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大相撲 お知らせ

0usumoukanban.jpg

絵をクリックすると大きくなります


皆様、こんばんはー


グチグチぴゅうです。
へへ
お休みにしてから挿し絵描きに没頭していました。
皆様の所でも「出来ないよぅ」なんてグチグチ言ってました・・・
でも、なんとか最後の一枚を描きあげました。
これでやっとアップが出来ます。
すごく嬉しいです。
何より、皆様に私の大好きな「大相撲」を紹介できること。
これまで出て来たお馴染みの登場人物達が沢山出てきます。
今までの本編が彼らの紹介なら、これからがある意味本編なのかもしれません。
彼らの楽しいイベントを皆様もご一緒に楽しんで下さいね。



この前、素敵なプレゼントを戴いていたのに、お休みをしていたのでご紹介が遅くなってしまいました。
ひぐらし日記のまりんママさんが沢山の水仙の球根と心がこもったプレゼントを下さいました。
レースのドイリーは手作りなんですよ、すごいです。大事します。

itadakimono2.jpg

そしてaunt llama's photoのllama会長からもおいしいゼリーを戴いていたのに・・食べちゃいました。
写真も撮らずに・・・
すみません。


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大相撲 1 突貫工事


ここは猫国【猫宿】

今まさに四年に一度の大相撲大会が行われようとしていた。今回は久しぶりに猫国なので一段と盛り上がりを見せる。なぜなら大会期間中は猫宿での宿賃や見せ物が全てタダになる、お陰で貧乏な者も存分に楽しめる。

そしてこの世界にテレビという物は無い、そこで相撲の楽しさを国民に知ってもらう為、各国の村々から家族単位で招待をされる。

招待をされた者は帰ってから村の者に報告をすればいい、行けなかった者もいつかは必ず招待をされるので不公平はない。どうしても見たければ銭を貯めて来れば良いのである。

皆様お久しぶりです!実況を担当します、お馴染みのわたくし、青助と・・・」

「赤吉ちゃーんでぇーす!

「いやぁ~、とうとう始まりますねえぇ」

「本当ですねぇ~。あたし共猫族のおノンビリには、はっきり言って胃がキリキリしましたよ~ぉ」

「まったくこう言ったらなんですが、何ですかね~私めは開催できるのかと冷や冷やしどうしでしたよー」

「あ~までのんびりなのも性格なんでしょうか?」

「狸兵衛(りへい)様のご一行様と熊族の大工軍団あってのお陰ですよ~」

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挿絵参照↑↑↑  絵をクリックすると大きくなります

「本当ですよ、アっ!という間に此れだけの土俵と観客席を拵(こしら)えてしまうのですものね!」

「いやーぁ、狸兵衛様が『相撲は我が国の国技、任せるが宜しかろ』なんてねッ」

「ぼけなす猫共も追ったてられて、突貫工事で良くまあ、ここまで仕上げなすった!」

「あんたもあたしも見ていただけですから、詳しく答えられますものね」

「その通りですよ、工事の時から実況してますからね」

全くその通り、しょうもない猫族だった。

開催の日にちが真近に迫っているのに、決まっていたのは場所の選定だけ。後はのんびり構え、開催半月前になってやっとやる気になっている有様。計画ではとっくに出来ている予定なのにまだ何も出来ていない。

狸兵衛が早めに行き、土俵慣れするようにと狸と獺力士達を先に行かせれば、『まだ土俵も何も出来ていない』との知らせ。驚いて熊族にも声を掛け、急いで乗り込み、突貫工事をしたというのが事の顛末(てんまつ)

猫族のノンビリは今に始まった事ではないので、他国の者も慣れたものである。

「しかし今年の大会は盛り上がりそうですねぇー!」

「いやぁ~本当の話、楽しみですよ。あなた見ましたか?」

「何がです?」

「あの銀色ピカピカ皿のオロ様ですよ~」

「あ~ぁ、狸兵衛様の弟様ですか?獺のきゅー助様も光ってましたねぇー」

「ピカりんこと光ってますから、目立ちますものね~」

「どちらか、出られるのですか?」

「え~っと、、、出場者には【ステンレスオロ】と云う四股名(しこな)で登録されてますよ」

「そのステンレスと云うのは何かわかりませんけど、親友の桃吉さんが付けたそうですよ。錆(さ)びないらしいです」

「ノン吉様の弟分の方ですね?」

「錆びないのが相撲と何の関係があるんですかね?そう言えば確か、桃吉さんも出場予定ですよ」

「ふぅーん、四股名は何とも冴えませんよ。変わった猫ですねえ~、初めて聞きますよ。これだけ弱そうな四股名は・・・」

「何ですか?」

「言っていいんですかねぇ?」

「いいんですよ、言っちゃって下さいよ!」

「【病み上がり桃吉】・・・」

「へっ?なんと如何にも弱そうな、、、」

「実際、最弱の呼び名が高いそうですよ」

「最悪ですねえ~、でもどうしてそんな四股名になったんですか?」

「なんでも桃吉さんが自分の出場を登録していた時に、ノン吉兄貴に見つかって『テメエはまだ病み上がりなんだからとんでもねーぇっ!』て、耳引張って連れて行かれちゃったそうなんですよ」

「ふんふん」

「処が登録係の者に断るのを忘れていたらしく、そのまま出場になったと、、、」

「あっらぁー!」

「その上に係の者が何を勘違いしたのか、【病み上がり桃吉】で登録したらしいですよ」

「ひやぁー!気の毒ですね~」

「気の毒と云うより、阿呆ですね」

「確かに。それでご本人は?」

「幕間(まくあい)取材によりますと、本人は至って乗り気でやる気満々らしいです」

「いや~きっと悲惨な結果をお伝えする事になりますね」

「本人は『参加する事に意義が有る』と鼻息が荒いそうで、、、」

「わかってないですね」

「ええ、桃吉さんは元は人だったらしいのですよ」

「じゃ、あちらで経験済みなんですか?」

「とんでもない!やった事もないらしいですよ。もっぱらテレビ観戦専門と云ってました」

「無茶ですなぁーぁ」

「『やるのも見るのも一緒だ』と」

「すごい屁理屈ですねえー、しかし桃吉さんの初戦は見逃せない事だけは確かですね」

「全くです。それはそうとして、今年はお蜜(おみつ)様がいらしゃってますね」

「しばらくどころか、あたしは見たのも初めて!いや~ぁ、涎(よだれ)が出るような良いお狐様で~~ぇ」

「お風(おふう)様とは又ちょいと雰囲気の違う、良いお狐振りですねぇぇ」

「あたしは一辺でトリ殺されました」

「だけど、あなた猫ですから」

「ああ、そうでした。とにかく並じゃないですね」

「楽しいですねぇ~ぇ、綺麗な女を見てるのは」

「本当ですね~。で、やはり今年もまま子様は出られるんですか?」

「当然ですよ。お風様に勝てるのは土俵だけですからね」

「女の戦いが今年も見れると云う訳ですわ」

「戦いと云うより、叩き合いですものね」

「まま子様はお風様の美しいお顔だけ、狙って突っ張りしますものねー!」

「この前なんか、お風様はあれで失神されて、、、いや~気を失ったお風様の可憐な事、堪(たま)りませんでしたよ~ぉ」

「今年もあの手を使いますよ」

「厭(いや)ですねぇ~まま子様がいくら頭来ても仕方ないのにね?」

「わかってないんですよ。だって今年もスカートがハデハデ」

「あぁ、あれ!酷い趣味ですよねーぇ」

「何ですかねぇ、樽(たる)に極彩色の巻物巻いたみたいですよね」

「いや~、本当。凄いもの見た気がしますよ」

「二度と見たくないですけど、見ない訳にもいきませんからねぇ」




何とか再開にこぎつけました。

大相撲ではお馴染み連中と度々名前だけは出ていた河童国の女王まま子が登場します。
この女河童の強烈なキャラがこれからの猫国を楽しく彩ると思います。
どうかお馴染み連中と共にご贔屓にして下さいますように。

それから本編のカテゴリが長ーくなっていたので纏めました。
選んだ章をクリックするとその章の全てのページが順に表示されます。
これからも宜しくお願いします。
                                     のくにぴゆう


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大相撲 2 青助と赤吉

前回



四年に一度の大相撲大会に浮かれる猫宿、行き交う人達は誰もが楽しそう。青助と赤吉コンビもどこからともなくやって来て実況を始めている。彼らの幕間(まくあい)取材も楽しみの一つだ。



はじまり、はじまり


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挿絵参照↑↑↑  絵をクリックすると大きくなります

この二人【アニャウンサー】ではないが何処の国で開催しても実況をしている。
何より楽しみにしているらしく普段は違う仕事をしているのだが、相撲大会の時はいの一番に来て勝手に実況を始める。

最初は二人でマイク代わりなのか杓文字(しゃもじ)を手に話しているだけだったが、その内に『面白い!』と評判になると相撲大会の実況を任されるようになった。

【声色鈴虫こわいろすずむし】という虫を棒の先に付けて話している。【声色鈴虫】と云うのは羽を震わせ、聴こえて来る音をそのまま大きくして伝えるという習性を持っている。

普段、家の中に入り込んでいると夫婦喧嘩も何もかも近所に聞こえてしまうのでやっかいもの扱いの虫なのだが、この時だけは重宝がられている。その【声色鈴虫】が猫宿のそこかしこに配置され、青助と赤吉の実況中継は猫宿中に聞こえている。

二人のモットーは『公平無私』であるそうな。
王族だろうが誰であろうがお構い無しにヅケヅケ文句を言ったり、遠慮もへったくれもないので嫌われる事も有るが、二人共知らんぷりである。近頃はファンも出来て中々の人気者になっている。

「そう云えば猫宿ならではのお楽しみが有りますね~」

「そうですねー。見せ物に落語にと全てタダですから見ないと損ですね~」

「しかし又懲(こ)りずに磯吉爺は見せ物をしているんですか?」

「そうなんですよ!いやぁー、この前の見せ物は酷かったですねぇ~~」

「あれで客が来るんですから信じられませんよ!」

「『あれで』って?あなた行ったんですか?」

「当然行きましたよ、取材ですから」キッパリンコ!

「そう言えば『碁石の足袋ごいしのたび』と云うお題でしたね」

「ええ、小屋に入ったら爺の奴、ニヤニヤして足なんか組んじゃったりして、それで片っぽの足に白い足袋、もう片っぽは黒い足袋」

「へっ?それが『碁石の足袋』なんですかッ?」

「そうらしいですよ」

ひっでぇえー!洒落どころかまんまじゃないですかッ」

「客が怒って帰るのが面白いそうですよ」

「始末におえませんねぇー」

「でしょう?今回も奮(ふる)っていますよ」

「今回も出ていますかッ!」

「全く懲りずに」

「呆れ果てますねぇ~」

「今回は『万年生きる亀』らしいですよ」

「むむ、あやしい題名ですねぇ」

「確かに万年亀でしたよ」

「へ?」

「触ると『死ぬまで生きられる』と言われてる有り難い亀」

「へっ?それって当たり前じゃないですか!」

「如何(いか)にも。その上、『万年』と書かれた『瓶(かめ)』でしたよ」

「やっぱり...」

「ある意味、妙な期待通りですね」

「ですね。この頃は客も慣れたようですよ」

「慣れるしかありませんよー」

「噂によると何でも元は落語家だったらしいが、全く受けなかったらしいですよ」

「じゃ、今やっと受けてるんですかね?」

「さぁ~、客もタダだから許していると思いますよ」

猫宿では猫達の陽気な性格もあり、見せ物小屋や呑み屋も有って大歓楽街になっている。賭博場もあるが余り流行ってはいない。人気なのは落語の『猫猫亭』と『河童亭』で、いつも満員御礼である。洒落とか冗談が大好きな国民性もあるのだろう。

さて、この先も気が付けば話している程度の至って暢気(のんき)な青助と赤吉の中継は、これからも開催期間中、適当に続くだろう。

「ねえオロ」

「何よ?」

「そんなに早く歩かないでよ~」

「もぉ!走るのはきゅー助の方が速いのに、何で歩くのは鈍いのかなあ」

「いいじゃん!あすこで綺麗な簪(かんざし)売ってたよ」

「そうだっけ?」

「そうだよ。お駒とお花に買って行こうよ」

「本当だ!すっかりお土産の事忘れてたよ」

お駒とお花は狸の耳子の娘達だ。
耳子は離れ難くなったのか、結局旦那を刺抜き(とげぬき)村に呼んで暮らすようになった。今は雑貨屋をしている。

オロときゅー助はあれから刺抜き村に住んでいる。九市の屋敷に仮住まいをしているのだ。今は二人の屋敷を熊族達が造っている。普段は世界中に散らばっている名だたる熊族の名工達が狸兵衛のお声掛かりで建造を始めていた。だから土俵が出来ていないと聞くと直ぐに猫宿に向かう事が出来たのだ。

狸兵衛にオロときゅー助の一行は猫宿一番の宿である雪柳亭に泊まっている。そこには五黄も泊まっているし、お風達も同じ宿である。二人は物珍しさも手伝い、そこら中をふらふら歩き回っていた。今日はノン吉と桃吉のテントに遊びに行く予定だ。

ノン吉と桃吉は相変わらずテントで暮らしている。特にこのような大きなイベントがあると宿は満員で全ての旅人を収容する施設は無い。ノン吉達が居る所は大テント村になっている。広い平原はテント村と大会の開催場所が一緒なので便利がよく、ほとんどの民は宿代をけちってテント村に泊まる。

二人はお土産の簪を買い、ぶらぶらテント村に向かった。






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嬉しい~~
マスク&雑貨♪気ままにステッチ日記のむらななさんからステキなプレゼントを戴きました。
う~~かわいい。
ぼっーとしているのが本当に桃吉みたいです。
練習用とか謙遜してらっしゃるけど立派な商品でございます。
大切にさせて戴きます。
ありがとニャーーー






大相撲 3 テント村

前回


青助と赤吉の中継は適当に続いている。磯吉爺さんは今回も期待を裏切らない見せ物を出しているらしい。オロときゅー助はノン吉のテントに向かう。



はじまり、はじまり



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挿絵参照↑↑↑  絵をクリックすると大きくなります


わぁー!凄いテントの数だねぇ~」

「本当だ!こんなに来てたんだね」

「気が付かなかったねーぇ」

「町の中をふらふらしてばかりいて、こっちに来なかったしね」

「そだね。桃吉も宿に来てたしね」


おぉーーい!


「あっ、桃吉だよ!」

桃吉がニコニコしながらやってくる。

「はぁはぁ、、、ノン吉兄貴がさ~『あいつら迷っちまうから迎えに行け』ってさ」

「それでかあ?」

「ノン吉兄貴はわかってるね~~オイラ、どれがどれだか分からなかったもの」

「俺もだよ。ちょうど良かったよ」

二人は桃吉が回復してからは、一緒に暮らす事はなくなったものの相変わらずの仲良しである。

桃吉も【月の女神様】から羽を授けて貰い、ノン吉やうーてん達天狗に空の飛び方を教えてもらっていた。しかし、元から運動能力が欠如しているのでどうにも酷い。羽ばたくだけで疲れてしまい、直ぐに音を上げてしまう。

話にならないと天狗達はとっくに見限っている。余程なのだろう・・・それでもノン吉だけは鈍臭い桃吉でも根気よく教えて行こうと思っている。優しいのである。

三人は会話しながらノン吉のテントにやって来た。桃吉が幕を捲(めく)る、二人は元気よく挨拶しながらテントに入って行く。

「こんにちはー!」

「お邪魔しまーす!」

「よく来たね!こっちに座んなよ。直ぐに会えたようだね?」

「はい、ちょうど来たばかりでした。ねっ!きゅー助」

「うん、あんまりテントの数が多いいからびっくりしました!」

「そうだろ、たまの大相撲大会だからさ。この世界の一大行事だからね」

「桃も座んなよ」

「はーい」

「コーヒーも入ったから皆で飲もう」

コーヒーで落ち着くと其れぞれが話し始めた。

「俺、こんなに猫宿が華やかだなんて思わなかったよ」

「桃は初めてだものなあ~お前達は?」

「オイラ達は一度だけ来た事が有ります」

「きゅー助、落語大好きだから!キュッ」

「俺はしばらくいいわ~。桃を待っていて暇だから猫生や河生やらを見過ぎたね」

「いいなぁーあ、俺も見てみたいなぁ~」

「どうせお前は明日の午後一で負けて後は暇なんだから見に行けばよ」

「酷いなぁ~、俺は初戦突破します!」

「口だけは達者なんだから」

「オロだって同じだよ」

「おれは桃吉と違って決勝目指してるもの」

「どうかなー」

「どうしてですか?俺自信あるのに、、、」

「軽量級にはある意味、凄いのがいるから無理だよ」

「えーッ?そんなに凄いのなんて居たかな?」

「居るのよ。おまいらも必ずお目もじするから楽しみにしてな!」

大相撲大会は初日、午前中『ちびっこ相撲』午後『軽量級』二日目、午前中『中量級』午後『重量級』となっている。最終日は特別だ。特別ゲストの【河童のまま子】と【金毛九尾のお風】との試合。

大とりに【狸兵衛】と【五黄】の対決が待っている。昔は一般の者と混ざってやっていたのだが、何せ王族。妖力一つ使わなくても体は大きい、力は並みじゃないので結局いつも決勝戦で争う事になっていた。

一般の者達がそれではやる気をなくすので、結局別枠にしたのである。今では最終日の対決の方が楽しみになっている。

「そう言えば、、、きゅー助、うーてん達と会っていないよぉ」

「あのお天狗様達は、明日までには来ると思うよ」

「えーッ?俺の晴れ姿見せたかったのにぃーい!」

「なにが『晴れ姿』だよ!変にお前やオロの負けてるとこでも見ようもんなら、大騒ぎして大変だよ。いいのよ、明日来れば」

「ぁあーッ!わかった~。明日が初日だって嘘ついたんだぁ」

「へへ、いいの。おまいら知らないのよ。あのお天狗様達は勝負にはそりゃもぉお、厳しいのよ。その上どんな手段を使ってでも勝とうとするからえげつないのよ。どうせ、さーてんとぐーてんの対決で今年も終わりだね」

「そうなんですか?」

「うーてんなんか酷いよー。前日に皆の食事にネムネム薬草を細工して自分だけ出場して勝っちゃってさあ」


わぁ!


「だからバレてから、おーてんにエラく怒られて今年は出場停止だもの」

「わはは、可っ笑しいの~」

「今度はどんな仕込みをしてくるかね?さーてんとぐーてんも中々だし、この前はやれなかったからね。何か、イヤ~な予感がするよ、、、」

「何か凄いですねぇぇ」

「そんな風には見えないけどな、あの三天狗達は仲良しだけど勝負となるとお天狗が変わるのよ」

「じゃあ、明日は楽しみですね~」

「まあね」

三人はノン吉が出場しない理由がわかった気がした、その方が無難に違いないのである。







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大相撲 4 桃吉VS傘河童

前回



コーヒーを飲みくつろぐ三人。ノン吉から二人が出場する軽量級にスゴいのがいることを聞かされたり、天狗達が勝ちにむちゃくちゃ拘ることを聞かされたりと話は尽きない。いよいよ明日が開催日だ。




はじまり、はじまり




パンパカぁパぁーーーぁんン♪


ドぅわア~ン!ドぅわァ~ン!



猫族達がラッパや銅鑼(どら)を鳴らす。


さぁーあッ、皆様!始まりましたよ~ぉお!出場する方は東西支度部屋や花道を間違えないようにお願いしますよ~ぉ!」

賑やかなアニャウンスが聴こえて来る。
最初は子供達のちびっ子相撲。出場する本人達よりも親達がエキサイトして面白い。自分の子供が負けると相手の親に殴り掛かったりという具合でもう酷い。

ちょっとぉーッ!関係者の方々は土俵に入らないようにーッ!」

行司もいるのだが酒を飲んでいて、やる気があるんだか、ないんだか・・・関係者はセコンドになって選手に水だ!タオルだ!と、忙しい。

最初は人国の大相撲のように厳正で重々しいものだったのだが、猫宿でやったのがそもそもの間違い。勝手にルールを変えてしまった。それでも『面白ければいいさ!』と、皆いい加減なのである。現在のようなルールになって久しい。

「よう、そろそろお前達の軽量級になるよ」

「そっですか?」

「おい、桃吉!」

桃吉はノン吉に声をかけられた途端に変な緊張をし出す。

「ねえ~桃吉、今から緊張してどうすんの?」

「大丈夫かなぁ~?」

「だッ、だ、ダイジョウビですッ!

「桃、脂汗が出てるぜ」

「えっ?のーしてそんなことありましぇんッ」

「あははは」

「ノン吉様!桃吉様とオロ様の出番が近くなりましたー」

大会関係者から知らせがある。

「はいよ。それじゃ行こうぜ」

「はぁーい!」

「ひゃぁーいッ!」

「桃吉ッ、しっかりしてょッ!おいら、ちゃんと応援してるからねぇッ!」

「うぅーーッ、ちゅッ、ちゅぅー助ぇぇ~~」

桃吉はきゅー助に抱きついてイヤイヤをする。

「ぐずぐすしてんなよ!」

一行は西側控え室に入る。四股(しこ)を踏む者、てっぽうをする者・・・力士達は熱気とやる気でムンムンである。桃吉はオロに廻しを締めてもらう。

「ぐッ、ぐるじぃーぃッ!」

「我慢しないと駄目だよ、その内苦しくなくなるからさ!」

「お゛ッ、ぉんどに゛ぃ?」

「うん、慣れるよ!それに『廻(まわ)しをする!』って言い張ったの桃吉だよ」

「ら゛っでぇぇー、ぞれ゛らじくニャるがら゛・・・」

「廻しなんかしなくてもいいのにさ~ぁ。だからおれはしないもんねー」

え゛ーッ?狡(ずる)いよぉーッ」

「狡くありませんッ!第一、その廻しは狸兵衛様が『桃に』って、特別に織らした物なんだからね。しない訳いかないよぉーだ!」

「カッコつけて損したぁ~」

あれから順調に回復した桃吉はオロと一緒に相撲をやると言ってきかなかった。オロがするので自分も真似したかったのだ。それを聞いた狸兵衛が喜んで廻しをプレゼントしてくれたのだから、着けるしかないのである。廻しを締められ、愈々(いよいよ)となると緊張でコチコチになっている。

「ねぇ桃吉~、肩の力を抜いて!ほらぁぁ」

「きゅー助、そんな事は桃吉には無理な話しだよ」

「どうしてですぅ?こんなコチコチになってたら負けちゃうょぉ~」

「肩の力を抜くなんてのは、それこそ一生懸命に頑張って死にもの狂いで稽古(けいこ)をしてきた者、己の力を知っている者が云える言葉なんだよ。

こいつみたいに自分がどれ程かも知らない奴は、思い切って相手にぶつかっていくしかないんだ。それで始めて自分の力も相手の力もわかるんだ。何でもいいからやって来い!」

「ひゃーいッ!」

呼び方が大声で桃吉の四股名を呼ばわる。

「これより軽量級。

ひがぁあ~しぃ~い(東)、傘河童骨ぇエ~~門!

