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第一章 桃吉  夜釣り1

machibuse2.jpg


挿し絵参照↑↑↑   絵をクリックすると大きくなります

♪ふんン♪ふんふぅ~ん♪


機嫌良い鼻歌が聞こえて来る。こんな夜更けに暢気な事だ。 
突然、鼻歌が止まった

「なにしてんだ? 見え見えだよ~」

そこへ勢い良く現れたのは?
『まっ黄色』な猫だった。

「ここであったが運のつき、五黄様! あっしという者がある事をお忘れじゃあーりませんか?ってんだ!(プンプン)

「何をつんつくしてんのよ~(笑)」

「何がじゃありませんての!ここんとこ何べんお屋敷に行ったことか!足がすり切れちまった......それなのにいつだって居やしねえ、それがどうよ?いつ帰ってたんですよ!」

「また大げさなんだからよ~おめえの話は又今度にな~急いでんだぁ」

「はぁ?何が急いでる!?急いでるのはあっしの方ですっ!

「まあまあ~~(笑)」

「先からお願いしてる、あっしの用には知らんぷり!かわいい世のがこんなに苦労してんのにぃ......(イジイジ)」

「ほっほう~かわいいねぇ~」

「貞からやいのやいのと催促の山なんですよ!このままじゃ義兄弟の縁を切られちまう......(ウッ)」

「......(?)」

「そんなあっしの用をさて置いて夜釣りに行こうなんて!それこそ許せねえーー!どうせ毛がはいてるオトトを釣ろうってに決まってらあ!!」

「もおぉ~どうしたらそんなに怒るの......困った野郎だねぇぇ まったく...(苦笑)」

「今日という今日は金輪際離れるもんじゃあねぇ!!(オコッテル)」

「何を気張ってんのかねぇぇしょうがねえなぁぁ もう行くよ~」

「行く!?行くよじゃねえーっての!これから、あっしはすっぽんの世の吉になりますからねッ(キッパリ!)

「困ったねぇ~離れないのぉ?」

「離れねえっ!絶対に!!五黄様が姐御のとこに行くまでは絶対に離れねえよ!!(カナリナマイキ)」

そう言うなり世の吉は五黄の尾にしがみついた。

「わかったよ、離しなよ、連れて行くからよ~そのかし文句を言うなよ(マイッタネ~)」

「ふんっ!大カマスでも釣るんですかっての、へーんだ!」

「どうしてこんなにひねくれられんのかねぇ~時もねえのに......しかたねえなぁ」

そう言うなり二つの陰がパッと消えた。




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第一章 桃吉  夜釣り2


前回

五黄を待ち伏せていた世の吉は、何が何でも付いて行くと言ってきかない、根負けした五黄は、世の吉をある場所に連れて来た。


はじまり、はじまり



二人が来た場所は石ころだらけの歩きにくい河原だった。

「なんですかぁぁあ? こっ、ここ!? 
なっ、なんか不気味ですよーぉ、はっ、早く帰りましょうよぉぉ(涙目)」

「なぁ~に言ってんだよ 今、来たばっかだろがぁ」


ギャぁあーーーッつ!!


「なぁ~んて声だすんだよしっかりしろよ」

「だってえぇ...半分透き通ったみたいのがあっしの前を......」

「仕方ねぇよぉここは賽の河原、歩いてんのは皆 人魂よ」

「人魂っ!?じゃ、ここは人国なんですか??」

「まっ そう言うこと、ほ~ら見てみろ」

五黄が指差す先には半分透き通っている人々が沢山歩いている。

「どこに行こうとしているんですか?」

「三途の川を渡ろうとしてるんだよ」

「三途の川!?川なんかありゃしないじゃないですかぁぁ」

「あれが三途の川なんだよ、よく見りゃ岸から先は何とな~く湿ってるだろ」

確かに色が濃くなっている。川底なのだろうか......

「渡ってるだろ 人魂がよ」

「確かに...言われてみりぁ川底みたいですね。
それに先はきれいな花畑ですね」

「渡っちまったら二度とは戻れねぇ ほら、渡らない者もいる」

たたずんでいる人魂に声をかけている者がいた。その話に納得したように戻り始める人魂もいる。

川底になっている三途の川を渡った人魂には、知り合いなのだろうか大歓迎をされている人魂もいる。
この場の様子に世の吉は興味しんしんである。

「まったく不思議な場所ですねぇ~
カラカラの三途の川って面白いですねぇぇ こんなら渡り易いわぁ」

「まっ、善い事をしてきた者(人魂)が濡れないように配慮してんだろな」

「へぇーッ」

「さてと、そろそろ時間だ。世の、その辺の高い所に行ってろ」

「へっ?なんで」

「何でもクソもね!さっさと行かねえと地獄に流されるぞ!!」

「はっ、はい!わかりましたよ もう邪見にしてぇぇ」

世の吉がふてくされながら小高い丘を見つけ、歩き始めてしばらくすると足下から地鳴りが聞こえて来る。


どっどっどっーー


「うわぁあ!?なんだ!なんだ!!」

(挿絵参照↓↓↓)   絵をクリックすると大きくなります
sanzunokawa4.jpg

地鳴りが轟音となって耳が痛い。


ドッドッドッどっどっどっどぅわあぁぁーーーーー!


その光景に世の吉は驚愕した。(ハッ)我に返った
世の吉は急いで振り返り五黄に呼びかける。


「五黄様ぁーー!五黄様ぁ~~!

え゛っ?!」



五黄は凄まじい濁流に半分浸かりながらもびくともしない。
それどころか持っていた釣り竿を振り回している。何をしようというのか?
もの凄い勢いの濁流の中には青い顔をした人達が手を出して必死にあがいている。

どのくらいの人が流されているのか見当もつかない程の人...また人...
世の吉はその凄まじく恐ろしい光景に声も出なくなっていた。
五黄は釣り竿を思いっきり振り上げる、何かが引っかかったのか?

釣り糸が「ピーン」と鳴った。
竿がこれでもか、これでもか!と弓なりに曲がる。


どりゃーーーッ!!


かけ声と共に何かがつり上げられる同時に、世の吉の方に向かって振り落とされた。


ドスン!


ぐぇ......ッ

「おい起きなよ」

世の吉はのびていた。
気絶していた世の吉を五黄は揺さぶって起こす。

「ぐぇ~~っ気持ぢ悪い゛ やめれ~やめれょ~」

「まったく意気地がねえょ受け止めるくらいできねえのかねぇ」

「な゛、何゛をおっじゃいま゛ずッ...よ、 世のは、五黄様みたいに粗雑にデカク出来てませんよっ(ニャにょ!) 至って繊細なんですっ ふぅ~んだ!」

「はいはい、繊細なのネ」

「そうですっ ふん!」

「世の、こいつを起こせよ」

「いやですっ!なんであっしが?イャあ~なこった(フン)」

「世のぉそんなに逆らっていいの?聞いてやんないよ」

「え゛っ!? もぉぉ......う わかりましたょ! もう、いけずな爺猫!」

「なんか言った?」

「言ってません!!」

正体もなく気絶している若い男、どうやら息はしているようだ......






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第一章 桃吉  夜釣り3

momokichi



前回

世の吉は威勢だけは良かったが、恐ろしい場所に連れて行かれ、帰りたくて仕方がなかった。五黄は川岸に立つと勢い良く流れる濁流をものともせず、竿を投げ入れた。独りの人間を釣り上げると、河原に放り投げる。


はじまり、はじまり



この男は[大井戸たくま(二十歳)]失恋が原因でやけ酒をし酔っぱらって足を踏み外して川に流された(...カワイソウ)世の吉は遠慮なく強く揺する。

「ぎも゛ぢ悪ぃーい゛っ やめてぇぇやめてぇぇ」

「起きたかな?」


「ぎょっえッ!ウワっ熊!? し、白熊だ~~っ!!」


「だまれっ!! 何を言ってるぅんだーぁ 五黄様は猫だぞ!!」

「ゲッ...ぎゃあぁぁ 『まっ黄色』の猫が喋ったあ゛~~!!」

突然の出来事に頭の中は真っ白。反射的にたくまは逃げた!逃げた!

「あれれれ!?(ナンデ......ナンデ?)」

「な~にしてんのょ」

「何してるって、ってて... にっ逃げてるんですぅぅーー」

動いているのは手だけであった。

「ぐぅわぁーーーーーーっ」死に物狂いで動かしても無駄だった。

「うぅ~るさいねぇぇ 口も動かない様にするかぁ...」

「ごっ、ご勘弁ぉぉ 着ぐるみ様~~!!」

「ニャンだとーー!!(怒)」

世の吉だけエキサイトしている。

「ニャンだとってて言われたって いっ今時、流行らない着ぐるみなんか着て...とにかく俺は帰る!」

だがどうやっても手しか動かない事に気が付く。

「あのぅ......足が...動きません......」

「そうだろうな」

「帰りたいんですけどぉ(泣)」

「どこに?」

「どこにって...家にですょ~」

「もぉぉー無理だなっ 俺に会ったもの」

「会ったものってぇ!?何言ってるんです!俺には帰る場所があるし...。 だいたい着ぐるみ着てる奴が偉そうにぃ......(ヨワキ)」

「お前は暢気だねぇ~そういや溺れてたんじゃないの?」

「えっ?そう言えばそうです......ネ」

「礼ぐらい言ったらどうだい このスットコドッコイ!

世の吉、たくまにまるで遠慮がない。思い切り猫パンチをくれた。

「い゛でぇーーーッ!」

「まぁまぁその辺にしときな おい世の、こいつを連れて行くよ」

「どこに?」

「あっちによ」

「えッーーっ」

「うるさいねぇ~とにかく連れて行くんだょ」

「そんなぁぁ」

「ちよっと、ちょっと待って下さいよ。何を言ってるんですか?俺は帰ります!ハイ、 それじゃ~どぉーも、失礼しましたっ」

猫達はたくまが何を言っても知らんぷり。

「それよか何色が良いかな~?」

「この前はひどかったぁ 五斗は今だに恨んでますょん。こんな柄だから嫁も来ないって。今度は一色が良いですよ、うーん そうだ!あっしは冴えてる~。 

先に桃太郎って物語を読んだことがありやした。どうも人国じゃ、川から流れた野郎は桃太郎って言うらしいんで」

「へぇそうか なら桃吉ってのはどうよ?」

「そりゃぁいいや!てんで間が抜けてる こいつにぴったり!ニャヒヒ」

「そうか、じゃそうしよ~」

「そうしようって......もしかしておっ、俺の事?」

「そうだよ」

五黄はたくまに向かって息を吹きかけた(プハ~~)


「ゲホッゲホッ」

むせ返ったたくまは突然『ピンクの猫』になった。
これからは愛を込めて桃吉と呼ぶ。

「おぉぉいいねぇ~♪ やっぱ一色は良いねぇぇ 
こうなんかすっきりしてね!」

「う゛わ゛ーーーっ! 手っぐわぁ~~
手がぐわあ~~『ピンク』ぅぅぅ」

「変わったのは色だけじゃないと思うよニャヒヒ」世の吉面白そう。

「えっ?ぎゃぁーーっ 手が猫だーー!!」

「...アホだわ」

「少しズレてるみたいだな」

騒いでいる桃吉が落ち着くまで二人は面白そうに見ていた。

「うわぁーーん」泣きながら座って草を毟っている。(イジイジ)

「今度は泣いてるよ」

「面白いですね~ぇぇ」

「まっ、とりあえずこいつは放っといてさ さっきの話しの続きをしてみな」

「へ~い。えーっと、なんでも貞によりますと、つい最近お蜜様は人国かぶれの猫と運命的な出会いがあったそうで。

へい、 でそいつがお蜜様に可愛がられてるのを良いことに好き放題しやがるんで、腹を立てた子分達が袋叩きにしたらしいんで。へい、 で、そしたらその野郎、根性ねえもんだからとんずらこいたらしいんで、へい。」

「あそこの子分達は気が短いもんなぁ 特にお前の義兄弟の貞吉はなぁ」

「お蜜様の怒りたるやすさまじいもんで。へい、 あたいの色に手ぇ出しやがったっ!てんで子分は身も世もない有様なんですよ~

 お仕置きだってんで、なんでも『スリッパ』だか『スッパツ』だかとか云うぴったりした股引を穿かされちまって『尾っぽが痛い』『厠(かわや)に行きにくい』『チクチクする』って泣いてますぅぅ 不憫じゃないですか...

ウッ(涙) あっしは可哀想で可哀相で泣けてくるんですよぉぉ~(涙、涙)」

世の吉は不憫そうに声を詰まらせる。

「貞なんか痩せたらしいです......ぅぅ」

「そんで俺にどうせいって言うのよ」

「五黄様の大親分!大明神様!大権現様!
何でも良いからお頼み申しますよ~
奴らのいいようにしつつ、姐御の機嫌を直してやって下さいよぉぉ~」

「ふぅん、俺に任せときな。 あいつとは古馴染みだし俺に惚れてるし。 ちっと行かねえと変な虫が騒ぐんだよ。 あいつのいけないところさねぇ~本当の男の色気っていうのを教えてやらずばなるまいなぁ」

ニヤニヤしながら長い髭をピンピンさせる。

「大丈夫かなぁ?
まっ、五黄様以外にあの九尾の姐御を納めるお方は居ねぇし、お頼みますよ」

「わかったよ、任せな」大きな腹をポンと叩いた。

「後はこいつだな」

「あのぉ俺って桃吉なんですか......?(キョトン)」

「そうだよ良い名前だよ」

「五黄様の命名だ!有り難くおもえ!!」

「思えって~~??」

また気絶した......

