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大相撲 11 眼鏡 

前回


まま子にとって相撲は仕方なく出ているだけ、勝負はどうでもよく本来の目的は五黄に会うことのみ。今回は入浴悩殺作戦だったが、あえなく撃沈した。

セロは五黄が何気なく言った一言に飛びつき、溜(た)まりに溜まった長年の思いを訴えるのであった。



はじまり、はじまり



「オロよ、セロに河童になった話をしてやんな」

「はっ、はい!」

オロは要領よくセロに話をした(本編第七章)セロは悲しそうな顔をしている。

「オロ様、、、申し訳ありません。キロめはわたしの不逞(ふてい)の息子です」

え゛ッ!?キロってセロさんのッ?」

「はい。キロには川太郎様の御付きをさせていたのですが、まさかそんな非道を・・・」

「おれは大丈夫だったし、御陰で河童になれたから何とも思ってやしないよ」

「おぉー、、、ありがとうございます」

「オロは優しいもの!キュッ」

きゅー助は今更ながら感心している。

「それで、セロは何が言いたいの?」

「それもこれもどれもみーーーーーんな!まま子様に全ての責任があるのです。

変な楽しみに川太郎様がお走りになるのも、元はまま子様がいけないんですッ!

「楽しみ?げーッ、あれって楽しみだったのーッ!!
楽しみであんなことするのッ!?」

オロが驚く。

「申し訳ありません!情けないですけどそうなのです。そんな河童国にしたのもまま子様、、、」

「まま子!いったい川太郎に何をしたんだよ?」

皆の視線が自分に集まり、嬉しそうなまま子。すぐに気持ち悪くクネクネしながら話し出す。

「だってえ~、やってみたかったのよぉ~ん」

「何を?」

「だからねえ~、『ぷーーっ』て膨(ふく)らますのを~」

「何をよ?」

「ほら、あれ風船って言うんだっけ?【何でも屋の甲介】から買ったんだけどさ、すぐに破裂して無くなっちゃったのよ~。まま子、つまんないじゃーん。そしたら偶々(たまたま)いたのよん」

「『偶々いた』って、誰がよ?川太郎がか?」

「そうよん。それであいつの尻に竹を突っ込んで、『ぷーーっ』て。」


な゛ニ゛ャお゛ーーーッ!?


周りにいた男達は尻を押さえて怒り出す。


てめえ!そんな非道をッ!


「だってえ~、他の河童でやったら死んじまうものお~」

「だからって、てめえの弟だろがッ!」

「だあ~かあ~らあ、死なないでしょ?」

「・・・・・」

「すごーく膨(ふく)らむから面白くて、面白くて。やり過ぎたら破裂したのよお~。ブホホホー」


ニャぎゃぁあーーーッ!


周りの者達の開いた口が塞(ふさ)がらない。

「それでね~、破裂した川太郎をズルズルと引き摺(ず)ってね~、台所に行ったのよ~」

「まだ何かやったのか・・・」

「そしたら偶々ね~、本当に偶々ね~、、、」

またかよ!そんで偶々?何なんだ!!」

「ほら、あたしってえ~、鯉の唐揚げが好きじゃない?」

「知らねえよ」

「ふん、まっいいわ。其の時、台所で鯉を揚げてたのよ~。それで川太郎を『ポーーン!』とね。揚げたら伸びた皮が縮むかなあ~?って。」

「川太郎を?揚げた・・・」

「そうなのよん。そしたら縮むのは縮んだんだけど・・・ほんの少ーしだけ、目を離したら真っ黒焦げになっちゃったのお~、ブホホ」

「うッ、ぅうーん...」


バタン!


全てを聞いていなかったセロは、初めて詳細を聞いて余りの酷さに失神した。

「なんと、、、」

五黄達がまま子の話を聞いて呆れていた頃、ある事件が起きていた。もうすぐ連絡が入る筈である。



            ~♢~



少し遡(さかのぼ)ってみよう、ここは連傘滝(れんがさだき)の【ガス】の書斎。


「ふへ~。一段と暇じゃのおー。お蜜様に会いに行こうかのおー?大相撲見物をしがてら、会いに行こうかのおー」

いつも乍(なが)ら、ガスが独り言を言っている。その時、凄い勢いでドアが開き、誰かが書斎に押し入って来た。


何じゃー!?


ガスが誰何(すいか)をする暇(いとま)もなく、曲者(くせもの)はガスに猿轡(さるぐつわ)を噛ませてしまう。

な、何をッ!ほにゃほにゃ、、、」


うるせい!黙ってろッ!


見るところ、河童相の悪いオス河童が三人ばかり、手もなくガスを抱え上げ何処(いずこ)とも知れずに運んで行ってしまった。しばらくして【レレ】が部屋に入って来る。

「あれー?いらっしゃらないわ。『ぷるるん豆腐』を持って来たのに・・・」

『ぷるるん豆腐』は【貞さだ】が新しく開発した新商品である。青竹に小さく賽(さい)の目に切った九味豆腐を入れ、その上にゆるい寒天が流してあり、黒蜜をかけて食するのである。

ガスはこの頃『ぷるるん豆腐』が大好きなのである。この日もレレは、食後に冷たくしたぷるるん豆腐を持って来たのだった。

「おかしいなぁ。まっ、いいか?置いとけばいいわね」

この時、異変に気が付いていれば違っていたかも知れない。だが、レレは気付かなかった。ようやく騒ぎ出したのは翌日になってからだった。

皆が必死になって屋敷中を探した。病院中を隈無(くまな)く探したが見つからず、諦めかけていた時、レレはガスに止められていた洞窟の先まで見に行った。

暗い洞窟を歩いていると先には蝋燭(ろうそく)の明かりに反射して光るものがある。急いで駆け寄って拾い上げた。


挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
megane.jpg


「あら?これは・・・」

レレが拾ったのは、ガスが肌身離さず身につけ大切にしているお蜜の眼鏡だった。お蜜にはもう必要の無い物だったが、ガスにはお蜜そのものだった。

お蜜にねだって貰うと、ガスはその大切な思い出の品を巾着に入れ、ずっと持ち歩いていたのだった。レレは其の事を良く知っていたので、ようやくガスの身に異変が起きた事に気が付いた。

ガスは河童達に抱え上げられ連れて行かれる途中、機転を利かせ、曲者達に勘付かれないようにそっと巾着から眼鏡を投げた。大切な眼鏡を目印にしたのだ。

お蜜様、ごめんなしゃい・・・・







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大相撲 12 よれよれレレ 

前回


まま子の非道に皆が驚いている時、猫宿から遠いガス病院で一つの事件が起きていた。ガスが急に居なくなり、翌日には大騒ぎになる。

探しあぐねたレレは洞窟でガスが大切にしているお蜜の眼鏡を見つける。一体どういうことなのか?


はじまり、はじまり


レレは急ぎ此の事を【月狼つきろう】や【シャナ】達に報告した。狼達は眼鏡を見つけた洞窟を隅々まで調べた。幾ら調べても洞窟に道はなく、行き止まりになっている。

ここからガスがどこに行ったのか?皆目見当がつかなかった。だが、皆の意見は間違いなく何者かにガスが攫(さら)われたのだという事になった。

狼達はもっと丹念に洞窟を調べる事にした。そして何よりも此の事を『五黄様に知らせるしかない!』と。泳ぎの達者なレレが菰傘(こもかさ)村に向かう。ガスが居れば水球に乗って地下水道を一気に行けるのだが仕方ない。

一方、菰傘村では【藤平】が母屋の仕事部屋で、楽しそうに絵図面に向かっている。

街道に印が付いている。藤平は【茂吉】に言われたように、そこかしこの村に【子供預かり所】を設けようとしていた。だが、村よりも街道沿いの方が何かと便がいいのでそちらに決めた。

当初の予定では全て新しい施設を建設するつもりだったが、そんな悠長(ゆうちょう)な事をしている間に子供が捨てられては堪(たま)らないので、既存の建物を利用することにした。

そして隣に大きな建物を建てることにする。何故か?