にぃい~しぃ~い(西)、病み上がり桃吉ぃーーい!



ぎゃーーーーーニャア~~~ッ!


もの凄い歓声。

西側から桃吉が頼りなげに出て来る。周りを見回すと知ってるような知らないような顔ばかり。(緊張MAX!)足元ばかりが気になって、進めない。

「おい、桃!思う存分叩かれて来い!」

「・・・・」

ノン吉が肩を押しながら付いて来てくれる、スーっときゅー助が前に来て先導をしてくれる。

「行くよぉ~」

こっちで応援してるぞーッ!!

オロが大きな声で送り出す。

「頑張るじょおぉォォッ、、、」

桃吉はこわばった顔をして振り返る。大声援の中、桃吉達が歩を進める。

「桃、落ち着けよ」

「はっ、はいぃぃ!」

やっと土俵際に辿り着く。貴賓席には五黄・狸兵衛兄弟、お風・お蜜の姉妹、まま子が座っている。既に相手方は土俵に居る。急いで桃吉は土俵に上がった。

呼び出しがもう一度二人の四股名を呼ぶと、割れんばかりの拍手と歓声。桃吉は見よう見真似で四股を踏む。その時にようやく顔を上げた。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
kasaVSmomokichi.jpg


「うっ、ぅっーそぉーぉおッ!?

桃吉が驚いたのも無理はない。相手の河童は細いのである。ものすご~く、ものすご~く(羨ましい程に...)スレンダーなのである。そのスレンダーな体に廻しが包帯のように何重にも巻かれてる。

まるで機械のゼンマイの中心に針金が通っているような、、、何とも珍妙キテレツなのである。見ようによっては、バレエのプリマドンナのチュチュ姿。見合っても笑ってしまう程弱そうなのである。

『楽勝だ!』と桃吉は笑顔になる。桃吉は振り返って、ノン吉ときゅー助に親指を立てて『ニャッ!』と笑う。

「あーーッ!ダメだこりゃ!」

「えーッ!?ノン吉兄さん、どうしてぇぇ??桃吉勝てそうだょぉ」

きゅー助は不思議でならない。

「いいから、見てなよ」







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大相撲 5 誰が残った 

前回


ノン吉が心配した通り、思いっきり油断をしている桃吉。さてどうなることやら・・・


はじまり、はじまり



はっけよぉーいッ!のこったッ、のこったぁ!」(行司)


皆様!さぁ~、始まりましたよぉ!いやぁー、相撲の面白さは此の軽量級にありですからね」

いいタイミングで青助と赤吉の実況が始まる。

「本当ですね~」

「今回も骨河童はアレですかね?」

「アレでしょうね。あれしかないですもの」

「しっかし、あの廻しは誰が締めるのですかね?」

「何でも、縄結い名人のタケ河童だそうですよ」

「芸術的な締め方ですねー。」

「全くですよ。何でも初めが肝心らしいですよ」

「へーぇ」

「初めにきっちり綺麗に巻かないとズレていってしまうとか」

「ズレたらみっともないですものね」

「仕上がった廻しの上に物を置ける位にビシッとしてるらしいですよ」

「職人芸ですなぁ」

変に感心する二人。

「のこったッ、のこったぁ!」

桃吉は必死になって骨河童の廻しを掴もうとする。『そうはいくか!』と骨河童は、ヒョイッと擦り抜けてしまう。骨河童の動きは華麗である。

動く度に廻しがバレエのチュチュのようにひらひら波打っている。その内に桃吉の息が上がって来る。元々、体力なしの上に病み上がりなのである。


桃吉ぃぃ~~!


しっかりしろぉーッ!


声援は桃吉の方が圧倒的に多い。ヨレヨレになっても、桃吉はなんとか踏み止まっていた。骨河童は『頃合いよし!』と何やら不気味な笑い顔、、、

「あ゛っ!」

ノン吉が言うが早く此の河童ぐるぐる廻り出す。


出たぁあー!傘飛ばしぃいーッ!


「まわるぅ~まわるぅ~、ぐるぐるぐるグルグル・・・」

「ちょっとお~、赤吉!目を回さないでッ」

「やー、やはり出ました十八番!いつもより多く回ってますッ」

いつも以上に張り切った所為か、砂煙も立ち始めた。(もくもくもく~)桃吉は骨河童がぐるぐる回転して驚いた。その内に回転スピードが上がって来て、竜巻のようになって来た。

ふんぎゃぁぁあーーーッ!竜巻ぃぃーーーいッ!」

桃吉は世にも恐ろしい竜巻を見た途端に失神。土俵に仰向けになって倒れてしまった。

「なんとッ!廻しに弾かれる前に失神ですッ!」

「少し見てみたかったんですけどねえ~、廻しに飛ばされるのを、、、(プッ)」

酷い事を言う青助と赤吉。此の河童は自分の体を廻しごと回転させ、相手を弾き飛ばすと云う荒技を持っていたのだ。それを見ていたノン吉。我を忘れて変化(へんげ)しながら猛然と骨河童に向かって行く。


てっ、めぇえーッ!!桃に竜巻は御法度なんだぁあーッ!


回転する骨河童の廻しを掴むと勢いよくスッ飛ばした。


びよぉ~~~ん!


「はあれぇぇーーーッ、飛んで行くうぅ~~、ひょえぇーーぇえ!

骨河童は変な叫び声を上げながら、廻しが傘のようになって美しく飛んで行った・・・初めて普通の河童が飛んだので、後に空飛ぶ骨河童として有名になる。

「あ゛ぁーーー!飛んでったぁ・・・」

「あれあれ、又見事に飛んで行きました」

ノン吉は失神している桃吉を大事そうに抱え上げるとプリプリしながら引き上げてしまった。きゅー助も急いで付いて行く。

「おいらも!」

「オロは桃吉の分まで頑張ってよ」

「えーっ?だって・・・」

「そだょ。じゃあねぇ~」

きゅー助はノン吉の後を追って行ってしまった。

「『じゃあね~』って、もぉ・・・仕方ないや、頑張るか!」

「えー、只今の試合は気が付けば誰も土俵に居ませんので、無効となりました」

「いや~、何だったんですかねぇ」

「ノン吉様はおっかないですねー!」

「おっかな過ぎて言葉もありませんよ!」

普通の者達はノン吉の変化に驚いて言葉も無い程に怖がっていたのに、対照的に馬鹿ウケしていたのは五黄や狸兵衛やお風達王族である。げらげら笑って、転げ回って喜んでいる。

暢気(のんき)である。妙な技を使う骨河童が優勝候補だったがいなくなった軽量級では、ピカリと光るステンレスオロに敵うものはなく簡単に優勝してしまった。

狸兵衛から優勝カップの金魚と特別ゲストのお蜜からチューをされて、オロは天にも昇りそう。
VictoryOro.jpg

挿絵参照↑↑↑  絵をクリックすると大きくなります

オロはニコニコしてノン吉のテントに帰って来る。桃吉もその頃には失神から目を覚ましていた。

「さすがにオロだねぇ~」

「オロは素質があったんだなあ~、大したもんだよ!」

ノン吉も褒めてくれる。

「へへ、お蜜様にチューされちった~」

「いいなぁ~。きゅー助もされたいーぃ」

「明日はお天狗様が来るぞー」

「楽しみだねぇ~」

「お前達も今日はここに泊まれば?」

「うん、そうしようよ」

「うん。狸兵衛様達は宴会ばっかりしてるものね」

五黄や狸兵衛達は連日のように宴会をして楽しんでいる。こうして一日目が終わった。翌日もぬけるような快晴だ。






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大相撲 6 うーてん怒る! 

前回


桃吉は傘河童が起こした土煙で竜巻を思い出しあっけなく失神してしまった。ノン吉は怒って傘河童を掴むと遠くに飛ばしてしまう。

土俵に誰もいなくなり試合は無効になった。結局、優勝候補の傘河童が居なくなったので、オロに敵うものはなく軽量級で優勝したのはオロだった。



はじまり、はじまり



「おっはよーぉ」

うーてんがノン吉のテントを訪ねて来た。


起きてよ~、ノン吉ってばぁー!


うーてんはノン吉をぐらんぐらん揺する。

「ニャムニャム、、、ニャ?やめれ~ぇえッ、ぎ、ぎもぢ悪ぐニャるぅッ」

揺すられてノン吉は起きた。騒いでいるノン吉の声に起こされた三人がうーてんを止める。

「うーてんッ、うーてん!

「ノン吉兄貴がグチャグチャだよー」

「うーてんってばぁ~」

「だってぇー、ノン吉嘘つきなんだもの!うーてんに一日遅く言うのだものーぉ!」

「わざとなの?」

「ぷぷ」

「『ぷぷ』じゃねえよ!あーッ、気持ち悪かったぁぁ」

「だってノン吉がいけないのよッ」

「仕方ねぇだろよ。うーてん達は普通じゃないんだから」

そんなことを言っているノン吉の方が普通じゃない。桃吉が倒れると見るやあのざまなのだからして・・・とオロときゅー助は思った。

「あれ?他のはよ」

「うーてんと一緒に来ないのよッ!あの二人怪しいよ!うん、絶対に何か企んでると思うよ」

「うーてんよりは良いんじゃないのー?」

「もぉぉ~、うーてんの事は言いっこなしよ」

「それで一人で来たの?」

「そうだよ。そうしたら昨日からやってるって聞いたの。もぉぉー、頭来たよ!!」

「まっ、気にすんなよ」

「気にするものぉぉ!オロと桃吉の晴れ姿見たかったものぉぉ!」

「あのぉ、、、」

「なあに?桃」

「俺、出たのは良いですけど負けちゃったし、、、」


挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
angryUurten.jpg


その言葉を聞いた途端にうーてんは豹変(ひょうへん)をする。


なぁあんだってぇーぇぇえ!?負けただとぉーッ!?

おのれーぇぇえッ!誰が桃吉をーーぉおッ!!



皆が慌ててうーてんを押さえ込む。


放せぇーッ!ちきしょーぅうーッ!

桃吉の敵を討ってやるーッッ!!



「いいから、いいから、そんなに怒らないで、ねっ?ねっ?」

「俺は負けても平気ですから」


何だとぉーぉぉおッ!?

『負けて平気』とはどの口が言ったぁあーッツ!



うーてんの怒りに火が注がれる。皆で必死に押さえる。

「桃吉は黙ってろ!」

「ハイ・・・」

ようやくうーてんが普通に戻ったのは、開催の合図のラッパが聴こえてからである。

ふんッ!うーてん、桃吉に相撲を基本からみっちり教えてやるッ!!」

「はいはい、次いでに飛ぶのも教えてあげてよ」

「嫌です!飛ぶのを教えるのはノン吉。うーてんは相撲」

「はいはい、何でも良いからコーヒーでも飲んで試合を観に行こうよ」

「ふん、仕方ないから観に行くよ」

「はいはい。それじゃ皆もうーてんの御供しようね」

ノン吉はうーてんを怒らせないように気を遣う。桃吉達はノン吉の判断の正しさを改めて思った。本当に勝負事には別天狗である。うーてん達は会場に着くと、すでに貴賓席にデン!と座っている五黄達のそばに座る。

「おい、うーてん。来るのが遅かったなあ」

「父ちゃん!いいのいいの、その話はしなくていいの」

「お?何だあノン」

ノン吉は五黄に一生懸命に合図をするが、すでに朝から酔っぱらっている五黄は気が付かない。

「ノン吉が開催日を遅く言ったんだもの」

「ありぁ?いけないねえ、ノンは」

「まあまあ、とにかく一杯飲んで乾杯しましょう」

ノン吉は何気なく話題を逸らし、うーてんの機嫌を取っている。いい具合に酔っぱらって来たうーてんを残し、ノン吉は桃吉にそっと耳打ちをする。

「桃」

「はい」

「俺はテントに戻ってるからな」

「えっ?どうして?」

「何かあったら、走って来いよ」

「へっ??」

「いいから、わかったな?」

ノン吉は行ってしまう。

「あっ、兄貴ぃ・・・『何か』ってなんだろ?変なの~。まっ、いっか?」

「さぁ~皆様ーぁ!二日めですよ~!」

「待ってました!中量級!!」

「今回はうーてん様は出られないようですね?」

「何でも『一身上の都合により』って、訳の分からない事を言ってました」

「残念ですけどね。前回出場されなかったさーてん様とぐーてん様が出られますからね」

「今回は何でもお二方が初戦であたるらしいですよ」

「そうなんですか?」

「事実上の決勝戦がショッパナですか?」

「さいですよ。楽しみですねぇ~」

「あ!いよいよですよ」

「あれ?東側の空から飛んで来るのは?・・・あーッ!ぐーてん様ですよ~!」

「ぉぉおーッ!こちらも西側からはさーてん様ですわ」

呼び出しが大声で呼ばわる。


これより中量級。

にぃぃしぃい~(西)、さーてん様ぁぁあ!

ひがぁしぃぃい(東)ぐーてん様ぁーぁあ





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大相撲 7 さーてんVSぐーてん 

前回


うーてんは桃吉が負けたと知るや、案の定怒りまくる。ノン吉はうまいこと気を逸らしながらゴキゲンを取り結ぶ。まったく手がかかるお天狗様である。

いよいよさーてんとぐーてんの試合が始まる。どうなることやら・・・



はじまり、はじまり



「桃吉、始まるよー!」

「わぁー、ドキドキするゥ~」

皆が固唾(かたず)を呑んで待ち構える。東側に降り立つぐーてん。西側に降り立つさーてん。

二人共見た事も無い程の真面目な顔。顔を見合せた互いの目には炎が・・・バチバチと音が聞こえてきそう。猛烈な闘志を燃やしている。

こわーーーッ!

「おおッ!踏み出したーッ。同じように土俵に向かってますッ」

その時だった。ぐーてんの周りの者達が倒れて行く。

バタッ バタッ

その内に東側の観客も倒れる者が多くなって行く。一歩、又一歩、ぐーてんが歩く度にその数は増えていった・・・

「あれれ?何ですか?何事ですか?」

「あっ!さーてん様の方もですッ」

「一体どうした事でしょう?倒れています・・・皆、鼻を押さえているようですが・・・」

「わッ!こっちにも何やら、ぷぅ~~~ん・・・」

「ちょっと、赤吉!赤吉ッ!おぉぉーーー!何だあ?

この臭いッ、、、うッわッ!くッ、ぐざい゛ぃぃー!毒・・・?」

少し高い位置にある実況席にまで辿り着いた毒ガスは、すでに観客席に充満していた。悪臭の原因であるぐーてんもさーてんも何故か失神している。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
SertenVSGuten.jpg

一体どう言う事なのか?

呆れた此の天狗達は、とんでもない作戦を立てていたのだった。ぐーてんは3ヶ月以上も風呂に入らずに悪臭にまみれ、さーてんを悪臭で撃退しようと云う魂胆。

が、しかぁーーし!さーてんも同じ考えだった。似ているのである。

さーてんは普段使っている香水で風呂を沸かし、その香水風呂に浸かった上に

【*夜明けのマダム*】

【*狂恋*】


という凄い名前の香水を混ぜて浴びる程つけて来たのである。その香りはまさに象殺しと云えるもの凄くキツい香り。お互いの作戦が相反する強烈な臭い!匂い!の競演。

結果は凄まじい匂いのブレンドである。流石の五黄達王族も手もなく失神してしまった。


助げでーー!



ぎゃややッ


もの凄い勢いで観客達が逃げて行く。その騒ぎにノン吉がテントを出て、逃げまどう狸を捕まえた。

「おい!どうしたんだよッ!」


くさーいッ!どッ、毒がぁーあッ!


「えっ!?何だってッ?毒??」

「さーてん様とぐーてん様が臭いーーッ!」

「え゛?それでどうしたんだッ?」

「皆、臭くて気絶してますーッ」

「なんと!」

ノン吉は『パッ!』と羽を出すと飛び上がる。高く上がって土俵を見ると、揃いも揃って皆、気絶していた。五黄までが気絶をしているのだ。

「仕様もねえなあ~」

そう言うと『アッ』という間に空高く飛び【風雷宮】に急ぐ。ノン吉に頼まれた【風神】が一陣の爽やかな風を猫宿に吹かせた。

さーーーっ

そよぐ爽やかな風に悪臭も消え、気絶して居た者達もようやく気が付き出した。皆で大きく深呼吸をする。


すぅーはぁー


ノン吉と一緒に来た【風神】と【雷神】に悪臭の原因の天狗達は連れて行かれてしまった・・・凄い大目玉をくらう事であろう、、、困った天狗様である。

可哀想に今回だけは被害者の筈のうーてんだが、前科があるばっかりに一緒に連れて行かれてしまった。
お気の毒・・・(プッ)

五黄達が目を覚まして怒っても後の祭り。すでに毒ガス犯は神様達に捕まっていた。気分を直してもう一度中量級を始めるのに大分時間がかかってしまったが、何とか重量級まで終わる事が出来た。

観客にとっては散々な一日だった。




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遅くなってしまいましたが、
ボクくるみ之介のアビmamaさんからくまさんとステキなタオルが届きました。大事にします。
名前は熊なので甚五郎にしようかなと思っています。
モデ猫自体に問題がありますが・・・撮りました。
ちー♂です。
kumachi.jpg




大相撲 8 支度部屋 

前回

さーてんとぐーてんの臭い毒ガス作戦で、観客たちは散々な目にあう。犯天狗達は風神様と雷神様に連行された。迷惑な話である。二日目は大騒ぎな事件もあったがどうやらこうやら終わった。


はじまり、はじまり



明けて今日が千秋楽。

いろいろハプニャングはあったが概ね皆は楽しんだようであった。午前には皆が待ちに待ったお風とまま子の対戦。午後は五黄と狸兵衛の対戦である。

西側控え室には、すでにお風がいた。

「姉様、何でも良いからこの鉄兜(てつかぶと)をかぶりなよ」

「何を言うのです?どうしてあたくしがそんな無粋な品を...」

「お願いします!お風様!」

「いいえ、聞きません」

「そんな...又、あのまま子様に張り手をされたら、お美しいお顔が腫れまする!」

「勝負に危険はつきものです」

「ですがお風様...」

お風は、妹お蜜の言う事も乳母のおせい・爺やのこん吉の言う事も全く聞かない。こん吉達は何としてもお風の美しい顔を守りたくて、特別に【山家猫の十字】に頼み、薄くて丈夫な鉄兜を作ってもらっていたのだった。

「お風様!こんなに綺麗ですし、軽いんですよ」

「それならこん吉がお被りなさい」

「こんなに言っても姉様は聞かないのだから、こん吉もおせいも諦めるしか無いわよ」

「そんなあ~、お蜜様まで...」

「お蜜様は前回のお風様のお痛わしいお姿をご覧になってらしゃらないからお分かりにならないんですよ」

「だって、その時は猫だったんだし~」

「もぉー、お蜜様ったら!」

お風はケンケン言い合いをしているお蜜達には無関心。大きな鏡を見て四股(しこ)を踏んでいる。

「お熊、お水を頂けなくて?」

「はい、お風様」

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
shitakubeya.jpg

お熊は甲斐甲斐しくお風の世話を焼く。タオルで汗を拭いたり、団扇(うちわ)で風を送る。お風は神々しく光り輝いている。

今のお風に隙はない。

お風はこの前の対戦が悔しくて密かに猛練習に励んだ。その美しく艶やかな容姿とは裏腹に内に激しいものを持っている。

まま子とは【天宮】に居た幼少の頃より、相撲では勝てないのだった。特に前回は今まで経験したことのない失神と言う無様な負け方をしたので、今回は汚名返上とばかりに闘志満々なのである。

まさにリベンジなのである。

一方、東側控え室にはまま子達がいた。

「今日はどのスカートにしようかなあ~」

「まま子様、どれを着ようとも変わりませんよ」

まま子の爺やのセロは相変わらず憎まれ口を利いている。セロは暴走河童のまま子の『行き過ぎを少しでも止めるように』と【月の女神様】から固く言いつけられているので、まま子に少しも遠慮がない。まま子もセロに何を言われても、河童の面に何とかなのである。

「まっ!何を言うのよッ、失礼ね!あたしに一番映るスカートを穿(は)かないと。それにウエストも細く見えないと、、、あら、これならいいわ!ピッタリだわ。細めだし~」

「どうせゴムなんだから、穿いた途端に『びよーーん』と伸びますよ」

「何よッ!失礼ねッ!セロが憎たらしい事言うから一句できたわ。


水圧が かかってないのが 恨めしい』 byまま子」


「・・・」

セロはまま子に聞こえないように小さな声で呟く。


「『水圧が かかっていても 同じ事』 byセロ」


どっちにしてもデカイ女河童である。狸兵衛と大きさはほぼ変わず、五黄よりほんの少し、ほんの少~し小さい程度である。まま子にセロが送った俳句がある。


「『世界一 デカい河童は まま子様』  byセロ」


セロはその後、お仕置き部屋に閉じ込められている。(かわいそうに、、、)そんなまま子が大好きなのが五黄と俳句である。

五黄には悉(ことごと)く振られているが、そんなことはお構いなしである。俳句にはまま子ならではの気分で作っているので季語も何も関係ない。

「まま子様!」

「何よ?」

「今回はお風様のお顔に張り手はしないで下さいよ」

「何でよー?」

「だってあの後、狐国の者達が怒って凄かったんですよ」

「知らないわよ」

「そんな事言って・・・」


「『今回も お風を張り手で はり倒す』 byまま子」


「『ぬかに釘 暖簾に腕押し デカ河童』 byセロ」


セロは言った途端にまま子から鋭い張り手を食らった。

バッちーーん!!


ものの見事に失神した。お気の毒である。

「うるさいわねー、しばらく黙ってなさいよッ!」

まま子は気絶しているセロをそのままにして知らんぷりである。その内に試合の時間が近づいて来た。ふん♪ふん♪と鼻歌を歌いながらご機嫌である。

「え~、試合前にひと言。相撲委員会よりのお知らせです。昨日の毒ガス事件の犯人、さーてん様・ぐーてん様は、【風神様・雷神様】そして【おーてん様】にこっぴどく怒られた模様です。『二度と悪事は働かない』と念書をに書いたそうです。懲(こ)りずに今回も、、、」

「どーせ同じだよ~」

「少しは懲りるのかねー!」

「明日には忘れてるよーッ」

色んな野次が飛んでいる。皆は慣れっこなのである。いつもお天狗様達はこうなのである。だから、誰も反省しているなんて思っていない。こりゃまた暢気(のんき)である。

え~大変長らくお待たせしましたー!これより王族決戦です。

にぃぃしぃぃ~い(西)、お風ぅ様ぁあ~ぁあ!


ひがぁしぃぃ~い(東)、まま子ぉお様ぁ~!