「しょうがねえなあ、また寝たよ」

「どうして、こんなの連れて行くんですよぉ 人間は厭だよ! 面倒でさあ~ ぴーぴー泣くし 勘は鈍いし 鼻から教えなきゃなんないし、それにもう一人いるからいいじゃないですか!」

「いい~の、いいの それよか起こせ」

「ぶぅぅーッ」

「ひィひィ、どうしてなの?どうして俺なの??」

「ふふ、いろいろあるわな」

「あるわなって......」

「まっ気にするな、おい!こいつは任せたぞ。
じゃ俺はお蜜のとこに行くからよ」

「ちょっと~五黄様!こんな薄っ気味悪い所に置いてけぼりじゃ、あんまりだあぁ」

「わかったよ、利根のはしっこにでも送ってやるよ」

「すいやせんです。それと、くれぐれも姐御と貞達を丸く納まるようにお頼み申しやす」

「わかったよ、じゃ送るぜ」

五黄はそう言うと指を鳴らした。(パチっ!)
二人の姿が目の前から消えた。

「さて、俺も行くか」





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第一章 桃吉 菰傘村1

kawawatali5.jpg

前回

五黄に訳もわからないうちに猫にされた桃吉は、慣れぬ身体に戸惑うばかりだった。一方、世の吉は桃吉の面倒を任されてしまって面白くもない。


はじまり、はじまり


二人は草薮の生い茂った川岸に立っていた。

「ありゃ何ですかここ?! 一体どこなの??」


「どこだっていいだろがぁ! スットコドッコイ


「ぶぅーッ!」

「まったくぅ~いいから立ちな。五黄様のお言い付けだからしょーうがねぇ 行くぞ!」

「行くぞ!…って、どこに?」

「いぃ~いから付いて来いっ(ッタクゥ)」

桃吉猫となったたくまは初めて猫としての一歩を踏み出す。

「あ゛っ!?あっ、足が猫だぁぁーーッ!」

「あのね、お前変だよ」

「なっ、何がですョっ」

「だって手足だけ猫なんじゃないのょ、ぜぇ~んぶ猫なんだよ、わかってんの?」

「なぁ~んですとぉぉ~?俺が猫?猫だってー!?」

桃吉は初めて全身くま無く触った。毛だらけだった。(モジャモジャ)
服も着ていないのに…
毛だらけなのに…
不思議と暑くない…
そして触っていくうちに変な物を触った。


「ん?うわっ!うわっ!この尻にも何だか、丸マッチイのが…おッ、尾っぽだぁぁーー!!」


「うるさいよ~」世の吉すかさず鋭い猫パンチ。(バチンっ!!)


「ふんぎゃぁぁー!痛でぇーー!だ、だってぇ…これじゃ近所のかっこ悪い猫みたい…(ショボン)

尾っぽって

『長ぁ~く』て、

『スぅーっ』として、

『ピーんっ』…て。

これじゃ出来ないじぃぃ…(涙)」

「仕方ないだろ~お前みたいに、猫成りたての奴は尾が長いとバランスが取れないのよん」

「そんなぁぁ~(涙)」

「そんなにカッコ悪くないし、短い尾の猫もいるし、その内伸びるよ」

「本当ですか!?」

「本当!?本当だよ・・・うん…きっと伸びるさねぇ(タブン…)」

「嘘っぽい・・・・」

「だけどなんか、お前ズレてるよ~普通さ、猫にされたら身も世もないって泣くのに」

「泣いてまっす!俺は…余りに色々有り過ぎて、心の整理も何も付かないままにですよ、尾っぽは『丸い』し!『ピンク』だし!どうすればいいのか・・・」

「まっ、色々だぁぁな」

「色々って…それだけなの??」

「それだけだよん。だって考えたって仕方ないさね」

「そりゃ~そうですけどぉ…。 あのぉ…そう言えば五黄様ってデカいですね」

「当然だよ、一番デカいな、それに長生きだし」

「へぇぇー!で、お幾つなんです?」

「そうさねぇ、聞く処によると六百四十歳だってサ」


「え゛ーーーーっ??うッそぉぉーーーー!?」


「ニャんだょ、いちいちうるさい奴だね~また猫パンチ貰いたいの?」

「いいえッ!」(きっぱり)

「そんじゃ、行こかぁ~」

「え?どこに?」

「お前わかってないね~お前は猫なんだよ、それも桃色の。こっちで生活が出来るんならいいけど、出来ないだろう?」

「あ、当たり前ですよ!猫になったことないし、この分だと多分野良猫になりそうだし、ゴミあさりとか自信ないし・・・」

「全くわかってねぇなぁ~黙って付いて来いやぁ」

世の吉はサッサと葦(あし)の茂みを掻き分けて利根川に出る。
桃吉は慣れない身体に戸惑いながらも何とか付いて行く。

突然降り掛かったこの身の不幸に(幸福?)どう対処したらいいのかもわからない。

「俺は猫になってしまった…(ナゼょ?)どうして猫なの?どうせなら空飛ぶ自由な鳥に・・ゥッ(涙)」

「早く来いよぉぉ」

「は、い…」

世の吉は川に向かって話し出す。

「締めのまま子様~!お通りお願いしまぁぁ~す!」

頭を下げた。桃吉も頭を下げさせられた(ペコリ)

「おとぉぉーりィイ~」

返事と同時に、なんと!川の水が左右に分かれ一本道ができたではないか。
桃吉は気を失わんばかりに驚いていたが、世の吉は平然と歩き出す。

ビビっている桃吉を無視して、世の吉はスタスタ先を行く。
川の水自体が大きな壁になっている。だが不思議にも音がない。

静かなところを歩き出す、二人が通り過ぎると勢いよく元の川に戻って行く。


どどどど~~ッ


その膨大な水量に怖くなり、世の吉の背中にしがみ付くように歩いて行くのだった。
ようやく渡りきると、そこもやはり葦原だった。

ガサコソさせながら、丈のある葦をかき分けて進むと、うねうねした一本道に出た。

「そろそろ夜が明けるんですねぇ」

「あ~に言ってんだぉ、まだ夜中だよ、お月様を見てみなね」

「だって明るいのッ!すっごぉーく明るいのよッ。
なんというか…しらじら夜が明ける前くらいに。これがまた何でもよく見えるのよ~ぉ」

「当ったり前だぁよ。お前は猫なんだから、夜道が見えるの当たり前だろがぁ」

「へぇ~だから夜でも明るいの?ふんふん(ナルホド)」

「まっ、そのうち慣れるってなもんよ~」

「俺の目のせいで明るいのはわかりますけど、月の形が違う気がするんですけど…不思議だなぁ」

「季節だって違うんだぜ!」

「あそこ(人国)の世界とはできが違うんだ。
こっちが本当さ、あっち側みたいにせせこましくねぇんだ。それにあっちはもう夏だろ?」

「そうですね八月だし、忘れられない真夏の夜の夢ってか…?」

「こっちは春だよん」

「え~ッ?春!?」

「いい季節さぁ~、大好きよん。毛が抜けてボサボサしないし、日向はちょうどいい暖かさだし、女達は色っぽく
なるしさ~(ニャひひ)」

にやにやしている…猫がにやにやしていると不気味である。
先の方から歩いてくる者がいる。世の吉達に気がつくと手を振りながら近づいてくる。



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第一章 桃吉 菰傘村2

himonoya6.jpg


前回

たくまは桃吉と云うピンクの猫になった。戸惑いながらも世の吉の後を付いて行くしかなかった。


はじまり、はじまり





「あんたぁぁ~♪」

「へっへへ俺の嫁だょ」

「あんまり遅いからサァ~心配でサァ~」

しなを作るメス猫。でれでれした世の吉は、気色の悪い声を出してる。

「五ぉ黄ぅ様に引きずり回されていたんだょ~ごめんニァぁ~」

「そうかぃ、それニャらいぃいんだよぉ~お前さんが無事ならさぁぁ」

ひときり、いちゃいちゃした二人は、阿呆面している桃吉にやっと気付く。

「誰だい?」

「あぁ、こいつは五黄様の子分で桃吉だよ」

「ふぅーん、変な奴だね。それにしても凄い色をしてるねぇ、生まれつきかい?」

「違うよ、こいつは人だったんだよ、それを五黄様が変えたんだよ」

「な~んだぁ、やっぱりねぇ~。フっ、良く見りゃ、いい猫っぷりだ事。あんたぁ紹介しておくれよォオ~」

「こいつは猫成り立て。ほやほやの桃吉」

「ょろしくぉ願いしまス」

「あたいはお陽だょ。よろしくぅぅ桃さん♪」桃吉にしなをつくる。


「まったく~、誰かれかまわず色気出しやがって…こっちに来いッ


中っ腹の世の吉はお陽を引っ張って行く。


「後から着いてこい!」


「はいハイ」

小一時間も歩いた頃、ぼーっと明かりが見えてきた。
先を歩いていた世の吉夫婦が呼ぶ。

「あそこが菰傘(こもかさ)村だよ」

月明かりに照らされる村は茅葺き屋根が美しい、田んぼの水面がキラキラ反射している。

「何をボサっとしているんだよ、行くぜ!」

「はいハイ」

渋面下げてついて行くと村の中心部に出た。
寝静まっているのか…誰も居ない道を歩いていると商店街のような通りに出た。

その中の一軒の店の前に立ち、潜り戸を叩きはじめた。

ドンドン


「おぉーい!居るかぁぁ~?五斗よぉ~、起きろよ~、世の吉だょ~!」


「やだねぇお前さん、皆起きちまうだろ、もっと静かにおやりょ」

「ホぉ…~ぃ、ぉきッろ…~」 

「へぇーい!今時分何でぇすか~?」

ボサボサ毛の猫が出てきた。

「おっ、すまないなぁぁ~新入りの猫を連れてきたんだよ。ついさっきまでお前と同じ人間だったんだ、いろいろ面倒見てやってくれよぉぉ。

おいらのとこは、かかあもガキも居るから狭くて泊められないのよ。お前は一人もんだし、それに元人間だし何かと便利だからよ」

「ええ、ぇぇ!どぉ~せあっしのとこには嫁もいませんよ!誰かさんのおかげでこんな柄ですか
らねッ!ぇっ!」

心底恨めしそう…。
五斗吉の柄は、十二色の絵の具をいい加減に混ぜたような表現しがたい模様、冴えない猫だった。

「まっ、そう言うニャょ。機嫌直してさぁ、頼むわ」

「いやだなぁ~、面倒なのは。あっしには仕事もあるし…」

「仕事なんて、こいつにも手伝わせればいいんだよ。猫の手が増えたと思えばいいじゃんよ」

桃吉の背中をぽんぽん叩く。

「ほら丈夫そうだし。なっ!お前働くよな!」

目で合図する。桃吉がボーとしているので足を踏んだ。

「い゛、イデでっ(涙)…は、ィイ働きまス」

「ほら!働くってよ」

「仕方もねえなぁ~わかりましたよ」

「悪いニャぁぁ、恩に着るよ。そんじゃ、こいつ桃吉って言うから後宜しくニャ」

桃吉をその場に置いて、さっさっと世の吉夫婦は行ってしまった。

「お前、桃吉てのか?」

「はい、何だかそうらしいそうで…宜しくお願いします。ぅ?」

「俺は五斗吉っていうんだ。まっいいやな、家に入れよ。疲れているだろ」

思わぬ優しい言葉を掛けられ、泣き出した。

「泣くんじゃねぇょ。さっ、入んなょ」

桃吉は今までの経緯をベソ泣き状態で話す。頷きながら五斗吉は黙って聞いていた。暖かいお茶を薦められ、口を濡らすとなぜかしら落ち着いてきた。

「お前も災難だなぁ。でもまぁ生きてりゃ、いろいろあるさ」

「そんなハぁ~(半ベソ)」

「なぁ~に、がっかりするなよ。それに、生きてここ来たのは凄いことなんだぜ!」

「ヘー?どういう事ですか?」

「普通ならあの五黄様に睨まれただけで石っころになっちまうし、まして猫にしてもらえるなんざぁ~めったにないことさ。」

「じゃ、ラッキーだった?の?」

「なんだか知らんがめったにないことさ。だってそうだろ?あのお方は年がら年中遊びに行くし、人にもけっこう会っている。まっ、あっちに行けば人間に化けるらしいけど。

猫姿を見られて無事な奴はいねぇんだよ。俺なんか砂浜歩いているとこを五黄様に会って、アっ!?と…いう間にこっちの世界よ」

「えっ!?俺は川を渡りましたょ…」

「五黄様が一緒でないからさ。あのお方は行きたい場所に一瞬で移動するんだよ。世の吉兄ぃなんかとは訳が違うんだよ」

「へぇーっ、訳がネェ」

「今日はもう遅いし、疲れているだろうから寝よう…」

布団といっても名ばかりのペラペラの煎餅布団を出してくれた。

「俺、興奮して寝れませんょ」(ぐぅぅー)

言うが早く大鼾の桃吉。
翌朝、深い眠りから起こされた。

「起きなょ、桃よぉ」

揺り起こされて、しょぼしょぼした目を擦りながら布団から起きる。
寝ぼけた頭でボーっと周りを見回す。知らない部屋にいる。(あれ?)誰かの家に泊まったっけ(?)

猫、飼っていたっけ(?)


「え゛っー!?あ゛ーッ、あ゛ーーーっ!」


桃吉のパニクる姿を五斗吉は無視してる。

「おい、布団を畳んだら飯にするからょ、顔洗って目を覚ましてこいや」

五斗吉はサッサと外に出ていった。
話す猫を見ながら、繋がらない思考をむりやり繋げた。

昨日の出来事は夢でなかった…。が、我が身に起きた出来事に現実感もなく、頭を掻いた。

「痛っ!痛いなぁぁ」

爪が伸びていたかな?と、ふっと手を見る。


「ぎゃあ゛ーー!て、って、手が、デが、猫の手になっているうぅぅ・・・」

完璧に気を失った。永遠に気を失っているつもりだった。

「いい加減に起きろよ~!」


五斗吉に猫ジャンプで腹の上に乗られ、痛さと共にこれは夢でなく『現実』で、『猫』で『ピンク』『桃吉』なんだと観念した。


「お前さぁ、あきらめ悪いなぁ~。もう猫なんだからさ」

泣きたいような…泣けないような…複雑な気分でいたが、五斗吉に促され渋々外に出る。
朝陽は優しく桃吉を歓迎する。

「川で顔を洗ってきな」

魚臭さに気が付いて、周りを見ると干物が板に行儀よく並べてある。見れば看板が立てかけてあるのに気がつく、【五斗の干物】と、書かれてある。

「ふぅーん、ここは干物屋なのかぁ」




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第二章 旅立ち ノン吉登場1

前回

桃吉は世の吉に菰傘村に連れて来られた、適当な事を言われて五斗吉の家に預けられた。
五斗吉の優しさに、安心したのか疲れもあり、ぐっすりと寝た。
翌朝、猫の姿にまた、びっくりはしたが、それも次第に慣れて来た。
顔を洗って来いと言われ、始めて独り、外に出る。

はじまり、はじまり


清々しい空気は全てを鮮やかに映す。
桃吉は思い切り深呼吸をした。(スぅーハぁー)

