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大相撲 21 蕎麦 

前回


まま子特製の温もり玉を飲んだ三人はお腹が暖かくなり、一層、やる気が出てきた。遠慮がちに声をかけたものが居る。


はじまり、はじまり



見れば中年の河童夫婦である。

「五黄様、レレの親御でございます。キキにタイ、遠慮せずに申しなさい」

月狼が紹介をする。

「はい。五黄様、藤平様、お蜜様にお風様、また皆々様方。レレが大層お世話になりまして、ありがとう御在ます」

「レレもその内に元気に戻って来よう、安心するがいい」

藤平が答える。

「あの、、、お出かけ前に宜しければお昼の御膳を召し上がられてはと...」

「そういえば昼飯食うの忘れていたなあ」・・・五黄。

「おお!草助に支度をさせていたのだった」・・・藤平。

「あら!お勢に、ここに来るって言うのを忘れてたわ」・・・お風。

「やだ~、姉様。お熊とこん吉にもよ」・・・お蜜。

今頃、気が付いた。

「さぞ、怒っておるであろうな」

「狸兵衛、そう言うな。それよりも腹が鳴って来た。キキよ、馳走してくれ」

「はい!」

キキとタイは、さっそく運んで来る。湯気が立っている大きな土鍋と、大きな笊にてんこ盛りになっている太打ちの田舎蕎麦。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
sova.jpg


「わぁー、久しぶりだわ~!タイの手打ち蕎麦だわ!」

お蜜が声を上げる。

「お蜜様はお好きでしたものね」

「ふふ、懐かしいわ~。これって得意のつけ汁ね?」

「はい、そればっかですよ」

キキが、手際良く熱々の茸(きのこ)のつけ汁をよそる。このつけ汁は、塩漬けにしてあったなめこ・椎茸・占地・平茸・舞茸・木耳を戻し、蕎麦に絡みやすいように細かく切って醤油と出し汁で煮て作ったものだ。少しだけ、片栗でとろみがついてあるので、冷めにくい。

「そこに、この摺(す)りたての山葵(わさび)をお好みで入れて下さい」

「あたしは、たっぷりと入れるわよー。」

お蜜は、けっこう入れた。

「汁が熱いうちに蕎麦を召し上がって下さい」

皆、『熱い~!旨い~!』と大騒ぎである。山葵を入れ過ぎたお蜜は、「(ツーン)きくぅーッ!」と嬉しそう。キキもタイも空になる笊にお代わりを入れて来たり、つけ汁を運んで来たりと大忙しである。

箸(はし)休めに出した長葱のぬたも大好評だった。キキは、長葱(ねぎ)をごくごく弱火で炙って作る。時間は掛かるが其の方が葱の甘みが出るし、水っぽくならないからだ。

うっすらと焦げ目がついた葱をぶつ切りにして味噌と和える。それだけのものだが、此所に居る者たちはとても好物にしている。腹が満たされるとノン吉達はやる気満々になった。

よぉーしッ、行くぞーーッ!父ちゃん、連れて行ってくれ!」

「あいわかった」

五黄も今回は大変である。度々、大人数を瞬間移動させているのだから、息も切れるところだが、もう一踏ん張りとノン吉達と消えて行った。

「さてと、、、待っているだけというのも芸がない」

藤平が言うとお蜜達は頷(うなず)く。

「わたくし、お勢達に言っておかねばなりません」

「そう言えば、わし達、猫宿の者達に何も言わずに来てしまったわい」狸兵衛も言う。

「あら、そうだったわ!」

「きっと大騒ぎだったわよ」

「これは失念してた」

藤平がニャコニャコして言う。

「わたしらは、そればっかりになってしまって、いけませぬなあ~」

「本当ですわ」

お蜜が、にやにやしている。

「まぁ~~あ、姉様と藤平は気が会います事ッ。おほほほほ」

まっ、お蜜!変な事を言わないで頂戴」

「あらーあ?お風ったら、そんなにむきになってぇ~~」

まま子が、尻馬に乗る。

「もぅ、二人していやだゎッ」

ポッ

お風は頬を染めて部屋を出て行ってしまった。知らぬ藤平は、狐につままれた顔をしている。

「どうしたのよ?お風は」

「わたしには、さっぱり分かりかねる」

狸兵衛も不思議そう。その内に五黄が帰って来た。

「ふえー、キツかったよ」

「お疲れさまです」

「藤平、俺達は取り敢えず屋敷に帰るか?」

「それなら、五黄よ」

「何だ?狸兵衛」

「お前は疲れておるだろうから、又わしの尾に乗って帰ろうではないか」

「おお、そうしよう」

「ちょっと待った!」

「何だお蜜」

「それなら、いっそ猫国に掛けてある結界を解いてよ。あたしなんか、狐国からここに来たくたって飛んで来れないから、不自由なのよ」

「ああそうか、忘れてたわ」

「もぉー、頼むわよ!」

「そうしよう」

「それから、あたしとまま子は荳傘(まめかさ)に行くわ」

「そうか」

「ここにも近いし、貞達が喜ぶから」

「あれ?そう言えばお風はよ」

「ふふ、その内に戻ってくるわよ。姉様を連れて行くの忘れないでね」

「わかった。さてと、久しぶりに屋上にでも行くか?」

「それならご案内いたします」

月狼が案内をしようとするとお蜜がしゃしゃり出て来た。

「あたしがするわよ。あそこは木平(もくべい)との思い出の場所なんだから」

「木平って?」

「あたしの大切な友達よ」

「お蜜にも友達がいたのか?」

「フンだ!いるわよッ、馬鹿にしないでよッ!」

「何でもいいから、先行きな」

「わかったわよ」

お蜜を先頭にしてぞろぞろ屋上に出て来た。







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大相撲 22 結界 

前回



一行はキキとタイの心づくしの昼食を馳走になり、ヤル気が倍増した。五黄はノン吉たちを送り届ける。そしてお蜜の要望を叶えるために屋上に向かった。



はじまり、はじまり


何故か屋上にお風がいた。

「あら?姉様ッ!」

「あら、どうしたの?」

「姉様こそどうしたの?ここがよくわかったわね」

「迷っていたら、いつの間にかここに来たのよ」

お蜜の後から五黄達がのそのそ来た。

「良いとこだなあー」

「ほぉおー、確かに見晴らしの良いこと」

「良い場所だの~」

「お風はここにいたのか?」

「はい」

「さっ、それでは久しぶりに結界を解くかな」

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
kettukai.jpg


五黄は空に向かって大きく口を開ける。

忽(たちま)ち青い空が吸い寄せられるように五黄の口の中に入っていく。


ずゎぁぁぁああーーーーーッ



流石の王族達も見たことのない光景に言葉もない。しばらくそうしていると五黄が口を閉じた。

「ふむ、此れで良しと」

「もういいの?」

「ああ、試しに飛んでみな」

お蜜が九本の尾を『ふわッ』と広げると、そのままスルスルと体が持ち上がる。

「わぁ~、気持ちいいわぁー!此れで猫国を自由に往き来が出来るわ~!」

月狼達は、お蜜が空を飛ぶのを初めて見たので感嘆の声を上げる。


うわぁ~~~☆


「それじゃ狸兵衛よ、頼むわ」

「あいわかった」

狸兵衛が、尾っぽを前にして『ポンポン』と揺らす度に広がっていく尾っぽ。あっという間に十畳程の大きさになる。

へぇえーー?凄いッ!!」

月狼達は目を丸くするばかりだ。

「お風、お前も乗れよ」

「えっ?わたくしだけ?」

「おお、そうよ。お蜜とまま子は、荳傘の屋敷に行くんだとさ」

「お蜜ったら、お熊に怒られるのが嫌なのね?」

「姉様、そこのとこ宜しくね~」

空から言っている。

「お蜜、まま子と喧嘩するなよ」

「わかってるわよー」

「まま子。此れからの事、よく考えるんだぞ」

「わかってるわよ!」

「それじゃあな。月狼、何かあればお蜜に連絡しろ、いいな?」

「はい、わかりました」

「じゃ、行こうぜ」

五黄の合図で、狸兵衛の尾が『ふゎり』と浮く。お風も藤平も五黄もゆったり座って優雅に西の彼方に消えていった。見送ったお蜜は、屋上に降り立つとまま子に声を掛ける。

「さてと。まま子、あたし達も行こう」

「うん、どうやって行くの?」

「あんた、重そうだけどあたしの尾っぽに乗ってよ」

「えーッ!乗れる?大丈夫かしら?」

「大丈夫よ!どうせ目と鼻の先よ。ちょっとの辛抱よ」

「月狼、シャナ、海狼。いい?心丈夫にして待っていなさいね」

「はい!」

「あたしはまま子と荳傘にいるからね。必ずガスは帰って来るから」

「はい、待っています!」

「それじゃ、まま子!行くわよ~」

「はいよー。」

お蜜の背中にしがみ付くようにしてまま子は、尾に跨(また)がった。

「じゃあね~」

「お気をつけてー!」

お蜜は重そうだったが『えいッ!』と気合いを入れ何とか浮くと、荳傘村へと飛び立っていった。






              ~♢~






一方、五黄に三険山の麓(ふもと)にある川太郎池に連れて来られた五人の河童は、今までの明るい気分が一辺で吹っ飛んでいた。
急峻な岩肌を晒(さら)す三険山の黒々としてゴツゴツした岩山は来る者を拒んでいる。