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大相撲 9 まま子VSお風 

前回

西側支度部屋のお風、今度こそは勝つとひたすら稽古をした自分を思い奮い立たせる。コン吉やお熊、お勢はそんなお風を知っているだけに心配でならない。お蜜は・・・楽しそう。

一方、まま子は試合よりスカートのほうが気になるよう。どっちでも同じだとセロにツッコまれている。
はてさてどうなることやら?



はじまり、はじまり



東側のまま子は『ドデカい』お尻をふりふり出て行く。西側には痛々しいくらいに真剣なお風がいる。そんなお風を見たまま子はニヤついて一句。

「はっけよい!のこった、のこった、あたしが残った byまま子」

「いや~、やっとお風様の登場ですねぇー!」

「何か痛いくらいに美しいですなあ~」

「西側だけ観ていたいですよ~」

「全くですよ~」

「でも、観ない訳いきませんからねー」

「嫌ですねぇ」

おおーッ!何と言ったらいいのでしょうかッ!?」

ええ!一段と『ドデカく』なってますよーッ!!」

「まさに大樽にスカートぉーッ!

「それに何ですかッ?あの趣味の悪い柄ッ!」

「どこで買うんですかねぇー?」

「だいたい売ってる店があるんですかね?」

「それにあの厚化粧・・・」

「河童国には鏡がないんですかね?」

「あっても絶対に曇ってますよッ」

「違いない!」

お風が静かに土俵入りする。観客席から溜息が漏れる。


☆ふわぁ~~~☆


普段から立ち居振る舞いに定評のあるお風は、相撲の四股を踏む姿も美しい。塩を撒(ま)く姿に観客席の男共は、だらしなく涎(よだれ)を垂らしている。

東側の観客達は、なるべくまま子を見ないようにしているがどうしても見えてしまう。まま子がスカートをひらひらさせながら塩を撒く度に目を背(そむ)けている。

行司の式守狸太夫が大きな声を出す。


見合ったぁあ!見合ったぁあ!


お風はあくまでも美しく、凛(りん)とした顔でまま子を見つめる。一方のまま子は・・・とにかく凄い顔!まま子の恐ろしさの片鱗(へんりん)がこの睨(にら)み合いにある。

お風を睨む目に朱が混じり、鼻息荒く『ぶぉーッ、ぶぉーッ』と音までする。真っ赤に塗られた口紅はまるで血のように見え、青黒い皮膚は汗の所為かヌメヌメ光ってくる。

お風は耐えた。
『まま子の凄まじい顔には耐えねば』と思えば思うほど目を瞑(つむ)りたくなる。


見合ったあッ!見合ったあッ!


流石の行司もまま子の凄い顔に耐えられなくなって「はっけよーい!」の掛け声を張り上げた。


ふんがぁああッーー!


きぃーーッ!


まま子とお風ががっぷり四つに組んだ。

ひゃーッ、始まりました!天下分け目の大相撲!」

「お二方とも喧嘩(けんか)よつですから、凄いですなあ~」

まま子が、がっちりとお風を掴(つか)む。お風もまま子の三段腹を掴む。お風は秘密特訓の成果もあって、『じりっ、じりっ』と、まま子を土俵際に追い詰めて行く。

まま子は焦る。今までになく強いお風の圧力に、必死になって跳ね返そうとするが息を吐く度に押される。到頭、俵に足が掛かってしまった。

其の時、まま子は禁じ手を使った、、、九尾の一本を手探りで掴むと思いっ切り、引っ張った。


きゃぁーッ!


お風が一瞬、怯(ひる)んだ隙に体を放し、ここぞとばかりに渾身(こんしん)の『河童張り手』が一発。


バッチーン!


「うぅぅ...」

お風は仰向けにひっくり返り気絶した。観客席の怒声!叫び声!その時立ち上がった一人の銀狐。


やいッ!この『どてらブス河童!』


てめえーッ、あたいの姉様になんて事をしやがるッ!」



言うが早く土俵に突進して来た。流石のまま子も不味いと、体を反転して逃げる。お蜜は大口を開け、まま子に噛み付いた!だが、噛み付いたのがスカート。

ゴムのスカートはお蜜に噛み付かれたまま、ビョ~~ンと伸び、観客達が絶対に見たくない、まま子の黒の『おパンティ』を見せられてしまった。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
mamakoVSofu.jpg


げえぇーーーッ!


ぎゃぁあーー!


又又、皆は蜘蛛の子を散らしたようにして逃げて行った。

「みッ、見ましたかッ?」

「うぅぅ、、、ブルブル」

「ちょっとー、赤吉!見・た・の・??」

「青助さん!あたしを殴って下さいッ」

「へっ?」

「あたしの今の映像を頭から追い出すんですッ!」

「そんな事したって無くなりませんよ」

「いいから殴って下さいー!」

「それじゃ」

パーンチ!

失神した。

「え~ぇ、、、皆様。少し休憩します。赤吉は先に休憩しましたので、あたしも少し休まないと体が持ちません」

とんだ相撲大会である。気絶したお風は担架で西の控え室に運ばれた。こん吉にお勢、お熊は青くなって右往左往していたが、お蜜に一喝されシャンとする。

冷たいタオルでお風の見事に腫れた顔に手当をしている。お蜜は心配で仕方ない。

「うぅ、、、ん」

お風は気絶から目が覚めた。立ち上がろうとしたがお蜜が止めた。

「ねぇ、、、お蜜、痛いゎ、、、」

「仕方ないわよ、あんな張り手食らったんだもの」

「あら?又、あたくし失神したの?」

「失神したわよ」

「悔しいぃゎ・・・」

「悔しがる事無いわよ!あの『どてらブス』姉様に負けてたわよッ」

「本当に?」

「本当よ」

相撲実行委員の者が控え室に入って来た。

「お風様。お可哀相に、、、お気の毒でした」

「いいのよ、勝負ですもの」

「そんなことありません。まま子様は、お風様に寄り切られすでに俵から足が出ていたのに、お風様の美しい御尾っぽを掴むと言う禁じ手をなさりました。審判団と協議の結果、満場一致でお風様の勝ちで御在ます」

それを聞いたお風は泣いて喜んだ。今まで一度も勝った事の無い相手に勝てたのだ。お蜜もこん吉達も喜んだ。




大相撲のランキングバナーが分かりづらいとご指摘があり、元に戻しました。
ポイントが少なくなっています、泣きそうです。
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やまぴこ
やまぴこさんがチョー嬉しいことをしてくれています。
なんと猫国一のイケにゃん!ノン吉の立体フィギュアを作製してくれているのでござーーる。
まだ過程ではありますが、プレッシャー・・じゃなく!
楽しみを皆様と一緒に共有して戴きたく、許可なしでアップしちゃいました。
キャハハハ

ウォーーー楽しみだーーーー

nontorso.jpg


大相撲 10 東側控え室 

前回

お風の特訓は確かに成果があった。力強いお風の圧力に足が土俵にかかるまま子。負けそうになり、禁じ手である尾っぽを掴んだ。

怯むお風に渾身の河童張り手、気絶するお風。怒りのままにお蜜が乱入したりと大騒ぎになってしまったが勝負はお風の勝ちになった。


はじまり、はじまり



一方、東側控え室。

挿絵参照↓↓↓ 絵をクリックすると大きくなります
higashigawa.jpg


ぐはははぁーッ、気持ちいいワぁ~~


まま子は勝負の事なんて何とも思っていない。セロに風呂の支度をさせておいたので、控え室に逃げ込みさっさと浸かる。

大きな風呂桶を持ち込ませてあるのだ。

「ちょっと、背中流してよ」

「はい、はい」

まま子はお風と相撲をする事など、どうでも良い事なのだ。本心は五黄に会いたくて来ているのである。

何しろ会えるのはこれしかないので、仕方なく相撲をするだけなのである。五黄はまま子が幾ら猛アタックしても知らんぷりしてつまらないのである。

セロに『風呂から早く出ないと次の五黄様にご迷惑だ』と言われても無視。いい加減、まま子がふやけ始めた頃、五黄がぞろぞろとノン吉や桃吉達を引き連れやって来た。

「なんだあ?此の邪魔なデカイ風呂桶は」

「あたしよん」

「なんだ、まま子か?」

「もう~、遅いからふやけちゃったわ」

ノン吉も桃吉も言葉も無い。

「いい加減に出ろよ」

「やあねぇ~、女の入浴を見るなんてぇ~」

「何言ってんだよ、こんなデカイ風呂桶持ち込みやがって。見たくて見てんじゃねえよ。嫌なら幕でも張っておけ

「ううん、そんなことしたら五黄に見てもらえないもの~」

ノン吉と桃吉はそっと控え室から逃げ出そうとする。五黄はそんな二人に気が付いて、二人の尾っぽを掴む。


いだあーぃ


ニ゛ャ゛ーーッ


「逃げるんじゃねえよッ」

二人は怖い顔をした五黄に身を竦(すく)ませる。五黄に『片付けろ』と言われ、まま子は嬉しそうにバスタオルを巻いた姿でセロや家来に指図をする。まま子は五黄に熱いお茶を出す。

「まま子、ありがてえけど、もうおめえは帰りなよ」

「何でよ?あたしここで五黄を待ってるのよーん」

「誰も待ってろなんて言ってねえよ」

「ふん、いいじゃないの~」

「そう言えば、ここんとこ川太郎を見ねえなあ」

「知らないわ」

セロは五黄の口から川太郎の名前を聞くと、慌てて五黄の前に平伏(ひれふ)して拝む。


五黄様ーッ!


「何だよ、どうしたんだよ?」


五黄様ッ、五黄様ーッ!


「だから、どうしたのよ?」


五黄様ーッ!


「叩くよ」

セロはピッ!とすると五黄に泣きついた。

「聞いて下さいませ!あたしはホトホト嫌になってます。どうかセロめを引き取って下さいませーぇッ!」

「どっかで聞いた事ある言葉だねえ、、、まっ、聞いてやるから何でも言いな」

「あっ、ありがとう御在ます。実は川太郎様の事でございます。あたしはもおぉ~~ッ」

「お黙りッ!」まま子が凄い顔をして怒る。

「まま子、お前こそ黙ってな」

「きゃ~☆男らしいー!うーーん、すてきな五黄ちゃん!もーお、幾らでも黙ってるわん☆ウフ」

全然へこたれないまま子である。

「セロ、言ってみな」

「ありがとう御在ます。川太郎様はあんなお方じゃなかったんです」

「どう言う事さ?」

其の時ノン吉が割って入った。

「父ちゃん、オロの話も聞いてるじゃん」

「ああ、あれか?」

「なんですか?」

「こっちの事だよ。それで?」

「はい。まま子様の酷い仕打ちでお姿だけでなく、きっとオツムのお脳も縮こまってしまっていると思うんです。それであんな風に・・・カッコ良くてお優しかった川太郎様が懐かしい、、、」

「何だあ?どう言う事よ?俺も少しは聞いているけど、

『ちんちくりんの川太郎』って云うのが信じられなくてなあ・・・」

「俺も、オロから聞いたけど信じられなかったよ」ノン吉も言う。

「そうなんですか?」

桃吉はよくわからない。

「ああ、そうだ。丁度良いからオロ達を呼んで来いよ」

桃吉は西の控え室に居た狸兵衛達に声を掛けて呼んで来た。まだ控え室に居たお蜜達も何故か付いて来た。途端に東側の控え室は賑やかになる。

狭いので御付きの者達は入れないで騒いでる。五黄は仕方ないので、まま子が使っていたデカイ風呂桶を外にさっさと抱えて運んでしまった。

「これで少しは広くなったよ。だけど何でお蜜達まで呼んで来るのよ」

お蜜は皆を掻(か)き分け五黄の前に出て来る。

「いいじゃない!狸兵衛達だけで面白いことするなんて許せないわよ」

「お蜜たっらそんな言い方を...」

「いいの。姉様は顔でも冷やしてなさいよ」

「まっ」

「なんで女狐が来るのよッ!」

まま子が余計な事を言った。


なんだってぇぇえーッ?


もう一辺言ってみやがれ!この『どてらブス!』めッ!!


ぐやじいーーッ


途端に取っ組み合いの喧嘩が始まる。五黄は止めようとする者達に『やらせておけ』と言う。ハラハラしているお風に、ウインクして『大丈夫!』と言う。

「あぁあ~そんな喧嘩してると美しさが台無しになっちまうなぁ?狸兵衛よ」

狸兵衛もニコニコして五黄に乗る。

「本当だなあ~良い女が台無しだなあ」

其の声に二人の耳が動く、敏感である。途端に掴み合っていた手を放し、お蜜はポケットから、まま子はスカートから鏡を出し化粧直しをする。

「あらぁ~あたしとした事が、、、おほほほほ

「いやだわーぶフォほほほ

五黄はそんな阿呆狐と馬鹿河童を無視して話し出す。







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大相撲 11 眼鏡 

前回


まま子にとって相撲は仕方なく出ているだけ、勝負はどうでもよく本来の目的は五黄に会うことのみ。今回は入浴悩殺作戦だったが、あえなく撃沈した。

セロは五黄が何気なく言った一言に飛びつき、溜(た)まりに溜まった長年の思いを訴えるのであった。



はじまり、はじまり



「オロよ、セロに河童になった話をしてやんな」

「はっ、はい!」

オロは要領よくセロに話をした(本編第七章)セロは悲しそうな顔をしている。

「オロ様、、、申し訳ありません。キロめはわたしの不逞(ふてい)の息子です」

え゛ッ!?キロってセロさんのッ?」

「はい。キロには川太郎様の御付きをさせていたのですが、まさかそんな非道を・・・」

「おれは大丈夫だったし、御陰で河童になれたから何とも思ってやしないよ」

「おぉー、、、ありがとうございます」

「オロは優しいもの!キュッ」

きゅー助は今更ながら感心している。

「それで、セロは何が言いたいの?」

「それもこれもどれもみーーーーーんな!まま子様に全ての責任があるのです。

変な楽しみに川太郎様がお走りになるのも、元はまま子様がいけないんですッ!

「楽しみ?げーッ、あれって楽しみだったのーッ!!
楽しみであんなことするのッ!?」

オロが驚く。

「申し訳ありません!情けないですけどそうなのです。そんな河童国にしたのもまま子様、、、」

「まま子!いったい川太郎に何をしたんだよ?」

皆の視線が自分に集まり、嬉しそうなまま子。すぐに気持ち悪くクネクネしながら話し出す。

「だってえ~、やってみたかったのよぉ~ん」

「何を?」

「だからねえ~、『ぷーーっ』て膨(ふく)らますのを~」

「何をよ?」

「ほら、あれ風船って言うんだっけ?【何でも屋の甲介】から買ったんだけどさ、すぐに破裂して無くなっちゃったのよ~。まま子、つまんないじゃーん。そしたら偶々(たまたま)いたのよん」

「『偶々いた』って、誰がよ?川太郎がか?」

「そうよん。それであいつの尻に竹を突っ込んで、『ぷーーっ』て。」


な゛ニ゛ャお゛ーーーッ!?


周りにいた男達は尻を押さえて怒り出す。


てめえ!そんな非道をッ!


「だってえ~、他の河童でやったら死んじまうものお~」

「だからって、てめえの弟だろがッ!」

「だあ~かあ~らあ、死なないでしょ?」

「・・・・・」

「すごーく膨(ふく)らむから面白くて、面白くて。やり過ぎたら破裂したのよお~。ブホホホー」


ニャぎゃぁあーーーッ!


周りの者達の開いた口が塞(ふさ)がらない。

「それでね~、破裂した川太郎をズルズルと引き摺(ず)ってね~、台所に行ったのよ~」

「まだ何かやったのか・・・」

「そしたら偶々ね~、本当に偶々ね~、、、」

またかよ!そんで偶々?何なんだ!!」

「ほら、あたしってえ~、鯉の唐揚げが好きじゃない?」

「知らねえよ」

「ふん、まっいいわ。其の時、台所で鯉を揚げてたのよ~。それで川太郎を『ポーーン!』とね。揚げたら伸びた皮が縮むかなあ~?って。」

「川太郎を?揚げた・・・」

「そうなのよん。そしたら縮むのは縮んだんだけど・・・ほんの少ーしだけ、目を離したら真っ黒焦げになっちゃったのお~、ブホホ」

「うッ、ぅうーん...」


バタン!


全てを聞いていなかったセロは、初めて詳細を聞いて余りの酷さに失神した。

「なんと、、、」

五黄達がまま子の話を聞いて呆れていた頃、ある事件が起きていた。もうすぐ連絡が入る筈である。



            ~♢~



少し遡(さかのぼ)ってみよう、ここは連傘滝(れんがさだき)の【ガス】の書斎。


「ふへ~。一段と暇じゃのおー。お蜜様に会いに行こうかのおー?大相撲見物をしがてら、会いに行こうかのおー」

いつも乍(なが)ら、ガスが独り言を言っている。その時、凄い勢いでドアが開き、誰かが書斎に押し入って来た。


何じゃー!?


ガスが誰何(すいか)をする暇(いとま)もなく、曲者(くせもの)はガスに猿轡(さるぐつわ)を噛ませてしまう。

な、何をッ!ほにゃほにゃ、、、」


うるせい!黙ってろッ!


見るところ、河童相の悪いオス河童が三人ばかり、手もなくガスを抱え上げ何処(いずこ)とも知れずに運んで行ってしまった。しばらくして【レレ】が部屋に入って来る。

「あれー?いらっしゃらないわ。『ぷるるん豆腐』を持って来たのに・・・」

『ぷるるん豆腐』は【貞さだ】が新しく開発した新商品である。青竹に小さく賽(さい)の目に切った九味豆腐を入れ、その上にゆるい寒天が流してあり、黒蜜をかけて食するのである。

ガスはこの頃『ぷるるん豆腐』が大好きなのである。この日もレレは、食後に冷たくしたぷるるん豆腐を持って来たのだった。

「おかしいなぁ。まっ、いいか?置いとけばいいわね」

この時、異変に気が付いていれば違っていたかも知れない。だが、レレは気付かなかった。ようやく騒ぎ出したのは翌日になってからだった。

皆が必死になって屋敷中を探した。病院中を隈無(くまな)く探したが見つからず、諦めかけていた時、レレはガスに止められていた洞窟の先まで見に行った。

暗い洞窟を歩いていると先には蝋燭(ろうそく)の明かりに反射して光るものがある。急いで駆け寄って拾い上げた。


挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
megane.jpg


「あら?これは・・・」

レレが拾ったのは、ガスが肌身離さず身につけ大切にしているお蜜の眼鏡だった。お蜜にはもう必要の無い物だったが、ガスにはお蜜そのものだった。

お蜜にねだって貰うと、ガスはその大切な思い出の品を巾着に入れ、ずっと持ち歩いていたのだった。レレは其の事を良く知っていたので、ようやくガスの身に異変が起きた事に気が付いた。

ガスは河童達に抱え上げられ連れて行かれる途中、機転を利かせ、曲者達に勘付かれないようにそっと巾着から眼鏡を投げた。大切な眼鏡を目印にしたのだ。

お蜜様、ごめんなしゃい・・・・







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大相撲 12 よれよれレレ 

前回


まま子の非道に皆が驚いている時、猫宿から遠いガス病院で一つの事件が起きていた。ガスが急に居なくなり、翌日には大騒ぎになる。

探しあぐねたレレは洞窟でガスが大切にしているお蜜の眼鏡を見つける。一体どういうことなのか?


はじまり、はじまり


レレは急ぎ此の事を【月狼つきろう】や【シャナ】達に報告した。狼達は眼鏡を見つけた洞窟を隅々まで調べた。幾ら調べても洞窟に道はなく、行き止まりになっている。

ここからガスがどこに行ったのか?皆目見当がつかなかった。だが、皆の意見は間違いなく何者かにガスが攫(さら)われたのだという事になった。

狼達はもっと丹念に洞窟を調べる事にした。そして何よりも此の事を『五黄様に知らせるしかない!』と。泳ぎの達者なレレが菰傘(こもかさ)村に向かう。ガスが居れば水球に乗って地下水道を一気に行けるのだが仕方ない。

一方、菰傘村では【藤平】が母屋の仕事部屋で、楽しそうに絵図面に向かっている。

街道に印が付いている。藤平は【茂吉】に言われたように、そこかしこの村に【子供預かり所】を設けようとしていた。だが、村よりも街道沿いの方が何かと便がいいのでそちらに決めた。

当初の予定では全て新しい施設を建設するつもりだったが、そんな悠長(ゆうちょう)な事をしている間に子供が捨てられては堪(たま)らないので、既存の建物を利用することにした。

そして隣に大きな建物を建てることにする。何故か?

藤平は【お紺】から宿銭も無い者や病気をした者は困っていると聞いた。そこでそうした者達も安心して泊まれるようにと計画をやり直した。そして屋敷では子供部屋を新しく増築し、いつでも沢山の子供を迎えられようにした。

気が抜けないが藤平は楽しくて仕方ないのである。来週には村巡りをするつもりでいる。ここを巣立って世界中に散っている子供達にも知らせた。

子供達と云っても、今は立派な大人であるが皆、藤平の提案を大層喜んだ。子供達に家や管理人の選定も頼んでいる。仕事を引き受けてくれた子供達が尚更、 嬉しかった。

藤平はわかってはいないが子供達に大変に慕われている。子供達は何より藤平に会えるのを楽しみに待っている。

そんな最中にレレが必死の思いで訪ねて来た。


挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
yoreyoreRere.jpg


お滝と草助が支えている。レレは飲まず食わずで来たのだろう、足下も覚束(おぼつか)ない。いつもの可愛らしく、おしゃれなレレと全く違う状態を見た藤平は驚いて布団を敷き寝かせる。

藤平様!お伝えしたい事があります!」

「レレ。話は聞きますから、とにかく横になりなさい」

「でも、そんなッ、とんでもない事です!」

「いいから、横になったまま話しなさい」

レレは安心したように目を瞑(つむ)り、大きく息をしてひと言も漏らさないようゆっくり話す。藤平は黙って聞いている。

「うむむ...間違いなく連れ去られたにみえる」

「やっぱり、、、ですが、月狼達が洞窟を調べても、どこにも穴なんかなくてどこに消えたのか?さっぱりわからないのです、、、」

「あの洞窟には仕掛けがあるのよ」

「えっ?」

「レレが知らぬ昔の話よ。ガス夫婦は昔、川太郎池からあの洞窟を通って逃げて来たのよ」


えぇーッ!?