茅葺き屋根と細くたなびく煙、長閑(のどか)な景色に心を奪われながら歩き出す。実り豊かな畑があり、近くを通ると野菜の青い匂いに懐かしくなる。

「昔に嗅いだなぁ、田舎のばあちゃん家でさぁ」

水田に出ると一気に視界が開け、心地よい風にさらされた。
田んぼの稲穂が勢いよく茂っている。

青々しているのもあれば、黄金色になって稲穂が垂れているのもある。チグハグな印象を受けながら歩いていると川に出た。

その川の幅は十メートル程だろうか?立派な石橋が架かっている。
橋の袂には橋桁があり、降りて行けるようになっている。

その川の清き水の流れに桃吉は、ひどく感動した。

「わぁお!」

美しい緑の藻が流れている、花が咲いているのもある。深い感動に襲われた桃吉は自分の特色というべきか、雰囲気と美しさにすっかり興奮して、詩情溢れる自分の高揚した気持ちを叫んだ。

「やっほぉ~」

試しに小声で言ってみた、それが心の叫びとなり、次第に大声になる。


「やっほっー!やっほほーほーぃ!」


調子に乗ってきた。


「やっほぉー!ヤっホー!」


何度も叫んでいた。

「うるさいなぁ、うるさいよ!」

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
nonmomo7_20100114215800.jpg


ムッとして見た視線の先には、白黒のスマートな猫がいた。

「お前誰よ、それにしても派手な色してんなぁ」

気持ちよく叫んでいたのを邪魔され、ふてくされながら答えた。桃吉であることや昨日から猫になった事、五斗吉のとこに居ることなどを説明した。

白黒スマート猫は髭をびんとさせながら、ニコニコしている。

「俺はノン吉って言う風来坊だよ、お前何してんのさ」

気安く尋ねられたので、顔を洗いに来た事を言った。

「ふーん、だけど叫んでいたろ?」

「あふれる高揚した気持ちを表現したくて叫んでいたんです」

ノン吉はげらげら転げ回って笑う。

「腹がよじれるよう~(爆笑)」

ひぃひぃ言いながら笑っている、勝手によじれていろ!桃吉は思った。

「おッ前すごくいいなぁ~」

涙目になる程笑った顔で言う。

「なあ桃吉ってさあ、こっちの事どれくらい知ってんのよ」

「昨日は疲れて寝てしまったので、殆ど何も知らないです」

「暢気(のんき)だねぇ。人間やってた猫っていうのは、五斗みたいに真面目で面白みのない奴ばっかりかと思っていたけど、やっぱいるんだねぇ、変わり種がさぁ(笑)」

ふんふん言いながら納得している様子に桃吉も思わず相づちをうつ(ウン、ウン)その姿を見てまた笑う。

「よし気に入った!俺、お前の世話役になってやる!」

「世話役って何ですか?」

「今までやった事ないけど、親しい友達みたいなもんかな」

へらへら笑いながら、ウインクをした。猫にウインクされた。

「……」

顔を洗いに来たのだろうと云われ、冷たい川で顔を洗う。
桃吉は昔から手を動かさないで、顔を動かすという洗い方をしている。

ノン吉はその姿にまた、笑う。変な洗い方だって。失礼な奴である。

「変なのは小さい時から言われているので、自分でもわかっているのだからして…」

「怒るなよ」

タオルを差し出してくれたので、礼を言い、顔を拭いた。





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第二章 旅立ち ノン吉登場2

前回

桃吉は始めて目にする美しい景色に心地よくなり、「ヤッホー」と暢気(のんき)に叫んでいた。そんな桃吉をどういうわけか、白黒猫のノン吉が気に入ったようだ。


はじまり、はじまり




coffee.jpg

挿絵参照↑↑↑  絵をクリックすると大きくなります



こっちにこいと誘われ、川沿いの道をついて行く、広い空き地にテントがあった。
モンゴルの草原にあるパオのような形をして、骨組も丈夫そうだ。

「ここが俺のねぐらなのさ」

案内されてテントに入る。中は天井が高く広々している。

「おっと、いけないや」

ノン吉がアチチと言いながらヤカンを取る。

「コーヒー飲むかい?」


「飲む、のむ、飲む!」


「さすがに元人間だけあって、熱いのをよくまぁ飲めるもんだなぁ」

感心しているノン吉は、コーヒーを桃吉が全て飲み干してしまったので、昨日の残りのコーヒーを飲んでいる。
桃吉はたぷたぷのお腹を揺すりながらゲップをした。

「うーッ、飲み過ぎたぁ~気持ぢ悪い゛」

「バカだねぇ(笑) そういやお前これからどうするのさ。このまま五斗のとこに居れば奴の商売の干物屋を手伝わされるのがオチだぞ」

「干物臭くなるのはいやだなぁ...そういえば、俺って人間の頃から何をすればいいのかわからないままに夢無き人生を歩いて来たから今さら猫になったところで、急に何かに目覚めようはずもなく、全くわからないや」

「やっぱり面白い奴だねぇ~」

「ほっといてくれ(プン!)」

「お前、桃吉さぁ~俺について来るかい?」

「どこに行くんですか?」

「俺はさぁ、旅から旅の股旅者なのよ。一人で旅してきたけど、桃吉を見てたらなんか一緒に旅をしたくなったょ」

ノン吉が嬉しい事を言ってくれる。

「俺もあてがないし、このままでも仕方ないしナぁ...」

「じゃ、ついて来な!」

ノン吉に背中を叩かれ、その気になった。

「それじゃ五斗に筋を通さないといけないな。後は誰かに世話になったかい?」

「はい、世の吉さんに。それに奥さんが迎えに来ました」

「あいつのカミさんにも会ったのかい」

「はい」

「一人でなくて良かったなぁ~。あのカミさんの色気は並でないからなぁ、世の吉も大変だよ。あいつらのそばにいたら年がら年中の痴話げんかに付き合わされてたまんないよ。

大げんかしたかと思えば、すぐにイチャイチャするから、馬鹿っプルで有名なんだよ」

「へぇー!こっちでも馬鹿ップルなんて言うんだぁ」

「なんでもいいやな、ほら行くぜ」

「ここはのどかでいいですねぇぇ」

「こっちはさぁ、お前のいた世界と違って、何事のんびりしているのよ、何事もさ。だから、あっち風でいると疲れるょ」

「ふーん。ノン吉さんは...」

「兄貴って呼びなよ」

兄貴と呼ぶことにした。ここでは年上の男はたいがい『兄貴』女は『姉さん』と呼んでいれば間違いないと教えてくれた。



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第二章 旅立ち ノン吉登場3

前回

ひょんなことからノン吉と知り合った桃吉は、ノン吉に猫国のことをいろいろと教えてもらうのであった。


はじまり、はじまり



「ノン吉兄貴は、ずい分あっちの世界の事をご存知ですね」

「風来坊だから、いろいろな世界を知っているのさ。
そうだなぁ~ お前が居た人国の百年がこっちだと十年くらいになるな」


なんですって?それだと俺はすでに浦島太郎状態......?」(想像してる)


挿絵参照↓↓↓ 絵をクリックすると大きくなります

urashima.jpg

「ふふ。何だか知らねぇけど、そんな所さ」

「そしたら俺が世話になっている五斗吉兄貴はいつ頃来たんですか」

「あいつはここに来て二十年にもなるかな」


ええーッ?そしたら江戸時代の人だったの!?...そんな人に俺、世話になったの.....(ビックリ)」


「ふふ。まっいいやさ、桃吉もこれからはこっちの者になったんだしな、
それに俺と一緒にフラフラするのも中々面白いぞ。処でお前は旅したことあんの?」

「自分が人間だった頃は、旅なんていう程ご大層なことした事ないなぁ。
小さい時に行ったらしい写真で見た記憶のない家族旅行に、学生時代の修学旅行くらいかな。
あまりにしょぼくてお粗末な旅の記憶...情けない(トホ)」

「そんなにがっかりするなよ。
俺はさぁ、ここのノンビリしているとこも好きだし、違う世界を旅するのも刺激的で好きなんだ。
ここは食い物は美味いし、気候も穏やかでさ とろとろしちまう場所なのさ」

「へぇー、なんかわかります」

「だけど、あんまりここにいると溶けちゃうくらいに体がなまっちまうのよ。
だから旅に出るという寸法よ」

相づちをしている内に、五斗吉の店の前に着いた。

「相変わらずの干物だねぇ」

ノン吉が楽しそうにしている。桃吉は潜り戸を叩いた。(トントン、トントン)


「今帰りましたー!」


戸をガタガタ鳴らせて、店の中から五斗吉が出てきた。

「あれれぇ、桃吉なにしてんだよぉ、飯が冷めちまうだろ、顔洗ってこいって言ったらいつまでも帰って来やしねえんだからョッ」

「すみません」

「すまないなぁ~俺のせいなんだよ、五斗吉よう」

その声を聞き驚いた顔をした五斗吉がノン吉を見て、途端に態度を変える。

「驚かさないで下さいよ!ノン吉兄貴じゃないですか!
しかしお久しぶりですねぇ~だけどなんでノン吉兄貴が桃吉と一緒にいるんです?」

不思議そうに聞くので、あらましを話した。

「へー、あっしはなんでも良いですよ。兄貴がこいつを気に入ったのなら構わないし、あっしは世の吉兄ィに頼まれただけだし、厄介払いできるし。だけどこの事は世の吉の兄ィに言わないとね」

あまりな言われように桃吉はブルーになった。

「俺もそのつもりよ。お前に話したらその後で、世のとこに行くつもりさ」

「そんじゃあっしは兄ィのとこに、ひとッ走りして呼んで来ますよ」

「兄貴と桃吉は支度してありますから、飯でもやっていて下さいましよ」

五斗吉は請け合って走り出した。(猫走り)
見送るノン吉は「五斗はカワイイ奴だなぁぁ」独り言を言う。
桃吉は自分を厄介払いできるからって、あんなに張り切って行ったよッ!とふて腐れる。



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第二章 旅立ち 干物屋五斗1

前回

ノン吉の姿を見た途端に、五斗吉は破顔する。よほど好かれているらしい。桃吉は嬉しそうに駆け出す五斗吉を見送った。


はじまり、はじまり



ノン吉は勝手しったるなんとやらで、五斗吉の家に入って飯を食べだす。

「やっぱ五斗の作る干物は美味いな~まったくピカ一だよ。他は全く面白みのない奴なのに、干物を作る事にかけては天下一だよ!」

褒めているのか、けなしているのかわからないノン吉に、食べてみなと勧められ、桃吉は面白くもない気分で干物なんて、どこも変わらないょ!と、思いながら食べてみる。

本当に美味かった。ふっくらとした焼き加減といい、干物の風味を最大限に生かした絶妙な塩加減。桃吉は知らずに『うミャアー』と鳴いた。

二人はミャアミャア騒がしく、がつがつ食べていた。暫くすると潜り戸が開いた。


挿絵参照↓↓↓ 絵をクリックすると大きくなります
kuisugite.jpg


「失礼しやす」

世の吉達が入って来た。五斗吉の用意していた朝飯を米びつまで空にした
ぽんぽん腹のノン吉がニコニコしながら声をかけた。

「久しぶりだなぁ」

飯粒と干物のかすを顔中に飛ばして、全くしまりのない顔でえらそうに言う。

「五斗に聞いたんですが、桃吉がノン吉兄貴に世話になる!ってこいつが息せき切って言うもんですから、そりゃ、一大事って言うんで取る物も取り合えずに急いで来たんですよっ(ゼイゼイ)

しかし、ノン吉兄貴はもの好きですねぇ、この桃吉のどこが気に入ったんだか 
こんな猫なり立てのぼんくら。言っときますけど、なあぁーんも知っちゃいないんですぜ。

五斗なら元人間だから、ちったぁ教えられるかぐらいなもんで
しかし、しみじみ変わりもんですぜ、こんなやっかい事を背負い込むなんて」

世の吉は言いたい放題である。

「どうせ、俺は変わりもんよ」

ノン吉はニヒルに決めたつもりだが、干物と飯粒が邪魔をしてまったくしまらない。
三人はあまりのおかしさに吹き出した。
あまり笑われるものだから、しまいにはノン吉が怒りだした。

「何、笑ってんだよ!」

世の吉と桃吉がひぃひぃ言って笑っているので、五斗吉が仕方なさそうに言った。

「ノン吉兄貴、俺の朝飯を気に入ってくれたのは嬉しいですけど、顔中飯粒と干物のかすが付いていて色男が台無しですょ」

「へへっ、それなら先に言ってくれよ。
久しぶりに五斗の干物を食ったもんだから、興奮しちまって我を忘れたね」

赤い舌をぺろりと出す。横腹のポケットからタオルを出して顔を拭い、今度は鏡とくしを出して入念に髭(ひげ)と毛並みを整える。

「なんでも出てくるなぁ、便利だなぁ」

「お前にもあるぜ」

「へっ?何が?」

「横腹にポケットがさ」

桃吉は自分の横腹を探る。


「ぎょッ!穴があいてる!俺の腹に穴があるーっ、ギャゃーぎゃー!」


「こんなですぜ。何も知っちゃいないんだから。本当に鼻から教えなきゃだめなんですから知りませんよ。後で文句は言いっこなしですぜ」

「わかってるよ。俺も承知の上さ」

「そんならいいですけど」

「うちらはいいんですけど、五黄様にはなんと言えばいいですかね」

「ふぅぅん そう言えば五黄の父ちゃんが居ないようだね。どうしたの?」



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第二章 旅立ち 干物屋五斗2

前回

ホッペが落ちるほど、美味しい干物を堪能していると、あたふたと世の吉と五斗吉が店に戻って来た。
二人の平らげぶりに五斗吉は嬉しそう。世の吉は桃吉が役にも立たないと力説してる。
そんな話の中、五黄の話題から世の吉にとり、義兄弟の貞吉の話題になる。


はじまり、はじまり


世の吉はお蜜の話をする。

「あらまっ!やっぱ揉めたのね」

「ご存知なんで?」

「あのジョニーを連れて行ったのは俺なのよ」


え゛ーーッ?あんまりだょ~、俺の義兄弟の貞なんか尾っぽが痛いって痩せたって。 なんでそんな野郎を連れて行ったんですか?」


「だって九尾のお蜜がさぁ
あいつがたまには毛色の変わった猫とつき合いたいって言うんだよ。
普通の猫は飽きたのよって。

あんたはいろんな場所にも行くし、
知り合いの中に色々な猫もいるだろう?ねぇぇ聞いておくれでないかいぃ? なんて、あのもの凄い色気の流し目でお願いされてみなょ、仕方ないだろが」

世の吉も五斗吉も口を揃え「そんじゃあ、仕方ないです」

「あの姐御にお願いされたらあっしだって、火の中水の中ですよ。
いいなぁ~きっとお願いょん、なんて言いながらゴロニャンされたんでしょ?」


「ちっきしょーーッ!」


五斗吉は桃吉の耳を噛んだ。(ガブッ)


ふんぎゃゃーっ!