池を挟んで遠くに霞む五険山も同じようであろう。目を正面に向けると、気分が深く沈む。どんよりした青緑の池にはガスが出ているのだろうか『ボコボコッ』と時折、泡が出てくる。

淀(よど)んでいる池の周りは何の音もしない。不気味な静けさに満ちている。

「なんか、いやぁーな気分...」

きゅー助がそっと呟(つぶや)く。

「お前はどっちでも良いから、帰れば?」

「オロの意地悪!」

「お前達、くれぐれも無理はするなよッ」

五黄が全員の顔を見渡す。

「父ちゃん、俺がいるから大丈夫だよ!」

「だから、心配なの」

「ぶーーーッ」

「冗談だよ。セロ、わかるか?」

「はい!セロめにお任せを」

「オロも桃吉もきゅー助も決して無理するなよ。おまいら、結構無理するから心配だ」

「大丈夫です!」

「任へてくらひゃい!」

桃吉はすでにビビっている。

「桃、帰るか?」

「ノン吉兄貴!おりはたいちょうぷれす!」

五黄は、後髪を引かれる思いながらも一言「行くよ」と、言って消えた。五人の河童達は黙っている。

・・・・・

五黄が一緒にいる安心感が、どれほど大きかったかを取り残されて気付く。ノン吉はそんな皆の気持ちを知っているので努めて明るく声を出す。

「さてっと!それじゃ行くかー?」

「ノン吉様」

「何だい?」

「河童国の者は、大概二文字です。どうしますか?」

「じゃ、俺は『ノン』でいいし、桃はそのまま。きゅー助は『きゅ-』でいいさ」

「はい。それでは、いつものように池に声を掛ける訳には参りませんので泳いで川太郎様のお屋敷に向かうしかないと、、、」

「そうだな」

「泳げるかなぁ...」

桃吉は不安そう。

「大丈夫ですよ。びっくりするくらい泳げますし、息も出来ますから地上と変わりませんよ」

セロが皆に説明をしている時だった。






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大相撲 23 頭きた! 

前回


行く先が決まった一行はそれぞれに別れた。ノン吉達は川太郎池に、これから一体何が起こるのだろう。



はじまり、はじまり



何やら、池にさざ波が立って来て、池の中央に一本の線が出来た。其の線が段々と太くなって行く。開道と同じだ。ノン吉は『ボーっ』と見ているセロ達に、茂みに隠れるように言う。


ノン様!


「しっ!静かに。皆、黙ってろ」

池の開道は、まま子川とは比べようもないが、規模は小さくとも立派なものであった。『ザザーーっ』と水面が盛り上がり『スゥーっと』乾いた一本道が現れた。

それなりに凄い眺めだ。池の底から一人の河童が出て来た。其の河童は、少し小太りではあるが、けっこうな年寄り河童に見える。

あ゛っ!あれはセロめの不逞(ふてい)の息子、キロでごさいます!」

「だけど、お前と変わらないような年寄りだよ」

「息子でも、百年も経てばセロめと同じ年寄り河童になります」

「あれはキロだ!」

「あれが意地悪キロなのッ?」

きゅー助は思い出した。キロがオロに対してした冷たい仕打ち、、、きゅー助らしからぬ怒りを顕(あらわ)にし何を思ったのか駆け出す。


きゅー助ぇーーッ!


皆が止めたが既に遅かった。キロは池を出て、のそのそ歩き出していた。


こんにゃろぉおーッ!!


わぁあーーーッ!


ノン吉達も急いでそばに駈け寄る。きゅー助は、キロを処構わず殴っている。


ボコボコボコッ!バチ!バチ!バッチン!


「ひぃッひぃッ、た、助けてーーッ!

皆で止めに掛かろうとすると、セロが止めた。

「いいんです!こいつには此のくらいが調度良いんですッ!」

「でも・・・」

キロは殴られて向けた顔の先にセロがいて増々驚いた。(!?ッ)

「父ちゃん?」

オロがきゅー助を後から抱きとめる。


挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
atamakita.jpg


「きゅー助!もういいから、もういいから止めて」

「だってだってぇーーッ!」

「いいの、俺、いいの」

きゅー助は、オロが何度も言うのでキロを最後にもう一発殴って止めた。

「うッぅ、、、ぅ~ん」

最後の一発が効いたらしく、キロは気絶した。

「あぁ~あ、気絶しちゃったよー。すごいねえ~、きゅー助って」

桃吉は暢気(のんき)である。

「へへ(キュッ)」

「何、言ってんだよッ

ノン吉は怒ってる。

「きゅー助様のパンチは此のセロめも喉の閊(つか)えがおりますわ~」

「セロは息子に厳しいねえ」

「いいんです。セロの言いつけも守らずに、川太郎様の言いなりで、諫言(かんげん)するどころか一緒になってオロ様に酷い事をして、、、このーッ、馬鹿者めが!」

セロは、気絶している息子を容赦なく揺らして起こす。

こらーッ!起きろーッ!起きろと言っておるのじゃーッ!」

「ふあ?止めれぇぇ、、、ヤメレぇ~ぇ、、、」

キロは目を覚ますが早く、セロのもの凄い顔を見て又気絶する。

「セロ!セロ!もう止しなよ」

ノン吉がセロを止める。ようやくセロがキロを揺らすのを止めるとノン吉の方を向く。オロ達がセロの顔を見て『ギョッ』とする。

「セローッ、まるで変化してるみたいだよー!何でお前がそんな風になれるの?」

「はい、ノン吉様。セロめは、『もの凄ぉ~~い』まま子様のお顔に負けぬようにと修練しましたら、やっとここまでになりました。はい」

「へぇーッ?頑張ればあんな顔になれるんだぁッ!」

桃吉が変に感心している。

「バカッ」

コツン!

ノン吉にこずかれた。

「ぶぅーーッ」

「なあ、セロ。わかったから、落ち着きなよ」

「ノン吉兄さん、ここで騒いでいるのは拙(まず)い気がするよ」

オロが落ち着いて言う。

「そうだな」

「どこかにこいつを運ぼうよ」

きゅー助は鼻息が荒い。

フンガッ・フンガッ

「それなら、もう少し行った所に小屋があったと思う」

「えっ?何でオロが知ってるの?」

「なんかさあ~ここ、俺が人間の時にキロに連れて来てもらった気がする」

「そうなの?」

「うん。何となくだけど思い出してきたよ」

「案内できるか?」

「はい、こっちに」

オロは先だって歩いて行く。

「それじゃ、取り敢えず行ってみるか?」

ノン吉とセロが後に続く。キロは、桃吉ときゅー助に脇をがっちりと抱えられて連れて行かれた。オロの言う通りに、雑草を掻き分けて行くと半分朽ちかけた古い小さな小屋が見えて来た。雑草で覆われた其の小屋は酷い有様だ。

「ここだよーここ!」

オロは其の汚い小屋にさっさと入って行く。小屋の中は、外観よりはまともだった。セロは囲炉裏(いろり)を見ると早速火を熾(おこ)す。キロをその辺に横にさせると皆は囲炉裏端に座った。