藤平は【お紺】から宿銭も無い者や病気をした者は困っていると聞いた。そこでそうした者達も安心して泊まれるようにと計画をやり直した。そして屋敷では子供部屋を新しく増築し、いつでも沢山の子供を迎えられようにした。

気が抜けないが藤平は楽しくて仕方ないのである。来週には村巡りをするつもりでいる。ここを巣立って世界中に散っている子供達にも知らせた。

子供達と云っても、今は立派な大人であるが皆、藤平の提案を大層喜んだ。子供達に家や管理人の選定も頼んでいる。仕事を引き受けてくれた子供達が尚更、 嬉しかった。

藤平はわかってはいないが子供達に大変に慕われている。子供達は何より藤平に会えるのを楽しみに待っている。

そんな最中にレレが必死の思いで訪ねて来た。


挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
yoreyoreRere.jpg


お滝と草助が支えている。レレは飲まず食わずで来たのだろう、足下も覚束(おぼつか)ない。いつもの可愛らしく、おしゃれなレレと全く違う状態を見た藤平は驚いて布団を敷き寝かせる。

藤平様!お伝えしたい事があります!」

「レレ。話は聞きますから、とにかく横になりなさい」

「でも、そんなッ、とんでもない事です!」

「いいから、横になったまま話しなさい」

レレは安心したように目を瞑(つむ)り、大きく息をしてひと言も漏らさないようゆっくり話す。藤平は黙って聞いている。

「うむむ...間違いなく連れ去られたにみえる」

「やっぱり、、、ですが、月狼達が洞窟を調べても、どこにも穴なんかなくてどこに消えたのか?さっぱりわからないのです、、、」

「あの洞窟には仕掛けがあるのよ」

「えっ?」

「レレが知らぬ昔の話よ。ガス夫婦は昔、川太郎池からあの洞窟を通って逃げて来たのよ」


えぇーッ!?


「ガスは善き河童よ。

【不思議膏ふしぎこう】を発明出来たのも世間の者に役立てて貰おうという優しい心からじゃ。それに発明出来るだけの技量も頭もガスにはあった。

この膏薬はまさに不思議に何にでも良く効いた。塗れば、やけど・皮膚病・筋肉痛に到るまで。溶いて飲み薬にすれば、解熱にも効く優れた薬じゃ」

「はい!その通りです」

「薬の効能に喜んだのは、ガスだけではなかった」

「もちろん、他の者も喜びましたよ」

「まま子は、褒美(ほうび)に水球の術を授(さず)けた」

「はい。この前はそれでこちらに伺えました」

「おお。今回はガスがいないからの、大変じゃったの」

「とんでもないです!」

「うむ。話しを元に戻すぞ。他に、川太郎も別の意味で大変喜んだ」

「どう言う事ですか?」

「あいつはこれで、銭儲けが出来ると考えたのよ」

「何でそんな・・・」

「ガスは安い値で皆に売れば良いと考えていたので、川太郎と意見が対立した。川太郎は独占販売で儲けようとしたのよ。だが、ガスは頑(がん)として認めなかった。

ある日、あいつはガスに『すまなかった』と詫びをして、今までの功に報いる為に『褒美をやる』と云い騙(だま)して牢屋に閉じ込めた。

妻の【セセ】が、機転を利かしガスを連れ出してあの洞窟を死にもの狂いで逃げて来たのだよ。ガスは元々、此の洞窟をずっと前に発見していて暇をみては夫婦で探検を趣味としていた。

そんな中、洞窟が猫国の連傘(れんがさ)滝に続いている事を見つけたのだ。そして誰にも知られないうちに、密かに秘密のドアを付けた。

取っ手を動かすと大きな一枚岩が動くようにな。連傘の水を利用したものだそうだ。そして夫婦はわしらに助けを求めた。あれから何十年と経つものなあ、、、セセも【魂納めの宮】に逝ってしまったわい、、、」

「だから、先生はご恩があると言っていたのですね?」

「それどころか、私達の方がどれほど有り難かったか知れないというのに、、、ガスらしい物言いよの」

「でも、なんで連傘滝に居たんです?直ぐにも見つかってしまいそうに思えるのに」

「ガスはな、川太郎池の国民達のなるべく近くで仕事がしたかったのよ」

「どうしてです?」

「苦しむ者を皆、救いたいのよ。ガスは・・・ガスは川太郎池の心ある者に『病いで辛くなったら内緒で此の洞窟を越えて連傘に来るように』と言っておったのよ」

「そう言えば、、、つい最近、川太郎池の【ゲン】とか云う河童が来てました。酷い皮膚病になっていて・・・
少し良くなったんだけど、父子家庭で子供を置いて来ているから

心配だから一度、家に戻って子供を連れて来るって、、、でも、戻って来てないわ・・・」

「うむ。その辺に何かあるのかもしれぬ。レレよ、安心して休むが良い。何としてもガスは救うからな!」


はい!宜しくお願いしますッ!


レレは青い顔で布団から起きると座り直し、丁寧に頭を下げた。藤平は『ニャコリ』と笑い、部屋を出た。





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大相撲 13 韋駄天速吉(いだてんはやきち) 

前回


藤平は嬉しそうに机に向かっている。子供預かり所の絵図面に印をつけたり、あれもいい、これもいいと考えては笑っている。
茂吉に言われた案がどうやら形になりそうだ。

そんな中、レレが倒れんばかりに担ぎ込まれた。聞けばガスが大切なお蜜の眼鏡を洞窟に置いたまま行方不明という、
藤平は心配するレレに任せろと言うとニャコリと笑った。



はじまり、はじまり



母屋から外に出ると、よく晴れた空を見ながら五黄にすぐに戻るように念じた。

藤平と五黄には二人だけに通じるものがある。言葉に出さなくても解り合えるし、離れていても連絡を取り合える。
だから、藤平には五黄がどこにいても関係がないのだ。直ぐに五黄から返事がある。頭の中に直接、五黄の声が響く。

「あっちゃん、直ぐに行くよ」

「兄様、急いで下さい!」

藤平は台所のお滝に温かいお粥を作るよう指図して、藤平は母屋に戻った。レレに付き添うつもりだ。

其の頃、五黄はふいに藤平の声を聞いた。

「うん、わかった」

五黄が急に天に向かって顔を上げると何やら独り言を言っているので、周りの者が注目をする。

「おい、今、藤平から連絡を受けた。何か緊急な事が起きたらしい。俺は行くよ」

「それではわしも行くぞ」

今まで黙っていた【狸兵衛】が口を開く。

「わしは、お前にひとかどならぬ世話になった。役に立ちたい」

「そうか、すまないな。相撲は又にして行くか?」

「うむ」

「ちょっと、ちょっと~、俺らを忘れないでよー。一緒に行くよ!
なあ、みんな!

ノン吉が言うと桃吉もオロもきゅー助も頷(うなず)く。藤平から連絡を受けた五黄は急いで戻る事にした。


五黄様!セロめもお連れ下さいませッーーー


「何でよ」

「だって、、、まま子様に後で酷い目に...」

チロッ

まま子が凄い顔してセロを睨んでる。

ギロッ!

五黄が振り向くと、まま子は慌ててニコニコしたつもりだったが、恐い顔をし過ぎていたので顔の筋肉が直ぐには動かない。


わぁああーッ!


流石の五黄もまま子の恐い顔に驚いて変な声を出す程だった。

「セロ、つっ付いて来い!

セロは縋(すが)って喜ぶ。


ヤッタぁー!


ニコニコしている。

「ちょっと!あたしも行くわよ!」

お蜜がシャシャリ出る。

「じゃあ、あたしも~」

まま子も言う。

「おいおいッ、急がなきゃ何ねえってのによー。いいや、面倒だからまとめて付いて来い!」


はーーい!


その場に居た者全員が仲良く声を揃える。五黄が呪文を唱えると、アッ!という間に皆の姿が掻き消えた。

困ったのが相撲委員会の者達である。呼びに行けば東西の控え室には誰も居ない、既にもぬけの殻(から)である。

え~~観客の皆様。珍事が起きました!あろうことか、五黄様・狸兵衛様のお姿が消えましたー!」


なんだとーッ!?


どーしてよぉーッ!


怒号が鳴り響き、其れぞれの者達が騒ぎ出して収拾がつかない。

「取り敢えず、お二方がいらっしゃらないので何とも言い様がありません・・・」


何とかしろッー!!


【青助・赤助】のアニャウンスが火に油を注ぐ。


大変でーすッ!五黄様達が消えましたあーッ!!


ニャにいーーッ!?


狸兵衛様も居ません!


ニャんだとおーーッ!


お風様もお蜜様も!


ニ゛ャ゛ーーー!