桃吉が泣き叫んでいると世の吉がおっかない顔をする。


「だまってろ!」


「だってダッテ五斗吉兄貴が耳噛むし...(涙)」

痛さで半べその桃吉を皆、無視してる。

「まっ、コロニャン程度かなぁぁ」

ノン吉はあごをこすりながらニヤニヤする。


「ちっきしょーッ!」


五斗吉はまた又、桃吉の耳を噛もうとしたので、とっさに耳を手で隠した。桃吉の小さな抵抗に憤まんやる方ない顔をした五斗吉は世の吉の尾っぽを噛んだ。それもかなり思いっきり。


う゛ぎゃゃーー!尾っぽが、尾っぽ切れだぁーッ!


世の吉は天井まで飛んだ(ビョーン)戻ってくるなりもの凄い顔をして五斗吉に殴り掛かった。どたばたしているので、ノン吉が間に分け入った。

挿絵参照↓↓↓ 絵をクリックすると大きくなります
yonoopo.jpg

「いい加減にしろよ、五斗の癖の悪さは世のも知っているんだから、五斗は板きれでも噛んどけ。まったく。だからこの界隈じゃ、耳や尾っぽの先が欠けてんのが、ごろごろいるんだよ」

桃吉は耳が欠けなくて良かったと思った。(ホッ)

「尾っぽの先がないぃぃ~(涙)」世の吉はひぃひぃ泣いてる。

「五斗、先っぽはどうした?」

「腹の中」


「俺様の尾っぽ食いやがった!?俺の尾っぽをッ、尾っぽを返せぇぇーー!」



泣き叫んでいる。

「食っちまったんだから仕方ねえだろう、そんなに騒ぐんじゃないさ」

「だって、俺の大事な先っぽ......」

「仕様もねえなぁ、ガキみたいに泣くなよ、取っておきのいいもんやるから」

ノン吉はポケットを探ると、テニスボールを取り出した。

桃吉は知っていたが黙って見ていた。

「なんですか?」

「これをこうしてお前の尾っぽの先に付けるのよ、これは夜になると光るのよ。(ピカピカ)蛍玉っていうのさ、夜になるのを楽しみにしてな」

世の吉は途端にご機嫌になる。

「え?それいいなぁぁ」

五斗吉は羨ましがる。テニスボールを知らないらしい。


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第二章 旅立ち 干物屋五斗3


前回

五斗吉に尾っぽの先を食われてしまった世の吉は、ヒィヒィ泣いている。ノン吉は泣き止まない世の吉にテニスボールを与えた。途端にごきげんになる。


はじまり、はじまり



「まったく、お前達のお陰で話が脱線しっぱなしだよ」

「・・・・」

「おい桃吉、俺はどこまで話をしたっけ」

「はい、ノン吉兄貴がお蜜様にコロコロニャンされたまでです」


ノン吉は素早く、噛みつこうとして口を開けた五斗吉に板きれを押し込んだ (ムギュ) 口をうぐうぐ言わせている。


「へぇー、そうやればいいんですか」

「簡単なもんよ、それで色男のジョニーはどうしたのさ」

「貞たちに袋にされて、なんでも長い尾っぽをバッサリ切られちまったそうで」

「あらまぁ、自慢の尾っぽだったのに不びんだねぇ、どうも」

ちっとも可愛そうな素振りも見せずにニヤニヤする。

「まっ、たんといい思いをしたんだから仕方ないやねぇ。そのうちに会う事もあるだろうから、そしたらなぐさめてやろうかな」


「ざまぁないですよ。『色男、あんたの尾っぽに巻かれたい』なんて歌がありましたけど、野郎これからはそうもいかないや」


桃吉は、なんだやっぱり尾っぽは長くないとかっこ悪いのでないのょ、と恨めしそうに世の吉を見ると「嘘つき」と独り言を言った。

「それで、五黄の父ちゃんに口聞きを頼んだ訳なの?」

「はいそうです」

「また俺の男の魅力をわからせなくてはなるまいな!なんて言っただろ?」

「へい、その通りなんで」

世の吉はノン吉が見ていたように言うので不思議そうにしている。


「どうしていつも同じ事を言うのかね。それでお互いがそうなんだから、五黄の父ちゃんも九尾のお蜜姐もあんまり長生きしてるもんだからボケてるね、違いない。お前達は百年と生きていないから知らないだろうが、あの五黄の父ちゃんはとんでもなく長生きなんだぜ」


「あっしらは六百四十歳って伺ってます」


「とんでもないよ、俺だって 千年位 になるんだから」


三人は驚いて口をあんぐりと開けた。(・・・・)


「凄く変わっているんだよ。だいたい、歳なんて関係ないような長い年月生きてんのよ。だからどうでもいいじゃんと思うのだけど、老けるのはまだ早いとか言ってさ。
ものすごーくサバ読んでんのよ、あれで」


三人は二度びっくりした。(!!!)

「そういうのって、サバを読むというレベルでないでないの」
(サバがサンバ踊るわ)

挿絵参照↓↓↓ 絵をクリックすると大きくなります

sanbasaba2.jpg


「俺だってそう思うよ、ところが五黄の父ちゃんに言わせると気持ちの問題らしいんだわ。心から若々しいことが大事なんだと」

「・・・・」
 
「だけど六百四十っていう年齢だけで十分年寄りに感じますけど」

「そこがお前たちとは物の尺度が違うのよ。
 父ちゃん達の知り合いなんていったら万年単位クラスなんだぞ」


ひぇぇーっ!


三人はのけぞった。




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第二章 旅立ち 干物屋五斗4


前回

五黄達がとんでもない長生きだと知って、驚く三人達であった。


はじまり、はじまり


「じゃあ、あの九尾の姐御もですか?」

「あの姐さんがいくつだか知らないけど、恐ろしく長生きなことは確かだよ。
俺が知っているだけでも何回もくっついたり、離れたりしているからなぁ。

最初はニヤついて姐さんのとこに行くんだけど、しばらくすると、もう大変な剣幕で俺はあのメス猫に殺されちまう!って剣幕だけはすごいんだが、よれよれになってノン吉よぉ、迎えに来てくれよぉなんて使いをよこすんだよ。

一人でさっさ帰れるのに、ちゃんとした理由がないと帰してもらえないものだからね。姐さんの分別なしも少しはなくなったけど、あれは病気というより生まれついてのもんだわな」


「そんじゃ、あちしの嫁のお陽なんてかわいいもんですね」

「おう。かわいいもんさ」

「これは内緒だよって教えてくれたんだけど、ここだけにしてくれよ」

「へーい」

「お前達はあんな風に気安いから知らないだろう。
あのお方は本当は大親分どころか、とんでもない猫の神さまみたいなお方なのよ。

なんでもこの世をお造りになった神様がいてさ、その神様がある日、鼻毛を抜いていたんだと、あんまり抜いてたもんで その内に鼻がこそばゆくなって、大きなくしゃみをしたんだそうだ。

そのくしゃみと共に生まれたのがあの父ちゃんなのよ。
元は鼻毛らしいんだわ」


鼻毛!?


三人は大爆笑した。(ぐひゃひゃ、アヒャヒャ~)腹がよじれそうになってひぃひぃ言いながら笑った。

世の吉は泣きながら「どうりで、毛が固いはずだ~~」

挿絵参照↓↓↓ 絵をクリックすると大きくなります
warwara.jpg


またまた、大爆笑した、ノン吉も一緒に転げ回って笑っていた。
あんまり笑っていたので、潜り戸を叩く音に気がつかなかった。

「お前さぁぁん、居るのか~ぃ?」

戸をどんどん叩きながら、世の吉の嫁のお陽が騒いでいる。
やっと気がついた四人は、それでも腹を押さえて、ひぃひぃしている。
ノン吉に誰にも言うなよと念を押されてうなづいた、世の吉が戸口に向かって言う。

「うるせえなあ、今開けるからよ、そんなに戸を叩くもんじゃないさ」

戸を開けると、お陽がひょいと顔を出す。

「やだねぇぇ、干物臭いのと男臭いのでたまらないよ」

「どっちにたまらないんだか」

ノン吉が舌を出す、お陽がむっとした顔をする。

「早く出て来なょ、あたしゃ外に居るよ」

勢いよく戸を閉めた。

バッシっ!!




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第二章 旅立ち 干物屋五斗5


「お前のとこの山神さまは相も変わらず怖いねぇ」

「兄貴が余計を言うからですよ」

世の吉はへらへらしている。そろって外に出ると何やら賑(にぎ)やかな様子。

挿絵参照↓↓↓
momoshokai.jpg


どうも元人間の新入りが来たというので村中の老ニャく男女が見物に来たらしく五斗吉の店の前は大盛況、桃吉の姿を見た村の連中がおおっー!と物めずらしげに声を出す。
桃吉の視線の先にいる女猫たちは、きゃーキャーと黄色い歓声をあげる。
経験した事のない事態に桃吉は調子に乗ってあっちの女猫、こっちの女猫と投げキッス。
五斗吉に鋭い猫パンチをくらった。(バチン!)


「あれ、かわいそうに・・・」

「ひどいよねぇぇ」

「あんなに腫れてるよ~」

女猫達がチヤホヤしてくれる。また、デレデレしていると三人の凄い視線に気がつく。


「大丈夫です!」


世の吉がみかん箱に乗る。

「えー皆さんご静粛に!すでにお聞き及びの事とは存じますが、
ちょっとそこ!うるさいよっ。えーっ、えへん。昨晩、桃吉が村に参りました。何分にも昨日、五黄様の御手により、猫になったという成りたてホヤホヤの奴です。皆様方には何かとご迷惑、ご厄介をおかけするかと思いやすが、何分にも宜しくお願いしやす。ほら、挨拶しないかい」

世の吉に小突かれて「宜しくお願いしまぁーす」桃吉は頭を下げた。(ペコリ)

どよめきと黄色い歓声に満足げな世の吉。

「えー、挨拶もろくすっぽ出来ねえ半人前のスットコドッコイですが、可愛がってやっておくんなさい」

「気にしないわょぉ~」

「可愛がってあげるょ~ん」

「えー、それからノン吉兄貴が世話役になられましたので、兄貴からも一言、頂戴いたしたく宜しくお願いしやす」

みかん箱をうやうやしくノン吉に譲り、ノン吉もえらそうにする。

「え~、おっほん!本日はお日柄も良く皆様にはお忙しい中遠路はるばる、お集りいただきまして云々・・・」

遠くから来た奴いないじゃんと桃吉は思った。

「考えてみればわたくしノン吉は皆々様とはついぞ親しくする事もなく、今日まで参りました。たまにお庭先ともいうべき空き地に宿をとる程度のしがない旅烏(たびがらす)これを機会にそんな渡り鳥のような私も菰傘村の皆々様と親戚付き合いをしたいと・・・」

「ありがてー!」

「ノン吉兄貴様ーー!」

「嬉しいぃぃ~」

皆の異常に喜ぶ姿に馬鹿馬鹿しくなり、桃吉は誰の話題だとしらけていた。

いつの間にか、ノン吉は皆に担がれてわっしょい!わっしょい!

当然のように世の吉、五斗吉も仲間に入ってわっしょい!わっしょい!

どこかに行っちゃいました。(イッちャッタョ)仕方もなしにその場に居たが、待ちくたびれて座り込んだ。





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第二章 旅立ち 三吉の願い1

dositan.jpg


挿絵参照↑↑↑

いつのまにかウトウトしていたら、トントン肩を叩かれた。(ん?)

「なぁ兄ちゃん、起きてよ」

「おちてょぉ」

「ニャアニャア」

「死んでるのかニャ」

「そんな事ニャぃよ」

可愛い声に振り返ると、小さな子猫の集団に桃吉は囲まれていた。
つぶらな瞳に見られていると恥ずかしくなった。
(わぁカワィィ)その中の年かさの子猫が話しだす

「なぁ、にいちゃん。兄ちゃんって桃吉っていうの?」

「ああそうだよ」

「お前は?」

「おいらはね、三吉って言うのさ!」

「あたいはお種」

「島吉」

「小吉ニャァ~」

「ニャアニャア」

まだ話せないような子猫も一生懸命に名前を言う。あまりの可愛さに言葉も出ない。

「兄ちゃんはここで何してんのさ」

「えっ?皆を待っているんだよ」

「父ちゃんたちは皆で川の方に行っちゃったよ、ここにいても帰ってこないよ。大人のお水とか言うのを飲んでて、どんちゃんどんちゃんって太鼓叩いたり、お囃子をしたりしてうるさいよ。子供は帰りなとか言ってなぁ、追い出されたものなぁ」

「ちょーらょ」

「あたいたちには、大人のおみじゅは早いって」

「ニャアニャア」

「ニャァ~」

「そうか可哀相になぁ、大人のお水か 確かに早いわな。
それじゃ、ここで待っていても仕方ないのか」

「そうだよ、父ちゃん達呼んでたよ、おいら達に探してこいって。おっかない顔してなぁ」

「うん、おっかニャいよ」

「怒るとこわいよ。お尻ぺんぺんされちゃうょ」

「ちゃれちゃうぅ」

「痛いよ」

「ニャアニャア~」

「そうか、わかったよ。教えてくれてありがとな」

桃吉は可愛らしい子猫たちの頭を撫でた、ゴロニャンと鳴く。

礼を言って川に向かって歩きだした。

「お兄ちゃぁ~ん!」

「なんだい?」

「お兄ちゃん。あのね、父ちゃん達は大人の水でおかしくなっているから、大急ぎで駈けって来たって言った方がいいよ」

「わかった!そうするよ、だけどいつもあんななのかな。お祭りみたいだったね」

「あれはね、お兄ちゃんが来たからっていうのもあるけど、ノン吉おじちゃんがみんなに親しげに話をしてくれた事に感激したらしいょ。
だって、あんな風に話をした事なんてないからね。
おいら達にはノン吉おじちゃんは普通に話してくれるけど大人には話さないよ。五斗吉おじちゃんは干物売っているから口をきいてたけど、ここには五黄のおじちゃんに会いに来るだけらしいよ。だから皆して大騒ぎしたんだ」

「三吉は大人を良くわかっているね」

「だっておいらは頭いいもぉん。(ニャハ)とんびが鷹を生んだってこの辺じゃ評判なんだよ~ぉ!」

「へぇー、とんびがねぇ。それで三吉の父ちゃんって誰なのよ?」

「おいらの父ちゃんは、お兄ちゃんも知っている世の吉だよ」

(へっ?) まったくあれ以上の大とんびはいないだろう(クスクス)笑いをかみ殺すのに苦労した。

「いろいろありがとうな」

「うん、じぁねぇ(ニコっ)」




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第二章 旅立ち 三吉の願い2


三吉は可愛い尾っぽを振りながら子供達の方に駈けって行った。
言われたように走っていかないとまずいな・・・と考えながらも、
桃吉はまだこの体に慣れていないので駈けるなんていう事は全く無理な気がした。

(マイッタナァ・・・)

走るのって人間みたいに駈けるのかなぁ?ぶつぶつ言いながら走ってみた。

(あ、ヒョイっと)


どっ、すーーんッ!