「オロは良く覚えていたな~」

「はい。そう言えばキロは『夜遅くここに着くと川番に開道してもらえないから小屋に泊まる』って。俺達がここに来たときも、遅かったから泊まったんだよ」

「そうなの?」

「ぅう、、、ン」

キロは気が付いたようだ。

「気が付いたょ」

きゅー助は見張っていたのか?キロのそばを離れずにいた。セロが猛然とキロに向かって行こうとするとノン吉が止めた。

「セロ!又気絶させたら面倒だから俺に任せな」

「はいぃ、、、でも・・・」

「いいから、セロは俺の後にしな」

「わかりました」

「キロ、突然で驚いたな?」

「はぁー?」

「キロ!ノン吉様じゃッ!ご挨拶せいッ!」

セロが口を挟(はさ)む。

「へっ?でも河童だし、、、」

「ええいッ、説明は後じゃ!ご挨拶をしなさいッ!」

「はい、、、キロです」

「キロ、俺は『天翔猫のノン吉』だ。こいつはお前が騙(だま)して、河童にしたオロだ」

オロをノン吉は手招きした。

「オロ?オロって?」

「【吸い出し岩】で死にそうになったオロだよッ!」

きゅー助が恐い顔をして言う。

「えっ?でも皿が銀色、、、え゛ーっ!?どう言う・・・」

セロが又しゃしゃり出て来る。

「キロ!オロ様は今では狸国の狸兵衛様の弟様じゃ!こちらのきゅー助様も同じ弟様。そして畏(おそ)れ多くも『天翔あまかけ猫』のノン吉様に『羽付猫』の桃吉様じゃ!」

「ちょっと~、何で俺だけ『羽付猫』って、、、なんか軽くない?」

「いいから、黙ってな」

「ぶぅーッ」

オロもきゅー助も可笑しくて笑ってしまった。キロは、良く分からなかったが凄い者達に囲まれているのは理解したようだ。観念したように項垂(うなだ)れている。







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大相撲 24 キロの話  

前回


きゅー助はキロだとわかると猛然とダッシュして殴った。キロには何がなんだかわからない。懐かしいセロも怒っている。騒ぐ皆を鎮めて河童姿のノン吉が話す。



はじまり、はじまり



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kironohanashi.jpg


「キロ!お前はどうして此所に居る?オロの話だとお前は人国にいるはずだが」

「そっ、それは...あのぅ、、、」

「まさか、またオロにしたみたいな事する為に誰か連れて来たのッ!?」

「あ、あの...そうではありません、、、ありませんが.....」

「お前、何かあるな?」

「早く言わんかッ!この馬鹿息子ッ!!

キロは『ばさッ』と土下座するとワナワナ震えながら怯(おび)えている。

「キロ!まだこれ以上罪を重ねるのかッ?われらが河童の姿になってここに居るのは何の為と思うッ!」

「はッ、ハイ.....」

「川太郎がガスを誘拐したからだ!」

え゛え゛ーーッ!?そんなッ、そんな事、、、チキショー!あいつらが知恵をつけたんだッ、そうに決まってるッ!むムム・・・チキショーめッ」

「キロ、何を言ってるんだ?俺達に全てを包み隠さず話せ」

「あ"、、、はい。こうなれば全てお話します」

「良し、そうしろ」

「オロ様、本当に申し訳ありませんでしたッ!!」

「いいよ、過ぎた事だよ。俺はもう気にしてないよ」

「いいえ、違うんです、、、」

「えッ、何?どう言う事?」

もッ、申し訳ありませんゥッ、、、」

キロはそう言うと『わぁーッ』と、泣き出してしまった。

「どうした?どうしたんだ!泣いてないで早く言え!」

「ええーいッ、しっかりせんかッ!キローッ!

「はい、、、あのぉ・・・、大助さんを連れてきました」

「え"?何だってッ!?何て言ったあーッ!」

キロの答えに驚いたのはオロだった。


てめぇええーッ!勘弁ならねえッーーッ!!
俺だけでなく大助までぇえーッ!



ばっこーーーん!


オロがもの凄い剣幕でキロを殴りつけた。ノン吉達が慌ててオロを止める。

オロ!オロっ!どうしたんだッ?どうしたんだよー?」

「ねぇッ、『大助』って、オロの弟の大助なの?」

きゅー助は、オロを止めながらも怒りまくるオロに訊く。

この野郎ぉーッ!セロさんには悪いけど勘弁ならないッ!!」

「ねえ、ちょっと待ってよ。オロ!キロはきっと嘘ついてるんだよ」

桃吉がオロに話す。

「どうしてよッ?」

「だってそうじゃん。オロが人間だった時は俺が人間だった時より二百年位は前の話だよ。えらい昔なんだよ、

人間がそんなに生きてるなんて有り得ない!そんな事ある訳がないよ!」

「いいえ、大助さんは生きていたのです!」


えーーーッ!?


「話してみろ」

「はい、何もかも申し上げます。オロ様を河童にしてから、あたしは人国に戻りました。戻ったのはオロ様の親と契約をする為でした」

「契約?何の契約よッ」

「はい。『不思議膏ふしぎこう』の薬を販売して得た利益のうち半分を川太郎様に差し出す契約です」

「何それ?こっちでは人国の金なんて使えないのに」

「そうなんですが、川太郎様は人国の物が大変お好きなのです。ですから、どうしても人国の銭が欲しかったのです。

『弦兵衛げんべえ』は義理固い男でしたから、キッチリ半分の利益を寄越しました。川太郎様に半分渡しても薬の儲けは莫大でしたので、弦兵衛は大層裕福になりました」

「そうか。それじゃ銭の苦労をしなくても済んだんだ、、、母ちゃんに怒られなくて済んだんだ、、、」

「オロ様には、気の毒ですが、、、」

「何よ?」

「弦兵衛夫婦は別れました」

「何でよッ?どうしてよッ!お金持ちになったのにッ」

「はい。元々そりが合わぬ夫婦のようでした。大金持ちになった所為かわかりませんが、お互いが家庭を顧みなくなり、二人其々に色が出来たようで別れてしまいました」


何だよぉーッ!あんまりだぁあーーーッ!


オロは悲嘆に呉(く)れる。きゅー助も桃吉も余りな話に言葉もない。

「そして年月が流れ、弦兵衛が死ぬと川太郎様は、気の良い大助さんと契約しました。初め大助さんは厭がりましたが、オロ様に『いつか会わせてやるから』と、言い聞かせました」

「・・・」

「大助さんは、結婚をしなかったので子供がいません。子供が居れば大助さんが死んでも、子供と契約をすればいいのですから、

『結婚をしろ』と言っても大助さんは『嫌だ!』と言って聞き入れませんでした。多分、自分と同じ目に合わせるのが嫌だったのでしょう」

「大助・・・」

「川太郎様は、だんだん歳をとっていく大助さんに困り、試しに自分の甲羅の削(けず)った物を無理矢理に飲ませました。

五黄様の背中の毛の真似をされたのです。此の世界の者には効きはしませんが、人間には効きました」

「それで、大助は長生きでいれたの?」

「はい。よれよれの爺になりながら、大きな大きな屋敷の片隅で、ほんの一握りの会社の重役の者に会うだけで。生きる屍(しかばね)のような日々を、、、」

「ウッ...酷過ぎる、、、どうしてそこまでするんだッ!」

「・・・・・、川太郎様にすれば大助さんが死ねば、又初めからやり直す事になる訳で、それが面倒だったのでしょう。それに妹達の子供はどれも碌(ろく)でなしで、、、」

「あんたに言われたくないよッ!」

「はい、、、すみません」

「だけど、それならどうしてそんな大切な大助さんを連れて来たのよッ!」

きゅー助は腹が立って仕方ない。

「はい。それがそのぉ、、、川太郎様が病いに罹(かか)られまして、その病いが中々癒えず酷くなるばかりだったので、

大助さんに人国の有りとあらゆる薬を持って来るように命令したのです。『言う事を聞けばオロ様に会わせてやる』と、、、それにはここに来るしかなく、、、」

「騙(だま)したんだね?」

「はい、薬が欲しかっただけなのです。最先端の薬は店に売っていないので、あたしには手に入れる事が出来ません。

どうしても、大会社『弦兵衛製薬会社』の名誉会長になっている大助さんに頼むしかなかったのです」

「それなら、正直に言えば良いのに」

桃吉は呟(つぶや)く。

「それが、川太郎には出来ない。キロ!それはお前にも言えてるな」

ノン吉にキロは胸を突く事を言われた。






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大相撲 25 甲介  

前回


キロの話はオロにはあまりに残酷だった。怒りのままに殴ったとしても何も変わらない。遠い記憶の中、一緒にシジミ採りをした可愛い弟、大助。気の合う弟だった。大助の身を案じるオロ、どうなるのやら。