「まま子様もッ!」


・・・・


し~~ん・・・


二人の御陰で益々騒ぎが大きくなった。困り果てた相撲委員会の者達が、飛脚猫の速吉に書状を持たせて【御係所おかかりじょ】に走らせた。相撲委員会の者達にはどうすればいいのかわからなかったのだ。

『困った時の御係所』という合い言葉が誰からともなく出て、【茂吉】に騒ぎを鎮めてもらえるようにお願いをしたのだった。速吉(はやきち)は猫国一番の速足で鳴り響いている。文字通りに砂煙を立てて【御係所】に向かった。

【御係所】は猫宿から七日程の場所にある。それを速吉はたった三日で行ってしまう。其の速吉に『死に物狂いで走れ!』とハッパをかけて走らせているのだ。速吉の通った後には溝が出来る程だった。


挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
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竹筒の水を飲むのも惜しんで走った。その日は一日中走り夜中に少しだけ仮眠をとる。そして朝になると夜中まで走った。そろそろ夜も明けて来た、、、

「後少しで【恵み子様の学校】が見えて来るぞ!よーしッ、一気に走るぞー!」

茂吉はたて混んでいた仕事の所為で朝まで掛かってしまった。校長室から校庭に出ると、昇り始めたお日様に向かって挨拶をする。

「おはようございます。今日も一日、宜しくお願いします」

太陽は茂吉に返事をするように暖かな陽を茂吉に注ぐ。其の時だった。もの凄い土煙と共に速吉がやってきた。

「凄い勢いだこと」

速吉は思わぬ場所に、茂吉が立っていたので急停止した。


ギっぎぃーーーーーぃッ!!


倒れ込むようにして茂吉の前に立つと、もの凄い息をしていて話す事が出来ない。

「速吉、どうしたのですか?いつも以上に張り切ってますね」

「茂吉先生様、、、はあッはあッ

「落ち着いて。お水を飲みなさい」

はっ、はい!

水筒にある水をゴクゴクと一気に飲み干した。

速吉は超特早飛脚を頼まれた時には、腰に何本も水筒を括(くく)りつける。飲み終ると捨てて行く。そうして一時も休まずに駆け抜けて行くのだ。勿論、水筒は後で回収する。

大きく墨で【速吉】と書いてある。誰も盗らないし、速吉の走り方を皆知っているので、それを見つけた者達は飛脚問屋に届けてくれるのだ。やっと息が整った速吉は首に巻いている風呂敷包みから大事な書状を差し出す。

「速吉、ちょうど良かったですね」

「茂吉先生様が、ここにいらしゃるなんて知りませんでした!この先の【御係所】にお届けしようと思っていました」

「ふふ、あたしは大概ここに居ますよ」

「そうなんですか?てっきり御係所かと、、、」

「今は用事があれば行くくらいですよ」

「そうなんですか?何だあ、とんだ無駄足するところでしたよ」

「こうして会えたのも天の神様のお計らいですね。さっ、読みましょうか?速吉が一生懸命にして届けてくれたのですものね」

「へへ」

茂吉は大事そうに油紙と和紙に包まれた書状を開けて読み出す。






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大相撲 14 茂吉の怖い一言 

前回


五黄達は一言も言わずに消えてしまった。残された相撲委員会の者たちは大慌てだ。火に油を注ぐ赤吉と青助。

大騒ぎの猫宿を鎮(しず)める為、茂吉に緊急要請の書状が速吉に託される。死に物狂いで爆走した速吉は茂吉に書状を手渡す。



はじまり、はじまり




茂吉先生様

五黄様いない
王族様方もいない
猫宿大騒ぎ
助けてください。

困った猫宿相撲委員会より


「ふうん、、、それで猫宿は大騒ぎなのですか?」

「はい、あっしが出た時にはニャーぎゃー騒いでましたよ」

「ふふ。それでは今頃は皆も少しは疲れて、大人しくなっていることでしょうね」

「へへ、あんなに騒いでいるのは長くは続きませんよ」

「仕様もないですね。五黄様もひと言、皆に言ってあげればよいのにね」

「えっ?それじゃ、茂吉先生様は五黄様達の行方を知っておいでて?」

「知りませんよ。でも、そんなとこでしょ」

「?」

「速吉、少し休んでから食堂で何か食べていきなさい」

「でも、あっしは折り返して知らせないと、、、」

「あなたよりもあたしの方が早く着いてしまいますよ。お銭はあたしが余分にあげますから、とにかく休みなさい。休みもせずに頑張って走りましたね。良い子でしたよ」

「ニャヘヘ。それじゃ、お言葉に甘えて」

茂吉は速吉を恵み子の宿舎に連れて行き、広間で休ませた。朝餉(あさげ)の支度に起き出していた厨房(ちゅうぼう)の者に重湯を支度するように云い、次いでに【紫狼しろう】を呼びに行かせた。

あれだけ走り続けた速吉に急激に固い物を食べさせるのは厳禁なので、茂吉は速吉を休ませてから重湯を食べさせるつもりである。

「速吉、少し寝て居なさい。あたしが居なくても心配しないように。お前の用事を済ませに行っているのですからね」

「はい、茂吉先生様。すいません、あっしみたいな下衆(げす)な野郎にこんなに良くして頂いて」

「何を言うのです?そんなこと自分で言うのはいけませんよ。速吉はあたしが知っている程の有名な飛脚猫ですよ、大事な国の宝ですよ」

「へッ?うッ、ぅうわぁあーーん!

あっしみたいな者を国の宝なんてえーーッ(泣)」


速吉は感激して『二ャギャー』と泣いている。可愛いのである。紫狼がニコニコしてその場にやって来る。

紫狼とは狼族の【恵み子】で頼りになる茂吉の片腕である。

「父様先生」

「ふふ、困ったですね。速吉の事を宜しくお願いします。あたしはちょっと猫宿に行ってきますね」

「はい、わかりました。いってらしゃいませ」

茂吉は校庭に出ると南に向かって、ひょいとジャンプして出掛けてしまった。茂吉の速さならわけなく昼頃には猫宿に着く。

書状に書いてある通り、今だに大騒ぎをしている。酔っぱらって喧嘩している者、泣いてる者、そして疲れて寝ている者あり・・・

これでは相撲委員会の者が、茂吉に助けて欲しいと言って来るのも仕方ないと思った。さっそく土俵のある会場に向かうと、既に会場は暴徒に荒らされ壊れている。

其のそばで円陣を作り悄気(しょげ)ている者達の所に行くと案の定、委員会の者達だった。

「大変でしたね」

何気なく声を掛けると、茂吉に気が付いて委員会の者達が縋(すが)り付いて泣き出す。茂吉は黙って聞いていた。泣きじゃくって話し終わると揃(そろ)って放心してる。

ぱん!』と手を叩くと猫達は『ハッ』とする。

「ふふ、可哀相にね。あたしが他の者達に話をしましょうね。言う事をきかないと魂沈めをしちゃいましょうね」


わぁ゛ーーッ


さっそく【声色鈴虫こわいろすずむし】を使って重々しい声でアニャウンスが始まる。


挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
kowaiMokichi.jpg


「皆さんこんにちは。あたしは茂吉です。

皆さんが大取りの相撲を楽しみになさっていたのはわかりますが、王族達が急に居なくなったのを単に怒るでなく、何か変事が出来(しゅったい)したと何故、考えられなかったのですか?

それを止めるべき年寄りも一緒になって暴れて騒ぐのは情けない事です。今から後片付けをきちんと皆で手分けして進んでやるように。言う事をきかないと魂沈(たましず)めをしますよ」

もの静かではあるが、ものすごーーーーく迫力ある茂吉の声と【魂沈め】の二文字を云われ、猫宿の者達はフンギャーと泣き叫ぶ。

猫も狸も河童も狐も狼も熊も獺も『ギヤぁーギヤぁー』言いながら片付け出す。

「さっ、これでひとまず大丈夫でしょう。皆も手伝って綺麗にしましょう」

「あのぉー、茂吉様が言われたように何かあったんでしょうか?」

「そうですね、多分そうでしょう。急いでいたのでお前達に言い忘れたのでしょう。余程の事と思って勘弁してあげましょうね。」

「はい!こうして茂吉様にこんなに早く来て頂いただけでも嬉しいです!」

「後日、五黄様に説明をしてもらいなさい」


はい!わかりました!