物の見事にひっくり返った。

「い゛っだタタ・・・猫って胴が長い割には足が短いから走れニャイニャン(ウゥゥ)どうしよう・・・・・」

桃吉は転んだ痛みより、どうしたら走れるようになれるのか考えていた。(コウカ?アアカナ?)

挿絵参照↓↓↓

momosan9.jpg


「ニャア」

「ニャアニャ」

「兄ちゃ~ん、どうしたの?」

「どーちたの?」

「キャっキャっ」

子猫たちが笑いながら、転んで寝たままになっている桃吉の周りに集まって来た。

「走れないのよぉ。猫に成り立てだから、走るなんて出来ないょ(ショボン)」

「兄ちゃんって面白いね。なんで立ったままで走るのさ」

「えっ?違うの」

「当ったり前だよ!走る時はこうするのさ」

三吉は四つ這いになって走って見せた。他の子猫たちも走って見せる。

「そうだよね。俺達猫なのょね。ニャアなの、すっかり忘れていました!(アハ)」

桃吉は自分の周りをぐるぐる回る子猫たちを見ながら、何だかぁなぁ~と情けなくなる。(ハァ~ぁ)

「兄ちゃん、起きなよ。やってみなよ」

「ちょーだょ」

子猫たちにうながされて四つ這いになってみた。

「顔をこっちに向けないと転んじゃうょ」

「わかったよ。これでどうかなぁ?」

「うん、いい感じだょ。歩いてみてよぉ」

「ニャア、ニャア」

「こっちだよ~ぉぉ」

子猫たちが2メートル先でちょこんと座って手招きをしている。
うーん、まさに『招き猫』
そろそろと歩いてみる(ソロソロ)意外にいい感じ!手の長さと足の長さが同じだから、すごく歩きやすい。子猫達の所に簡単に行くと子猫達がえらく喜んでくれる。
可愛いい~のである。

「兄ちゃん、上手だよ」

三吉もほめてくれた、嬉しいのである。
俺ってほめられて育つタイプなのね(フムフム)




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第二章 旅立ち 三吉の願い3

「兄ちゃん、今度は走ってみなよ。走る時はこうするんだよ」

三吉はお手本を見せてくれた。
最初は小走りに。その内に体を思いっきり伸ばして地面に手をつく。足が後からついて行く、桃吉も三吉の真似をして歩き出す。
ふんふん(ナルホド)少し小走りに「おーッ!いいぞ!いけちゃうかな~」思いっきり走ってみた。

「うっひょぉー、気持ちいいぃぃ~♪」

速い!速い!調子良く走った。

「兄ちゃぁーん!」

三吉と子猫達がニャアニャア言いながら追ってくる、気がついて待っていた。

「兄ちゃん速いよ。びゅぅーって。すごいね!これなら大丈夫だね」

「ちゅごいニャ」

「ニャア、ニャぁ~」

「ニャア、ニャォ」

「へっへ、ありがとうな。皆にお礼しないといけないな。
たくさん教えてもらったよ、本当にありがとう」

「兄ちゃん、いいってことよ!気にすんなよ。
だけど一つだけ、ねだってもいいかな?」

「いいさ。ただし、猫成り立ての俺が出来ることだよ」

「あのさぁ、この子さぁ」

三吉は自分の半分程の子猫を抱き上げた。
その子猫は両耳だけが黒く、体は真っ白な子猫だった。
まだよく話せないので『ニャアニャア』鳴いている。

「こいつさぁ、『お加奈』って云うんだけど、捨て子なんだよ。
俺さぁ自分に親がいるから余計に可哀相でサ」

「んっ?じゃ俺が親になるの?自信ないなあ、自分でさえ持て余してんだもの」

「違うよ!こいつの親を探して欲しいんだよ。なんか手懸かりでもいいからさッ」

「何だ、そうか。かわいそうにな・・・」

桃吉はその子を重そうにしている三吉から抱き上げ頬ずりをした。
こんなに可愛いい子なのに・・・桃吉は得体の知れない怒りにぐらぐらした。

「三吉、探してみるよ!必ず探してみせるから、任してくれ!!」

怒りがそうさせたのか、威勢のいい桃吉を三吉はジっと見つめる。

「うん、頼むよ!それじゃ今度は本当に走って行きなよ」

「うん、わかったよ。ありがとうな!」

桃吉はお加奈をやさしく降ろし、心配そうな子猫達を見回す。

「安心していい知らせを待ってな。兄ちゃんがお加奈の親をきっと探すからな!」

三吉と子猫達は一様に安心した顔をした。

「じゃ、行ってくるわ。バイバ~イ!」

挿絵参照↓↓↓

yarikirenai.jpg


純真な目で自分を見る子猫達の視線にたまらなくなった。
走りながら、人でいた時と変わらずにいつもの安請け合いをしたのかと情けなくなり、そんな気持ちを振り払う様に大声で叫んだ。


「俺はやってやるぞぉーっ!ニ゛ャオーー!」


桃吉は走った!走った!畑も田んぼも通り過ぎ、あっという間に川縁に着いた。
橋の袂にノン吉がいた。





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第二章 旅立ち 昔語り1


「おい、どうしたんだよ」桃吉は抱きついて、泣きながら興奮状態で必死に話す(カクカクシカジカ・・)ノン吉はうなずいている。

「ふーん、お前の言いたいことはわかったぜ。ようするに三吉にお加奈の親を捜してくれと頼まれた訳だな」

「はい、そうなんです。
でも俺っていつも中途半端な飽きっぽい奴で、小学生の時だってノートを最後まで使わなかったし、鉛筆だって最後まで使った事なんて一度もない。
ましてや、用事を頼まれたりすると任せといてなんて調子のいい返事をする。そんなにいい返事をするものだから相手は俺に当然のように期待をする。

だけど俺って、最初の返事はいいけど後は知らんぷりの尻切れトンボ。(ナサケナィ)文句を言われれば一生懸命にやっているけど、こんな事やあんな事があって中々出来ない・・・ナンテ言い訳のオンパレード。責任転嫁は数知れず。そのうち相手も諦める。いや、諦めてくれる。
だいたい、俺に頼む事自体が間違っている。」

「おいっ、おい桃吉!どうしたんだよ。大丈夫か?しっかりしろ!」

桃吉が飛んだ目で話しているので、思いっきり猫パンチをくれた。

バッチーン!

「いっでぇー(涙)」

「まったく頭をしゃんとしろ、その涙と鼻水だらけの汚い面をそこの川で洗いな」

挿絵参照↓↓↓

kaoarai.jpg


桃吉はシュンとして言われたように、冷たい川の水で顔を洗った。
冷たい水で頭のごちゃごちゃがすっきりした気がした。
ノン吉が優しくタオルを渡す。顔を拭くと落ち着いた。

「全くよ、三吉に会ったらお前、なんか変なスイッチが入っちまったんじゃないのか」

「そう思います。
俺は人間の時いつも孤独でした。お前みたいにつまんない奴はいないよ。とか、
思い切って告白した女に、あんたと居て何か楽しいことあるの?とか・・・
家族とだって気が合わなかった・・・・・・だから誰にも相手にしてもらえなかった。
人と関わりあうのも臆病になっていたし、そんな俺を受け入れてくれないことにも俺の『理屈』で腹を立てていました。

だけどここでは、いつも周りに誰か必ず居てくれて、俺みたいなつまんない奴をかまってくれます。兄貴なんて面白いって笑ってくれます。
兄貴達がわっしょい、わっしょいって担がれて行っちゃった時も一緒に行けばいいのに。

何だよ、俺を放っといて行っちゃった・・・みたいな、変にいじけた心と、皆の仲間になっていいのかな?って、気おくれした自分がごちゃ混ぜになって、一人ぼっちでウダウダしていたら、三吉と子猫たちが声を掛けてくれたんです。

俺が走れないって言えばね、満足に話せない子猫達まで一生懸命に教えてくれる。
俺が走れるようになると、もの凄く喜んでくれる!そんな無邪気で可愛い子猫の中にお加奈みたいに親に捨てられた辛い経験をしている子がいるって三吉に聞かされて。
俺、今までみたいな尻切れトンボには絶対に絶対にならない!

必ず探してやる!

三吉やお加奈や子猫達の期待に答えるんだぁー!


ノン吉は黙って聞いていた。

「桃吉よう、そんなに自分を嫌うなよ。もっと好きになってやれよ」

桃吉は、ハッとした。





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第二章 旅立ち 昔語り2



「桃吉さぁ、三吉はそんな風にかた苦しく考えていないと思うよ
あいつのことだから親を捜してくれなんて、他の大人連中にも当然言っていると思うぜ。あいつはさ、嬉しかったのよ」

「何がですか?」

「自分達の話をちゃんと聞いてくれたからさ。
どうせお前、駈けって行かなきゃだめだよ、なんて言われただろう」

「はい、言われました」

「そんなだろうと思ったよ。走り方も知らなかったお前がすっ飛んでくるしさ。
あぁ、走り方も教わったなって、おまけに泣きっ面だよってな。
だいたいの見当はついていたよ」

「なんだぁ~猫が悪いなぁぁ~」

「へへ、でもいいやなぁ。処で話を元に戻すぞ。
三吉はな、まっ、特別なガキよ。誰に教わらなくてもだいたいの道理もわきまえている。
だけど所詮はガキよ。大人にすれば何をこまっしゃくれた事を言うガキだ、黙ってろ!くらいなものさ。どんなに正しい事を言ってもな。
何せ親は世の吉だぞ、想像がつくだろう?」

「そりゃ、確かに」

「そんな三吉が素直に話を聞いてくれるお前に会ったんだ、嬉しかったと思うぜ。
あいつだって、自分に出来ない事を頼むのだから、絶対とか必ずなんていう風には考えていないよ。ましてや猫なり立てのお前に出来るなんて思っちゃいネェよ」

「なんか複雑・・・」

挿絵参照↓↓↓

momohige.jpg



しょげて垂れ下がった桃吉のひげをニヤニヤ引っぱりながらノン吉は続ける。

「馬鹿だなぁ、がっかりするなよ。お前は三吉にお加奈の親を捜してくれと頼まれた」

「はッ、はい!」

「そしてお前は喜んで引き受けた」

「はい!」

「これでお前に立派な旅の目的が出来たじゃねえかょ」

「あっ、そうですね!」

「そうさ、ただ旅をするなんて言ったって、聞こえはいいがろくな事を覚えやしないさ。
いろんな奴にも会う、誘惑だって多いいしな。
だけどお前ニャ、三吉に頼まれたお加奈の親探しという大事な目的がある。
体に心張り棒が一本、ポーン!と入ったようなもんよ、しっかり筋がよ。
だから、ふらふらする訳にはいかないわけよ、良かったじゃないか」

「あっ、本当だ!なんか俺張り合いみたいなものを感じます(キリッ)」

「本当に単純で可愛い奴よ」

「ひでえなぁ」

桃吉とノン吉は笑った。清々しく笑えた。






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第二章 旅立ち 昔語り3


「それでお加奈の親の事をちゃんと聞いたのか?」

「えっ?そう言えば何も聞いてません。しまったぁ、今から聞いてきます!」

「バカ、いいょ。だいたいの事はわかってるよ」

「なんだぁ~、知っているならそんな事言わないで下さいよ」

「知っているったってだいたいだよ。全く~、ものを頼まれたら良く良く話を聞くんだよ 大馬鹿者」

ゴチンとげんこで叩かれた、口を尖らす桃吉を無視してノン吉は話し出す。

「昔から捨て子は、五黄屋敷の門の前に捨てられると決まっている」


挿絵参照↓↓↓    絵をクリックすると大きくなります。

gooumon.jpg


「えっ、どうしてですか?」

「俺がそうだったからよ」

「えぇぇーーーっ!?」

桃吉は大口をあんぐりと開けた。ノン吉は遠い目をしながら懐かしむように話しだした。

「俺もそう・・・遠い昔、千年も前の話さ。
村の奴の殆どは知っちゃいないが俺もこの村で育ったのよ。
今じゃ一緒に育った兄弟もここには居ないから、俺の過去を知っているのは大恩ある五黄様と藤平(とうべい)様くらいなもんよ」

「藤平様って誰ですか?」

「あぁ、お前は会っちゃいないのか?今まで話していたように五黄様は尻が定まらないお方よ。
あっちにフラフラ、こっちにフラフラとこの村にも年の半分は居ないのよ。
それではならねえから弟の藤平様が、いろいろな差配をするって言う事さ」

「ふぅーん」

「この村は五黄様のお陰で作物が季節を問わずに採れる。お前も畑の作物を見て変に思わなかったか?」

「いぃえ、全然。だいたい俺、野菜の区別もよくわからないし。実がなっているなぁ~くらいで(エヘっ)でも田んぼはおかしいなぁって思いましたょ。

まだ春なのにもう稲穂が黄金色で垂れている。だけど隣の田んぼの稲は青々していてピン!と立っている。不思議に思いましたょ」

「そうさ不思議なのさ。こんな不思議はこの村だけさ。他国にだってありゃしないのさ」

「へぇーッ!」

「五黄様の『五』は『五穀豊穣』からきている。
『黄』は『王』でもあり『黄金』でもある。
天の神様から愛され、この国をこさえた大事なお方なのよ。【猫国】の【王様】なのよ。」

「さっき話していたのは冗談でなかったの!?そんなに凄いお方に猫にされたの??
ひゃーッ!あァりィがァたァやァァ~!」

「ばかたれ。真面目に聞きな!まず五黄様はそんな事はみじんも見せない。
だいたい王様なのだから、せめて親方とか親分位は言わせて欲しいって言ったって、呼ばせないのょ。

年寄りみたいで嫌だとか何とか云ってさ。だから、へぇーきで『五黄ちゃん』とか『兄貴』なんて呼ばせてる、今の奴らなんて特にそうさ。五黄様より藤平様の方がエライと思っているんじゃないか?まっ、仕方もねぇけど・・・

世の吉と五斗吉くらいには言わなきゃなんないと思って話をすれば
あの野郎達は五黄様は元は『鼻毛』だから毛が固い!しか覚えてないのよッ。嫌になったょ(マッタクゥ)」

「・・・・・・・・・・・」(自分もそうだとは絶対言えない)




