難民を救っておるもの。』

だけど、このままだと他の種族になる者ばかりで、確実に河童は減ってしまいます。

『それはなりたい種族になるのは民草の自由よ。』

でも、、、まま子も川太郎も二人だけでは国は成り立ちません。

『滅ぶのぉ』

そんなあぁ...

『まま子も、川太郎も、すでに国を支える民草の信頼も愛情も失っておる。己達が育てた民草の種はほとんどが他の種族になっておる』

おもう様。おたあ様。どうすればいいのかお教え下さい!出来る事は何でも致します!

『ほほほ。五黄に教えてなんとする?』

えっ?

『他国のお前さえ気付く大事。気付かずにいる愚か者に我が教えを五黄は何として伝える?』

・・・・

『待つのじゃ。その内にまま子から教えて欲しいと言うて来ようよ』」

「・・・・・」

皆黙っていた。陽の神様が言う事が本当だからだ。

「俺は引き下がったよ。そして待った、、、今までな」

五黄!申し訳ありませんでした、、、なんとッなんとッあたしは愚か者ッ!今の今までこうまで自分が情けない者とは気が付かなんだ・・ゥッ..ゥゥぅ、、、民の減少もセロに言われて気付いたのです」

まま子は泣くしかなかった。

「まま子、気付いたのならそれでいいさ」

「で、でも...それだけでは、、、」

「勿論(もちろん)さ。まずは一歩を踏み出せたのさ。そうだろ?おもう様もおたあ様も『まま子。気付きなさい、それからですよ』そう言って下さったと俺は思っているよ。

まま子、これから先はお前が王として立てるか立てぬかが懸(か)かっている。それには川太郎を何としてもまともにせねばならぬ。そして姉弟揃って天宮に行き教えを請うのだ。わかるな?」

「はい、そうします!」

「その意気よ。我らも河童国の助けに成る事は何でもするつもりよ、なっ!

そうだ

藤平。

そうよ

お風。

その通り

狸兵衛。

あったり前よ!

お蜜。

「みんな、皆!ありがとう、ありがとう!
あたし頑張るわ!!

「よし、そろそろ桃吉を起こしてもいいだろう。桃吉は今回もよく頑張った。全く大した猫様よ」

「本当ですね」

「ノン吉に言われたとはいえ、よく頑張りました」

「後で、たんと褒(ほ)めてやろうよ」

「そうですわね」

「まま子、お前が聞くがいい。その耳で桃吉の話をな」

「はい、わかりました」

まま子は桃吉の枕辺に行くとレレに尋ねた。

「レレ。苦労をかけましたね、心より礼を言います。ガスは国の至宝です。何としても助けます故、任せて下さい」

「まま子様?レレは、、、レレは嬉しい...」

「ぅぅう~ん、ニャぁあ---」

桃吉はようやく目が覚めたようだ。

「桃吉、痛くはないですか?」

「あニャニャ?まま子様だ!俺、、、あっ!そうだ!
痛ぁあーーーッ

「無理しないで。そのままでいいから話しなさい」

「はい!あれから・・・・・」

桃吉は知る限りを全てまま子に話した。自分が書いたと思っていた本の話に至っては皆、苦笑するしかなかったが、事は火急を要していた。

「五黄!川太郎の屋敷に連れて行って下さいッ」

「あいわかった。狸兵衛、一緒に来い」

「うむ」

「後は待っていてくれ」

「何でよッ?あたしだってガスに会いたいわよッ!」

「わたくしだって」

「お風どの、我らは待ちましょう」

藤平は大人数で行く必要がないのを知っていたので、何の気はなしにお風を止めた。

「えっ?藤平、、、あなたがそう言うのなら待ちますわ」

お風は『☆とっても☆とっても☆』素直に聞いた。お蜜とまま子は『黙ぁーって』見ていた。

「よし!それじゃ、行くぞッ!