茂吉は帰って行った。




           ~~♢~~




其の頃、五黄達は賑やかに屋敷の表玄関に居た。広い石畳にぞろぞろいる。草助達はてんてこ舞いである。

狸兵衛やお風にお蜜、それにまま子まで来ているのである。それだけでない、ノン吉に桃吉、オロにきゅー助。

其れぞれの御付きの者も来たのであるから、お茶出しだけでも大騒ぎである。草助に言われて母屋から出て来た藤平は、余りの顔ぶれと人数に困惑する。

五黄にそっと耳打ちをする。

「兄様、こんなに大勢で何ですか?」

「ごめんよ、あっちゃん。付いて来るってきかないのよ」

「仕方ないですね。レレが寝ているのに、、、」

「レレって、連傘(れんがさ)の?」

「そうですよ。仕方ないですから御付きの者達は次の間にして、狸兵衛達には一緒に聞いてもらいます」

「わかった」

五黄がさっさと部屋割りをし、其れぞれが部屋に入って行く。







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今回はコメント欄をお休みさせて戴きます。
たまにはイイかにゃなんて思っています。
体の調子が悪いとかじゃニャいでございます。
水曜日には開けますので宜しくお願いします。

のくにぴゆう

大相撲 15 ノン吉にお任せ 

前回


茂吉はわけなく猫宿の騒ぎを鎮(しず)めてしまう。一方、五黄一行はワイワイガヤガヤ賑やかに屋敷に着いた。



はじまり、はじまり


騒いでいたまま子もお蜜も、部屋の真ん中で寝ているレレを見ると途端に黙り込む。お蜜はレレの姿に驚いて布団に駆け寄る。

レレーー!どうしたのッ!?
あたしよ、お蜜よッ!

レレは薄く目を開ける。

「お蜜様、、、」

「どうしたのよッ!?なんて事よ、やつれてるわッ」

「お蜜。レレは一睡(いっすい)もせず、飲まず食わずでここに変事を知らせに参ったのよ」

「藤平、本当なの!?」

「本当じゃ」

「五黄様、皆の衆。レレよりの話を今から聞いて欲しい」

藤平は今までの事を要領よく説明をした。


ガスぅーーーッ!!


「お蜜、静かにしろ!」

五黄は皆の顔を見た。

「セロを呼んで来い」

部屋の端っこに居たオロと桃吉ときゅー助は、急いでセロを呼びに行く。セロにもう一度、話を聞かせるとセロは唸(うな)っている。

「これは間違いなく【川太郎】様の仕業でございます」

「やはりな」

「でも、なんで川太郎が?」

まま子が口を挟(はさ)む。

「あなた様には、川太郎様のお辛さを解る訳がございませんッ!
酷い姉様です!

ふん、何よッ!昔の事をいつまでもしつこいわよ!」

「黙ってろ、まま子」

「ぶーッ!」

「さてどうする、、、俺達が今すぐ乗り込むか?」

「父ちゃん、ちょっと待ってよ」

「なんだノン」

「証拠がないだろう?」

「でも、川太郎様に違いないです!セロは嘘なんかついてません!」

「セロ違うよ。お前が嘘付いてるって言ってるんじゃないんだよ。もしもこのまま父ちゃんたちが出張って行って、そこにガスが居なかったらどうするのさ?『間違いました』は通らないよ。それにあの川太郎の性格だよ。とんでもないよ」

「うーん、、、」

五黄達はノン吉が言う事が正論だけに、どうしようかと考えた。そんな皆の顔を見ていたノン吉が『えっへん!』と咳き払いする。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
Nonkichiniomakase.jpg


「そこで俺の出番よ」

「何がよ?」

「『何が?』ってよ、、、だってそうじゃねえか?こんな時の為に俺は居るのよ。知恵有り!度胸有り!の俺がさあ~」

五黄も藤平も他の者達も苦笑している。

「そぉおか。それじゃ其の『有り有り』のノンは、何をしようというのだ?」

「へへ。勿論、川太郎池に探りに行くのよ。それで川太郎の『有無をも言わせぬ証拠を掴んで来る!』と、こういう寸法よ~」

「ふーん。だけどそんなに時間を掛けてても良いのか?」

「良いも悪いも無いよ。だってよ、今まで放っておいたガスを連れて行ったという事は、ガスの何かが必要なんだと俺は思う。

あの皺垂(しわた)れた爺の体が必要とは思えない。ならば必要としているのはガスの並外れた知識だね。知識が必要なら体は大丈夫だろ?」

「なーる」

その場にいるもの全員が納得した。

「さすれば、ノンに行ってもらうが良いが、ノンだけでは心もとない」

藤平が言う。

「俺もそう思ったよ。知らせに走る者も必要だし、川太郎池に詳しい者も必要だしな」

桃吉とオロときゅー助が前に出て来る。

「おれは川太郎池に詳しい!もっとも居たのは短い間だったけど、それでも案内ぐらいは出来ると思います!」

オロはきっぱり。

「俺は取り敢えず羽があるから、五黄様達に証拠を掴んだ事を知らせに、ここに飛んで来る事が出来る!」

桃吉もきっぱり。

「おいらは飛べないけど泳ぎならオロにも負けない!足だって速いもん!」

きゅー助もきっぱり。三人が自分の出来る事を主張する。

「頼もしいわ~ブホブホ」

まま子が暢気(のんき)に言う。皆から鋭い一瞥(いちべつ)を貰い、しゅんとする。

「わかった。それじゃ取り敢えず、おまいらに行ってもらおうか?」


やったあー!


「遊びじゃねえぞ」

「わかってるよ。任せといてよ!」

「ちょっとお待ち下さい!セ、セロも是非にお連れ下さいッ!

「どうした?セロ」

「此の事には、きっと不肖(ふしょう)の息子のキロが関わっている筈です。あやつめの【尻小玉】抜いてでも、お詫(わ)びさせねばなりませんッ!ウッ、、、情けなし・・・」

「・・・・・」

「セロ、抜かなくても良いから。まあ、キロが居れば久しぶりに息子と会って、話をするのも良いかも知れんな」

「有り難うございまする」

「ふーむ。だが、お前達の話をつらつら聞いておると何やら気に掛かる事がある」

「なんだ狸兵衛よ」

「ふむ。そもそも川太郎がガスの薬で儲けをしよう等と何故思うのよ?」

「言われてみれば其の通りだな、、、なあ藤平」

「本当じゃ。私も今まで気が付かなかった」

「それはまま子様が、よっくご存知ですッ!」

セロが恐い顔をしてまま子を睨(にら)む。

なっ何よッ!あたしは悪くないわよ!」

「まま子。今、言っとかないと俺がお前の尻小玉抜くぞ」


ぎゃーッ!


まま子は大袈裟(おおげさ)にお尻を押さえる。

「五黄!女性に対して失礼ですッ」

お風が怒る。

「そうよ、いくら【どてらブス】だって可哀相よ」

お蜜まで言う。

「わかったよ、悪かったよ。とにかく言ってみろ」

「ふんッ、嫌だね!」

まま子はすっかり捻くれている。セロが堪(たま)りかねて話し出す。

「まま子様は、世界中の川の通行料を今の今まで独り占めにしているのです!」


何だってえーー!?


「どうして?」

「やはりなあ、、、そう云えばわしの処に川太郎池から一度も両替えの話が無かった。不思議に思っていたが、当然まま子から貰っているのだと考えていたのだが、、、」

「だから酷く見窄(みすぼ)らしい家敷に住んでいたのかなあ?」

オロは思い出したように言う。

「だけど金ぴかの椅子に座っていた、、、」

「そこにも何かありそうだな」

「だけど何で独り占めなんてするのよ?川太郎だって国の為には銭が必要なのに」

お蜜が言い出す。

「ふん、わかったわよ。確かに川太郎には銭をあげてないわよ。だって要らないじゃない!あいつのちっぽけな池なんかには」


えぇーーッ、酷いッ!


「おめえ、とことん間違ってるなあ。開いた口が塞(ふさ)がらねえよ」

「どうしてよ?必要ならあたしに言って来れば良いじゃない。銭が欲しければ、欲しいって言えば良いだけの事じゃない?それをやせ我慢してる川太郎が馬鹿なのよッ」

「・・・」

「まま子、お前あっちに行ってろ。池に帰りたければ、さっさと帰れ」

「えっ、何でよ?」

「いいから、行けよ!」

まま子は五黄につっけんどんに言われ、プリプリして外に出て行った。






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今日はお泊りなので訪問は翌日以降になってしまいます。
堪忍して下さいませ。
帰ったら猛烈訪問ポチをしますです。

大相撲 16 狸兵衛とまま子 

前回


皆から非難の的になっても知らんぷりのまま子。五黄につっけんどんに言われ、不貞腐れて部屋を出ていく。



はじまり、はじまり



外に出たのはいいが、腹が立って仕方が無い。

「何もあんな風に言わなくてもいいのに・・・ふん!