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第二章 旅立ち 昔語り4


「話がそれたが、そんな訳でここの収穫はものすごい!村の連中の食い扶持をのけても凄い量が余る。それを藤平様が他国に売買してデカイ商いをしている。大したもんなんだ~。

だけど藤平様と云うお方は、五黄様のフニャフニャと違ってカチコチの石頭ときている。曲がった事は大嫌い!てなもんで躾も厳しいんだ。俺はいたずらしちゃぁ、藤平様に大楠(おおくす)の木に吊るされたもんだよ(笑)

俺がニャアニャア泣いていると、どこにいても必ず五黄様が助けに来てくれて、藤平様に一緒に謝ってくれるのよ(ウル)


挿絵参照     絵をクリックすると大きくなります。
mukashikatari.jpg


弟の茂吉まで横で泣いて謝るし五黄様まで謝るから、藤平様も怒っていられなくてさ 結局、無罪放免。毎度のことだから藤平様はわかっててさ・・・そんな俺と茂吉に飴を用意してくれてるんだ。

俺は拾われた時、ニャンも言えずに『ノンノン』って言ってたらしいのよ。藤平様がこの子は言葉が話せないのか?って心配するとさ、五黄様はイイサ、いいさ、構わないさ。と言いながら、お前は『ノン吉』にしようなぁ~って
ノンよ、ノンよって抱きしめて頬ずりしてくれたんだ(涙)」

ノン吉は泣いていた。桃吉も、もらい泣きした。

「俺は五黄様と藤平様のご兄弟に愛情をたっぷりと注がれて育った。藤平様から礼儀や字も教わった。
いつの間にやら、俺の事が噂になると五黄屋敷の前に子が捨てられるようになった、他国の者まで捨てにくる。

それを五黄様や藤平様が代わりばんこにさ、ニコニコして、今日は誰かいるかなぁぁ?な~んて拾いに行くのよ。拾ってくると喜んで『ノン吉、ほら弟ができたぞ!今日は妹ができたぞっ!』てな。

お陰で俺には沢山の兄弟が出来た。だけど、そのうちに大きくなってくると自分でもどうしようもない衝動にかられて来たんだよ」

「どんな衝動なんですか?」

「俺を捨てた親を一目見てぇ。文句を言ってやりてぇってな。だけど育ての親の二人には言えなかった・・・悶々とした日々を送っていたある日五黄様に呼ばれた。多分、俺の様子がおかしかったんだろう。五黄様はニコニコしながら俺の頭をなぜて言うのさ

『ノンも大きくなったなこんなに大きくなったんだから、お前が立派に育った姿を産みの親に見せたいよな』
俺はよぉ、俺の気持ちを慮ってくれる五黄様の気持ちが嬉しくて嬉しくて、ただ、只泣いたよ・・・・ニャオーンと」

桃吉はずっと泣きっぱなしだった。

「五黄様は俺に他国の事情を調べるという名目を与えてくれた。
他の者の手前でなぁ、藤平様が考えてくれたのょ、それが旅烏のきっかけさ。二人共、俺の親なんて全く知らないし、お守り一つもなかったらしい。裸同然で捨てられていたからなんの手がかりもありゃしない。

母猫と子猫は柄が同じというそれだけを手がかりに、あっちの村こっちの村。宿という宿を探した。俺と同じ年頃の白黒を見ればそいつを捕まえてどこの生まれだ?兄弟は居るか?親は居るか?ってさ・・・馬鹿みたいな話さ。

白黒はいても俺と同じ柄なんていやしねぇんだ。その内に俺は何をしているんだろうって気がついたんだよ。
乳飲み子の俺を裸同然で捨てた親をなんで探す必要があるんだ。

第一、見つけたとしても親にしたら只の迷惑かもしれねぇし、恨み言なんて性に合わねぇし、なんでこんなとこに居るんだよ。馬鹿馬鹿しいってな。俺には帰るとこがあるんだ!

俺を育ててくれた二人の父ちゃんやたくさんの兄弟だって待っていてくれるって・・・矢もたてもたまらず帰ったよ」

「いい話ダぁ~(涙)」




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第二章 旅立ち 昔語り5

nonandkyodai.jpg

挿絵参照  絵をクリックすると大きくなります


「いさんで帰ってみれば五黄様は、九尾のお蜜姐の家に入り浸って帰らない。藤平様は、藤平様で収支が合わないとかなんとか言って商売の事で苛々しているし。
兄弟連中は、あっちがぶった!こっちが先に引っ掻いた!って言うんで大喧嘩をしている。

俺の思いはスっ飛んだ。てっきり、俺のことを皆が心配しながら今日か?明日か?と帰りを待っていてくれるなんて考えていた、おめでたい自分にあきれたよ。なんか気抜けしてチビ達の喧嘩をボーっと見ていた。

そしたら、喧嘩していたチビ達が俺に気づいてさ『ノン吉兄ちゃんが帰って来たぁぁ~~!』って大騒ぎ。
五黄の父ちゃんに知らせなきゃって五黄様を探すんだょ。

『だってお前達、五黄の父ちゃんは九尾のお蜜姐御のとこにお泊り中なんだろう?』

『違うよ、さっきまで居たょぉ』という返事。

『兄ちゃんが帰るのを五黄の父ちゃんも、藤平の父ちゃんも首を長ぁぁーくして待っていたょぉ』ってね。

俺も少しは旅先で苦労したから、五黄様や藤平様の気持ちがなんかわかちゃった。俺の事を心配して帰りを待っていたなんて知ると、俺は有り難がって二度と自分達のそばを離れたりしない。

恩返しをしなくちゃならねぇって思う俺の一本気な性格を読んでいるんだよ。
だから、俺が帰って来たら五黄様はソっと出かける。藤平様はぞんざいな口調でわたしは仕事で忙しいからお前の事なんて心配してる暇なんてないんだよ。二人で考えた小芝居を打つっていう寸法よ。

二人の父ちゃんは多分、自分達の深い愛情がいつか俺の負担になると考えたと思うよ。
だからこの機会に俺を巣立ちさせてくれたんだよ。

自分達は適当にやっているから心配するな、お前も深刻に考え過ぎずにもっと気楽にやれ、ってな。
そんなことを二人の父ちゃんに教えられたような気がしてさ、なんか気持ちも楽になったのよ。そんなこんなで今に至ってるっていう訳よ」


桃吉はもの凄く感動した。何もかも包み隠さず話してくれたノン吉に感動し、五黄と藤平に会いたくなった。

「へへ、話がいつの間にやら俺の身の上話になっちまったな」

「いい話を聞かせてもらいました」

「まっ俺の言いたい事は、ここに捨てられた子は、へたな親元にいるよりよっぽど幸せだっていうことさ。『愛情』も『教育』も『しつけ』も充分もらえて、その上たくさんの兄弟もできる。

お加奈だってそうなのさ。だけど三吉にすれば世の吉みたいな、しょうもない親でも自分にはいるから、お加奈が可哀相に思えるんだろ」

「うんうん、元捨て子の兄貴が言うのだから間違いないですね」

「そうよ。だからお前も必ず探し出す!探せなければ村には帰れない!なんてそんな悲壮な覚悟をして・・・・・・」

「そんなことまで言ってませんよぉう、勝手に話を大きくしないでくださいよ~」

「まっ、要は気楽にな。
だからと言って『だらだら』せず、だけど『キリキリ』せず、しかし締めるとこは締めて。それでもって、やる時はやるんだな、これが」
(意味ワカンネェェ~)

桃吉はノン吉の気持ちを理解した。(ホンマカイナ?)
が然、勇気とやる気が湧いて来た!思わず拳を上げた。

「ニャってニャるぞーー!!はい、ノン吉兄貴もご一緒に(ドウゾ)」


「ニャるぞー!ニャるぞー!」


いい歳の大人猫が二人して大きな声を張り上げご機嫌になっていた。





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第二章 旅立ち しばしの別れ1



すると、土手沿いの川下からヨレヨレしながら歩いてくる世の吉と五斗吉。
黙って見ていると、こっちに向かって手を振っている。

「ノンけろ兄ひィィ~」

二人が近づいてくると顔が『真っ赤ッか』で茹でダコみたい。

「なんらぁぁ?モロヒチもいるニャないろぉ」

酒臭い息を『プっシュー』と吹きかける。桃吉は酒臭さに閉口する。

「はい、世の吉兄貴も五斗吉兄貴もご機嫌のようで」

「あったりメエらろがぁぁ~ひぃーッく。なあゴロ吉~ぃ」

「違いねぇ。ニャって世の吉あじぃと飲んれぃたら
ノン吉あじぃって言ったらあじぃぃが居ニャくて、
ろぉぉ~していいニョかわからニャくなっぢっぢ、ヨノギチあじぃと探じでさがじで、おぉーいぃ!おぉーいぃって・・・」

「バッターン!」

五斗吉は倒れた途端にぐーぐー高いびき。

「こんなとこで寝ちまいやがって、おい世の!」

「ふぇーぃい、なぁんれぇふかぁ?」

「しばらくしたら五斗を起こして二人で藤平様に会いに行け。それで藤平様にノン吉はまた旅に出ます。新入りの桃吉を連れて行きます。どうかご達者で!って、そう伝えるんだぞ」

「ふぇぃ、わかりますたぁ~任しちくらへぇぃ」

「大ぃ丈夫かなぁ?」

「ニャにぉぉー!?らいじょうぷ?とはろういう事れすかっていうんらょーぉ
この、世の様に向かっれ、ふら゛けら事抜かしやら゛っでぇ」

世の吉は桃吉の顔の真ん前で『ぶっはぁ~』と息を吹きかけ、威勢良く猫パンチをくれようとした

「ニャんパンチ~~ぃ!」

が・・・・・桃吉はとっくに酒臭さに倒れていた。
世の吉の渾身の猫パンチはノン吉の左顔面にヒットした。

バチンっ!

すると一転、空はにわかにかき曇りノン吉の全身の毛は見る間に『逆立ち』目は『マッ金金』口は『裂け』どこに収まっていたのかという『長い爪』に変化した。

nonhenge11.jpg

挿絵参照↑↑↑    絵をクリックすると大きくなります


仁王立ちになり世の吉を睨む。低い声と共にゴォォー!っと風が吹く。

「よ~・の~・き~・ちぃ~」

「きゃッ」

メス猫みたいな声を出し、余りの恐ろしさに世の吉失神(サッキノ威勢はドコヘヤラ・・・)桃吉は頭を抱えてガタガタ・ぶるぶる。一千年も歳経た猫というのはこんなに怖いのかと失神した世の吉が羨ましくなる。

「よ~・の~・き~・ちぃ~」

風は痛いように吹きまくる

ゴォーゴォー

いぎたなく寝ていた五斗吉が目を醒ます。

「ニャんかぁ~しゃっぷぃれふねぇぇ」

五斗吉、変化したノン吉に気が付く。(白目を剥いて失神)





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第二章 旅立ち しばしの別れ2

桃吉はノン吉を見れずに、「ノンぎぢあじぎぃー(泣)」

「どいつもこいつも、意気地がからっきしだよ、怒る気も失せるわ」

爪が伸びた手を顔の前でサーっと横切らせると、元のノン吉に戻った。

「おいっ桃吉、このヘタレどもを起こせ!」

桃吉は急いで二人を叩き起こす。

(オキテョ、オキテョ)

「ノン吉兄貴ぃぃー、ご勘弁をぉぉーーッ(涙)」

這いつくばって謝っている。ノン吉は桃吉にウインクをする。

「今回だけは大目に見てやる。今度やったら承知しねぇぞ!わかったか!」

二人は這いつくばったまま。

「わっわかりました」

すっかり二人とも酔いが醒め、言葉がはっきりしている。

「世の吉よ、俺の言った用事を忘れていねぇな」

「へい、はいッ!わかっております!」

「それじゃ、今から二人で行ってこい」

「えっ今から」

「四の五の言ってんと・・・又、見てぇのか!!」

「ひぇ~~それだけはご勘弁をーー」

「さっさと行って来い!!」

脱兎のごとく、もの凄いスピードで走って行った。


フンぎゃぁーっ!!ーーーーーー


挿絵参照↓↓↓   絵をくりっくすると大きくなります  
nigeteku.jpg



「ニャはは、速い速い!」「おい桃吉」

「はい」

「さっ、奴らが戻ってくる前に行こうぜ」

「いいんですか!」

「構わないよ、気にするな」

「だけど、なんで兄貴は自分で藤平様に言わないんですか」

「いろいろと差し障りがあんのよ」

「へぇー、どんな?」

「どうでもいいやな」

「そりゃないですよぅ~ねぇってばぁ、さわりのさの字だけでぇもぅ~二人には内緒にしときますからネッ」

「お前もしつこいねぇ」

「だって、気になりますょ」

ノン吉は小さい声で言う。「だってお小言ちょうだいするんだもん」
(モジモジ)

「へぇっ!?」

「藤平の父ちゃんって怖いのょ」

桃吉は目を白黒させながら、このノン吉が怖いと云う藤平様はどんなお方だろうと思った。すっかり可愛らしくなったノン吉は続ける。

「行儀が悪い、言葉使いがいけない、いつからノンはそんな不良になった?そんな育て方はしていない!って、お小言もらうのよ。
『へい』なんて言いようものなら『はい』って言いなさいって、もぉぉ~厳しいのょ」

桃吉がニヤニヤしていると気がついたのか

「あー、エっへん!まっ、そう言う訳よ。ほら行くぞ!」

ノン吉は走り出した。
桃吉も一目散に後を追う、二人はどこへ行くのやら・・・




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第三章 とんびと鷹 見る目がない1

「あっ兄ぃよぅ~世の吉兄ぃ~もう走れないょぉ」

「何言ってんだよッ、ノン吉兄貴が見てるぞ!」

「知らないよぅ、もうダメぇぇ~」

「しょーがねぇなぁ」

世の吉は口とは裏腹に、もつれた足で五斗吉のそばに寄ってへたり込む(ヘナヘナ~)ノン吉の姿が見えないのを五斗吉に確認をさせると、やっと安心した様子で横になる(ドテッ)

「しっかし、怖かったなぁ~、あーんなにおっかなくなれるもんかねぇ!?」

「あっしなんか、一目見て気ぃ失いましたもん!あれノン吉兄貴だったんですか?」

「そうだよ」

五斗吉は恐ろしげに辺りを見回す(キョロキョロ)