五黄達は一瞬で掻き消えた。






皆様、こんばんはー

相変わらずのグダグダぴゆうです。
気がつかれましたか?
そうです!
陽の神様の顔が違う!
ホッホホホホホ
お休みをしている間、イケメンに癒されましたわたしめは必死にイケメンの練習を致しましたぁーーー
そうしたら、こんな風になりましたの。
いいざましょ。
けけ
それが言いたかったザマス!
失礼しましたザマス。
努力のぴゆうにポチの愛をーーーー


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大相撲 39 川太郎池

前回

さて、今までノン吉たち五人の河童は川太郎池でどうしていたのだろう。

あれから一行は桃吉を送り出すと、目の前の川太郎池のように心はどんより重くなる。ノン吉はそんな空気を吹き飛ばすように大声を出す。       



はじまり、はじまり




「父ちゃん達への知らせはこれでよし!
今度は俺達だ!おい、キロ。わかっているだろうが騙(だま)すんじゃねえぞ!」

「はい、ノン吉様。キロも覚悟を決めました。どうぞお任せを」

「キロ!頑張るのじゃ。わしら親子は今まで河童国の為に何一つお役に立たなかった、ただの禄盗人(ろくぬすびと)よ。

今こそ、われら親子の正念場。本当のご奉公をするのじゃ!」


はいッ!


キロは『キリリ!』っと唇を締めると先に立って歩き出す。川太郎池に着くとキロは振り返り、ノン吉達に言った。

「皆様、わたしめが【開道】をさせますので何もお話しになりませぬように」

「わかった」

皆が頷(うなづ)く。キロは濁った汚い池の端に立つと大声を出した。


おぉーい!開けてくれぇーぇえ!


しばらく佇(たたず)んでいるとくぐもった声で返事がある。

「誰よ」

「キロだよ」

「キロ様!?今さっきお通りになったばかりなのに?」

「ああ、途中で懐かしい友達に会ったのよ。家で一杯しようと思ってね」

「わかりやした。ちょいとお待ちを」

川番の河童はさっそく【開道かいどう】を始める。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
kawatarouike.jpg

さっきは池が開き始めるとすぐに姿を隠していたので、川太郎池の【開道】を見てはいなかった。

きゅー助は【開道】をまま子川しか知らなかったので、まま子川の透き通った水の美しさとの違いに驚いた。

壁になっている青みどろ色の汚い水が、今にもこちらに倒れ掛かりそう。鼻をつく藻(も)の臭いにきゅー助は気持ち悪くなる。キロは道が出来ると一行を促(うなが)す。

「どうぞ」

キロが歩いて行く先は薄暗い。キロは気にする様子もなくさっさと前を行く。ノン吉達もだんだん目が慣れて行くと辺りの景色が目に入る。

周りには畑も何も無い只の一本道が続いてる。とても国の主要道路とは云えないような細く頼り気ない道があるばかり。川番の小屋の前をセロが通り過ぎようとした時、突然声を掛けられた。