「ガスは善き河童よ。

【不思議膏ふしぎこう】を発明出来たのも世間の者に役立てて貰おうという優しい心からじゃ。それに発明出来るだけの技量も頭もガスにはあった。

この膏薬はまさに不思議に何にでも良く効いた。塗れば、やけど・皮膚病・筋肉痛に到るまで。溶いて飲み薬にすれば、解熱にも効く優れた薬じゃ」

「はい!その通りです」

「薬の効能に喜んだのは、ガスだけではなかった」

「もちろん、他の者も喜びましたよ」

「まま子は、褒美(ほうび)に水球の術を授(さず)けた」

「はい。この前はそれでこちらに伺えました」

「おお。今回はガスがいないからの、大変じゃったの」

「とんでもないです!」

「うむ。話しを元に戻すぞ。他に、川太郎も別の意味で大変喜んだ」

「どう言う事ですか?」

「あいつはこれで、銭儲けが出来ると考えたのよ」

「何でそんな・・・」

「ガスは安い値で皆に売れば良いと考えていたので、川太郎と意見が対立した。川太郎は独占販売で儲けようとしたのよ。だが、ガスは頑(がん)として認めなかった。

ある日、あいつはガスに『すまなかった』と詫びをして、今までの功に報いる為に『褒美をやる』と云い騙(だま)して牢屋に閉じ込めた。

妻の【セセ】が、機転を利かしガスを連れ出してあの洞窟を死にもの狂いで逃げて来たのだよ。ガスは元々、此の洞窟をずっと前に発見していて暇をみては夫婦で探検を趣味としていた。

そんな中、洞窟が猫国の連傘(れんがさ)滝に続いている事を見つけたのだ。そして誰にも知られないうちに、密かに秘密のドアを付けた。

取っ手を動かすと大きな一枚岩が動くようにな。連傘の水を利用したものだそうだ。そして夫婦はわしらに助けを求めた。あれから何十年と経つものなあ、、、セセも【魂納めの宮】に逝ってしまったわい、、、」

「だから、先生はご恩があると言っていたのですね?」

「それどころか、私達の方がどれほど有り難かったか知れないというのに、、、ガスらしい物言いよの」

「でも、なんで連傘滝に居たんです?直ぐにも見つかってしまいそうに思えるのに」

「ガスはな、川太郎池の国民達のなるべく近くで仕事がしたかったのよ」

「どうしてです?」

「苦しむ者を皆、救いたいのよ。ガスは・・・ガスは川太郎池の心ある者に『病いで辛くなったら内緒で此の洞窟を越えて連傘に来るように』と言っておったのよ」

「そう言えば、、、つい最近、川太郎池の【ゲン】とか云う河童が来てました。酷い皮膚病になっていて・・・
少し良くなったんだけど、父子家庭で子供を置いて来ているから

心配だから一度、家に戻って子供を連れて来るって、、、でも、戻って来てないわ・・・」

「うむ。その辺に何かあるのかもしれぬ。レレよ、安心して休むが良い。何としてもガスは救うからな!」


はい!宜しくお願いしますッ!


レレは青い顔で布団から起きると座り直し、丁寧に頭を下げた。藤平は『ニャコリ』と笑い、部屋を出た。





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大相撲 13 韋駄天速吉(いだてんはやきち) 

前回


藤平は嬉しそうに机に向かっている。子供預かり所の絵図面に印をつけたり、あれもいい、これもいいと考えては笑っている。
茂吉に言われた案がどうやら形になりそうだ。

そんな中、レレが倒れんばかりに担ぎ込まれた。聞けばガスが大切なお蜜の眼鏡を洞窟に置いたまま行方不明という、
藤平は心配するレレに任せろと言うとニャコリと笑った。



はじまり、はじまり



母屋から外に出ると、よく晴れた空を見ながら五黄にすぐに戻るように念じた。

藤平と五黄には二人だけに通じるものがある。言葉に出さなくても解り合えるし、離れていても連絡を取り合える。
だから、藤平には五黄がどこにいても関係がないのだ。直ぐに五黄から返事がある。頭の中に直接、五黄の声が響く。

「あっちゃん、直ぐに行くよ」

「兄様、急いで下さい!」

藤平は台所のお滝に温かいお粥を作るよう指図して、藤平は母屋に戻った。レレに付き添うつもりだ。

其の頃、五黄はふいに藤平の声を聞いた。

「うん、わかった」

五黄が急に天に向かって顔を上げると何やら独り言を言っているので、周りの者が注目をする。

「おい、今、藤平から連絡を受けた。何か緊急な事が起きたらしい。俺は行くよ」

「それではわしも行くぞ」

今まで黙っていた【狸兵衛】が口を開く。

「わしは、お前にひとかどならぬ世話になった。役に立ちたい」

「そうか、すまないな。相撲は又にして行くか?」

「うむ」

「ちょっと、ちょっと~、俺らを忘れないでよー。一緒に行くよ!
なあ、みんな!

ノン吉が言うと桃吉もオロもきゅー助も頷(うなず)く。藤平から連絡を受けた五黄は急いで戻る事にした。


五黄様!セロめもお連れ下さいませッーーー


「何でよ」

「だって、、、まま子様に後で酷い目に...」

チロッ

まま子が凄い顔してセロを睨んでる。

ギロッ!

五黄が振り向くと、まま子は慌ててニコニコしたつもりだったが、恐い顔をし過ぎていたので顔の筋肉が直ぐには動かない。


わぁああーッ!


流石の五黄もまま子の恐い顔に驚いて変な声を出す程だった。

「セロ、つっ付いて来い!

セロは縋(すが)って喜ぶ。


ヤッタぁー!


ニコニコしている。

「ちょっと!あたしも行くわよ!」

お蜜がシャシャリ出る。

「じゃあ、あたしも~」

まま子も言う。

「おいおいッ、急がなきゃ何ねえってのによー。いいや、面倒だからまとめて付いて来い!」


はーーい!


その場に居た者全員が仲良く声を揃える。五黄が呪文を唱えると、アッ!という間に皆の姿が掻き消えた。

困ったのが相撲委員会の者達である。呼びに行けば東西の控え室には誰も居ない、既にもぬけの殻(から)である。

え~~観客の皆様。珍事が起きました!あろうことか、五黄様・狸兵衛様のお姿が消えましたー!」


なんだとーッ!?


どーしてよぉーッ!


怒号が鳴り響き、其れぞれの者達が騒ぎ出して収拾がつかない。

「取り敢えず、お二方がいらっしゃらないので何とも言い様がありません・・・」


何とかしろッー!!


【青助・赤助】のアニャウンスが火に油を注ぐ。


大変でーすッ!五黄様達が消えましたあーッ!!


ニャにいーーッ!?


狸兵衛様も居ません!


ニャんだとおーーッ!


お風様もお蜜様も!


ニ゛ャ゛ーーー!


「まま子様もッ!」


・・・・


し~~ん・・・


二人の御陰で益々騒ぎが大きくなった。困り果てた相撲委員会の者達が、飛脚猫の速吉に書状を持たせて【御係所おかかりじょ】に走らせた。相撲委員会の者達にはどうすればいいのかわからなかったのだ。

『困った時の御係所』という合い言葉が誰からともなく出て、【茂吉】に騒ぎを鎮めてもらえるようにお願いをしたのだった。速吉(はやきち)は猫国一番の速足で鳴り響いている。文字通りに砂煙を立てて【御係所】に向かった。

【御係所】は猫宿から七日程の場所にある。それを速吉はたった三日で行ってしまう。其の速吉に『死に物狂いで走れ!』とハッパをかけて走らせているのだ。速吉の通った後には溝が出来る程だった。


挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
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竹筒の水を飲むのも惜しんで走った。その日は一日中走り夜中に少しだけ仮眠をとる。そして朝になると夜中まで走った。そろそろ夜も明けて来た、、、

「後少しで【恵み子様の学校】が見えて来るぞ!よーしッ、一気に走るぞー!」

茂吉はたて混んでいた仕事の所為で朝まで掛かってしまった。校長室から校庭に出ると、昇り始めたお日様に向かって挨拶をする。

「おはようございます。今日も一日、宜しくお願いします」

太陽は茂吉に返事をするように暖かな陽を茂吉に注ぐ。其の時だった。もの凄い土煙と共に速吉がやってきた。

「凄い勢いだこと」

速吉は思わぬ場所に、茂吉が立っていたので急停止した。


ギっぎぃーーーーーぃッ!!


倒れ込むようにして茂吉の前に立つと、もの凄い息をしていて話す事が出来ない。

「速吉、どうしたのですか?いつも以上に張り切ってますね」

「茂吉先生様、、、はあッはあッ

「落ち着いて。お水を飲みなさい」

はっ、はい!

水筒にある水をゴクゴクと一気に飲み干した。

速吉は超特早飛脚を頼まれた時には、腰に何本も水筒を括(くく)りつける。飲み終ると捨てて行く。そうして一時も休まずに駆け抜けて行くのだ。勿論、水筒は後で回収する。

大きく墨で【速吉】と書いてある。誰も盗らないし、速吉の走り方を皆知っているので、それを見つけた者達は飛脚問屋に届けてくれるのだ。やっと息が整った速吉は首に巻いている風呂敷包みから大事な書状を差し出す。

「速吉、ちょうど良かったですね」

「茂吉先生様が、ここにいらしゃるなんて知りませんでした!この先の【御係所】にお届けしようと思っていました」

「ふふ、あたしは大概ここに居ますよ」

「そうなんですか?てっきり御係所かと、、、」

「今は用事があれば行くくらいですよ」

「そうなんですか?何だあ、とんだ無駄足するところでしたよ」

「こうして会えたのも天の神様のお計らいですね。さっ、読みましょうか?速吉が一生懸命にして届けてくれたのですものね」

「へへ」

茂吉は大事そうに油紙と和紙に包まれた書状を開けて読み出す。






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大相撲 14 茂吉の怖い一言 

前回


五黄達は一言も言わずに消えてしまった。残された相撲委員会の者たちは大慌てだ。火に油を注ぐ赤吉と青助。

大騒ぎの猫宿を鎮(しず)める為、茂吉に緊急要請の書状が速吉に託される。死に物狂いで爆走した速吉は茂吉に書状を手渡す。



はじまり、はじまり




茂吉先生様

五黄様いない
王族様方もいない
猫宿大騒ぎ
助けてください。

困った猫宿相撲委員会より


「ふうん、、、それで猫宿は大騒ぎなのですか?」

「はい、あっしが出た時にはニャーぎゃー騒いでましたよ」

「ふふ。それでは今頃は皆も少しは疲れて、大人しくなっていることでしょうね」

「へへ、あんなに騒いでいるのは長くは続きませんよ」

「仕様もないですね。五黄様もひと言、皆に言ってあげればよいのにね」

「えっ?それじゃ、茂吉先生様は五黄様達の行方を知っておいでて?」

「知りませんよ。でも、そんなとこでしょ」

「?」

「速吉、少し休んでから食堂で何か食べていきなさい」

「でも、あっしは折り返して知らせないと、、、」

「あなたよりもあたしの方が早く着いてしまいますよ。お銭はあたしが余分にあげますから、とにかく休みなさい。休みもせずに頑張って走りましたね。良い子でしたよ」

「ニャヘヘ。それじゃ、お言葉に甘えて」

茂吉は速吉を恵み子の宿舎に連れて行き、広間で休ませた。朝餉(あさげ)の支度に起き出していた厨房(ちゅうぼう)の者に重湯を支度するように云い、次いでに【紫狼しろう】を呼びに行かせた。

あれだけ走り続けた速吉に急激に固い物を食べさせるのは厳禁なので、茂吉は速吉を休ませてから重湯を食べさせるつもりである。

「速吉、少し寝て居なさい。あたしが居なくても心配しないように。お前の用事を済ませに行っているのですからね」

「はい、茂吉先生様。すいません、あっしみたいな下衆(げす)な野郎にこんなに良くして頂いて」

「何を言うのです?そんなこと自分で言うのはいけませんよ。速吉はあたしが知っている程の有名な飛脚猫ですよ、大事な国の宝ですよ」

「へッ?うッ、ぅうわぁあーーん!

あっしみたいな者を国の宝なんてえーーッ(泣)」


速吉は感激して『二ャギャー』と泣いている。可愛いのである。紫狼がニコニコしてその場にやって来る。

紫狼とは狼族の【恵み子】で頼りになる茂吉の片腕である。

「父様先生」

「ふふ、困ったですね。速吉の事を宜しくお願いします。あたしはちょっと猫宿に行ってきますね」

「はい、わかりました。いってらしゃいませ」

茂吉は校庭に出ると南に向かって、ひょいとジャンプして出掛けてしまった。茂吉の速さならわけなく昼頃には猫宿に着く。

書状に書いてある通り、今だに大騒ぎをしている。酔っぱらって喧嘩している者、泣いてる者、そして疲れて寝ている者あり・・・

これでは相撲委員会の者が、茂吉に助けて欲しいと言って来るのも仕方ないと思った。さっそく土俵のある会場に向かうと、既に会場は暴徒に荒らされ壊れている。

其のそばで円陣を作り悄気(しょげ)ている者達の所に行くと案の定、委員会の者達だった。

「大変でしたね」

何気なく声を掛けると、茂吉に気が付いて委員会の者達が縋(すが)り付いて泣き出す。茂吉は黙って聞いていた。泣きじゃくって話し終わると揃(そろ)って放心してる。

ぱん!』と手を叩くと猫達は『ハッ』とする。

「ふふ、可哀相にね。あたしが他の者達に話をしましょうね。言う事をきかないと魂沈めをしちゃいましょうね」


わぁ゛ーーッ


さっそく【声色鈴虫こわいろすずむし】を使って重々しい声でアニャウンスが始まる。


挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
kowaiMokichi.jpg


「皆さんこんにちは。あたしは茂吉です。

皆さんが大取りの相撲を楽しみになさっていたのはわかりますが、王族達が急に居なくなったのを単に怒るでなく、何か変事が出来(しゅったい)したと何故、考えられなかったのですか?

それを止めるべき年寄りも一緒になって暴れて騒ぐのは情けない事です。今から後片付けをきちんと皆で手分けして進んでやるように。言う事をきかないと魂沈(たましず)めをしますよ」

もの静かではあるが、ものすごーーーーく迫力ある茂吉の声と【魂沈め】の二文字を云われ、猫宿の者達はフンギャーと泣き叫ぶ。

猫も狸も河童も狐も狼も熊も獺も『ギヤぁーギヤぁー』言いながら片付け出す。

「さっ、これでひとまず大丈夫でしょう。皆も手伝って綺麗にしましょう」

「あのぉー、茂吉様が言われたように何かあったんでしょうか?」

「そうですね、多分そうでしょう。急いでいたのでお前達に言い忘れたのでしょう。余程の事と思って勘弁してあげましょうね。」

「はい!こうして茂吉様にこんなに早く来て頂いただけでも嬉しいです!」

「後日、五黄様に説明をしてもらいなさい」


はい!わかりました!


茂吉は帰って行った。




           ~~♢~~




其の頃、五黄達は賑やかに屋敷の表玄関に居た。広い石畳にぞろぞろいる。草助達はてんてこ舞いである。

狸兵衛やお風にお蜜、それにまま子まで来ているのである。それだけでない、ノン吉に桃吉、オロにきゅー助。

其れぞれの御付きの者も来たのであるから、お茶出しだけでも大騒ぎである。草助に言われて母屋から出て来た藤平は、余りの顔ぶれと人数に困惑する。

五黄にそっと耳打ちをする。

「兄様、こんなに大勢で何ですか?」

「ごめんよ、あっちゃん。付いて来るってきかないのよ」

「仕方ないですね。レレが寝ているのに、、、」

「レレって、連傘(れんがさ)の?」

「そうですよ。仕方ないですから御付きの者達は次の間にして、狸兵衛達には一緒に聞いてもらいます」

「わかった」

五黄がさっさと部屋割りをし、其れぞれが部屋に入って行く。







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今回はコメント欄をお休みさせて戴きます。
たまにはイイかにゃなんて思っています。
体の調子が悪いとかじゃニャいでございます。
水曜日には開けますので宜しくお願いします。

のくにぴゆう

大相撲 15 ノン吉にお任せ 

前回


茂吉はわけなく猫宿の騒ぎを鎮(しず)めてしまう。一方、五黄一行はワイワイガヤガヤ賑やかに屋敷に着いた。



はじまり、はじまり


騒いでいたまま子もお蜜も、部屋の真ん中で寝ているレレを見ると途端に黙り込む。お蜜はレレの姿に驚いて布団に駆け寄る。

レレーー!どうしたのッ!?
あたしよ、お蜜よッ!

レレは薄く目を開ける。

「お蜜様、、、」

「どうしたのよッ!?なんて事よ、やつれてるわッ」

「お蜜。レレは一睡(いっすい)もせず、飲まず食わずでここに変事を知らせに参ったのよ」

「藤平、本当なの!?」

「本当じゃ」

「五黄様、皆の衆。レレよりの話を今から聞いて欲しい」

藤平は今までの事を要領よく説明をした。


ガスぅーーーッ!!


「お蜜、静かにしろ!」

五黄は皆の顔を見た。

「セロを呼んで来い」

部屋の端っこに居たオロと桃吉ときゅー助は、急いでセロを呼びに行く。セロにもう一度、話を聞かせるとセロは唸(うな)っている。

「これは間違いなく【川太郎】様の仕業でございます」

「やはりな」

「でも、なんで川太郎が?」

まま子が口を挟(はさ)む。

「あなた様には、川太郎様のお辛さを解る訳がございませんッ!
酷い姉様です!

ふん、何よッ!昔の事をいつまでもしつこいわよ!」

「黙ってろ、まま子」

「ぶーッ!」

「さてどうする、、、俺達が今すぐ乗り込むか?」

「父ちゃん、ちょっと待ってよ」

「なんだノン」

「証拠がないだろう?」

「でも、川太郎様に違いないです!セロは嘘なんかついてません!」

「セロ違うよ。お前が嘘付いてるって言ってるんじゃないんだよ。もしもこのまま父ちゃんたちが出張って行って、そこにガスが居なかったらどうするのさ?『間違いました』は通らないよ。それにあの川太郎の性格だよ。とんでもないよ」

「うーん、、、」

五黄達はノン吉が言う事が正論だけに、どうしようかと考えた。そんな皆の顔を見ていたノン吉が『えっへん!』と咳き払いする。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
Nonkichiniomakase.jpg


「そこで俺の出番よ」

「何がよ?」

「『何が?』ってよ、、、だってそうじゃねえか?こんな時の為に俺は居るのよ。知恵有り!度胸有り!の俺がさあ~」

五黄も藤平も他の者達も苦笑している。

「そぉおか。それじゃ其の『有り有り』のノンは、何をしようというのだ?」

「へへ。勿論、川太郎池に探りに行くのよ。それで川太郎の『有無をも言わせぬ証拠を掴んで来る!』と、こういう寸法よ~」

「ふーん。だけどそんなに時間を掛けてても良いのか?」

「良いも悪いも無いよ。だってよ、今まで放っておいたガスを連れて行ったという事は、ガスの何かが必要なんだと俺は思う。

あの皺垂(しわた)れた爺の体が必要とは思えない。ならば必要としているのはガスの並外れた知識だね。知識が必要なら体は大丈夫だろ?」

「なーる」

その場にいるもの全員が納得した。

「さすれば、ノンに行ってもらうが良いが、ノンだけでは心もとない」

藤平が言う。

「俺もそう思ったよ。知らせに走る者も必要だし、川太郎池に詳しい者も必要だしな」

桃吉とオロときゅー助が前に出て来る。

「おれは川太郎池に詳しい!もっとも居たのは短い間だったけど、それでも案内ぐらいは出来ると思います!」

オロはきっぱり。

「俺は取り敢えず羽があるから、五黄様達に証拠を掴んだ事を知らせに、ここに飛んで来る事が出来る!」

桃吉もきっぱり。

「おいらは飛べないけど泳ぎならオロにも負けない!足だって速いもん!」

きゅー助もきっぱり。三人が自分の出来る事を主張する。

「頼もしいわ~ブホブホ」

まま子が暢気(のんき)に言う。皆から鋭い一瞥(いちべつ)を貰い、しゅんとする。

「わかった。それじゃ取り敢えず、おまいらに行ってもらおうか?」


やったあー!


「遊びじゃねえぞ」

「わかってるよ。任せといてよ!」

「ちょっとお待ち下さい!セ、セロも是非にお連れ下さいッ!

「どうした?セロ」

「此の事には、きっと不肖(ふしょう)の息子のキロが関わっている筈です。あやつめの【尻小玉】抜いてでも、お詫(わ)びさせねばなりませんッ!ウッ、、、情けなし・・・」

「・・・・・」

「セロ、抜かなくても良いから。まあ、キロが居れば久しぶりに息子と会って、話をするのも良いかも知れんな」

「有り難うございまする」

「ふーむ。だが、お前達の話をつらつら聞いておると何やら気に掛かる事がある」

「なんだ狸兵衛よ」

「ふむ。そもそも川太郎がガスの薬で儲けをしよう等と何故思うのよ?」

「言われてみれば其の通りだな、、、なあ藤平」

「本当じゃ。私も今まで気が付かなかった」

「それはまま子様が、よっくご存知ですッ!」

セロが恐い顔をしてまま子を睨(にら)む。

なっ何よッ!あたしは悪くないわよ!」

「まま子。今、言っとかないと俺がお前の尻小玉抜くぞ」


ぎゃーッ!


まま子は大袈裟(おおげさ)にお尻を押さえる。

「五黄!女性に対して失礼ですッ」

お風が怒る。

「そうよ、いくら【どてらブス】だって可哀相よ」

お蜜まで言う。

「わかったよ、悪かったよ。とにかく言ってみろ」

「ふんッ、嫌だね!」

まま子はすっかり捻くれている。セロが堪(たま)りかねて話し出す。

「まま子様は、世界中の川の通行料を今の今まで独り占めにしているのです!」


何だってえーー!?


「どうして?」

「やはりなあ、、、そう云えばわしの処に川太郎池から一度も両替えの話が無かった。不思議に思っていたが、当然まま子から貰っているのだと考えていたのだが、、、」

「だから酷く見窄(みすぼ)らしい家敷に住んでいたのかなあ?」

オロは思い出したように言う。

「だけど金ぴかの椅子に座っていた、、、」

「そこにも何かありそうだな」

「だけど何で独り占めなんてするのよ?川太郎だって国の為には銭が必要なのに」

お蜜が言い出す。

「ふん、わかったわよ。確かに川太郎には銭をあげてないわよ。だって要らないじゃない!あいつのちっぽけな池なんかには」


えぇーーッ、酷いッ!


「おめえ、とことん間違ってるなあ。開いた口が塞(ふさ)がらねえよ」

「どうしてよ?必要ならあたしに言って来れば良いじゃない。銭が欲しければ、欲しいって言えば良いだけの事じゃない?それをやせ我慢してる川太郎が馬鹿なのよッ」

「・・・」

「まま子、お前あっちに行ってろ。池に帰りたければ、さっさと帰れ」

「えっ、何でよ?」

「いいから、行けよ!」

まま子は五黄につっけんどんに言われ、プリプリして外に出て行った。






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今日はお泊りなので訪問は翌日以降になってしまいます。
堪忍して下さいませ。
帰ったら猛烈訪問ポチをしますです。

大相撲 16 狸兵衛とまま子 

前回


皆から非難の的になっても知らんぷりのまま子。五黄につっけんどんに言われ、不貞腐れて部屋を出ていく。



はじまり、はじまり



外に出たのはいいが、腹が立って仕方が無い。

「何もあんな風に言わなくてもいいのに・・・ふん!