はじまり、はじまり



「はい、その通りです。あたしは只、言われた事をする、、、それだけの馬鹿河童でした」

「情けなゃ...」

セロが呟(つぶや)く。

「だけど、どうして今は大助が一緒じゃないんだッ!?川太郎に薬を渡したとしたら、大助はお前と一緒に人国に戻らなきゃいけないだろうがッ!」        

「はい。戻るように言ったのですが、大助さんはオロ様に『会わせろーッ!』と言ってお怒りになって、、、」

「当たり前だよッ!それでどうしたんだよッ?」

「其の後は、わかりません、、、」

チキショーッ!!どういうつもりだッ!」

「すみませんッ・・・でも、あたしはあれ以来、川太郎様に会う事叶わず、結局池から追い出されまして、、、」

「川太郎に会えないのに、どうしてあんたが追い出されるのさ?」

「甲介です」

「えっ?」

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
kousuke.jpg


「何でも屋の甲介です。いつの間にか川太郎様に取り入りって、、、あいつは、人国の品を川太郎様のお金で買って来ては此の世界に持ち込んでいました。

五黄様の許しを得ていない物もお構いなくです。川太郎様は、この頃はあたしに相談する事もなく、何でもあいつと決めておしまいになって。

今では右腕のようになっていて、川太郎様に良からぬ事を吹き込んで、、、ガス先生の事だって、あいつの企みに違いないですッ!」

あんニャろーーッ!父ちゃんに目を懸けられてるのを良い事にッ、許せねえーーーッ!!

キューッ!きゅッそーぉおッ!こうなったら皆で殴り込みだぁッ!」

きゅー助は凄い事を言い出す。

「ちょっと、ちょっとーぉッ!そんなことしたら、いの一番に大助さんの命が危ないよッ!」

桃吉、たまには冷静な事を言う。

「え゛っ?」

「だって、人間を連れて来ちゃ此の世界って拙(まず)いんでないの?バレたら拙いからって、、、」

「あっ、そうかッ!騒ぎ立てたら、大助もガス先生も、、、、、」

「そうだよ、『こそーっ』とするしかないよ」

ノン吉は少し考えてから、てきぱき指図をする。

「よし、そうするか!じゃ、父ちゃんにさっそく連絡しないとまずいな。俺が行くのが一番速いが、ここは羽付猫に任せるか!」

「えっ、俺ーッ?

「ここから西に真っ直ぐ進めば菰傘村に着く。お前しか羽はないし、元々其の為に来てるんだしな」

ぶぅーーッ!俺も皆と一緒に行きたいのにぃぃ」

「ばかタレ!冷やかしじゃねえの、命掛けなんだよッ!愚図愚図してて、大助とガスに間違いがあったらなんねえし、それにゲンとか云う河童のこともあるしな!

いいか、文句言わないで、てめえの出来る事を一生懸命にやるんだ!わかったかッ!」

「はい、わかりまひた・・・」

「父ちゃんへの連絡は此れで良しと!後は俺達だ。オロときゅー助とセロ、そしてキロ」

「はい!」

「死ぬ気で頑張ってみろッ!お前の働き如何によっては、また道もあるだろう。お前は知らぬが川太郎の病いは死の病いよ、己が招いた事。

お前がセロの言う通り、諫言(かんげん)をするような気概(きがい)の持った家来であったなら、こうはならなかったであろうにな、、、残念だ。さあ、どうする?キロ」

キロッ!ノン吉様に返事をせんかあッ!!」

「は、はいッ!死ぬ気で頑張ります!是非ともあたしめをお役立て下さいッ!

「よし、お前はまずは案内をしろ!それからのことは道々考えよう」

「あのぅ・・・」

「何だ、桃吉」

「オロの頭の皿、銀ぴかじゃ拙いんでないの?」

オロは五黄に変えてもらっていなかったので、皿がキラキラ光っている。

「えっ?」

「そう言えばそうだな。どうしようかなー」

「さすれば、ちょいとお待ちを」

セロは背負っていたまま子の行李(こうり)を背中から外すと、行李から赤い毛糸の帽子を取り出した。

「まま子様の御帽子です」

「こりゃ、いいや~!オロ、かぶってみな」

「えぇー、なあに?この頭巾。赤いのなんて女みたいだよ」

「文句は言わないの。オロの出来る事は帽子をかぶることだからしてなもし」

桃吉は、ノン吉の真似をして偉そうに言う。ノン吉は苦笑している。

「ぶーーッ」

オロは、不承不承(ふしょうぶしょう)に生まれて初めて帽子をかぶってみた。

「ほら、こぉーして被(かぶ)るの」

桃吉は甲斐甲斐しい。

「あれ?なんか暖かい。ぽかぽかしてくるよ~」

「けっこう、似合ってるよ」

ノン吉に褒められるとオロも満更じゃなくなる。

「へへ、そうですか?」

「きゅー助も欲しいよ~ぉ」

「きゅー助は額も光ってないからいいの」

「ぶぅーッ」

「あれ、あれれれ?」

桃吉が赤い帽子をかぶっているオロとキロを見比べている。

ちろっ・チロッ

とうとう、オロから帽子を取り上げてキロにかぶせてしまった。

「何だよ!」

「ちょっと、貸してよ!」

「何をするんですか?」

キロの帽子姿を真剣に見ている。

じぃーーッ

「あ"ーッ、やっぱりそうだ!こいつ、あの貸しまんが屋の爺だッ!顔が腫(は)れてるから、わかりずらかったけど間違いないぃッ!」

腫れているのは皆で殴ったからで、キロの所為ではない。

「どうしたの?それって桃吉が人の時の話でしょ?」

三人は桃吉に聞いていた。桃吉が人だった頃、小学生の時の出来事だ。









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今回はコメ欄を閉じました、へへ。
此の頃、コメ返が遅くなっていて申し訳なくて・・・
水曜日は開けますので宜しくお願いします。

のくにぴゆう

大相撲 26 息抜き  

前回


キロの話によると川太郎には何でも屋の甲介(こうすけ)が取り入り、どうやら悪知恵を吹き込んでいるらしい。桃吉がベレー帽をキロにかぶせると驚いている。どうやら人だった頃に関係がありそう。



はじまり、はじまり



ある日、学校の帰り道に一軒の貸しまんが屋が突然出来た。新しい店なのに何故か古ぼけていた。桃吉は漫画が大好きだったので、これ幸いと借りに行った。

店の主人は、丸眼鏡にいつも赤い毛糸の帽子を被っていた。毛糸の帽子の脇からは見窄(みすぼ)らしい毛がポソポソ出ている。

どのくらい歳をとっているのかわからない。その上、無愛想極まりないので客もめったに来ない。
そんな店主も何故か桃吉には愛想が良く、何度か本を借りるうちに親しくなった。

ある日、一冊の本を渡された。とても汚い本だったので断ったが、『稀覯きこう本だ!』と云って押し付けられた。仕方無く持ち帰ったが、パラパラ捲(めく)っただけで結局そのまま忘れていた。

だが、その本は今思うと作者名が自分(桃吉)で、ノン吉や五黄の名前も書いてあったそうだ。

「そうよッ、そうよッ、そうニャのよッ!だけどニャんで?
ニャんでニャんだあ~??

何でだあ~~ッ??どうして、俺が子供の時にキロに会ってるわけなのよ?
わっかんニャーイッ!
それに俺の書いた本ってなんなんニャーッ!?