「あのぉー、ちょっと、、、」

ギクッ』とした五人の河童が振り向く。

「あのぉ、、、もしやしてセロ様でねえですか?」

セロはどうすればいいのか戸惑っているとキロが答える。

「そうだよ」


!?゛


一瞬、キロが裏切ったのかと思った。そんなノン吉達を見て、キロは『任せて下さい』と言わんばかりに目で合図をした。

やっぱりねー!セロ様ーッ、セロ様!あっしですよぉー、カナの息子のコロですよぉ!だいぶ昔にまま子池を出ちゃってますから、、、お忘れですかね?」

「えっ?カナの?そういえば、、、おおッ!あの小さな子河童のコロか!!なんとまあ!大きくなって、、、見違えたねえ~」

「いやですようッ、あっしだってもう五十の坂を越えてますよー」

「それじゃ、カナは?」

「へい。『まま子池に戻りたい』ってのが口癖でしたよ、、、」

「カナが?そうだったのかい、、、あたしは知らなかったよ」

「いいんですよ。でもまさかセロ様にこんなとこで会えるなんて!処でどこに行きなさるんで?」

「コロ、此の爺さんはあたしのてて親なのよ」

えーーーッ!知らなかったですよッ!キロ様のお父上様なんですかッ?」

「そうさ。父ちゃんもそろそろ引退してあたしと一緒に住む為に、まま子池からわざわざこうしてお供と一緒にね、、、」

「なーる。そりゃぁ、、、そりゃ~いいことですね」

「そうなんだよ。あたしも、もう歳だもの」

セロが話を合わせる。

「そうですか。懐かしかったものですから、すっかり足をお止めしちまいまして

すいやせんねーそんじゃお気をつけて!」

「それじゃあね。コロ、達者でね!」

五人の河童達は、また足止めされないように自然と急ぎ足になる。周りの景色は一向に変わらず、どんよりした青みどろの水が続く。今にも落ちてきそう。

空気があるのに息苦しい、、、そんな気がするほど空気のドームが薄く感じる。セロはまま子池の爽やかな空気との違いに一層、気分も暗くなる。

草一本生えていない道を歩いているだけ、知らずに薄ら寒くなる心。皆、自然と細い道を肩を寄せ合うように歩く。


セロ様ぁああーーーッ!


さっきの川番のコロが凄い顔をして駈けって来る。オロもきゅー助も思わず駆け出そうとしてしまう。ノン吉はそんな二人を手で制し、キロとセロに言う。

「いいか?例えバレたとしても何もビクつくな。いざとなれば俺がいる。いいな?落ち着け!」


は、はいッ!


はいッ






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なんと88888拍手が近づいているのでございます・・・
さすがにゴロも良いのでその数字をゲットした御方はご連絡を下さいませ。
何か記念になるようなことをしたいと思っています。
宜しくお願いします。

のくにぴゆう

祝 88888拍手

88888


2010年1月7日に初アップ。
最初に戴いた一拍手からこんなに戴けるとは思ってもいませんでした。

拍手をもらえる。
そんな経験はあるものではないです、それがアップする度に戴けた。
幸せ者です。

今、振り返ると一番初めの挿絵、五黄と世の吉のシーンに四苦八苦したことが思い出されます。
やっとアップしたら、早々に拍手が入りました。
何だろう?その意味が後で分かると嬉しくて小躍りをしたものでした。
これからもその時の喜びを忘れずに頑張っていきたいです。

いつも応援をしてくださっている皆様に衷心より御礼を申し上げます。
本当に有り難うございます。

おり紙ちゃんがゲットして下さったので、挿絵集を差し上げたいことと、
これより先になりますが、「クルミ」という長編の挿絵にお名前を使わせて戴きます。
鍵で住所などを教えて下さいね。

のくにぴゆう



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大相撲 40 心づくし

前回


開道も無事に済み、歩き始めた一行を川番のコロがものすごい形相で追いかけてくる。
一体何なのだろう?


はじまり、はじまり



緊張を顔に出さないようにごく自然にコロの方を振り向く。

「何ですか?」

コロは凄い顔で駆け寄って来た、ぜぃぜぃして息が荒い。

「落ち着いて」

「へっ、へいッ!ひぃぃッひぃぃッーぜぃッぜぃッ、、、すいやせん!すいやせんッ!あっしは、、、ゲホっゲホっ

ノン吉は腹のポケットから、水筒を出して飲ませる。ひと心地ついたコロは礼を言う、何を思ったのか、セロに縋(すが)り付く。

セロ様ぁーーッ!キロ様はわかっちゃいねえんですッ!どうかここに住まないように!まま子池にお帰り下せえーッ!」

皆、驚いて声も出ない。

セロはコロが真剣に自分を案じて言っているのがわかった。コロの目はセロが知っている幼い頃の純真な目に変わっている。

用心するノン吉達にセロは頷(うなづ)く。そして縋るコロに優しく言う。

「一体、どうしたの?このセロめに話してご覧な」

「セロ様ぁーッ」

ノン吉は誰かに見られるのは拙(まず)いと思う。

「どこかゆっくりと話が聞ける場所はないか?」

「自分の汚い小屋が一番です」

一行は仕方なくもと来た道を戻る。

小屋に案内したコロは嬉しげにお茶を出して世話を焼く、そんなコロの真意も分からずにノン吉達は黙っている。

「コロ、ありがとう。美味しいお茶だね」

セロがそんなコロに声をかける。

「へへ、とっておきです!お口に合って良かったです」

「さっ、お前も座って。さっきの話を聞かせておくれ」

「へい。あっしがこんな事言うのはとんでもねえ出しゃばりなのは、わかっていやす。わかっていやすが、、、
キロ様は何も御存じねえんですよッ!川番をしてるあっしが一番知ってますよ!」