愚痴ってみたものの、自分だけ仲間外れになったようで悲しい。そしてこのまま何も分からないまま帰りたくもない・・・屋敷を出てとぼとぼ歩いた。道の脇に柔らかそうな草が生えていたので座った。


ドスンっ!


「はぁーーぁ」

大きく溜め息をつき、することもなく周りの草をちょびちょび毟(むし)っていた。



まま子ーッ!



遠くから声が聞こえ、振り返ると狸兵衛(りへい)だった。

「あら、狸兵衛?」

狸兵衛は大きな体を揺すりながら、辛そうにひぃひぃ息を切らして来た。

「走るのは苦手だよ」

「走らなきゃいいのに」

「バカ。お前を追っかけて来たんだよ」

「あらそうなの?」

「なあ、まま子」

「何よ?どうせ、あたしはとことん間違っている馬鹿ですよッ!

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
RiheiMamako.jpg

「仕様もないね」

狸兵衛はそう言いながら、まま子のそばに座った。

「まま子。わしの懺悔(ざんげ)話を聞いてくれるか?」

まま子は説教をされると思っていたので、狸兵衛の言葉は意外だった。

「えっ?何?」

「お前、わしが狸七(りしち)を亡くした事を知っているか?」

「勿論(もちろん)よ。代わりにオロときゅー助が弟になったって聞いてるわ」

「うん、有り難い事だよ。あの子達はわしにとても良くしてくれるし、仕事も良くやっている」

「それなら、言う事なしじゃない」

「そうだが、そうでもない」

「どおしてよ?」

「わしは狸七にそうなってもらいたかった」

「まっ、そうよね」

「あの子達は確かにわしの弟として申し分無く文句の付けどころもない。だが、『それがあの子達の幸せなのか?

本当はあの子達にとても無理をさせているのではないか?』とわしは思うのよ」

「・・・」

「だってそうじゃろ?元は普通の河童と獺(かわうそ)なんじゃ。わしのように妖力があるわけでなし、こんな事にならなければ普通の生活をしていた子なのじゃ。

それが『わしを助ける為だ、狸国の為だ』と一心に働いてくれておる。今もそうじゃ。ガスと云う知らぬ河童の為に働こうとな・・・

有り難くて、有り難くて言葉も出ん。わしも狸七もやるべき事をしなかったが故に、このようにしなくても良い苦労をあの子達にさせておる、、、とな。

まま子。狸七はな、刺し違えて死んだのよ」

えーっ!?だって王族なのにッ?あたしはてっきり【陽の神様】に命を取り上げられたと、、、」

「違うのよ。神様方は言っておられたよ。わしら『王族は理(ことわり)の具現者なれば理を破った時点ですでに普通の者になっている』とな」

「それじゃ、狸七は何かしでかしてたの?」

「あのきゅー助のてて親の【九太夫きゅうだゆう】を殺めていた」


え゛ぇーーー!?


「わしは愚か者だから、狸七が民を困らせていても知らぬ存ぜぬを押し通し、【陽の神様】のお怒りを買えばこれ幸い、狸七もろとも命を捧げればいいとな」

「・・・・」

「だが今、狸七を亡くして思う。なぜこうも消極的でいられたのか?下手をすれば、己達兄弟だけでなく狸国全体が飛ばされるやもしれない大事だったのに・・・

わしが狸七をきちんと『諌(いさ)めてさえおれば、、、命懸けで意見をしていれば、、、』と過ぎてしまえば後悔ばかりよ。

わしはきゅー助のてて親の九太夫を愛した。心根のまっすぐな優しい獺じゃった。その九太夫を陰謀巡らし殺めた狸七を憎んだ」

「それでなの?馬鹿なあたしにもわかるわ。わかっても狸七は王族だから命は取れない。敵討ちが出来ない。

自分で取れない命なら狸国を騒乱させて、神様達から罰を受けようとしたのね?次いでに九太夫に対して何も出来なかった自分が許せないから、死んで詫(わ)びようと思ったのね?」

「ふん、だがそれは独りよがりよ。己一人の私憤(しふん)よ。狸国を考えれば狸七を諌め、なんとかわしが治めれば良かったのよ。

それが出来なかった、、、いや、そんなことすら考えもしなかった。唯、唯、九太夫愛(いと)し、狸七憎しと思い詰めた。わかるかな?まま子」

「・・・・」

「元々わしらは神より『兄弟で治めるように』と国を与えられている。それ故に寿命も妖力もある。半分になったとはいえ普通の者とは比べるまでもなくな。

わしらはどんなことがあっても、兄弟仲良く国を治めなくてはならぬのよ。そうしなければ、わしのように皆に迷惑を掛け、オロやきゅー助のように大変な苦労を背負い込ませる事になるとな。

わしの二の舞をお前にまで踏んでもらいとうはない」

「・・・・」

「まま子よ、別に難しい事ではなかろうて。わしらには有り難いことに仲良うしている見本があるではないか?五黄に藤平兄弟じゃ。お前と川太郎があのように出来ぬ筈はなかろう?」

狸兵衛はまま子の肩を『ぽん・ぽん』と優しく叩き、ゆっさゆっさと体を揺らしながら屋敷に戻って行った。

狸兵衛が屋敷の門を潜ると、お蜜がニヤニヤして腰に手を当て尾っぽを振り振り待っていた。

「ちょっと~、狸兵衛」

「ああ、お蜜か」

「ふふ。どうだった?あのどてらブス」

「えっ?わしは知らぬよ」

「ふん、こっちは承知なんだよ。空とぼけたって駄目だよ。狸兵衛は懺悔話をして来たんだろ?」

「うぅむ。何で知ってる・・・五黄だな?」

「どうでもいいことさ。あたいは下世話には通じているんだ。さてと!それじゃ今度はあたいの苦労話でもしてやろうかね?」

「ああ、お前が蓑(みの)虫のようにばっちい猫になった話しか?」

え゛っ!何で知ってるのよッ?」

「わしも下世話に通じとる」

「五黄の奴、ぺらぺらとぉーッ!

「確かに一番通じとるのが五黄じゃ」

「本当だわ。あいつくらい下世話な者はいないやね」

「ははは」

「ふふふ」

狸兵衛もお蜜も五黄には敵わない。

「そいじゃ、行ってくるわ~」

「ああ、程々にな」

「程々じゃ、あのどてらブスには効かないよ」

「おお、そうよな」

「じぁね~ん」







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やまぴこのGSFさんが作製をしているノン吉像。
まだ完成はしてないそうです。
クオリティ高ーー
支え無しで自立をしているの!
色塗りはしてあるしぃ~
途中とはいえ、ほぼ完成!
皆様に紹介したくてぇーー
完成したらポールが言うように羽化登仙だわ。

NONkurei.jpg

大相撲 17 まま子の持ち物 

前回



不貞腐(ふてくさ)れているまま子に狸兵衛(りへい)は自分の過去を包み隠さず話す。テレもない、気負いもない。とつとつと話す狸兵衛。

毛羽たち、ささくれていたまま子の心が静かになっていく。バトンタッチをするようにお蜜が屋敷で出待ちをしている。




はじまり、はじまり





お蜜はフン♪フン♪鼻歌を歌いながら、まま子に近づく。狸兵衛に言われた事に少し悄気(しょげ)ているのか?大きな体が小さく見えるまま子。

「はあ、、、」

まま子らしからぬ溜め息までついている。お蜜がそばに来ているのにも気が付いていない様子。

「ちょっとぉ~、そんな所に『デン!』と座っていると緑の漬物石に間違われてよ!おほほ~」

まま子は物思いに耽(ふけ)っていたが、突然のお蜜の嫌みに反応した。


なんだってえーッ?あたしの何処が漬物石なのよッ!

どこがよッ!


「全てよ。そのヒラヒラのチョー趣味の悪いスカートなんて、漬物石からはみ出ている白菜みたいよ~」


ぐやじーッ!