「でもなんで、ノン吉兄貴はあんなに恐ろしい姿になっていたんですかッ!?思い出してもゾっとする…おぉーっこわッ(冷汗)」

「いやなぁ~、それがさ!桃吉がふざけた口を利きやがるから、叩いてやろうとしたのがさ、どーぃう加減かオイラの手がチョイと、本当にチョイとだけ兄貴に当たっちまったのょツ、

そしたらあれだ!怖いの怖くないのって(汗)お前は見てないけど、『空は暗くなる』『風は吹く』『兄貴は変わる』地の底から響くような野太い声で…『よぉ・のぉ・きぃ・ちぃ~』
オイラ、生きた心地なかったょツ~!失神したょッ(涙)」

「なんだぁ、あっしだけでなかったんだ…」

「当ったり前よ!自慢じゃねぇが、オイラは足のねえもんとお化けにはからきしなのょ」

「確かに自慢じゃねぇですね」

「ふん!はばかりながら男一匹、この世の吉様は『顔良し』『腕良し』『頭良し』の、よし良し尽くしの男よ!(エッヘン)だけどイイ男には傷もあるって。なっ、言うだろ?」

挿絵参照↓↓↓    絵をクリックすると大きくなります
yoshiyoshi.jpg


「(ん・・・・・)言わねぇです」

「そっかぁ~?まっ、そんな俺にも欠点があるって言う訳ょ、どうだ、わかったか?」

「そんな事わかりたくねぇです」

「ふむ。まっ、いいやな。処で、ここはちょいと思案どこだぞ」

「何がですか?」

「だって、ノン吉兄貴に面倒なこと頼まれちまったもの」

「そういや、ノン吉兄貴は用を言いつけたって言ってましたね、なんですか?あっしは勢いで兄ぃに付いてきましたけど」

「なぁに、藤平様に兄貴が桃の野郎を連れて旅立った事をご報告しろって。」

「なぁーる!だからお屋敷の方に走って来たんですか?そーなんですか、わかりました。そんじゃ、いってらしゃ~い」

「おい、なんで帰るんだよッ」

「だってノン吉兄貴に頼まれたの、兄ぃだけでしょ?」

「何言ってんだょっ、兄貴は二人で行ってこいって言ってたじゃないかょっ!!」

「そうでしたっけ?」

「そうだょ、お前、耳も悪いんじゃないの?」

「えぇえぇ、どうせ悪いですよー、あっしは耳『も』悪けりゃ柄『も』悪いから嫁もきませんよッ!お陰で嫁なし子なしの独ぼっちですよ!!(フン!)」

「またそれを言うぅぅ(マイッタナ~)悪かったょッ、むくれるなょ~。なッっ、この通~り、頭を下げるから勘弁してくれよぉ。ねっ、五斗ちゃん(ニコッ)よっ!五斗の兄貴!」

「やってらんねぇなぁ~、わかりましたよ。だけど、ノン吉兄貴はなんで自分で行かないんですか?」

「藤平様は兄貴の弱り目祟り目なのょ」

「なんでですかぁ?」

「誰だって藤平様の前に出りゃシュンとしちまうょ。五黄様だって藤平様には怒られるくらいだからさ」

「あっしはあんましお目にかかった事もねぇし、干物を買いにくるのは賄い頭のお滝さんだし、一度だけ遠目で挨拶したくらいですかね。そんなに怖いお方なんですか?」

「おお~、そうさそうさ、怖いなんてもんじゃないょ!お前達はどいつもこいつも行儀が悪い。口の聞き方一つなってない、里が知れるよ!ってな。こっちの話より説教が先なんだもの・・・ありゃたまんないょ(汗)」

「おーヤダ、おーヤダ、そんな事聞いたら、あっしは絶対に行きません!」

「そーだろ?誰だって藤平様には弱いのょ。オイラが酔っぱらってると思ってとんでもねぇ用事を言いつけるんだもの。でも考えてみりゃ俺達を見込んでの頼み事ょ」

「なぁーる!ノン吉兄貴は長生きだけあって見てる処は見てますねぇぇ」

「俺達には真似の出来ねぇ、長の年月を生きて来たお方ょ。そんなお方が俺達にお目をかけて下さる。五黄様だけでなく、ノン吉兄貴まで可愛がって下さる。良かったなぁ~五斗吉ょ」

「へい!」




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第三章 とんびと鷹 見る目がない2


「そういえば、お前に食われた俺の可愛い尾っぽ、今頃どうしているかな?」

「へい、さっき厠(かわや)に行って来やした。なんか腹をこわしちまって…きっと、兄貴の尾っぽにあたったんじゃないかと(チロッ)」


何ぉぉー!?
俺の可愛い尾っぽを厠にだとぉぉー??糞まみれにしやがって!ちきしょーッ、返せ!返せ!
俺の尾っぽをこんにち只今、返しやがれー!!



「(え"??)さっき、いい事言ってたから、兄ぃも中々のお方よって俺、見直してたのにー。」

「えっ、そうなの?」

「そうですよ、兄ぃは『よし良し尽くし』の男だって」

「まっ、そこまで五斗に言われちゃ~な、仕方もねぇやにぁ~(ニャヒ)」

「さすがだなぁ、兄ぃはぁ」

「よせゃい!照れちまうよぉ~、やっぱりそう思うかぃ?」

勝手にしろと言いたくなる程のあほコンビ…一向に用事を済ませる気がない。


挿絵参照↓↓↓
yonoandgoto.jpg


「五斗、いいもんやろうか」

「へい、なんですか?」

世の吉はポッケから、半分つぶれたチーズを取り出した。

「あっ、これ!ノン吉兄貴お手作りのスペシャルちーず!!食べようと思ったらなかった・・・皆食べたがってたのに・・・独り占めしてたんだ!!」(ズッコイ)

「馬鹿だなぁ、俺は後で五斗に食べさせたい一心でだな・・・」

「本当ですか?歯形がついてますけど(ジロッ)」

「・・・味見だょぉ」

「あやしい・・・」

「いらないんならいいょ、食べちゃぅよ」

「食べます!食べます!」

スペシャルちーずは口に含むと、旨味がじゅわーっと広がり、あっという間にとろけた。


うんミャーーぃ!!


世の吉は満足そうだ。二人で徳利に残っていた酒も飲み干した。

「五斗吉、見てみなょ、空があんなに青いよ」

まったく、猫を見る目のないノン吉だった。
いつのまにやら大鼾(ぐうーぅ)夜更けになっていた。

「兄ぃ、起きて下さいょ~風邪引いちまうといけねぇよ」

「あっ!いけねぇ、あんまりいい心持ちだったもんで寝ちまったなぁ」

「へい」

「あれ?兄ぃ、今時分に蛍が…」

「何がょ」

「でっかい蛍ですぜ!見た事もねえような…」

「(ムンギュ)つかまえたぁ!」


ふんぎゃーッ!!


「てめぇぇ~!オイラの尾っぽ、又食おうとしやがって!」

「あっしは蛍を捕まえただけですょ」

「だぁ~かぁ~らぁ~、五斗ちゃん。それはオイラの尾っぽなのッ」

「えぇーー!?」

「おめえが食っちまったオイラの尾っぽの代わりに兄貴が『蛍玉』というのをオイラに付けて下さっただろぅ?夜を楽しみにしてなってサ」

「あ、そぉーいや、そうでした。いいなぁ~兄ぃは~さすがノン吉兄貴は珍しいものをお持ちですょ」

「あのお方のポッケはまさに宝の山だね」

「まったくで。そういや兄い、大分遅くなっちまった、そろそろ帰りやしょう。可愛い姉さんが待ってますょ」

「ヘッ、嬉しい事を言ってさ。ちょんの間お前も家に寄ってきなょ。なんかすっかり酔いが醒めちまったぁ(フゥぅ)つまんないから呑みなおしだ。五斗!付き合いなょ」

「いいんですか?」

「相手なしじゃ、寂しいょ」

「だって俺みたいなスットコドッコイが、兄ぃのお相手したって気の利いた話も出来ねぇし、よっぽど姉さんみたいな綺麗どころがお相手した方が…」

「いいんだょ、今日はお前と飲みたいのょ」

「知りませんょ、姉さんに怒られますょ」

「そんなこと、気にすんなって。なぁに、文句なんか言ったら『このオカメ猫!出て行きやがれっ~~』ッてなもんょ」

「本当ですか?」

「おう!そうよ!さッ、行くよ」


♪上見りゃキリぃなし~阿呆らぁしとぅ~、下見て咲いてる百合の花ぁ~~♪


世の吉は鼻息荒く、五斗吉を連れて大いばりで帰って行く。(スタコラ、スタコラ)





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第三章 とんびと鷹 見る目がない3

「おぉーい、開けろ!ご亭主様がお帰りだぁぁ~


開けろっていうんだょ!聞こえねぇーのか!


早く起きねぇと戸を叩き壊すぞー!このおかちめんこ!!」



ガラガラぁ~(ジロリ)毛が逆立っているお陽。

挿絵参照↓↓↓   絵をクリックすると大きくなります
oyokaminari.jpg

「お前さん!今、なんとお言いかぃ?えっ、何とお言いかぃっ!?昼間からノン吉兄さんがお振る舞いのタダ酒を、酒樽に頭を突っ込んで『猫一倍』処か三倍も五倍も意地汚く飲んでいたそうじゃないか!えっ、どーなんだぃ!

『あんまりケチが過ぎると亭主は恥かくよ、ちったぁ飲ましてやんなよ』ダッテッえ!!お前が普段から、あたしをケチだ、ケチだって言っているからあたしが大恥かくんだよッ!!」

「だって本当じゃないかー」

「何言ってんだい!お前にお宝を持たせればアっという間に使っちまうから、仕方ないじゃないか!あたいの気持ちも知らないで~~~!
このスットコドッコイ!お前のお陰であたしゃ、生涯を棒に振ったょー!ぐや"じぃ"ーーーぃ!!」

「おッ、お陽!そんなに雷落としてんなょぉ、五斗だって居るんだしぃ(汗)」

「調度いいわ、五斗吉さんにも聞いてもらうといいさねッ(キッ!)
だいたい夫婦になるんだって、あんまりお前が熱心に家にお百度踏んで、一緒になってくれなきゃ死んじまうぅぅの一点張り。

あんまりしつこいから親だって根負けして、あんなに云うのだからきっとお前を幸せにしてくれるょ…って。とんでもない!嘘付きやがってぇぇーー!!」

「そっ、そんな昔のことッ」

「お前が帰る家はないょ!」

バシャッン!!


「お陽~ぉ、開けておくれょぉ~~ねぇぇ、お陽ちゃ~ん!怒った姿もステキっ!可愛いよぉ~~。
もう~、キリキリしたとこなんか堪んないよぉ~。オイラ、惚れ直しちゃったぁぁ(ペラペラ○◆#%ペラペラ*☆¥◎※∈△)」

ガラっ

不信げな表情をしたお陽が顔を出した。

「反省したのかぃ?」

「当たり前だょぉ、オイラにゃお陽しかいねぇもぉぉ~ん」

「惚れ直したって?」

「そうともよ、お前の怒った時のキリリとした柳眉の粋な事!怒られているのも忘れたよょ~(ニャァ~)

「もー、やだねぇぇ~☆五斗吉さんが見てるょ、恥ずかしいじゃないかぁァ」

「なぁに、オイラはちっとも恥ずかしくないょ、だって、オイラお陽にぞっこんだもの~♪」

「お前さんたらぁぁ~もぅぅ、早く家に入んなねぇぇ」

さっきの剣幕はどこえやら…『馬鹿ップル』の本領発揮である。世の吉が振り返ると呆れた顔をした五斗吉が居た。

「あれ、まだいたの?」

「いたって?先からずっーーっといましたよっ!」

「そうだったけ、そんじゃ、あばよ」

「へっ?あばよってあっしに言ってんですか?」

「♪おまえさ~~ん♪」家の中から艶めいたお陽の声。

「♪ニャーい、今行くからねぇ~」

世の吉はデレデレした返事をしてる、処が五斗吉に向き合う途端につっけんどんな態度になる。

「帰れって言うんだょ、まったく気が利かねぇんだから!」

「だってあっしに酒を飲ましてくれるって…」

「いいから、今日のとこは帰んな」

世の吉は家に入ってしまった。

(あにャ?)



ニャんだとぉー!今度は尾っぽを全部食ってやるぅーッ!



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第三章 とんびと鷹 見る目がない4

一夜明けた翌朝、五斗吉の家の戸を叩く者がいる。

ドンドン!

「おはよ、五斗吉!起きなょ、世の吉兄ぃだょ。昨日はすまなかったょ~開けておくれよぉ」


イヤなこったーッ!


家の中から怒鳴り声。

「そう言わずに開けなょ、なっ、開けろって言ってんだょぉ」

「勝手に開けたら、今度はその汚い尾っぽを全部食ってやるーッ」

「何をおっかないこと言ってんだょ。昨日オイラの先っぽ食って腹壊したくせにー、全部食ったら死ぬょ、河豚(ふぐ)より効くょ」

「違いない!」

「なっ、いいから開けてくれょ」

「わかりましたょ、しようもねぇなぁ、大体何のようですょ」

ガラガラー

ふくれっ面の五斗吉が出てくる。

「話って言うのは他じゃないょ」

「なんですか?他じゃないならあっちで話して下さい!」

「そんなにツンツクすんなょぉ、話も出来ねぇよ」

「出来なきゃ、さっさと帰って下さいよ。あっしは朝は店開きで忙しいんだ!」

五斗吉は戸板を外して行く、眩しいぐらいの陽光が入ってくる。

himononarabe.jpg

挿絵参照↑↑↑  絵をクリックすると大きくなります

「オイラも手伝うからさ」

「そんじゃ、兄ぃは魚を並べた網を持って来て下さい」

「はぃはぃ」

底の抜けた木箱に網が張ってある。ちょうど戸板程の大きさだろうか、いろんな種類の魚が行儀良く並べてある。

「意外に重いねッ」ヨタヨタしてる。

「まだ生ですょ、これからお天道様に仕上げてもらうんです」

世の吉から魚が並んだ網をもらうと、手際よく陽の差すほうに並べ出す。十枚程を並べると世の吉が音を上げる。

「まだあんのかよぉぉ」

「もう少しですょ」

今度は戸板を店先に出す、篭から仕上がってある干物を出して並べる。
あっちにこの干物、こっちはこの干物、と世の吉に指図して気持ちいい五斗吉。すっかり干物を並べ終えた。

「(フゥゥ)もう、いいだろ?」

「へい、もう終わりました」

世の吉は店先にあったみかん箱に座る。五斗吉にも同じにしろと五月蝿い、しかたなく横にみかん箱を並べて座る。

「五斗さぁ、忘れてないか?」

「何をですか?すっかり干物は並べたし…」

「違うょ、ノン吉兄貴のよ・う・じ・」

「用事って・・・あっ、大変だ!すっかり忘れてやした!どうしょう、兄ぃ~」

「そうなんだょ、オイラも朝になって気がついて、こりゃ~、一大事!てなもんでお前のとこに来れば、お前はムクれて話も何にも・・・」

「先に言って下さいょッ、店どころじゃないですか!」

「そうだろツ(汗)」

「もういいですょ、でっ、どうするんですよッ」

「わかんないから、お前と相談をしてるんじゃないか」

「だって藤平様って怖いんでしょ?」

「そりゃ間違いない」

「あっし達が・・・・」結論の出ない相談をダラダラしていると、三吉を筆頭にして子猫達がやってきた。





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第三章 とんびと鷹 お加奈の秘密1

sanneko.jpg

挿絵参照↑↑↑  絵をクリックすると大きくなります

「あっ、いたょっ!」

「ニャっ、ほんとだ!父ちゃーん!父ちゃーん!父ちゃ~~んってばぁぁー!父ちゃんよぉぉーうッ!