愚痴ってみたものの、自分だけ仲間外れになったようで悲しい。そしてこのまま何も分からないまま帰りたくもない・・・屋敷を出てとぼとぼ歩いた。道の脇に柔らかそうな草が生えていたので座った。


ドスンっ!


「はぁーーぁ」

大きく溜め息をつき、することもなく周りの草をちょびちょび毟(むし)っていた。



まま子ーッ!



遠くから声が聞こえ、振り返ると狸兵衛(りへい)だった。

「あら、狸兵衛?」

狸兵衛は大きな体を揺すりながら、辛そうにひぃひぃ息を切らして来た。

「走るのは苦手だよ」

「走らなきゃいいのに」

「バカ。お前を追っかけて来たんだよ」

「あらそうなの?」

「なあ、まま子」

「何よ?どうせ、あたしはとことん間違っている馬鹿ですよッ!

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
RiheiMamako.jpg

「仕様もないね」

狸兵衛はそう言いながら、まま子のそばに座った。

「まま子。わしの懺悔(ざんげ)話を聞いてくれるか?」

まま子は説教をされると思っていたので、狸兵衛の言葉は意外だった。

「えっ?何?」

「お前、わしが狸七(りしち)を亡くした事を知っているか?」

「勿論(もちろん)よ。代わりにオロときゅー助が弟になったって聞いてるわ」

「うん、有り難い事だよ。あの子達はわしにとても良くしてくれるし、仕事も良くやっている」

「それなら、言う事なしじゃない」

「そうだが、そうでもない」

「どおしてよ?」

「わしは狸七にそうなってもらいたかった」

「まっ、そうよね」

「あの子達は確かにわしの弟として申し分無く文句の付けどころもない。だが、『それがあの子達の幸せなのか?

本当はあの子達にとても無理をさせているのではないか?』とわしは思うのよ」

「・・・」

「だってそうじゃろ?元は普通の河童と獺(かわうそ)なんじゃ。わしのように妖力があるわけでなし、こんな事にならなければ普通の生活をしていた子なのじゃ。

それが『わしを助ける為だ、狸国の為だ』と一心に働いてくれておる。今もそうじゃ。ガスと云う知らぬ河童の為に働こうとな・・・

有り難くて、有り難くて言葉も出ん。わしも狸七もやるべき事をしなかったが故に、このようにしなくても良い苦労をあの子達にさせておる、、、とな。

まま子。狸七はな、刺し違えて死んだのよ」

えーっ!?だって王族なのにッ?あたしはてっきり【陽の神様】に命を取り上げられたと、、、」

「違うのよ。神様方は言っておられたよ。わしら『王族は理(ことわり)の具現者なれば理を破った時点ですでに普通の者になっている』とな」

「それじゃ、狸七は何かしでかしてたの?」

「あのきゅー助のてて親の【九太夫きゅうだゆう】を殺めていた」


え゛ぇーーー!?


「わしは愚か者だから、狸七が民を困らせていても知らぬ存ぜぬを押し通し、【陽の神様】のお怒りを買えばこれ幸い、狸七もろとも命を捧げればいいとな」

「・・・・」

「だが今、狸七を亡くして思う。なぜこうも消極的でいられたのか?下手をすれば、己達兄弟だけでなく狸国全体が飛ばされるやもしれない大事だったのに・・・

わしが狸七をきちんと『諌(いさ)めてさえおれば、、、命懸けで意見をしていれば、、、』と過ぎてしまえば後悔ばかりよ。

わしはきゅー助のてて親の九太夫を愛した。心根のまっすぐな優しい獺じゃった。その九太夫を陰謀巡らし殺めた狸七を憎んだ」

「それでなの?馬鹿なあたしにもわかるわ。わかっても狸七は王族だから命は取れない。敵討ちが出来ない。

自分で取れない命なら狸国を騒乱させて、神様達から罰を受けようとしたのね?次いでに九太夫に対して何も出来なかった自分が許せないから、死んで詫(わ)びようと思ったのね?」

「ふん、だがそれは独りよがりよ。己一人の私憤(しふん)よ。狸国を考えれば狸七を諌め、なんとかわしが治めれば良かったのよ。

それが出来なかった、、、いや、そんなことすら考えもしなかった。唯、唯、九太夫愛(いと)し、狸七憎しと思い詰めた。わかるかな?まま子」

「・・・・」

「元々わしらは神より『兄弟で治めるように』と国を与えられている。それ故に寿命も妖力もある。半分になったとはいえ普通の者とは比べるまでもなくな。

わしらはどんなことがあっても、兄弟仲良く国を治めなくてはならぬのよ。そうしなければ、わしのように皆に迷惑を掛け、オロやきゅー助のように大変な苦労を背負い込ませる事になるとな。

わしの二の舞をお前にまで踏んでもらいとうはない」

「・・・・」

「まま子よ、別に難しい事ではなかろうて。わしらには有り難いことに仲良うしている見本があるではないか?五黄に藤平兄弟じゃ。お前と川太郎があのように出来ぬ筈はなかろう?」

狸兵衛はまま子の肩を『ぽん・ぽん』と優しく叩き、ゆっさゆっさと体を揺らしながら屋敷に戻って行った。

狸兵衛が屋敷の門を潜ると、お蜜がニヤニヤして腰に手を当て尾っぽを振り振り待っていた。

「ちょっと~、狸兵衛」

「ああ、お蜜か」

「ふふ。どうだった?あのどてらブス」

「えっ?わしは知らぬよ」

「ふん、こっちは承知なんだよ。空とぼけたって駄目だよ。狸兵衛は懺悔話をして来たんだろ?」

「うぅむ。何で知ってる・・・五黄だな?」

「どうでもいいことさ。あたいは下世話には通じているんだ。さてと!それじゃ今度はあたいの苦労話でもしてやろうかね?」

「ああ、お前が蓑(みの)虫のようにばっちい猫になった話しか?」

え゛っ!何で知ってるのよッ?」

「わしも下世話に通じとる」

「五黄の奴、ぺらぺらとぉーッ!

「確かに一番通じとるのが五黄じゃ」

「本当だわ。あいつくらい下世話な者はいないやね」

「ははは」

「ふふふ」

狸兵衛もお蜜も五黄には敵わない。

「そいじゃ、行ってくるわ~」

「ああ、程々にな」

「程々じゃ、あのどてらブスには効かないよ」

「おお、そうよな」

「じぁね~ん」







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やまぴこのGSFさんが作製をしているノン吉像。
まだ完成はしてないそうです。
クオリティ高ーー
支え無しで自立をしているの!
色塗りはしてあるしぃ~
途中とはいえ、ほぼ完成!
皆様に紹介したくてぇーー
完成したらポールが言うように羽化登仙だわ。

NONkurei.jpg

大相撲 17 まま子の持ち物 

前回



不貞腐(ふてくさ)れているまま子に狸兵衛(りへい)は自分の過去を包み隠さず話す。テレもない、気負いもない。とつとつと話す狸兵衛。

毛羽たち、ささくれていたまま子の心が静かになっていく。バトンタッチをするようにお蜜が屋敷で出待ちをしている。




はじまり、はじまり





お蜜はフン♪フン♪鼻歌を歌いながら、まま子に近づく。狸兵衛に言われた事に少し悄気(しょげ)ているのか?大きな体が小さく見えるまま子。

「はあ、、、」

まま子らしからぬ溜め息までついている。お蜜がそばに来ているのにも気が付いていない様子。

「ちょっとぉ~、そんな所に『デン!』と座っていると緑の漬物石に間違われてよ!おほほ~」

まま子は物思いに耽(ふけ)っていたが、突然のお蜜の嫌みに反応した。


なんだってえーッ?あたしの何処が漬物石なのよッ!

どこがよッ!


「全てよ。そのヒラヒラのチョー趣味の悪いスカートなんて、漬物石からはみ出ている白菜みたいよ~」


ぐやじーッ!


お蜜はニヤニヤしている。

「ふふ。お元気そうだこと」

「何よッ、放っておいてよッ!あたし考え事しているんだから!」

「あっ、そう?皿の水、乾いてるわよ」

「えっ?あら!」

まま子は慌てて頭の皿に手をやると、確かに皿に水がない。スカートから香水を出すと鏡を見ながら、皿に振りかける。

「あんたのスカートにも何でも入っているのね」

「ふん!鏡に櫛に香水と化粧道具。当然よ!」


挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
Mamakonomochimono.jpg


「昔のあたしと同じね」

えっ?今は違うの?」

「今は鏡は持ってるけど、後は【不思議膏ふしぎこう】に【団栗餞どんぐりせん】にタオルくらいかな」

「あんたが!?」

「そうよ」

「信じられないわ!」

「まま子にあたしの苦労話をしちゃおうかな~」

えーッ!あんたも?」

「何よ、聞きたくないの?」

「だって今、狸兵衛から聞いたのに」

「それとは似て非なる事よ。あたしが酷いブスだった話よ」
                 (本編五章、八章より)

え゛ぇーーーッ!?嘘ッ!嘘よッ!!本当は言いたくないけど、あんたって凄く綺麗な狐じゃない」

「あら、ありがと。だけど本当なのよ」

「信じられないわッ!作り話をしようっての?」

「馬鹿ね、そんなことを考えるだけでも面倒な話よ。其の経験があたしに本当の知恵を呉れたのよ」

お蜜は腹のポケットから持っている物を何もかも出した。

「あらーッ!化粧道具が本当にないのね?」

「でしょう?要らないのよ。そんなものはね」

「?・・・・」

「いい?【不思議膏】は怪我した者に使う為。【団栗餞】は説明しなくてもわかるわよね?タオルは手を拭くためよ」

「だけど鏡があるわ」

「鏡はね、自分の醜さを映して反省する為に持っているのよ」

ぇええーッ!自分の美しい姿を見る為じゃないの?」

「そうね。普通はそうよね。あたしも昔はそうだったわ。あんたもそうだと思うけど、鏡に映る自分って綺麗よね?」

「まあね~、あたしなりに綺麗だと思ってるわ」

ブホホ

「そうね。そして、けっして醜い自分は見たくないわよね?」

「当たり前じゃない!醜い自分なんて鏡に映してまで見るものじゃないわ」

「なぜよ?」

「『なぜ?』って、見たくないもの」

「だけどさ、自分が見たくないものを他の者には平気で見せてるのよね?」

「えっ?」

「だってそうでしょ?喧嘩したり、怒ったり、文句や嫌みばかりを云ったりしている自分はとても醜い顔をしてると思うわ。

其の顔を『鏡で見ろ!』と云われても絶対に見ないわ。本人が見たくないって思うのに、他の者には平気で見せてる。変でしょ?」

「確かにそうだわ。自分が見たくない顔を平気で見せてる、、、」

「あたしはね、醜くなって初めて気が付いたの。自分の愚かさをね。だって、耳は折れて捩(よじ)れ、口は裂けて濁(だみ)声。目なんか霞(かす)んでいたから眼鏡を掛けていたわ」

「其の眼鏡なのね?ガスが大事にしていた眼鏡って」

「そうよ、とても有り難い事よ。あたしはね、五黄に己の勝手極まる性格のままの姿にされたの」

「五黄に?」

「そうよ。子分さえ気が付かない程、醜くなって村境まで飛ばされたわ」


うっそーッ!


お蜜も全て包み隠さず、連傘(れんがさ)滝での出来事やその後を話した。まま子は深い、深い溜め息をついた。

「お蜜がねえ、、、そんな苦労をしてたなんて、、、」

「最初は本当に苦労をしたけど、その経験があったから、お陰様であたしは変わる事が出来たの。だから、『苦労話』って言ったけど、今はとても大切にしている良い思い出なの」

「ふーん。それで【ガス】の事・・・」

「【ガス】も【木平もくべい】も、あたしにとって本当に大事な友達なの」

「知らなかったわ、、、あたしの方こそ恥ずかしい、、、」

「まま子。あたしはあんたにどうせい、こうせいなんて偉そうに云えるものじゃないわ。だけどあたしみたいに苦しまなくても少しはいいのよ」

「どうして?」

「だって、あたしのとこのお熊なんて諫言(かんげん)をして勝手に【身魂抜き(みたまぬき)】をしたくらいなのよ」


え゛ーーぇえ!?


「それが原因で五黄が『ブチッ』と切れて・・・あの醜いお蓑(みの)にされたの。だけど、あんたのとこのセロはまだ其処までやってないじゃない」

「確かにそうだわ」

「目の前で大切な乳母に死なれてみなさいよッ、腸(はらわた)が千切られるくらい悲しいわよ」

「でもお熊は生きてたわよ」

「五黄が助けてたのよ。あたしが『生まれ変わるのを楽しみに狐国で待っていような』って、、、」

「そうだったの」

「木平はね、あたしには『待っていてくれる方達がいらしゃるお蜜様は幸せですよ』って、、、」

「あたし、お蜜と変わらない処かそれ以上のろくでなしだわ...自分だけの事しか考えていなかったもの」

「あたしも同じよ」

「ううん違う。だってあたし自分の池は、そりゃ綺麗にして・・・屋敷だって大理石だし、家来達の家だって、、、

でも、川太郎池の者達が貧乏してるなんて考えもしなかった。それに、、、『いたずら』って言い張っていたけど、本当は嫉妬していたの」

「川太郎にでしょ?」

「わかる?」

「あたしも姉様に嫉妬していたもの。あの美しさに」

「そうだったの?あたしも...美しい川太郎に嫉妬して、、、」

「だから破裂させて焦がしたの?」

「そうなのよ・・・」

「ふふ。あんたならではよね!だから治してやんなかったのね?」

「実はそれもある」







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大相撲 18 桃河童ときゅー河童

前回



まま子は最初、話半分程度の軽い気持ちで聞いていた。なのに聞いていくうちに、心のヒダに何かが入り込んで来るのがわかる。それは痛いような温かいようなわからない感情だった。



はじまり、はじまり




まま子達、長子には強い妖力がある。

それに比べると川太郎やお蜜、藤平達に強い妖力がある訳ではない。それよりも弟や妹達には、特出すべきものが備わっている。

それは才覚だ。

藤平が五黄の思い描いた計画を実際に成し遂げ、此の猫国をこれほどに豊かにしたのも才覚あればこそ。

また、狐国についても、お蜜は帰国早々乱れていた規律を正し、お風の気の良さにつけ込み取り入っていた者達を鮮やかに一掃(いっそう)したのも、お蜜だからできた。

それこそ備わっている才覚が為せる技なのである。川太郎とて、まま子の助けがなくとも知恵を使ってどうにか今までやってきたのであろう。

「あんた、これからどうするの?」

「どうすればいいかしら?」

「そうね、、、少しあたしの屋敷に来ない?」

「いいの?」

「ふっ、あたしの馬鹿な記念碑みたいな建物だけど、貞達が綺麗にして守ってくれているの。行けば喜ぶと思うのよ」

「行ってみたいわ!」

「それなら今から行きましょうよ。どうせノン吉達が調べを終えるまではあたし達は用なしよ。それなら、ここにいても五黄に怒られるだけよ」

「あたし、、、嬉しい...あたしみたいな馬鹿な漬物石に狸兵衛もお蜜も・・・」

「馬鹿ね。五黄も藤平も先刻承知よ」

「そうなの?」

「そうよ、あの二人は化け猫よ。あたしら可愛い狐や狸や河童は敵わないのよ。さっき、あんたに『出てけ!』と言ったのも、狸兵衛やあたしに話して来いって言う合図よ。あんたが皆の前じゃ素直にならないのを知ってるからよ」

「そうなの?本当ね。敵わないわ」

「でしょ?だから惚れるのよ」

げっ!あんたもなの?」

「当たり前でしょ!五黄はあたしの永遠に好きな男よ」

「あたしもそうだわ」

「あんたもあたしも永遠に恋敵でいなくちゃね?」

「でも、お風は?」

「やあねえ~、姉様は、、、いい?絶対に内緒よ!あんただけに言うわよ?」

「うん、わかったわ!」

「姉様は、昔、むかぁ~~~~~~~~しから藤平一筋よ!」


う、嘘ーーーーーーーーーーーーーーーーッ!


「『知らぬは藤平ばかりなり』ってね!」

「健気(けなげ)なお風・・・」

「健気よねえ~、あたし痺れるわ」

「いいわあ~、恋ってえぇぇ☆

「いいわよねえ~。あたしら下世話な者とは、ひと味も二味も違うじゃない?」

「本当だわ。だからお風って美しいのね~!」

「そうよ。だから藤平に恥ずかしくないように、自分を高めているのよ」


素敵ーーぃッ!


「あんたもあたしもそうなりましょうよ!」

「そうよねッ、あたし何か力が沸いて来たわ!川太郎にきちんと謝るわ。そして、ちゃんと河童国を立て直してみせるわ!!」

「そうよ、其の意気よ!あんたも聞く耳を持っていれば、きっと変わって来ると思うわ」

「本当に変われるかしら?」

「大丈夫よ!だって、【天宮てんぐう】に居た時のあんたって可愛かったもの」

「えー、そうなの?」

「そうよ。はっきり言って今みたいな、どてらブスじゃなかったわよ」

「げッ、知らなんだ」

「あたしには良く分からないけど、あんたもあたしと同じなのかもね」

「よーしッ!わかったわ!
こんな物もこんなのも要らないわーッ



まま子は香水や化粧品をスカートから出して捨てた。

「バカね~、これは記念に取っておくのよ」

お蜜が拾い、まま子に渡した。

「あっ、そうね。これを思い出せるようにならないといけないのね?」

「そうよ。今まで表面だけを厚化粧してたまま子の記念品。あたしの荳傘(まめかさ)の屋敷と同じよ」

「なーる。わかったわ!きっとそうなるように頑張るわッ!」

「それじゃ、行きましょう」

「あっ、ちょっと待って!お蜜、ありがとう...」

「いいのよ、喧嘩友達じゃないの。それに恋敵だし~」

「うん、ありがとう。それとガスの事。川太郎の仕業だとしたら、あたしお蜜にすまないわ」

「平気よ。ガスはね、元からこれ以上ないくらいに乾涸(ひから)びている爺なの。例え【吸い出し岩】に引っ付かれても死なないわよ」

「ふふ、本当?」

「本当よ。ガスは、絶対に大丈夫なの。絶対!絶対にね!」

お蜜は思った。本当は今直ぐにでも自分がガスを助けに行きたい!だけどそれは今は出来ない。ノン吉達に任せるしかない。

ならばガスが言っていたように、自分が出来る事を一生懸命にしようと言い聞かせた。今のまま子を昔の自分と思って・・・

お蜜とまま子が屋敷に戻って来ると、二人を待っていたかのように藤平がいた。

「まま子。お蜜と話したのは久しぶりよな」

「あ、本当だあ!」

「でしょ?」

まま子はお蜜が言っていたように、五黄と藤平がわざとそうした事がわかって思わず声を上げた。

「どうしたのよ」

「ふふ、こっちの事よ」

「ねっ?お蜜」

「ま、いいわい。皆が待ってる」

藤平と一緒に母屋に行くと五黄達は相談していた。

「おっ、帰ったな」

「ねぇ、五黄。あたしまま子を連れて、荳傘の屋敷に行く事にしたわ」

「そうか?それなら俺もノンに任せてあるから、狸兵衛と釣りでもしに行くか」

「ちょっと待ってよ。俺はいいけど、桃吉ときゅー助はどうするのよ?こいつら猫と獺(かわうそ)じゃ、目立っちゃって、駄目じゃん」

「忘れてたわ」

もーーーッ、こいつら河童に変えてよ」

「わかった、わかった。そしたらきゅー助はどうするよ?」

「おいら、オロみたいな柄になりたい~」

キュ

「よしわかった」

「俺は?俺にも訊いてちょうだーい!

桃吉が大きな声を出して言う。

「おお、桃吉もな。それじゃお前は?」

「うーーん。オロみたく、、、かといって色は薄すぎず、、、濃すぎず、、、だからと云って地味なのは嫌だし、、、派手なのもちょっとね~え」

「?・・・・」

「父ちゃん、桃は適当でいいよ」


ぶーーーッ


「二人とも同じにしてやるよ。お前達、俺の前に並びな」

五黄が『フッ!』と息を吹きかけると二人の姿が見る見る内に変わって来る。足元から綺麗な薄緑に変化していく。


アッ、、、」


お風が目を瞑(つむ)る。お蜜とまま子はニヤニヤしている。其の視線に桃吉ときゅー助が気が付き慌てて前を隠す。

わぁ!きゅー助、はずかしいぃ~ッ!」


ニャーッ!恥ずかしーーッ!」

藤平が其の辺にあった雑巾を二枚差し出す。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
momokatupakyusukekatupa.jpg


「これでも充てがっときなさい」

「こんなばっちいの?」

「情けねー!」


ははは


皆、大笑いをした。





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大相撲 19 なーる 

前回


お蜜の励ましで元気を取り戻したまま子、川太郎池に潜入する桃吉ときゅー助は五黄により中々のイケメン河童に変身した。



はじまり、はじまり




藤平は可哀相な二人の為に、さっそくお滝におパンツを作るように頼んだ。二人は着物の切れ端でおパンツを作ってもらうとやっと安心した。

「よーし、俺も!こうしてとっ・とっ・とと、、、」

ノン吉は『くるっ!』と回るとイケメン河童に変身する。ちゃっかりおパンツを穿(は)いている。

「兄貴っ、ずるーい!