頭の中に、色々な事が一気に吹き出して、次の言葉が出て来ない。終いには頭を抱え唸(うな)り出す始末。キロは、皆に分からないようにしてクスクス笑ってる。そのキロの態度に敏感に気が付いたのがきゅー助河童。

こいつ、笑ってるよぉーッ!もう一回気絶したいのかぁーッ?(キューッ!!)」

「ご、ご勘弁を、、、」

キロは腫れた頬を押さえる。ノン吉が、キロを殴ろうとするきゅー助を押さえる。

「おい、キロ!時間がねえんだッ、早いとこしないといけねえのに、桃吉があの様じゃ使いものになんねえ。何か知ってるんならチャッチャッと言ってみなよ」

「はい。あれはあたしが久しぶりにここに戻って来たときのことでした。あたしはいつものように、菰傘(こもかさ)を通ってここに参るのですが、菰傘村ではお陽の髭結(ひげゆ)いに寄るのを決まり事にしてまして、あの時もそうでした。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
ikinuki.jpg


髭結い床の客との馬鹿話は気が置けなくて、あたしには大切な息抜きでして、、、」

「それでどうしたのよッ?」

オロもいらいらする。

キロ!早く先を言いなさいッ!」

いつの間にか、セロも桃吉も真剣に聞いている。

「はい。そこの客から、つい最近『桃色の猫が菰傘の住人になった』って話が出て、そしたらお陽さんが『その猫は【桃吉】って言って、元人間だよ。五黄様が猫にしたんだょ』って言ったんですよ」

「俺だあ~」

「あたしは、その時は聞き流していたんですが、話を聞いてる内に少し興味が沸いたんです。それで・・・」

「それでどうしたのッ!?」

皆して、キロに喰いつかんばかり。

「あたし、この頃は川太郎様から余りお声もかからず、少し寂しく思ってました。それで、どうせなら少しは好きにしても良いかな?と思い始めたんです」

「ふんふん、それで?」

「はい。それで桃吉さんが元人間だったとしたら困っているんじゃないかと、、、」

「どうして、そう思ったのよ?」

「はい。あたしは昔、オロ様に酷く冷たい仕打ちをした事に後悔していました。オロ様は【残り河童】それならば桃吉さんもそうだろうと、、、」

「俺って【残り猫】だったのッ!?」

「うるさいなあ~、桃は黙ってろッ!」

「『黙ってろ』って、俺の事なのにぃぃ...(ブツブツ)」


うるニャいッ!


「ぶぅーーーッ」

「それで、あたしなりに考えたのです。『ここの世界のあれこれを教えて上げたい』それで少しでも役に立てばと、、、」

「だけど、ノン吉兄さんもいたし、キロが世話焼く事ないじゃん?俺の時は知らんぷりだったのにさ」

「すみません、、、そうなんですよね。あたしは猫族が親切で愛情深いのを知ってはいたのですが、
どうしてもそうしたくなってしまって、、、それなら、いっそ猫になる前の桃吉さんに教えて上げれば良いと」


え゛ぇーーーッ!!


「はい、あたしはその事を考え出すと一日中考えるようになりました。それで『これなら!』という好い案が浮かびました」

「それが俺の書いた本なの?」

「はい、そうです」

「自分が書いた本というのならどんな奴でも読むのではないかと、、、苦労して作りました。あたしの力作です。お読みになりました?」

「最初のとこだけ」

「やっぱり、、、桃吉さんは相変わらず漫画だけしか読まないんですね」

「どうせ、俺はそうですよー」

「だけど、何で桃吉の過去に?俺もこんがらがってきた、、、」

「きゅー助もぉ」

オロもきゅー助も理解が出来ない。

「此の世界とあそこは別物なんだよ」

「それってどういうの?」

「ああ。あすこは、次元も何もかもグチャグチャに入り組んでいるんだ。あの世界自体が薄くなったり厚くなったりしてる。

こいつが、あの世界を渡り歩いているとしたら有り得ない話ではない。俺が、あそこに行くのが嫌な理由の一つにそれがある。

たまに行くと時代が全く違っていたりするんだ。だから、同じ時代に行こうと思っても、俺には行き方が良く分からなかった」

ノン吉は嫌そうに顔をしかめる。

「へぇーッ!そしたら行く度に違う時代になっているの?そしたら、俺が行こうとしても無理なのかなぁ、、、」

桃吉も不思議そう。

「わからないよ。だけどキロはわかってんだろ?」

「へへ、全部はわかっていないです。唯、あたしは余りにも長い時間をあそこに居ましたから、此の次元はその内に消えそうだなとか、、、」

え゛ーーッ!そんな事があるのぉ?」




※コメントにややこしくなっているとありましたので、
この回は少し補足に説明をしたいと思います。
猫国往来記の本編を構想している時、桃吉登場の最初のシーンはこの貸漫画屋からでした。
ですが、何度も何度も考えるうちに今のシーンに変わりました。
とても練り込んだだけに捨てがたく、大相撲に出したということになります。
時空が出てきたり、いろいろとややこしいですが、
これは現在の人国の状況を説明しているだけに過ぎません。






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大相撲 27 行って来ゃ~~~す!  

前回


キロの企ては桃吉のマンガ好きで無駄になったが、周りの者はキロの善良な部分に何かホッとした。


はじまり、はじまり


「桃吉さん、あたしはあなたの過去に行きました。

あたしは、いつの間にか変な能力を身につけたようで、『あの人間!』と強く思いながら利根川を渡ると不思議にもその人間の処に行けるようになったのです。

それであたしは、いつでも大助さんと連絡を取り合う事が出来たのです。ならば会いたい人間に会うことが出来るのなら、過去のそいつにも会えるのではないかと思いまして・・・」

「試したのか。随分と危険な事を、、、」

「はい。あたしはこの頃どうでも良くなっていて、次元の狭間(はざま)に落ちたとしても『別にいいかな』なんて思っていましたから」

「なんとッ!、なんと情けないぃ...」

セロは溜め息ばかり。

「試してみると上手い具合に桃吉さんの小学生の頃に会う事が出来ました。桃吉さんは、とても漫画好きだったのであのような事を仕組んでみました」

「あれって、俺専用だったの?」

「勿論です。あなたを誘う為に友達に化けたり、、、とても楽しかったです」


ウッそぉおーッ!?


「あたしの本をあなたにお渡しする事が出来た時は、何か成し遂げたようで本当に嬉しかったです」

「俺、あの後行ったのにぃ」

「あなたに本さえ渡せば良かったのです。それにあんな拵(こしら)えものをするのはけっこう疲れまして・・・」

「それじゃ、あれって本物の貸しまんが屋じゃなかったの?」

「はい。あたしの拙(つたな)い術です」


げぇぇえーーッ!


「キロ、どうしてそんな手間の込んだ仕掛けを考えたんだ?」

ノン吉が言う。

「はい、何度も申し上げましたが、オロ様に対しての贖罪(しょくざい)の気持ちと、桃吉さんがオロ様と『お友達だ』と菰傘で聞いたからです。

あれからお陽の髭結(ひげゆ)いに通う度に色々な話しが聞けました。だからと言って、此の事がオロ様の役に立つわけでも何でもありません。

あたしのたんなる暇つぶしだったのか...あたしもよくわかりません。ですけど、大助さんと話をする度に又、大助さんが歳をとる毎に『兄さんに会いたい!』と聞かされ、いかに冷たいあたしの心でも動かされました。

それで、そのままではいられなくなったのだと思います。ですが、あたしがオロ様を捜す事も出来なかったし、もし、お会い出来たとしても、川太郎様が今だに大助さんを無理矢理に生かし利用している等と聞けば許されよう筈もなく、、、

ましてや片棒を担いでいるあたしが会えようもなく...と悶々(もんもん)としていた時に菰傘の話です。何とか桃吉さんを通じてオロ様と関わりが出来るのではないか?、、、

手前勝手な事を考えました。このことによって、桃吉さんの口から大助さんについての話を知ってもらえるかと、、、」

「じゃあ、あの本にはオロの弟の事が書いてあったの?」

「はい、でも読んでくれなかったのですものね。あたしのやる事は、、、何の役にも立たない・・・ウッ、ぅぅ...」

「・・・・・」

その場に居るものはキロのした事について言葉が見つからなかった。良い事をしたと言える程でもなく、親切という事でもなく、何とも言えない気持ちだった。

ノン吉は、大きく溜め息をついた。

ふぅーぅ、、、

「キロ、お前も苦しんでいたんだな?」

「そんな事、、、」

「無駄だったとは言わないさ。だってな、もしかしたら桃吉の口から大助の話をオロが聞いていた可能性もあったんだものな?」

「はい」

「だけど、桃吉が本嫌いだという決定的な特徴を見逃していたのが残念だったな~」

「はい、漫画にしとけば良かったです」

「ぶぅーッ!俺だって本くらい読みますーッ」


ははははは


皆、大笑い。

「さっ、それじゃこれで桃吉の変な思い出の答えも出たし、、、」

「へ、変な思い出って?それって何かすごーく引っ掛かるー!」

「引っ掛かっていればいいさ」


ぶぅぅーーッ!