「五月蝿いねぇぇ、父ちゃん、父ちゃんなんて何度も言うなょー。豆腐屋じゃねぇんだってんだょぉ」

「だってーッ、返事もしないんだものぉぉ」

「ちょーだょぉ」

「ニャ~にゃ~」

「ニャぁ」

「ったくょ・・・、三吉が何か言うとチビ達まで一丁前に言いやがる。参ったねぇ。父ちゃんは五斗のおじちゃんとご用があるのだからして、あっちに行ってろ」

「だめだょ!おいら、母ちゃんに父ちゃんを見張ってろって言われてんだから」

「ちょーだょぉ」

「ニャ~にゃ~」

「ニャぁ」

「またお陽のやつ、余計な事を言いつけやがって。(ん?)・・・言いつける?・・・(ピーン!!)あっ、そうだょ!そうだよ!」

「何をブツブツ言ってるんですか?」

「オイラ思いついたょ!良い策をさ。何だあぁ~、何で早く思いつかなかったのかねぇぇ、もぉーっ、オイラの馬鹿ハ゜カハ゜カアルハ゜カ」

「何を言ってるんです?もごもごと・・・」

「父ちゃん!何やってんの?自分のおつむを叩いたら、お馬鹿になっちゃうょ」

「ちょーだょぉ」

「なちゃぅ、なっちゃぅぅ」

「ニャにゃん、ニャにゃ」

「いいんだょ、父ちゃんはとっくにお馬鹿になってるから」

「・・・・」

「ええーぃ、そんなことよりも五斗よっ」

「へいッ」

「灯台の爪の垢だったょ」

「へっ?」

「父ちゃん、それは灯台下暗しッ」

「うっ、うるせいなぁ~雰囲気がわかればいぃんだょ!」

「・・・・」シラーーー

「さっぱり、わかりませんでしたけど」

「何もさ、オイラ達が行く事ないのょ」

「じゃ、誰が行くんですょ?」

「ここにいるじゃないの。ピッタリのこまっしゃくれたのが」

「えっ、こんな子供に??」

「子供だからいいのょ。藤平様はオイラ達みたいな者には、もぉ~至って厳しいお方だけど、チビ達には甘いんだから」

「へぇぇーっ」

「さっきから、へぇーへぇーばっか言ってんじゃないょ」

「へいっ」

「おい、三吉」

「なぁーにぃ?」

「お前、これから藤平のおじちゃんのお屋敷に行って来な」

「なんでょ?」

「父ちゃんの代わりにょ」

「や・だ・よ」

「なんでょ?お前、母ちゃんの言う事は聞く癖に」

「それとこれとは別だょ」

「全くーぅ、しょうがないガキだね」

「だって、おいらは父ちゃんを見張っとけって母ちゃんに言われてるもの」

「いいから、行ってこい!なっ?行っておくれょ~、三吉ちゃん!」

五斗吉は変な親子の会話に笑っている。

「やだけど行っても良いょ」

「本当か?」

「うん。そのかし、角屋で何か買っておくれ」

「なんだとぉ!?駄賃をよこせってかッ?」

五斗吉は大笑いしている。

「まったく、しっかりしてるょ!さすがにお陽の子だょっ」

「あんたの子だょ」

五斗吉は笑いすぎてヒぃヒぃ言ってる。

「わかったょ。ほら五斗、出してやれ!」

「へっ?何であっしが・・・」

「仕方ないだろ、お陽のやつ、俺がチビチビ貯めていた粒銭まで取っちまいやがったんだから、スッカラカンなんだょ」

「しようもねえなぁぁ、ホラょ」

「えぇ~??こんだけぇー?こんだけじゃ皆の分まで買えないょぉぉ、もっとおくれよぉぉ~」

「あちゃぃのも」

「おいらも」

「ニャア、にゃぁ」

「わかったょ、ほら、こんならいいだろ?」

五斗吉は仕方なく財布から粒銭を出す。三吉は子猫達と喜んでお菓子を買いに行く。


♪ニャ~ぃ☆ニャ~ぃ☆♪


「あ"っ、先に駄賃を渡しちまったよッ」

「仕方ないでしょうょ、もう渡しちまったんだし、だいち、あれは言っときますけどあっしの銭です」

「いけずだねぇー、わかってるよ」

二人が一休みしていると、賑やかに子猫達が戻ってくる。


♪ニャンにゃんニャーーん♪


「あれまぁ、あんなに買い込んで。見てみてなょ」

「本当だ、両手に飴玉を持ってますょ」

「いやだねぇ~、普段甘いの食べさせてないのかねぇぇ。どこの子ょ~?」

「兄ぃの子ですよ!」

三吉と子猫達は大きな飴を頬張りながらニコニコしている。




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第三章 とんびと鷹 お加奈の秘密2

「父ちゃ~ん、沢山買えたょぉぉ。五斗のおじちゃん、ありがとう(ペコリ)」

「あちがとぉ」

「あにがと」

「ニャア、にゃ~ぁ」

子猫達に礼を言われ、五斗吉嬉しそう。
世の吉は三吉が両手一杯に持っている飴を見ながら関心している。

「お前も豪儀に沢山買ったねぇぇ」

「だってお加奈のもあるし」

「にしても、量が多いでないの?」

「へへ」

「そういや、お加奈はョ?」

「なんかお熱があるんだって。だからお屋敷に行くんだ」

「へっ?三吉、お前、もしかしてハナからお屋敷に行くつもりだったの!?」

「そだょ」


「ニャんだとぉーー!?このガキ、大人をはめやがったな!」


「違うょ、これは駆け引きだょ」

「ニャにおぉーっ!?」

「だって藤平のおじちゃんが商売は駆け引きだって」

真っ赤になって怒っている世の吉をなだめながら五斗吉は関心しきりである。

「兄ぃ、こう言っちゃなんですけど、三吉の方が役者は何枚も上手ですょ(笑)」

「へへ」舌を出している。

「変な小細工しねぇで、この子には正直に頼んだ方がいいですよ」

「本当だね、並のこまっしゃくれでないね」

「また余計はいいですから」

「わかったよ(苦笑)」

世の吉はノン吉に言われた通り、三吉に話した。

「覚えたか?」

「わかったょ、任してょ」

「大丈夫かねぇぇ?」

「うん!お加奈のお見舞いしてからにするょ」

「どっちでもいいょ、そのかし、ちゃんと用事は済ませろよ」

「うん」

「そう言えばお加奈は、乳飲み子の時から良く熱を出したねぇ」

「えっ?父ちゃん、お加奈の赤ちゃんの時を知っているの?」

「知ってるも何も、お加奈をお屋敷に連れてったの父ちゃんだもの」


「えーーツ!?」


「話せば長くなるから、後にしなょ」

「今話さなきゃ用事は知らないょ!」

「わかったょ。そうさね・・・もう何年も前になるが、藤平様に呼ばれてお屋敷に行ったのょ」

「それで?」

「藤平様がオイラに言うのょ。

(藤)なぁ~世の吉よ、この頃寂しくていけない。

(世)何がですか?

(藤)子供がまた、巣立ってしまった・・・屋敷が広いのよ、たまらなく広く感じるのよ。

(世)へぇぇ。だって、かつ吉が出て行っただけですょ、頭数が一つ減っただけじゃないですか。

オイラが言った途端に藤平様の鋭い猫パンチが飛んだね(バチーン)

(藤)物みたいに云うのじゃない。

(世)ヘィっ、すいやせん。

(藤)お前を呼んだのは他ではない。どこかで子供を拾ってこい。

(世)へっ??拾って来いったって、ご自分で物みたいに言うなって、あっしに猫パンチしたのに・・・

(藤)つべこべ云うでない。

(世)だって石ころみたいにあっちにコロコロ、こっちにコロコロなんていう訳にはいかないですょっ。

(藤)今日、明日ということでもない。

(世)だけど・・・

(藤)いいから、行ってこい。

取りつく山もないっていうのはあれだね」

「山じゃなくて島だよ」

「いいんだよ、雰囲気がわかれば」
 
 シラーーー

「それで、それで?」

「兄ぃも、チゃっチゃっ、と話して下さいょ」

「仕方なしにお屋敷を出て歩いていると・・・」

「歩いていると?」

「だから先言ってょっ」

「居たのよ」

「何が?」

「もぉぉー、早くして!」

世の吉は面白がっている。

「だからょ、お誂えなのが橋の袂にさ。あっちにウロウロ、こっちにウロウロとさ、乳飲み子抱いた女がさ」

「ニャんだってぇーっ!?父ちゃん、お加奈の母ちゃん知ってんの?」

「知ってるょ。だから今その話をして・・・・」

「父ちゃん、あんまりだぁー!あんまりだぁーぁ!おいらはいつだってお加奈の親を探していたのに」

「だって知らないょ」

「ニャんだょぉー!何べんも何べんもおいらは訊いてるょ、父ちゃんの猫でなしーーーッ!!」

三吉は世の吉にむしゃぶりついた。子猫たちも一斉に噛み付く。


ガブっ!かぷ、ガブガブっ!かぷかぷ


sankichigundan.jpg

挿絵参照↑↑↑   絵をクリックすると大きくなります

「あイタタたっ!痛いよーッ、痛いってぇぇのッ」

振り払おうとしても中々離れない。
呆れていた五斗吉が、三吉や子猫達をなだめてようやく離れた。

「兄ぃがいけねえです。あっしだって、三吉が親を探しているのは知ってるんですから」

「だってょ、こいつの話なんて真剣に聞いてねぇもの」


「父ちゃんッ!」


「兄ぃ!いい加減にして下さいよ。これ以上噛まれると、毛がなくなりますょ」(毛ニャし!?)

噛み付いた子猫達をむりやり引き離したせいで、毛が毟り取られてひどい有様(ぼろぼろ・・・)



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第三章 とんびと鷹 お加奈の秘密3

okonkana.jpg

挿絵参照↑↑↑  画面をクリックすると大きくなります

「わかったょっ(フン)」

「さっ、話の続きを聞かせて下せぇ。今度は三吉もチビ達も静かに聞きな」

「わかったょ、五斗のおじちゃん」

「わかったぁぁ~」

「ニャぁ~」

「ニャ~」

「おれはその女に声を掛けたのょ。

(世)どうしなすった?見れば何かお困りの様子、あっしでお役に立つことがありましたら、遠慮なくおしゃって下せぇ。

(女)いいえ、何でもありません。

女はみすぼらしいなりながらも小奇麗にしている。子供の産着もすり切れてはいるが、きちんと洗濯をした物を着せている。

(世)そんなことはないでしょう?あんたはこの村のお猫でない。
あっしは決して怪しい者ではありやせん、五黄様や藤平様の縁(ゆかり)の者です。

(女)えっ?あのお屋敷の方ですか?

(世)まっ、そんな者です。

そしたらその女、わぁぁ!と云った途端に大きな声で泣くもんだから、乳飲み子まで泣き出す。俺はよっぽど辛い目にあったんだろうって・・・背中をさすってやったょ」

「兄ぃはエライ!」

「へへ。落ち着いた女に身の上を聞けば絵に描いたような転落話。

呉服屋を商っていたが、流行病で亭主に先立たれ、気がついたら借金まみれ。店も手放してようやく借金は返せたが、乳飲み子を抱えての商いには無理があり、我慢に我慢もしたけれど、この頃は体調も悪くてお乳も出てこない。

もらい乳もそうそう出来ずに死にたくなって町をさまよっていた時、五黄屋敷の話を聞いた。お屋敷では捨て子を育てて下さる。
藁(わら)をもすがる思いでここまで来たが、この子を見るとそんなむごい親に笑顔を見せる。
せめて、最後に乳を飲ませたいと思っても、出ない乳が恨めしぃ・・・ってな」

「・・・・」

「(世)お前の話はわかった、もう心配するな。
おれが一緒にお屋敷に行ってやるから。と、そうして藤平様に引き合わせたのょ。

さすがに藤平様よ。

(藤)何も心配はない。見ればお前さんは顔色が大変悪いから、しばらく養生をしなさい。
丈夫な体になって商いに精を出せば良い、子猫は私が責任を持って育てる。
会いたくなったら会えばいいが、お前さんが親だと知れば、

一緒に行くといって必ずダダをこねよう。連れて帰れば商売の邪魔になる。
泣いてすがるこの子も不憫。その手を離さなくてはならないお前さんも哀れ。
抱きしめたいのを我慢して、陰から見ることしか出来ないがよいかな?

女は泣きながらうなづいた。それからはお前達も知っての通りさ」

「で、その女の人は?」

「女の名前はお紺」

「えっ!行商に来ている古着屋のお紺さん?」

「お加奈の母ちゃんはあのおばちゃんだったの?」

「そうよ、お紺なのょ。まだまだ商いは大変らしいが、年に一度はお加奈に着せてくれって、お屋敷に新品の着物を届けに来るのさ」

「あのおばちゃんは、おいら達をえらい可愛がってくれるものなぁ、
お土産ょ、って必ず飴玉をくれる。そう言えばお加奈と同じ耳の柄だった。
気がつかなかったなぁ~、おいらもマダマダだな」

「何言ってんだょ。とことん、こまっしゃくれたガキだね。
そういうことだから、お加奈の事はそっとしておきな。
大人が思案の末に納得してやっている事なんだから。わかったか?わかったなら返事は?」

「はーい!」

「はぁーぃ」

「ニャ~ぃ」

「ニャぁ」

「これで、長い話は終わりだょ、早いとこ行って来な」

三吉と子猫達はニャアニャア云いながら駈けって行った。




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