お蜜はニヤニヤしている。

「ふふ。お元気そうだこと」

「何よッ、放っておいてよッ!あたし考え事しているんだから!」

「あっ、そう?皿の水、乾いてるわよ」

「えっ?あら!」

まま子は慌てて頭の皿に手をやると、確かに皿に水がない。スカートから香水を出すと鏡を見ながら、皿に振りかける。

「あんたのスカートにも何でも入っているのね」

「ふん!鏡に櫛に香水と化粧道具。当然よ!」


挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
Mamakonomochimono.jpg


「昔のあたしと同じね」

えっ?今は違うの?」

「今は鏡は持ってるけど、後は【不思議膏ふしぎこう】に【団栗餞どんぐりせん】にタオルくらいかな」

「あんたが!?」

「そうよ」

「信じられないわ!」

「まま子にあたしの苦労話をしちゃおうかな~」

えーッ!あんたも?」

「何よ、聞きたくないの?」

「だって今、狸兵衛から聞いたのに」

「それとは似て非なる事よ。あたしが酷いブスだった話よ」
                 (本編五章、八章より)

え゛ぇーーーッ!?嘘ッ!嘘よッ!!本当は言いたくないけど、あんたって凄く綺麗な狐じゃない」

「あら、ありがと。だけど本当なのよ」

「信じられないわッ!作り話をしようっての?」

「馬鹿ね、そんなことを考えるだけでも面倒な話よ。其の経験があたしに本当の知恵を呉れたのよ」

お蜜は腹のポケットから持っている物を何もかも出した。

「あらーッ!化粧道具が本当にないのね?」

「でしょう?要らないのよ。そんなものはね」

「?・・・・」

「いい?【不思議膏】は怪我した者に使う為。【団栗餞】は説明しなくてもわかるわよね?タオルは手を拭くためよ」

「だけど鏡があるわ」

「鏡はね、自分の醜さを映して反省する為に持っているのよ」

ぇええーッ!自分の美しい姿を見る為じゃないの?」

「そうね。普通はそうよね。あたしも昔はそうだったわ。あんたもそうだと思うけど、鏡に映る自分って綺麗よね?」

「まあね~、あたしなりに綺麗だと思ってるわ」

ブホホ

「そうね。そして、けっして醜い自分は見たくないわよね?」

「当たり前じゃない!醜い自分なんて鏡に映してまで見るものじゃないわ」

「なぜよ?」

「『なぜ?』って、見たくないもの」

「だけどさ、自分が見たくないものを他の者には平気で見せてるのよね?」

「えっ?」

「だってそうでしょ?喧嘩したり、怒ったり、文句や嫌みばかりを云ったりしている自分はとても醜い顔をしてると思うわ。

其の顔を『鏡で見ろ!』と云われても絶対に見ないわ。本人が見たくないって思うのに、他の者には平気で見せてる。変でしょ?」

「確かにそうだわ。自分が見たくない顔を平気で見せてる、、、」

「あたしはね、醜くなって初めて気が付いたの。自分の愚かさをね。だって、耳は折れて捩(よじ)れ、口は裂けて濁(だみ)声。目なんか霞(かす)んでいたから眼鏡を掛けていたわ」

「其の眼鏡なのね?ガスが大事にしていた眼鏡って」

「そうよ、とても有り難い事よ。あたしはね、五黄に己の勝手極まる性格のままの姿にされたの」

「五黄に?」

「そうよ。子分さえ気が付かない程、醜くなって村境まで飛ばされたわ」


うっそーッ!


お蜜も全て包み隠さず、連傘(れんがさ)滝での出来事やその後を話した。まま子は深い、深い溜め息をついた。

「お蜜がねえ、、、そんな苦労をしてたなんて、、、」

「最初は本当に苦労をしたけど、その経験があったから、お陰様であたしは変わる事が出来たの。だから、『苦労話』って言ったけど、今はとても大切にしている良い思い出なの」

「ふーん。それで【ガス】の事・・・」

「【ガス】も【木平もくべい】も、あたしにとって本当に大事な友達なの」

「知らなかったわ、、、あたしの方こそ恥ずかしい、、、」

「まま子。あたしはあんたにどうせい、こうせいなんて偉そうに云えるものじゃないわ。だけどあたしみたいに苦しまなくても少しはいいのよ」

「どうして?」

「だって、あたしのとこのお熊なんて諫言(かんげん)をして勝手に【身魂抜き(みたまぬき)】をしたくらいなのよ」


え゛ーーぇえ!?


「それが原因で五黄が『ブチッ』と切れて・・・あの醜いお蓑(みの)にされたの。だけど、あんたのとこのセロはまだ其処までやってないじゃない」

「確かにそうだわ」

「目の前で大切な乳母に死なれてみなさいよッ、腸(はらわた)が千切られるくらい悲しいわよ」

「でもお熊は生きてたわよ」

「五黄が助けてたのよ。あたしが『生まれ変わるのを楽しみに狐国で待っていような』って、、、」

「そうだったの」

「木平はね、あたしには『待っていてくれる方達がいらしゃるお蜜様は幸せですよ』って、、、」

「あたし、お蜜と変わらない処かそれ以上のろくでなしだわ...自分だけの事しか考えていなかったもの」

「あたしも同じよ」

「ううん違う。だってあたし自分の池は、そりゃ綺麗にして・・・屋敷だって大理石だし、家来達の家だって、、、

でも、川太郎池の者達が貧乏してるなんて考えもしなかった。それに、、、『いたずら』って言い張っていたけど、本当は嫉妬していたの」

「川太郎にでしょ?」

「わかる?」

「あたしも姉様に嫉妬していたもの。あの美しさに」

「そうだったの?あたしも...美しい川太郎に嫉妬して、、、」

「だから破裂させて焦がしたの?」

「そうなのよ・・・」

「ふふ。あんたならではよね!だから治してやんなかったのね?」

「実はそれもある」







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大相撲 18 桃河童ときゅー河童

前回



まま子は最初、話半分程度の軽い気持ちで聞いていた。なのに聞いていくうちに、心のヒダに何かが入り込んで来るのがわかる。それは痛いような温かいようなわからない感情だった。



はじまり、はじまり




まま子達、長子には強い妖力がある。

それに比べると川太郎やお蜜、藤平達に強い妖力がある訳ではない。それよりも弟や妹達には、特出すべきものが備わっている。

それは才覚だ。

藤平が五黄の思い描いた計画を実際に成し遂げ、此の猫国をこれほどに豊かにしたのも才覚あればこそ。

また、狐国についても、お蜜は帰国早々乱れていた規律を正し、お風の気の良さにつけ込み取り入っていた者達を鮮やかに一掃(いっそう)したのも、お蜜だからできた。

それこそ備わっている才覚が為せる技なのである。川太郎とて、まま子の助けがなくとも知恵を使ってどうにか今までやってきたのであろう。

「あんた、これからどうするの?」

「どうすればいいかしら?」

「そうね、、、少しあたしの屋敷に来ない?」

「いいの?」

「ふっ、あたしの馬鹿な記念碑みたいな建物だけど、貞達が綺麗にして守ってくれているの。行けば喜ぶと思うのよ」

「行ってみたいわ!」

「それなら今から行きましょうよ。どうせノン吉達が調べを終えるまではあたし達は用なしよ。それなら、ここにいても五黄に怒られるだけよ」

「あたし、、、嬉しい...あたしみたいな馬鹿な漬物石に狸兵衛もお蜜も・・・」

「馬鹿ね。五黄も藤平も先刻承知よ」

「そうなの?」

「そうよ、あの二人は化け猫よ。あたしら可愛い狐や狸や河童は敵わないのよ。さっき、あんたに『出てけ!』と言ったのも、狸兵衛やあたしに話して来いって言う合図よ。あんたが皆の前じゃ素直にならないのを知ってるからよ」

「そうなの?本当ね。敵わないわ」

「でしょ?だから惚れるのよ」

げっ!あんたもなの?」

「当たり前でしょ!五黄はあたしの永遠に好きな男よ」

「あたしもそうだわ」

「あんたもあたしも永遠に恋敵でいなくちゃね?」

「でも、お風は?」

「やあねえ~、姉様は、、、いい?絶対に内緒よ!あんただけに言うわよ?」

「うん、わかったわ!」

「姉様は、昔、むかぁ~~~~~~~~しから藤平一筋よ!」


う、嘘ーーーーーーーーーーーーーーーーッ!