「ふんだ!年の功よ」


ぶー


「さっ、支度は出来たな。さて、これからどうするかな」

皆で考えていると、レレがよれよれしながら、部屋に入って来た。

「お蜜様ぁ、、、」

レレはお蜜を見ると縋(すが)り付く。

「あら、レレ。寝てなきゃ駄目じゃない」

「でもあたい心配で・・・きっと、月狼(つきろう)たちも居ても立ってもいられないと思って、、、」

「そうよね、そうだわ。五黄、それに皆!ねえ、取り敢えず【連傘れんがさ】に行きましょうよ」

「そうだな」

「うむ。そちらで思案しても宜しいじゃろて」

「そのように私も思う」

狸兵衛と藤平が同意する。

「わたくしもまずは月狼達を安堵させねば不憫(ふびん)と思います」

お風も続ける。

「よーし、父ちゃん連れてってくれー!」

「あい分かった」

五黄は呪文を唱えた。いつものように五黄一行が屋敷から消える。

「藤平様、お昼の支度が出来ました。あれ?・・・」

草助が部屋に入ると誰も居ない。慌(あわ)てて次の間に行くとお熊達が、うつらうつら居眠りをしていた。お熊達は五黄達の話し合いに加えてもらえず、暇を持て余し、つい居眠りをしていた。

「ちょっとお熊さん!」

「ふへ?あっ、草助さん!何ですか?」

「『何ですか?』って、五黄様達がいらしゃりません」

えーーッ、何で?」

「『何で?』って、あたしが訊きたいくらいです!」

「お蜜様も、お風様もですか?」

「全員いらしゃらないです」


あぁれぇーーーッ


五黄達はこちらでも、ひと言も言わずに消えてしまったので大騒ぎになった。仕様がないのである・・・・


       
       
          ~♢~




突然、五黄達が来た【連傘滝】の月狼達は慌てた。何しろ錚々(そうそう)たる顔ぶれである。

狸国の狸兵衛や狐国のお風に懐かしいお蜜。猫国の五黄に藤平、河童国のまま子までいる。そして見慣れぬ五人の河童。月狼達が平伏して五黄達に挨拶をする。

「このような尊い方々に御出で願えるとは思いも因りませんでした。レレは変事をお伝え出来たのですね」

「月狼、そのような事はするでない。話も出来ぬ」

「そうよ。月狼、立ちなさいよ」

おおッ!お蜜様ー、会いとうございましたッ!」

「ふふ、久しぶりね。ガスの事だもの、どんな事があったって駆けつけるわよ」

「ううぅ、、、ガス先生がここに居たらどんなに喜ばれるか...」

「そうね、でも会えるから」

「はい、どうか宜しくお願いしますッ」

「お前が月狼か?」

「はい」

「わたしは藤平じゃ。レレから概要は聞いておるが、今一度わからぬ事を尋ねたい」

「はい、知っている事は何でもお話します。処でレレは大丈夫ですか?」

「うむ、安心するがいい。若いし、すぐ回復するじゃろて」

「ありがとうございます」

月狼達は顔を見合わせ、『ホッ』とする。

「兄様、わたしより尋ねても宜しいですか?」

「あっちゃん、勿論よ」

「それでは、月狼。主ら狼族の事ゆえ、抜かりはないと思えるが洞窟の仕掛けはわかったかな?」

「はい、ようやく取っ手らしいものを発見致しました。しかしながら、動かす事はしていません」

「それでよし。へたらに動かすのは得策ではない。先に番をしている者が居ないとも限らず」

「はい、そう思いました」

「それから、【ゲン】と申す河童はどうしておる?」

「はい、それが『子を連れて戻って来る』と、行ったきりでございます」

「それから、此の変事か?」

「はい。もしやしてゲンの行動が見張られていたのではないか?と考えます。或いは、、、ゲンが態と病院に来て様子を探っていたのでしょうか?」

「それはないと思う。レレが酷い皮膚病を患(わずら)っておったと言っておったからな」

「はい」

「考えられるのは、それだけの病いの者が少しどこかに行っておった。そして帰って来ると割合良くなっている。

『一体何処に行っていた?』と周りの者は訊くだろう。ゲンにしてみれば、親切な気持ちと病が癒えて来ている喜びもあって、つい口を滑らした。

そして、それを川太郎に告げ口した者がいた。ゲンが子を連れて行くのを後をつけ、洞窟の扉を開けた処を捕まえる。そんなとこではないかな、、、」

「ふーむ」

その場の全員が藤平の話に納得した。

「それでは、ゲンの身も危ないのでは?」

「まっ、そうなるな」

「あのー、父ちゃん」

「何ですか?ノンは。皆さんの前で父ちゃんなんて」

「へへ。お話の途中申し訳ありませんが、厠(かわや)に行って来ていいですか?」

「仕様がありませんねえ、さっさと行って来なさい」

「あのぉ、俺も」

桃吉河童。

「おいらも~。ぽんぽんが冷えて」

きゅー助河童。

河童達がお腹を押さえて部屋を出て行く。途中で三馬鹿トリオは、厠の場所を知らない事に気が付き、ひぃひぃ尻を押さえながら戻って来た。

急いで月狼に訊いて又出て行く。皆が其の姿を見て、大爆笑になってしまった。全く暢気(のんき)な話である。

「あれー?でもどうしたのかなぁ?ノン吉兄さんも桃吉もきゅー助も変な物なんて食べてないのに、、、」

オロが不思議そうに言う。

セロが手を叩く。皆が驚いて振り向くと、したり顔で頷(うなず)いている。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
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なーる!




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今回はコメ欄を閉じさせて頂きます。
少し忙しいのですみません。
水曜日には開けますので、宜しくお願いします。

大相撲 20 温もり玉 

前回



冴え渡る藤平の推理、皆が一応に納得をした。そんな中、ノン吉達はお腹が痛いと厠(かわや)にまっしぐら。セロは三人を見ながら一人、訳知り顔で頷(うなず)いている。




はじまり、はじまり




一人でいつまでも頷いているので、まま子にどやされる。

セロ!何やってんのよッ!何かあるのなら、さっさと言いなさいよッ!」

「へっ、はっ、はい!あの、、、お三方は、河童になったのは初めてですよね?」

「そうだろうな」

五黄が返事をする。

「でしたら、【温ぬくもり玉】がお体に入っていないのでは?と、、、」

「ああ!あれかー?俺も温もり玉を飲む前は、体が冷えて具合悪くなったもの。だから冷えたんだ!皆、いつも毛だらけだし」

「毛だらけ?あのぉ、、、あの河童達はどなたなのですか?」

月狼(つきろう)が訊く。

「あれは、ノン吉兄さんと桃吉ときゅー助だよ」

「あらー?何処から見ても河童ですね」

「だって、そうじゃなきゃ、バレちゃうものね」

「月狼よ。此所に居るオロにセロ、そしてあの河童姿のノン吉、桃吉、きゅー助で川太郎池に探りに行く事になっておるのよ」

「そうだったのですか!」

「あのままでは、川にも入れぬようだな」

「でしたら、まま子様!」

「わかってるわよ、セロ。あたしの行李(こうり)を寄越して頂戴」

セロは、いつもまま子の身の回りの品々を行李に入れて背負っている。いつも『あれ寄越せー、此れがないー』と、大騒ぎをするからだ。

セロが『よっこいしょーいち』と背中から降ろす。オロが手伝ってあげると途端に目をウルウルさせる。

「オロ様はお優しい~。まま子様は一度だってセロが重い行李を降ろすのを手伝った事なんてないんですーッ(泣)」

「セロさん、、、」

オロは困ってしまう。

「ふん、わかりましたよ!今度から手伝うわよ」

大袈裟(おおげさ)に泣いていたセロが途端に泣き止む。

ピタッ

「本当ですか~?」

「本当よ」

「皆様の前だけの、いいカッコしいじゃないですよね?」


違うわよ!


「ならいいです」

まま子もまま子なら、セロもセロである。セロやお熊達は生涯を王族達に仕える。此の者達は、此の世界においてもまた特別の存在である。

王族達は【天宮】から下った時に初めて家来を持つ。其の時に、身の回りの世話をする者達に選ばれたのがセロ達である。

セロ達には特別な権利が与えられる。それは寿命を決められる事だ。普通の者達は、百年と決まっていてセロ達も一応そうはなっているが、百年経つとそのままの姿で【魂納めの宮】に行き、『このまま王族達に仕えるか?止めるか?』を決める。

止めたければ、そのまま魂納(たまおさ)めをされるし、『このまま王族達に仕えたい』と申し出れば、また百年は仕える事になる。こうして、百年毎に【魂納めの宮】に行く事になっている。

セロにしてもお熊達にしても、そうやって何百年も仕えているのだから王族達とは家族同然なのである。不思議にも五黄と藤平にはいない。

二人には、そんな考えが初めからなかったようで、居ないままに今日まで至っている。まま子は行李を開けると、其の中から綺麗な螺鈿(らでん)で出来ている箱を取り出した。開けると大きな真珠が入っている。

挿絵参照↓↓↓  挿絵をクリックすると大きくなります
Nukumoridama.jpg


「わぁあ!綺麗だわ~」

お蜜がそれを見て声を出す。

「ふふ、そうでしょう?特別な【温もり玉】なのよん。まま子特性なのよ~ん」

「へえー?俺が飲んだ【温もり玉】とは全然違う!」

「当然よ。普通の河童の手が届く品じゃないよ」

「ぶーーッ」

「まま子、意地の悪い言い方は止しな」

まま子は、五黄に怒られる。

「悪かったわよ、オロにも上げるわよ」

「えっ、いいの?」

「いいわよ」

「わーい!でも、二つも飲んで大丈夫なの?」

「力が何倍にも倍増するだけよ」

「本当?嬉しいーぃッ!

「まま子様の恐ろしい程の念を込めている玉ですから、効きますゾー」

「え゛っ?何か怖そ、、、」

「失礼ねー!いいこと?これはね、飲めば腹は冷えず、水中でも呼吸が出来るようになり、泳げない者もマグロのように、速く泳げるという優れものなのよん」

「俺も欲しいなあ」五黄。

「わしも」狸兵衛。

「あたしも」お蜜。

「わたくしも」お風。

「そんなに数無いわよ」

「残念」藤平。

こうして、オロはまま子から【温もり玉】を貰った。厠から、へらへら笑いながら帰って来た三人も貰い、さっそく飲んだ。

「うわぁあ!腹が温々するーッ」

「おいらも~」

「俺もです!気持ちいいなあー。」

三人は、まま子から効能を聞かされて大喜びである。

「さてと。それじゃお前ら行くか?」

五黄が言う。

「どこから?」

「そうだな」

「洞窟からはヤバそうだしなあ」

ノン吉が腕を組んでいると、セロが言い出す。

「あのー、どうでしょうか、、、この【三険山】を越えると川太郎池の端に出ます。そこならば、誰も出入りをしていないかと思います」

「ああ、あたしも前に河童の【メメ】に教わったわ。とても険しい三険山を越えて、川太郎池で休息して【五険山】に登るって」

「はい。とても険しい山々に囲まれているので、滅多に出入りする者はおりません」

「それがいいよ」

「よし。それでは、そこまでお前らを連れて行く事にするか」

「あのー、、、」








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大相撲 21 蕎麦 

前回


まま子特製の温もり玉を飲んだ三人はお腹が暖かくなり、一層、やる気が出てきた。遠慮がちに声をかけたものが居る。


はじまり、はじまり



見れば中年の河童夫婦である。

「五黄様、レレの親御でございます。キキにタイ、遠慮せずに申しなさい」

月狼が紹介をする。

「はい。五黄様、藤平様、お蜜様にお風様、また皆々様方。レレが大層お世話になりまして、ありがとう御在ます」

「レレもその内に元気に戻って来よう、安心するがいい」

藤平が答える。

「あの、、、お出かけ前に宜しければお昼の御膳を召し上がられてはと...」

「そういえば昼飯食うの忘れていたなあ」・・・五黄。

「おお!草助に支度をさせていたのだった」・・・藤平。

「あら!お勢に、ここに来るって言うのを忘れてたわ」・・・お風。

「やだ~、姉様。お熊とこん吉にもよ」・・・お蜜。

今頃、気が付いた。

「さぞ、怒っておるであろうな」

「狸兵衛、そう言うな。それよりも腹が鳴って来た。キキよ、馳走してくれ」

「はい!」

キキとタイは、さっそく運んで来る。湯気が立っている大きな土鍋と、大きな笊にてんこ盛りになっている太打ちの田舎蕎麦。

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sova.jpg


「わぁー、久しぶりだわ~!タイの手打ち蕎麦だわ!」

お蜜が声を上げる。

「お蜜様はお好きでしたものね」

「ふふ、懐かしいわ~。これって得意のつけ汁ね?」

「はい、そればっかですよ」

キキが、手際良く熱々の茸(きのこ)のつけ汁をよそる。このつけ汁は、塩漬けにしてあったなめこ・椎茸・占地・平茸・舞茸・木耳を戻し、蕎麦に絡みやすいように細かく切って醤油と出し汁で煮て作ったものだ。少しだけ、片栗でとろみがついてあるので、冷めにくい。

「そこに、この摺(す)りたての山葵(わさび)をお好みで入れて下さい」

「あたしは、たっぷりと入れるわよー。」

お蜜は、けっこう入れた。

「汁が熱いうちに蕎麦を召し上がって下さい」

皆、『熱い~!旨い~!』と大騒ぎである。山葵を入れ過ぎたお蜜は、「(ツーン)きくぅーッ!」と嬉しそう。キキもタイも空になる笊にお代わりを入れて来たり、つけ汁を運んで来たりと大忙しである。

箸(はし)休めに出した長葱のぬたも大好評だった。キキは、長葱(ねぎ)をごくごく弱火で炙って作る。時間は掛かるが其の方が葱の甘みが出るし、水っぽくならないからだ。

うっすらと焦げ目がついた葱をぶつ切りにして味噌と和える。それだけのものだが、此所に居る者たちはとても好物にしている。腹が満たされるとノン吉達はやる気満々になった。

よぉーしッ、行くぞーーッ!父ちゃん、連れて行ってくれ!」

「あいわかった」

五黄も今回は大変である。度々、大人数を瞬間移動させているのだから、息も切れるところだが、もう一踏ん張りとノン吉達と消えて行った。

「さてと、、、待っているだけというのも芸がない」

藤平が言うとお蜜達は頷(うなず)く。

「わたくし、お勢達に言っておかねばなりません」

「そう言えば、わし達、猫宿の者達に何も言わずに来てしまったわい」狸兵衛も言う。

「あら、そうだったわ!」

「きっと大騒ぎだったわよ」

「これは失念してた」

藤平がニャコニャコして言う。

「わたしらは、そればっかりになってしまって、いけませぬなあ~」

「本当ですわ」

お蜜が、にやにやしている。

「まぁ~~あ、姉様と藤平は気が会います事ッ。おほほほほ」

まっ、お蜜!変な事を言わないで頂戴」

「あらーあ?お風ったら、そんなにむきになってぇ~~」

まま子が、尻馬に乗る。

「もぅ、二人していやだゎッ」

ポッ

お風は頬を染めて部屋を出て行ってしまった。知らぬ藤平は、狐につままれた顔をしている。

「どうしたのよ?お風は」

「わたしには、さっぱり分かりかねる」

狸兵衛も不思議そう。その内に五黄が帰って来た。

「ふえー、キツかったよ」

「お疲れさまです」

「藤平、俺達は取り敢えず屋敷に帰るか?」

「それなら、五黄よ」

「何だ?狸兵衛」

「お前は疲れておるだろうから、又わしの尾に乗って帰ろうではないか」

「おお、そうしよう」

「ちょっと待った!」

「何だお蜜」

「それなら、いっそ猫国に掛けてある結界を解いてよ。あたしなんか、狐国からここに来たくたって飛んで来れないから、不自由なのよ」

「ああそうか、忘れてたわ」

「もぉー、頼むわよ!」

「そうしよう」

「それから、あたしとまま子は荳傘(まめかさ)に行くわ」

「そうか」

「ここにも近いし、貞達が喜ぶから」

「あれ?そう言えばお風はよ」

「ふふ、その内に戻ってくるわよ。姉様を連れて行くの忘れないでね」

「わかった。さてと、久しぶりに屋上にでも行くか?」

「それならご案内いたします」

月狼が案内をしようとするとお蜜がしゃしゃり出て来た。

「あたしがするわよ。あそこは木平(もくべい)との思い出の場所なんだから」

「木平って?」

「あたしの大切な友達よ」

「お蜜にも友達がいたのか?」

「フンだ!いるわよッ、馬鹿にしないでよッ!」

「何でもいいから、先行きな」

「わかったわよ」

お蜜を先頭にしてぞろぞろ屋上に出て来た。







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大相撲 22 結界 

前回



一行はキキとタイの心づくしの昼食を馳走になり、ヤル気が倍増した。五黄はノン吉たちを送り届ける。そしてお蜜の要望を叶えるために屋上に向かった。



はじまり、はじまり


何故か屋上にお風がいた。

「あら?姉様ッ!」

「あら、どうしたの?」

「姉様こそどうしたの?ここがよくわかったわね」

「迷っていたら、いつの間にかここに来たのよ」

お蜜の後から五黄達がのそのそ来た。

「良いとこだなあー」

「ほぉおー、確かに見晴らしの良いこと」

「良い場所だの~」

「お風はここにいたのか?」

「はい」

「さっ、それでは久しぶりに結界を解くかな」

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kettukai.jpg


五黄は空に向かって大きく口を開ける。

忽(たちま)ち青い空が吸い寄せられるように五黄の口の中に入っていく。


ずゎぁぁぁああーーーーーッ



流石の王族達も見たことのない光景に言葉もない。しばらくそうしていると五黄が口を閉じた。

「ふむ、此れで良しと」

「もういいの?」

「ああ、試しに飛んでみな」

お蜜が九本の尾を『ふわッ』と広げると、そのままスルスルと体が持ち上がる。

「わぁ~、気持ちいいわぁー!此れで猫国を自由に往き来が出来るわ~!」

月狼達は、お蜜が空を飛ぶのを初めて見たので感嘆の声を上げる。


うわぁ~~~☆


「それじゃ狸兵衛よ、頼むわ」

「あいわかった」

狸兵衛が、尾っぽを前にして『ポンポン』と揺らす度に広がっていく尾っぽ。あっという間に十畳程の大きさになる。

へぇえーー?凄いッ!!」

月狼達は目を丸くするばかりだ。

「お風、お前も乗れよ」

「えっ?わたくしだけ?」

「おお、そうよ。お蜜とまま子は、荳傘の屋敷に行くんだとさ」

「お蜜ったら、お熊に怒られるのが嫌なのね?」

「姉様、そこのとこ宜しくね~」

空から言っている。

「お蜜、まま子と喧嘩するなよ」

「わかってるわよー」

「まま子。此れからの事、よく考えるんだぞ」

「わかってるわよ!」

「それじゃあな。月狼、何かあればお蜜に連絡しろ、いいな?」

「はい、わかりました」

「じゃ、行こうぜ」

五黄の合図で、狸兵衛の尾が『ふゎり』と浮く。お風も藤平も五黄もゆったり座って優雅に西の彼方に消えていった。見送ったお蜜は、屋上に降り立つとまま子に声を掛ける。

「さてと。まま子、あたし達も行こう」

「うん、どうやって行くの?」

「あんた、重そうだけどあたしの尾っぽに乗ってよ」

「えーッ!乗れる?大丈夫かしら?」

「大丈夫よ!どうせ目と鼻の先よ。ちょっとの辛抱よ」

「月狼、シャナ、海狼。いい?心丈夫にして待っていなさいね」

「はい!」

「あたしはまま子と荳傘にいるからね。必ずガスは帰って来るから」

「はい、待っています!」

「それじゃ、まま子!行くわよ~」

「はいよー。」

お蜜の背中にしがみ付くようにしてまま子は、尾に跨(また)がった。

「じゃあね~」

「お気をつけてー!」

お蜜は重そうだったが『えいッ!』と気合いを入れ何とか浮くと、荳傘村へと飛び立っていった。






              ~♢~






一方、五黄に三険山の麓(ふもと)にある川太郎池に連れて来られた五人の河童は、今までの明るい気分が一辺で吹っ飛んでいた。
急峻な岩肌を晒(さら)す三険山の黒々としてゴツゴツした岩山は来る者を拒んでいる。

池を挟んで遠くに霞む五険山も同じようであろう。目を正面に向けると、気分が深く沈む。どんよりした青緑の池にはガスが出ているのだろうか『ボコボコッ』と時折、泡が出てくる。

淀(よど)んでいる池の周りは何の音もしない。不気味な静けさに満ちている。

「なんか、いやぁーな気分...」

きゅー助がそっと呟(つぶや)く。

「お前はどっちでも良いから、帰れば?」

「オロの意地悪!」

「お前達、くれぐれも無理はするなよッ」

五黄が全員の顔を見渡す。

「父ちゃん、俺がいるから大丈夫だよ!」

「だから、心配なの」

「ぶーーーッ」

「冗談だよ。セロ、わかるか?」

「はい!セロめにお任せを」

「オロも桃吉もきゅー助も決して無理するなよ。おまいら、結構無理するから心配だ」

「大丈夫です!」

「任へてくらひゃい!」

桃吉はすでにビビっている。

「桃、帰るか?」

「ノン吉兄貴!おりはたいちょうぷれす!」

五黄は、後髪を引かれる思いながらも一言「行くよ」と、言って消えた。五人の河童達は黙っている。

・・・・・

五黄が一緒にいる安心感が、どれほど大きかったかを取り残されて気付く。ノン吉はそんな皆の気持ちを知っているので努めて明るく声を出す。

「さてっと!それじゃ行くかー?」

「ノン吉様」

「何だい?」

「河童国の者は、大概二文字です。どうしますか?」

「じゃ、俺は『ノン』でいいし、桃はそのまま。きゅー助は『きゅ-』でいいさ」

「はい。それでは、いつものように池に声を掛ける訳には参りませんので泳いで川太郎様のお屋敷に向かうしかないと、、、」

「そうだな」

「泳げるかなぁ...」

桃吉は不安そう。

「大丈夫ですよ。びっくりするくらい泳げますし、息も出来ますから地上と変わりませんよ」

セロが皆に説明をしている時だった。






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大相撲 23 頭きた! 

前回


行く先が決まった一行はそれぞれに別れた。ノン吉達は川太郎池に、これから一体何が起こるのだろう。



はじまり、はじまり



何やら、池にさざ波が立って来て、池の中央に一本の線が出来た。其の線が段々と太くなって行く。開道と同じだ。ノン吉は『ボーっ』と見ているセロ達に、茂みに隠れるように言う。


ノン様!


「しっ!静かに。皆、黙ってろ」

池の開道は、まま子川とは比べようもないが、規模は小さくとも立派なものであった。『ザザーーっ』と水面が盛り上がり『スゥーっと』乾いた一本道が現れた。

それなりに凄い眺めだ。池の底から一人の河童が出て来た。其の河童は、少し小太りではあるが、けっこうな年寄り河童に見える。

あ゛っ!あれはセロめの不逞(ふてい)の息子、キロでごさいます!」

「だけど、お前と変わらないような年寄りだよ」

「息子でも、百年も経てばセロめと同じ年寄り河童になります」

「あれはキロだ!」

「あれが意地悪キロなのッ?」

きゅー助は思い出した。キロがオロに対してした冷たい仕打ち、、、きゅー助らしからぬ怒りを顕(あらわ)にし何を思ったのか駆け出す。


きゅー助ぇーーッ!


皆が止めたが既に遅かった。キロは池を出て、のそのそ歩き出していた。


こんにゃろぉおーッ!!


わぁあーーーッ!


ノン吉達も急いでそばに駈け寄る。きゅー助は、キロを処構わず殴っている。


ボコボコボコッ!バチ!バチ!バッチン!


「ひぃッひぃッ、た、助けてーーッ!