皆、ノン吉と桃吉の話が可笑しくて仕方ない。

「桃吉は、急いで菰傘に行くんだ。西に向かって、とにかく飛んで行けッ!」

桃吉はノン吉の口調に『ピッ!』として、真剣になる。

「五黄様に伝える事は?」

「『川太郎池に急いで来て欲しい!』それだけで十分わかるさ」

「桃吉、頑張ってな!」

「うん!任せてよ-!」

「きゅー助、心配だよぉ~」

「セロめも心配です」

「【羽付猫】の底力を見せてやるさぁーッ!」

「根に持っています?」

セロが言う。

「当たり前だよ。なんか俺だけ【おまけ付きの猫】みたいでさッ~フンだ」

「いいから、行ってきな」

「はーい!よぉ~しッ、頑張るぞーッ!!」

桃吉は背中に力を入れる。

んぅうグッ、ぐぐぅううーんッ

ばさッ!』っと甲羅が割れ羽が生えた。


お"、おぉーーッ!!


セロとキロは初めて見るので驚いた。


行ったるどぉおーッ!


桃吉は、両手も羽のように振ってバタバタやっている。

「どうして、手まで振るのかなあー?」

ノン吉は呆れてる。

「桃吉の飛び方って可笑しいね~」

うるニャーい!こっちは真剣なんだ!黙っててよ~!」

「はいはい」

「行くど~ぉ!」

バサンッ!・バサンッ!』と勇ましく音を立てる。少しづつ体が浮いていく。

桃ぉ~~、浮いたぞぉーッ!その調子で頑張れーー!」

「ニャーい!」

増々力を入れて羽ばたく。気が付けば二十メートル程高く上がった。

「行けるぞぉーッ!よぉおーしッ!」

「桃ぉ~ッ!もっともっと、高くまで上がるんだよおーーッ!」

ノン吉が一生懸命に言うが、桃吉は羽ばたくのが、精一杯なので聞こえない。


そいじゃ、行って来やぁーすッ!!

hanetukikattupa.jpg

挿絵参照↑↑↑  絵をクリックすると大きくなります

大して高く上がらずに飛んで行ってしまった。

「あ~ぁあーッ、何回も言ってるのになあ~。あいつは物覚えが悪くて仕様がねえなあ」

「大丈夫なのぉ?」

きゅー助は心配そう。

「まっ、体で覚えるしかないさ」

「そしたら、俺達も行こうか?」

「はいッ!!」皆、真剣な顔になる。

「キロ、案内しろ」

「はい、わかりました!」

ノン吉達一行は辺りに気を配り、ソロソロと川太郎池に向かう。さて、お蜜とまま子はどうしているだろうか?








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この場をお借りしまして、りん友様達にありがとうと感謝したいです。
いつの間にか優しい友達ができていました。嬉しい。
訪問をしてくれる方達もとても優しい。
ぴゆうは愚痴愚痴していたり、文句を言ったり勝手放題なのに支えてくれる。
幸せです。
近頃はコメヘンが遅くなったり、訪問出来なかったりとダラしない。
でも、無理はするなと言ってくれる・・・泣ける・・・
なんか吹っ切れた気がする。
のんびりと続けられそうな気がしてきました。
頑張り過ぎす、自然体でいきます。
本当にありがとう。

のくにぴゆう

大相撲 28 台所  

前回


ノン吉達は川太郎池に桃吉は五黄に知らせる為、飛んでいく。一方、ガス病院で別れたまま子とお蜜の二人はどうしているのだろう?  



はじまり、はじまり



お蜜はまま子を乗せて自分の屋敷に向かって飛んでいる。


あ゛ーーッ、重いぃーい!


「お蜜の尾に乗り、飛んで行く、あたしはまるでお姫様 byまま子」

「落としてもらいたいのぉーッ?」

「いいじゃなーい!少しは気持ち良くなっていても~。」

全くッ!今がどういう時かわかってんのかねぇーえッ?

「わかってますよーだ!

まま子がつい気持ち良くなるのも無理はない、晩秋の夕暮れは格別なのだ。濃い茜(あかね)から薄い桃色へと、暮れなずんでいく空。白い雲も陽を浴びて染まる。

眼下に見下ろす、薄(すすき)の原。綿毛を散らし寂しそう。どこまでも続くと思われるその先に、小さな灯りを見つけた。

そろそろ荳傘(まめかさ)村にも灯りがともる頃だ。

「あら?灯りが見えるわ」

「あそこが荳傘村よ!」

「ふーん、可愛い村ね」

「でしょーぉ?だって、住んでいるのはあたしの子分や、その家族だしね~」

「何か、幸せな眺めね」

「そうね、あたしもあの灯りに幸せを感じた事があったわ」

「へーッ!」

「もっとも、その頃のあたしは悲しくて泪で霞んで、あの灯りを見続けられなかったわ」

「お蜜、本当だったのね?」

「もうッ、幾ら言っても信用しないんだからッ!疑り深いわね」

「ううん、今は信じてるわ」

「そぉう?あっ、ここよ!ここッ!あたしの屋敷ぃーッ

お蜜は屋敷の中庭に降りると重たいまま子の体重から解放されホッとする。貞達の仕事場には既に灯りが点いている。

相変わらず熱心に仕事をしているようだ。辺りが暗くなって来ているので、誰もお蜜達には気が付いていないようだ。

「さてと。まま子~、こっちに来てー」

勝手知ったる我が家、さっさと家に入ると行灯に火を点けた。『パァーッ』と部屋が灯りに満たされるとまま子は驚いた。

「凄いねえーッ!」

「アハ。貞達も家の中までは手が廻らないみたい~」

お蜜は照れている。

子分の貞達が部屋中を白ペンキで塗りたくったままなのである。屋敷の外観は貞達も気合いを入れやり直したので大分美しくなったのだが、屋敷の中までは手が廻らない。

お蜜に命令され、貞達が腹立ち紛れでやった時のままだから、今では白ペンキが剥落(はくらく)し酷い有様、無惨な状態なのだ。

「無惨やな、お蜜の屋敷は白まだら byまま子」

「馬鹿たれ。全く碌(ろく)な事言わないよッ」

「ふふ。そう言えば、腹が減ったわよ」

えーーッ!?食べてそんなに経ってないじゃないッ」

「ここじゃ、客にひもじい思いをさせるの?」

チロッ

「何が客だよーッ!仕方ないねえ、台所に行ってみるか、、、何かあるかも」

「うん、そうしよー!そうしよーう!」

お蜜は台所に入るとそこらにあった紐で、たすき掛けをする。意味があるのだろうか。

「よーし!何か作るわよーッ」

「あんた、料理出来るの?」

「フッフーーン、何言ってんのよー!先ずは『蜆(しじみ)汁』でしょ~、次が『蜆汁』、そして『蜆汁』に『蜆汁』〆に『蜆汁』よ」

「へっ?蜆汁ばっかり?」

「だってそれ以外、作った事なんてないものーッ」

「まっ、いいわ。たまにはいいかもね」

「よぉーし!まずは、火を熾(おこ)さないと」

お蜜は竃(かまど)に薪をくべ火を点けるのは誠に手際が良い。だが肝心な蜆を忘れている。
鍋に水を入れ、竃に置いてようやくそのことに気が付いた。

「あら?蜆がないわーッ!」

「やあねえー。蜆がなきゃ、蜆汁なんかできないわよ~」

「いやだぁ~、あはははは


あははははは


二人は大きな声で笑っていた。


挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
daidokoro.jpg


やいやいッ!ここはどっどなた様のお屋敷と思ってやがる!」

「お蜜様のお屋敷と知っての事でげすかあ?」

「半チクな事ぬかしやがると、只じゃおかないぞーッ!

勢いだけは勇ましいが、戸襖(とぶすま)越しに怒鳴っている。お蜜達を見てはいないのである。手と杓文字(しゃもじ)だけが見えている。お蜜はそれを見て可笑しくてたまらない。まま子は驚いている。

「あぁ~ら、怖い事。主が帰って来たらいけないの?」

お蜜の声がすると、貞達は『んニャぎゃややーーッ!』と鳴きながらお蜜のそばに駆け寄って来た。


あッ、姐御ーッ!


姐御ぉーーッ!


ニャぁああーーーッ!!