「『知らぬは藤平ばかりなり』ってね!」

「健気(けなげ)なお風・・・」

「健気よねえ~、あたし痺れるわ」

「いいわあ~、恋ってえぇぇ☆

「いいわよねえ~。あたしら下世話な者とは、ひと味も二味も違うじゃない?」

「本当だわ。だからお風って美しいのね~!」

「そうよ。だから藤平に恥ずかしくないように、自分を高めているのよ」


素敵ーーぃッ!


「あんたもあたしもそうなりましょうよ!」

「そうよねッ、あたし何か力が沸いて来たわ!川太郎にきちんと謝るわ。そして、ちゃんと河童国を立て直してみせるわ!!」

「そうよ、其の意気よ!あんたも聞く耳を持っていれば、きっと変わって来ると思うわ」

「本当に変われるかしら?」

「大丈夫よ!だって、【天宮てんぐう】に居た時のあんたって可愛かったもの」

「えー、そうなの?」

「そうよ。はっきり言って今みたいな、どてらブスじゃなかったわよ」

「げッ、知らなんだ」

「あたしには良く分からないけど、あんたもあたしと同じなのかもね」

「よーしッ!わかったわ!
こんな物もこんなのも要らないわーッ



まま子は香水や化粧品をスカートから出して捨てた。

「バカね~、これは記念に取っておくのよ」

お蜜が拾い、まま子に渡した。

「あっ、そうね。これを思い出せるようにならないといけないのね?」

「そうよ。今まで表面だけを厚化粧してたまま子の記念品。あたしの荳傘(まめかさ)の屋敷と同じよ」

「なーる。わかったわ!きっとそうなるように頑張るわッ!」

「それじゃ、行きましょう」

「あっ、ちょっと待って!お蜜、ありがとう...」

「いいのよ、喧嘩友達じゃないの。それに恋敵だし~」

「うん、ありがとう。それとガスの事。川太郎の仕業だとしたら、あたしお蜜にすまないわ」

「平気よ。ガスはね、元からこれ以上ないくらいに乾涸(ひから)びている爺なの。例え【吸い出し岩】に引っ付かれても死なないわよ」

「ふふ、本当?」

「本当よ。ガスは、絶対に大丈夫なの。絶対!絶対にね!」

お蜜は思った。本当は今直ぐにでも自分がガスを助けに行きたい!だけどそれは今は出来ない。ノン吉達に任せるしかない。

ならばガスが言っていたように、自分が出来る事を一生懸命にしようと言い聞かせた。今のまま子を昔の自分と思って・・・

お蜜とまま子が屋敷に戻って来ると、二人を待っていたかのように藤平がいた。

「まま子。お蜜と話したのは久しぶりよな」

「あ、本当だあ!」

「でしょ?」

まま子はお蜜が言っていたように、五黄と藤平がわざとそうした事がわかって思わず声を上げた。

「どうしたのよ」

「ふふ、こっちの事よ」

「ねっ?お蜜」

「ま、いいわい。皆が待ってる」

藤平と一緒に母屋に行くと五黄達は相談していた。

「おっ、帰ったな」

「ねぇ、五黄。あたしまま子を連れて、荳傘の屋敷に行く事にしたわ」

「そうか?それなら俺もノンに任せてあるから、狸兵衛と釣りでもしに行くか」

「ちょっと待ってよ。俺はいいけど、桃吉ときゅー助はどうするのよ?こいつら猫と獺(かわうそ)じゃ、目立っちゃって、駄目じゃん」

「忘れてたわ」

もーーーッ、こいつら河童に変えてよ」

「わかった、わかった。そしたらきゅー助はどうするよ?」

「おいら、オロみたいな柄になりたい~」

キュ

「よしわかった」

「俺は?俺にも訊いてちょうだーい!

桃吉が大きな声を出して言う。

「おお、桃吉もな。それじゃお前は?」

「うーーん。オロみたく、、、かといって色は薄すぎず、、、濃すぎず、、、だからと云って地味なのは嫌だし、、、派手なのもちょっとね~え」

「?・・・・」

「父ちゃん、桃は適当でいいよ」


ぶーーーッ


「二人とも同じにしてやるよ。お前達、俺の前に並びな」

五黄が『フッ!』と息を吹きかけると二人の姿が見る見る内に変わって来る。足元から綺麗な薄緑に変化していく。


アッ、、、」


お風が目を瞑(つむ)る。お蜜とまま子はニヤニヤしている。其の視線に桃吉ときゅー助が気が付き慌てて前を隠す。

わぁ!きゅー助、はずかしいぃ~ッ!」


ニャーッ!恥ずかしーーッ!」

藤平が其の辺にあった雑巾を二枚差し出す。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
momokatupakyusukekatupa.jpg


「これでも充てがっときなさい」

「こんなばっちいの?」

「情けねー!」


ははは


皆、大笑いをした。





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大相撲 19 なーる 

前回


お蜜の励ましで元気を取り戻したまま子、川太郎池に潜入する桃吉ときゅー助は五黄により中々のイケメン河童に変身した。



はじまり、はじまり




藤平は可哀相な二人の為に、さっそくお滝におパンツを作るように頼んだ。二人は着物の切れ端でおパンツを作ってもらうとやっと安心した。

「よーし、俺も!こうしてとっ・とっ・とと、、、」

ノン吉は『くるっ!』と回るとイケメン河童に変身する。ちゃっかりおパンツを穿(は)いている。

「兄貴っ、ずるーい!

「ふんだ!年の功よ」


ぶー


「さっ、支度は出来たな。さて、これからどうするかな」

皆で考えていると、レレがよれよれしながら、部屋に入って来た。

「お蜜様ぁ、、、」

レレはお蜜を見ると縋(すが)り付く。

「あら、レレ。寝てなきゃ駄目じゃない」

「でもあたい心配で・・・きっと、月狼(つきろう)たちも居ても立ってもいられないと思って、、、」

「そうよね、そうだわ。五黄、それに皆!ねえ、取り敢えず【連傘れんがさ】に行きましょうよ」

「そうだな」

「うむ。そちらで思案しても宜しいじゃろて」

「そのように私も思う」

狸兵衛と藤平が同意する。

「わたくしもまずは月狼達を安堵させねば不憫(ふびん)と思います」

お風も続ける。

「よーし、父ちゃん連れてってくれー!」

「あい分かった」

五黄は呪文を唱えた。いつものように五黄一行が屋敷から消える。

「藤平様、お昼の支度が出来ました。あれ?・・・」

草助が部屋に入ると誰も居ない。慌(あわ)てて次の間に行くとお熊達が、うつらうつら居眠りをしていた。お熊達は五黄達の話し合いに加えてもらえず、暇を持て余し、つい居眠りをしていた。

「ちょっとお熊さん!」

「ふへ?あっ、草助さん!何ですか?」

「『何ですか?』って、五黄様達がいらしゃりません」

えーーッ、何で?」

「『何で?』って、あたしが訊きたいくらいです!」

「お蜜様も、お風様もですか?」

「全員いらしゃらないです」


あぁれぇーーーッ


五黄達はこちらでも、ひと言も言わずに消えてしまったので大騒ぎになった。仕様がないのである・・・・


       
       