皆で止めに掛かろうとすると、セロが止めた。

「いいんです!こいつには此のくらいが調度良いんですッ!」

「でも・・・」

キロは殴られて向けた顔の先にセロがいて増々驚いた。(!?ッ)

「父ちゃん?」

オロがきゅー助を後から抱きとめる。


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atamakita.jpg


「きゅー助!もういいから、もういいから止めて」

「だってだってぇーーッ!」

「いいの、俺、いいの」

きゅー助は、オロが何度も言うのでキロを最後にもう一発殴って止めた。

「うッぅ、、、ぅ~ん」

最後の一発が効いたらしく、キロは気絶した。

「あぁ~あ、気絶しちゃったよー。すごいねえ~、きゅー助って」

桃吉は暢気(のんき)である。

「へへ(キュッ)」

「何、言ってんだよッ

ノン吉は怒ってる。

「きゅー助様のパンチは此のセロめも喉の閊(つか)えがおりますわ~」

「セロは息子に厳しいねえ」

「いいんです。セロの言いつけも守らずに、川太郎様の言いなりで、諫言(かんげん)するどころか一緒になってオロ様に酷い事をして、、、このーッ、馬鹿者めが!」

セロは、気絶している息子を容赦なく揺らして起こす。

こらーッ!起きろーッ!起きろと言っておるのじゃーッ!」

「ふあ?止めれぇぇ、、、ヤメレぇ~ぇ、、、」

キロは目を覚ますが早く、セロのもの凄い顔を見て又気絶する。

「セロ!セロ!もう止しなよ」

ノン吉がセロを止める。ようやくセロがキロを揺らすのを止めるとノン吉の方を向く。オロ達がセロの顔を見て『ギョッ』とする。

「セローッ、まるで変化してるみたいだよー!何でお前がそんな風になれるの?」

「はい、ノン吉様。セロめは、『もの凄ぉ~~い』まま子様のお顔に負けぬようにと修練しましたら、やっとここまでになりました。はい」

「へぇーッ?頑張ればあんな顔になれるんだぁッ!」

桃吉が変に感心している。

「バカッ」

コツン!

ノン吉にこずかれた。

「ぶぅーーッ」

「なあ、セロ。わかったから、落ち着きなよ」

「ノン吉兄さん、ここで騒いでいるのは拙(まず)い気がするよ」

オロが落ち着いて言う。

「そうだな」

「どこかにこいつを運ぼうよ」

きゅー助は鼻息が荒い。

フンガッ・フンガッ

「それなら、もう少し行った所に小屋があったと思う」

「えっ?何でオロが知ってるの?」

「なんかさあ~ここ、俺が人間の時にキロに連れて来てもらった気がする」

「そうなの?」

「うん。何となくだけど思い出してきたよ」

「案内できるか?」

「はい、こっちに」

オロは先だって歩いて行く。

「それじゃ、取り敢えず行ってみるか?」

ノン吉とセロが後に続く。キロは、桃吉ときゅー助に脇をがっちりと抱えられて連れて行かれた。オロの言う通りに、雑草を掻き分けて行くと半分朽ちかけた古い小さな小屋が見えて来た。雑草で覆われた其の小屋は酷い有様だ。

「ここだよーここ!」

オロは其の汚い小屋にさっさと入って行く。小屋の中は、外観よりはまともだった。セロは囲炉裏(いろり)を見ると早速火を熾(おこ)す。キロをその辺に横にさせると皆は囲炉裏端に座った。

「オロは良く覚えていたな~」

「はい。そう言えばキロは『夜遅くここに着くと川番に開道してもらえないから小屋に泊まる』って。俺達がここに来たときも、遅かったから泊まったんだよ」

「そうなの?」

「ぅう、、、ン」

キロは気が付いたようだ。

「気が付いたょ」

きゅー助は見張っていたのか?キロのそばを離れずにいた。セロが猛然とキロに向かって行こうとするとノン吉が止めた。

「セロ!又気絶させたら面倒だから俺に任せな」

「はいぃ、、、でも・・・」

「いいから、セロは俺の後にしな」

「わかりました」

「キロ、突然で驚いたな?」

「はぁー?」

「キロ!ノン吉様じゃッ!ご挨拶せいッ!」

セロが口を挟(はさ)む。

「へっ?でも河童だし、、、」

「ええいッ、説明は後じゃ!ご挨拶をしなさいッ!」

「はい、、、キロです」

「キロ、俺は『天翔猫のノン吉』だ。こいつはお前が騙(だま)して、河童にしたオロだ」

オロをノン吉は手招きした。

「オロ?オロって?」

「【吸い出し岩】で死にそうになったオロだよッ!」

きゅー助が恐い顔をして言う。

「えっ?でも皿が銀色、、、え゛ーっ!?どう言う・・・」

セロが又しゃしゃり出て来る。

「キロ!オロ様は今では狸国の狸兵衛様の弟様じゃ!こちらのきゅー助様も同じ弟様。そして畏(おそ)れ多くも『天翔あまかけ猫』のノン吉様に『羽付猫』の桃吉様じゃ!」

「ちょっと~、何で俺だけ『羽付猫』って、、、なんか軽くない?」

「いいから、黙ってな」

「ぶぅーッ」

オロもきゅー助も可笑しくて笑ってしまった。キロは、良く分からなかったが凄い者達に囲まれているのは理解したようだ。観念したように項垂(うなだ)れている。







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大相撲 24 キロの話  

前回


きゅー助はキロだとわかると猛然とダッシュして殴った。キロには何がなんだかわからない。懐かしいセロも怒っている。騒ぐ皆を鎮めて河童姿のノン吉が話す。



はじまり、はじまり



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kironohanashi.jpg


「キロ!お前はどうして此所に居る?オロの話だとお前は人国にいるはずだが」

「そっ、それは...あのぅ、、、」

「まさか、またオロにしたみたいな事する為に誰か連れて来たのッ!?」

「あ、あの...そうではありません、、、ありませんが.....」

「お前、何かあるな?」

「早く言わんかッ!この馬鹿息子ッ!!

キロは『ばさッ』と土下座するとワナワナ震えながら怯(おび)えている。

「キロ!まだこれ以上罪を重ねるのかッ?われらが河童の姿になってここに居るのは何の為と思うッ!」

「はッ、ハイ.....」

「川太郎がガスを誘拐したからだ!」

え゛え゛ーーッ!?そんなッ、そんな事、、、チキショー!あいつらが知恵をつけたんだッ、そうに決まってるッ!むムム・・・チキショーめッ」

「キロ、何を言ってるんだ?俺達に全てを包み隠さず話せ」

「あ"、、、はい。こうなれば全てお話します」

「良し、そうしろ」

「オロ様、本当に申し訳ありませんでしたッ!!」

「いいよ、過ぎた事だよ。俺はもう気にしてないよ」

「いいえ、違うんです、、、」

「えッ、何?どう言う事?」

もッ、申し訳ありませんゥッ、、、」

キロはそう言うと『わぁーッ』と、泣き出してしまった。

「どうした?どうしたんだ!泣いてないで早く言え!」

「ええーいッ、しっかりせんかッ!キローッ!

「はい、、、あのぉ・・・、大助さんを連れてきました」

「え"?何だってッ!?何て言ったあーッ!」

キロの答えに驚いたのはオロだった。


てめぇええーッ!勘弁ならねえッーーッ!!
俺だけでなく大助までぇえーッ!



ばっこーーーん!


オロがもの凄い剣幕でキロを殴りつけた。ノン吉達が慌ててオロを止める。

オロ!オロっ!どうしたんだッ?どうしたんだよー?」

「ねぇッ、『大助』って、オロの弟の大助なの?」

きゅー助は、オロを止めながらも怒りまくるオロに訊く。

この野郎ぉーッ!セロさんには悪いけど勘弁ならないッ!!」

「ねえ、ちょっと待ってよ。オロ!キロはきっと嘘ついてるんだよ」

桃吉がオロに話す。

「どうしてよッ?」

「だってそうじゃん。オロが人間だった時は俺が人間だった時より二百年位は前の話だよ。えらい昔なんだよ、

人間がそんなに生きてるなんて有り得ない!そんな事ある訳がないよ!」

「いいえ、大助さんは生きていたのです!」


えーーーッ!?


「話してみろ」

「はい、何もかも申し上げます。オロ様を河童にしてから、あたしは人国に戻りました。戻ったのはオロ様の親と契約をする為でした」

「契約?何の契約よッ」

「はい。『不思議膏ふしぎこう』の薬を販売して得た利益のうち半分を川太郎様に差し出す契約です」

「何それ?こっちでは人国の金なんて使えないのに」

「そうなんですが、川太郎様は人国の物が大変お好きなのです。ですから、どうしても人国の銭が欲しかったのです。

『弦兵衛げんべえ』は義理固い男でしたから、キッチリ半分の利益を寄越しました。川太郎様に半分渡しても薬の儲けは莫大でしたので、弦兵衛は大層裕福になりました」

「そうか。それじゃ銭の苦労をしなくても済んだんだ、、、母ちゃんに怒られなくて済んだんだ、、、」

「オロ様には、気の毒ですが、、、」

「何よ?」

「弦兵衛夫婦は別れました」

「何でよッ?どうしてよッ!お金持ちになったのにッ」

「はい。元々そりが合わぬ夫婦のようでした。大金持ちになった所為かわかりませんが、お互いが家庭を顧みなくなり、二人其々に色が出来たようで別れてしまいました」


何だよぉーッ!あんまりだぁあーーーッ!


オロは悲嘆に呉(く)れる。きゅー助も桃吉も余りな話に言葉もない。

「そして年月が流れ、弦兵衛が死ぬと川太郎様は、気の良い大助さんと契約しました。初め大助さんは厭がりましたが、オロ様に『いつか会わせてやるから』と、言い聞かせました」

「・・・」

「大助さんは、結婚をしなかったので子供がいません。子供が居れば大助さんが死んでも、子供と契約をすればいいのですから、

『結婚をしろ』と言っても大助さんは『嫌だ!』と言って聞き入れませんでした。多分、自分と同じ目に合わせるのが嫌だったのでしょう」

「大助・・・」

「川太郎様は、だんだん歳をとっていく大助さんに困り、試しに自分の甲羅の削(けず)った物を無理矢理に飲ませました。

五黄様の背中の毛の真似をされたのです。此の世界の者には効きはしませんが、人間には効きました」

「それで、大助は長生きでいれたの?」

「はい。よれよれの爺になりながら、大きな大きな屋敷の片隅で、ほんの一握りの会社の重役の者に会うだけで。生きる屍(しかばね)のような日々を、、、」

「ウッ...酷過ぎる、、、どうしてそこまでするんだッ!」

「・・・・・、川太郎様にすれば大助さんが死ねば、又初めからやり直す事になる訳で、それが面倒だったのでしょう。それに妹達の子供はどれも碌(ろく)でなしで、、、」

「あんたに言われたくないよッ!」

「はい、、、すみません」

「だけど、それならどうしてそんな大切な大助さんを連れて来たのよッ!」

きゅー助は腹が立って仕方ない。

「はい。それがそのぉ、、、川太郎様が病いに罹(かか)られまして、その病いが中々癒えず酷くなるばかりだったので、

大助さんに人国の有りとあらゆる薬を持って来るように命令したのです。『言う事を聞けばオロ様に会わせてやる』と、、、それにはここに来るしかなく、、、」

「騙(だま)したんだね?」

「はい、薬が欲しかっただけなのです。最先端の薬は店に売っていないので、あたしには手に入れる事が出来ません。

どうしても、大会社『弦兵衛製薬会社』の名誉会長になっている大助さんに頼むしかなかったのです」

「それなら、正直に言えば良いのに」

桃吉は呟(つぶや)く。

「それが、川太郎には出来ない。キロ!それはお前にも言えてるな」

ノン吉にキロは胸を突く事を言われた。






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大相撲 25 甲介  

前回


キロの話はオロにはあまりに残酷だった。怒りのままに殴ったとしても何も変わらない。遠い記憶の中、一緒にシジミ採りをした可愛い弟、大助。気の合う弟だった。大助の身を案じるオロ、どうなるのやら。



はじまり、はじまり



「はい、その通りです。あたしは只、言われた事をする、、、それだけの馬鹿河童でした」

「情けなゃ...」

セロが呟(つぶや)く。

「だけど、どうして今は大助が一緒じゃないんだッ!?川太郎に薬を渡したとしたら、大助はお前と一緒に人国に戻らなきゃいけないだろうがッ!」        

「はい。戻るように言ったのですが、大助さんはオロ様に『会わせろーッ!』と言ってお怒りになって、、、」

「当たり前だよッ!それでどうしたんだよッ?」

「其の後は、わかりません、、、」

チキショーッ!!どういうつもりだッ!」

「すみませんッ・・・でも、あたしはあれ以来、川太郎様に会う事叶わず、結局池から追い出されまして、、、」

「川太郎に会えないのに、どうしてあんたが追い出されるのさ?」

「甲介です」

「えっ?」

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
kousuke.jpg


「何でも屋の甲介です。いつの間にか川太郎様に取り入りって、、、あいつは、人国の品を川太郎様のお金で買って来ては此の世界に持ち込んでいました。

五黄様の許しを得ていない物もお構いなくです。川太郎様は、この頃はあたしに相談する事もなく、何でもあいつと決めておしまいになって。

今では右腕のようになっていて、川太郎様に良からぬ事を吹き込んで、、、ガス先生の事だって、あいつの企みに違いないですッ!」

あんニャろーーッ!父ちゃんに目を懸けられてるのを良い事にッ、許せねえーーーッ!!

キューッ!きゅッそーぉおッ!こうなったら皆で殴り込みだぁッ!」

きゅー助は凄い事を言い出す。

「ちょっと、ちょっとーぉッ!そんなことしたら、いの一番に大助さんの命が危ないよッ!」

桃吉、たまには冷静な事を言う。

「え゛っ?」

「だって、人間を連れて来ちゃ此の世界って拙(まず)いんでないの?バレたら拙いからって、、、」

「あっ、そうかッ!騒ぎ立てたら、大助もガス先生も、、、、、」

「そうだよ、『こそーっ』とするしかないよ」

ノン吉は少し考えてから、てきぱき指図をする。

「よし、そうするか!じゃ、父ちゃんにさっそく連絡しないとまずいな。俺が行くのが一番速いが、ここは羽付猫に任せるか!」

「えっ、俺ーッ?

「ここから西に真っ直ぐ進めば菰傘村に着く。お前しか羽はないし、元々其の為に来てるんだしな」

ぶぅーーッ!俺も皆と一緒に行きたいのにぃぃ」

「ばかタレ!冷やかしじゃねえの、命掛けなんだよッ!愚図愚図してて、大助とガスに間違いがあったらなんねえし、それにゲンとか云う河童のこともあるしな!

いいか、文句言わないで、てめえの出来る事を一生懸命にやるんだ!わかったかッ!」

「はい、わかりまひた・・・」

「父ちゃんへの連絡は此れで良しと!後は俺達だ。オロときゅー助とセロ、そしてキロ」

「はい!」

「死ぬ気で頑張ってみろッ!お前の働き如何によっては、また道もあるだろう。お前は知らぬが川太郎の病いは死の病いよ、己が招いた事。

お前がセロの言う通り、諫言(かんげん)をするような気概(きがい)の持った家来であったなら、こうはならなかったであろうにな、、、残念だ。さあ、どうする?キロ」

キロッ!ノン吉様に返事をせんかあッ!!」

「は、はいッ!死ぬ気で頑張ります!是非ともあたしめをお役立て下さいッ!

「よし、お前はまずは案内をしろ!それからのことは道々考えよう」

「あのぅ・・・」

「何だ、桃吉」

「オロの頭の皿、銀ぴかじゃ拙いんでないの?」

オロは五黄に変えてもらっていなかったので、皿がキラキラ光っている。

「えっ?」

「そう言えばそうだな。どうしようかなー」

「さすれば、ちょいとお待ちを」

セロは背負っていたまま子の行李(こうり)を背中から外すと、行李から赤い毛糸の帽子を取り出した。

「まま子様の御帽子です」

「こりゃ、いいや~!オロ、かぶってみな」

「えぇー、なあに?この頭巾。赤いのなんて女みたいだよ」

「文句は言わないの。オロの出来る事は帽子をかぶることだからしてなもし」

桃吉は、ノン吉の真似をして偉そうに言う。ノン吉は苦笑している。

「ぶーーッ」

オロは、不承不承(ふしょうぶしょう)に生まれて初めて帽子をかぶってみた。

「ほら、こぉーして被(かぶ)るの」

桃吉は甲斐甲斐しい。

「あれ?なんか暖かい。ぽかぽかしてくるよ~」

「けっこう、似合ってるよ」

ノン吉に褒められるとオロも満更じゃなくなる。

「へへ、そうですか?」

「きゅー助も欲しいよ~ぉ」

「きゅー助は額も光ってないからいいの」

「ぶぅーッ」

「あれ、あれれれ?」

桃吉が赤い帽子をかぶっているオロとキロを見比べている。

ちろっ・チロッ

とうとう、オロから帽子を取り上げてキロにかぶせてしまった。

「何だよ!」

「ちょっと、貸してよ!」

「何をするんですか?」

キロの帽子姿を真剣に見ている。

じぃーーッ

「あ"ーッ、やっぱりそうだ!こいつ、あの貸しまんが屋の爺だッ!顔が腫(は)れてるから、わかりずらかったけど間違いないぃッ!」

腫れているのは皆で殴ったからで、キロの所為ではない。

「どうしたの?それって桃吉が人の時の話でしょ?」

三人は桃吉に聞いていた。桃吉が人だった頃、小学生の時の出来事だ。









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今回はコメ欄を閉じました、へへ。
此の頃、コメ返が遅くなっていて申し訳なくて・・・
水曜日は開けますので宜しくお願いします。

のくにぴゆう

大相撲 26 息抜き  

前回


キロの話によると川太郎には何でも屋の甲介(こうすけ)が取り入り、どうやら悪知恵を吹き込んでいるらしい。桃吉がベレー帽をキロにかぶせると驚いている。どうやら人だった頃に関係がありそう。



はじまり、はじまり



ある日、学校の帰り道に一軒の貸しまんが屋が突然出来た。新しい店なのに何故か古ぼけていた。桃吉は漫画が大好きだったので、これ幸いと借りに行った。

店の主人は、丸眼鏡にいつも赤い毛糸の帽子を被っていた。毛糸の帽子の脇からは見窄(みすぼ)らしい毛がポソポソ出ている。

どのくらい歳をとっているのかわからない。その上、無愛想極まりないので客もめったに来ない。
そんな店主も何故か桃吉には愛想が良く、何度か本を借りるうちに親しくなった。

ある日、一冊の本を渡された。とても汚い本だったので断ったが、『稀覯きこう本だ!』と云って押し付けられた。仕方無く持ち帰ったが、パラパラ捲(めく)っただけで結局そのまま忘れていた。

だが、その本は今思うと作者名が自分(桃吉)で、ノン吉や五黄の名前も書いてあったそうだ。

「そうよッ、そうよッ、そうニャのよッ!だけどニャんで?
ニャんでニャんだあ~??

何でだあ~~ッ??どうして、俺が子供の時にキロに会ってるわけなのよ?
わっかんニャーイッ!
それに俺の書いた本ってなんなんニャーッ!?

頭の中に、色々な事が一気に吹き出して、次の言葉が出て来ない。終いには頭を抱え唸(うな)り出す始末。キロは、皆に分からないようにしてクスクス笑ってる。そのキロの態度に敏感に気が付いたのがきゅー助河童。

こいつ、笑ってるよぉーッ!もう一回気絶したいのかぁーッ?(キューッ!!)」

「ご、ご勘弁を、、、」

キロは腫れた頬を押さえる。ノン吉が、キロを殴ろうとするきゅー助を押さえる。

「おい、キロ!時間がねえんだッ、早いとこしないといけねえのに、桃吉があの様じゃ使いものになんねえ。何か知ってるんならチャッチャッと言ってみなよ」

「はい。あれはあたしが久しぶりにここに戻って来たときのことでした。あたしはいつものように、菰傘(こもかさ)を通ってここに参るのですが、菰傘村ではお陽の髭結(ひげゆ)いに寄るのを決まり事にしてまして、あの時もそうでした。

挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
ikinuki.jpg


髭結い床の客との馬鹿話は気が置けなくて、あたしには大切な息抜きでして、、、」

「それでどうしたのよッ?」

オロもいらいらする。

キロ!早く先を言いなさいッ!」

いつの間にか、セロも桃吉も真剣に聞いている。

「はい。そこの客から、つい最近『桃色の猫が菰傘の住人になった』って話が出て、そしたらお陽さんが『その猫は【桃吉】って言って、元人間だよ。五黄様が猫にしたんだょ』って言ったんですよ」

「俺だあ~」

「あたしは、その時は聞き流していたんですが、話を聞いてる内に少し興味が沸いたんです。それで・・・」

「それでどうしたのッ!?」

皆して、キロに喰いつかんばかり。

「あたし、この頃は川太郎様から余りお声もかからず、少し寂しく思ってました。それで、どうせなら少しは好きにしても良いかな?と思い始めたんです」

「ふんふん、それで?」

「はい。それで桃吉さんが元人間だったとしたら困っているんじゃないかと、、、」

「どうして、そう思ったのよ?」

「はい。あたしは昔、オロ様に酷く冷たい仕打ちをした事に後悔していました。オロ様は【残り河童】それならば桃吉さんもそうだろうと、、、」

「俺って【残り猫】だったのッ!?」

「うるさいなあ~、桃は黙ってろッ!」

「『黙ってろ』って、俺の事なのにぃぃ...(ブツブツ)」


うるニャいッ!


「ぶぅーーーッ」

「それで、あたしなりに考えたのです。『ここの世界のあれこれを教えて上げたい』それで少しでも役に立てばと、、、」

「だけど、ノン吉兄さんもいたし、キロが世話焼く事ないじゃん?俺の時は知らんぷりだったのにさ」

「すみません、、、そうなんですよね。あたしは猫族が親切で愛情深いのを知ってはいたのですが、
どうしてもそうしたくなってしまって、、、それなら、いっそ猫になる前の桃吉さんに教えて上げれば良いと」


え゛ぇーーーッ!!