お蜜が飛ばされそうな勢いで、三人の猫達は縋(すが)り付く。

「ちょいと、ちょいとぉ、止めなさいよ~、止めなさいったらッ!もぉーーッ」

「姐御ぉーッ!会いたかったでげすうッ」

「あっしだって!」

「あっしの『方が』ですッ!」

お蜜が引き離そうとしても、しがみ付いて離れない。尾っぽで払われるとようやく離れた。

「ちょいと~、恥ずかしいだろー。客がいるんだよ」

貞達はやっとまま子の存在に気が付く。

ゲ、ゲッッ!?


うわっ!


ひゃッ


まま子のド迫力に飛び上がって驚いた。

「失礼ねえーお蜜!躾(しつけ)が悪いわよ」

「こら、あたしが恥かくでしょ!この『どてらブス』はまま子よ」

「ちょっと、『どてらブス』とは何なのよ!」

「だって言いようが無いもの」

「あの、、、」

「何よ?」

お蜜とまま子が一辺に答えたので貞吉は、余りの迫力に首を竦(すく)める。

「早く言いなさいよ!」

「はいでげす。まま子様ってあの河童国の?・・・」

「そうよ。他にこんなデカい河童はいないわよ」

「またあ~。あたしが気にしてる事をそうズケズケと言わないでよね」

「あんらぁ~、気にしてたの?知らなかったわーッ!気にしてる割には、会う度にデカくなっているじゃない(ぷぷ)」

「叩くわよ」

「いいわょー、やったんさいな」

「あのぅ、、、」

「何だよッ!?」

又、二人が口を揃えて返事をする、怖いのである。


ひぃいーーーッ


貞は泣きそうだ。

「こうなったら、やってやるッ!」

「何を言いやがるッ!昔から気に入らなかったんだ」

「あたしのセリフだよ!こうなりゃ表に出やがれッ!!


望む処よッ!!






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大相撲 29 朝飯  

前回

休止をしていた、ほぼひと月近くの間・・・阿呆な河童と狐はずっと喧嘩をしていたわけです。そんな馬鹿な!へへ

はじまり、はじまり


二人にとって、良いのか悪いのかはわからないが此の場には喧嘩を止められる者が居なかった。止められるのは物好きな五黄くらいである。

貞達は尻尾を丸め台所の隅に隠れて震えるばかり。何故かと言えば此の二人、怒りに任せ変化(へんげ)をしているからだ。暗い夜も何のその、目はギンギン・キンキラ輝いているから全く関係ない。

外に出て、猛然とダシュするお蜜。その後を火の玉のようになって追うまま子。お蜜は村はずれの広い野原に出ると、まま子に向かって飛びかかる。

どりゃぁああーーーッ!!


おのれぇええーッ!猪口才(ちょこざい)なあーーーッッ!!


まま子は向かって来たお蜜を掴(つか)むと渾身(こんしん)の力を込めて投げ飛ばす。


ビョーーーーン


お蜜は勢いよく空に飛ばされると『クルッ!』と尾を丸めて反転する。そしてまま子に掴み掛かる。投げるまま子、掴むお蜜。

『掴む、投げる』、『掴む、投げる』、『掴む、投げる』・・・・・・・・・・・・・・・なんとッ!?そんなことを朝方までやっていた。呆れるばかり。

流石に疲れて来た。『つかぁ、、、ぁあーむ、なげぇえ、、、ーーえるぅ』くらいのテンポになって、倒れ込んだ。

「はあ、はあ、はあぁぁぁ...」

「ひい、ひいぃ、ひぃぃぃ、、、」

ボロボロに疲れて寝てしまった。

ぐぅッ、ぐぐぐぅーぐゥゥ...

二人が寝たのを遠回りに見ていた貞達は、おっかなびっくりしながらソロソロ近寄る。

「寝てるのかな?」

「あれだけの大喧嘩、見たことないよー」

「きっと、お疲れでげすよ」

「兄貴、どうします?」

「姐御はお疲れだと思うでげすよ」

「だから寝てるんでしょ?」

「ばーか、お前はわかってないでげすなあーあっしが言っているのは違うでげす。きっと姐御は狐国にお戻りになられてから、そりゃ頑張られていたと思うでげすよ。

あの姐御が『出来ぬ我慢もしている』と、伊佐の手紙にも書いてあったでげすもの。気ままに暮らしていた頃とは雲泥(うんでい)だったと思うでげすよ。

そう言うなんやかんやの鬱憤(うっぷん)や不満がね、爆発したと思うでげすよ、ええ」

「なぁーる!」

「姐御は苦労をされているんですね・・・」

ウッ

「それがここに来て爆発したんですか?」

「それだけここは気の置けない場所なんだと思うでげす」

「なぁーーる!」

「しっかし、まま子様っておっかない顔してますねー!」

「まったくでげすなあ~噂には聞いていたでげすが、これほどとは!」

「でも、お二方とも気持ち良さそうに寝てますね」

「王族の方々にはあっしらにはわからない苦労がお有りになるでげすよ」

「はーぁ、そうなんですね」

「さっ、飯の支度をしよう。姐御が台所に居たというのは、きっとまま子様に何かお作りになろうとしていたでげすなあ」

「あっしも初めて見ました!」

「本当にお変わりになられていたんですね」

「本当でげすなあ」

貞と徳と亀はそう言いながら村に向かう。お蜜は知らないが屋敷に野菜や米はない。村の者達を起こし、お蜜の事を伝える。暫(しばら)くすると大挙して村の者達がやってきた。

よっこら!よっこら!』と釜を持って来て総出で、竃(かまど)の準備をしたり、火を熾(おこ)したり、まるでピクニャックかニャンプのように賑やかだ。

村の者達も子分達も嬉しくて仕方ない、楽しそうに準備をしている。その内に釜からご飯の匂い、鍋からは味噌汁の香りが辺りに漂よいだす。二人が反応をするのに時間は掛からなかった。

「あ~~、なんか堪(たま)らない匂い~ぃ」

「あーーッ、腹へったあ~!」

お蜜は『パッ!』と飛び起きる。

「まま子、食べるのよ!貞が用意してくれたんだわ!ほら~」

まま子はお蜜と喧嘩していた事も忘れたように素直にお蜜に従った。


姐御ぉーッ!まま子様ぁーッ!飯でげすよー


貞が呼んでくれる。

「はーい!」

「行くわーッ」

貞達はお蜜とまま子に濯(すす)ぎの湯を用意をしてくれていた。泥だらけの二人は、盥(たらい)の温かいお湯で顔を洗ったり、手を濯ぐとさっぱりした。

「姐御、まま子様。さっぱりした処でどうぞこちらに」

まぁ!


あんらー!


挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
asameshi.jpg


赤い毛氈(もうせん)が敷いてある。

周りには子分達や村の者達が待っている。二人が座ると夫々に小さなお膳を持って来た。お膳の上には熱々の炊き立てご飯・お豆腐とお揚げの味噌汁・がんもと印元の煮物、そして九味豆腐の湯豆腐。

二人は物も言わずに食べ始めた。三杯めのお代わりを食べ終わるとようやく落ち着いたのか、まま子が礼を口にする。

「あーッ!美味しかったわー、こんなにおいしい朝ご飯は初めてよ」

「あたしも、美味しかったぁ~。村の者も手伝ってくれたのね、ありがとう!」

「喜んで頂けてなによりでげす、なあ皆!」


へえーーい!


皆、口を揃えて答える。

「ねぇ、あんた達も一緒に食べましょうよ」

「へっ?」

「だって、まだ食べれるもの」

お蜜がそう言うと皆、大爆笑である。貞達も村の者も二人を囲んで賑やかに食べる。お蜜は皆のお代わりを率先してやっている。これも連傘滝(れんがさだき)での成果だろうか。見ていたまま子も見よう見真似で手伝う。

「貞ぁあ、あんた何杯めよ?」

「へい、七杯目でげす」

「お腹破裂するわよ」

「そんなことで破裂するような、やわな貞ではないでげす」

まま子は笑い出す。

「徳、足はもう大丈夫のようね」

「へいッ!御陰さんで、この通りです」

徳は飛び上がってみせる。

ニ゛ャ゛っ!いてて・・・」

勢い余って転んだ徳、すかさずお蜜が手助けをする。

「徳、無理しちゃ駄目よ。時間を掛けてゆっくり治そうね」

「ニャーい!」

徳は嬉しくて仕方ない。
何やら視線を感じる徳。貞も亀も他の子分達も村の者まで鋭い視線を送っている。

ジロッ
ギロッ!!