          ~♢~




突然、五黄達が来た【連傘滝】の月狼達は慌てた。何しろ錚々(そうそう)たる顔ぶれである。

狸国の狸兵衛や狐国のお風に懐かしいお蜜。猫国の五黄に藤平、河童国のまま子までいる。そして見慣れぬ五人の河童。月狼達が平伏して五黄達に挨拶をする。

「このような尊い方々に御出で願えるとは思いも因りませんでした。レレは変事をお伝え出来たのですね」

「月狼、そのような事はするでない。話も出来ぬ」

「そうよ。月狼、立ちなさいよ」

おおッ!お蜜様ー、会いとうございましたッ!」

「ふふ、久しぶりね。ガスの事だもの、どんな事があったって駆けつけるわよ」

「ううぅ、、、ガス先生がここに居たらどんなに喜ばれるか...」

「そうね、でも会えるから」

「はい、どうか宜しくお願いしますッ」

「お前が月狼か?」

「はい」

「わたしは藤平じゃ。レレから概要は聞いておるが、今一度わからぬ事を尋ねたい」

「はい、知っている事は何でもお話します。処でレレは大丈夫ですか?」

「うむ、安心するがいい。若いし、すぐ回復するじゃろて」

「ありがとうございます」

月狼達は顔を見合わせ、『ホッ』とする。

「兄様、わたしより尋ねても宜しいですか?」

「あっちゃん、勿論よ」

「それでは、月狼。主ら狼族の事ゆえ、抜かりはないと思えるが洞窟の仕掛けはわかったかな?」

「はい、ようやく取っ手らしいものを発見致しました。しかしながら、動かす事はしていません」

「それでよし。へたらに動かすのは得策ではない。先に番をしている者が居ないとも限らず」

「はい、そう思いました」

「それから、【ゲン】と申す河童はどうしておる?」

「はい、それが『子を連れて戻って来る』と、行ったきりでございます」

「それから、此の変事か?」

「はい。もしやしてゲンの行動が見張られていたのではないか?と考えます。或いは、、、ゲンが態と病院に来て様子を探っていたのでしょうか?」

「それはないと思う。レレが酷い皮膚病を患(わずら)っておったと言っておったからな」

「はい」

「考えられるのは、それだけの病いの者が少しどこかに行っておった。そして帰って来ると割合良くなっている。

『一体何処に行っていた?』と周りの者は訊くだろう。ゲンにしてみれば、親切な気持ちと病が癒えて来ている喜びもあって、つい口を滑らした。

そして、それを川太郎に告げ口した者がいた。ゲンが子を連れて行くのを後をつけ、洞窟の扉を開けた処を捕まえる。そんなとこではないかな、、、」

「ふーむ」

その場の全員が藤平の話に納得した。

「それでは、ゲンの身も危ないのでは?」

「まっ、そうなるな」

「あのー、父ちゃん」

「何ですか?ノンは。皆さんの前で父ちゃんなんて」

「へへ。お話の途中申し訳ありませんが、厠(かわや)に行って来ていいですか?」

「仕様がありませんねえ、さっさと行って来なさい」

「あのぉ、俺も」

桃吉河童。

「おいらも~。ぽんぽんが冷えて」

きゅー助河童。

河童達がお腹を押さえて部屋を出て行く。途中で三馬鹿トリオは、厠の場所を知らない事に気が付き、ひぃひぃ尻を押さえながら戻って来た。

急いで月狼に訊いて又出て行く。皆が其の姿を見て、大爆笑になってしまった。全く暢気(のんき)な話である。

「あれー?でもどうしたのかなぁ?ノン吉兄さんも桃吉もきゅー助も変な物なんて食べてないのに、、、」

オロが不思議そうに言う。

セロが手を叩く。皆が驚いて振り向くと、したり顔で頷(うなず)いている。

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なーる!




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今回はコメ欄を閉じさせて頂きます。
少し忙しいのですみません。
水曜日には開けますので、宜しくお願いします。

大相撲 20 温もり玉 

前回



冴え渡る藤平の推理、皆が一応に納得をした。そんな中、ノン吉達はお腹が痛いと厠(かわや)にまっしぐら。セロは三人を見ながら一人、訳知り顔で頷(うなず)いている。




はじまり、はじまり




一人でいつまでも頷いているので、まま子にどやされる。

セロ!何やってんのよッ!何かあるのなら、さっさと言いなさいよッ!」

「へっ、はっ、はい!あの、、、お三方は、河童になったのは初めてですよね?」

「そうだろうな」

五黄が返事をする。

「でしたら、【温ぬくもり玉】がお体に入っていないのでは?と、、、」

「ああ!あれかー?俺も温もり玉を飲む前は、体が冷えて具合悪くなったもの。だから冷えたんだ!皆、いつも毛だらけだし」

「毛だらけ?あのぉ、、、あの河童達はどなたなのですか?」

月狼(つきろう)が訊く。

「あれは、ノン吉兄さんと桃吉ときゅー助だよ」

「あらー?何処から見ても河童ですね」

「だって、そうじゃなきゃ、バレちゃうものね」

「月狼よ。此所に居るオロにセロ、そしてあの河童姿のノン吉、桃吉、きゅー助で川太郎池に探りに行く事になっておるのよ」

「そうだったのですか!」

「あのままでは、川にも入れぬようだな」

「でしたら、まま子様!」

「わかってるわよ、セロ。あたしの行李(こうり)を寄越して頂戴」

セロは、いつもまま子の身の回りの品々を行李に入れて背負っている。いつも『あれ寄越せー、此れがないー』と、大騒ぎをするからだ。

セロが『よっこいしょーいち』と背中から降ろす。オロが手伝ってあげると途端に目をウルウルさせる。

「オロ様はお優しい~。まま子様は一度だってセロが重い行李を降ろすのを手伝った事なんてないんですーッ(泣)」

「セロさん、、、」

オロは困ってしまう。

「ふん、わかりましたよ!今度から手伝うわよ」

大袈裟(おおげさ)に泣いていたセロが途端に泣き止む。

ピタッ

「本当ですか~?」

「本当よ」

「皆様の前だけの、いいカッコしいじゃないですよね?」


違うわよ!


「ならいいです」

まま子もまま子なら、セロもセロである。セロやお熊達は生涯を王族達に仕える。此の者達は、此の世界においてもまた特別の存在である。

王族達は【天宮】から下った時に初めて家来を持つ。其の時に、身の回りの世話をする者達に選ばれたのがセロ達である。

セロ達には特別な権利が与えられる。それは寿命を決められる事だ。普通の者達は、百年と決まっていてセロ達も一応そうはなっているが、百年経つとそのままの姿で【魂納めの宮】に行き、『このまま王族達に仕えるか?止めるか?』を決める。

止めたければ、そのまま魂納(たまおさ)めをされるし、『このまま王族達に仕えたい』と申し出れば、また百年は仕える事になる。こうして、百年毎に【魂納めの宮】に行く事になっている。

セロにしてもお熊達にしても、そうやって何百年も仕えているのだから王族達とは家族同然なのである。不思議にも五黄と藤平にはいない。

二人には、そんな考えが初めからなかったようで、居ないままに今日まで至っている。まま子は行李を開けると、其の中から綺麗な螺鈿(らでん)で出来ている箱を取り出した。開けると大きな真珠が入っている。

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Nukumoridama.jpg


「わぁあ!綺麗だわ~」

お蜜がそれを見て声を出す。

「ふふ、そうでしょう?特別な【温もり玉】なのよん。まま子特性なのよ~ん」

「へえー?俺が飲んだ【温もり玉】とは全然違う!」

「当然よ。普通の河童の手が届く品じゃないよ」

「ぶーーッ」

「まま子、意地の悪い言い方は止しな」

まま子は、五黄に怒られる。

「悪かったわよ、オロにも上げるわよ」

「えっ、いいの?」

「いいわよ」

「わーい!でも、二つも飲んで大丈夫なの?」

「力が何倍にも倍増するだけよ」

「本当?嬉しいーぃッ!

「まま子様の恐ろしい程の念を込めている玉ですから、効きますゾー」

「え゛っ?何か怖そ、、、」

「失礼ねー!いいこと?これはね、飲めば腹は冷えず、水中でも呼吸が出来るようになり、泳げない者もマグロのように、速く泳げるという優れものなのよん」

「俺も欲しいなあ」五黄。

「わしも」狸兵衛。

「あたしも」お蜜。

「わたくしも」お風。

「そんなに数無いわよ」

「残念」藤平。

こうして、オロはまま子から【温もり玉】を貰った。厠から、へらへら笑いながら帰って来た三人も貰い、さっそく飲んだ。

「うわぁあ!腹が温々するーッ」

「おいらも~」

「俺もです!気持ちいいなあー。」

三人は、まま子から効能を聞かされて大喜びである。

「さてと。それじゃお前ら行くか?」

五黄が言う。

「どこから?」

「そうだな」

「洞窟からはヤバそうだしなあ」

ノン吉が腕を組んでいると、セロが言い出す。

「あのー、どうでしょうか、、、この【三険山】を越えると川太郎池の端に出ます。そこならば、誰も出入りをしていないかと思います」

「ああ、あたしも前に河童の【メメ】に教わったわ。とても険しい三険山を越えて、川太郎池で休息して【五険山】に登るって」

「はい。とても険しい山々に囲まれているので、滅多に出入りする者はおりません」

「それがいいよ」

「よし。それでは、そこまでお前らを連れて行く事にするか」

「あのー、、、」








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