「はい、あたしはその事を考え出すと一日中考えるようになりました。それで『これなら!』という好い案が浮かびました」

「それが俺の書いた本なの?」

「はい、そうです」

「自分が書いた本というのならどんな奴でも読むのではないかと、、、苦労して作りました。あたしの力作です。お読みになりました?」

「最初のとこだけ」

「やっぱり、、、桃吉さんは相変わらず漫画だけしか読まないんですね」

「どうせ、俺はそうですよー」

「だけど、何で桃吉の過去に?俺もこんがらがってきた、、、」

「きゅー助もぉ」

オロもきゅー助も理解が出来ない。

「此の世界とあそこは別物なんだよ」

「それってどういうの?」

「ああ。あすこは、次元も何もかもグチャグチャに入り組んでいるんだ。あの世界自体が薄くなったり厚くなったりしてる。

こいつが、あの世界を渡り歩いているとしたら有り得ない話ではない。俺が、あそこに行くのが嫌な理由の一つにそれがある。

たまに行くと時代が全く違っていたりするんだ。だから、同じ時代に行こうと思っても、俺には行き方が良く分からなかった」

ノン吉は嫌そうに顔をしかめる。

「へぇーッ!そしたら行く度に違う時代になっているの?そしたら、俺が行こうとしても無理なのかなぁ、、、」

桃吉も不思議そう。

「わからないよ。だけどキロはわかってんだろ?」

「へへ、全部はわかっていないです。唯、あたしは余りにも長い時間をあそこに居ましたから、此の次元はその内に消えそうだなとか、、、」

え゛ーーッ!そんな事があるのぉ?」




※コメントにややこしくなっているとありましたので、
この回は少し補足に説明をしたいと思います。
猫国往来記の本編を構想している時、桃吉登場の最初のシーンはこの貸漫画屋からでした。
ですが、何度も何度も考えるうちに今のシーンに変わりました。
とても練り込んだだけに捨てがたく、大相撲に出したということになります。
時空が出てきたり、いろいろとややこしいですが、
これは現在の人国の状況を説明しているだけに過ぎません。






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大相撲 27 行って来ゃ~~~す!  

前回


キロの企ては桃吉のマンガ好きで無駄になったが、周りの者はキロの善良な部分に何かホッとした。


はじまり、はじまり


「桃吉さん、あたしはあなたの過去に行きました。

あたしは、いつの間にか変な能力を身につけたようで、『あの人間!』と強く思いながら利根川を渡ると不思議にもその人間の処に行けるようになったのです。

それであたしは、いつでも大助さんと連絡を取り合う事が出来たのです。ならば会いたい人間に会うことが出来るのなら、過去のそいつにも会えるのではないかと思いまして・・・」

「試したのか。随分と危険な事を、、、」

「はい。あたしはこの頃どうでも良くなっていて、次元の狭間(はざま)に落ちたとしても『別にいいかな』なんて思っていましたから」

「なんとッ!、なんと情けないぃ...」

セロは溜め息ばかり。

「試してみると上手い具合に桃吉さんの小学生の頃に会う事が出来ました。桃吉さんは、とても漫画好きだったのであのような事を仕組んでみました」

「あれって、俺専用だったの?」

「勿論です。あなたを誘う為に友達に化けたり、、、とても楽しかったです」


ウッそぉおーッ!?


「あたしの本をあなたにお渡しする事が出来た時は、何か成し遂げたようで本当に嬉しかったです」

「俺、あの後行ったのにぃ」

「あなたに本さえ渡せば良かったのです。それにあんな拵(こしら)えものをするのはけっこう疲れまして・・・」

「それじゃ、あれって本物の貸しまんが屋じゃなかったの?」

「はい。あたしの拙(つたな)い術です」


げぇぇえーーッ!


「キロ、どうしてそんな手間の込んだ仕掛けを考えたんだ?」

ノン吉が言う。

「はい、何度も申し上げましたが、オロ様に対しての贖罪(しょくざい)の気持ちと、桃吉さんがオロ様と『お友達だ』と菰傘で聞いたからです。

あれからお陽の髭結(ひげゆ)いに通う度に色々な話しが聞けました。だからと言って、此の事がオロ様の役に立つわけでも何でもありません。

あたしのたんなる暇つぶしだったのか...あたしもよくわかりません。ですけど、大助さんと話をする度に又、大助さんが歳をとる毎に『兄さんに会いたい!』と聞かされ、いかに冷たいあたしの心でも動かされました。

それで、そのままではいられなくなったのだと思います。ですが、あたしがオロ様を捜す事も出来なかったし、もし、お会い出来たとしても、川太郎様が今だに大助さんを無理矢理に生かし利用している等と聞けば許されよう筈もなく、、、

ましてや片棒を担いでいるあたしが会えようもなく...と悶々(もんもん)としていた時に菰傘の話です。何とか桃吉さんを通じてオロ様と関わりが出来るのではないか?、、、

手前勝手な事を考えました。このことによって、桃吉さんの口から大助さんについての話を知ってもらえるかと、、、」

「じゃあ、あの本にはオロの弟の事が書いてあったの?」

「はい、でも読んでくれなかったのですものね。あたしのやる事は、、、何の役にも立たない・・・ウッ、ぅぅ...」

「・・・・・」

その場に居るものはキロのした事について言葉が見つからなかった。良い事をしたと言える程でもなく、親切という事でもなく、何とも言えない気持ちだった。

ノン吉は、大きく溜め息をついた。

ふぅーぅ、、、

「キロ、お前も苦しんでいたんだな?」

「そんな事、、、」

「無駄だったとは言わないさ。だってな、もしかしたら桃吉の口から大助の話をオロが聞いていた可能性もあったんだものな?」

「はい」

「だけど、桃吉が本嫌いだという決定的な特徴を見逃していたのが残念だったな~」

「はい、漫画にしとけば良かったです」

「ぶぅーッ!俺だって本くらい読みますーッ」


ははははは


皆、大笑い。

「さっ、それじゃこれで桃吉の変な思い出の答えも出たし、、、」

「へ、変な思い出って?それって何かすごーく引っ掛かるー!」

「引っ掛かっていればいいさ」


ぶぅぅーーッ!


皆、ノン吉と桃吉の話が可笑しくて仕方ない。

「桃吉は、急いで菰傘に行くんだ。西に向かって、とにかく飛んで行けッ!」

桃吉はノン吉の口調に『ピッ!』として、真剣になる。

「五黄様に伝える事は?」

「『川太郎池に急いで来て欲しい!』それだけで十分わかるさ」

「桃吉、頑張ってな!」

「うん!任せてよ-!」

「きゅー助、心配だよぉ~」

「セロめも心配です」

「【羽付猫】の底力を見せてやるさぁーッ!」

「根に持っています?」

セロが言う。

「当たり前だよ。なんか俺だけ【おまけ付きの猫】みたいでさッ~フンだ」

「いいから、行ってきな」

「はーい!よぉ~しッ、頑張るぞーッ!!」

桃吉は背中に力を入れる。

んぅうグッ、ぐぐぅううーんッ

ばさッ!』っと甲羅が割れ羽が生えた。


お"、おぉーーッ!!


セロとキロは初めて見るので驚いた。


行ったるどぉおーッ!


桃吉は、両手も羽のように振ってバタバタやっている。

「どうして、手まで振るのかなあー?」

ノン吉は呆れてる。

「桃吉の飛び方って可笑しいね~」

うるニャーい!こっちは真剣なんだ!黙っててよ~!」

「はいはい」

「行くど~ぉ!」

バサンッ!・バサンッ!』と勇ましく音を立てる。少しづつ体が浮いていく。

桃ぉ~~、浮いたぞぉーッ!その調子で頑張れーー!」

「ニャーい!」

増々力を入れて羽ばたく。気が付けば二十メートル程高く上がった。

「行けるぞぉーッ!よぉおーしッ!」

「桃ぉ~ッ!もっともっと、高くまで上がるんだよおーーッ!」

ノン吉が一生懸命に言うが、桃吉は羽ばたくのが、精一杯なので聞こえない。


そいじゃ、行って来やぁーすッ!!

hanetukikattupa.jpg

挿絵参照↑↑↑  絵をクリックすると大きくなります

大して高く上がらずに飛んで行ってしまった。

「あ~ぁあーッ、何回も言ってるのになあ~。あいつは物覚えが悪くて仕様がねえなあ」

「大丈夫なのぉ?」

きゅー助は心配そう。

「まっ、体で覚えるしかないさ」

「そしたら、俺達も行こうか?」

「はいッ!!」皆、真剣な顔になる。

「キロ、案内しろ」

「はい、わかりました!」

ノン吉達一行は辺りに気を配り、ソロソロと川太郎池に向かう。さて、お蜜とまま子はどうしているだろうか?








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この場をお借りしまして、りん友様達にありがとうと感謝したいです。
いつの間にか優しい友達ができていました。嬉しい。
訪問をしてくれる方達もとても優しい。
ぴゆうは愚痴愚痴していたり、文句を言ったり勝手放題なのに支えてくれる。
幸せです。
近頃はコメヘンが遅くなったり、訪問出来なかったりとダラしない。
でも、無理はするなと言ってくれる・・・泣ける・・・
なんか吹っ切れた気がする。
のんびりと続けられそうな気がしてきました。
頑張り過ぎす、自然体でいきます。
本当にありがとう。

のくにぴゆう

大相撲 28 台所  

前回


ノン吉達は川太郎池に桃吉は五黄に知らせる為、飛んでいく。一方、ガス病院で別れたまま子とお蜜の二人はどうしているのだろう?  



はじまり、はじまり



お蜜はまま子を乗せて自分の屋敷に向かって飛んでいる。


あ゛ーーッ、重いぃーい!


「お蜜の尾に乗り、飛んで行く、あたしはまるでお姫様 byまま子」

「落としてもらいたいのぉーッ?」

「いいじゃなーい!少しは気持ち良くなっていても~。」

全くッ!今がどういう時かわかってんのかねぇーえッ?

「わかってますよーだ!

まま子がつい気持ち良くなるのも無理はない、晩秋の夕暮れは格別なのだ。濃い茜(あかね)から薄い桃色へと、暮れなずんでいく空。白い雲も陽を浴びて染まる。

眼下に見下ろす、薄(すすき)の原。綿毛を散らし寂しそう。どこまでも続くと思われるその先に、小さな灯りを見つけた。

そろそろ荳傘(まめかさ)村にも灯りがともる頃だ。

「あら?灯りが見えるわ」

「あそこが荳傘村よ!」

「ふーん、可愛い村ね」

「でしょーぉ?だって、住んでいるのはあたしの子分や、その家族だしね~」

「何か、幸せな眺めね」

「そうね、あたしもあの灯りに幸せを感じた事があったわ」

「へーッ!」

「もっとも、その頃のあたしは悲しくて泪で霞んで、あの灯りを見続けられなかったわ」

「お蜜、本当だったのね?」

「もうッ、幾ら言っても信用しないんだからッ!疑り深いわね」

「ううん、今は信じてるわ」

「そぉう?あっ、ここよ!ここッ!あたしの屋敷ぃーッ

お蜜は屋敷の中庭に降りると重たいまま子の体重から解放されホッとする。貞達の仕事場には既に灯りが点いている。

相変わらず熱心に仕事をしているようだ。辺りが暗くなって来ているので、誰もお蜜達には気が付いていないようだ。

「さてと。まま子~、こっちに来てー」

勝手知ったる我が家、さっさと家に入ると行灯に火を点けた。『パァーッ』と部屋が灯りに満たされるとまま子は驚いた。

「凄いねえーッ!」

「アハ。貞達も家の中までは手が廻らないみたい~」

お蜜は照れている。

子分の貞達が部屋中を白ペンキで塗りたくったままなのである。屋敷の外観は貞達も気合いを入れやり直したので大分美しくなったのだが、屋敷の中までは手が廻らない。

お蜜に命令され、貞達が腹立ち紛れでやった時のままだから、今では白ペンキが剥落(はくらく)し酷い有様、無惨な状態なのだ。

「無惨やな、お蜜の屋敷は白まだら byまま子」

「馬鹿たれ。全く碌(ろく)な事言わないよッ」

「ふふ。そう言えば、腹が減ったわよ」

えーーッ!?食べてそんなに経ってないじゃないッ」

「ここじゃ、客にひもじい思いをさせるの?」

チロッ

「何が客だよーッ!仕方ないねえ、台所に行ってみるか、、、何かあるかも」

「うん、そうしよー!そうしよーう!」

お蜜は台所に入るとそこらにあった紐で、たすき掛けをする。意味があるのだろうか。

「よーし!何か作るわよーッ」

「あんた、料理出来るの?」

「フッフーーン、何言ってんのよー!先ずは『蜆(しじみ)汁』でしょ~、次が『蜆汁』、そして『蜆汁』に『蜆汁』〆に『蜆汁』よ」

「へっ?蜆汁ばっかり?」

「だってそれ以外、作った事なんてないものーッ」

「まっ、いいわ。たまにはいいかもね」

「よぉーし!まずは、火を熾(おこ)さないと」

お蜜は竃(かまど)に薪をくべ火を点けるのは誠に手際が良い。だが肝心な蜆を忘れている。
鍋に水を入れ、竃に置いてようやくそのことに気が付いた。

「あら?蜆がないわーッ!」

「やあねえー。蜆がなきゃ、蜆汁なんかできないわよ~」

「いやだぁ~、あはははは


あははははは


二人は大きな声で笑っていた。


挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
daidokoro.jpg


やいやいッ!ここはどっどなた様のお屋敷と思ってやがる!」

「お蜜様のお屋敷と知っての事でげすかあ?」

「半チクな事ぬかしやがると、只じゃおかないぞーッ!

勢いだけは勇ましいが、戸襖(とぶすま)越しに怒鳴っている。お蜜達を見てはいないのである。手と杓文字(しゃもじ)だけが見えている。お蜜はそれを見て可笑しくてたまらない。まま子は驚いている。

「あぁ~ら、怖い事。主が帰って来たらいけないの?」

お蜜の声がすると、貞達は『んニャぎゃややーーッ!』と鳴きながらお蜜のそばに駆け寄って来た。


あッ、姐御ーッ!


姐御ぉーーッ!


ニャぁああーーーッ!!


お蜜が飛ばされそうな勢いで、三人の猫達は縋(すが)り付く。

「ちょいと、ちょいとぉ、止めなさいよ~、止めなさいったらッ!もぉーーッ」

「姐御ぉーッ!会いたかったでげすうッ」

「あっしだって!」

「あっしの『方が』ですッ!」

お蜜が引き離そうとしても、しがみ付いて離れない。尾っぽで払われるとようやく離れた。

「ちょいと~、恥ずかしいだろー。客がいるんだよ」

貞達はやっとまま子の存在に気が付く。

ゲ、ゲッッ!?


うわっ!


ひゃッ


まま子のド迫力に飛び上がって驚いた。

「失礼ねえーお蜜!躾(しつけ)が悪いわよ」

「こら、あたしが恥かくでしょ!この『どてらブス』はまま子よ」

「ちょっと、『どてらブス』とは何なのよ!」

「だって言いようが無いもの」

「あの、、、」

「何よ?」

お蜜とまま子が一辺に答えたので貞吉は、余りの迫力に首を竦(すく)める。

「早く言いなさいよ!」

「はいでげす。まま子様ってあの河童国の?・・・」

「そうよ。他にこんなデカい河童はいないわよ」

「またあ~。あたしが気にしてる事をそうズケズケと言わないでよね」

「あんらぁ~、気にしてたの?知らなかったわーッ!気にしてる割には、会う度にデカくなっているじゃない(ぷぷ)」

「叩くわよ」

「いいわょー、やったんさいな」

「あのぅ、、、」

「何だよッ!?」

又、二人が口を揃えて返事をする、怖いのである。


ひぃいーーーッ


貞は泣きそうだ。

「こうなったら、やってやるッ!」

「何を言いやがるッ!昔から気に入らなかったんだ」

「あたしのセリフだよ!こうなりゃ表に出やがれッ!!


望む処よッ!!






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大相撲 29 朝飯  

前回

休止をしていた、ほぼひと月近くの間・・・阿呆な河童と狐はずっと喧嘩をしていたわけです。そんな馬鹿な!へへ

はじまり、はじまり


二人にとって、良いのか悪いのかはわからないが此の場には喧嘩を止められる者が居なかった。止められるのは物好きな五黄くらいである。

貞達は尻尾を丸め台所の隅に隠れて震えるばかり。何故かと言えば此の二人、怒りに任せ変化(へんげ)をしているからだ。暗い夜も何のその、目はギンギン・キンキラ輝いているから全く関係ない。

外に出て、猛然とダシュするお蜜。その後を火の玉のようになって追うまま子。お蜜は村はずれの広い野原に出ると、まま子に向かって飛びかかる。

どりゃぁああーーーッ!!


おのれぇええーッ!猪口才(ちょこざい)なあーーーッッ!!


まま子は向かって来たお蜜を掴(つか)むと渾身(こんしん)の力を込めて投げ飛ばす。


ビョーーーーン


お蜜は勢いよく空に飛ばされると『クルッ!』と尾を丸めて反転する。そしてまま子に掴み掛かる。投げるまま子、掴むお蜜。

『掴む、投げる』、『掴む、投げる』、『掴む、投げる』・・・・・・・・・・・・・・・なんとッ!?そんなことを朝方までやっていた。呆れるばかり。

流石に疲れて来た。『つかぁ、、、ぁあーむ、なげぇえ、、、ーーえるぅ』くらいのテンポになって、倒れ込んだ。

「はあ、はあ、はあぁぁぁ...」

「ひい、ひいぃ、ひぃぃぃ、、、」

ボロボロに疲れて寝てしまった。

ぐぅッ、ぐぐぐぅーぐゥゥ...

二人が寝たのを遠回りに見ていた貞達は、おっかなびっくりしながらソロソロ近寄る。

「寝てるのかな?」

「あれだけの大喧嘩、見たことないよー」

「きっと、お疲れでげすよ」

「兄貴、どうします?」

「姐御はお疲れだと思うでげすよ」

「だから寝てるんでしょ?」

「ばーか、お前はわかってないでげすなあーあっしが言っているのは違うでげす。きっと姐御は狐国にお戻りになられてから、そりゃ頑張られていたと思うでげすよ。

あの姐御が『出来ぬ我慢もしている』と、伊佐の手紙にも書いてあったでげすもの。気ままに暮らしていた頃とは雲泥(うんでい)だったと思うでげすよ。

そう言うなんやかんやの鬱憤(うっぷん)や不満がね、爆発したと思うでげすよ、ええ」

「なぁーる!」

「姐御は苦労をされているんですね・・・」

ウッ

「それがここに来て爆発したんですか?」

「それだけここは気の置けない場所なんだと思うでげす」

「なぁーーる!」

「しっかし、まま子様っておっかない顔してますねー!」

「まったくでげすなあ~噂には聞いていたでげすが、これほどとは!」

「でも、お二方とも気持ち良さそうに寝てますね」

「王族の方々にはあっしらにはわからない苦労がお有りになるでげすよ」

「はーぁ、そうなんですね」

「さっ、飯の支度をしよう。姐御が台所に居たというのは、きっとまま子様に何かお作りになろうとしていたでげすなあ」

「あっしも初めて見ました!」

「本当にお変わりになられていたんですね」

「本当でげすなあ」

貞と徳と亀はそう言いながら村に向かう。お蜜は知らないが屋敷に野菜や米はない。村の者達を起こし、お蜜の事を伝える。暫(しばら)くすると大挙して村の者達がやってきた。

よっこら!よっこら!』と釜を持って来て総出で、竃(かまど)の準備をしたり、火を熾(おこ)したり、まるでピクニャックかニャンプのように賑やかだ。

村の者達も子分達も嬉しくて仕方ない、楽しそうに準備をしている。その内に釜からご飯の匂い、鍋からは味噌汁の香りが辺りに漂よいだす。二人が反応をするのに時間は掛からなかった。

「あ~~、なんか堪(たま)らない匂い~ぃ」

「あーーッ、腹へったあ~!」

お蜜は『パッ!』と飛び起きる。

「まま子、食べるのよ!貞が用意してくれたんだわ!ほら~」

まま子はお蜜と喧嘩していた事も忘れたように素直にお蜜に従った。


姐御ぉーッ!まま子様ぁーッ!飯でげすよー


貞が呼んでくれる。

「はーい!」

「行くわーッ」

貞達はお蜜とまま子に濯(すす)ぎの湯を用意をしてくれていた。泥だらけの二人は、盥(たらい)の温かいお湯で顔を洗ったり、手を濯ぐとさっぱりした。

「姐御、まま子様。さっぱりした処でどうぞこちらに」

まぁ!


あんらー!


挿絵参照↓↓↓  絵をクリックすると大きくなります
asameshi.jpg


赤い毛氈(もうせん)が敷いてある。

周りには子分達や村の者達が待っている。二人が座ると夫々に小さなお膳を持って来た。お膳の上には熱々の炊き立てご飯・お豆腐とお揚げの味噌汁・がんもと印元の煮物、そして九味豆腐の湯豆腐。

二人は物も言わずに食べ始めた。三杯めのお代わりを食べ終わるとようやく落ち着いたのか、まま子が礼を口にする。

「あーッ!美味しかったわー、こんなにおいしい朝ご飯は初めてよ」

「あたしも、美味しかったぁ~。村の者も手伝ってくれたのね、ありがとう!」

「喜んで頂けてなによりでげす、なあ皆!」


へえーーい!


皆、口を揃えて答える。

「ねぇ、あんた達も一緒に食べましょうよ」

「へっ?」

「だって、まだ食べれるもの」

お蜜がそう言うと皆、大爆笑である。貞達も村の者も二人を囲んで賑やかに食べる。お蜜は皆のお代わりを率先してやっている。これも連傘滝(れんがさだき)での成果だろうか。見ていたまま子も見よう見真似で手伝う。

「貞ぁあ、あんた何杯めよ?」

「へい、七杯目でげす」

「お腹破裂するわよ」

「そんなことで破裂するような、やわな貞ではないでげす」

まま子は笑い出す。

「徳、足はもう大丈夫のようね」

「へいッ!御陰さんで、この通りです」

徳は飛び上がってみせる。

ニ゛ャ゛っ!いてて・・・」

勢い余って転んだ徳、すかさずお蜜が手助けをする。

「徳、無理しちゃ駄目よ。時間を掛けてゆっくり治そうね」

「ニャーい!」

徳は嬉しくて仕方ない。
何やら視線を感じる徳。貞も亀も他の子分達も村の者まで鋭い視線を送っている。

ジロッ
ギロッ!!

徳は皆の怖い視線に堪らなくなり、すかさずお蜜の尾に隠れる。

「ニャッ!?てッめぇえーえッ!!ふざけたまねしやがってーーッ!姐御の綺麗な尾っぽにいーーッ!」

「ちきしョーッ!徳はずるいーッ!ずる過ぎるーッ!


「徳の兄貴は、ずっこい!ズッコイ!ずっこいーーッ!


きたねえーぞぉおおーッ!


「チョット、ちょっと、いいじゃないの~ぉ。お前達だって怪我したら、あたしが治して上げるのだから」

ニャっ?ほんと?

お蜜が言うが早く、貞は頭を釜にぶつけようとするわ、亀は杓文字(しゃもじ)で自分の足を殴ろうとする。どいつもこいつも大騒ぎしている。

お蜜は仕様がないので、九本の尾を膨(ふく)らませ、貞も亀も他の子分達も村の者も包んでやった。

「これなら、文句ないだろ?」

貞達は満面笑み。デレデレと尾っぽに頬擦りをしている。


はぁぁ~~☆しにゃわせ~~☆


「文句ないでげす~ぅ」

「ニャ~ぁあ!」

「ふかふかだニャ~~ぁ」

「いい~、ニャおい(匂い)~~~ぃッ」








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本当に嬉しいです。
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