徳は皆の怖い視線に堪らなくなり、すかさずお蜜の尾に隠れる。

「ニャッ!?てッめぇえーえッ!!ふざけたまねしやがってーーッ!姐御の綺麗な尾っぽにいーーッ!」

「ちきしョーッ!徳はずるいーッ!ずる過ぎるーッ!


「徳の兄貴は、ずっこい!ズッコイ!ずっこいーーッ!


きたねえーぞぉおおーッ!


「チョット、ちょっと、いいじゃないの~ぉ。お前達だって怪我したら、あたしが治して上げるのだから」

ニャっ?ほんと?

お蜜が言うが早く、貞は頭を釜にぶつけようとするわ、亀は杓文字(しゃもじ)で自分の足を殴ろうとする。どいつもこいつも大騒ぎしている。

お蜜は仕様がないので、九本の尾を膨(ふく)らませ、貞も亀も他の子分達も村の者も包んでやった。

「これなら、文句ないだろ?」

貞達は満面笑み。デレデレと尾っぽに頬擦りをしている。


はぁぁ~~☆しにゃわせ~~☆


「文句ないでげす~ぅ」

「ニャ~ぁあ!」

「ふかふかだニャ~~ぁ」

「いい~、ニャおい(匂い)~~~ぃッ」








ランキングを復活しました。
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ご挨拶

久しぶりの猫国のアップ、なんか不思議な感じです。清書をしたり挿絵をアップしたりがとても新鮮に感じます。リフレッシュできたんだと思います。
本当に嬉しいです。
これからも末永く宜しくお願いします。

のくにぴゆう

大相撲 30 孤独なまま子  

前回


朝まで喧嘩をしていた二人はご飯の匂いで目覚める。貞達や村の者の心づくしの膳に舌鼓(したつづみ)をうつまま子。お蜜と子分たちのやり取りに大笑いした。


はじまり、はじまり


最初は貞達の子供じみた行動にひどく驚き、呆気にとられ笑うしかなかったまま子。笑っているうち段々、笑えなくなって来る。

『あんな風に家来達はあたしを好いてくれているのだろうか?あんな風にあたしに甘えて来る者がいたかしら?・・・・いいえ、居ないわ、、、憎まれ口を利いてくれるのはセロだけだわ。他はあたしの顔色ばかりを伺っている、、、』

まま子はなんだか悲しくなってトボトボ歩き出す。お蜜が貞達に目配せをし、まま子の後を追う。貞達は察したのか、そっと引き上げる。

「ま・ま・子、、、」

項垂(うなだ)れるまま子の肩に手をやる。

「放っておいて!・・・ょ・・・」

「まま子、あたしの子分って可愛いでしょ?」

「いいわね、あんなに好かれてて、、、」

「でしょ?けどね、あたしはあいつらに三行半(みくだりはん)をされたのよ」


えっ!?うッそぉーーッ!!


「本当よ『姐御の元には居られねえ!』って、徳なんてあたしのこと『色狂いの女狐!』だってさ」


え゛ーッ!ぇええーーッ!!


「ホントにッ!?だってあんなに好かれているのにッ??」

「本当なのよ」

お蜜は荳傘村での出来事を話す(本編第五章参照)

「あんた、連傘滝だけでなかったのね」

「ふふ。これでも色々あったのよー」

「その上であんな風に子分達とわかりあえたのね?」

「そうよ。あたしはね、我が儘の大馬鹿者だったの。汚い猫になって初めて、初めてね、物の有り難さも他の者の優しさも知る事が出来たの。そして少しはまともになったの。かな?ふふ」

「・・・・・お蜜、少し一人にして、、、」

「いいわよ。お腹空いたら屋敷に戻って来てよ」

「うん、そうする...」

目前にポンポン菊の草原、風に吹かれ気持ちよさそうに揺れている。ボーッと見ながら自分の今までを振り返ってみた。幾ら振り返っても、お蜜たちのような温かいやり取りの記憶がない。

「何もない・・・」

狸兵衛やお蜜から苦労話を聞かされた。狸国にしても狐国にしてもそんなに色々あったことを今の今まで全く知らなかった。国の者は誰も教えてくれなかった。いや、どうでも良い事だったのだろう。

まま子は改めて河童の無関心に悲しくなる。己だけでなく、池の者はそういう者ばかりだ。川太郎池の者も大差ないだろう。河童国の王になってから他国とは殆ど交流をしなかった。考えてみれば寂しいことだ。

王族達は国を神より与えられた時に【百粒の民の種】をもらう。王族達は兄弟で仲良く種を育て自分の国民にする。だから最初の国民は何処の国も百人である。

その後に国民の数が増えている国もあれば、減っている国もある。まま子の河童国がそうだ、減っているのだ。

なぜそうなのか?最近まで気が付かなかった。たまに町に出ると明らかに閑散(かんさん)としている、どこに出掛けてもそんな気がしていた。

そんな時、猫宿での大相撲大会である。まま子は他国もそんなものかと行ってみて驚いた!大変な賑わいなのである。河童も自国より多くいるようにさえ見える。

何しろ猫国の住民は凄い数。どの顔を見ても心底、大相撲大会を楽しんでいる。聞けば、宿も見せ物もタダだったり、招待をされている者も居るという。

今まではお風との相撲や五黄の顔を見るだけだったから、猫国の様子等気にもしていなかった。見ようとしなければ、見えない事が寧(むし)ろ多い。狸国と狐国でも開催されるが、これ程楽しめる大会は猫国だけだそうだ。

まま子は考える。

何故、我が国の民は減ってしまったのか?、、、

答えは簡単だ。

此の世界の者は死ぬと【魂納たまおさめの宮】に行く。そして『次に何に生まれたいか?』と訊かれる。答えは明らかだった。河童になりたいと願う者が少ない、いや、居ないのであろう。

その結果が民の減少だった。このことに気が付いたのも思い出せば、セロのひと言だった。いつものようにセロの注意を無視していると「だから河童が減るんです!」気にかかるひと言だった。

その言葉が少しずつ、まま子の心を締めていく。じわりじわり黒くネバつきながら広がっていく・・・ふいに涙が頬を伝う。拭いても拭いても涙が溢れていく。

「なっなによ・・どうしたのよ、涙がとまんなぃじゃない・・
うっうわぁ~~ウワァーーーーうわぁぁ~~ん・・・」

まま子は慟哭(どうこく)した、王女になって初めて大声で泣いた。どうすればいいのかもわからずに、、、ただ、ただ、泣き続けた。


挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
kodokunaMamako.jpg

「ねぇ~ねぇ~、おっかない顔のおばちゃん」

泣いているまま子に声を掛けて来た者がいる。振り向くと小さな子猫。年頃は三つか四つだろうか。

「・・えっ?」

「なんでニャいてるの?」

「な、泣いてないわよッ」

「うそニャもん。『えーんえーん』って聞こえたもの。誰かに怒られたの?だからニャいてるの?」

「ぇッ?・・・」

「あたいなんか、父ちゃんや母ちゃんに怒られるとお美奈ちゃんがニャぐさめてくれるよ」

「そうなの?いいわね、、、」

「うん!ニャからね、あたいもお美奈ちゃんが怒られてニャいている時はニャぐさめるの」

「友達なのね?」

「うん、そうニャの!おばちゃんには居ニャいの?」

「えっ・・・」

「いニャいの?可哀相だね。でも元気出して!これ上げるから。じゃぁねぇ~、ばニャニャ~ぃ」

子猫は行ってしまう、まま子は名前を訊くのを忘れてしまった。

「後で、誰かに訊こう」

手のひらには桃色の可愛らしい飴(あめ)がある。駈けって行く子猫に微笑むと大事そうにポケットに一旦はしまう。が、飴は握ったまま。

考え直し、手から放さずにいた飴を口に含む。『心がとろける』ほど美味しい。舌の上から喉に流れ込む甘さが、ささくれた心の刺を溶かす。

『あたしにあんな小さな子猫が持っている・・優しい心が少しでもあったら.....こんな風には.....』

やり切れなかった。今まで何をしてきたのか、何をして来なかったのかわからない。駄目な事だけは明らかだ。だけど『どうすればいいのか...?』『どうしたらいいのか...?』『何をすればいいのか...?』

途方に暮れるばかりだ。









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