「どういうことなの?」

「だってそうでしょう?あなた様はここに来たとしても年に一度来るかどうかで、滞在されていても僅(わず)かです。

そんなあなた様は、ここがどれ程酷い所になっちまっているのか御存じねえんですッ!だから大切なセロ様をこんな所で余生を過ごさせるなんて言うんですよッ、
とんだ親不孝ですよッ!!

「コロはどうしてそう思うの?」

ノン吉が訊ねる。

へい!こうなりゃ、お供の方にも聞いてもらいやす。あっしはね、情けねえんですよ!いや、自分がね、、、根性なしのドブ河童ですよ。

あんだけ、まま子池に戻りたがっていたお袋に結局、最後まで『逃げて行こう!』と言えなかった、、、

情けねえ根性なしの、このコロに出来る事と言ったら.....今でもハッキリと憶(おぼ)えていやす。

まま子池に住んでいた頃、てて親なしのあっしが近所の悪ガキにいじめられている時に、偶々通りかかったセロ様が『今度コロを苛(いじ)めたら、セロがお前達の尻小玉抜いてやる!』って、庇(かば)って下さって...。

聞けば昔、お屋敷でお袋は小間使いで働いていて、結婚してやめたそうなんです。あっしのてて親が死んだと噂に聞いて、『何か困っていないか?』と態々お訪ね下された帰りだとね。

あっしの事はお袋に聞いていたし、何よりも目の色が河童じゃ珍しい【紫色】だから『すぐにわかったよ』って...

あっしは、、、あっしは嬉しくて嬉しくて、、、(ぅッ)
セロ様ぁああーーー!

コロの話を聞いて皆、セロが尻小玉抜くというのは『癖なのね』と変に感心した。

ノン吉はコロの話に真実を見た。魂に嘘偽りの無いのを見るとコロに大事を明かし協力するように話す事を決めた。

ノン吉が話をしようとした時、きゅー助のお腹が派手な音をたてて鳴った。


きゅーーん


キュー助は恥ずかしそうにお腹を押さえる。

キュッ!

「キュー助、どうしたの?」

オロが言うとキュー助は恥ずかしさに顔を赤くする。

「へへ、恥じかしいね」

キュッ

「あ!皆様、すみません!あっしは自分の話に夢中になってしまって、時分なのに気が付きもしねえで申し分けねえです」

「コロさん、気にしないで下さい。キュー助の事は気にしないで」

コロは『さっ』と台所に立つと鍋に水を入れて囲炉裏に持って来る。もう一度席を立って台所の戸棚を開けたり閉めたりして、大忙しである。

そして笊(ざる)に鍋の材料を入れて運んで来た。笊にはびっくりするほど痩せている川魚が入っていた。そして一握りの米粒。

コロは恥ずかしそうに、その材料を鍋に入れて少しばかりの塩を入れる。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
kokorozukushi.jpg


「すみません。こんなものしか無くて、、、皆様に出せるような代物じゃねえんですけど...」

申し訳なさそうに...哀しそうに...そう言って鍋を見つめていた。皆、なんだか胸が切なくなって言葉も出ない。

その内にコロの目から泪(なみだ)があふれてきた。しょぼしょぼと頬をつたう、、、よく見ればコロはあばらが浮く程痩せている。

「コロ...辛かったね...」

セロはコロの背中にそっと手をまわす。今までの事が込み上げてきたのだろう、、、大声で泣き始めた。






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 のくにぴゆう

Author: のくにぴゆう
猫国の住民達の物語を書いています。
作者はコメを食べて生きてます。
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